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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart286~290)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part286【TSトレ】
≫39二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 20:58:17
ブラック
トレーナー室で
キタトレこと私はコーヒーを片手に椅子に腰かけていた。
私は昔から何も入れないブラックが好きだった。酸味と苦みのブレンドが私には良いものだった。
そして今日もコーヒー豆から抽出したブラックを飲んでいた。
(カフェちゃんの所からもらったこの豆いいわね・・今度お礼しないと)
そう思いながらコーヒーを啜る。カップを隣においた。
電源の立ち上がったPCから音が流れる。
私に送られてきたあの音楽。あれが静かな部屋に響き渡る。
ピアノと声を聴きながら私は考える。
- 歩みを止める気はない、だがもし途中ですべてをなくしたら?
その時私は私であれるのか。これのように壊れはしないか。
私は結論を———
(栓無き事ね、・・・・それはそれ、これはこれよ)
———出さなかった。
眼を閉じ、音に体を任せる。
冷めたコーヒーは私の心か未来を表すかのように黒かった。
駄文失礼しました
コーヒーのように苦いssです。あの音楽は彼女の部屋ではよく流れます
(メタ的な話をすると作者も良く流してたり)
≫122二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:47:15
「人工言語ってなに……」
「そんな頭抱えてないで、あとで確認しようね」
「うう……」
ふらつきながら親父さんたちの部屋をあとにする。急遽エスペラント語の集中講義が開かれた結果、あたしの頭は見事パンクした。おふくろさんに酒が入っていたのもあって、それはもう淀みのない第二外国語でした……。
「ごめんね……外国語講座もそうだけど、あんなひどい絡み方して」
「……ああ、『愛してるゲームやって~!』ってやつ……?あれはすぐに親父さんがはたき倒してくれたから大丈夫」
「年もわきまえずにほんと……お酒飲んでもあんな風になった事なかったのに」
「うーん。それも旅の恥ってやつだよ……きっと」
そんなやりとりをしながら自分たちの部屋の襖を開ける。まだ明かりをつけてない部屋には、当然だけど布団が二つ並んでた。
……当然ね?そりゃあね?二人が泊まる部屋なんだから仲良く布団がくっついてるのは当然だよね?うん。至極当然。
「ああ!見て見てネイチャ!」
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、明かりもつけず、布団も無視してパタパタと広縁に走ってくトレーナーさん。そっちに目をやると、山雪が月の光を反射して、窓一面を眩しく照らしていた。
トレーナーさんはそばに置いてあるソファ──じゃなくて広縁と座敷のへりに腰かけて、自分の隣をポンポンと叩く。
「ちょっとお嬢さん、お雪見しませんか?」
「お隣どうぞって?はしゃぎすぎじゃない?……とはいえお言葉に甘えて」
「おいでおいでー……って、ええ?」
トレーナーさんの隣ではなくトレーナーさんの足の間に割って入って、背を向けて座る。隣よりよっぽど近いし。あとここは落ち着く。
「そこがいいの?」
「……」
「……まあ、これでもいっか」
「ぐえ」
狙い通り抱きしめてもらえたのはいいけど、トレーナーさんの顎があたしの頭に載せられた。そのまま顎ぐりぐりするのはやめてー。
124二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:47:31
……ぼーっと二人で外を眺める。夜にしては明るい光景だけど、言ってしまえばただの雪山だ。ただ、近くを流れる川音や、月が曇り空を出入りしてるせいか不定期に明るさが変わるおかげでいくらでも時間を潰せる。そんな空間だった。
……不意に背後のトレーナーさんがもぞもぞ動く。なにやらちょうどいい頭の位置を試行錯誤してるみたい。なんにしてもあたしの後頭部には大なり小なりダメージが入ってる。あと背中に押し当てられてる主張がすごい。しまった。ここ全然落ち着かない。
そうして後ろがごそごそ動いてる中、視界の端にトレーナーさんの白い髪が垂れるのが見えた。……何の気なしにつまんで眺めてみる。相も変わらずサラッサラでキラッキラ。慣れちゃったな、これも。
「……髪。気になる?」
さすがにバレるか。つまんでた手を離してうなずく。
「ネイチャはこの髪嫌い?」
「……なんで?」
「うーん、窓に映る顔見てなんとなく。あと、女の勘?」
「雑な的中率しか誇らないやつ……うん。でもちょっとイヤだった」
「……そうだったんだ。でも過去形ってことは今は違う?」
「うん。今は嫌いじゃないよ」
……トレーナーさんがウマ娘になってから多少気に入ってるのも知ってるしね。
「……トレーナーさんはさ」
「うん」
「今も人間に戻りたい?「戻りたい」」
……即答じゃん。マジのトーンじゃん。おかしいな、「戻りたいなー」みたいな軽いやつ期待してたんですけど?
「なぜか母乳が出て、いつのまにか妊娠してたのかもって気持ち。味わいたい?」
「……味わいたくないです」
「自分でも知らない間に男の人に犯されていたんじゃないか、って恐怖は?」
「いやです。というか直球、」
「わけもなく胸敏感になってみる?」
「あの、勘弁してください……」
……神様、どうにか、どうにかなりませんか?……え?無理?ですよねー。
125二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:47:46
「……でもね」
小さなため息をついてトレーナーさんが続ける。
「ウマ娘になったこと自体はよかったとも思ってるんだ」
「……本当に大丈夫?無理してない?」
「ごめんごめん、不安がらせちゃった」
後ろから少し強めに抱きしめられる。そこそこ厚手の浴衣なのに、今までよりもずっとトレーナーさんの体温を感じる。
「……私が一週間ずっと身体がおかしかった時のこと、覚えてる?」
「アレ忘れるのは無理だよ」
「だよねぇ……あの時は土曜日までずっと辛かったけど、日曜日にネイチャを呼んでよかった」
「そりゃあね。あたしが……アレコレしなかったら、絶対もっと酷いことになってたじゃん」
「それもそうだけど、そっちじゃなくてね?」
「……大好き、って言ってくれたから」
トレーナーさんがつぶやく。あたしの身体に回された腕が少し震えている。
「……私、きっとちょろいんだと思う。あの言葉を聞いてからずっと意識してて、」
そうだってもっと早く知ってればなぁ。もっと早く……いや、無理かも。
「かわいい妹みたいに思ってたネイチャなのにって悩んだりもして、」
そこはまぁ、知ってた。脈ないなぁとはなんとなく思ってた。
「……でも、もう落とされちゃったから。……よぉっ」
「おわっ!?」
告白を黙って聞いているといきなり後ろから身体を持ち上げられた。そうしてさっきポンポンと叩かれてたトレーナーさんの隣に下ろされる。
……頑張りすぎたのか少し強張った顔をしてる。やっぱ非力だなこの人。
126二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:48:04
「……だから、ウマ娘になったのも悪くなかったって思ってるの。ネイチャのおかげで」
真正面から真剣に、でもどこか上ずった声でそう伝えてくれる。
……ほんと真面目だよね。これも律儀ってやつなのかな。
「……あたし的にはなんとか結果オーライって感じだけどね」
「……」
返事がない。はてな?
「おーい?トレーナーさー、ん?」
肩に手を添えられた。何事と思うより先に顔がすっと近づいて、口に何か当たった。
──キスだ。
トレーナーさんからの初めての。しかも、あたしの唇が、唇で優しく食べられている、ような?……え?
…………え???
「……?」
身じろぎ一つしないでいるとトレーナーさんと目が合った。
キスをしたまま大きく目を見開いているあたしとキスをしたまま目をぱちくりと瞬かせてるトレーナーさん。トレーナーさんの方からゆっくりと離れていって。
……そしてまたゆっくりと両手で顔を覆う。
「タイミング間違えたぁ……?」
「違う!!ごめんなさい!!たぶんあたし悪かった!!!」
赤面のトレーナーさんが震えながら縮こまっていくのを見て思わず謝る。でも想像しないじゃん!いつものトレーナーさんなら!いつもの……いつもの……?
……いつものトレーナーさんじゃなかったね!そこかしこにサインあったね!でも悲しいかな、こんなことすら初めてじゃないって言うね!
……また掛かってるんだ!!
