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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part641【TSトレ】
≫25二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 13:54:14
『適材適所』
そういえば大部分の人に伝えてなかったなというのを、今更ながらにして後悔した。
別に教える必要もないかなーとは思っていたのだが、この度トレーナーたちでオーケストラをやってみようというまたしても突飛な提案が出てきたため、久しぶりに自分のどうしようもなく苦手な分野について直面することになったのであった。
ふっすーという音がマウスピースから漏れる。いや、そもそもマウスピースによる音が出ていない。
フーフー吹くなら口笛のほうがまだ音が出るんじゃないかというくらい全く出ていない。
汗をだらだらかきながら必死こいて楽器を鳴らそうとしていた俺のもとに、いつものメンバーであるフクトレ、マクトレ、テイトレがやってきた。
「……いや、まさかお前がここまで吹けなかったとは思わなかった」
「笑えよ……ぴーとかぷぺーとかそんなレベルすら到達してない俺を笑えよ……」
「なんとなしではありましたが、ブラトレは大部分のことをそれなりにできる認識をしていたのですが……案外そういう人は少ないものなのですわねえ」
「オペトレ基準に考えたらダメでしょ。……にしたって絵にかいたようなへたっぴだねえ」
そう、俺はあまり楽器が吹けない。ついでに言うと弦楽器もピアノの類もだめだ。
ウマになってからはもうちょっとくらい吹けるようになったか?と思ったが、やっぱり駄目だった。
「リズム感は十二分にあるのに楽器に反映できなければどうしようもないですわね」
「んー、リコーダーってどうなの?」
「まあギリギリ吹けないことはないが、毎度のごとくお情け合格だったな」
「本当にダメなんだな……どうする?裏方という手段もあるだろうが、オペトレに編成について聞いてみるか」
練習期間自体はそれなりにとってあるのだが、これまで生きてきて20数年、何度か挑戦してそのたびにダメだったものをたった数週間で身に着けるのも無理がある話である。
故に、どうしたもんかと悩んでいるのが現状であった。
「……そういえば、指揮者ってどうなんだ?誰がする予定だったんだっけ」
「たしか、ダストレが無茶振りされかけてたな」
「……昔取った杵柄ってやつなんだが、実は俺は指揮者の経験がある」
「えっマジで?なんでそんな変なことだけしてるのブラトレ」
「酷い言い草だな……まあ単純に俺の通ってた専門学校の行事でちょっとなー」
26二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 13:54:27
流石にトレーナーのための勉強に打ち込んでいたとはいえ、多少の息抜きは誰しも必要なものである。
その時は確か文化祭のようなものとして演奏会が行われたのだが、あまりにもへたっぴな俺が何とかできそうなポジションを友人たちと探した結果が指揮者であった。
できんのか、できませんなどという暇もなく、とりあえずやってみたら案外そちらの方面に関しては才能があったのか、それなりの好評をもって演奏会を終えることができたのであった。
「ダストレが実際に指揮者の経験があるかどうかは知らんが、もしできれば……変わってほしい」
「いつものアホとは思えん情けなさだな」
「だっさい!」
「テイトレ!言い方もっとあるだろおい!」
「まあそれなら早めに連絡しておいたほうがよさそうですわね。こういったものは時間がかかればかかるほど迷惑が掛かりますわよ」
「そりゃそうだ、さっさと話をしに行かなきゃならんな……」
善は急げということで、早めに行動。こういったときに連絡忘れなど洒落にもならない。
そうしてダストレのもとへとたどり着いてこれこれこういう理由でと説明すると
「良いよ、適材適所ってのはあるからね」
割とあっさりと承諾された。
「ありがとう……今度いい料理店で奢るわ」
「それは楽しみ、なんだけどどうしようね?俺何しようか」
そう話していると、使用する楽器のリストを携えたオペトレが入ってきた。
「ダストレ、楽器のリストを持ってきたよ。目を通してもらえると助かる」
「ふむふむ、まあサックスやトランペットとかの一般的なものは大丈夫だろうけど」
「じゃあ……これらはどうだろうか」
「えっ三味線……三味線!?それに琵琶!?しかもナニコレ、名前も知らない楽器が何個もあるんだけど」
「まあこれだけの人数がいりゃそうなるよな……オペトレさん、これ調整とかは?」
「まだ行っていないね。まず曲も決まってるわけじゃあないから、そこの選定から始まるんだけど」
「……じゃあ、ダストレがちょうどさっき手が空いたからやってもらいます?」
「ふむ?なら頼もうかな」
「えっ!?あっ……頑張ります?」
無茶ぶりが目の前で行われても割とあっさり承諾してしまうのはダストレの良いところなのだろうか、悪いところなのだろうか……?
その後大分苦労して楽器編成を組んでくれたので、感謝の意を表して良い料亭に連れて行こうと思う俺であった。
≫66二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 15:31:05
「あうっ!」
「あら、初めてまして。確か…」
「ウオッカのトレーナーでしゅ!」
「そ〜んな緊張しなくても」
「……トレーナー君」(イライラ)
「ルドルフ〜?コレ終わったら…ね?」
「???」
「あ、ウオシスちゃんは気にしなくていいわよ……そんなに見つめてどうしたの?」
「いえ…その、失礼ですがとても綺麗な女性だな…と……」
「あ〜…」
「うむ…」
「?どうされたんですか?」
「落ち着いて聞いてね。私、元男性なの」
「え……ええええええ!?!?」(プシュー)
「「あっ……」」
67二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 15:35:30
このあとルドルフも入ってめちゃくちゃ同衾した
翌朝磁力は無くなって、後日お茶の約束をして別れた
後ル監
≫86二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 16:22:33
ここで1つ力不足ながら提案をしよう。俺からのささやかな贈り物だ。
まずは事態の説明だ。これはタマに頼もう。いきなりとなると現状からの悪化を招きかねん。そうなった場合に彼女はさらに殻を閉ざすだろう。俺はつらい、耐えられない。
その後はまず剪定だ。どのトレーナーとの相性がいいかによる。この場合、元男性としか駄目ならば協力者は黒か、この手の心の機微に聡いチヨトレなどが良いだろう。
しかしここはタマの説得に全てがかかっている。彼女にとっては大切な人を荒治療へ送り出すこととなるだろう。その後のメンタル回復のためのパーティーはゆめゆめ忘れぬよう。
さぁ、人事は尽くした。残すは天命のみだ。
もしも彼女がその硬い殻を少しでも開いてくれたのなら、宴の準備だ。
≫129二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:05:29
書いてみた
グラトレ「あらあら、ウオシスさんこんにちは〜」
ウオシス「こ、こんにちはグラトレさん」
グラトレ「くっついてしまいましたね~」
ウオシス「そうですね……」
現在トレセンで騒ぎとなっているウマ娘になったトレーナー同士がくっついてしまう異変。
その異変の影響で私とグラトレさんはくっついてしまいました。
そしてこの異変で特に厄介な要素が……
グラトレ「確か、ウマ娘化する前の性別が異性のトレーナーとくっついてしまうのだとか〜」
これです。
ウマ娘となって同じ女性となったとしても、元の性別が違えばくっついてしまうのは困る話です。
ウオシス「その点は私は幸運でしたね、グラトレさんと一緒になれるなんて」
本当にそう思います。
凛とした大和撫子然とした女性……そんな方とくっつける……なんて?
…………でも、私も女性ですよ?
グラトレ「ふふっ、あらあら、ウオシスさんったら……一緒でも良かっただなんて勘違いをしてしまいますよ〜、今はウマ娘とはいえ私も“男”なのですから〜」
ウオシス「…………えっ?」
…………グラトレさんが……男性……?
