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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart91~95)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…par106【TSトレ】
≫10TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:11:25「最近トレーナーさんの様子がおかしいんだよね」
「セイちゃんのトレーナーさんって…ええと」
「…あの厚底の人ですよね?」
「ピンポーン、グラトレさん正解でーす。よくわかりましたね?」
「グラスの同期だし、ウマ娘化した人ですから~」
グラスと彼女の同期セイウンスカイさんと一緒に野点を嗜んでいた。
その時に折角グラトレさんが居るなら、と相談をされている。
相談されるのは良いんだが
「私のトレーナーさん、最近トレーニング以外ほぼ外に出てないみたいだから」
「それで見かけなかったんですね」
「私が聞いても教えてくれないけど耳は垂れっぱなしで。折角出しグラトレさんとか何か聞いてないかなーって」
「実は殆ど話した事ないです、ごめんね」
新人トレーナーとは聞いていたけれど人と話してるとこも余り見かけない。
ウマ娘化したトレーナー同士である程度行事なども行われているがそこでも見ない。
歩きづらそうにしてる厚底ブーツが特徴的ではあるけど何か話をした印象はない。
「取り敢えず頼りになりそうな人にもあたってみますね~」
「そうですね、お願いしますトレーナーさん」
「いいの?グラスちゃんもグラトレさんもありがとう!」
「いえいえ~、早く本調子のセイちゃんに戻ってもらわないと困りますから」
「グラスはライバルに全力を出してもらいたいそうですから~」
「にゃはは…お手柔らかに、ね?」≫11TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:11:40「すみませんフクトレさん、時間作ってもらって」
「気にするな。それより相談ってなんだセイトレ」
トレーニングコース近くで待ち合わせた珍しい待ち人を見る。
大げさな程の厚底ブーツで歩き辛そうにやってきたのはセイトレ。ウマ娘化した後極力人を避けていたのを話だけ聞いている。
相談どころかマトモに話をする事も初めてかもしれない。
「正直おかしい奴と思われそうな事なんですけど」
「そういう手合には馴れてる、気にするな」
「じゃあ遠慮なく、俺の元の身長ってどの位でしたっけ」
「何言ってるんだお前?」
同僚の身長なんて当然だが把握してない。悪いが特に親しい間柄という訳でもないはずだ。
「…すみません、最近担当バの視線が俺の頭より上を向いてたからもしかしたらと思って」
「耳が動くからだろ」
「えっ!?」
急いでしなしなと力なく垂れた耳を覆う拍子に転びかけるセイトレ。やっぱり無理があるだろその厚底は。
グラトレからセイウンスカイがトレーナーの様子を気にしていた事は聞いている。
「随分引きこもってるらしいな、体は大丈夫か」
「はい…、大変ですねトレーナーって」
「お前はまだ新米だよな、無理してるなら相談位した方が良いぞ」
「よく覚えときます。それじゃあ俺はこれで…」
バランスを崩した右足側も立ち直す様にし、ゆっくり手すりに沿って帰ろうとするセイトレ。
まだ何もわからないが虫の知らせか、フクの影響か一つ質問をする事にした
「セイトレ、お前──」
≫12TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:11:52「間違いないんだな、二人共」
「ええ、確かに覚えています。」
「資料も確認してきました、間違いないですフクトレ」
グラトレとグラスワンダーが頷く。
ライバルの調子が悪いままでは張り合いがないとグラトレから一緒に調べて欲しいと言われたのが発端だ。
「ウマソウルに浸食されすぎているか、悪くてウマ娘化を装ったなりすまし辺りでしょうか?」
「フクキタル先輩が占いがってさっき言ってましたけど良いんですか?」
「…実情がどうなっているかはまだわからん、フクから占いの話は聞いている。セイトレの健康運が大凶だと。」
頭と右足が大凶らしい、と付け加える。
占いの話が本当だとしても頭にバツが付くのは洒落にならないから止めたがどうも頭に引っかかる。
「ウマ娘化する前は名伯楽達に教えを請いに行ってたらしいけどそれもパッタリ止んだと」
「セイちゃんが自慢してましたから覚えてます。確かに最近は聞いてませんでしたが…」
「事が事だから慎重にな…たづなさんからの連絡もそろそろだ」
スマホを見るとちょうどメールが先程届いている。
悪い想像を振り払える事を祈りながら本文を三人で覗き込む。
『お疲れさまです。セイトレさんにウマ娘化現象が起きた日の記録ですね』
『朝業務連絡用のLINEでウマ娘化の連絡後、数時間後に遅刻連絡をトレセンに』
『その後頭を打って腫れてるからと保健室で休み、その日は帰宅してます』
『また、頼まれていた影響を受けたと思わしいウマソウルの資料は別メールにて資料送付しています。確認をお願いしますね』
≫13TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:12:09夕焼けがもう少しで顔を出す頃。少し前に相談したフクトレさんから呼び出された。
人通りが少ない空き教室ではあるが変な事をする人ではない…と聞いている。大丈夫だろう、多分。
ちょっと遅れているので駆け足気味に待ち合わせ場所へ向かう。
「すみません、遅れました!…あれ?」
「来たな。取り敢えずそこ座れよ」
「それは良いですけど、えっと…」
「私はグラトレと申します。よろしくおねがいしますね」
「お、お願いします…?」
「ブーツはどうしたんですか~?」
「ここに来る途中樫本代理に一人でいる時は厚底ブーツ禁止って没収されて」
先輩トレーナー二人は何となく納得したという顔をする。
目の前で転けそうになった事があるとは言えトレードマークを没収は酷いと思う。
「今日はどうしたんです?」
「貴方を呼び出した要件ですが、貴方は本当にセイトレですか?」
サッと、体から熱が失せる感覚がした。
目の前がチカチカして考えがまとまらない。
≫14TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:12:23「担当にも心配されたから少し調べたぞ。ウマ娘化した後急に人を避ける様になった事」
「なりすましではないんですよね?」
「それ、は…」
膝が震え、目の焦点が合わないようになる。
自分の膝の震えも自分を笑っている様に聞こえてくる。
「他に考えられるのはウマソウルの侵蝕か、記憶喪失でしょうか」
「ウマ娘化した日に頭を打ったと話して二回トレセンに連絡している事は聞いている」
「……?」
二回連絡?知らない、気がついたら床に頭から突っ伏してて。
自分が男だけどウマ娘になっていて。メモの通りにロック開けて、一番上の連絡先に。
俺は勝負服に憧れてトレー、なーに…勝負服に憧れたのはウマソウル、で?
「心当たりはないんですね?」
「目星自体は付いている。俺にセイウンスカイが選抜レース二着だったって言ってたよな」
「……ぇ、ぁ…」
「選抜レース、出てないそうだ」
「そうなんですよねー、ホントに忘れてたんですねトレーナーさん」
がらがらと言う音が向こうの扉から聞こえる
スカイが聞いていた。二人と私の担当がまだ何か話してる声が聞こえる。
優しそうな顔をした三人が何かを話してるが何も聞こえない。スカイに今の問答を聞かれていた事で頭がいっぱいになった。
≫15TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:12:32入らない、耳に入らない。そうだ、俺記憶喪失になって。
セイウンスカイって子のトレーナーである事だけ嬉しそうなメモ書きがあって。
来てくれた子がスゴい走りを見せてくれて、私みたいな足が駄目な奴が夢を託せそうで。
私って、誰だ。違う俺は、スカイのトレーナーである事だけしか俺には残ってなくて。
そうだ、俺にはスカイの為に目線位合わせようと用意したブーツが
ない、ない?なんで、あのブーツ。あの、俺が用意した。なんで、ない。ブーツ、がっ。
飛び上がるように部屋から逃げ出した。三人の驚く顔が見えた気がしたが止まらない、止められない。
右足で地面を蹴ろうとする時、不意に幻痛を予見したが言ってられない。歯を食いしばって堪える!
痛みに備えるが痛まない。私の右足が痛まない?動く?動く。走れる?走れる。
走れる、走れる。走れる!部屋に居た現役はスカイだけ。先手を取ったし死角を使えば逃げ切れる!
走れば走る程気分が良くなるのを感じるし、頭の中を整理してまた話せばいい。
ああ、いやそんなことはどうでもいい。この狂ってしまいそうな全身の為にも今は走るんだ。
階段に差し掛かるとこで右足に力を入れ減速し、その足で本能の赴くまま駆け下りようと
気づいたら視界が半回転している事に気づいた。
続いて感じたのが浮遊感。手足を動かしてみるが空を切る。
何より右足の感覚がない。足がついているのを見るのと同時にゆっくりと右足も動かせるようになったが足が地につかない。
視界に三人が追いついてきた。何か目を丸くして此方を見ている。一体どうしたと言うのだろう。
次いで視界が急に落ちる。あ、俺今落ちて。不味い、頭をマモ い た。
≫16TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:12:47空き教室にトレーナーさんが呼び出される一時間位前、
グラトレさんとフクトレさんから調べた事について話してもらっていた。
「悪いとは思ったけど鎌をかけた。君の選抜レース結果が二着だと」
「あー、本当に覚えてないんですね…」
「セイウンスカイさんは選抜レース未出走ですからね」
「そうですねー、私の逆スカウトですから」
調べて欲しいとは言ったけど思ってたよりショックだった。
何時からか、と思い返すけどやっぱりウマ娘化後からだよね。
「ウマソウルに関してはそっくりの方がいました、侵蝕はされてなさそうですね」
「色素の薄い金栗毛に赤っぽい色、このウマソウルで間違いないですねー。右足に怪我有?」
「正確には生まれつき足に爆弾がある、が正解だ」
「確かにトレーナーさんが転ける時右足からの方が多いですね」
「日常的に転けているんですね…?」
「あの厚底だからな。…走ってるところは見た事あるのか?」
「トレーナーさんが?駆け足位ならはありますよ、あのブーツだと危なっかしいけど」
「…余り走らせない方が良いかもしれないな。何時もの占いと思っていたんだが」
「そろそろ約束の時間ですね、担当に聞かれてる中だと答えにくい事もあるでしょう。此方へ」
「はーい」
導かれるままに隣の空き教室へ。
私の為に気を張ってくれるトレーナーさんは私が居たら何も話さないんじゃと思っての提案です。
何事もないのが一番だけど大事になる隠し事は辛いからね。
≫17TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:12:56「セイウンスカイさん、今回の件はなりすましの可能性もあります。不安ではありませんか?」
「へ?うーん、それは確かに怖いですけど…」
確かに少し前の私なら怖かったと思う。
隠れて待っているなんて出来なかったかもしれない。
だけど
「トレーナーさんは私の暗雲を晴らしてくれましたから」
≫18TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:13:05目が覚めた時には保健室の天井が見えた。体を起こそうとするも全身が軋む様に痛む。
首だけ動かして見えるのはフクトレさんとグラトレさんだ。
「起き上がらない方がいいですよ~。まだ痛いでしょうから」
「一応折れてはないらしい。心臓に悪いからもうやるなよ」
「…っう、すみません…」
「大事になってないから良い、ただ詳しく話を聞かせてくれるか」
「……はい。記憶喪失は本当です、俺は自分の事は覚えてません」
横になったままポツポツと話し始める。
気づいたら床に突っ伏していた事、頭を打ち付けたのか酷く痛んでいた事。
自分の事を何も思い出せなかった事、性自認は男だったのでウマ娘の自分が何者なのか混乱した事。
日誌とウマ娘雑誌のメモを見て自分が"セイウンスカイのトレーナー"だと知りそれに縋ってきた事。
…段々と周りの視線が怖くなり引きこもるようになった事。
「右足は力を入れると急に足の動かし方がわからなくなる事があります、長く隠し通せる訳ないのにすみません」
「別に俺達には謝らなくてもいい」
「ええ、私達より担当に話す事があると思いますよ?」
≫19TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:13:16ハッとして体を起こそうとする。僅かにスカイの制服が見えた。体は痛むが動かない事はない。体を横に倒しベッドから降りる。
三人の声が聞こえるが止まれない。這ってスカイの方へ進む。
床にスカイの髪が見えた時、動けなくなった。顔を上げられない、震えが止まらない。
俺は、担当を騙していたんだ。
「ッ…ぅ、ごめんなさいっ!スカイの事を騙して!ひぐ、ぁ…ごめんなさい!勝手にトレーナー顔して!」
ボロボロ涙が流れ始める、顔をあげれない。怖くて顔が見れない。トレーニングにも支障が出かねないのに黙っていた事。
何も出来ないのにトレーナーとして振る舞っていた事。トレーナーである事に勝手に縋り続けていた事。
以前行っていたらしいトレーニングの質を高める為に有名トレーナーへ話を聞きに行く事も人目が怖くてやめてしまった事。
ごめんなさい、ごめんなさい!ごめんなさい!!!
喉が痛む、床に映るスカイの髪がブレて見える、頭の中が燃えるように痛く意識がチリチリと焼けるようにまとまらない。
息を吐ききったのか体を支えていた腕から力が抜ける。再度体を支えようとするが涙で手が滑り床に頭を打ち付けた。
「…トレーナーさん、もう良いんですよ」
スカイの声が聞こえる。体が強張り震えが止まらない。
「私のことずっと考えてくれたじゃないですか、厚底ブーツ買ってきたのはビックリしましたけど」
俺の手が握られる。熱が体に戻ってくるような感覚がした。
ゆっくり顔を上げると屈んだスカイが笑っていた。
「トレーナーさんはセイちゃんが逆スカウトしたんですよ。という訳で、私のトレーナーになってくれませんか?」
何も見えない様な暗雲が目の前の笑顔で晴れていく。もう迷う事は何もなかった。
「はい!!俺、は…ぅ、セイウンスカイのっ、トレーナーだ!……あり、がと…ぉ…ぅぐ、ぁああ…!」
≫20TSセイトレ概念提唱者21/10/01(金) 19:13:28「………ぁっ」
「…トレーナーさん?」
もうこれ以上涙も出ないと思う程泣いた頃視線に気づく。
そうだ、ここには私達以外二人先輩がいて──
「グス…そうだ、スカイ!トレーナーがこのザマなんて油断を誘えるかもしれない!」
「へ、トレーナーさん急に何を?」
「この作戦は次の並走やレースに使えるかもしれない!な、スカイ!」
「あっ…そうですね、トレーナーさん!それじゃセイちゃんは門限破っちゃう前に帰りますね!また明日会いましょー」
顔を真っ赤にしたスカイが駆け足で帰っていく。
俺の顔も真っ赤だ。先輩二人の前で暫く担当と手を握りあったまま泣きじゃくったなんて恥ずかしい事この上ない。
急いでベッドに戻ろうとするが足がもつれて上手く動かない。仕方なく上半身だけベッドに体を突っ込む。
「あの~…?」
「ココハドコォー、ワタシハダレェー」
「お前切り替え早すぎないか」
アーアー、ナニモキコエナーイ!