127二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:48:20
「……トレーナーさん。こういうのって、あたしらのペースでいいじゃん」
「……?」
「そんなに周りと競おうとしなくていいよ。あたし逃げたりなんかしないから」
「……え?」
トレーナーさんが両手を顔から少し離して、ふるふると子犬のような表情でこちらをみてくる。
「……違う。ネイチャの事しか考えてない」
「ん?」
「今のだって、少しはリードできるとこ見せたかったの。私の方が大人、のはずだし……」
でも失敗したぁ……と再度凹むトレーナーさん。大人である自信持てないのはまずくない?とかそんだけヘロヘロだと子どもかもね、とかツッコミたかったけどダメだった。自分のツインテを真ん中に寄せて顔を隠す。
……ズルい。てかヤバい。この人ヤバい。なにその背伸びの仕方?あざといってレベルじゃない。……でもそんな背伸びならいつでも大歓迎です。今はちょっと顔が見れないけど。
「……うに゛ぃ~~……」
「……ネイチャ。もしかして」
「言わないでぇ……」
「……妬いてた?また他の人意識してー!って妬いてたの?」
「言わないでってばぁ……」
……そう。あんなに「他人を気にするな」と言っておきながらこの体たらく。どっちが他人意識してんだ!って話。もう穴があったら入りたい。少しぐらい浅くたっていい、あとは自分で掘る。
そしてこんなあたしを見たせいか、トレーナーさんはさっきまでの恥ずかしがりようはどこへやら。少し機嫌良さげに小さく横揺れしているのが分かる。
「言わないでかぁー……分かった。言わない」
「素直かよぉ」
「じゃあ、妬いてくれてた?」
……顔を隠したままうなづく。よくもまあ嬉しそうに聴いてくれる。……やっぱり、顔が見れない。
128二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:48:40
少し時間をもらってようやく落ち着いてきた。ほんとにとんだ早とちりだった。
「大変お見苦しく面倒なところをさらしてしまい……」
「大丈夫。ネイチャにそういうところあるの知ってるよ」
「ぐふっ……癒やしは……癒やしはないんですか?」
「……なら、こういうのは?」
そういうと右手であたしの左手を取って、自分の胸の上側に当てる。あたしがトレーナーさんにやったやつだ。トレーナーさんの指があたしの指を上から包むように、守るようにゆるく握られる。……あったかい。
「前にしてもらったとき、すごく安心したから。……どう?」
「……少しは落ち着くかも」
「よかった」
「……私ね、ネイチャと同じくらい、ううん、もっとめんどくさいとこある」
「……ウマ娘になってからかな?」
「人間の頃から。同じことを何度も繰り返し悩んでる。実はこの期に及んで『自分でいいのか』ってちょっぴり考えてたり」
トレーナーさんはそういって苦笑いしてみせる。……気持ちがわかる。一度頭に浮かんだ悩みってきれいさっぱりとは消えてくれないよね。やっぱりあたしたち、似た者同士なのかもしれない。
……でも、だからこそ。
自分も同じようにトレーナーさんの手を取って自分の胸に当てる。手の当たったところがやっぱりじんわりとあたたかくて、安心と、そして力をくれる気がする。
「トレーナーさん。がんばって」
「……なにを?」
「トレーナーさんのこと、ずっと好きでいられるあたしを信じることを。
あと、トレーナーさんがあたしをずっと好きでいることを。……トレーナーさんならできるから」
「……本当にかっこよくなったね」
困ったような顔じゃない、とても優しい顔になってくれた。そしてすごく照れることを言われてるけど……実は複雑。今のは昔トレーナーさんがくれた言葉。「がんばって。ネイチャならできる」って言葉。だからあたしからすれば、トレーナーさんが自画自賛してるようなもんだ。
……でも、いいなぁ。この笑顔……好きだなぁ。
129二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:48:54
「……ねえ、トレーナーさん」
「うん?」
「あたし、トレーナーさんの事が好き」
「……ありがと。私からも一ついい?」
「いいよ」
「私、ネイチャのこと大好き」
「……えへへ」
「……ふふふ」
……すごくバカなやり取りだと思う。明日のあたしならもう絶対できない奴。……でも無理だ。
潤んだ目でこんなに幸せそうに笑ってるトレーナーさん、だれも見たことないでしょ。こんなの抑えられない。
「ネイチャ、すごい楽しそう」
「トレーナーさんほどじゃないよ」
「……そうだね。私、今誰よりも嬉しいかも」
「いやぁ……どうだろ?あたしには勝てないんじゃない?」
いくらでもふざけてしまう自分に気付く。しょうがないよね。だってこんな事でトレーナーさんは笑ってくれる。
「まあ、好きって言われたら大好きって返すよね。そりゃ」
「ほーう?私のこと安易な奴って思ってない?」
「なんなら次にいう言葉もあててしんぜよう」
「以心伝心ゲーム?分かった、次にネイチャがいう言葉を当てるね……」
「お互い読み合うの?……まぁいいや。せーのはどっちから?」
「……要らない。私たちなら合図なしでも合わせられる」
「……言うねぇ。じゃあ──」
……お互いに黙って相手を見つめる。
130二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:49:12
──完全に曇り空を抜け出た月が雪を、雪がトレーナーさんを照らす。
その瞬間、目の前のトレーナーさんが今までに見たどのときよりも輝いて見えた。
……さっきトレーナーさんの髪のこと、今は嫌いじゃないって言ったよね。あれは少し違う。
トレーナーさんはあたしの中のキラキラなんだ。
あたしの目指す先にいて、走るあたしを後ろから見守っていて、あたしの傍にずっといる、そんな光。
そのキラキラの象徴だからか、今はもうこんなに好きになっている。
あれだけ悲しかったウマ娘化なのに、今はもうこんなに好きになっている。
トレーナーさんのことが前よりももっと好きになっている。
ううん。好きとか大好きとかじゃきっと足りない。
……触れているトレーナーさんの手から、また少し力をもらえた気がした。
そして、これからも力をもらえる気がしている。
131二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:49:32
「「あいしてる」」
手を重ね合せたまま、どちらからともなく近づいて影を重ねる。
まだ全然ぎこちなくて。子どもみたいな小さなつながりだけど。
これが今のあたしとトレーナーさんの、愛のかたち。
(温泉旅行・終)
≫152二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:59:27
『愛の受け取り方』
その判断には何か裏があったわけでもなく、ただ単純な心配だった。
親と会わないままというのは、あとで寂しいことになる。
そう思ったからこそ、半ば無理矢理に近いレベルで背中を押した。
結果、まさかそうなるとは思わないじゃあないか。ブラトレはそう頭の中で反芻した。
「……」「……」
ネイトレとブラトレは静かに個室のあるカフェで夕食前のティータイムを楽しんでいた。
否、楽しんではいたがそれだけではなかった。
「……その、感謝しています。私の背を押してくださって」
いつものように柔らかい表情で、ネイトレは感謝の意を述べた。
「あー……まあ、そう言ってくれるのであれば」
そう。あの時の温泉旅行の件について、お節介が過ぎたか?さすがに迷惑ではなかったか?そういった思いがブラトレの中で渦巻いていたのだった。
「もしかして、あの時のことで何かお悩みですか?」
「んん、まあ……かなりノリと勢いで押しちゃったから迷惑だったかなって」
そう言いながら紅茶を口に含む。コクのある味が口の中に広がる。
「俺はまあ、自分が正しいと思ったことをやった。でもそれが迷惑だったかもしれないと思うとね」
「いえ、私も迷っていたことでしたし。何より……その中で、ネイチャと更に深く繋がることができましたから」
嬉しそうな、恥ずかしそうなはにかんだ顔。
「ネイトレさんとネイチャがいずれそうなるかもしれないというのは少しだけ思ってたけど、あっという間にトレセン中の噂になっちゃねえ」
苦笑いがこぼれてしまう。それはもう、びっくりするくらい早かった。
「あ、あはは……」
事態を見た樫本理事長代理の動きは、実に速かった。
噂の出どころをすぐに特定し、不用意に広めないでほしいこと、他人の人生にかかわる情報であるため気を付けて取り扱ってほしいことをトレセン全体に通達した。
その結果婚約の話がトレセン中に知れ渡ってしまったというのは、致し方無い犠牲ではある。
一部界隈では、「恋愛つよつよレジェンドラブラブウマ娘カップル」だの言われてるとかなんとか。長ェよ。
「愛のカタチってのはまあ人それぞれなので……まあそれにしたって広まり早すぎだな」
「もうちょっと考えて行動するべきでしたねぇ……」
ふへーとネイトレがため息をつく。なんだかネイチャに似た表情だ。
具体的にはコメくいてー的なタイミングの。
153二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 21:59:36
食事が運ばれてきて、一緒にいただく。温かい食事が心と体を癒す。
そんな中、ネイトレの顔付きが変わった。
「その、もしもの話ですが。もし、ブライアンさんがあなたに……」
「──想いを告げたとしたら?」
「……はい、そうです」
真剣な面持ちで聞いてきたからには、しっかりと答えねばなるまい。
「まあ、その時はその時だろうね。きっと受け入れると思う」
「そうなんですか?ちょっと意外でした」
「あの子もアスリートであり、そして一人の女性だからな。想いを秘め続けるのであればまたそれはそれ、想いを伝えてきたのであればこれはこれ、ということで……」
言っていて口の中が甘ったるくなってきた。やっぱりこの手の話は苦手だ。
「いずれの話だよ。まだまだ俺たちは走り足りてないんでね」
自然と顔がほころぶ。やはり、今の俺たちは共に走っていたほうが似合う。
「そういう関係も、いいものだと思います」
互いにURAを突破したトレーナーと担当であり、ともに3年間を駆け抜けた仲なのだ。
トレーナーとしての矜持は、今でも二人の根幹にある。
「まあその……うん。偶然のキューピットになっちゃったけど……お幸せに?」
「……はい、幸せになって見せます」
ネイトレは柔らかな笑みで答える。これから先様々な困難があるかもしれないが、二人なら乗り越えられるだろう。
「じゃ、今日は奢るよ。いずれやる結婚式の前祝ってことで」
「いやそれは、ちょっと気が早いのでは……?」
「ネイチャだしなあ、今回みたいにあっという勢いで詰めてくるかも知らんよ?」
「でもどうでしょう……いざ帰ってきた後話してたら、あの時勢いで告白しちゃったことで結構悔やんでたみたいなので……」
「あぁー……」
やっぱりネイチャ的にももうちょっとムードとか余裕とかが欲しかったようだ。
いつか想いを受け取ることがあったりした場合は、俺も少しは考えておこう。
≫157二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 22:04:30
ありがとう……アフスタありがとう……そしていつもの幕間
■愛のかたち、同時刻・世界マーベラス計画☆進捗良好★
「~~♪……ハッッッッ☆★」
キュピーン
「……あなたもわかった?あぁ!ネイチャー!世界で一つのキラキラなマーベラスがもっともっと輝いていくのを感じたわ★」
カカラス?