……??????????(宇宙ウオシス)
グラトレ「ウオシスさん? ウオシスさん!?」
ウオシス「キュウ……」
グラトレ「ウオシスさぁぁぁん!!?」
グラトレ×ウオシス 同衾編に続かない
≫137二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:21:10
黒「おかえりなさいタバコ、ご飯にする?お風呂にする?それとも?なんちゃって」
タバコ「カフェと義は?」
黒「まだ帰ってないよ」
タバコ「…………………………………とりあえず……お風呂に入ろうかな」
別の日
黒「おかえりなさい義、ご飯にする?お風呂にする?それとも……なんちゃって」
義「あれ? カフェとタバコは?」
黒「まだ帰ってないよ」
義「…………ちょっと台所行かせて」
黒「おかえりカフェ、ご飯にする?お風呂にする?」
カフェ「……ただいまです。食事ですか……義さんとタバコさんは……?」
黒「まだ帰ってないよ」
カフェ「………………コーヒーをまず作っても……いいでしょうか」
≫140二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:27:20
『まぐねっとぱわー』
「……どうしたもんかねぇ」
「……どうしたもんですかねぇ」
二宮金次郎の像を見たことはあるだろうか。大部分の場合は薪を背に負いながら書を持ち、勉強するという姿をしている。
歩きながら本を読むんじゃないとか、そんな状態だと余計に体力消費するんじゃないのとか、そういったツッコミ所は多々存在するが、まだこちらは無機物を背負っている分マシである。マシなのである。
ブラトレがトレセン学園の廊下を歩いていた時に、突然妙に引っ張られるような感覚が起きてから数分後。とりあえず大丈夫だろうかと恐る恐る歩きながら、出くわしたのはナイスネイチャ担当トレーナー。
瞬間、ぐいーっと両者は謎の力に引き寄せられ、背中と背中がごっつんこ、ネイトレの背にブラトレが吊り下げられたような形となってしまったのであった。
当然重いのである。
いくら成人男性の時よりも減った体重とはいえ、4~50kgの重量というのは背負わされた者をそうやすやすと行動させるものではないのだ。
たちまちネイトレは座り込み、背中合わせにブラトレもぺたりと座り込んだような形となった。
「で、今何の仕事をしていたので?」
「とりあえず来月末に行われるレースへの登録申請を終えたところですね。今のところ火急の用はありません」
「そうかー、俺は提出書類を出そうかなーってところでこれなんだよね。……どうしたもんかねぇ本当に」
ただいま彼らは背中合わせの体育座りと女の子座り。ネイトレはタイトスカートなので多少気にして座っているが、とりあえずは問題なく座ることはできている。
だが座ったままで何か行動を起こせるわけではないのだ。
「……背負うか……ネイトレを……」
「えっ大丈夫なんですか?」
「まあタイヤ引きのそれよりはまだ負担は軽いんじゃないかなと。まあ背丈に合わせてそれなりに体重は……おっと失礼」
「あ、いえ……まあ……はい」
ごにょごにょと口を動かしながらも、とりあえず背負われることに関しては承諾するネイトレであった。
141二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:27:37
自分より小さい女性におんぶをされる。
ネイトレはなんだか恥ずかしいような、懐かしいような、不思議な気持ちを覚えた。
「なんだかちょっと懐かしいような、そんな気分がします」
「背負われるのが?まあ子供のころは誰しも……誰しもってわけじゃないだろうけど背負われて散歩とかやったことあるだろうしなぁ」
「これが夕暮れ時の田舎道であればまだ雰囲気もあるんですが……」
「あきらめるんだ、真昼間の学校だぞ」
「ですよねぇ……」
てくてくと歩くブラトレに、後ろ手でぎゅっとしがみつくようなスタイルのネイトレ。
書類を持って、背にモノ……もとい者をしょって、さながら現代の二宮金次郎といった見てくれである。
しかして人通りが少ないとはいえ、誰もいないわけはないのである。
「あの、ブラトレさんにネイトレさん……?いったいどういった状況なんですか……?」
目の前に現れたるは理事長秘書たづなさん。
「あーたづなさん。これは……気にせんといてください」
「……引っ付いて離れなくなっちゃったんです」
ブラトレはいつも通りに応対するが、流石にこの状況ではネイトレも赤面せざるを得ない。ちょっとしなしなと表情が溶けていく。
「……気にしないでおきます。書類であれば、職員室のほうへお願いしますね……」
「了解ですー」
そうしてたづなさんと別れた二人はふと思ってしまった。
これ、職員室の職員にもこの状況を見られてしまうのでは?と。
「……どうにか離れられませんかね?」
諦めの悪いネイトレがもぞもぞと動いた。
「さっき座ってた時にさんざ試したでしょうよ……諦めて薪になってちょうだい」
スパっとブラトレが意見を切って捨てた。
「燃やさないでください!?」
「いやでも顔見ないでもまっかっかで今にも燃えそうな色合いになってそうではあるが」
「ううううぅぅう……」
ブラトレが鏡を見ないでもわかるほど、ネイトレの耳はしなび切ってしまった。
142二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:27:58
「うーん、ネイチャがいなくてよかったというべきか、ネイチャがいたほうが面白いことになっていたというべきか……」
「でもそれだとこう、睨みが飛んでくると思いますよ」
流石に彼女が察知していない状態で飛ばしてきたりはしないだろうが、知れ渡った瞬間にどこからともなく視線が飛んでこないとは誰も言い切れないのだ。
「……さっさと書類を渡して逃げよう」
「何処へ!?」
「ネイトレのトレーナー室ならまだほら、被害は少なくなるだろうし」
「あの、職員室から結構離れてますけれど?」
「その間に誰かに見られたらという話?」
「はい……」
「……今更仕方ないということで」
「ああああぁぁぁぁ……」
是非も無し、致し方無し、顔恥ずかし。
結果的に職員室の中にいた人数は少なく、ある程度気の知れた人だけであったため何か言われることはなかった。生暖かい目線を飛ばされた気がしたが。
ネイトレのトレーナー室までの道のりも、大きな困難に会うことはなかった。
バントレの背中に上下ひっくり返って張り付いていたベガトレ(アル)を除けば。
「血が……血が上る……」
片目を露出させ、あからさまに顔色の悪いアルがバントレの背中で酷い顔になっていた。
「大丈夫?これアルちゃんやばいのでは?」
「うまく回転させようとはしたのですが、如何にも回らず……こうして何とか移動はしているのですが」
「何が原因でこうなってるんでしょうか?」
ネイトレが疑問を浮かべると、それに対してバントレが答える。
「仮定の話なので鵜呑みにはしてほしくないのですが、ベガトレさんは意識を持った魂を二つ持っていらっしゃるでしょう?」
「うむ」
「現在私たちは磁力のようにそれぞれが引き合った状態になっています。そしてその二つ分の魂が両方とも私と強力に引き合った結果、無理に回せない状態になってしまったのでは、と……」
嗚呼、不可思議現象。謎現象に謎現象がかけ合わされば余計面倒なことになるのもまた道理なのかもしれない。
143二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:28:31
「……おいたわしやアルちゃん」
ネイトレは静かに憐れみを浮かべた。
(……ちょっとネイトレー、私への心配はぁ?)
「……ベガトレさんが……私への心配もよこせと……」
息も絶え絶えにアルが意思を伝える。わざわざ伝えなくとも良いのにと周囲の三人は目じりに涙を浮かべた。
「……たまには痛い目に合うといいと思います」
(こっ、このー、後で覚えておきなさいよぉー……!)
「……あとで覚えておきなさいよ、だそうです……」
そう伝えると、そろそろ限界といったように静かに目を閉じた。
「早めに体制整えたほうがいいようですね……私の教官室がもうすぐなので、それまで我慢していただかなければ」
「んじゃまた」
「ええ、ではまた……」
この会話をしていた間にも結構引き合いが起きていたのだが、何とかブラトレとバントレは引っ付かないように耐えきったのであった。
「つまりこれは磁力のようなものであったと……」
「まあ分かったところで何をするのかというところなんだがねぇ……」
原因のようなものが分かったところでどうにもならない歯がゆさが二人を襲う。
結局歩くしかないのであった。
「……あとちょいよね?」
「そうですね、この階のあと少しのところです」
「じゃあたどり着いたらゆっくり休憩させてもらうわ……さすがに疲れてきた」
「なんだか……ごめんなさい……?」
今更になってから罪悪感が膨れてきたネイトレはブラトレに謝るも、ブラトレはぺしぺしと首の周りに回した腕をはたきながら答えた。
「何、別の人に引っ付いたら余計こじれてた可能性もないわけではないだろうし、俺が引っ付いてまだ運がよかったと考えようぜ」
「……そうですね。こじれるってどういうことなのかというのはこの際聞かないでおきます……」
ゆっくりゆっくりと歩きながら、確実に一歩一歩を踏みしめてトレーナー室へと進んでいく。
こんなところで二宮金次郎の気分なんぞ味わいたくなかったと思いながらも、無事たどり着けそうで少しだけ安心した心地になるブラトレであった。
144二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:28:55
そしてついに、二人はトレーナー室に入ることができた。