≫40ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:25:49シニア期10月・覇王の影、英雄の花
秋空の屋上。そこに一人のウマ娘がたたずんでいた。
勝負服だろうか、スコットランドの民族衣装であるギャザーがたっぷりと入ったロングスカートをはためかせながら、何処か愁いを帯びた瞳でグラウンドを見つめている。
勝負服を着ているから傍目から見たらこの学園に所属するウマ娘に見えるかもしれないが彼女はトレーナー、ロブトレであった……。
────────────────────────────
日経賞2着、天皇賞春2着、宝塚記念4着、そして京都大賞典2着……。
勝てない、勝てない……勝てないまま、秋を迎えてしまった。
勝ちたい……
私達は、ロブロイと私は、確かに誓ったのに……必ず、ロブロイを英雄にしてみせる、と……。
勝ちたい……
彼女も段々と自分自身に自信が失われていくのが感じられる。メイクデビューの時の「これから私たちの物語が始まるのですね」と言っていたキラキラとした輝きが失われていく。
勝ちたい……勝ちたい……
≫41ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:26:11「ええ、私も勝ちたい……」
ああ、私の中のウマソウル、ロブロイの因子がずっと言い続けている。勝ちたい、勝ちたい、と
最近は伴走をすることが増えたが、それでもその欲求は収まらない。いや、欲求は増え続けるばかりです。
かつてのような暴走はない、それでも勝ちたい欲求ばかりが増え続ける。それを受け入れ、自分自身の想いにもなっている。
彼女とともに勝ちたい、なのに……。
「どうして、どうして彼女を英雄にしてあげれないんだ、私は……」
ぼろぼろと、涙がこぼれ落ちる。
彼女から段々と自信が失われていくのを見て、その輝きを失わせているのは自分自身のように感じられる。
彼女を支えるといったのに、彼女に寄り添うといったのに……。
勝ちたいという欲求と自分自身への不甲斐なさに身が引き裂かれそうになる。
彼女は強いウマ娘だ、他の人が認めていなくても、まぎれもなく強い、強い子なんだ。
なのにそれでも勝てないのは自分自身の責任に違いない。私が、私がもっとしっかりしていれば……。≫42ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:26:36トレーナーがウマ娘の足の重りになるな
父親の言葉が思いだす。
ああ、そうだ、私が、私が重りになってしまっているんだ……。
あの子は強い子だ。きっと、彼女にもすぐに良いトレーナーがついてくれる。
そう、私なんかよりもずっと……
そっと柵を乗り越える。夕方になり、トレーニングが終わったのだろう、もうウマ娘たちの喧騒は聞こえない。
ああ、何てちょうどいいんだろうか、このまま一歩足を踏み出せばそれで終わってくれる。
それに彼女の目指す英雄、ロブ・ロイは大切なものを失ってから立ち上がり、貴族に対して反乱を起こし、そこから英雄へと至った。
その名前を同じくする彼女だって、きっと英雄に……
「それで彼女が英雄になると思っているのですか」
飛び立とうと足を踏み出そうとした瞬間、声がかかる。その声に思わず振り向いてしまう。
私はその声を知っている。その顔を知っている。
多くの先輩方を私は尊敬しているが、その中でも私があの人のようなトレーナーになりたい、と思った人……。
落ち着いた雰囲気に青鹿毛の髪、スーツをきっちり着こなしているウマ娘、嫌ウマ娘になったトレーナー……。
「オペトレ先輩……」
「あなたは思い立ったら突き進みすぎなんだ」≫43ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:27:07私が憧れているトレーナー、オペトレ先輩その人が立っていた。
落ち着いた雰囲気なのにいつもよりも怖く感じられる。いや、先輩自身は普段と変わらない、変わっているのは自分の方、なのだろう。
「なぜ、オペトレ先輩は気づいたのですか……」
「後輩が並々ならぬ面持ちで屋上に上がるのを見てましたから」
「ふふ……みられていたのに、気づかなかったのですね、私……」
本当に、そんなことも気づかなかったなんて……本当に私はだめだな……。
「それでどうした、と聞くものですが、うん、既に把握しているよ」
「何も話していないのに、なんでそんなすぐにわかるのですか」
「私はオペラオーのトレーナーだからね」
ああ、本当にこの人は私の尊敬する人だ。
オペラオーばかりに目が向きがちだけど、この人はオペラオーの陰になりながら常に支え、オペラオーの進む覇道をとても丁寧に舗装して、オペラオーを輝かせている。
ああ、本当に……
「オペトレ先輩、どうすればいいのでしょうか……」
「ロブロイのこと、ですよね」
「ええ、オペトレ先輩のように、私もロブロイを陰ながら、彼女の進む道を支えたかった、寄り添いたかった、なのに……」
なのに、どうしてこうなったのだろうか……。≫44ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:27:30
ロブロイを支えると誓った、そのために必死に彼女の走りを分析し、他の先輩方にアドバイスを受けて、ロブロイが挫けそうなときは寄り添い、支え、彼女の望む英雄の姿に、一緒に、目指してきたのに……。
勝ちたい……勝ちたい……勝ちたい……
何で、私はこんなにも不甲斐ないのだろうか……。
「それは、あなた自身が知っていることでしょう」
「え……」
訳が分からなかった……私が目指していたのは、どんな時でも完璧に寄り添い、その進む道を共に支えるもの、そう、オペトレ先輩のような存在だったのに……。
「ロブロイを見てきたのは貴方のはずだ。寄り添ってきたのはあなたです。ロブロイを見てきたあなただからこそ、おのずと見えてきますよ」
それでも、分からない、彼女を英雄にしたい、その一心で進んできた。彼女のことを信じ、そのために一緒に歩んできた。なのに、その道が、分からない……。
『ヒロインの死によって英雄の覚醒する。確かにそういう物語もあるだろう。だけどそれは君にはふさわしくないね。君はもっと輝ける。自分自身の殻を破ってごらん、そうすればそこには君を待っている英雄の姿があるはずだよ』
顔を思わず上げる。今、世紀末覇王の姿が見えたように感じた。
だが、そこには世紀末覇王はなく、その黒子、オペトレ先輩だけだった。
「もしもオペラオーならそんな言葉をかけるのでしょうね」
「オペトレ先輩……ありがとうございました。私、行ってきます」
オペトレ先輩に一礼してすぐに駆け出す。
そうだ、私が、私が見てきたロブロイは、ロブロイが一番その力を出していたのは……。
────────────────────────────
「あいつの子供も本当に回り道をしているな。だが、これで道ははっきりしただろう。さあ、そちらの方は任せましたよ、オペラオー」≫45ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:28:24時を同じくして図書室。そこでは一冊の本をずっと読み続けているウマ娘の姿が。
その本はもう何度も読み込んでいるのか、擦り減っているところも見られる。でも丁寧にページをめくっている様子から大切にしているのが分かる。
「私では、物語の主役には、なれないのでしょうか……それでも、私は……」
勝ちたい……物語の主役のように、英雄のように勝ちたい。
そう思いを抱き続け、それでもまだあの英雄としての姿で勝てないでいる。
このままで、冬の有マ記念で勝てるのだろうか……あの時トレーナーさんと一緒に誓ったように、去年のように勝てないのでは、と……。
「やあ、ロブロイ君、そんな顔をしてどうしたんだい?この図書室での君はもっと輝いているはずだよ」
「あ、オペラオーさん……」
いつの間にか、オペラオーさんが図書室に入っていました。
かつて、私に言ってくれていた言葉が思い出されます。
『君の憧れの英雄に僕が先になるのは美しくないなあ。それには君がなりたまえ』
その時の言葉がどれだけ私に勇気をくれていたのか。
でも今は、その言葉が重くのしかかる。
「オペラオーさん……以前、オペラオーさんは言ってくれました。憧れの英雄には君がなりたまえ、って……」
「ああ、言ったとも、そして今もそれは変わらないよ」
「ですが、今の私は……その英雄には、私と同じ名前の英雄ロブ・ロイには程遠くて……」
オペラオーさんの顔を見ることができない。あの言葉に勇気づけられたのに、その言葉のようになることができない自分が、悔しい……。
お母さんはあんなにも喜んでくれていたのに、なかなか話しかけれない私に声をかけてくれた友人たちがいるのに、そして私のことをずっと支えてくれる、寄り添ってくれるトレーナーさんがいるのに……。≫46ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:28:44「それでも、今なお君の中には英雄への憧れがあるのだろう?誰よりも強いその英雄のようになりたいという思いが」
その言葉に、顔を少し上げる。どうして勝てないの、どうして英雄のように勝てないの、とずっと心の中で渦巻いている。
でも、それでもなお、こんな状態でも、諦めきれない。
英雄のように、物語の主役のようになりたい、という想いが、今なお私自身に強くあり続けている。
この気持ちもなければ、こんなにも苦しくないのに……何て言う考え迄浮かぶほどに
「今はまだ君は物語の途中だ。最初から英雄のような存在だったものはいないだろう?いや、僕の場合は最初から美しかったけどね!」
「うう、そうですよね……オペラオーさんのように美しくは……」
「だが、君の目指す英雄と僕の目指す覇王は異なるだろう?そして君はその英雄へと至る物語の途中だ。君は、物語を途中で書くのをやめてしまうのかい?」
物語を、途中でやめてしまう……。それは、いやです。
トレーナーさんは言ってくれていました。
『ウマ娘の人生は一編の物語、だから君の物語を一緒に書かせてくれないか』
一緒に書いてくれる人がいるのに、このまま、このまま終わるだなんて、したくない。
「その顔はやはり諦めていないようだね、なら君だって英雄になれるとも。それと、君にはかの英雄にはない存在がいる。さあ、君のヒロインが待っているよ」
その言葉と共に図書室をあとにする。それと同時に飛び込んでくる影が一つ。
私よりもちょっと小さく、いつも私の傍に寄り添ってくれた人。
私の、トレーナーさんが……。≫47ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:29:21「ロブロイ……」
「トレーナーさん……」
図書室へと駆けこむと、そこにはロブロイが立っていた。
その瞳には、先ほど迄涙を流していたのだろう。うるんだ瞳に流れた涙の跡が見える。
ああ、そういえば、ロブロイと初めて会ったのも、こんな夕方の静まり返った図書室だったか……
周りには誰もいない図書室で一歩一歩、彼女へと近づいていく。
そして、そのまま彼女に抱き着く。その身を求めるように、その身にすがるように、ただ、強く、強く抱き着く。
「え、と、トレーナーさん?」
「ロブロイ、私をあなたのヒロインにさせてください!」
「え……」
貴方の物語のヒロインに。
それが私の出した答えです。
私はずっと見てきました。ロブロイの姿を。
ロブロイは確かに自分のことにはとても引っ込み思案なところがある。ですが、誰かのため、親しい人のためになら勇気を出すことができる、強い子です。
そんな彼女から私がいると勇気が出てくる、って言ってくれました。
一緒に物語を綴ることを約束もしました。
だけどそんな彼女に、明確に自分自身の気持ちで縋ったことはなかった。
ウマソウルの走る気持ちについての時は縋ったこともある。だけどあれは実際に事件が起きてからの話である。こうして、突然彼女に縋ったことはまだない。
私は自分は支えるもの、彼女の傍に寄り添うものだから、と自分自身に言い聞かせて、彼女の重荷にならないよう、縋らないようにしてきた。
でも、それは結局は自分自身の心に蓋をしていたにすぎない。私は、彼女に手を引いてほしかったのだ。
この心優しくて、誰よりも強い思いを持っていて、そして私が愛している彼女に、英雄のように手を引いてほしかったのだ。
誰にも頼れない弱い私のために、走ってほしかった。
「ロブロイ……突然、こんなことを言ってすみません。貴方に寄り添いたいと思っていた、貴方の重荷になってはいけない、って思っていました。だから今まで言っていませんでした……でも、でも、私のために、走ってくれませんか……」
「トレーナーさん……いいえ、私、そう言ってくれて、すごく、すごくうれしいです」≫48ロブトレヒロイン概念21/10/01(金) 19:29:42
きっとこんなことを言っても彼女を困惑させてしまう。ヒロインにさせてくれ、なんて意味も分からないだろうし、逆に引かれてしまうのでは、そう思っていた。
でも彼女は、嬉しそうに、優しく、抱きしめてくれていた。
「私だけのヒロイン、私の物語のヒロイン、それが、トレーナーさんだったんですね」
「……その、こんなことを真面目な顔で言って、変に、思わないのですか?」
「そ、そんなことありません。ヒロインになりたい、それは素敵な想いだと思います。それに……」
そういうと、そっと私の手を取ると、その胸へと持っていく。
ドクン、ドクン、ドクン……
ああ、その鼓動が、その熱が、すごく、心地いい……。
「そう言ってもらえて、私、すごくドキドキしています。英雄のようになりたい、という気持ちだけでなく、トレーナーさんのために、と考えると……」
「ロブロイ……」
「トレーナーさん、次のレース、天皇賞秋は、トレーナーさんのために走ります。どうか、見ていてくださいね」
「はい、はい、見ています。あなたの傍で、見させてください、ロブロイ……」
私だけの、英雄……。
そして英雄は秋の舞台で覚醒する。
その英雄に悲劇は似合わない。英雄の傍には寄り添う花があるのだから。
}
≫65二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:48:21混ざり合う グルトレ(ルドトレとの呑みSS後)
「全く、このたわけが」
ルドトレさんと私の家で宅呑みをしていたところ、連絡が入り、ルドトレさんは会長サンに『お迎え』された。グルーヴに指示されながら片付けを済ませた私の酔は完全に冷めていた。家には私とグルーヴだけだ、ソファーで隣りに座り色々と言っているグルーヴの言葉は頭を通り抜けていた。私の頭では先程酔った勢いで言ったであろうルドトレさんの言葉が渦巻いていた。
―グイグイいってもいいんだよ〜。
―いっしょに気持ちよくなればだいじょうぶだよ〜。
彼女とそういう事をしたい。彼女とひとつになりたい。もう、キスだけじゃ満足できない。彼女と気持ちよくなりたい。酔が冷めたというのに、私の中で疼くそれは大人しくなることは無かった。
「―――おい、聞いているのか」
グルーヴに肩を掴まれて、力のない返事をした。そんな私を見て彼女は呆れた様子でため息をついて、まだ酔っているのかと言われてしまった。酔は冷めているはずだが、冷めきれないそれは確かにあった。
「ねぇ…グルーヴ…」
≫66二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:48:45彼女の太ももへ右手を添え、私は彼女へ前のめりになる。動揺した彼女の手に左手の指を絡め、胸を重ねる。冷めきれないそれは冷めるとごろか、熱くなるばかりだ。どうにかなりそう、彼女に共有したい。呼吸が浅くなり、鼓動がうるさい。きっと彼女に聞こえてしまっている。少し頬を赤らめた彼女がいつもよりずっと愛おしく感じる。駄目だ、抑えられそうにない。唇が重なりそうなくらいに顔を近づけた。
「キスしてもいい?」
「っ……好きにしろ……」
ありがとうと言い、普段よりも長く唇を重ねる。彼女が息をするために口を開いたところで舌を入れて絡める。舌を絡めてのキスはこれが初めてだった。一瞬だけ彼女の肩が震えたが、私に合わせるように絡めてくれる。彼女の息と唾液が私のと混じり合う音が、彼女と私の時々漏れる声が静寂を切っていた。
「はぁっ……グルーヴっ……」
「んぁっ…あぁっ………」
≫67二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:49:12手に、指に力が入る。ずっと彼女と居たい。彼女との初めてのこのキスを堪能し、顔を離すと、つーっと私と彼女の唇の間にキラキラした糸を紡いでいた。キスする前より顔を赤くした彼女はいつもよりずっと柔らかな表情で物欲しそうに私を見つめていた。彼女の耳元へ近付ける。
「グルーヴ…このままシよ?」
そう言うと、彼女は何も言わずに私の首へと腕を回した。愛してるよと言うと首に回っている腕に力が入る。彼女がとても愛おしく感じた。私は彼女を横抱きにし、ベッドへ連れた。そのまま押し倒し、触れるだけのキスをする。今日は一段と甘くて柔らかい気がした。彼女の服を捲り、ブラに包まれた乳房を優しく撫でながら背に手を伸ばしフックを外す。ふんわりとブラから解放された乳房が揺れる。
「綺麗で柔らかいね」
「………さっさとしろ…このたわけ」
頷いて、彼女の胸へとキスをしてそのまま赤く印を付ける。彼女が息を絡めた声を漏らすともっと聴きたいと、もっと彼女のそういう事したいと身体が動いた。彼女の乳房や、そこへ、手と指時には舌を這わせ、服を脱がし合い一糸纏わぬ身体を重ねて互いの愛を確かめ合った。
≫68二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:49:38
愛液と汗でじっとりとした身体は少し重いのに清々しく、彼女を愛おしく想う気持ちで溢れていた。ベッドで抱き締め合い、互いにゆっくりと時間を過ごしていた。
「グルーヴ〜」
「全く……」
悪態をつくような言葉を吐いていた声は満更でもなさそうで、私はそれがとても嬉しかった。普段服越しに重なっていた胸はもう遮るものはなく、肌と肌が触れ合っている。
「ねぇ、私のキスとか指気持ち良かった?」
「言わんでもわかっているだろ……」
彼女の脚が絡み、抱き締める腕が強くなった。今も行為に及んでいる時も言葉は素直ではないが、身体で教えてくれる彼女が可愛らしくて愛おしかった。
「ふふん…だいすきだよ、グルーヴ」
「うるさい……このたわけが」
顔を赤くした彼女に愛しているよと呟くと、彼女はボソリと私も貴様を愛していると言った。とても愛おしくてたまらなかった。まだ朝まで時間はある。朝起きたら彼女とお風呂に入ればいい。彼女が眠りについたのを確認し、私も眠りについた。今は彼女と幸せな夢を見られる事を祈りながら。
≫90二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:04:49「ねえお兄ちゃん、その水着、ちょっと派手すぎない?」
「そ、そうかなお姉ちゃん。別にこのくらいは普通じゃない?」
「だーめーでーすー! 姉としてもカレンとしても認めませーん!」
「え、何そのキャラ。どうしちゃったのお姉ちゃん」
「とにかく、それは流石に駄目! というかお兄ちゃん今カレンと同じ容姿だってこと忘れてない?」
「確かにまずいか…。あ、そうだ! どうせならお姉ちゃんが選んでよ?」
「ふぇ?」
「ふふ…楽しみだなぁ。お姉ちゃんの選んだ水着♪」
「…………お兄ちゃん、前からかった仕返しとか考えてたりしない?」
「…し、仕返しなんてカワイくないことしないよお姉ちゃん」
「そっかぁ…? でもそうだね、じゃあせっかくだからちゃあんとコーディネートしてあげないとね♡」
「ふぇ?」
「じゃあお兄ちゃん、更衣室いこっか♪」
「ちょっとお姉ちゃん顔が怖いよ? あ、待って! 引っ張らな…ああああ!」ズルズル
そしてお兄ちゃんは──着せ替え人形になった。
カレンチャンは耐えた。最後まで。
うまぴょいうまぴょい
≫98二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:10:10「うおおおおおおおお連続スイミング10000mやってみせろよマクトレ!」
「なんとでもなるはずですわあああああ」
「…あのアホどもは何をしている」
「あ、フクトレ。いやなんかどれだけ泳げるんだろうって話が出て体力バカ二人が試してみてるっぽい」
「まあ…必要か…?いやどうなんだ…?」
「うーん、すごい勢いで泳いでる…あー私たちも泳ぐ?」
「足は大丈夫なんだろうな?」「平気平気、もう走れるくらいはなってるからね」
「じゃあ、あのアホどもほどでないにしろ適当に泳ぐか」
≫117二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:19:39即興1口まともトリオ
「はぁー…」
「どうしたの?グルトレ。」
「いや、ルドトレさんが…」
「よし、もう察したわ。ホントに懲りねえなあの人。」
「あれはもう懲りないってかそういうものなんじゃないかなぁ…」
「…あ、グルーヴ!日焼け止め塗ってー!!」(離脱
「…ねえ、フクトレ。」
「言いたいことは分かる。けどアレもルドトレと同じくらいどうしようもないだろ。」
「そうだね…てかあっつ…」(手パタパタ
「あとお前も大概だからな?」
「え?」
≫120グラトレ担当?21/10/01(金) 20:20:52グラトレの水着選び?