「あははは☆そんなのはダーメ★」
ソッカー
「むしろそんなことは誰にもできないのっ★マーベラスは誰よりも自由で誰よりもみんなと一緒にいるのっ☆」
「……ねえ?あなたもネイチャがマーベラスで嬉しい?」
ウン
「!! うんうん☆やっぱりあなたもマーベラスだね★」
「ネイチャ――☆★これからも応援してるからねーーーっ★☆マァーーベラーーーース!!」
マーベラスのマーベラスによるネイチャのためのマーベラス讃歌は隣の部屋から苦情が来るまで続いたとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫169ネイトレ発案者21/10/21(木) 22:14:44
「と、いうわけでネイトレちゃん。リストアップしておいたよ、式場」
「マ、ママー!?なにしてるんですかママーッ!!??」
「前にリクエスト二人ともから聞いてたよ、僕。あとママじゃないよ」
「い、いやだからってそんな、ってウワーッドレスまである!?」
「いやー、知り合いの結婚式なんて初めてだから、つい張り切っちゃった」
「うわ、リクエスト道理だし可愛いのばかり……ピッタリすぎて逆に怖い……」
「で、どこにしたいとかある?」
「え、えーっとですね、ネイチャが学生のうちは、そのー」
「まあ僕もそうだしそこは大丈夫。ゆっくり決めてねー楽しみにしてるからー」
「……ところで、ですけど。もう周知の事実ですよね、結婚」
「まあそうだよ」
「もし、するとして、参加希望の人ってどれくらい……」
「……がんばれ☆」
「う、ウワーッ!!!待ってママ、待ってーーーー!!!!」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part287【TSトレ】
≫22ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 22:32:24
では、投げますね
ロブロイ組キャンプ
「ロブトレ、大丈夫そう?」
「ええ、スズトレさん。オグトレさんが丁寧に教えてくれますからね」
「確かロブトレはライトレからお菓子を教わっているそうだな。教えられたとおりに作るから安心して教えられるぞ」
「ロブトレもこの機会にオグトレにこれからも料理を教えてもらわない?」
「それも、良いですね……ですが、今はキャンプ中ですので、料理教室自体はまた後日、お願いします」
「そうだな、今回のキャンプはトレーナーだけではなく担当ウマ娘も一緒にいるからな。オグリたちは沢山食べるから、たくさん用意しないとな」
今、私たちは理事長主催のキャンプに参加しています。
料理ができる、または興味がある人は調理班で、出来ない人や森の中に行きたいという人は調達班に、二つの班に別れてキャンプの準備をしています。
キャンプ、ということもあって、今回はカレーを作ったり、BBQをする予定です。
そして、今回私は調理班に入っているのでした。
「そういえば、担当の子はどの班に入ったの?スズカは調達班に入ったけど」
「オグリも調達班だったな、たくさん取ってくる、と言っていたな。オグリが集めてくるのだから、腕によりをかけて作らなくてはな」
「ロブロイも実は調達班ですね。ロブロイは昔は体が弱かったから、森の中に行きたい、ととても楽しみにしていましたからね」
「そうなんだね、なら頑張っている子たちのためにも、私たちもがんばろうね」
「そうだな。皆、頑張るぞ」
「「おおー」」
そうして、全員が協力しあって、夜には全員でキャンプファイヤーをしていました。
それぞれ談笑したり、作った料理に舌鼓をうったり、いつの間にかいなくなっているトレーナーと担当もいたり、思い思いにこのキャンプを楽しんでいました。
少し疲れたこともあり、メインのキャンプファイヤーから少し離れたところで焚き火の前で座って楽しんでいる人々を眺めていると……
23ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 22:33:03
「トレーナーさん、ここにいたのですね」
「ロブロイ、ええ、少し疲れましたので」
「そうなんですね。実は私もです。その、隣、良いでしょうか?」
「ええ、良いですよ」
ロブロイがこちらに歩み寄ってきました。
私がそっと隣を空けると、私の横に座って、一緒に焚き火を眺める。
「ふふ、こうやって焚き火を眺めていると、まるで冒険の途中みたい、ですね」
「ええ、そうですね。きっとロブロイが読んできた物語の冒険者もこんな風に焚き火を眺めていたのでしょうね」
「はい。夜の番をしながら、皆で焚き火を囲って今までの冒険を振り返ったり、普段はあまり言わない想いを口にしたり……暗い夜の中、焚き火を見ていると不思議とそんな気持ちになるもの……ですね。今なら、物語の冒険者の気持ち、わかります」
「ふふ、そうですね。焚き火を見ていると、不思議な気持ちになります。落ち着いた気持ちになって、癒されることで、素直な気持ちにもなれるのでしょうね」
パチパチッ
燃えている枝が弾ける音を奏でながら、炎が不規則に揺らめく。まるで見ている人の心を写すかのように……
そんな彼女の横顔を見ると、炎に照らされながら、どこか遠くに思いをはせているようにも見える。
まるで、今までの冒険を思う冒険者のように。
「ロブロイ、もしよろしければ、あなたの冒険譚、聞かせていただけませんか?」
「え?で、ですが……私、冒険、なんて……したこと、ないです……」
そんな彼女を見ていると、自然と、彼女の冒険譚を聞きたくなる。
だが、まだ冒険をしたことがない、物語を読んで冒険を体験してきたけど、まだ実際にはしていない、と俯きながら……。
そんな彼女の肩を優しく抱き寄せる。焚き火はあるとはいえ、夜は寒いから、お互いに肌を温めあうように。
24ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 22:33:41
「あ……トレーナー、さん……」
「そんなことはありませんよ。ロブロイ、今日のことを思い出してみてください」
「今日のこと、ですか……キャンプで森の中でキノコや木の実を探しました。私、森の中に入ったことがなかったので、その……心配でしたが、とても楽しみで……」
そう言いながら、彼女は語る。今日の出来事を。
森の中で今まで本で読んだことはあったけど、実際には見たことがなかった木の実やキノコを探したこと、初めての森はとても気持ちよくて木漏れ日が差し込む森はとてもきれいだったこと、川では釣りをセイウンスカイに教えてもらったりしたこと、初めて魚を釣れたこと……。
沢山、沢山の物語を語る彼女は、キラキラと輝いていた。
ああ、やっぱり私は、楽しそうに語る彼女の姿が好きだ。
「それに、森の中には鹿もいて……「ふふ」?あ、あの……トレーナーさん、どうしましたか?」
「ふふ、いえ、ロブロイはたくさん『冒険』してきたのですね」
「あ……本当です。私、物語の主人公みたいに、沢山、冒険を……」
そこまで言って彼女も気づいたようです。そう、まだ冒険なんてしたことがない、と言っていた彼女はたくさんの冒険をしてきているのだ、と。
冒険にもいろんな冒険がある。物語のように村を襲う魔物を追い払ったり、遺跡に眠る財宝を探したり、未だ誰も見たことのない場所を旅したり……。
ですが、それだけが冒険なわけではない。いえ、むしろ……
「『ウマ娘の人生は一編の物語』……なら、その物語に紡がれているもの、今回みたいなキャンプや出来事、そしてレースだって、一つの『冒険』だと私は思いますよ」
「私の今までも、一つの、冒険……フフ……本当に、トレーナーさんは素敵な発想をされますね。私も、その考え方、とても素敵だと思います」
そう言うと、彼女は立ち上がる。キャンプファイヤーの方へと歩いていく。
いつの間にか、キャンプファイヤーの方ではフォークダンスの音楽がかすかに聞こえてくる。
だけど、今はロブロイの姿に目が離せれない。炎の暖かな光に照らされながら、こちらに振り替えり……