これで衆目にさらされることがなくなると感じたネイトレは、ようやく一息つくことができたのであった。
「ああやっと私の部屋にたどり着いた……」
「結局ほとんど誰にも会わなくて運がよかったなって」
「そうですねぇ……」
ブラトレはドアを閉め、とりあえず座って休憩できるようにソファへと向かおうとする。
「んーさすがに疲れが……うおぉっ!?」
「きゃっ!」
そうして気を抜いたとたんに、ふらりとブラトレが足元を取られてしまい、そのままソファに倒れこんでしまった。
「ぐぎゅぅ」
「あっ、ブラトレさん大丈夫ですか!?」
「んぐぇ、だーじょぶ……」
傍から見ればブラトレをネイトレが押し倒したような形になっているのだが、幸いにしてトレーナー室の中、そうそう誰かに見られることはない。
「トレーナーさーん!?大丈夫……で……」
見られることはないはずであった。
「ち、違うのネイチャ!これには訳があるの!」
「いやトレーナーさん落ち着いて!?一応アタシも話聞いてるから!さっきバントレさんに会った時に聞いたから!!」
「ど、どうでもいいから体勢変えて……」
若干痴話喧嘩めいた光景が広がる中、いまだに押しつぶされたままのブラトレの姿があった。
暫くした後、ようやく磁力が解除されたときには二人ともぐったりとソファでくたびれていたのであった。
≫154二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:41:28
◆引っ付いちゃった
「……異性で良かったかもって思ってます。ベガトレ先輩やタイキトレ先輩に当たらなくなるだけでマシですから」
「もしかしなくても余裕だね?」
「いえ、オペトレさんほどでは……」
オペトレに正面から抱っこの状態でくっ付かれ離れられずにいるネイトレは、しかしオペトレのいう通り冷静だった。のアナウンスが頭の中に流れる前に身体が引っ付いてしまうというフライング不手際の前には些細なことだ。
「ツッコミどころは多いけど、ヤギに化けちゃうとかに比べればマシかなと」
「君も大概難儀な目に遭ってるね……」
「あと、オペトレさんはかなりまともな人だと思っているので」
「狂人の振りを求められればこちらは応えるけどね。まあ対応方法が今回はっきりわかっている。仮眠の一つでなんとかなるならさっさと終わらせよう」
「……『同衾』って実は意味をよく知らないんですよね。あまり普段使いしない言葉っていうか」
「そんな時はさっさと調べるに限る。概ね二人で寝るという意味だと思ってる、が……」
「スマホって便利ですよねぇ。
……オペトレさん? んー?」
https://kotobank.jp/word/同衾-579998② 特に、男女がいっしょに寝ること。転じて、性行為。
性 行 為 。
「違うね。神は男女に限定してきているが、特にそういう意味ではないはずだ。断じてないはずだ」
「……いやぁ。そんなのヤダぁ……!!!」
「TPO次第では深く傷つく言葉のナイフだが、今回は同意するよ」
「これ、一緒にお布団で寝て、もしそれで、それで元に戻らなかったら……!!?」
「試す前からパニックになるべきじゃないよ?……そうだな、どうせ他にもくっ付いてるトレーナーがいるはず。そのペアがどうやったら離れるかを観察しよう!なんなら友情をあつくする事で解決できるかもしれない。ほら、先ほどのページの3つ目の意味!普段交流の薄い我々だからこそ、親交を深める事を神は求めているのかもしれない!!」
ヒステリーを起こしかけるネイトレにオペトレは声をかけ続け、情報の奔流になんとか巻き込む。
悠長に時間をかけると「トイレ事情」という別の修羅場が待っている事にオペトレは気づいていたが、ここではあえて無視してネイトレの説得に注力した。
……今この瞬間落ち着かせないと、この若者は静かに自害しかねない。
155二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:41:36
───数分後。オペトレの祈りはどうにか届いた。
「……ですよね。悲観的になるには早すぎますよね。じゃあまずは、他の人たちの様子を見に行かないと」
「あーネイトレ。理解してくれて嬉しいんだけど、それについて少し断っておきたいことが」
「なんでしょうか」
「……私の足が地についてないので、移動は全てお任せしたい」
「……か、軽くないですか?全然気づきませんでした」
「体格差ということにしてくれると助かる」
なんとか二人三脚の状態まで持っていけないか格闘するも、オペトレがネイトレに抱きつくような形から動かすことができない。せめておんぶなら見た目はまだ格好がついたかもしれない。いやどうだろう?
そうこうしていると廊下の端から見知った顔が現れた。あの格好は間違いなく……
「あ、ああああ!オペトレぇーー!」
「やあスイト……っ」
オペトレは声をかけるも、すぐに後悔した。誰ともくっ付いていないスイトレはべそをかきながらパタパタ近づいてくる。こちらに。考えなしに。
ほどなくスイトレの丸い身体は地面を離れ、
「ごめんネイトレさん」
オペトレの謝罪が届く前にくぐもった悲鳴が響き、オペトレ自身も意識を手放す。
───トレセン学園のとある廊下の端。玉突き事故の当事者達はこうして仲良く目を回して気絶した。
……それでも身体が離れない三人が起きて以降てんやわんやするのは、また別のお話。
(終)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part642【TSトレ】
≫25二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 20:09:26
「お嬢、すまんな」
「重くないっすか?」
「これじゃ猫探しもできやしねえ…」
「ふええぇぇ…皆さん…グスッ…申し訳ないです…ヒグッ」
トレーナー室の床で、4人は座っていた。
体操座りでうずくまって泣くウオシスの右にV、左に親父、そして背中合わせで202がいるような姿勢だ。
「私が皆さんに近付いたばかりに…本当に…」
「いや。大丈夫っすよ」
落ち込んで完全に沈んでいるウオシスを全員が励ます。
「しかし…原因はなんなんだよマジで…」
「それが分かれば探偵はいらないなぁ」
天井を向いて愚痴る親父にVが答える。
「それよりまずは現場確認だ」
「そうっすね。じゃあいちにのさんで立ち上がるっすよ」
「了解です!」
「「「「いちにのさん!」」」」
4人で立ち上がる。体育の時間の2人ペアで背中を伸ばすあのストレッチの腕を組んでいない4人バージョンだ。
「あっあの!体勢大丈夫ですか!?」
「大丈夫っすよ。ほら、それよりV、なんかわかることないっすか?」
「う〜む…物的証拠はない…外からの働きは無い…」(ガチャ)
「皆さん、次の並走の話し合いですが」
「あ、カフェトレの皆さん!」
「ウオシスさんこんにちは。それよりその体勢は…」
「「「え……?」」」(ギュイン)
「うぎゅ」
「ああ!お嬢が潰れた!!」
「なんでこんなにくっつくんだよ!!」
「とにかくお嬢の救出っす!」
完成!ウオデッカマンハッタン!
≫59二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 21:20:20
「……ねえファルトレ。」
「なに?スズトレ。……あ、もしかしてどこか痛い?ちょっと待ってね、もう少し背負い方工夫してみるわ。」
「いやそこは問題ないよ。私が正面からファルトレの背に引っ付いちゃった以上仕方ないとはいえおんぶしてもらってるのに贅沢言う気にならないし。……なんで私たちくっついてんだろうね、両方男だったのに。」
「さあ……二人ともソウルとのアレコレの影響が大きいのが悪さしたんだろうとは思うけど。」
「やっぱそこよねぇ……男要素と女要素が均等に1/2ずつあったとか?」
「ありえるわね……ネイトレさんとすれ違った時はここまで引き寄せられなかったのも辻褄が合うわ。」
「……同性なら大丈夫だと油断しなければよかった……まあ言ってても意味ないからこれで最後にするけど。」
「えぇ、私も賛成よ。さっさと寮に行ってスズトレのベッドを借りて同衾して解除しましょう。」
後日、ファルトレからありのままを伝えられたファル子は宇宙になりかけた。スズカは特に何もなかった。
≫69二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 21:36:29
「「「……」」」
───夜、ファイトレ(女)のトレーナー室で並んで横になっているのは、ファイトレ女、ドベトレ、黒カフェトレの三人。
ファイトレを中心にお団子の如く張り付く形でドベトレとカフェトレがサンドイッチするような状態であった。
謎のアナウンス───何故か脳内に響いたタイミングで三人が集まっていた事により、見事にくっつく羽目になったのだ。
「…っ」
「…」
「はぁ…」
…ドベトレはそもそも初心が故に顔を赤くし、カフェトレは口にはしないものの複雑な気持ちを抱いていた。
そして二人の心理が分かっているファイトレは溜め息を一つ、何ともしがたいこの状況に憂いていた。
「…やはり寝れないか二人共?」
頷く二人。いくら自分がウマ娘であるとはいえ、元は男性の彼等に女性にくっつくというのはキツくて当然。
「二人共、ちょっとだけ身を捩ってくれ」
左側についたカフェトレに当たらないように左腕を振り上げ、右手で左の義手に仕込んであったスプレーを噴射。
「…これは?」
「大丈夫、ただのリラックス用ミストだ。」「そうか…」
ついでに動かした腕で二人を撫でる。どの道引っ付いている時点で意識せざるを得ない以上、撫でるくらいなら大して変わらない。