「グラス聞いてくれ……ウマ娘になったが心までは娘になってないんだ……」
「はい、それは分かっていますよトレーナーさん」
「だから女物の水着は抵抗どころか拒絶感の方が強い」
「ですが、男物では泳げないですよ?」
「……泳がなくても良いと思うの」
「トレーナーさん……早く着てください」
「グラス!?」
「着ろ」
「……はい」
「……せめて学園指定の水着で」
「トレーナーさん?」
「……はい」
完
≫123二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:21:50「…………なあボノトレ」
「何、マヤトレ? 海でロリのナンパするのはほどほどにね。波だけに」
「なんでお前水着の上も着けてるの? いや別にどうでもいいっちゃいいが」
「仕方ないでしょ…なぜか周りに止められたんだから…」
「ついに男子更衣室出禁も食らったよなお前」
「おかしいよね…ボク性自認は普通に男なのに…これ差別問題じゃない?」
「その話題は止めといた方がいいんじゃないかって俺思うよボノトレ」
「ああ、うん。そうだね…」
ヘイソコノオネーチャ…ア、イエ、ナンデモナイデス
ドウシタンダタイシン?ソンナニオコッテ…マアタイシンガナンパサレルナンテオモワ…
チョットダマッテロバカ!
「…ナンパ男も大変だよなぁ…。半分くらい中身男だもん俺ら」
「同情はそこまでしないけどねボク」
「ああうん…まあ確かに俺もマヤノがナンパされたらこの腐れロリコン野郎がって思うかもしれんな…」
「そう…。やっと中等部に声をかけてる自分を客観視出来たんだねマヤトレ。感慨深いよボク…」
「…………もしかしてさっきお前の担当がナンパされたことで腹立ててらっしゃる?」
「いや別に…」
「じゃあなんでさっきからそんな不貞腐れてんだお前。ジョークになってない冗談言おうとしたり」
「さあ…なんでだと思う……? ボクの悲しみは誰にも分からない……」
「…ボーノ☆な海メニューが食べられると思ったけどここ採捕禁止区域だったから?」
「……………」
「図星か」
「さっきロリに逆ナンされたロリコン野郎を見たからにしとこうかな…」
「誤解を招く表現! ちょっと一緒に遊ぼうって誘われただけだよ! というか子供相手だぞおい!」
「え、マジで逆ナンされたの」
「あ」
この後無事パパノトップガンと一緒に海を楽しむことになったマヤトレでしたとさ
うまぴょいうまぴょい
≫137二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:25:10では遠慮なく
風呂
トレセン学園トレーナー寮にて、備え付けられた浴室に人影が二つ
――――キタサンブラックとそのトレーナーはシャワーを浴びていた。
「熱くて気持ちいいねトレーナーさん」「ああ、そうだなあ・・」
- 俺ことキタトレは担当とこの体になってから混浴するようになった。
当初は男性の感覚が抜けず混浴には反対したのだが、キタに
「トレーナーさんは私のこと嫌いなの・・・?」と泣き落としされ
しぶしぶ入ることになった。幸いにして、体の洗い方等は先にファイトレから
教えてもらったため、醜態をさらさずには済んだ。
(ストレスかかってたみたいだし、また菓子折りもってくか・・)
≫138二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:25:38こんなことを思いながらも体を洗っていく、特に背中は
「えへへっ、今日も私が洗ってあげるからねー」
と毎度のごとくキタがしてくるのだ。俺はされるがままになっていた。
(気持ちいい・・きもちはいいが・・)
ぺちっ、ぺちっ。
(キタの乳が当たってる・・・)
そう、故意かどうかは知らないが、毎回キタの大きなものが触れるのだ。
特に手を前に回すときは、変形するくらいには押し付けてくるため、うっかり理性を飛ばさないか心配になるほどだ。
今の所そんなことにはなってはないが、それでもである。
「洗い終わったよー!」
- どうやら洗い終わったらしい、キタのほうに振り向くと泡を手に取り
キタの体をくまなく洗う。足の先まで丁寧に。
「んっ・・・あっ・・・」
悩ましげな声を漏らすキタ。正直心臓に悪い。
大分聞きなれてきたがそれでもアレな為、手早く済ませる。
―――まとめてシャワーで洗い流した後、湯舟につかる。
二人で入るには広いと言えない浴槽だが、密着して入る分には十分。
キタの頭を胸にうずめ、後ろから抱きしめる格好で
これが二人の一番落ち着くスタイル、お気に入りの姿勢。
「トレーナーさん・・・あったかくて気持ちいい・・・」
「俺もだよ・・・キタ・・・」
―――このまましっぽりと過ごすふたりであった。
≫146責任と自罰/121/10/01(金) 20:30:08「お前やっっぱり怖いわ!」
俺の素が出るときによく言われる言葉。
マックイーンの因子を受け継いで以降、お嬢様のような口調になりながら、マックイーンの話だけ俺の口調が出たときにかけられる声。
嫌な話ではない。むしろありがたいし嬉しい言葉だ。俺はずっと俺でいるし、俺でいられていることを確認できる。
「マクトレさんはすごいですね、そんなことになっても中身は完璧なままです」
だが、時々こう言われると少し悲しくなる。
俺は完璧ではない。マックイーン相手には完璧な動作ができるよう勤めているが、他はその限りではない。少し読み間違えてミスをする、そういう小さな傷は俺の心に残り続ける。よく見ると数本のかすり傷の入った球みたいなものだ。
しかしこれらの傷は大したことはない。そもそも俺は過去の反省も後悔もするが引きずることはない。傷が教えてくれるのは未来での自分のあり方だ。
ただ。
「……あいつは」
古傷というものは時々、ちょっとした出来事で開くものだ。
「お前、どの面下げて帰ってきやがった?」
自分でも経験したことのない苛立ちがあった。
「テメェこそ誰だよ。メジロ家にそんな汚ねえ口聞くやつはもういないはずだが」
手が出た。初めてだった。ここまでの人生で初めて、俺はここまで短絡的に手を出した。胸ぐらを掴んでその男を壁に叩きつける。全力で怒っていたが、どこかで手を抜いてしまった。
「あの日のこと、忘れてねえだろうな」
「忘れる訳ねえだろ兄貴」
≫147責任と自罰/221/10/01(金) 20:30:31今でも思い出せる。あいつの消えたあの日のことを。
あいつはドーベルを守った。その代償としてあいつはどこか壊れ、大きな罪を犯した。あいつはしばらく俺の前に顔を見せず、ドーベルもまたなかなか人前に出て来なくなった。
俺にできることはその時点では何もないと思っていた。あいつの罪はあいつの罪だ、俺にどうにかしていいものじゃないと考えた。だから、十分な時間を与えて反省させ、受けるべき罰を受けさせて、その辺りで力を貸してやってドーベルのトラウマの克服を目指すのが最善だと結論を出した。
その数日後にあいつは逃げた。トラウマを持ちっぱなしのドーベルと、受けるべき罰を置いて。
「どういうことですか」
俺はその日のうちに婆さんに話に行った。
「なんで逃したのですか」
「お前の気にすることではありません」
「あいつは自分の責任から逃げた。受けるべき罰すら放っておいて。なぜあなたはあいつの支援をするんだ」
敬語が外れていた。だが俺は気にしなかった。このとき、俺は目の前のお婆様に対して訳のわからない女としか思えていなかったからだ。
「理由は二つ。まずメジロ家に近しいものが罪を犯したことを公表されては困るのです。だから彼をメジロ家とは関係ないものにする必要があった。私の責務はこの家を守ること、失望しましたか?」
「正直言って。で、次の理由は」
「私は彼に多くのものを被せすぎたのです。あまりに多くの責任を。本来一人の人間にかぶせていい量ではないものを」
「…だから逃したと」
「この一連の出来事の責任は全て私にあります。糾弾するなら私を、罰を与えたいなら私に与えなさい」
目の前の老婆の目は、譲らない硬い意志を宿していた。きっと俺も同じ目をしていた。
「あんたが何を言おうと俺はあいつの責任を忘れない。あいつがどこにいようと、例え相手が万事に値する奴らだろうと、罪から逃げることは俺が許さない」
「そうするといいでしょう。この話はきっと解決を迎えませんから」
≫148責任と自罰/321/10/01(金) 20:30:54その後、時々この事件を思い出すたびに思うのは、逃げたあいつへの怒りと、あいつが逃げるかもしれないことに気づかなかった自分の責任だった。
俺はマックイーンを第一に考えて生きている。その生き方に間違いはないと考えていた。だが、あの頃の自分はそれだけを考えて、他のことを全て見落としていたと思うようになった。
そして何度か季節がめぐった頃、俺はマックイーンを第一に考えながら、他の人々のことも見逃さないような精神性を身につけていた。
やつは帰ってきてウマ娘となり、再びドーベルを守ろうとし始めた。それは評価に値する。それにここまででどうやらとんでもないことに見舞われてきたようだった。さながらこいつにあるべき罰が形となって降りかかったように
だが、まだ足りない。こいつにはまだ罪への意識が足りない。以前の自分のように、ドーベルのことだけを考えていた。ドーベル以外への罪を自分に乗せているように思えなかった。
そしてこいつを逃してしまった俺にも罰が足りない、そうとも感じられた。
ある日家で話をした。自分の罰はこいつを罪の存在へと導くことだと、こいつを放置して逃してしまうようなことをしないことだと考えたからだ。
「でもさ、兄貴は許せないだろ。男嫌いの原因を作った俺をさ」
「わたくしが怒っているのはそこじゃなくて、あなたがあの娘を置いて行ったことですのよ。あなたは悪くない」
そう、こいつはその点では悪くない。あくまでドーベルのトラウマそのものの原因はあの事件で葬られた犯罪者たちだ。
そしてこいつは自分の何が悪かったかを把握し切れていない。それを俺は、こいつ自身に把握させなければならない。
「お祖母さまはずっと心配していたんですのよ、大きなものを背負わせてしまったって」
俺には理解できないが、事実を伝えてこいつを前にむかせなければならない。そうでなければ何も始まらない。
「ありがとう兄貴……」
俺は感謝されるようなことは何もしていない。俺は罪を償っているだけだ。そのためならいくらでもこいつの背中を押してやるのが俺のすべきことだと思い、とりあえず好みの酒を大量にあげた。
≫149責任と自罰/421/10/01(金) 20:31:14しばらく経った頃、ドーベルとあいつが事件に巻き込まれた。
なんとか生きながらえたようで安心して、俺はあいつの顔を見に行った。
あいつはドーベルを今度こそ守るという目標を果たした。それは褒めるべき事実だ。ならそろそろ次の階段に向かわせよう。どうせ辛気臭い顔をしているのだろうから、さっさと前を向かせてやるべきことをやらせてやろうと。
「へーいドベトレ、体は大丈夫ですの?」
いつもより明るく面白めに挨拶をした。
「ああ、えーと、兄貴?」
その言葉を聞いて、俺は違和感を覚えた。何かが違う。こいつには何かの、よくない変化があったと俺の中の何かが告げていた。
「…そうだ。お前の兄貴だ。ドーベルを命がけで今度こそ守りきったこと、褒めにきたぞ」
「あはは、前のことは全然思い出せないんだけどな」
「…は?」
「ドーベルを勧誘する前のことが思い出せないんだ。あ、でも兄貴がいろんな相談に乗ってくれたのは覚えてるよ」
ああ。また間違えた。そう理解した。
今度はこいつには責任がない。俺がゆっくりこいつの背中を押そうとしたのが間違いだった、それだけだった。
罪を犯したあいつは、罪を知るべきあいつは何処かへ消えた。何も償えないまま運命に殺された。俺はそれを償わせてやることができたのに。そのチャンスを俺が台無しにした。
「兄貴?どうしたんだ?」
「ああ、いや、少し考え事だ。気にするな、お前にはあんまり関係ない」
「ここで考え事で俺に関係ないってそんなことあるか?何か隠してるだろ」
「おいおい俺を甘く見るなよ、俺は事務仕事をしながらマックイーンのトレーニングメニューを考えられる並列思考の才能があるんだ」
「確かに兄貴そういうの得意そうだな……」
「じゃ、顔見にきただけだから。私はお仕事に戻りますわ」
「うーい」
そう、俺は仕事に戻らなければならない。
あいつが消えたのなら引っ張り出す方法を考えなければ。これは俺の責任だ。
≫150責任と自罰/521/10/01(金) 20:31:35「今日はそれだけなんですね」
「ええ、気分じゃありませんの」
最近仲良くなったシャカトレに付き合って身体検査をした帰り道のカフェ。俺はコーヒーを一杯だけ頼んだ。
「で、何か相談事があるんでしたね」
「ああ。ちょっとな」
「口調…となるとマックイーンさん関係に何かありましたか?」
「いや、マックイーンは…ないという訳じゃないがそこまで関係ない。ドベトレ関連の話だ」
ああ、とシャカトレは納得した顔をする。あいつの話はそこそこトレセンのトレーナーの中でも知られているらしい。
「シャカトレ、お前確か東大の農学部、生命系の出身だよな。だったら少しくらい知らないか?あいつの記憶を戻せる手がかりか何か」
「そうですね…」
シャカトレはしばらく机を見つめ、再び目を合わせて言った。
「そこまであなたが思い詰めるとなると、もしかして人格にまで影響が及んだとかでしょうか?」
「……その通りだ」
俺はシャカトレに何があったかを、少しぼかして伝えた。あいつにやらせたいことがあったが、あの事件でその部分の人格だけが飛んでしまったらしいことを。
それを聞いたシャカトレは今度はすぐ返答した。
「そうでしたか。となると僕にも解決策は思い浮かびませんし、おそらくその道の人に聞いても難しいかもしれません」
「何もわからないのか」
「何もわからないだろう、ということがわかります。これは僕が大学の講義で知ったことなのですが、実は自意識というものがどこにあるかいまだによくわかっていないんです。なので、自意識のうち一部分だけがきれいさっぱり飛ぶなんて現象を説明するロジックは…ないこともないかもしれませんが、取り返すとなるとまず無理かと」
「……そうか」
「すいません、お力になれず」
「いや、ありがとう。それだけ分かっただけで十分の収穫だ」
≫151責任と自罰/621/10/01(金) 20:32:03俺には何ができるか考え続けた。マックイーンのトレーニングに支障は出さないが、今まで趣味や呑みに使っていた時間の多くがそこに消えるようになった。
そんなある日のことだった。
その日も悪趣味な夢を見た。俺がメジロのお嬢様、メジロマックイーンとして扱われる夢。何度ガラスを叩き破ってやってもクソ野郎はそれを見せてくる。
「言ってるだろう。俺は俺のままだ。お前たちに何かできるわけもない」
目の前のクソ野郎に言い放つ。俺は何にもならないが、いいかげん同じ夢ばかり見るのも苛立ってきたのだった。
すると今日は、初めて違う内容が始まった。
「それは本当でしょうか?あなたは今何かに悩んでいるのではないですか?」
今まで見せなかった憎たらしい笑顔で、メイドに扮したそれは言った。
「何にだ。言ってみろ」
「ドベトレさんの魂は私たちの手元にあります」
夢の中にいながら俺は耳を疑った。そんなことになっていたのかという衝撃と、こいつが俺の今の心情を知っていることに。
後者はよく考えてみれば当たり前だった。夢に出てきている時点でこいつは俺の中身に干渉できる、そう思い出した。
「……何が目的だ」
「ええ、返そうと思いまして、あのかわいそうな青年に。ただし、タダでお返しするわけにもいきませんでしょう?」
とにかく憎たらしかった。人の魂すら弄ぶそいつの顔が畜生に見えた。
「魂でも持っていくつもりか?」
「そこまでは要求しません。死にかけの魂とあなたの堅固な城、釣り合うわけもありません」
そいつは、懐から包丁を取り出した。
「ただ、一筋だけ傷をつけさせてもらおうかと」
それが魂そのものに弱点を作ることだと本能的に俺は理解した。強固な城の砦を一つ取り壊すようなものだと悟った。
≫152責任と自罰/721/10/01(金) 20:32:34だが、俺はそれを受け入れることにした。
「……いいだろう」
それは返事を聞いた瞬間、刃を向け突進してきた。俺はその痛みに耐えた上で、そいつの胸ぐらを掴んでやった。
「ふふふ、これから何十何百の傷を付けさせていただきます。あなたはどこまであなたでいられるでしょうね?」
「死ぬまでだよ馬鹿野郎。こんな浅い傷で俺がどうにかなると思うな」
砦が崩れたなら立てればいい。生傷が開いたなら絆創膏を貼ればいい。そして最後の手段として、あの騒がしい同僚たちと俺の希望に引き上げて貰えばいい。
何より、俺はこの程度ではびくともしない。
俺は俺の責任を果たし、そして俺のままであり続ける。
ベッドの上で起きたとき、俺は夢のことを思い出せなかった。何か嫌なやつと出会った気がした、そして俺はより強い意志を手に入れた。それしか覚えていなかった。
その日、ドベトレは過去のことを思い出していた。理由はよくわからないがいいことだと思った。
ようやく俺の果たすべき責任が果たせるチャンスが到来した。こいつにいろいろなことを話してやろう。こいつに罪を、そしてすでに受けたかもしれない罰を教えてやろう。そうしてこいつはようやく背負うべきものを背負い、そして顔方されることができると、俺は信じているから。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part107【TSトレ】
≫24IFバッドエンドマルゼンスキー21/10/01(金) 20:55:10「……トレーナーちゃん、また来るから」
菊花賞の後、心配してやってきたマルゼンスキーが、俺のメールを見て、帰ってくれた。よかった。こんな姿を見せたくなかった。
深く呼吸をして、落ち着かせる。壁に貼られていた写真を取って、邪魔のものを横に寄せて床に座り込んだ。
「大丈夫……俺は〇〇。マルゼンスキーのトレーナー……ほら、マルゼンスキーの笑顔を……俺は楽しそうな姿を守り……ッっうっあ゛!?」
写真の光沢の反射。マルゼンスキーとそのトレーナーを覆うように、栗毛のウマ娘の微笑みが見えた。それを半狂乱に振り払おうとして、写真は簡単に裂けた。ソレと一緒に、俺の中の何かも、千切れた。
「あっち、ちがっ!?"わたし"そんなつもりじゃ!!」
机が倒れ散らばった文房具からセロハンテープを見つけて、縦に裂けたなんとか繋ぐ。大切な写真。マルゼンスキーとダービーを制した時の大切な……本当にそうか?そんなに大切な写真をこんな簡単に破けるのか?担当ウマ娘との、生涯一度しか出ることのできないダービー、それで撮られた写真を破ける存在が、わたし。それなら────
────頭のおかしくなったウマ娘が自分を〇〇トレーナーだと思い込んでるのがわたしなんじゃないか?