「トレーナーさん。それなら、私と一緒に『冒険』に出かけませんか?」
25ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 22:34:44
満面の笑みで私に手をさし伸ばす英雄の姿がそこにありました。
その姿に見惚れる。私のだいすきな英雄の姿に、誰よりも愛しているその姿に……。
ああ、そんなふうに言われたら、断れるわけがないじゃないですか。
「ええ、喜んでお供しますよ。一緒に物語を紡ぎましょう。あなたの冒険譚を」
その手を取って、一緒にキャンプファイヤーへと歩いていく。
私たちの本に、新たな冒険の物語を紡いでいくのだろう。
これまでも、これからも、ずっと、ずっと……。
という訳で、以上、キャンプ概念でした。
ちょっとだけですが、スズトレとオグトレお借りしました、ありがとうございました。
もっと他のトレーナーとかのも書きたかったけど、長くなるので泣く泣くカットしました。
では、駄文、失礼しました
≫51二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 22:46:01
「へっへっへ…俺達は薄い本でよくあるウマ娘になぜか勝てる民!」
「最近はトレーナーもウマ娘になってるらしいからなぁ!俺のうまだっち棒でずきゅんばきゅんしてやるぜぇ!」
「担当にビデオレターを送り付けてやる…よくよく考えなくても裁判等の決定的な証拠になるんじゃねぇか?」
「そもそもビデオレターってどんなの?VHS?DVD?」
「まぁこんな夜中だ…警備の目も薄くなって…ん?」
「頼むから死んでくれ。お前達のようなものは生まれてさえ来ないでくれ。お前達が存在していると尊きこの世が狂うのだ」
「君達みたいな意地の悪い子初めてだよ。なんでそんな酷いことしようとするのかな」
「壁になろう、尊き関係を見守る壁に。ならないのなら殺す。なっても殺す」
「わあああああやめろやめろやめろ!!俺から取り立てるな!お前曇らせの民かよふざけるなよなぁ!許せねぇなぁぁ!」
「ねんねんころりこんころり。パパノが来ようとこんころり、女神像の前でもこんころり」
「挟んでおいたよ。君達は“言うっちまうwikiの編集をしていた“」
「ウマ娘を助けてトレーナーに感謝されてそのトレーナーを助けてウマ娘に感謝されて…がベストなんじゃない…?♦︎」
「「「」」」
こうして日夜トレセンの平和は守られているのである。
≫60チヨノオートレSS21/10/21(木) 22:48:48
トレーナーがトラウマの克服に向けて動き出したらしい
ダイワスカーレットさんのトレーナーさんによれば、精神科に通い始めたのだそうだ
本人にも変わろうとする意志があることを知り、こころなしか安心したのを覚えている
そして暫くたったある日
トレーナーが私へ治療への手伝いを依頼してきた
聞いてみると病院から出る宿題のようなものらしい
本人にとって大切な人にみてもらうのが良いとのことで
そういう相手として選んでもらったことへの嬉しさか
トレーナーの為に何かしたいという使命感もあってか
私は二つ返事で了解した
トレーナーさんが受けていたのは、強い不安や恐怖を感じる刺激にあえて曝す方法
一般的には暴露療法と呼ばれるものだ
例えばトラウマに関わる想像をしたり、トラウマになった状況を読み上げたり
今回の宿題は、苦痛に感じる物事について読み上げること
ここ暫く病院に通っていた成果か、最初はスムーズに進んだ
がしかし、ある程度進んだ段階で読み上げの速度が遅くなった
良く見ると手が震えている
教えてもらったという心を落ち着かせる呼吸法をしてみるが、どうも震えは止まらない
やはり、トラウマというものは簡単に無くなるものではないということか
私は精神関連の病気については全くの素人だ
恐らく下手に話しかけては逆効果になりかねない
だから―――
61チヨノオートレSS21/10/21(木) 22:48:58
私は震えるトレーナーさんの手をそっと握り、可能な限り優しく言葉を紡いだ
「大丈夫です」
その言葉にトレーナーさんが何を感じたのかは分からない
もしかしたら余計なことだったのかもしれない
その行為に意味があったのかは把握できていない
ただ、トレーナーさんの手が私の手をキュッと握り返したという事実が残るのみだ
≫65二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 22:53:44
じゃあここでいきなり空気戻しますね……
「で、これはなんなんですの?」
「ティラミスねるねる辛子カレー」
「なんだろうな。食べ物ってのは冒涜しちゃいけないはずだよな」
「もうやだ、これはたべものじゃないとおもう」
「ここじゃないか。とりあえず食べてみてからでないと評価はできないだろう?」
「不味そうっていう外れそうもない仮説が立てられるんですよムントレさん。ロジカル以前の問題です」
「……頂きましょうか。なんでわたくしたちがこんな目に遭わねば……いただきます」
「「「「「いただきます」」」」!」
「有機物ってわかります?」
「ええ、炭素骨格の分子ですわよね」
「有機物も何とかすれば燃料や肥料として再利用できるんですよね」
「おう」
「これも有機物ですよね」
「……」
「ムントレ、なんか言ったらどうですの」
「責任は負う」
「当然だな」
≫75二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 22:59:44
レース場に歓声が響き渡る。ヒシアマゾンが勝った。
地下バ道へと走る。
「ヒシアマ!」
歓喜のあまり、勢いよく彼女に抱き着く。
「トレ公!?」
……どうしよう。やってしまった。いくら何でもトレーナーが担当に抱き着くのはまずい。第一ここには他の人もいる。
顔が熱い。顔を上げられない。彼女の顔が見られない。
後悔と共に、背中に回した手を外す。彼女から離れ……、グイッと引き寄せられた。
わしゃわしゃと豪快に頭を撫でられる。
「ヒシアマ?」
恐る恐る顔を上げると、彼女は笑顔だった。
今度こそ、彼女は離れ、控室に向かって歩き出す。
と、急に止まって振り返る。
「これからも色んな奴とタイマン張ってくからね!
しっかりと付いて来なよ、トレ公!」
俺は、再び歩き出した相棒を追いかけた。
「ハグ」の実績が解除されました。これ以降、さらに距離が近づきます。
トレーナーは全員、担当ウマ娘に感極まって抱き着いて撫で撫でされろ!!ってのを見て、書いたやつです。
≫138二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 23:56:56
タマ「トレーナー,いくで」
タマトレ(どうしてこうなったんだろうか...)
数時間前──────
パラシン「歯磨きを他人に任せるって経験は普通はしないじゃないですか。 散髪やマッサージとかと違って、普通は自分で出来ますし。デリケートゾーンですから他人に歯を磨かれる行為にはかなりの心理的抵抗が生じるんですよ。」
タマトレ「お前は何を言っているんだ?」
パラシン「つまりですね!歯磨きプレイすれば担当とより深い絆を紡げるのでは無いでしょうか!」
タマトレ「大丈夫か?病院紹介するぞ?」
パラシン「私は真面目です!大マジです!もし何の効果も無ければ何でも言う事聞いてあげますよ!」
タマトレ「ほう、そこまで言うならやってやろうじゃないか!」
─────回想終わり──────
タマトレ(まあ、歯磨き程度何てこと無いだろ、さっさと終わらせるか)
タマ「あーん」
タマトレ「あーん」
「っ!?」
口内を歯ブラシにより磨かれた刹那、タマトレの身体に電撃が走る。
体の外側を弄るのではなく、体の内側を直接弄る。この刺激が「快感」へと変換されることは、言うまでもなく自明なこと
タマトレ「あっ....んっ....やっ....はぁーッ…んんん…っ!ん…っ!ひっ…ひゃま....しゅ....」
タマ(なんや...禁断のタブーを犯しているような複雑な心境は!年上の男に快楽を与えているという背徳感!