──リラックスかつ安心感を与える母性的なアプローチで親の様に感じさせる事で、そっちの気分を和らげるつもりだった。
(あ…いい匂いがする…)
(…撫でてくれるのは嬉しいな)
ドベトレとカフェトレはそれぞれ気持ちを落ち着けていく。とはいえせめぎ合う女という意識と親という意識。
「…仕方ないか」
そのまま寝れない二人に合わせて起き続けるファイトレ。なるべく時計は見ないようにしていたが夜はまだまだ長そうだった。
───三人で頑張って過ごし、朝に離れられるようになった時そのまま疲労+寝不足でドベトレとカフェトレは倒れるように眠った。ファイトレも腕がちょっと痛く座って休む。…結果、死屍累々な光景が朝から繰り広げられるのであった。後、数日の間ソーシャルディスタンスを取る三人が見られたらしい。
短文失礼しました
二人以上ということでこのトリオで同衾。黒カフェトレもドベトレも(元)女性にくっついて平常心保つのは無理やろな…
ファイトレ女が平気なのはそもそも彼女が中性的な面が強いという話だったり。後二人の信頼といざという時対処可能なのも。
≫92二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 22:37:42
明くる日、ルドトレとウオシスは……磁石のようにひっついていた。
「ウオシスさん、ごめんね」
「いえっ、ルドトレさんは悪くないと思いまひぷっ」
沈黙と舌を噛んだウオシスが場に残る。
それを見たルドトレはそっと深呼吸をしてから、軽く咳払いをする。そうして現れたのは……
「……ウオシスさん、一旦落ち着こうか」
「は、え、雰囲気が……え?」
「説明は後で。とりあえず今はベッドがある場所に行こうか」
「あ、はい……」
「それじゃあ、少し失礼するね」
そう言うと、ウオシスを抱きかかえる。
「ウオシスさんの方が身長が高いから不格好だけど……ベッドの場所、覚えてるから。安心して」
「……ふぁいっ」
この後同衾したところをルドルフに目撃されたのでルドトレは監禁された。
≫115好きになったのは1/222/01/22(土) 23:13:05
好きになったのは
「あのさ、タキオン」
「ん?どうしたんだいトレーナー君。そんなに思いつめたかのような顔をして。何かあったのかい?」
「昨日の食事とか飲み物とかに何か盛った?朝起きたら胸が小さくなっていたんだけど」
「いいや?たしかに時々無断で盛ったりはするけどね。昨日は確か何もしていないしよ。胸が小さくなったのもどうせまた例の三女神の仕業だろうし、もう一々真面目に相手にするのも馬鹿らしくなってきたから今度から無視するようにしたよ」
「…慣れすぎて無視されるのもなんかイヤだな……でもそっか、三女神さまの仕業か。なら良かったぁ……」
「それで「良かった」という辺りキミの感性も大分麻痺していると思うけどね。というかキミの体なんだからもう少し気にしない方が良いんじゃないのかい?」
「まあそこはほら、今まで猫になったり母乳が出たりした時とは違って実験とか仕事に差し支えないしね。それにブラジャーとかも保健室に予備があるから今回に関しては特に気にしてないかな」
「ふぅん、まあキミがそれで良いなら構わないさ。人間健康が第一だからね。何かあったら遠慮なく相談するんだよ?」
「……まさか正直研究第一で健康第三なタキオンの口からそんなことを言われるとは。わかってるならタキオンも気を付けた方が良いんじゃないの?」
「私はキミが世話してくれるから何も問題ないよ。……そういえばさっきは随分と思いつめた顔をしていたけど、胸が小さくなる原因が私だったら何か問題でもあったというのかい?」
「えっ」
「「えっ」じゃないよ「えっ」じゃ。最初に私が何かしたか聞いて、三女神が原因と聞いてほっとしている辺り私のせいで胸が縮んだら何か問題あるんだろう?」
「えっと、そのぉ、黙秘権を行使させていただきたいと申しますか……」
「私のモルモット君にそんなものあるわけないだろう。「酷い⁉」酷くない。ほら、さっさと言うんだ。自白剤を使って強引に口を割らされたくないだろう?」
「……笑わない?」
「笑わない」
「……怒らない?」
「怒らない。キミが悩んでいることなんだから、私にそれを笑ったり怒ったりするつもりは全くないよ」
「……タキオンが嫌いになったり、気にしたりしないかなって」
「……詳しく」
116好きになったのは2/222/01/22(土) 23:13:52
「朝起きた時に胸が小さくなってて、三女神様とタキオンの薬の両方の可能性を考えたんだ。それでもし、タキオンの薬が原因だったらどうしようかなって。あれだけ好きって言ってくれた胸が小さくなっちゃって、しかもその原因がもしタキオンだったら気にしちゃうんじゃないかなって。それでタキオンに迷惑がかか──⁉」
「────」
「──ぷはっ。た、タキオンいきなり何を「いいかい、トレーナー君」……どうしたの?」
「確かにキミの胸は好きだ。それは間違いない。けど私はそれだけでキミを好きになったわけじゃないし、私が原因で胸が小さくなっても気にしたりなんかしない。それがどうしてだかわかるかい?」
「……自分が何とかするから?」
「十分にわかっているじゃないか。「タキオンなら戻せるでしょ?」キミが猫になった時にそう言ってくれたことを私は今でも憶えているよ。なら私はその期待に応えるだけさ。だからほら、これで安心だろう?キミが気にすることなんて何一つありはしないのさ」
「うん……ごめんねタキオン。疑ったりしちゃって。……うわっ⁉」
「まったく、自分の愛しい担当を疑うなんて随分と私も見くびられたものだね。担当を疑うようなことを言うトレーナーにはお仕置きが必要だと、そうは思わないかいトレーナー君?」
「……うん」
彼女に抱きかかえられて、トレーナー室に備え付けられたベッドへと近づいていく。今から自分はどうなってしまうのだろうか、そう考えると少しだけ怖いような嬉しいような不思議な心地がした。
────ああ、きっと、自分は彼女と決別することはできないのだろう。
蜘蛛の巣に絡めとられた蝶のように、魔に魅入られた物語の登場人物のように、自分はアグネスタキオンというウマ娘からきっと離れられない。でもそれで良いのだと、自分を抱き上げる腕のぬくもりを感じ彼女の瞳に見つめられると、そう強く思わされるのだった。
117好きになったのは2/2+122/01/22(土) 23:17:23
好きになったのは、決してそれだけが原因じゃないということ
タキトレのタキオン狂いの所を書いてみようと思っていたところにまな板概念が来たので使わせていただきました。
タキトレはタキオンに胸を好きと言われてる上に、胸が今でも成長している人です
もしかしたらどこかで数値を盛るペコ……するかもしれないね
3レスになりましたが読んでくださると幸いです
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part643【TSトレ】
≫54二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:53:40
ウオシスさんと肉まんと
あいも変わらず寒い冬の校庭で
グラトレ「おや、漸く見付けましたよウオシスさん」
ウオシス「グラトレさん?」
俺は女性のウオッカ担当トレーナー……ウオシスさんに話し掛けていた。
ウオシス「探されていたのですか……すみません」
グラトレ「いえいえ、私が曲がる場所を間違えただけで~……それよりも、冷めてしまう前に渡さないといけませんね〜」
ウオシス「冷める……ですか?」
グラトレ「ええ、ええ、こちらの物なのですが~」
そう言って袋から取り出したのは熱々の肉まん。
ウオシス「これは……」
グラトレ「肉まんですね~」
ウオシス「肉まん……!」
グラトレ「寒かったので買ってみたのですが~、ウオシスさんは食べられた事が有るのでしょうか? と思い、お裾分けでもと〜」
ウオシス「……!!」
……正直、お節介が過ぎる気がしないでもないが
ウオシス「ありがとうございます!」パアアアッ
……こんな嬉しそうな反応をされると、ついつい甘やかしてしまうものだ。
ウオシス「では、持ち帰って食べさせて貰いますね!」
グラトレ「おやおや、それでは冷めてしまいますよ~」
ウオシス「あっ……そうですよね、どうしましょう?」
グラトレ「あちらのベンチに座って食べるというのはどうでしょうか~」
ウオシス「えっ、でも……外ですよ?」
グラトレ「ふふっ、寒空の下で食べるというのも中々に乙なものなのですよ~」
そう言いながら肉まんの入った袋を片手にウオシスさんの手を引きベンチへと向い、ウオシスさんと隣同士でベンチに座った。
55二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:54:12
ウオシス「えっと……」
グラトレ「では、どうぞ」
今だ外で食べる事に困惑気味のウオシスさんに袋から肉まんを1つ取って渡し自分も一つ手に取る。
ウオシス「あ、ありがとうございます……わっ、熱い」
グラトレ「火傷しない様に気を付けてくださいね~」
ウオシス「はい、えっと……いただきます」
そしてウオシスさんは肉まんを一口。
ウオシス「…………!!」パアアア
……美味しかったらしい。
グラトレ「ふふっ、気に入って頂けたみたいですね~」
ウオシス「あっ……」
どうやらちょっと恥ずかしかったのかウオシスさんは頬を紅く染めている。
……本当に可愛い反応をしてくれる人だ。
なのでちょっと意地悪したくなる。
グラトレ「さて、どうでしょうウオシスさん、そろそろ味付けを変えてみませんか~」
そう言ったのはウオシスさんが半分以上食べた後。
片手で袋を漁り小袋を二つ取り出してウオシスさんに見せ付ける。