「は、はは」
ぽとり、ポトリと熱が頬を伝い視界が歪む。そうだらそれなら整合性が取れるのだ。ウマ娘化していく最中も髪の色が変わらなかった筈なのだかは、〇〇トレーナーは栗毛でなく青毛のウマ娘になっている筈だ。三冠バマルゼンスキーのトレーナーなら多忙で家を空けることくらいある筈、そこにきっとわたしがつけいったんだ。気狂いのわたしは、部屋の持ち主に謝罪文を書いて、服や飲み物を拝借して逃げることにした。玄関を出ようとした時、姿見に写った姿を見て、姿見を割って逃げ出すように飛び出した。
「ねえそこのウマ娘さん、家出かい?」
「……いえわたしは……ひっ……!!」
偶然歩いていて、お巡りさんに声をかけられ、私は恐怖した。お巡りさんの瞳に反射する栗毛のウマ娘の姿に、恐怖した。
「あっ待ちなさい君!!」
それに気づいてからはどこにいっても、栗毛のウマ娘はついてくる。ガラス越しに人の目越しに私を追いかけてくる。私は前まで耳があった場所を掻きむしりながら逃げ回った。
「応援要請、マルバ保護の必要。ひどく怯えた様子から虐待や暴力事件に巻き込まれた可能性あり」≫25IFバッドエンドマルゼンスキー21/10/01(金) 20:55:30疲れ果てて、あてもなく歩く。どこにいけばいいのかも思いつかない。無理矢理靴紐を閉めた足は、靴擦れして痛かった。まあ、いいか。何も食べていないお腹は空腹を訴えていた。まあ、いいか。口には何も入れたくなかった。姿を映すものがない場所をふらふらと歩いていた。一日中歩いて、歩き続けた。気がつくと裸足になっていて、足の裏が切れていた。まあ、いいか。寒い。まあ、いいか。日が暮れて歩いて歩いて歩いた。眠かったけれど、まあ、いいか。いつのまにか海岸線が目に入り、ビーチにやってきていた。もう寒くなりはじめた季節に人の影はない。波の音が優しく、優しくしないで。優しく耳を撫でる。暁。太陽が顔を出して、あたりを照らす。
『トレーナーちゃん』
ビクリと身体がはねた。マルゼンスキーに、見られたくない。見られたくないのに、会いたいとも思ってしまう。でも、拒絶されるのが、怖い。何も信じられない。
『トレーナーちゃん』
でも、会いたい。声が聞こえる方へ、歩いていく。波打ち際を超えて、膝が海水に浸かって、胸まで浸かって、揺れる波は、わたしを写さない。首まで浸かって、温かい。ああ、マルゼンスキーが、いる場所がわかった。マルゼンスキーは、わたしにとっての太陽だから。あそこの太陽が出てくる所でマルゼンスキーが待って────。
────どぼん。
≫27IFバッドエンドマルゼンスキー21/10/01(金) 20:56:53「……トレーナーちゃん、よくなったかしら……」
昨日は、拒絶されてしまった。体調がゲロ悪かったのだと思う。だから今日は精のつくお料理を作ってあげるの。今度は無理矢理にでも看病させてもらうんだから!トロフィーも治るまで御守り代わりにトレーナーちゃんの家に置いておきましょう!
「……よし、トレー……あら?空いて……」
玄関をノックしようと思ったら、玄関扉に隙間が空いている。ノブを回せば、当然扉は空いた。目に入ってきたのは粉々に割れた、姿見だ。
「……トレーナーちゃん?……トレーナーちゃん!?」
トロフィーを他の荷物ごと玄関先に廊下に放り捨てちゃって、中に飛び込んだ。床に散乱した血の母印のノート、引き倒された机、散らばった文房具。荒らされたようなクローゼットに木っ端微塵になった洗面台の鏡。強盗が押し入ったと言っても過言ではない荒れ具合に私は恐慌に陥りそうになり、頬を叩いた。なにか、何かトレーナーちゃんの手がかりは。ベッドの上に、破れた写真をセロハンテープで懸命に直したような写真があった。私とトレーナーちゃんが、ダービーを取った時の写真。それにルーズリーフが添えられている。その筆跡は、トレーナーちゃんのものだ。
『私は偽物です。この場所を、〇〇トレーナーにお返しします。荒らしてしまってごめんなさい』
「っトレーナーちゃん!!」
ダービーの写真を掴んで、私はたづなさんにすぐさま連絡した。
「多分、多分だけれど、栗毛のウマ娘になってると思うわ!ええそうよ青毛じゃなくて!!」
トレセン学園の人たちも警察と連携してトレーナーちゃんを捜索するみたい。でも一日が経っている以上ウマ娘の足での行動範囲は広い。電車など使われていれば日本中何処へでも行けてしまう。だから私はタッちゃんを飛ばしてトレーナーちゃんが行きそうなところを片っぱしから探していく。いつも行く公園。神社。ゲームセンター。ショッピングモール。どこにも、何処にもいない。最後の希望に縋って、私はメイクデビューに勝った後、トレーナーちゃんを初めてタっちゃんへ乗せドライブしたビーチにやってきた。人一人いないビーチは真上に上がった日差しをキラキラと反射し……反射し……。
沖に、何か浮いている。ウマ娘でなければ分からないほどわかりにくい赤いソレは、トレーナーちゃんのよく着る部屋着?
≫28IFバッドエンドマルゼンスキー21/10/01(金) 20:58:04「トレーナーちゃん!!!」
ワンピースを脱ぎ捨て下着姿になって抵抗をなくし、海に飛び込む。海は冷たい。いっそただのゴミが浮いていて欲しかった。勘違いで私が風邪をひくだけであって欲しかった。
「あ……ああああ!!!」
浮いていたそれは、ウマ娘だった。私の目に、間違いはなかった。抱え込んで、砂浜へ戻る。
「はっ……はぁ……はぁ……」
肺が限界を超えて空気を求めている。でも、それどころじゃない。胸に耳を押し当てる。いつから呼吸をしてないの。いつから、心臓が動いていないの!?
見知らぬ栗毛のウマ娘。でもわかる。魂が、この子がトレーナーちゃんだと叫んでいる。
パーカーを脱がせ、細い体に手を置き心臓マッサージをする。人工呼吸をして、また心臓マッサージ。動いて、動いて!動いて!!
「起きてトレーナーちゃん!!」
「ゴホッ!!」
「トレーナーちゃん!!?」
頬を叩いても反応はない。でもしっかり呼吸をして、心臓も動いている。生きている。奇跡だ。もし神様が起こしてくれたんだったら、私は毎日お祈りを捧げるだろう。濡れたパーカーをそのあたりに放り捨てて、私のワンピースでトレーナーちゃんを包み、タッちゃんに乗せてシートベルトを締めた。110番をする。
『事故ですか?事件ですか?』
「急病人のウマ娘がいるの!!どこか病院に連絡して!!」
『落ち着いてください。そこはどこですか?』
「神奈川の〇〇海岸ビーチ!!」
『……近隣に〇〇救急病院があります。救急車を待てませんか?』
「駄目!一刻を争うの向かうから連絡を入れておいてね!!」
〇〇救急病院のルートを携帯で検索し、道を覚える。ドライブをしにきていてよかった。最短ルートがわかる。安全にトレーナーちゃんに負担をかけないように、それでも最速で走った。
「大丈夫トレーナーちゃん。あなたは偽物なんかじゃない、あなたは私の、私だけのトレーナーちゃんよ……!」
間違えてしまってごめんなさい。もう間違えないから、あなたはあなただって、私が証明して見せるから。
「だから頑張って……!私がずっとついているから!あなたの未来は────────」
その時、衝撃と轟音に意識が塗りつぶされる寸前、私の視界に映ったのは、信号無視をして飛び出してきたトラックの横っ腹だった。
おしまい
≫80フクトレSS 1/521/10/01(金) 21:09:41違和感があった。
そりゃいきなり男からウマ娘になったんだ、全身違和だらけだ。
ただ、それとは違う、けれど言語化できない違和感が。
諸々の書類手続きは驚くほどスムーズだった。先人に感謝だな、と思いながら、血まみれの部屋と脚を想起し、行き過ぎた思考を振り払う。あれは袋小路。道標が無かったゆえの一つの結末。今は違う。アイツは歩けるレベルにまで回復しているし、担当との関係だって良好。怪我の功名といえば不謹慎そのものだが、むしろ以前よりも深まった、ともいえる。そして、既に出ていた数通りの前例から、学園のウマ娘化したトレーナーへのサポートは以前では考えられないほどに充実している。
では、俺はどうだ?
鏡を見ながら思う。
俺の担当に瓜二つの、しかし愛想の一つもないような顔は、客観視しても浮かない顔をしていた。
迷い。
別にウマ娘化したことについては悩んではいない。既に上手くやっているトレーナーたちを見ているし、要領のいい方だとも自負している。だが、自分のケースは聊か特殊が過ぎる。俺は、この貌で、どうフクと接すればいい?
いっそ、この身体に心まで塗りつぶされていたならどれだけ楽だったかと、そんな危険な仮定に足を踏み入れかけ、慌てて朝の支度を再開する。これじゃ情緒不安定じゃねぇか。いや、その通りか。
シャツのボタンをかけ、ジャケットを羽織る。違和感。
ジャケットにおかしなところはない。体を採寸し、それに合わせて発注したもの。学園の厚意で、ジャケットもシャツも依然と同じ右前のものと、女性用の左前のものを選ぶことができる。なぜか和服を着ているやつと、なぜか自費で女装しているやつと、皇帝のお手付きとなった彼女以外は、今のところ全員右前のものを着用している。ジャケットをほぼほぼ着ないやつもいるが。
だから、ここに以前との違いはない。胸の違いなんて些細なものだろう。得意げな笑みを思い出して不思議と少しイラっとする。
もしかしたら、ここに俺が俺であった理由もあるかもしれない。そんな曖昧で感傷的な推測を行ったことを自嘲しつつ、外へ出る。≫82フクトレSS 2/521/10/01(金) 21:10:13「トレーナーさぁん!今日の運勢は大吉でしたよ!!」
そういって尻尾を振りながら今朝の占いを報告してくるフク。そんな以前と変わらないルーティーンにも差異は生じている。
良い運勢だったなら決まってフクは俺に撫でられに来ていた。軽く頭を下げて差し出して。だが今はそんな素振りを一切見せない。この姿に、そして同じ目線で撫でられるのが“堪える”のだろう。フクは、“俺”を見ようとしてくれている。だから、俺も“俺”を見せなければならない。
「おーそーか。だったら絶好調ってことで坂路追加しとくか?」
「ギエッ!!やめてくださいよ!」
「冗談だ。うし、じゃあ始めるぞ」
以前は横に並んで上機嫌に鼻歌を歌っていたハズのフクは、いつのまにか俺の後ろを歩くようになっていた。
トレーニングは滞りなく終了した。ただ、やはりフクの動きにはキレがない。この身体になってからというもの、時さえも止め、絶対の逃亡すら許さないとまで誉めそやされフクが有頂天になっていたあの末脚は鳴りを潜め、どこか躊躇のようなものが見られるようになった。今日は特にだ。
他のウマ娘になってしまったトレーナーたちは併走をしてみたり、自分の走行体験を活かしてみたりと強かにこの状況をトレーニングに役立てているらしいが、俺には出来ない。一緒に肩を並べて歩いているだけでも揺らぐような俺たちの関係において、俺が走るということが一体どれほどの影響を与えるのか、それを測りかねている現状では、フクの前では勿論、人目がある場所で走る事を躊躇っていた。
わかっている。俺は怯えている。そして、怯えている俺にフクは躊躇している。
ウマ娘の足を引っ張るトレーナーなど言語道断。……契約解除?いや、この姿の俺がフクのそばを離れたらそれこそどうなるか。枷。それも棘のついた。外せば傷が開くような。
「あの~……」
そんな自己嫌悪に陥っている俺は、フクが歩み寄っていることさえ気づかなかった。
「あ、ああ。すまん。今日のトレーニングはこれで終了だな。明日はオフだろう。しっかり体を休めて……」
「そのことなんですが」
「明日、……一緒に出掛けませんか?」
フクが、歩み寄っていることさえ気づかなかった。
≫83フクトレSS 3/521/10/01(金) 21:10:39比較的学園の近くにあるため、生徒もよく訪れるという大型ショッピングモール。
かくいう俺も以前はフクにここに連れられいくつもの幸運グッズを押し付けられていたが、この姿になってからは一度も来たことが無かった。
「ほら見てくださいトレーナーさん!ありがた~い七宝つなぎの柄ですよ!!これならスーツにも無難に合わせられそうですね~!」
「確かに大分マトモな柄だな。……色が金と銀なことを除けば」
「何を言ってるんですか!七宝なんですから金銀はむしろ厳か~ですよ!あっ!あの麻の葉柄も良いですねぇ~!!」
訪れたのはウマ娘になる以前も来たことがある、ビジネス用品店。柄と色に負けないほどに自己主張を強く展示されたネクタイたちを前に、一層目を輝かせたフクが興奮している。
ウマ娘化したトレーナーたちは担当に連れられ、女性用の服飾店などで着せ替え人形にされることもあるらしい。そんな色気もなく、こうして俺のスーツに合うアクセサリを選ばれている。健全な関係といえば聞こえはいいが、代わり映えがしないとも言う。しかしそんな関係を望んでいるのは俺だ。……フクは、そうなのだろうか。この店を選んだのはフクだが、一緒に出掛けるよう誘ったことと言い、俺のために、そして彼女のために無理をしていないだろうか。
「……スズカさんに聞いたんです」
そんな思考の螺旋に落ちそうになったとき。フクが突然口を開いた。
「もしトレーナーさんがウマ娘になったら何をしたいですか?って。聞いてからアレ?これ大分失礼な事聞いてます?とも思ったわけですが。スズカさんは優しいので笑いながら答えてくれました」
『……きっと、変わらないと思うわ。だって、私を選んでくれて、私が選んだトレーナーさんには変わりが無いから。走りの相談をして。一緒にお出かけをして。練習の相談をして。おいしいものを食べて。レースの相談をして。……私が、トレーナーさんと一緒に過ごしたいから』
「ああそっか、ってなりました。やっぱり私はトレーナーさんをいっぱいパワースポットに連れて行って、トレーナーさんにいっぱい幸運グッズを差し上げて、トレーナーさんといっぱい笑っていたいなって。」
「だって。トレーナーさんは“運命の人”ですから」
≫84フクトレSS 4/6(変更)21/10/01(金) 21:11:32ああ。そうか。俺はフクの“運命の人”でいていいのか。
フクは俺にそういてほしいと思っていてくれていたのか。
なら、することは一つだ。
「で。今回はいくつ買う予定だ?」
「エ、エートデスネ……これ全部……っ……は流石にダメですし~……」
「……しっかり選んだなら、着けてやるから」
「……エ?ほ、本当ですか!!言質取りましたよ!?むっふっふ~!!」
フクは嬉々として商品に向かい直す。きっとこのネクタイも以前と同じく際限なく増え続けるんだろう。だが、それでいい。それがいい。フクが、これでいいといってくれたのなら、いくらでも溜め込んで、いくらでも着けられる気がした。そうしてフクから目を外し、店の棚に目を滑らせたところで。
ああ、これか
見つけた。欠けていたピースを。
学園に戻ってきて。フクは当たり前のように戦利品を俺の部屋に置きに来ていた。今回ばかりは好都合だ。うきうきで包装を外して当然のように棚を開けてきれいに並べ始めたフクを尻目に、俺は目的のブツを見ていた。
「……なぁ、フク。お前、裁縫得意だったよな」
「え?そうですねぇ。この前いただいた勝負服のアレンジのために用意したポーチは私が用意したものですし……そ、そういわれると得意、といっていいんですかね~。むふふふふっ」
「そっか」
密かに取り出していた裁ちバサミを手に立ち上がる。どのくらいで切れるのか分からなかったから一番デカイハサミにしたが。フクキタルがギョッとした気配がする。
そして。
≫85フクトレSS 5/6(変更)21/10/01(金) 21:11:54前に着ていたスーツのボタンを、外し始める。
ハサミを動かす音が、そして糸を切る音だけが部屋に響く。訣別の音だろうか。違うな。これは、執着と、覚悟の音。できるだけ丁寧に、傷をつけないように細心の注意を払いながら。
作業が完了し、成果物を少し指先で撫で、フクに振り向く。
「このボタン、あのスーツに付け替えてくれ」
フクがかつて俺に押し付けた、クローバーがあしらわれたボタン。俺が、“俺”であった証明。
フクは少しの間ぽかんとしていたが、やがて満面の笑みを浮かべた。
「……任せてくださいッ!!!」
≫86フクトレSS 6/621/10/01(金) 21:12:18シャツのボタンをかけ、フクの選んだネクタイを着け、ジャケットを羽織る。体に馴染む。
以前と同じ右前のシャツとジャケット。そして、以前と同じボタンに新しいネクタイ。
胸の違いなんて些細なものだろう。やはり得意げな笑みを思い出して不思議と少しイラっとする。いかんいかん。これでも大きい方、時々スズカの視線が突き刺さるんだ。……スズカのトレーナーまでウマ娘になって、もしスズカより大きかったらどうなるんだろうな。
そんなやや不謹慎な妄想をする余裕があることに満足しつつ、外へ出る。
「トレーナーさぁん!今日の運勢は大吉でしたよ!!」
そういって尻尾を振りながら今朝の占いを報告してくるフク。そんな以前と変わらないルーティーン。
俺は、袖のボタンを見せるようにしながら、視線を外して。
「そうか、そいつぁよかったな」
フクの頭を撫でる。
一瞬目を細めて、しかしいつもの笑顔を浮かべて「むへ、むへへへへっ」となんだかよくわからん笑い方をする。
そうだな。少しずつ。
一昨日まで俺の後ろを歩くようになっていたフクは、俺の隣を鼻歌交じりに歩いていた。