トレーナーの口の端から僅かにこぼれる涎にさえ、変に愛着を感じる)
「トレーナー。トレーナー。トレーナー……」
トレーナーの名前を連呼する。そうするたびごとに、身体のが奥の芯から熱くなるようだった。
「タマ……いいよ」
「トレーナー...」
ガシャン
パラシン「盛り上がってますか!...あー ....パシャ....お邪魔しました」ゴユルリト
タマトレ•タマ「「待って」」
──────────
因みに二人の絆は無事深まったとか
タ性壊 参考画像↓
≫174二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 01:21:09
グラスワンダーに歯磨きされるグラトレ(独占力)
「さて、歯を磨きましょうかトレーナーさん」
「……? うん、そうだね?」
「さあ、私が磨きますので、トレーナーさんは口を開けてください」
「…………何故?」
グラスと夕食を共にした後に、歯を磨くから口を開けてくれとグラスに告げられたのだが……
コレはアレだろうか? NH○でやってる母親に歯磨きされるアレ……
「別に大丈夫だよ? 歯磨きくらい出来るよ?」
「いえ、私がしてあげたいのです」
「…………何故?」
「……やはり……トレーナーさんの相方として……きちんと歯や口内が健康かを気を付けたいのです」
「……今、考え無かった?」
「口を開けてください」
「押し通す気だ!?」
「口を開けてください」
……押し切られた
175二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 01:21:47
グラスに膝枕をされながら口を開ける。
「ふぁい」
「ふふっ、綺麗にしますね〜」
そして歯磨きが開始された。
違和感を感じたのは、歯磨きを開始して直ぐの事だった。
「……?」
……なんだろう? 自分で磨くのとは違う様な?
「舌の上も磨きますね〜」
「んっ…………んんっ? ……っ……ふぁ……はんっ……」
「……歯茎も表と裏と、しっかり磨きましょうか」
「ふぁぁ……んっ…………あっ……はぁっ……」
……歯を磨くだけなのに……なんか気持ち良い?
しかし、考えてみれば深い口づけの時に舌で口内を刺激されたら気持ち良いので、それと同じなのかもしれない?
「んぁ……んっ、んっ…………あっ……ひゃぁ……」
「……少し名残り惜しいですが終わりです、口を濯いでくださいトレーナーさん」
「んぁっ…………んっ、ありがとうグラス……」
「それと、口を濯いだらすみませんがもう一度私の膝に寝て貰えます?」
「? んっ、分かった」
気持ち良い時間が終わってしまった事を少し残念に思いながら口を濯ぎ、グラスに言われた通りに再度グラスの膝枕に頭を置いた。
「はい、どうしたのかなグラス?」
「いえ、トレーナーさんの歯をきちんと磨けたのかを確認したいのです」
「それじゃあ口を開けた方が良いね? ふぁい」
「ありがとうございます……では」
そう言ってグラスは、指で口内をなぞり始めた。
「ひゅび!?」
「目で見えない汚れが残っているかもしれませんからね〜……念入りに確認しますね?」
「ふぁぁぁ……んっ……」
そうやってグラスに指を使った磨き残しのチェックを受けた後に、舌を使ったダブルチェックを受けたとさ……
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part288【TSトレ】
≫29二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 06:32:54
私が住むアパートの一室で
何時ものように絡みあった後、
私はファインと共にベッドの上で話していた。
「トレーナーさん、今日も月が綺麗ですね」
「…そうね」
「もっと激しくしてくれても良かったのに…」「獣みたくするのは私は好きじゃないからね」「優しい人ですね…」
更に抱きつく力が強まる、胸元から声がする。
「…私が全部投げ捨ててしまいたいと頼んだらどうしますか…?」
「その時は何処でも、例えあの世でも連れていって上げるよ。」
「…トレーナーさんが隣にいてくれるなら、二人きりの世界でも寂しくはないです…」
「…そうね、私も絶対に放したりはしないから」
胸元の彼女が顔を上げて、私に言ってくる。
「トレーナーさん」
「どうしたの?」
「もし私が貴方に心臓を食べてほしいと言ったら、トレーナーさんは食べてくれますか」
「…それがファインの本当の望みなら、でも」
言い切った瞬間にファインの唇に口づけをする。ファインの口の中で舌を絡めてとかすように。
30秒ほどして、唇を離す。赤い顔をしたファインを見据えて言う。
「今はまだ望んでないでしょう。」
「…はい。」
「だから代わりにこれをしてあげるから。」
体も赤く染まり、感じやすくなった彼女を。
「トレーナーさん、もう一度シてくれませんか。」
「ファインが望むなら何回でも。」
ーーーまだ夜は終わらなさそうだった。
ワタリガラスは翼をもがれたが
白鳥に拾われ、白鳥を守ることにした。
傷ついた翼でレイヴンはなお守り続ける。
≫39アルダントレ21/10/22(金) 07:09:49
「となり、よろしいですか?」
「ん? ああ、どうぞ」
「メジロアルダンのトレーナーです。 こうして席を共にするのは久しぶりですね、タイトレさん」
薄暗いバーのカウンターで一人グラスを傾けていたナリタタイシンのトレーナーに声をかけたのはメジロアルダンのトレーナーだった。
以前はトレセン学園屈指の長身トレーナ同士として交流があったが、タイトレがウマ娘に変化して以来その交流は絶えていた。
「ああ、そういやアルトレもウマ娘になったんだったな。 同じ職場に勤めてて久しぶりってのも妙な気分だけど」
「私が一方的に距離を置いていましたからね」
アルトレはバーテンダーに注文するとタイトレに体を向けた。
「今まで、友人であったあなたに何も言わず距離を置いていました。 あなたが一番苦労していただろう時期に一方的に避けるようにしていたこと、大変申し訳ありませんでした」
「……顔上げなよ。 これは聞いた話だけど、バーのカウンターじゃ横を見ずに正面を向いて話すものなんだそうだ。 そうすれば言葉がぶつからずにすむんだとさ」
タイトレはグラスを飲み干すと同じものを注文する。
「たぶん、オレがこうなってからだよな?」
「ええ、タイトレさんがウマ娘になってからです」
「オレはアルトレが見た目で苦労してるの知ってるからさ、今のオレと前のアルトレが一緒にいたら、まあろくでもない事態になったのは想像つくよ。 オレだって無関係の第三者の立場だったらなんかしらの事件連想すると思う」
「…………」
「まあ、なんていうか『仕方がなかった』ってやつじゃないか?」
「それでも、不義理を働いていい理由にはなりません」
「正直言うと、それどころじゃなかった。 最初にテイトレがあんなことになって、オレがウマ娘になって、ルドトレやグラトレ、フクトレにブラトレが立て続けに変わって、その対処でいっぱいだったからな」
「おかげさまで、と言っていいかのか迷いますが、今では支援制度も充実しましたね」
「そんなわけで、オレは気にしてないからアルトレも考えすぎるなよ」
「……あなたなら、きっとそう言うだろうと思っていました」
40アルダントレ21/10/22(金) 07:10:46
アルトレは天井を見上げると、軽くため息をつく。
「今日の支払いは私に持たせてください」
「気にしてないって言ったろ?」
「けじめの様なものです。 どちらかというと私自身の気持ちの問題なんです。 気にしていないというなら、今日は私に気持ちよく奢らせてください」
「まあ、そういうことなら今日はご馳走になるか」
バーテンダーが二人の前にグラスを置く。
「さて、辛気臭い話は終わりだ。 久しぶりに楽しく飲もう」
「ええ、お題は何にします?」
「決まってる。 ウマ娘になってから担当としたことだ」
「確かにそれは楽しい話になりそうです」
「乾杯」
「乾杯」
カツンとグラスをぶつけて、二人の夜は更けていった。
≫89二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 08:08:07
タマ「トレーナー、何でブラ着けへんのや?こないだも胸が擦れて痛い言うとったやないか。」
タマトレ「これはね、俺の意地...プライドなんだよ...」
タマ「そんなプライド捨てようや、弊害出とるやん」
タマトレ「...怖いんだよ。ブラを着けたら、女の格好をしたら戻れなくなるんじゃないかって、ルドトレやグルトレみたいになっちまうんじゃないかって」
タマ「トレーナー、あんた...」
タマトレ「俺が頑なに男の時の格好を続ける理由だよ」
タマ「うち..トレーナーの気持ちをなんも知らずに」
タマトレ「とか言っとけばこれ以上煩く言われないだろうからそう言ううことにしとくか」
タマ「返せ!うちの涙を返せぇや!」
本当はどうなんだろうね
≫94密かなお茶会1/221/10/22(金) 08:10:34
「おや、リウトレさん。どこか体調が優れませんか?」
「違うんですタキトレさん。1つ相談がありまして……」
「……なるほど。今は授業中で生徒も居ませんから少しお茶にでもしましょうか」