グラトレ「ポン酢と辛子……どちらも付けると美味しく頂けますよ~」
ウオシス「わぁ! ……あっ、えっと……どうしましょう」
俺の美味しいという言葉に目を輝かせたウオシスさんだったが手元に有る肉まんを見て困ってしまっている。
……どうやらどちらを使うか迷っている様。
グラトレ「あらあら、悩んでおられる様ですね~」
そう言いながら、実は先程から口を付けずに持ったままだった肉まんをウオシスさんの目の前で綺麗に二つに分ける。
グラトレ「では、両方試してみる……というのはのは如何でしょう?」
ウオシス「ですが、それではグラトレさんの分が……」
グラトレ「いえいえ、良いのですよ~……それよりもすみませんが両手が塞がってしまっているので、この袋から小袋を取り出して貰えますでしょうか~?」
ウオシス「分かりました……って、あれ? まだ肉まんが二個有りますよ?」
グラトレ「はい、誰も手に持っている分しか無いとは言っていませんよ~」
56二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:54:29
ウオシス「…………ムー」
グラトレ「ふふっ、すみません」
揶揄われた事に気付いたらしいウオシスさんは頬を少し膨らませて抗議をしている。
それに対する謝罪の言葉が少し軽くなるのは、拗ねながらも肉まんを齧っているウオシスさんが可愛らしいからだ。
それから許してくれたらしいウオシスさんと談笑しながら食べ進めていき……
ウオシス「ごちそうさまでした」
グラトレ「ごちそうさまでした~」
二人仲良く食べ終わりました。
ウオシス「グラトレさん、ありがとうございました! ……また今度で悪いのですが、お礼をさせて貰えませんか?」
グラトレ「いえいえ、別にそこまでして貰うような事はしていませんよ~」
ウオシス「いえ、私がしたいんです! ……ですのでグラトレさんが喜ぶ物を教えて貰っても良いですか?」
グラトレ「ふむ…………それでしたら~、ウオシスさんが街で美味しいと思った物を買って貰えますでしょうか~」
ウオシス「私が街で美味しいと感じた物ですか……」
グラトレ「ええ、お願いできますでしょうか~」
……普通の物を頼んでも良いが、折角の機会なのだウオシスさんの見聞が広まる様な頼みが良いだろう。
ウオシス「ウオトレの皆さんにおススメのお店を聞いて、行ってみたいと思います」
グラトレ「ええ、ええ、皆さんで行かれるとよいでしょう~」
ウオシス「はい、その時はグラトレさんも一緒に行きませんか?」
グラトレ「私もですか?」
……正直これは予想外だが。
ウオシス「…………」キラキラ
……こんな目で見られたら断れないだろう。
グラトレ「ええ、分かりました、その時は宜しくお願いしますね」
ウオトレ「……! はい、宜しくお願いします!」
そう言って嬉しそうに顔を輝かせたウオシスさんを、俺も微笑みながら見ているのでした……
57二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:54:42
おまけ
グラトレ「あらあら、ウオシスさん頬に食べかすが……」
ウオシス「えっ……あっ、ごめんなさい……」
グラトレ「いえいえ~……はい、取れましたよ~」
ウオシス「すみません、ありがとうございます」
グラトレ「はい、ウオシスさんどうぞ~」
そう言ったグラトレの指の上にはちょこんと肉まんの具が乗っていた。
ウオシス「あっ、すみません」パクッ
そしてウオシスは指ごと口に含み舐め取ってしまった。
グラトレ「……!? …………美味しかったでしょうか~」
ウオシス「? はい、とっても美味しいです」
グラトレ「え、ええ、それは良かったです~」
モブ「…………!? ……!!?」
一部始終を目撃したモブの性癖は壊れた。
うまぴょいうまぴょい
了です。
ウオシスさんをお借りしました。
反応が可愛いので扱い易いですね、他の人もウオシスさんを餌付けしてみないか?(猗窩座)
これ書いてる途中で磁石みたいにくっつくのも書いたんだ、ウオシスさんの情緒がボロボロなんだ
これにて感想も終わりです、キャラの扱いに誤りが有ると思いますので腹を切って詫びとさせて頂きます。
≫67では失礼します22/01/23(日) 14:13:37
「あら?」
翌朝、自主トレーニングを終えたグラスワンダーが校舎に戻ろうとすると、通用門前に人だかりができていた。
「おはようございます。あの、これはどういう…」
「あ、グラスちゃんおはよー。なんでも部外者のウマ娘が騒いでるとかなんとか」
不審者だろうか、それとも…。
たまたま近くに居たクラスメイトに事情を聞くと、なんとなく嫌な予感がしたので人混みをかき分けてゆく。
すると案の定、人混みの中心部では先日も遭遇したトレーナーの姿があった。
68二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:14:02
ウマ娘の姿に変わったことで面倒事になるということは重々承知していたのだが
(原則関係者以外立入禁止とはいえ通用門で止められることは考えてなかったなぁ)
禄に出勤することすら許されずにいたのである。
「だから、私はここのトレーナーなんですって!ほらここにバッジも身分証もありますし!」
「身分証は他人のじゃねぇかよ えーーーっ!」
「貴様ーッ 我々を愚弄する気かぁっ」
「待て待て待て待て!」
(あっこれは詰みですね本当に本当にありがとうございました)
警備員二人がかりで羽交い締めにされ詰所に連行されかけたその時、救世主は突然現れた。
「あの~、少しよろしいでしょうか」
「ん、君は?」
「グラスーッ「静かにしろ!」あ痛っ!」
「朝からお勤めご苦労さまです。その方は新しく赴任したサブトレーナーなのですが、離していただけないでしょうか」
「しかしねぇ…そのような連絡は受けていないのだから…私達としては不審者は止めなければならないのだから…」
「身元については保証しますので、どうかこの場は私に任せてお引き取りください」
69二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:14:52
(数分後)
「かたじけない…」
「ふふっ、どういたしまして~。ですが、何かしら対策を考えなければいけないかもしれませんね」
確かに。
今回はどうにか担当に言いくるめてもらうことでやり過ごすことが出来たが、当然ながら彼女は常にそばにいてくれるわけではない。
早いところ対処しなければ第二、第三の刺客が―――
「おはようございます、グラスワンダーさん。あなたのトレーナーさんについて……あらっ?」
―――いや早すぎるだろ。
「たづなさん、おはようございます。この方h「またですか…」…はい?」
「んんっ!?」
理事長秘書の駿川たづなさんは自分の方を見ると、グラスワンダーの紹介を遮って盛大なため息をついた。
「"また"とはどういうことでしょうか?」
やはりそこが引っかかったのか、グラスワンダーが訊ねる。
「お二人共恐らく噂で知っていると思いますが、最近ご同僚の方々もウマ娘に姿を変えられる事例が多発していまして。その対応に追われてるんです…」
ウソでしょ…また、たづなさんの仕事が増えてる……。
「なのでURAから必要書類の臨時交付はもう暫くお待ち下さい」
と一方的に連絡事項を伝えると「あぁ…また、また時間が消える~…!」とか泣き言を漏らしながら足早に立ち去っていった。
「理事長秘書というのも大変なんですね~…」
グラスワンダーは見送りながら苦笑する。
「絶対自分がやらなくていい仕事まで抱えてるよ」
あの人常に激務に追われてて可哀想。
だが、目先の問題は解決できたので一件落着…でいいか(たづなさんから目を逸らしつつ)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part644【TSトレ】
≫34侘助22/01/23(日) 18:08:59
死者は孤独を知らず
愚者は結びを知らず
悲哀とは、愛を知らぬこと
──────────────
冬。
新年が明けてから、もう半月が経った。
正月の浮きだった気分は、
灰となりて空を舞い、地へと積もりて還りゆく。
また、騒がしい日常が始まるのだ。
彼女と二人三脚で、栄光を掴む旅路が────
「へっくしっ!!さっっっむ……」
どうやら、新年一発目はスタートが怪しいようで。
ぶるるんっと嘶くエンジンを切って、
冬寒い朝を歩いていく。
ごうごうと荒ぶ北風。
前髪が荒れるからとドーベルも気にしていたっけ。
「……ヘアピン、どこだっけ」
35侘助22/01/23(日) 18:09:29
「あったあった。……ふわああっ、んむぅ」
朝は辛い。夜も辛い。
というか冬がとにかく辛い。
あまりメジロの者として
はしたない姿は見せられないため、
こうして早めに学園へと向かうのだ。
基本たづなさんよりは早いと、そう思う。
「プリンターのインクと、朝飯、
コーヒーと、あとお菓子と……」
トレーナー室の備品を買うため、
一度エントランスへ向かう。
生徒用に早朝から解放されている学食と購買部。
もちろん職員も使えるため、
ここで朝食をとる奴も少なくない。
いつもの朝。いつもの買い物。いつもの飯。
何ら変わりない、そう思っていたのだが。
36侘助22/01/23(日) 18:11:09
「はぁ〜っ、そんな毎回毎回謝られとったら
ウチが悪者みたいになってまうやろが!!」
「あ、うぅ……」
「トレーナーは笑っとった方がかわいいねん!
今日は表情筋のトレーニングしとき!
ウチも早くトレーナーと並んで会見したいし!」
「うん、わたし……がんばる」
「せや!その意気やでトレーナー!」
あれは、タマモクロスか。
そんでもって、隣の女は一体誰だ……?
「おばちゃん!