≫106二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:19:07『実家』
「そういえばみんな年末ってどうすんの」
「一通り仕事が済んだら少しの間実家に帰るつもりですわ」
「えっ…勇気ありますね…私たち全員姿が大きく変わっていますけど…?」
冬の寒さが堪える日々、今日も今日とて卓(ちょっとでかいこたつ)を囲んで飲んでいる5人。あの日撃沈したブラトレ、マクトレ、ルドトレの3人はだいぶ自重した飲み方だ。
さすがに冷蔵庫を埋めるレベルの酒はだめでしょという話になったので、オグトレブラトレが作る酒のつまみとともに晩酌を楽しんでいる。
「俺も1~2日くらいは帰るかなあ。せっかくだからブライアンと旅行ってのもありかって思うけど」
「旅行…ルドルフ…うふふ…」
「いけませんわこの天然魔性、また変なこと考えてますわ!」
「適当に飲ませておきなさい、飲みすぎないくらいだったらまだ静かですよ」
「オグトレさんはどうするんよ?」
「私はどうしましょうかねえ、ブラトレさんみたいにオグリとプチ旅行というのもいいかもしれませんね」
「だろー?地元の旨い肉を食べさせるってのも乙なもんよ」
「素晴らしい発想ですね。ネイトレさんはどうなさいますか?」
「私は…うーん…ううううーん…」
悩む。姿が変わったことを親に報告した時も、たとえどんな姿だとしても私たちの娘だからと受け入れてくれたのだが、それでもこんな姿を見せていいのだろうか…
≫109二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:19:24「あーまたネイトレさん悩んでるな?難しいこと考えずに突っ込んでから考えてもいいと思うぜー」
「突発変化後ノータイムで担当に連絡入れたアホは黙ってくださいまし?あなた親にも数日くらいで連絡したらしいじゃありませんの」
「だってよー、悩むより行動してたほうが俺の性に合うんだよ。ネイトレさんはちょっとしたきっかけさえあれば動けるんだと思うけどなあ」
「というかマクトレさんも予兆感じ取ってすぐに服を購入するくらいにはガンギマッてたらしいじゃないですか…」
ネイトレがドン引きする。実際数多くのトレーナーがウマになっても事前に準備してくるなら来いしてきたやつはそうそう居ない。
「そりゃそうだろ、マックイーンのためだからな」
「おいこいつまたトレーニングモードになってんぞ。のめのめ」
「んぐぐぐ、むりやり缶をおしつけるのはよしてくださいまし!冷たい缶がぬるくなりますわ!」
「うふふふー、ルドルフー…すーすー」
「あっ寝ちゃいました…」
「仕方ありません、ブラトレさんソファ借りますよ」「ほーい」
「ごくこぐぷっはー。まあ、親には早めに顔を見せたほうがよろしいですわよ?ネイトレさん、その口ぶりからすると電話もまだしていないようですし」
「うう…」
「…まあ別にやりたくないってんならやらなくてもいいとは思うぞ、俺は」「いや…でも…」
「悩んでるってことは行きたい気持ち半分、躊躇する気持ち半分ってところだな!よしネイチャに連絡だ」「えっちょっと」
「『温泉旅行券ネイトレに渡したからお正月に楽しんできてね!』よし送信」「ええっちょっとちょっとちょっと!?」
「あ、温泉旅行券ならメジロのほうで明日には用意できますわ」「でかした」「ああああぁぁぁ…」
「ところでネイトレさん、地元は?」「え…えっと…その…○○…」「ではそちらのほうで用意しておきますわ!」
ものの数秒で埋め立てられる外堀、塀にはすでに大きな穴が穿たれている。爆速で出来上がった本丸包囲網。にげられない。
「あ、ネイチャさんからの連絡は?」「もう来た。『マジですか?ありがとうございます!』だって」「うわあああああ!」
包囲完成。ネイトレは泣いた。≫111二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:19:37「泣かないでネイトレさん、この程度で泣いていてはいざ実家に帰るときもっと大変なことになりますわよ」
「なんで余計追い詰めるのこのマックもどきは」
「うう…でも…本当に受け入れてくれるのでしょうか…?」
「…俺が実家に連絡したときどういう感じになったか知りたい?」「…後学のためにも」
「『えーっどういうこと!?ちょっともっと詳しく説明しなさい!っていうかさっさと顔出しや!どれくらい可愛くなったか見せなさい!アッお前変な奴につかまってないだろうな!っていうか実家帰るの遅くない!?お盆の日にも帰ってきなさいよ!あっ似合う服買いに行くから覚悟しなさい!』っていう感じで」
「…あなたの親も大概うるさいですわね?」「まあそんな家庭だからな!」
一息ついて、軽くチューハイを口に含む。
「ま、そんなわけでブライアンからもちょっとの間くらいは戻っておけって言われたんで戻ったらまーもみくちゃにされるわやたらかわいくなりやがってこんちくしょーと兄貴と姉貴に頭ワッシャワッシャされるしお前記憶の祖語はないな?1+1は?とか言われたし…」
「だいぶ愉快な家庭ですねえ」「まあ仲いいからな!まあそんな感じでさらっと受け入れられたわけよ」
「そういうもの…ですか?」「そういうもんなんだよ、親も兄姉もなんだかんだ俺のこと心配してたっぽいからな。電話もできてないとなると絶対心配してるはずだ」
「………」
「一回くらいは、良いんじゃなあいかい?担当もいるんだしさ」
「…わかりました。逃げるばかりというのもネイチャに悪いですからね…一度、帰ってみます」
「不安になったら姿が変わっても変わらずにいてくれた担当のことを思い出せばいいぜ!」
そうして年末の夜は更けていく。
後日、ネイトレの両親とネイチャ、ネイトレの幸せそうな1枚の写真が、4人のスマホへと送られた。
≫120二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:24:56ではそろそろ
ファイトレとキタトレの茶会
キタトレが用意した緑茶を頂きながらふとぼやく
「最近、どうにも面倒ごとに巻き込まれてる気がする・・・」
「あら、そうですか。それは大変ですね・・・」
「ああ、ちょっと前は媚薬騒動にかりだされ、ライオンのお仕置きにもまきこまれてな、しかも最近またゴルトレの鎮圧にも働かされるし。仕事柄、こういう無理は慣れているがそれでも嫌な話だ・・・」
「それは・・・」
「いやすまない、愚痴る内容ではなかったな」
「いえいえ、お気になさらず。お茶、追加しますね」
「ありがとう。しかし美味しいな・・・」
「何、昔取った杵柄ってやつです。」
「そうか・・・眠い・・・」
「眠たいですか?」
「…お前、盛ったな・・・」
「はて、何のことやら」
「チッ!・・・zzz・・・」
「―――ええ、あなたの担当の頼みで。」
彼女をソファに運び、去り際に一言「ごゆっくり」
≫128ガンギマリ頭スズトレ21/10/01(金) 21:27:07長編四部作、外伝 『変わらないもの』
「…と、いうことで今日だけは私の奢り。好きなだけ食べていいよ、2人とも。」
「だって。どうする?フクトレ。」
「よし、全種類頼むか。ウマ娘3人でなら行けるだろ。」
「ごめんそれだけは許して…」
2人の容赦ない要求によって、私の手のひらは急回転を強いられる。怪我明けとも言うべき人にやらせる事じゃない。
今日は12月初週の土曜日。私とグルトレとフクトレの3人で決まって外食する、ウマ娘化する前から続くお決まりの日だった。
「っていうか2人ともひどくない!?私一応まだ立ち直ったばっかだよ!?」
「まずお前が奢るとか言い出すから急に悪いんだろーが。」
「そうそう。スズトレは私たちに迷惑かけたって思ってるのかもしれないけど、私もフクトレも全然そんなこと思ってないからね?
どっちかって言うと私たちに相談しなかった事に怒ってる。」
ムスッとしながらグルトレが続ける。
「スズカに話さなかったのはいらぬ心配かけたくないからだとしても、私たちもう結構長い付き合いだよ?私たちくらいには話して欲しかった。」
「…フクトレも?」
「…そうだな。誰だって身近なやつの異変に気づけないのは堪えるだろ。」
そう、少し溜めて言った。…ああ、かえって心配かけちゃったなと今になって思う。
「…ありがとう、2人とも。私の事心配してくれて。」
「…へへん。」
「それでいいんだよ。」
私のその言葉を聞いて、2人は各々満足そうな反応を見せる。
謝罪と感謝を、同じ謝という文字が入ってるのだ、なら言われて嬉しい方がいい。私の新たな教訓の1つだった。
「でもとりあえず今日の注文役は私がやるよ。それくらいはいいでしょ?」
「うん!とりあえずいつもの揚げ物として…私は今日はお茶漬けで!」
「んじゃあ俺はうどん。結構食ってなかった気がするしな。」
「わかった。すみません、定員さん!!」
≫129ガンギマリ頭スズトレ21/10/01(金) 21:27:37「実はね、グルーヴに好きって言ってもらったの。」
「「は?」」
唐突にグルトレの口から放たれた爆弾発言にフクトレと共に絶句する。
「2週間くらい前だったかな?グルーヴがハンドクリーム持ってきてくれたんだけど出しすぎちゃって。そしたらグルーヴが指絡めてくれてね?そこからちょっと意識し始めたの…それで確か今週の月曜だっ…」
「あーもういいもういい!食事が甘ってるくなる!!」
「え?いや確かに甘ったるいけどご飯の味は変わらなくない?」
「スズトレはボケにボケを重ねるんじゃねえ!!!」
フクトレの叫び声が室内に響く。
「えー、でも私なんかまだマシじゃない?ルドトレと比べたらだけど。」
「…困った、否定できねえ。ヘルプ。」
「よく考えて…ルドトレさんよりひどい人、いる?」
「「…いない…」」
ふたりの納得の声を聞き、私がふんっ、と鼻を誇る。
「…あ、飲み物無くなった。」
「俺もだな。さっきと同じのでいいぞ。」
「ねえねえ2人とも、酒飲んでいい?」
「俺は介抱しねえぞ。」
「泣き上戸という名の惚け話に付き合わされるの気持ち考えて?」
えー!!とグルトレが不満そうに漏らす。
街の一角、小洒落た居酒屋、その一室。
──そこには確かに。変わらないものがあった。
≫152二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:34:14駄文失礼します。
ウマ娘になって7日目。今日が最後の休みだ。休み過ぎたのと身体がガラリと変わって、これから上手くいくか分からないが、ともかく明日からいつもの日常が始まる。名残惜しいけれど、別にお別れって訳じゃない。前のように、トレーニングして、色んなことを話して……
「1週間の同棲生活もこれで終わりか…今思うと名残惜しいね。」
けど、やっぱり寂しい。彼女のいない生活は寂しい。
彼女の寝顔が誰かに見られると思うと、胸の奥が酷く痛む。
けど、何事にも終わりがある。今回は特例中の特例だった。もう、特例は終わっている。…はずだった。
≫153二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:34:57「…? アタシ、これからもここで生活するけど。」
「…へ?」
「もうフジキセキには連絡したし、許可も取った。これからは、アタシもマルゼンスキーとかと同じように一人暮らし扱い。明日は、荷物運ばなきゃだから手伝ってね。」
じゃあ、それって……
「でもそれって特例じゃなきゃ許可されないんじゃ…」
「だから、その特例。アタシの朝の弱さとモデル業。両方加味した結果、特別に許可降りたんだって。」
…そっか、これからもシチーと一緒の生活を遅れるんだ。
「アンタ、そんなに嬉しかったんだ。」
…どうやら、知らぬ間に口が緩んでいたようだ。
「うん、嬉しい。嬉しいよ、シチー。」
「…あっそ。」シチーはそっぽ向いた。照れているんだろう。
「そんなこと言って〜、シチーも嬉しいんでしょ?」
「うっさい!ウザイから!そういうの。」
私が、シチーの顔を見ようと回り込むとシチーに頭を抑えられた。よっぽど照れた顔が見られたくないらしい。可愛い子だ。
≫154二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:35:51「…さて、そうはいってもじゃあ最後の日だし。」そうだ。私もシチーもなんだかんだで忙しい身。この休みが終われば、こんなにゆっくりしている時間はない。だから。
ふたり、溶け合うようにキスをして。
ふたり、火照った身体を重ねて。
「ふたりで、とことん。楽しも?」
もう少し、彼女と浸り合おう。
以上です、ありがとうございました。
これにて、1週間編は終わりです。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part108【TSトレ】
≫16中和剤マルゼンスキー21/10/01(金) 21:53:13「よーし、今日はマルゼンスキーとゲーム実況するぞ」
「ここに話せばいいのかしら、ハァイみんな!マルゼンスキーよ!」
「よし、今回はフクトレに渡されたデッドヒートランズってのをやるぞ。レースゲームだからマルゼンスキーにはぴったりだな。コメント読みはマルゼンスキーにお願いするぜ。
『あっ(察し)』『マルゼンスキー先輩既に耳栓の準備しててワロス』『がんばれマイク』『今日はマイクぶっ壊れないといいな』『イヤホンで聞くのやめるわ』
「トレーナーちゃーんみんな応援してくれてるわよー!」
「よし、マルゼンスキーにもいい所見せないとな!」
「ぎゃあ゛!?あ゛ま゛って゛!フ゛ク゛ト゛レ゛後で覚えう゛あ゛!?う゛わ゛あ゛あ゛ぁ゛ん゛!!た゛す゛け゛て゛マルゼンスキー!!」
「私はここにいるわよ、トレーナーちゃん♪」
「だぎじめ゛で!ぎゅーーって゛じででぇ゛ぇ゛」
「はーいお姉さんにお任せ、怖くない怖くなーい」
「……だめだごわ゛い゛!」
≫34バクトレ、水着を選ぶ(1/1)21/10/01(金) 21:59:38「ねえ、バクシンオー」
「ハイッ!何でしょうトレーナーさん、質問があればお答えしますよ!」
「じゃあ遠慮なく……そのカゴの中で山になってるのってもしかして」
「ああ、これですか……ふふん、優秀な私にかかれば、この程度夕飯前ですとも!」
「それを言うなら朝飯前じゃないかな……じゃなくって」
「ええ、お答えしましょう!ズバリ!今年新たにデザインされた、水着、ですッ!」
「……で、これ誰が着るの?」
「え?もちろん、トレーナーさんですよ」
「僕?いや僕は泳がないしいらないんじゃ」
「いいえ!水辺での皆さんの安全をお守りすることも大事です!」
「学級委員長の仕事じゃないの?」
「生徒たちはそうでしょう。しかしトレーナーの皆さんの安全はトレーナーさんが守るのです!」
「ええ……」
「それに、丁度私も水着を新調しようかと思いまして。それなら一緒にトレーナーさんも、と」
「これなどどうでしょうかトレーナーさん!とても動きやすそうです!」
「いくら何でも小さすぎでしょ、ダメダメ」
「むむ……では、こちらはいかがですか!バクシンしやすいデザインではないでしょうか!」
「うーん……いやこれもちょっと恥ずかしいな……もっとこう、肌の隠れるやつがいい」
「成程……そうなるとこれでしょうか。露出、動きやすさ、バランスを考えるとこれが一番かと」
「あー……うん、まあそれでいいよ」
「了解です!店員さーん!サイズをお伝えしますので、これと同じデザインのものをもう一つください!」
「え?もう一つ?」
見たまえトレーナー君。
彼女は無意識にやっているようだが、あれは心理学でいうところの「ドア・イン・ザ・フェイス」というやつだね。
まず本命より受容の難しい要求をし断らせ、その後やや受容しやすい本命の要求をすることで
相手に「さっき断ってしまったし、さっきの要求に比べればマシだし」と受容させやすくなる効果のことだ。
まあ、君はどんな薬を持って行ってもすぐ飲んでくれるから、あまり使ったことはないがね。
≫39スズテイ柔軟教室(1/1)21/10/01(金) 22:01:54「テイオー様とスズカの柔軟教室だぞよー!」
「えっと……よろしくお願いしますね」
スズカに「体を柔らかくしたい」と頼んだら、何故かテイオーとテイトレがついてきた。
「スズカ……その、なんで2人も一緒に?」
「私一人でトレーナーさんに教えられるかな、と不安で。体の柔らかなテイオーに相談したんです」
「面白そうだし、ボクのトレーナーのリハビリにもなるかなって!」
「そういう訳で、お邪魔しまーす」
「ああいえ、賑やかな方が楽しいでしょうし。歓迎します」
~🕒~
「トレーナー、もう少し……そのまま……よしオッケー!大分良くなってきたね!」
「ありがとう。テイオーが支えてくれるからかな」
「にっしっし。もーっと褒めるがよいぞよ!……でも、トレーナーの頑張りあってこそ、だよ」
「ははは。それなら、ますます頑張らなくちゃ……本当に、ありがとう。テイオー」
「私たちも負けられません。さあトレーナーさん、あと少し頑張りましょう」
「いやいやスズカいきなり股割りはちょっとこうもう少し段階を踏むとか」
「大丈夫。トレーナーさん、私にそっくりですから。きっとできます」
「いだだだ似てるから大丈夫とかじゃなくて順序っていうのがもう無理あががが」
スズトレの体力が15減った
スズトレの根性が10上がった
「押し切り準備」のヒントレベルが1上がった!