「お、この紅茶美味しいですね。お茶菓子もあるし良い所なんですね保健室って」
「タキオンにあれこれ言われながら淹れ方を憶えましたからね。最近は遊びに来てくれる生徒の方も増えたので嬉しい半分と言ったところですが。で、今日はどうされたのですかリウトレさん。何か心配なことでもありましたか?」
「……最近、シリウスからのアプローチが凄くて」
「なるほど」
「あたしは彼女のトレーナーですからそれ応えるわけにはいかないんです。でも色々とギリギリでして。だから何かタキオンさんの薬で心を落ち着けられるものとか」「渡す気は私にはありませんよ」
「えっ」
「仮に渡した薬で心を落ち着かせたとしましょう。でも効果が切れたらまた以前と変わりませんよ。それに心身に問題がないのに継続的な薬の投与を行うことは養護教諭として容認できません」
「……ですよね。神様仏様タキオン様と思って相談してみたけどダメですよねぇ……」
「それに、リウトレさんなら大丈夫ですよ。だって私の知っているリウトレさんはいつも頑張っていますから。今のこの悩みだって貴女が担当から逃げずに向き合っている証拠ですよ」
95密かなお茶会2/221/10/22(金) 08:10:53
「……今でもギリギリなのに?」
「大事なのはリウトレさん自身が考えて自分自身の答えを出すことです。大丈夫、貴女ならできますよ。……きっと」
「きっとってなんですかきっとって。信じるのなら目を逸らさず断言してくださいよ」
「いやぁよく耐えてるなって思ったもので。……思い返すとちょっと不安になってきた。大丈夫かなこれ?」
「何不安になっているんですか⁉そんなに信頼できないんですかあたしって」
「なんせシリウスさんが強すぎるものですから。まぁ、元男で良いのなら相談に乗りますよ。口外する気はありませんし、こうしてお茶をしながら恋バナするのは楽しいですからね」
「こっちは真面目に悩んでいるのに恋バナってなんですか恋バナって。こうなったらタキトレさんの話も聞かなきゃ気が済みませんからね。あとお茶の代わりもいただけますか」
「では注ぎがてら私のことも話しましょうか。あれは私がウマ娘になった日のことなのですが……」
それはいつもとは少し違う昼の一幕。彼女たちの担当には知られることが無い密かなお茶会。
交わされる恋の話と何でもない日常の会話は、その後暫くの間保健室の中を暖かな空気で満たし続けていた。
≫106二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 08:36:12
(1.5倍ならちょうどいいのかな……そもそも1倍を知らないんだけどさ)
「ネイチャ、なんかボーッとしてる?」
(でも5分キスしっぱなしってキツイよね?多分トレーナーさんにも協力してもらわないとできないやつ)
「おーいネイチャー?見えてるー?」
(……いやそんなこと言えるか!大体まだそんなのしたいわけじゃない!……したいわけじゃない。まだ)
「ふーむ……」コツン
「ふえ?」
「……やっぱりちょっと熱あるかな。今日のトレーニング予定、少し変えよっか」
「……このままおでこくっつけたままでもいい?」
「なんで?」
「……ちょっとした根性トレーニング」
「あぁ……いい閃きだね。グッドアイディア」
この後、やっぱり色々考えすぎて4分を過ぎた辺りでギブアップしたネイチャだった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part289【TSトレ】
≫6二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 09:38:22
────エルは耐えられなかった
────カレンチャンは耐えられなかった
────お兄ちゃんは耐えられなかった
────マルゼンスキーは耐えられなかった
────リウトレは耐えられなかった
≫34リウ相談フクトレ編1/2+121/10/22(金) 10:01:59
「珍しいなリウトレ。相談事ならタキトレとかフジトレの方がいいと思うぞ?」
「……もうそのお二人にはしたんです……」
「……その顔見るに解決してないって感じだな。まあなんだ。文句言ってるわけじゃないから言ってくれれば聞くぐらいはするぞ?」
「ありがとうございます……その、ですね……最近、シリウスからのアプローチが凄くて……」
「諦めろ」
「!?!?!?」
「1つ。お前の担当のそれは本気なんだよな?」
「あ、はい。いつだってペラペラ喋りますけど全部本気の言葉ですし……」
「1つ。お前の担当はそういうのを諦めるクチか?」
「…いえ、口に出したならそもそも本気ですし絶対に諦めませんね……」
「1つ。お前の耐久力は無限か?」
「う。……いや、あたしはあくまでシリウスのトレーナー、ですから、その、耐えなければというか……」
「今までのアプローチで一寸たりとて動じてないと言えるか?」
「……」
「そういうこった」
35リウ相談フクトレ編2/2+121/10/22(金) 10:02:27
「……と、言うのは半分冗談で」
「結局半分本当なんですか?」
「ん。『自分のものにしたい』っていう感情は『相手が自分から離れるかもしれない』っていう心配から大抵来るもんだ。トレーナーと担当の関係なんて究極的には書面上の関係でしかないからな」
「はぁ」
「だから『自分は離れるつもりは毛頭ない』というのを示してやれればそういう態度も落ち着くかもしれない、という概算だな。当然、その姿勢が無理なく表せるぐらいに担当を信頼してなきゃいけないわけだが」
「そのぐらいならっ!……あれ?結局それ耐えられてないんじゃないですか?」
「……まあ暴走や崩壊への事前的応急措置、ともいえるな」
「うう……こっちは面子の話をしてるんです……」
「まあその手のやつは反骨すると却って攻め手が増すのが定番だ。敢えて一部受け止めてやるのも手じゃないの?って話だ。その際に負う精神的ダメージについては当方は一切関与しないが」
「無責任……!」
「言ったろ。聞くだけはしてやるって。確証めいた結論も出せないのに無責任に相談に乗るとは言ってないだけマシだぞ」
「詭弁……!」
「…まあお詫びといっちゃなんだがこれやるよ」
「何ですこれ?お守り?」
「担当から余ったんでってもらったやつだ。まあ切羽詰まったときの逃避先にはなるだろ」
「既に私が追い詰められている前提なのやめてくれません?」
「事実だろ?」
「うぐぐ……じゃあ?念のため?もらっておきますが?」
「おう精々頑張るこった」
「もう二度と相談しませんからねー!!!」
「おうそうしてくれー」
(シリウスシンボリが面白がるのも少しだけ分かる気がするな……)
36リウ相談フクトレ編おまけ21/10/22(金) 10:02:46
「あれ?トレーナーさん?さっき誰か走って行っちゃいましたけど」
「ん。丁度いいお守りの譲渡先が決まったんでな」
「ああ!あのお守りたちですか!いやー。あれ?健康運とか仕事運とかは渡してるの見ましたけど恋愛運だけ残ってませんでした?一時期ネイトレさんにあげようとも思ったけど気づいたときにはもうくっついてたーとか」
「だから丁度よかったんだよ、アイツも喜んで走り去ったってわけだ」
「ほへー」
(……まあいっそくっついた方が楽だと思うがな……。シリウスシンボリは評判を聞く限りそういう前後の文脈とか関係なしに「とにかく自分のものにしたい」ってなったら無理ゲーだろうし、それにリウトレならくっついた後にグズグズにふやけることも無いだろうしな……)
「あっそういえばトレーナーさん!今度のお休みはどこに行きましょうか!グッズ探訪も良いですけどパワースポット巡りもいいですねぇ~!」
「一度にそんなできるかよ……パワースポットはその次の休みから1つずつ行けばいいだろ?」
「なるほど!シーズンかけてのパワースポット巡行!いやぁ風情もありますしいいんじゃないでしょうか!じゃあシーズン明けのお休みは───」
うまぴょいうまぴょい。
≫145二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 11:36:26
トレセン学園の廊下にて
「あら、おはようリウトレさん。」
「あ、おはようございますキタトレさん。」
「相変わらずかたいわね、タメ口でもいいのよ?」
「いえ、そうしないと感覚が狂いそうなので…」
「ならいいわ、貴方がいいのなら私は構わないし。」
「まあそんなことは置いといて、その荷物持つわよ。行く先は一緒でしょう?」
「いえ、持たせる訳には…」
「遠慮しないで、ふらついてる貴方をみると心配なのよ。」
「う…ならお言葉に甘えて」
そう言って荷物を渡す。にこやかな顔で持ってくれた。
(この人も大概夢女製造機だよなぁ…)
シリウスシンボリから耐える方法を聞こうと考えたが、シリウスと同じ落としてくる方なので諦めることにした。
「しかし随分不安定ね、大丈夫かしら?」
「あたし以上のものを抱える元男性のあなたに言われるとなんだか…」
「別に私は大丈夫よ、すぐに慣れたわ」
「えぇ…器用ですね。キタトレさん」
「私はよくそう言われたからね。そんなものよ。」
(ペースに飲まれる…!どうしてこう夢女製造機組はあれなんだ…?)