これがウチのトレーナーや、ひいきにしたってや!」
「ひっ……、やっぱりこわぃ、たま……」
「あらあら、ずいぶんと怖がりさんなのね」
「ま、急かしてもアレやしな、
トレーナーの方から、少しずつ行動範囲を増やしたいって言われた時はウチ涙ダバダバやったんでホンマ」
「ひとが、いな、い、じかんだけど、」
「それでもウチはトレーナーが頑張ってる姿見て、
勇気を貰えるんや。
頑張ろう、ウチも負けへんでって、
そういう風に思えるんや」
37侘助22/01/23(日) 18:11:52
なるほど、タマモクロスのトレーナーか。
背丈はタマより小さくて、
なんか気弱な感じというのが、第一印象だった。
これは後から聞いた話なのだが、
オレ以外の皆は、彼女の存在を知っていた。
『オレだけ』が、
アイツを、知らなかったのだ。
プロローグ『仏滅』
了
≫64二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 18:51:28
病室、沈黙が部屋を支配していた。その部屋にいる二人の人物のうち一人がその沈黙を破った。
「……どういうつもりですか? マルゼンスキー担当トレーナー」
「いや違うんですよ先生。なんか学園で元男性トレーナーと元女性トレーナーのウマ娘トレーナーがさ、磁石みたいにくっつく怪奇現象が起きてたから避難してただけなんすよ」
「……ではなぜ貴方は私にくっついているんですか?」
ウラトレのひざの上にきれいに収まるようにマルトレがくっついていた。言い方はあれだが、対〇座位状態であった。
「まあ、貴方が突然狼藉を働くとは思いませんから何かしら事情があったのではと思ったんですが……何ですかその怪奇現象は」
「まあ先生、俺がウマ娘になったのも怪奇現象みたいなもんですし、こんな感じのだって起きますよ。……ちょっと失礼」
マルトレが試しにウラトレの髪を持ち上げてみるが、そこにはちゃんと耳がついている。怪現象の法則から若干外れてはいた。
「正直貴方が変わっていくときは痛ましくて見てられない状態でしたが……それにしても、年頃の女性に抱き着いているのに……恥じらいとかないんでしょうか?」
マルトレが平然と抱き着いたような状態になっているのをみて若干癪に障ったのかウラトレがマルトレの腰に手を回して、おもむろに自分の腰をつかんで何故か俯いた。
「いやまあ、先生だしちょっとそういう対象には」
少し考えたマルトレの発言が謎の追い打ちをかけた。
「マルゼンスキー担当トレーナー?」
「すいませんでした」
「貴方男のころからそうですが枯れてるんですか? とりあえずこの体勢は良くないですね。どうにか変えましょう」
「それもそうですね」
二人が四苦八苦しながら身じろぎし、いろいろ試した結果なんとかくっつきながら体をひねってウラトレにかぶさるように座った状態まで持ってこれた。少なくとも対面〇位は脱すことができて二人は安堵した。
65二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 18:52:10
「これ解除条件どうなってるんですか?」
「それがわからないんですよこ「私この後MRI検査があるんですが?」
「……まずいですねぇ!?」
マルトレがとりあえずこういうのには強いフクトレあたりに連絡を取ろうとして病院内で電源を切ってるのを思い出し、電源を入れようとしていると。
「あー! トレーナー! 何やってるの!?」
そんなところへウラトレの担当ウマ娘、ハルウララがやってきた。二人はかくかくしかじか事情を説明した。
「うーん、よくわかんないね!! トレーナーこの後えむあいがあるんでしょ! 疲れちゃうしくっついててもいいからお休みしようよ!」
「ウララ、MRIです。それにマルトレと同衾はさすがにちょっとマルゼンスキーに悪いn「うっらら~~♪」わ~」
ウララがマルトレを持ち上げるとくっついたウラトレごとベットに寝転がらされる。そこにさらにウララも入って毛布をかぶせられた。
「えへへ~! みんなでお昼寝だね!」
(どうすんだこれ)(どうするんでしょうこれ)
MRIの時間になり看護師が呼びに来た頃にはなんかはがれていて、二人一緒にMRIに入るような事態は避けられたのだった。
ハッピーエンド
≫81二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:26:37
脳死アホアホ磁石概念
「ゲッヘッヘ!!俺は10連勤を超えて頭がおかしくなったモブトレA!今トレーナー同士でくっついてしまう怪現象が発生しているらしい!これにかこつけて俺も誰かに抱きついてみようと思います!」
「モブトレA、お前さぁ…疲れてんだよ」
「もう俺には…何が正しいことなのかわからん…ただ…俺がすべきことは自分のした行いや選択した結果に対し…戦士として最後まで責任を果たすことだ」
「モブトレA…やるんだな!?今…!ここで!」
「ああ!勝負は今!ここで決める!!テイトレ!タイキトレ!行くぞぉ!!」ダッ
「うわ本当に行きやがったあのアホ!お前ルルォ!逃げルルォ!!」
「三メートル…結構距離あるなぁ」
「だねぇー。もっと近づく?」
「いや近付いたら駄目だろ…ってうおなんか目がやばいのがこっち来た」
「ああああ!!磁力で身体が勝手に!テイトレ!タイキトレ!おっぺぇ揉ませてくれ!!」
「あらま大変…よしこーい!自分の胸なら貸してやるぜぃ」
「バ鹿!おバ鹿!ってウワーッ!足早!しょうがない…タイキトレ!アレを使うぞ!」
「んー?あー…ええ、よくってよ」
「…なんだ?俺を囲むように離れたが…はっ!まさか…その構えはっ!?」
「マグネット・パワー+!!」
「マグネット・パワー−!」
「「クロス・ボンバーっ!!」
その様子を見ていたモブトレBはこう語る──
「ええ、ありゃ見事なもんでしたよ。何でキン◯マンの技知ってるんだとかそれやった後どうなるとか考えなかったのとか言いたい事はありますけどもね、それでも圧巻でしたよ…正面からテイトレが、後方からタイキトレが挟み込むようにしてね、信じられます?82と93がむぎゅっとなるんですよ?あいつ…幸せそうに(睡魔の世界に)逝って…ちなみにその後くっつきながら「実は自分達タメなんだよね」と言ってましたよ…じゃあ自分もこの辺で…ちょっとトイレ行ってきますね…何も言わないで…」
この後全員怒られた
≫187二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 21:54:22
メカ邪竜「この橋をカタカタ鳴らすのは誰メカ~!!」
タマトレ(小)「ひっ……ごめんなさい……」
タマ「ちょっ、なんや!?」
メカ邪竜「曇らせがいが有りそうメカ~」
タマトレ(小)「ひっ」
タマ「ちょいちょい、よ~聴け、後から来るヤツの方が曇らせがいが有るで?」
メカ邪竜「本当メカ~?」
タマ「関西人は嘘付けへんよ……知らんけど」
メカ邪竜「なら信じるメカ~、通るメカ~」
メカ邪竜「この橋をガタガタ鳴らすのは誰メカ~!!」
タマトレ(黒)「おおっ、何だ?」
メカ邪竜「曇らせるメカ~」
タマトレ(黒)「後から来るヤツの方が曇らせがいが有るよ?」
メカ邪竜「本当メカ~?」
タマトレ(黒)「ほんと、本当」
メカ邪竜「なら信じるメカ~、通るメカ~」
メカ邪竜「この橋をガガガガガガって鳴らすのは誰メカ!! 明らかにおかしいメカ!!!」
タマトレ(パチ)&10式戦車「……」
メカ邪竜「……待つメカ」
タマトレ(パチ)&10式戦車「打ち~方、始めぇ!!」
メカ邪竜「メカ~!!!!」
こうして曇らせのメカ邪龍はバラバラになったとさ、めでたしめでたし
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part645【TSトレ】
≫46二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 22:47:03
パーンパパパーンパパーン(例のファンファーレ)
晴れ渡る空の下、ここトレセン学園ターフで行われる一大イベント、よわよわトレーナーズステークス1000m芝
多くの観客が押し寄せる中、ゲートインが進んでおります
1番人気は1枠1番セイトレ。足元がどこかおぼつかない様子
2番人気にタバコ。ヤニを求めて三千里。果たしてその思いは届くのか
3番人気にはイクトレ。サポートを全て外して単独での挑戦となります
さぁ関係者がゲートから離れてスタート準備は万端…おおっと!?小タマです!小タマがゲートからくぐり抜けて来ました!そしておもむろにタマモクロスの元へ走る!やはりまだ早すぎたか!