≫40しじまの夢に何を見る(1/3)21/10/01(金) 22:04:16「私が、アドバイスを?」
「ハイッ!先日のジャパンカップ、素晴らしい走りでした!」
「あ……はい。ありがとうございます」
「そこでっ!バクシンロードをゆく者としてぜひ!あの走りを参考にしたい!」
「ええと……?バクシン、ロード……?」
「序盤から誰より前をいき!終盤更に加速する!まさに模範的、優等生の走り!」
「その、バクシンオーさん、一度落ち着いて……」
「なにとぞあの走りの極意を教えていただきたいのですッ!!」
「トレーナーさん。どうしましょう」
「まあ、作戦は同じでも距離適性は違うし。少しくらいならいいんじゃないかな」
「え……いいん、ですか」
「スズカ自身の走りを見直すことにも繋がるだろうしさ」
「…………!そうですね。では」
「うん?……まあいいか。くれぐれも、少しくらい、でね」
≫41しじまの夢に何を見る(2/3)21/10/01(金) 22:05:19「本当に……すみません、スズトレさん」
「バクトレさん……いえ、スズカ自身にも、きっといい経験になるでしょう」
「と、いうと?」
「勝ったときのイメージをなぞって、具体的にする。基礎の基礎ですが、だからこそ」
「成程……レースの様子は見させて頂きましたが、あの勝利、あの走りは素晴らしかった」
「ええ。あの走りを更に磨けば、スズカは今より更に、誰よりも速くなれます。必ず」
「自分の中の良いイメージを具体的にし、それを相手に伝える。成程、参考になります」
「私なんかでお役に立てたなら、嬉しいです」
「ご謙遜を。トレーナーとして、まだまだ学ぶべきことが多いことを痛感していますとも」
「……トレーナーとして……学ぶべきこと……ああ、そういうこと」
「スズトレさん?どうしましたか、眉間を抑えたりして。もしや頭痛でも」
「いいえ……大丈夫です。……いい加減、ハッキリさせなくちゃ。スズカの為にも」
年の瀬迫る、ある日の邂逅。
世界を置き去りにした逃亡者は、世界を拓く桜の王へとその景色を語る。
或いは自身の研鑽の為、或いは誰かの教導の為。
しじまに燻ぶる夢の灯が、いずれ昇る朝日のしるべとなることを信じて。
≫42しじまの夢に何を見る(3/3)21/10/01(金) 22:06:08後日、トレーニングコースにて
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……うーん、スズカさんに教えていただいた走りの極意、中々に手強いですね」
「バクシンオー、一つ提案があるんだ」
「おおっ!現状打破への策ですか!トレーナーさん、発表をどうぞ!」
「うん。スズカに教えてもらったことだけど、一旦忘れないか」
「ええーっ!?どうしてですトレーナーさん!折角教えていただいたことを無碍にするなど……」
「スズカは確かに速く強い。でも、それはスズカだからだ。他のウマ娘にはない強さなんだ」
「ええ、それはそうでしょう。皆があの走りをできるなら、あのレースは成立しませんでした」
「ウマ娘にはそれぞれ、自分だけが持つ強さを活かせる走りがある。もちろんバクシンオーにも」
「当然です!私は学級委員長として、皆の模範になるような走りを心がけていますから!」
「だから、バクシンオーが一番輝ける走りを追求したい。そして皆に、教えてあげてほしいんだ」
「ふむふむ……聞きましょうっ!ずばり、私が走りを通して皆に教えるべきこととは!」
「ただ誰かの真似をするんじゃなく、自分だけの強さを探して輝くこと。その素晴らしさを!」
「……バックシーン!!素晴らしい!流石はトレーナーさんですッ!バクシン的花丸を差し上げましょう!」
「とはいえ、折角の教えだ。僕の方で研究しておきたいから、どんな極意だったか教えて」
「もちろんですとも!スズカさんがいうにはですね……」
届く誉を桜に染めて、王は道なき荒野を拓く。
杖導くは王道でなく、しかし正しき道をゆく。
皆を導く標を目指し、己が信ずる大臣と共に。
(了)
≫51二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:10:33今回のお題は怖い話だったな
タマトレ「近くにある〇〇心霊スポットはヤバいぞ。霊感のある無しに関わらず気軽に行かない方がいい、自衛官時代の同僚が2人大怪我をして帰ってきた事がある」
タマ「知らんかった...そんなにヤバいんか」
タマトレ「ああ、熊が出るんだ」
≫52二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:12:00
ファイトレ「怖い」
ケツカフェ「怖いですね」
ドベトレ「怖いな」
≫58二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:15:26お目汚し失礼
「んぇっ……あっ、え?」
がばり、と跳ね起きる。
ここは見慣れたトレーナー室。
通常授業が終わって、いつもならハヤヒデさんが来るだろう時間で、
「やっべ……寝落ちってた?」
あれ、なんか声めっちゃカワいくなってない?俺、カッコいいイケボ(自信過剰)の筈なんだけど。まあいいや。
「なんか、おかしな夢見てたような、うーん?」
つか、落ちる前なにしてたっけ?
確か、ハヤヒデさんが気にしてた海外の資料届いた翻訳してたんだっけ?あ、散らかってる。片付けないと。
あれ、なんか手ェちっちゃくなってない?シラウオみたいじゃん華奢指かよ。まあいいや。
もうハヤヒデさん来るし。あ、ほら、いま、
「すまない、トレーナー君、少し遅れて……しま、って」
「こんにちは、ハヤヒデさん、時間通りだよ……って」
現れたのはふわふわの葦毛が今日も今日とてチャーミングな、赤いアンダーリムのメガネを掛けたウマ娘、ビワハヤヒデさん。インテリジェンスに溢れた金色の瞳は、なぜかまん丸に見開かれている。かわいいね。
いや、てか、あれ?
「……ハヤヒデさん背ェ伸びた?」
「デカくなってなどいないが?あ、いや、うん……この場合、君が縮んで……いや、小さくなったと言うべき、じゃないかな?」
なんとも、困惑している、と言わんばかりのハヤヒデさんである。
てか、いや、小さくなるって、ははは、ヤダなあ。俺ってば177の爽やかナイスガイ(主観)よ?邪神に呪われでもしない限りちっちゃくなるなんて、そんな、そんな・・・。
「!?!?!?」
「ト、トレーナー君!?」
がッッッ、と、姿見に飛び付く。その動作もなんか、いつもよりもずっとずっと俊敏なような気がして。
そして姿見には、
「ウ、ウワーッ、プリティーッ!!」
「いやっ、そんなおざなりな悲鳴でいいのかトレーナー君!?」
そこには、長いサラッサラ金色ヘアーの、耳の大きいウマ娘がいた。
うわぁ、月毛だこれぇ……。
俺、ウマ娘化してるぅ……。≫69二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:21:01「……大丈夫かい、トレーナー君?」
「大丈夫、大丈夫……アイアムホウショウツキーゲ……はっ、いや大丈夫、うん」
なんて言ってはみるものの、ハヤヒデさんは不安そうだ。
そりゃあそうだろう。自分の見知った人物が、まるっきり別人に変わってしまったわけだから。
「………」
もう一度、姿見に目を向ける。
そこに映る、ウマ娘と目が合う。
うん、我ながらすごい美少女ウマ娘っぷりである。サラッサラの金髪は言わずもがな、瞳まで金色だし、睫毛もバシバシだし。いやでもハヤヒデさんのほうがかわいいな。
てか、よく見たらこれだいぶ俺では?パーツそのまんまに性別だけ変えました~、みたいな。え、なんなの?俺の美少女っぷりを喜べばいいの?それとも邪神の手抜き工事っぷりに憤ればいいの?あっ、ガン飛ばしてきやがったぞこいつ。
うん、やっぱハヤヒデさんのほうがかわいいわ。
「……。(鏡に映った自分にガンたれる)」
「トレーナー君、なにを……?」
「ちょっと待ってねハヤヒデさん、あいつ(自分)ガン飛ばしてきたから」
「……ああ、うん。いつもの君のようだな……」
苦笑いするハヤヒデさん。よかった、少し表情が和らいだ。
二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:27:56
筆止まんないのん
「てか、これ、俺は大丈夫な訳だけど、やっぱりたづなさんや理事長に報告したほうがいいのかなぁ?」
「ではないかな。タイシンやブライアンのトレーナーがウマ娘化した時も報告に言っていた筈だから」
「……むぅん」
「報告、連絡、相談はヒトウマ問わず組織に属するものの義務だぞ、トレーナー君。なにか問題でも?」
ウマ娘になってしまったのだから、これはもう仕方ない。
なら、当面、ハヤヒデさんにも迷惑をかけないために、偉いヒトに指示を仰ぐのはなにも間違いではない。の、だが、
「これさ」
「うむ」
「報告したら間違いなくみんなにも知られるよね、プリティーウマ娘になったの」
「プリティー……いや、まあ、そうだろうな」
いまの、いやまあはどこに掛かってたんだろうね?まあいいや。
「いままでウマ娘化した連中を煽り散らかしてた分、全部俺に返ってくるよねこれ」
「トレーナー君、因果応報という言葉を知っているかい、君?」
じぃー、っと見つめてくるハヤヒデさん。ジト目もかわいいね。
いや、でも、煽るよねフツー。だって端から見てるにはめっちゃおもしろいもの。やれ、女ドラフだの、メジロソックリーンだの、ロリコンだの。
「明日は我が身、という言葉も胸に刻むべきだな」
「辞書にも赤線引いておくよ」≫93二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:33:29「たづなさんたちに報告しにいってくるね」
「うむ……いや、私も同道しよう。……うむ」
「いや、ハヤヒデさんに迷惑かけるわけには……ハヤヒデさん?」
口許に手を当て、なにやら考え込むハヤヒデさん。うーん、インテリジェンス。とても様になっている。
いや、じゃなくて、
「あの、ハヤヒデさん?……なにを考えていらっしゃって?」
「トレーナー君」
「あ、はい」
なにやら、とても真剣そうな表情のハヤヒデさん。ステキだね。
うん、じゃなくて、
「君は、秋川理事長の前に、その格好で立つのかな?」
「えっ……あ」
言われて、ようやく気付く。そうだよ俺いま美少女ウマ娘じゃん。ちっちゃくなってんじゃん。シャツ萌え袖じゃーん、かわいくないね。
や、まあ、でも、
「事態が事態だから、ジャージ目一杯袖まくり裾まくりすれば」
「よくないな」
「えっ」
ハヤヒデさん、なんて?≫100二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:38:42「事態が事態とはいえ、この学園の長の前に出るのだから、それ相応の格好を付けねば失礼だろう」
「えっ……たしかにいやまあ、その通りだろうけどさハヤヒデさん、そんな都合よくね」
「ふふふ、そんなに都合がよく都合が・・・・・・つくのだよ」
なんで?
「いやな、私の実家から衣服などが届くのは君も知っているだろうとは思うが、その中に、私にもブライアンにも些か小さいものがいくつかあってな、そう……いまの君にちょうどよいだろうものが」
「いやそれ、サイズ合うって……つか、それ女そ」
「大丈夫、いまのトレーナー君はどこに出しても恥ずかしくないウマ娘だ」
それ俺は恥ずかしいやつじゃンよ。
アカンこのままでは女装させられてしまう、と、すぐさまトレーナー室から逃走をはか……あっ、ハヤヒデさん速い、おまけに力つよーい……。
いや、てかなんでそんなノリノリで、
「ふふふ任せろ。姉ちゃんが似合う服を選んでやるからなっ」
「あっ、お姉ちゃんパワーが炸裂して……あ、待ってハヤヒデさん、ホント……あっ」
ああっ、おやめになってっ女の子になっちゃうのぉおおお!!
かくして、俺、ビワハヤヒデさんのトレーナーは、どこに出しても恥ずかしくない、膝丈のスカートが似合う立派なウマ娘としてトレセン学園にデビューしたとさ。
うまぴょう
≫116タマトレTS初日1/221/10/01(金) 22:43:08『ごめんタマ!ウマ娘になった!!』
「なんやてトレーナー!?」
朝のトレセン学園にウチの声が鳴り響く。うん朝っぱらっちゅーのによく出とる。そうやない。
「とりあえず着るもんも無いんやろ!?ウチが駆け付けとるさかい、そんまま待っとき!」
『ごめん……』
「非常事態や!そんな謝りくさんな!困ったときはお互いさまやろ!?」
念のため一回電話越しに一回励ましといてから現場に向かう。アイツ普段はカラッッッとしとるのにみょーなところで辛気臭いとこあるからな。
「悪いオグリ!今日の朝支度はクリークにでもやってもらい!」
「む……うぅむ……」
聞こえてへんか。超特急の置手紙を残してイナヅマスピードでトレーナー寮へ向かう。
「トレーナー!」
ノックと呼びかけに返事が返ってきたのを確認して部屋に入る。
正直な話。自分で言うのもなんやがチンチクリンの自分が行ったところであんま参考にならへんちゃうんかとも思っとった。
けれども目の前におったんはキレーな葦毛を肩にバッサァーやってグスグス泣いとる背の高いべっぴんさんやった。当てつけみたいにウチにクリソツやし。……これホンマにトレーナーさんかいな。いや、アカンな。トレーナーが一番不安なハズやろ。何言うとんねん白いイナズマ。お前のトレーナーや!
「タマァ!」
ズビズビしながらトレーナーが抱き着く。アカンな。本日二回目のアカンや。普段のトレーナーだったら何とも思わん、っちゅうかこんなことせぇへんかったけど、ベッピンさんに抱き着かれるとなると、こう、なんや。なんか変になってまうな。
「大丈夫やで。まずは落ち着こ。な?」
「うぅ……タマは、俺の事、こわくない……?」
「こわいわけあらへんやろ。何があったってアンタはウチの、白いイナズマのトレーナーや。……不安やったんやな。急に朝起きたらこんなベッピンさんなって」
「べ、べっぴん?」
「ああせや。案外慣れたらめっけもんかもしれへんで?……だから、泣きやも?な?」
「うぅ……ごめん」
「だからごめんは無しやって。ウチのトレーナーやろ?バーンと構えとらんとそれこそ笑われるで?」
しばらく背中を撫でる。……さっきからムズムズすんな。ほんまなんやこの気持ち。
≫117タマトレTS初日2/221/10/01(金) 22:43:31「……よーし!俺!復活!」
しばらくしてトレーナーが曰く復活した。泣くだけ泣いたら切り替えが速いのはウチも気入っとるで。
「そかそか。ほんなら学園に連絡や。色々手続とかあるやろ」
電話をして、体形なんかを聞かれて、ジャージと下着が支給届けられるんでそれで理事長室まで行けやと。クリークから聞いといてメジャー持ってて助かったわ。タッパの割に胸がペッタンなんは正直無い胸を撫でおろした。誰が無い胸やねん。
そんで連絡してから結構すぐに服一式が届いた。もちろんウチが受け取って。
「ほら、着いや。まずはこのブラ……スポーツブラやな」
「どれどれ?……なあタマ。なんか変な感じするんだけど」
「最初の内はそんなもんやろ。次第に慣れるはずや」
「えーなんかやだなぁ外していい?」
「ええワケあるかい!ノーブラなんてええことひとっつも無いで!ワガママいうんやない!」
「バレないでしょー。ジャージだし。しかも理事長室まででしょ?今日は多分特例でトレーニング休みだし」
「バレるバレないの問題ちゃうねんで!?あー!着るな着るな!いや脱ぐな脱ぐな!」
わかったわ。さっきの気持ち。これ母性や。それか手のかかる妹や。
普段からチビたちに似とるなとは思っとったけど……こんな形で思い知らされるとはなぁ。
せやけど。二人三脚でトゥインクル走り切った仲や。なんとかなるやろ。いや、なんとかしたる。
……まずはブラ着せんとなぁ……。
≫133二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:47:48こんにちは!新人トレーナーです!