148二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 11:36:47
「トレーナーさん!おっはよー!」
「あらキタ、おはよう。」
飛びついてきたキタサンを彼女はしっかり受け止める。キタサンはあたしに向くと
「リウトレさんもおはようございます!」
「ああ、おはよう」
「今日もはりきっていきましょー!」「おー!」
…思わずのってしまい気になってキタトレをみると、相変わらずにこやかな顔で見ている。
(やっぱり爽やかだなぁ二人共…)
落とそうとしてこない信頼関係が眩しい。
シリウスシンボリが悪いとは言わないけどせめてこう手加減してほしいものだ。
「さて、ついたわね。」
「ありがとうございます、キタトレさん。」「それじゃあね、頑張って。」
立ち去っていく二人を見ながら思う。
(天体に例えるなら、太陽と…ブラックホールって感じなのか。)
ーーーその後、何故か不機嫌なシリウスシンボリに迫られ、口説き落とされかけた。
駄文失礼しました
もはや相談してないリウトレです。
もう一本相談ss(今度はしっかり書きます)を作りますがうちの三人の誰が良いですか?
(ファイキタサトトレ{内二人はぴょいしてる)
}
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おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part290【TSトレ】
≫39二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:27:43
リコッタパンケーキ DK組
休日の昼下がり。いつもの四人は午前から集合してぶらぶらと歩いていた。こいつら仲良しだな。
「昼飯何食べる?」
「んー…ラーメンとかでいいか?」
「牛丼でもいいですわねぇ」
脳が男子高校生のレパートリーの四人が通りがかったのはお洒落なテラスのカフェ。そのシックなメニュー看板に書かれていたのは、リコッタパンケーキの文字列。
「(リコッタ…パンケーキ)」
リコッタチーズの入ったしっとりとしてコクのあるパンケーキ。テイトレも存在は知っていた。だけどわざわざ食べようとまでは思っていなかった。
何故か。つまるところ恥ずかしかったのだ。女性蔓延る綺麗なカフェに入るのが。男にとってそれは未知の領域、入ることすら憚られる聖域のようなもの。
「(ふわふわ…チョコレートソース…)」
しかしテイトレにはあった。テイオーに落とされる前から、ヒト耳の時から心の隅に確かに存在した乙女心。
「リコッタパンケーキ…食べたい…」
「え?」
思わずぽつりと漏れた本音。ウマ娘の聴覚で聞こえぬはずがなく三人が足を止める。
「あっ…えと…ちょっ…と思っただけで…」
何も聞かれていないのにモゴモゴと口を動かし言い訳をする。
「食べてみたいなぁ…って思った…だけだから…そのぉ…」
「いいですわよ」
「うん。ここにするか…というか食べたことなかったんだな」
「俺も食ったことないわリコッタパンケーキ…ホットケーキとなんか違いあるのか?」
「ここのは果物に力が入ってまして量も結構ある感じですわ、見た目重視するなら駅前の方がいいですけど」
「あーあの店なぁ…フクと行ったけどあんまり美味しくなかった思い出ある」
「んじゃここでいいか…どうしたテイトレ?」
あっさりと意見がまとまって動きが止まったテイトレを不思議そうに見るブラトレ。彼らは多感な学生を担当するトレーナー。知識量に差はあれど流行り物の情報は持っているため気後れなぞしない。それに何より、みんな若い。おっさんのように一呼吸入れて気合を入れ直す必要がないのだ。
42二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:28:09
「どうですテイトレ、感想は」
「美味しい!」
「…そんなきらきらした目で言われましても…こっちのヨーグルトのも食べます?」
「ん、前食ったのより美味い。生地がしっかりしてる」
「うん美味い…でもチームの子らに数用意するならホットケーキの方が作れるな」
頼んだ注文が来るや否や手を合わせて食べ出した四人。こいつらにSNS映えなどという言葉は存在しない。かわいいね。
もしもこれが男四人ならふふ…可愛いわね…と反応されていただろう。しかし今は美少女と美女四人。杖をついているテイトレを気遣い入り口から一番近いテラス席に座った彼らは店員から、利用客から、通り過ぎる人からオレでなきゃ見逃しちゃうほど早いチラ見をされていた。
「失礼します…お冷お注ぎしますね(うっひょ〜〜!顔のいいウマ娘さんの間にはめちゃくちゃ良い匂いが漂っており、性欲のあまりお冷を取る際に手に触れてしまいました〜!)」
「…美味しいねー(こんなパンなんかもうどうでもいいんだよ…あ〜この光景を絵にしたい…あのちょっとクールそうな栗毛さんが攻めで元気そうな芦毛ちゃんが受けかな…)」
「(違うね。クールで頼りになる栗毛があの三人のわがままを仕方なしに聞いてしまう…無意識総受け!)」
「こいつ…直接脳内に…!」
そんな欲望渦巻くぱっと見綺麗なテラスで只々平和にパンケーキを楽しむ四人。
だがそんな時間も長くは続かなかった。
「トレーナーさん…何を…なにをしてますの…」
聞き覚えのある声に入口を見ると、信じられぬものを見た顔をしたマックイーンと各担当のウマ娘が立っていた。
43二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:28:35
「わた…私が必死に減量をしてますというのに…こんなところで…あんまりですわ…」
「貴女がパクパクするから…まぁ戻ったらしっかりトレーニングするなら食べてもいいですわよ。何にします?」
「うう…スーパーデラックスパフェ…」
「反省してませんわね貴女!!」
「ボクはちみつたっぷりのにしよっかなー!半分こしようねトレーナー!」
「うん…美味しそうだなぁ…」
「来たからってすぐ食べたら駄目だよ。ツーショ撮るんだから」
「…ダイジョウブダヨ」
「ボクまだ覚えてるからね!二時間並んで買ったドリンク止める間も無く飲んだの!トレーナーの食いしん坊!可愛い!好き!」
「どうだブライアン?結構いけるだろ?」
「確かに美味い。が、トレーナーの作るホットケーキの方が好きだ」
「そ、そうか…なんか気恥ずかしいな…じゃあもういいか?」
「いや食べる。もっとくれ」
「トレーナーさんトレーナーさん!ガレット・デ・ロワがありますよ!切り分けたケーキの中に人形が入っていてそれが当たった人は一年ハッピーなんです!」
「へぇ…ウマ娘十名様以上での提供をおすすめしております…晩飯食えなくなるから駄目だ」
「ふんぎゃ!?そんなぁ…」
「…はぁ、みんなにも食べてもらって余ったら包んでもらうか」
≫73二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:49:31
お弁当
「今日は何にするかなぁ…」
そんな事を言いながら昼食を済ませる為
学園の食堂に行こうとしていた時、
「なぁオグリ、それは弁当か?」
「そうだが…どうしたんだマーチ?」
「いや、お前がそういうもので昼食をとるのは珍しいなと思ってな。」
「そういう事か。この弁当はな、私のトレーナーに作ってもらったんだ。」
「…トレーナーにか?」
「ああ、私がトレーナーの料理がとても好きで、定期的に作ってもらっているんだ。」
「オグリはトレーナーからとても大事にされているんだな。」
「そう言われると少し照れる…
マーチはお弁当は作ってもらったりしないのか?」
「そうだな…でも、ただでさえ迷惑をかけているトレーナーに、これ以上の無理は頼めないよ。」
そんな会話を聞いた俺は…
「なぁ…ブラトレさん…」
「ん?どうかしたか?」
「その…あんた料理上手かったよな。」
「オグトレさんに教えてもらってるからな。」
「あのさ…教えてくれないか?…弁当の作り方…」
74二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:50:17
「…と言う事で!」
「マーチトレに弁当の作り方を教えるぞ作戦!いくぞぉー!」
寮長トレコンビ「「おー!」」
「まてまてまてまて!なんで増えてる!なんだその作戦!」
「細かい事は気にすんなって!せっかく来てくれたんだからよ!」
「そうだね。それに、担当のお弁当を作りたい同僚がいたら、助けるのは当たり前でしょ?」
「ここはどーんと俺たちに任せときなってね!」
この2人のウマ娘はフジトレさんとヒシトレさん。それぞれ学園の生徒寮の寮長フジキセキ、ヒシアマゾンのトレーナーだ。
確かにこの人達に頼めばとても美味い弁当が作れるかもしれないが…プレッシャーがやばい…