えー、調整のため、もうしばしお待ちください
≫63二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 23:25:03
義「ドクターフィッシュは初めてだね」
テイトレ「そうなんだ……これは俺からのアドバイスかわからないけど……すごく、くすぐったいよ」
義「半身浴ならぬ半足浴〜なんてね、よいしょ」チャポン
テイトレ「どう?」
義「まだフィッシュ来ないね。あっ来た」
テイトレ「それじゃ俺も失礼して」チャポン
義「っ……ふふっ感じたことない感覚だねっ……っぁ……」
テイトレ「そうでしょ、俺も前やった時そんな感じだったけどもう慣れわひゃっ……だめかもっ……!」
義「いやっ……でも意外と気持ちいっ……っぁっふ……かもあっ……」
テイトレ「それは俺も連れてきたっあっ甲斐があってふぁちょっと待って……ふぇっあっ」
義「元気がいいみたいだっ……欲しがりさんめ……っぁ僕の足そんなにいいのかな……ふふっ」
テイトレ「そのうち慣れるからっ我慢っだねっ……あっ」
後ろで違う足湯に入ってるダストレ「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舍利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舍利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中」
≫85二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 02:00:43
「なんにも見えないね」
「同じく。レンズ真っ白だ」
「どうして眼鏡かけたまま……? というかなんで俺まで……?」
よし、状況を整理しよう。
まず俺は偶の休日、先日貰ったチケットがあるし折角だからと近場の水族館へ出かけた。
そして企画展でドクターフィッシュの体験コーナーがあり、これまた折角だからと足を浸けた。
うん、ここまではいい。適度なぬるま湯と魚たちの啄みが心地よかった。
そしてここからが問題だった。
独特の感覚に夢中になっていた俺は、背後から近づくトレーナーたち(カフェトレ(義)とテイトレ)に気付かなかった。
俺はコイツ等に劇薬(すぐ後ろからの煩悩を刺激する囁き声)を与えられ、気が付いたら……
帰りがけの銭湯にご一緒することになっていた!
いや本当にどうしてなんだろう。俺は一心に煩悩を振り払おうとしていただけなのに。
ついでになぜ眼鏡をかけているんだろう。ポツンとあったのを何故かかけてしまっていたのは自分たちなんだけど。
お陰で二人の言う通り、レンズが曇って何も見えない。幸い他のお客さんはいないようだし、何か起きる前に出……
「本当に何も見え……っとと、とぉ!?」
「ほぇ、ちょ、ひゃん!?」
……ることは出来なかった。滑る床で、多少なりと足元に不安のある二人が視界を奪われて何も起きないはずもない。
二人の声と音からして、カフェトレ(義)がバランスを崩し、テイトレを巻き込んで倒れてしまったらしい。
流石にこの状況で眼鏡をつけっぱなしではいられない。二人を助け起こすべく、すぐに外して……
「ったた……ごめんテイトレ、大丈夫?」
「あぅ……ぅん、平気だよ。カフェトレ(義)こそケガはない?」
──ダストレは── 一糸纏わぬ二人が至近距離で見つめ合っているのを見た。
心苦しそうに、心配そうに見下ろすカフェトレ(義)と、不安げながら元気づけるように見上げるテイトレを見たのだ。
そして、見ちゃいけないと思いながらも目を離せなかったので──そのうちダストレは、考えるのをやめた。
≫91二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 07:46:05
「温かいね〜」
「そ、そうだな…」
「外に出たら寒いどころではないのだけどね」
…ごうごうと風の吹き付けるトレセン学園、その中の一角で熱いお茶を飲んでいるのはキタトレとテイトレとルドトレの三人だった。
特に示し合わせた訳でもないが、結果的に集まった三人。キタトレから渡されたお茶を片手に座ってるのが現状であった。
雪は勿論だがそれ以上に風が強く、そのせいで氷点下を当然のように下回り外のトレーニングも取り止めになる程。
「でもキタトレ、わざわざ奢らなくても…」
「あら?別にいいのよテイトレ。数本纏めて買ったお茶を偶々いた二人に手渡しただけなのだし」
「ふぅ…ありがとうキタトレさん」
「ふふっ、そうねぇ…ってん?」
ふと、視界の端に写った風景にキタトレは硬直する。動きを止めたキタトレに二人もつられてその方を注視する。
───そこにはマトリョーシカ?があった。いや、人がマトリョーシカ?してるというべきか
「…?」
「何だあれ…?」
「えぇ…」
…タイキトレ、グラトレ、サトトレの三人がサトトレをグラトレが膝上に乗せ、更にそれをタイキトレが膝上に乗せているのだ。
さしずめマトリョーシカ式ゆたんぽだろうか、この寒い日だからこそかもしれないが、見ているだけでも暖かそうである。
「おお…重くないのかなタイキトレ…」
「二人分とはいえサイズ考えると、3桁はいかないだろうし大丈夫だと思うわテイトレ。」
「…ねえ、私達もしてみない?」
そう言うが早いがテイトレを引き寄せるルドトレ。そのままキタトレの上に乗る。呆けていたテイトレは数瞬おいて
「……!?」
状況を把握した途端、顔を紅く染める。後ろから柔らかい感触が襲ってくるのは男性には耐え難い代物だった。
一方突然乗っかられたキタトレは、膝上に二人分の重みを感じながらも落ちないように両腕で囲う。
「ん〜暖かい」
「……!…?!」
「…ルドトレ、急に抱き締めたりすると驚かれるわよ。テイトレは…駄目みたいね。」
慌てるテイトレの腰にルドトレがしっかりと腕を回しており、離す気は無さげである。キタトレも腕をルドトレの腰に回した。
真っ赤なお顔のテイトレ、挟まれた事でぬくぬくしているルドトレ、二人を目を細めて優しく乗せるキタトレ。
───三人共ある意味平常運転であった。
≫113二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 09:26:17
まともトリオと水族館
「時間時間っと……あっ、27分だ。」
「って事はあと3分で入場か。長かったな……」
「1時間近く並んだ上で混雑による入場人数の制限でさらに10分待ちだもんね〜。やっとだよ〜ホントに。」
「仕方ないっちゃ仕方ないけどね……入れた後はどう動こっか?先に入らせたスズカ達との合流は前提として。」
「俺は特にないな。フク達の方で見たいのわんさか考えてきてるだろうし。」
「私も同じ。あ、でもイルカショーとかのイベント系は見れるだけみたいかも。せっかくだし!」
「確かに。フクトレ、直近のイベントってどうなってる?」
「ちょっと待ってろ……見つけた。次は11時からのペンギンパレードとのことだ。」
「なにそれ絶対可愛いやつじゃん。」
「可愛いよね〜ペンギン。」
「二人とも乗り気だし決定だな。場所はちょっと遠いが30分もあれば間に合うだろ。」
「じゃあ私グルーヴに伝えるね〜。集合場所も決めなくちゃだし。」
「うん、お願い。」
「……さて、いい感じに時間つぶせたか。」
「残り1分切ったしそうじゃない?さあ楽しむよー。」
「気抜きすぎるなよ?フクもそうだがスズカもスズカでマイペースなところあんだから。」
「分かってる。はぐれないようにちゃんと気をつけ……」
「……二人とも、今ちょうど打ち合わせ終わったんだけど……」
「……ねえすごい嫌な予感するんだけど気のせい?」
「まあ……十中八九悪い知らせだろうな……」
「人混みに巻き込まれて二人とはぐれたって……何かに夢中なのか連絡も出ないって……」
「「知ってた。」」
ペンギンショーにはギリギリ間に合った。
≫117二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 09:46:47
私にとっての太陽 グルトレ
―――万華鏡はくるりとその筒の形さえ変えた。
「ずっと一緒にいてね」
私はそっと、そばに来た艶やかなショートヘアの大人びた女の子を抱き締める。アルラウネ、私のようなものをそう呼ぶらしい。下半身が花をはじめ植物と同一化しているウマ娘。私以外のアルラウネの娘たちはたくさんのヒトや魔物を惑わせられたけど、私にはできなかった。悲しいとは思わなかった。きっと私の香りが好きで来てくれる存在は運命的な何かなのだから。
「私、貴女の名前が知りたいの。これからず~っと一緒にいるのに名前を知らないなんてあんまりだもん」
名前は大事。きっとこの運命の相手には素敵な名前がある、そう確信めいたものを感じていた。香りのせいか少しぽやっとした表情の彼女は少し光のない眼で私を見据えた。
「…エアグルーヴ」
「素敵な名前!グルーヴって呼んでもいい?」
「…構わない」
「私はね―――」
私のいる場所は動植物溢れる森だった。有毒なものもあるが、美味しいものも多種多様にある。だからグルーヴと一緒に暮らすことは可能だと思った。根を器用に動かせば歩くこともできる。まずはここでの生活と、それから私の香りに慣れてもらうことが大事だった。だから、私は常に彼女を抱き締めて安全な場所や美味しい食べ物が採れる場所へと連れ歩いた。
「私の香りに慣れた?」
「香りは慣れた、だが…」
彼女と生活を始めて7回目の朝を迎えていた。私の香りに慣れたのか初めて会ったあの時と比べ、彼女は私の香りでぽやっとすることはなくなっていた。キリっとした表情で私と一緒にいてくれる。
「だが…?何かあるの?」
「その格好だ。貴様らアルラウネは恥じらいがないのか…」
「だって生まれた時からこうだし…もしかしてドキドキしてくれてる?」
「してない」
「私はグルーヴといると、とってもドキドキするのに?」
いつもよりほんのりと顔を赤らめた彼女を抱き寄せる。ドキドキして蜜腺から蜜が溢れ出てしまう時だってある。ずっと彼女といたい。彼女といると元気が溢れてきて、日光浴した時みたいなあたたかい気持ちでいっぱいになる。ああ、また溢れ出てくる。彼女をすきだと、愛したいと想うほど、蜜は溢れる。彼女に効かない私の香りが周囲に強く漂う。
118二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 09:46:59
「知ってる、グルーヴ。私たちアルラウネの蜜はとっても甘いけど、それを甘いと感じられるのは限られている」
私は抱き締めている腕を緩め、一体化している脚と花のあたりを指しながらとめどなく蜜腺から出て溜まっている蜜を舐めるように促す。彼女は蜜が少しはねていた私の太ももを舐めた。
「んっ…もう、少し下にいっぱ…あんっ」
「甘いな、甘いと何なんだ?」
その言葉を聞いてこぽりこぽりと蜜が溢れる。蜜は許容量を越え、花弁の隙間からだらだらと垂れる。やっぱり彼女は私の運命のヒト。彼女は私の蜜を美味しそうに舐めていた。
「―――って言うのはどうかな?」
「ツッコミどころが多過ぎる……」
本来の私たちは一糸纏わず、ベッドの上だ。
「ファンタジーの魔物とかになるなら、アルラウネ…花をモチーフにしたのが良いと思ったの!」
「それをなぜこのタイミングで言う必要がある」
「ほら、この前にグルーヴは太陽だって話したし。それに今日は逆の日だし…こう、そういうこと考えながらされたいかな~って」
「たわけが……」
「私の、好きでし…あぁんっ……」
「余計なことを考えないで私だけを見てろ」
「私はグルーヴのことしか見えてないよ」
私の太ももにキスマークを付けた彼女の頭を撫でた。太ももから下腹部、胸、首と赤い花が咲き、唇と唇が重なる。私が本当にそういうモノになってしまっても彼女と愛し合えるだろう。重なる身体と彼女の体温を感じながら、私は彼女から与えられる愛に溺れていった。今夜の彼女はいつもより少しだけ強引だったが、私のそれを甘いと感想を漏らし続けていた。
≫158二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 11:56:27
◆シャイとおぼこと銃使い☆
かつてとっちめたつよつよサキュバスがねぐらにしていた廃城。そこに新たな淫魔が根付いたという話を聞いた。……なんなんだろね、降りてきやすい立地なのかね?