昨日はボノトレさんとマヤトレさんに会いました…それだけです…遂にウマ娘とすら会えてない…
その分今日はいい事があります様に…と祈りながらスカウト再開です
そして1人で野点を嗜んでいるウマ娘を発見しました(もうこの程度じゃツッコまないぞ私)
(わぁ和服が似合う美人さんだぁ…髪が綺麗…)お茶をたてるのが絵になるなぁ…私があそこに入っていいのか分からないけどスカウトしなきゃだし…
よし、行こう
「すみません…はじめまして…」
「あらあら、どちら様ですか?」
「私こういう者でして…(名刺渡し)」
「なるほど新人さんでしたか。よろしくお願いします〜」ペコリ
「こ、こちらこそよろしくお願いします」ペコリ
≫134二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:48:02「それで御用は何を?」
「あ、はい実はウマ娘のスカウトをしておりまして…」
「あら〜それならごめんなさい。私もう担当がいまして…」
こ、ここに来てシンプルに断られた…けど今までのあれこれに比べたらずっとマシですね
「そうですか…分かりました…お茶の途中だったのにご迷惑をおかけ致しました…」
「あっちょっと待って下さい、実は今日の練習は半日だったのでこの後は予定がなくて…親睦を深める為にもこの前1度だけ食べて美味しかった和菓子屋さんに一緒に行きませんか?車で30分ほどなのですが」
「ふぇ、和菓子屋…?というかすみません…私車持ってなくて…」
「私の車で行きましょう」
「…………私の車?」
「はい〜私運転が大好きなんですよ〜」
「…女性にこんな事を聞くのは失礼なのですがおいくつでしょうか…?」
「元は23歳でしたね〜」
「………………元は?」
「実はお恥ずかしながらウマ娘化したトレーナーでして〜」
「…………ははぁ……(落ち着け私…もうそろそろ慣れろ…失望の表情を出すな………実際昼ご飯に連れて行って貰えるんだからよしとしよう)……なるほどですね!じゃあ丁度昼ごはんを食べる予定でしたしお言葉に甘えて!」
そして私達は3時間かかって和菓子屋に到着し1日を終えたのでした。
「ごめんなさいね〜道に迷っちゃったみたいで〜」
「い、いえ大丈夫です……」
道に迷ったのは仕方ないのですが…う、運転が荒い…軽く煽られただけで抜きに行かないで……
もう無理…せめてこの店でいっぱい和菓子食べて元気出そ……
明日は…明日はちゃんとスカウトしてみせる!
≫149シチトレ幻覚マン21/10/01(金) 22:55:16駄文失礼します。あと、いろいろヤバいかもなんでなんかあったら消します。
各々の反応集
シチトレの場合
「えっ、そっち?」
「いいけど、初めてだから、優しく、ゆっくり・・・・ねっ?」
結果
「うん。思ったより、良かったよ・・・」
割と柔軟
ゴールドシチーの場合
「はっ?そっち?」
「マジで変態じゃん・・・・」
「・・・ちょっとでも痛かったら、ただじゃおかないから・・・」
結果
「・・・・・・・・」
激しく乱れる
}
≫164へ い お ん!21/10/01(金) 22:59:06「というわけで!少し遅くなりましたがシャカトレさん歓迎会を開きますわ!」
「おーう!」
「いえーい!」
「おう」
「ありがとうございます」
「じゃあとはいつも通りでいいですわね」
「えっ?本気?」
「あの全員が死ぬまで終わらない戦場を新入りの前でやるのか?」
「僕は皆さんの雰囲気に慣れたいので大丈夫ですよ」
「いいのかよ」
「シャカトレが言うならそれでいーだろ、飲むぞ!」
≫165へ い お ん!21/10/01(金) 22:59:31「この前2人でマクトレさんとカフェに行った時カフェオレ1杯しか飲まなかったんですよ」
「お前担当に侵食されてないか?」
「そんな日もありますわよ!?別にいつもスイーツ求めてるわけじゃありませんわ!」
「酒は求めてるよね」
「そんなことないですわ!?今月少なめでしたのに!!」
「マリカーやるか〜!!!」
「Switch持ってきてんのか?」
「僕持ってないですね...」
「私のお貸ししますわ」
「え、いいんですか?ありがとうございます」
「わーイケメーン」
「ロリコーン!」
「は?明後日の朝刊載せますわよテイトレェ」
「うわっシャカトレつええ!?!?なんだよあのショトカ!?」
「ロジカルショトカですよ」
「よーつべでしか見た事ありませんわ...」
「勝てるわけないでしょこれ」
「うおおおおお!」
「ブラトレさん逆走してますよ」≫166へ い お ん!21/10/01(金) 22:59:58「zzz」
「本日の最初の犠牲者ブラトレー!!いえーーーー!!!!」
「やつは四天王の中でも最弱ですわ!!!」
「この程度で眠るとは面汚しですねー!!!」
「こいつも酔ったら悪ノリするタイプか......」
「はい青甲羅ァ〜!」
「あーくそフクトレのクソモード!!」
「はっ」
「ええ!?私今2位でしたのに!?!?」
「うひょー!1位から1瞬脱落して青甲羅回避するのたまんなー!!」
「マクスウェルの方程式って可愛いですよね〜!!!」
「え?」
「はい?」
「なんて?」
「色んな方程式から出てくるのが猫みたいでたまらないんですよ〜!!!」
「ええ?」
「はい??」
「なんて??」
「ダメですわ......それは私のアイテム......zzz」
「いや俺の......」
「テイトレとマクトレがダウン!俺の勝ち!」
「僕まだ生きてますよ〜へへへ」≫167へ い お ん!21/10/01(金) 23:00:17そんなこんなで3人の犠牲者を出し、ようやく宴会は落ち着いた。
残ったフクトレとシャカトレも割とデロデロによっているためか言葉にフィルターがかからない。
「マクトレさんめっちゃ飲むんですね〜」
「そーだなー、でもなんか今日多いなー」
「さすがにそうなんですねぇ〜これじゃうろぼろすですもーん」
「いやあいついつもウロボロスのぼろぼろだからなぁー」
たわいのない話をしていたところで、ふとマクトレが声を上げた。
「お前が...お前...戻っ...よか......」
そのいつもと違う雰囲気の寝言に、フクトレは気づいた。
「こいつ最近ちょっとしぼんでたなー、何かあったのか?」
「あーなんかドーベルさんとこのトレーナーで色々思い詰めてたっぽいですふふ」
「はつみみだが」
「僕この前ちょっと相談されちゃって〜、でもなんかしらないうちにかいけつしてたっぽいですね〜!」
「だからかー、だから今日こんな飲んでんのかー」
フクトレはバタンとベッドの上に倒れ、そしてウズウズとタオルケットを持って起き上がり、マクトレとテイトレにかけた。
「こいつ無敵に見えて無敵っぽい無敵だからなー」
「どーゆー事ですか〜?」
「なんかこう...無敵じゃないんだけど実質無敵なんだよな、うん」
「どーゆー事ですか〜?」
「こいつマジで凄いやつだからさー」
「どー...ゆ......」
シャカトレは崩れ落ちた。
「寝たなぁ」
フクトレは大文字になった。
「新入りひとりにするのだけは避けた......zzz......」≫168へ い お ん!21/10/01(金) 23:00:41「うーん、死屍累々ですわ」
「だな」
翌朝、最初に起きたマクトレと次に起きたフクトレにより片付けは行われ、その後いい感じに解散したとさ。
おまけ
マクトレはくっそ強いのでどれだけ傷ついてもまけないのでどれだけ傷ついてもいいがおさけはのませてあげようね!
フクトレはある宴会の後マクトレと敬意を払いあってるのでマクトレを信じてるぞ!
シャカトレはお酒が入るとノリがいいしなんなら頭元々狂ってるのでDKに放り込んでも大丈夫!
≫187二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 23:08:19タマトレとキタトレの会話ショート
「やぁどうもキタトレさん」
「あら、タマトレさんじゃないですか」
「えぇ、書類を渡しに。…しかし」
「ん、この胸かしら?」
「えぇはい。正直、肩がこりそうなサイズですよね」「割と気にならないわよ、とはいえ実際貴方のサイズの方が色々楽じゃないかしら」
「そうですね、このサイズだと男性の頃とさして変わらなくて楽です…」
隣の芝生は青い?
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part109【TSトレ】
≫20キングトレの人21/10/01(金) 23:13:15キントレの続き2
キングが色々と衝撃を受けて数日、トレセン学園の夏合宿が始まった、この夏を充実した内容にせねば確実にライバルに追いつけない熱気、夏の日差しにも負けないほどの気炎を上げてウマ娘たちは砂浜での特訓を繰り返す。
「それでだキング、菊花賞なんだが、間違いなく課題は距離だ、今のキングだと3000mは完走はできても間違いなく、スペシャルウィークやセイウンスカイに及ばないスタミナ差があると思う。」
「・・・ええそうね、このキングもそこは自覚しているわ。」
キングの脳裏に浮かぶのは先程見た、普段の飄々とした姿を欠片も感じさせないほどの真剣さで自らを追い込むセイウンスカイと、日本ダービーで敗れて尚立ち上がり、菊花賞を勝つと意気込み苛烈なトレーニングに身を燃やすスペシャルウィーク。
トレーニング量ならば自分とて負けてはいないが、3000mという距離はクラシック3冠の最難関といってもいい長さの上に、坂も結構な高低差がある。
「でだ、この夏合宿中はなるべくスタミナを伸ばしつつ、菊花賞の最終直線で尚加速できるほどの末脚を発揮できるスピードを身に着けないとさっき上げた二人に勝つのは厳しいだろう。」
「・・・わかったわ。」
それでもトレーナーはキングに菊花賞を勝たせるためにと知恵を惜しまない、キングもそれに応えるためにと気炎を上げるが、それ以上に気になるのが・・・。
「ねえあなた、別にキングは構わないのだけれど、それ暑くないのかしら?」
「あー。」
≫22キングトレの人21/10/01(金) 23:13:24キングの指摘に頭をかくトレーナー、何もウマ娘だからと水着を着る必要は本来なかったのだが、周囲のウマ娘化したトレーナーに合わせる形でキングのトレーナーも水着を着ているのだが、直前になって恥ずかしさから水着とセットのパーカーを羽織っていて、日差し対策にウマ娘用麦わら帽子もかぶっていた。
指摘してなんだが数日でファッションを違和感なく仕上げ過ぎではないかとキングはやや訝しむが、その言葉はとっさに飲み込んだ。
「まあキングを指導するには問題ないさ、この夏合宿で菊花賞に勝てるだけの実力をつけていこう。」
「もちろんよ、このキングがクラシック3冠を勝ち取って一流だと証明してあげるわ、おーっほっほっほ!」
その後夏合宿はとても充実したものとなったが、トレーニングの合間での休憩中に海で遊ぶ際にパーカーを脱いだトレーナーのスタイルの良さにまたしても自信以外の何かが壊れたキングはそのまま砂浜で爆速で泳いだ、もちろん休みなのに何トレーニングしてんだと怒られた。
(遊ぶコマンドなのに)
体力が10減った
スタミナが25上がった
≫41二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 23:18:54『めんどくさいよね?』
「はー…生徒会は全員ウマになっとるっちゅう話は聞いとったがホンマのことやったんやなあ…」
「まあ、もう慣れてしまったがな…タマモのところは精神的には大丈夫か?」
「やー、最初の時は混乱しとったみたいやけど今は安定しとるな。強いて言うなら問題は…」
そうつぶやくと、目線の先にはブラトレとタマトレの二人が会話していた。
「やっぱりこれ…めんどくさい…」
「わかる…俺はもう慣れちゃったけど圧迫感すごいよなあ」
「だってこんなものつけたことないんだぞ?いやそりゃあるわけないか…」
「いやでもタマトレ…その胸でつけないわけにゃいかねえでしょうよ…」
「えっだめなのか?」
「お前よーく考えてみろ、それなりのサイズの女の子がいるとしよう」「ふむ」
「つけないまま走るとするだろ?ゆっさゆっさするだろ?」「…ふむ」
「目に毒なんだよ…」「…眼福ってことかな?」
「アホか!いや俺よりアホじゃねえのか!タマ殿ー!ちょっとこいつ教育しとけー!」
「…アレやな」「…ああ、なるほどな…」
「そっちも苦労してそうなんやけどどやったんや…?」
「いや、特に苦労はなかったな…」
「…これから大変やわ…」「ちゃんとサポートはしてやる…」「おおきに…」
≫80タマクリコスプレース(1/3)21/10/01(金) 23:35:53「……あの」
「どうした」
「僕たち、なんでこうなったんでしょうか」
「……わからん。後で訊いてみる」
「やるしか、ないんですよね。……全力で、行かせてもらいます」
「こうなったからにはな。言っておくが、手は抜かないぞ」
トレーナーウマ娘化事件、その最初の事例が確認されてからしばらく。
ウマ娘と化したトレーナーだけでフルゲートが2レース分埋まって尚余るほどに増えたある日。
トレーナーが担当の勝負服着てレースしたら面白いのではないか(2日振りn度目)という提案を受け、
僕ことクリトレは(多分開催されないだろうけど一応)練習の為タマトレさんに併走をお願いしたのでした。
……お願いした、まではよかったのです。タマトレさんにも快諾していただきましたし。
予定をすり合わせ、コースを予約し、運動用の服も用意しました。指導役はそれぞれの愛バが担当します。
そして迎えた併走当日。
僕たちを待ち受けていたのは、
「こっち、こっちですよ~!トレーナーさ~ん!」
「やっと来よったんか。待ちくたびれたで、ほんま」
自身の勝負服……を模した衣装を手にした、愛バたちだったのでした。
どうして、何で、そう思う暇もなく、僕たちはあれよあれよと着替えさせられ。
「私とお揃いの勝負服、と~ってもお似合いですよ~!」
「おーおー。何や、案外似合うとるやん。ばっちりやで!」
肩や太腿がスースーして落ち着きません。何よりクリークの勝負服ということで緊張している僕です。
対してタマトレさんはなぜか落ち着いています。着こなしもばっちり。何故なのでしょう。
気付けば2人そろってゲートの中。もちろん、身に纏うは愛バの勝負服……のコスプレ衣装。
顔を見合わせ、冒頭のやり取りをし、2人は同じ事を考え、それを目線で共有しました。
──やるしかない。予定にはないが、愛バの前で情けない姿は見せたくない。
≫81タマクリコスプレース(2/3)21/10/01(金) 23:36:36ゲートが開き、僕たちはコースへ飛び出します。
僕は先行策、タマトレさんは追込を選んだようです。
即ち、互いに自身の担当が得意とする作戦を選んだ形になりました。
急遽決まった今回のレースは芝2000m、左回り。天皇賞(秋)を想定したものです。
──500m地点通過、まだまだいける。
──1000m地点通過、……まだ、大丈夫。
──1600m地点通過、残り400mというタイミングで、タマトレさんが仕掛けます。
一拍遅れて僕もスパートをかけますが、差がみるみる縮むのが分かります。
1マイルを走ったというのに彼女はあまり消耗しておらず、一方の僕は随分と体力を使ってしまっています。
でも、けれど。たとえ急遽決まった、2人しかいないレースとはいえ。
愛バの前で、カッコ悪いところは見せたくありません。
「うぁ、っあああ……!ああああッ!」
「……っ、中々いいじゃないか、だがっ!」
結果は、僕の負け。3バ身差でした。
「はーっ、はーっ……っ、負け、ました」
「はぁ、ふぅ。……おう。だがまあ、いい走りだったぞ。今後に期待」
「ありがとう、ございます。はぁ……はぁ、タマトレさん、どうしてあんなに強いんですか」
「努力の累積、それから経験による勘だな。その気があるなら、トレーニング見てやるぞ」
「……折角提案していただいてすみませんが、遠慮させてもらいます」
「むう、そうか……まあ、無理にとは言わないけども」
愛バたちがタオルとドリンクを持ってこちらに来るのを見ながら、僕は思ったのでした。
──レースで走るよりもお世話係の方が向いてるかもしれない、と。
≫82タマクリコスプレース(3/3)21/10/01(金) 23:36:56「ところで何で急に併走なんて受けたんや?まだその体になって日も浅いっちゅうに」
「まあ互いの担当繋がりでよく話す相手の一人だし、この誘いを無碍にするのもな、と」
「ほうほう……それで?本当にそれだけなんか?」
「鋭いな……ウマ娘の走りを体感しよう、と思ってな。この体で走って改めてわかることもあるだろう」
「成程な。それで万に一つの備えでウチらを呼んだっちゅう訳や」
「そういうことだ。それより、あの衣装は何だ。正直恥ずかしかったぞ」
「ウマ娘として走るんや、形から入るんも悪うないかと思ってな」
「だが寸法もぴったりだったぞ。どうやって用意したんだアレ」
「クリークのトレーナーがロブロイのトレーナーと知り合いでな。その線で頼んだんや」
「そう繋がるのか……改めて、ウマ娘同士の繋がりも複雑なんだな」
「それはそうと、さっきの走り。案外よかったで。も少し調整すれば問題なしやな」
「おお、そうか!よしそれじゃ早速着替えてトレーニングだ」
「はいはい……ってちょい待ちぃ!アンタまさかさっきスポブラ着けんで走ってたんか!?」
「おう、なんかサイズのちょうどいい衣装だったんで大丈夫かと思ったんだが……まずかったか」
「まずいまずくないの問題ちゃうやろ!それ以前の問題や!ほれさっさと着けんかい!」
(了)
≫87二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 23:41:07「いえすいませんうちのフクがいつも……」
「いえいえ……別に被害は出てませんし……」
「……何の話をしてるの?こんな廊下の真ん中で……」
「いや、フクが生徒会室に忍び込んで会長のデスクの向きを変えてな……『風水的に社長室の後ろは壁がいいんですッ!』だと」
「それはまた……随分と大胆ね……」
「会長も『ふむ、たまには模様替えも良いかもしれない。生徒の直談判としては可愛らしい部類じゃないか』って言ったから不問になったんだけど……」
「ウソでしょ……家具ひとつ、しかもデスクなんて大きいものを勝手にズラされてるのに……?」
「まぁ、さっきも言ったように被害は出てないから……」
「被害って、前には何かあったの?」
「……フクが、ブーブークッションを生徒会室に仕掛けてな……」
「……ちょうど新人トレーナーの生徒会長との面談だった日で……新人トレーナーが……」
「うわ……」
「ちなみに、スズカは生徒会に……注意されないだろうな」
「あ、うん、スズカは……あっ」
「あっ私も思い出した」
「お?何かあるのか?」
「いや、スズカがっていうより……いやある意味スズカがか……」
「その……トレーナーの私に『学園内は静かに走るべし』の校則が適用されないかって直談判してるらしくて……」
「3日に1回ぐらい来てるのよね……」
「うわ……」
了。
≫170二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:10:24「ネイチャ……私、妊娠していたかもしれない……」
「……?」
あたしはたっぷり三秒かけて首を傾げた。
情けなく震えた声、は最近よく聞くから別にいいけど、話してる内容がよろしくない。単語の一つ一つがひっじょ〜〜〜によろしくない。
「していた、って何?え、なんかそういう……」
「その……」
「…………ヤったの!!?」
「女の子がそういうこと言わないで!」
「言わせたのはあんたでしょーが!!」
というかツッコミしてないで早く否定してほしい。
……え?本当に妊娠してるの?他のトレーナーと違ってよく自分の身体を「借り物」なんて言ってたけど、実は妊娠一ヶ月の身体だったとかそういうの?