「でもさマーチトレさん、なんでオグトレさんには頼らなかったんだ?確か仲良かったよね。」
オグトレさんは学園の中でも上位に入るほどの料理上手、だけど俺には頼れないちょっとした理由があった。
75二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:50:57
「それは…その…なんと言うか…負けたくないと言うか…」
「マーチトレの担当が弁当を欲しいと思ったきっかけ、それがオグトレさんの弁当だったんだ。だから変な対抗心燃やして頼めなかったんだよ。」
「ブラトレさん!なんだよその言い方!」
「意外と可愛いところもあるんだね。マーチトレちゃんって。」
「フジトレさんも、茶化さないでくれ…」
「でも好きだよそーゆーの!タイマン!って感じで!」
「俺があんたらに頼ってる時点でタイマンでもなんでもないでしょうが!」
「とにかく!マーチトレがオグトレさんに負けないぐらい美味しい弁当を作れるように、俺たちが手伝おうって話だ。
マーチトレも流石に受けない理由はないだろ?」
「む、むぅ…それはそうだが…頼んだのも俺だし…」
「なら決まりだ!早速マーチトレに美味い弁当の作り方を叩き込むぞ!」
「「おー!」」「お、おー…」
そうして俺のマーチへ贈る弁当作りが始まった。
76二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:51:27
「まず卵焼きの作り方はだな…」
「うぅ…ひっくり返すのが難しい…」
「野菜を選ぶ時はね、ここら辺をよく見て…」
「…どれも一緒に見える…」
「調味料とかはしっかり測ろう!適当だと酷い目に遭うからな!」
「…それは普通のことじゃないか?」
そして…
「これで…完成ッ!!」
「「「おー!」」」
「長かった…俺がめちゃくちゃ不器用なせいで、すっごい時間がかかってしまった…」
「でも、その成果はあったと思うよ?」
「うん!とっても美味しそうだもん!このお弁当!」
「今回は大成功!って感じだな!」
「…まぁ、手伝ってもらって…上手くできたからな…その、だから…ありがとう…ございました…」
「…なんかマーチトレっていつも変なところで律儀だよな。」
「な、なんだよ!別に良いだろ!」
「そんな事より、早く行ってあげて!きっと、とっても喜んでくれると思うからさ!」
「そうそう。せっかく作ったんだから、冷めないうちに渡してあげてね。」
「…ああ!」
そして俺はマーチのところに向かった。
77二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 12:52:07
「マーチー!」
「ん?トレーナーか、資料室から出てくるなんて珍しいじゃないか。」
「そ、それはそうなんだが…その…」
「?どうしたんだ、トレーナー?」
「あ、あのだな。」
「うん、どうした?」
…よく考えたら弁当ってどうやって渡せばいいんだ?
「えーっと…その…あの…」
「?」
「べ、弁当を、作って来て…」
「弁当…?作って来た…私の為にか?」
「うん…マーチの為に作って来て…」
「そうか…そうか!感謝するぞ、トレーナー!」
「えっと…どういたしまして…」
「開けてもいいか?」
「ああ…いいぞ?」
「それじゃ…おお!とても綺麗に盛り付けてあるじゃないか!」
「へへへ…そこもちょっと頑張ったからな…」
「食べても?」
「あ、うん…どうぞ…」
「うん…うん、うん!美味しいぞ!トレーナー!」
「…!!それなら良かった!」
その後、
作って貰ったお弁当を嬉しそうに頬張るマーチと、そんな姿をみて、料理をちゃんと勉強しようと思うマーチトレの姿があった。
≫99続きは未定 1/?21/10/22(金) 13:03:48
「…遅いね、兄貴」
「はぁ…はぁ…」
「どれだけ好きって言って頑張っても、現実はこの程度だよ。お母さんもお父さんも、みんな言ってる。やるべきことは他にある、何を意地になって無駄な努力をしているのか。って」
「…はぁ…はぁ…」
「『走り』で、『人間』は『ウマ娘』に敵わない。目を覚ましなよ、兄貴」
「目を覚ましたかい?」
「ここは…?」
「私の道場だ。過度の疲労と栄養失調で倒れていた君を、私が保護したという形になる。最近近所で無茶なトレーニングを続けている少年として、君はかなり有名になっていたからね。どうしてそんなに無茶をするんだい?」
「…強くなりたいんです。見返してやりたい、人たちがいるから」
「そうか。でもやり方は褒められたものじゃないな。強さは、ただがむしゃらに突き進んで身につくようなものではない。」
「…ご迷惑をおかけしました。お世話になりました、俺はもう、行きます」
「帰る場所があるのかい?」
「…っ」
「年の功というやつでね、察しはだいたいつくとも。あまり深く追及する気もないがね。それでもし君がよければだが、ここに住む気はないか?」
「えっ…?」
「君はいい眼をしている。絶対に諦めない意志を感じる、力強い眼だ。その眼に、私は可能性を感じるのだよ。それに私なら、君が強くなる手助けをすることもできる」
「…失礼ですが、正気ですか?どこかの見ず知らずの人間の面倒を見ようとするだなんて」
「はっはっは。さっきまで倒れてた少年に心配されるほどまだ落ちぶれちゃいないさ。それに、少々暴れん坊な孫の面倒を見てくれる人を探してもいたんだ。もちろん無理強いはしない。今まで通り好きなようにやりたいというなら、引き止めやしないさ。でも、お互い得しかない提案だと思うのだが、どうかね?」
―
「いい返事だ。
ようこそ少年。我々『金剛八重垣流』道場は、君を歓迎する。」
≫110二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 13:10:44
臨機応変に…? リウトレ
「机に…胸が乗ってる……」
シリウスがトレーナー室出た後、あたしは慣れた椅子に座ったのだが、変わり過ぎた身体を改めて実感していた。当然以前より椅子を高くし、高さを合わせている。小柄過ぎる体型には些かアンバランスな大きさすら感じるこの胸。
「正直重いし、一体何が詰まってるというの……んっ」
思い切り胸を揉んでみるとむにっと大きなマシュマロを潰したような感触と身体をとろかすような感覚が背を這った。風呂に入った時はわざわざ揉んだりはしなかったから気付かなかった。この身体は思ったよりも大変なものかもしれない。あたしは息を飲んだ。ただ、これが彼女に知られてしまったら、まずいのではとは思わなかった。少なくとも、今日この日までの彼女はそういうことはしてこなかったからだ。
「もっと色々と向き合わないと」
あたしは椅子をおりて歩く練習をする。前に転ぶ分にはこの胸がクッションになる。できる限り前に転ぶように、一歩、また一歩とゆっくりと歩く。日常生活を最低限送れるようにならないといけない。
「昼、食べに行くぞ」
「わぁっ……」
相変わらずノックもしないで入ってくる彼女の声に驚いたあたしはバランスを崩し、転んだ。いつの間にそんなに時間が経っていたのだろうか。あたしはノックをしろと言わんばかりに彼女を見ると笑みを浮かべて、あたしを横抱きにする。
「いつも通りカフェテリアで良いんだろ」
「そうだけど……」
「おろしてって騒がないんだな」
「もう諦めた。言ったところでシリウスはあたしをおろしたりしないでしょ」
元に戻るまで耐えてやると、そう思いながら彼女に身体をゆだねる。視線を気にしないように目を瞑ると、額に彼女の額が重なるのを感じる。
「そうやって素直になればいい。アンタには私がいるんだ」
「良いから、早く行って」
この胸の大きさのおかげで彼女には心臓の音が届かないだろう。あたしは服越しに彼女のぬくもりを感じながら、カフェテリアの席に着くまで目を瞑っていた。
111二次元好きの匿名さん21/10/22(金) 13:10:56
椅子の上に座らせられたのを感じ、あたしは目を開けた。
「適当に買ってくるから待ってろ」
「……お願い」
満足気に彼女は席を離れた。生徒たちを見ていて、そういえばあたし耳飾りをしていなかったなと思った。皆なにかしら着けている。当然彼女も例外ではない。一般的なサイズではなさそうなこの長い耳に合った耳飾りを調べてみよう。
「なんだ、考え事か?」
ランチのトレーを2つ手にした彼女が声をかける。テーブルに置き、席に着きあたしを見る。
「ありがと。耳飾りしてみたいって思っただけよ」
「それなら私が用意しているから、それをつけろ」
料理を口にする手が止まる。
「いつの間に……」
「昨日、あの後別れたあとに注文している。もう少し待ってろ」
「そう、あとで領収───」
「いらない。アンタがつけてくれるなら私はそれでいい」
彼女に言い包められてしまった。そのままランチを済ませ同じように横抱きにされトレーナー室へと運ばれた。
───あたしは今日の昼も耐えれた、はず。