ちなみに情報は天狼さんから。曰く、
『近づくと気配を殺し何もしてこない。食われたとか、その、……精をどうこうとかいう実害はない。だが近隣の村の男連中が甘い匂いに引き寄せられては何もされないってんでカンカンだ。うん、バカだな?』
『まあ逆に女衆が金出してくれるというし、いい仕事じゃないか?気配を殺すんならある意味同族だろう。銃使い、お前が適任。しばき倒してくれ』
いや同族たぁ失敬な。我ダンピールぞ?由緒正しくない混血だけど愛されっ子ぞ?そう思いながら普段のスキップを封印していつかの廃城前までやってきたわけだ。
……たしかに淫魔特有の誘い香を感じる。しかし生体探知には引っかからない。なるほどね? でもねー、自分前にここにきたことあんだよねー。だから廃城探検はサクっとカット。どうせこの!
「隠し屋根裏部屋でしょ! そぉいダイナミック入室ぅ!」
「「ひぃぃぃぃいいいいい!!?」」
「よっしビンゴォ!……お??」
小さな部屋に響き渡る二つの悲鳴。どうやら今回の討伐対象は二人組だったらしい。
……二人の容姿を確認。小さな翼に悪魔の尻尾。スキュラ混じりの子に比べると純正のサキュバスの模様。
片一方は白い毛のショート。座りこんでても長身なのが分かる。174ある自分よりも大きいんじゃないかね。あといじめてオーラがすごい。
もう一方は濡れ羽色した黒い髪に膝まで伸びてそうなロングヘア。こちらもかなりの長身。目元の潤み方が半端ない。
似ているようでどこか対照的な二人は、お互いの手を取り合いこちらをビクビク見ては小動物のように震えてる。
そしてどちらも実に扇情的な格好をしておる。ボディラインが丸わかりな衣装は胸をギリギリしか隠せておらず、お尻に至ってはほぼ丸見え。……何だこいつら?女から見てもスケベだが。
「ごめんねウオシスさん……バレちゃった……」
「し、しかも女の人です……! どうすればいいんですかネイトレさん!?」
「分かんないよぉ……男の人ですらうまく……あ、ダメだ。お腹、空い…………」
「そんなぁ! ネイトレさん! ネイトレさぁん……!」
……かよわい。何もしなくても死にかけとる。
159二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 11:56:58
もっと男に対する免疫とか自信とかつけてからこっちに来なさいよ、とかうちの居候もこれの半分ぐらい慎みがあればなぁ、とか思う。……まあ考えたところで詮無いことよ。よそはよそ、うちはうち、この子らはこの子ら。
ポーチから袋を取り出す。中には討伐完了後に食べる予定だったビッグクリームパフが入ってる。冷凍してあったそれはすでに中のクリームが柔らかくなってきてる。早くも食べごろだ。
「それは……?」「それは……!」
ウオシスと呼ばれてた方はよくわかってなさそうだけど、ネイトレと呼ばれた個体は期待に目を輝かせている。誰がくれてやると言ったよこのいやしんぼ。……まああげるんだけどさ。
黙って差し出されたそれをネイトレちゃんは嬉々として受け取る。喜んで食べようとしたそいつの耳元に向かって、
「毒入りかもよ」
戯れに釘を刺してみた。白毛の動きが固まる。
「のたうち回って息絶えるかもしんないし、麻痺毒で動けない間、相棒が助けを呼ぶ声に応えられず、メチャクチャのぐっちょんぐっちょんにされるところを見ることになるかもしんない。それでも食b「ふえぇぇぇ……おいひいでふ……!」」
ぼろぼろと泣きながら話を待たずにクリームパフにパクつく白毛。色々と限界を通り越してたらしい。みじめだ……食欲に弱すぎる……。そんな様子を見て一応食べ物を恵んでもらったのだと青鹿毛は理解したようだ。
「それは丸ごと食べられるものなのですか?」
「ほうだよ。なかのクリームもおいひいよ」
「いや喋るときぐらい食い物から口離しな?」
「あっ!クリームが……!」
逆側から垂れそうなクリームを慌ててウオシスちゃんが口でキャッチする。瞬間、今まで知らなかった甘味に目を見開いてる。そしてそのまま食事に移行。
……一つのクリームパフを端から無心に食べ進めるサキュバスたち。いかんね。なんだか宗教画すら思わせる構図だけど、このままじゃいかんね。泣く泣くもう一つ残していたクリームパフをウオシスちゃんにあげる。
……初めてのキスがカスタードクリームの味というのは中々悪くないかもしれないけど。いややっぱよくないわ。
160二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 11:57:20
「「ありがとうございました!」」
一息ついたサキュバス達から足元で綺麗な土下座をされる。ガラ空きの背中、上から見ても分かるはみ出た柔肉。たっぷりと下げた頭を戻すとそこには厚い信頼の眼差しが二対。……良かったねえ自分が悪い男じゃなくて。
聞けば二人は同郷の馴染みながらも別に姉妹とかではないらしい。大先輩が倒れた地域から少しずつ勢力拡大を……と目論むも、男への接し方を弁えない御両人。呼び込んでもその先の声掛けができなくて連戦連敗。たっぷりと用意したはずの備蓄食料(乾パンとかそういうの)はすぐに底を尽き、もはやこれまで……という状況だったらしい。
……大先輩と聞いて思い浮かぶのは我が家にいる小間使い。ルドトレとかいったかな、アンタやっぱ凄かったのね。今じゃメイド服着てウッキウキしてるけど。
「……うん。てか早よクニに帰れこのへっぽこサキュバス。ナンパできなくて瀕死とか恥ずかしくないの?」
「「はうぅっっ!!」」
「……だ、だって、ギラギラした目で見られるとどんどん怖くなっちゃって」
「自分の格好考えなよ」
「お付き合いするなら踏むべきステップがあるはずです!なのにそんな、そんな、いきなりだなんて……!」
「お付き合いて」
種族を間違えて生まれてきたのだろうか。そのくせ男を惑わせるに足る身体付き、さぞかし生きづらかったろうことは想像に難くない。
「……男の人が怖いってんなら、女狙うとかかねぇ。あと、あんまし強気に出れないんなら精を奪うとか自分上位とか考えず、愛され系の方向で進んだ方がいいかもよー?」
「愛され系……?」
「そっちもステップが大事だと思ってるならそこを重視すりゃいんでない?既存のやり方に拘らず、ウオシスちゃんがそのやり方の開祖になればいいんよ。ザ・ニューファースト、いくない?」
「ニューファースト……?」
いまいちピンときてない二人を連れて廃城を後にする。しばらく自分とこに匿ってから、向こうに突っ返すかどうかを検討しよっと。
一番いいのはウチの居候に師事させて思想矯正することだろうけど……でもやめとこ。あれに毒されたこの二人はちょっとよろしくない。非常によろしくない。
……さてさてさて。なんとなく助けちゃったけど、どうやって天狼さんとこと村の女衆に言い訳しようかね。
(終)