それとも、それとも……男の人と、トレーナーさんが……。トレーナーさん……いややめろ!全裸を想像するんじゃないあたし!!喘ぐな想像のトレーナーさん!!!
……やばい。急に足から力抜けて、いや全身だ。倒れちゃう。んーでもこのままトレーナーさんの方に倒れたら抱き止めてくれるかな……はは、今更そんなことしたって、アホらし。……マヤノ、ゴメン。あたしあんたと同じ、いやもっとお子ちゃまだったかもしれない……
「!ネイチャ!?」ポフッ
ペチャ
「んぅぅっ」
……倒れ込んだ先にあったトレーナーさんのぽよんぽよん。そして想像よりもずっと艶かしい喘ぎ声となにか湿ったものが顔に触れたような感触。
「……?」
あたしの首はまたきっかり五秒かけて傾いた。
≫172二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:10:55……要は朝気付いたら母乳が出るようになってたと。あーあるある。……ごめんないわー。
「普通そういうのってもっとお腹が目立つようになってからじゃないの?」
「うん……だから妊娠って言い切れなくて……」
……もし妊娠でないなら、トレーナーさん自身の体質の問題?だとすると根が深い。これから先、ずっと付き纏う話かもしれない。
「他のトレーナーさんに話した?」
涙目で首をブンブン振るトレーナーさん。子供か。
「男の人とか元男の人じゃなくてもさ、他の女のトレーナーさんらに聞いてもよかったんじゃないの?」
「相談しようと思ったとき、ネイチャの顔が真っ先に浮かんだ……」
……うん。かわいい。てか嬉しい。すごく嬉しいけどさ……大丈夫?あたしまだ成人もしてないんですけど?
事態のあまりの異常さのせいか、今の私は極めて冷静。掛かる気配がまったくない。自分の賢さを褒め称えるべきかはたまた恨むべきか……。
……いや。でもさ、目の前にいる子犬のような美人がすがるような目で助けを求めてるんだよ?他の誰でもないあたしに助けてって言ってるんだよ?
……なんとかしてあげなきゃってなるあたしは間違ってないと思う。
「……とにかく。胸が張って痛いんだね?それって出せば落ち着くの?」
「……多分。でも自分じゃうまく出せなくて」「じゃあ脱いで」
「…………え?」
「聞こえなかった?上半身だけでいいから脱いで。前はだけた状態にして。そのために来たんでしょ?あたしが搾る」
そう、大丈夫。冷静。あたしは冷静。大丈夫。問題ない。
「でも」
「口答えしない。こっちは心細くなってボロボロなトレーナーさん見てんだよ?……あれはもう、裸を見たも同然だから」
「た、たしかに……いや待って!やっぱりなんか違う!」
「……じゃあ選んで!あたしにひん剥かれるか!自分で脱ぐか!」
ひん剥かれる方を選べひん剥かれる方を選べひん剥かれる方を選べひん剥かれる方を選べ(
略
「……わかった。脱ぐから……」
「ちぃっ!!!!」
ごめんなさい。やっぱり冷静じゃなかったかも。
≫173二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:11:19そこから先はあまり覚えてない。
トレーナーさんのストリップに頭の芯が冷えていった気がするし。
改めて目の前にした立派な胸に泣きながら往復ビンタした気がするし。
なんか、埋もれてた気がするし。
途中からそれが顔を出した気もするけど。
……なんかもう、知らない。
次の日、母乳がウマ娘化したトレーナーの一過性の症状と知ったあたしとトレーナーさんは二人仲良く倒れ込んだ。
(終)
}
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part110【TSトレ】
≫41シチトレ幻覚マン21/10/02(土) 00:29:47駄文失礼します。
私は、ゴールドシチーのトレーナー。
今、目の前にいるマンハッタンカフェのトレーナーさんと打ち合わせをしている。
「・・・・じゃあ、これはこういうことで。」
よく喫煙所で見かける人で、よく疲れた顔をしている。
「分かりました。ところで・・」
それにしても、ずっと気になっていたことがあったのだ。
「ちょっとお時間いいですか?」
「ん?」
妙な事になった。
ゴールドシチーのトレーナーと打ち合わせをしていたら、
「ちょっと、その髪の毛どうしたんですか?」と聞かれ、正直に言うと
「・・・・分かりました。ちょっと、来てください。」
と学園内のある部屋に連れていかれた。
そこは、ゴールドシチーがウマ娘相手に、ヘアースタイルをいじってくれると評判の教室だった。
ちなみにゴールドシチーとトレーナーの両名の改造の末、ほとんど美容室と変わらない風貌となっている。
「じゃ、今から切りますね。」「は、はあ・・・・」
手慣れた手付きで髪の毛を揃えていく。
「・・・・もしかして、元美容院?」
「違います。シチーに教え込まされました。」
ああ、それなら納得だ。
「折角の綺麗な髪の毛、綺麗にしておかないと困りますよ。」
「困るって、何が?」
「マンハッタンカフェちゃん、綺麗でしょ?」
「しかも、結構目を惹く。そんな彼女の良きパートナーがこれじゃ、彼女に恥かかせることになります。」
「成程、一理ある。」
「良かったら、エステのパンフレットとか持って行って下さい。貴方が綺麗になればなるほど、彼女も喜ぶと思いますし。」
≫42シチトレ幻覚マン21/10/02(土) 00:30:04「ありがとう、綺麗になったよ。」
「いいですよ。良ければまた、声かけてください。整えるくらいなら何時でも出来るんで。」
後日、彼女が前よりもおしゃれに気を遣いはじめたのは、ちょっとした噂になった
以上です。エミュ不足かもですけど多めに見てください。
}
≫70二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:42:34
前回のあらすじ
母乳が出た
タマトレ「タマ、知ってるか?母乳ってのは栄養満点らしいぞ」
タマトレ「背も伸びるらしい...飲むか?」
タマ「飲まんわ!しまっとき!」
タマトレ「そうか」🩹ペタペタ
タマ「ツッコまんで...」
≫80二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:46:50夢を見た。
映るのはかつての自分。ウマ娘になる前の、男性の人間としてトレーナーをしていた時の姿。懐かしく、そしてずっとそうでありたいと思っていた過去の記憶。
確かに覚えている光景が目の前に広がる。一年前、二年前と、担当のメイショウドトウと出会ってから、ともに歩んできた日々。その記憶の中に俺は今立っている。
…そのはずだ。そのはずなのに。
私はもう、俺を思い出すことができない。
翌日、トレセン学園内を歩きながら考える。
男であった頃の姿が鮮明に思い出せないと感じ始めたのはつい最近のことだ。記憶は確かに存在しているのに、その中の俺の姿だけがなぜかぼやけている。残っている映像や写真などで自分の容姿を確認しても他人のように感じてしまう。そんな感覚を抱くことが増えた。
ウマ娘の姿になってから約半年が経とうとしている。生活の変化にも慣れ、トレーナーとしても何とか普通にやっていけている。かつて一度は拒否した今の姿も、自分の一部として向き合おうと努力している。過去の自分が希薄になっていくのはそのせいもあるのだろうか。
時々思うことがある。俺は前の姿に戻るのか、戻れるのか、戻りたいのか。戻りたかったはずだった、それももう今となっては分からなくなってしまった。今の生活も、ドトウが隣にいてくれれば、悪くないと思えてしまっているから。
その時、前から歩いてきているウマ娘にぶつかってしまった。あまりにも考え事に意識を向けていたからか前方不注意になってしまっていたらしい。俺は急いで謝る。
「あ、すいません、怪我はありませんか?」
「ん、ああ大丈夫大丈夫。こっちこそよそ見しててすまなかったな」
俺よりも20cm近く小さいウマ娘はそう言って笑って見せた。…よく見たら彼女の容姿には心当たりがある。茶色の髪、エメラルドグリーンの瞳、そして小さい身体ながら、思わず直視するのをためらってしまうほどの大きな胸。この場を去ろうとする彼女に俺は反射的に聞いてしまっていた。
「もしかして、ナリタタイシンのトレーナーさんですか…?」
「ん?そうだけど」
陽だまりの香りが、周囲に漂っていた。
≫81二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:47:26彼女、ナリタタイシンのトレーナーは、ウマ娘になる前から担当思いの熱血トレーナーとして学園で少しだけ有名だった。何度かすれ違ったことがある程度だがすごく背が高かったのは覚えている。そんな彼がウマ娘になってからは、あまりの容姿の変容っぷりとそのスタイルで一時期大きな話題となった。その話を聞いた時には、まさか自分もウマ娘になるとはこれっぽっちも思っていなかったのだが…。
「あぁ、あんたがメイショウドトウのトレーナーか!年中バカでかいコートを着ているトレーナーがいるとは俺も聞いたことがあったが、まさかウマ娘になっていたとはなぁ。けっこう苦労したんじゃないか?」
「俺ってそんな広まり方をしてるんですか…。確かに変化した直後はちょっといろいろありましたけど、でも今はいろんな人に助けられて、なんとか頑張ってます」
最近の出来事、担当との関係、ウマ娘になってから変わったこと、そんな他愛のないことを俺たちは話し合っている。少しお話しできませんかという俺の頼みを、彼女は快く承諾してくれた。彼女の明るい雰囲気はとても心地が良かった。同じトレーナーとして尊敬できる先輩だと心の底から感じていた。
話に一区切りがついたタイミングで、俺は聞きたかったことを聞いてみることにした。
「先輩は、ウマ娘になる前に戻りたいって思ったことありますか」
答えが返ってくるのにそう時間はかからなかった。
「うーん、考えたこともなかったな。そりゃあ最初は慣れなくて大変だったけど、でも今は困るようなことも少なくなってきたし。それにさ、人間だろうがウマ娘になろうが、俺はトレーナーとしてタイシンと頑張るってことは結局変わらないわけだし」
迷いのない答えだった。
「そう…ですか」
「何か悩みでもあるのか?」
「悩みというほどではないんです。俺もドトウと頑張るって約束しましたから。それでも時々思ってしまうんです。本当にこのまま今の姿を受け入れてもいいのかって。昔の、人間の自分がどこかに消えてしまうんじゃないかって」
≫82二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:48:06俺の言葉を彼女は真剣に聞いてくれていた。そして少しだけ間があった後こう言った。
「俺は昔っから難しいことを考えるのが苦手でさ。だからウマ娘になった時も、正直タイシンと同じ目線で物を見られるようになったことが何よりも嬉しくて、それ以外けっこうどうでもよかったというか、あまり細かいことを今まで考えてこなかったんだわ。だから今から言うことはあまりお前の参考にはならんと思うけど、それでもいいか?」
「はい、お願いします」
分かった、と彼女は少し照れくさそうにしながらこう言った。
「今できることを精一杯やってれば意外となんとかなるもんだぜ。突然、人間がウマ娘になっちまうような場所にいるんだから、もう真面目に考える方がアホってもんだ。とにかく担当を第一に大切に考えるっていうトレーナーの基本を忘れなきゃ、案外道は開けるって。つまり、あまり思いつめずに気楽になれってこと。先輩からのアドバイス!」
彼女の小さな身体が大きく感じる。偉大な先輩の姿に、自分の未熟さを痛感する。彼女が導くウマ娘はとても幸せなのだろうと、そう思った。
「…ありがとうございます。おかげで気持ちが整理できました。それに」
少しだけ、トレーナーのことを好きになるウマ娘の気持ちが分かりました、と衝動的に続けそうになったがさすがに抑えた。
「それに?」
「いえ!なんでもありません!先輩はやっぱりすごいトレーナーだって改めて思いました!」
「そう直接言われるとなんかさすがに照れくさいからやめろって!」
俺は立ち上がって彼女に向き直り頭を下げる。
「本当にありがとうございました。またいつかお話できる機会があったら、よろしくお願いします」
「おう!またな!」
そう言って彼女は手を振って去った。陽だまりの香りはまだ辺りに残っている。
「さて、今日もドトウとトレーニング頑張るか」
迷いはもう消えていた。
暖かい風が吹き抜ける。春はもう近い。
終
≫118ロブトレヒロイン概念21/10/02(土) 07:05:43ロブトレ搾乳アフター(ちなみにURA後の想定です)
「はあ、はあ……」
「あ、と、トレーナーさん……そ、その、す、すみません、やり過ぎ、でしたよね……」
「いえ、ロブロイの、おかげで、とても落ち着き、ました、から……ありがとう、ロブロイ」
ロブロイにお願いしてから搾乳してもらって、ようやく落ち着きました。
その、ロブロイのテクニックは、とても、凄かったです。
「でも、トレーナーさん、もしかして妊娠したのでは、ってすごく心配したんですからね。その、妊娠、という訳では、ない、のですよね……」
「ええ、男の方と行ったことはありませんから、恐らく三女神によるものかと、それに……」
「それに?」
「その、男性の方にそういう眼で見られるのは、あなた以外の方に私の身体をそんなふうに触れられるのは、いや、でしたので……」
そう、この体は、私の全てはロブロイに捧げている。
ロブロイとともに同じ物語を綴っていくと決めたのですから。
だから、この体にはロブロイ以外には、触れられたくない。私の全てはロブロイの物だから。
「あ、え、あ……そ、その、そう言ってもらえると、嬉しい、です……」
「ふふ、その照れたような顔も、私は好きです」
「で、でも、トレーナーさんは決めたら一直線すぎます。私以外には、そんなこと言いません、よね」
「ふふ、これを決めたら一直線なのはロブロイも同じではないですか。大丈夫です、こんな私を出せるのは貴方だけですから」
「トレーナーさん……ん……」
そっと、お互いの唇が触れ合う。
それだけで、安心する。お互いの想いを確認し合えるから。
「ロブロイ、ずっと一緒ですからね……」
「はい、トレーナーさん……」
ただ、ロブロイに母乳を吸ってもらって目覚めた気持ち。
『ロブロイの子を授かりたい』
この気持ちはまだ秘めておこう。
今は、まだ……
fin...
≫133二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 07:16:49真面目にどうなるか考察した場合
「今朝なんか胸が張ってると思ったらなんか母乳が出てきましたわ」
「......どういうことですの?」
「言葉の通りですの...」
「うーんよく分かりませんが......今日のトレーニングは大丈夫ですの?」
「それは大丈夫だ。その辺は迷惑かけないように動く。乳が張った時の対処法は知ってるし」
「なんで知ってるんですの......?」
「ちはやふる、知ってます?百人一首の少女漫画なのですが、元クイーンが新幹線の中でこれに対処するシーンがありますの。その時少し気になったんです、母親ってこんなことしてたんですのねって」
「ああそういう...トレーナーさんの知的好奇心の反応場所はよく分かりませんわね......」
≫156ドベトレ21/10/02(土) 07:21:54「兄さん…何してるの…。」
「ん?空気椅子に決まってんだろ。見てわかんねえか?」
「いや、そっちじゃなくて…アタシはなんでそんな事してるのって聞いてるんだけど。」
オレさ、この前ファイトレとタイマンして完敗したわけよ。
「そんでもって、ドーベルを守るためにもっと強くなりてえって思ったんだ。
っつーことで、30分やってたら、…その、動けなくなっちまった…。」プルプル
「はあ、もう兄さんったら。」
「え?何?何するつm…ってウワーッ!む、胸が、押し付けられてるーッ!」
「兄さん……もうアタシのために無理しないでよ……、って、キャッ!」
「ウワーッ!空気椅子解除されちまうーッ!」ガシャーン
─────────────────────────────────────────────
「あんまり大人をからかうんじゃねえぞ、ガキ。」
「……ッ///」
≫176二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 07:29:14曇らせでもないですが
ぶちぎれた時の反応withファイトレ
「・・・どうもこんにちは。ええ、少しオハナシがあって・・」
「――――動くなよ。もし動くなら命の保証はしない」
「何をしに来たのかって?わかるだろう、自分がやったことを考えれば」
「怖いか?私のことが。・・・そうだろうな」
「さて・・・どうしてくれようか。一つずつ関節を外そうか。」
「なに、はずしたやつはしっかりと付け直してやるとも」
「おい、へたり込むんじゃない。私は今すぐにでも首をへし折れるんだぞ」
「――――さあついてこい。・・・逃がさないとも」
ぶちぎれた時の反応withキタトレ
「こんにちは、良い天気ですね。早速ですが・・・」
「――――今回の件、如何してくれるでしょうか」
「身に覚えがない?そうですか。・・・とぼけるのもほどほどにしなさいな。」
「認めてくれましたか。それなら早速誠意ある責任の取り方をみせてください」
「この期に及んでまだ逃げるおつもりですか、惨めですね」
「逃げられるなんて思わないでください。貴方を潰すことぐらい造作もない事です」
「ご理解いただけましたか。では改めて問います」
「――――責任を取るか死か、選んでくださいな」
こんな感じです。
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