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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part66【TSトレ】
≫9二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:09:08「老人は再びの子どもである」
――ソポクレス
***
米寿、それは還暦・古希・喜寿・傘寿の後に訪れる、88歳の長寿祝いを表す。
今年それを迎えたダイタクヘリオスのトレーナーは、ウマ娘のコーチ業界でも有数の古株。
伝統とウマ娘の築いた文化を愛する、何事にも落ち着いて応じる大人物だ。
対してダイタクヘリオスといえば、まさに今をtkmk年若きウマ娘。
レベチのパリピとして名を上げており、3150のバク逃げであげみざわして勝ちたいやりらふぃーである。
(段違いのイケてる若者として名を上げており、最高のバク逃げで盛り上がって勝ちたいテンションの高い子である、の意)
そんなある種正反対なふたりの出逢いといえば、彼が自らのチームを後進に完全に譲った頃。
ダイタクヘリオスがその個性から気性難ではないかと敬遠され、トレーナーがつかず困っていたことから始まる。
「う"ぁ~~っ、もう詰んだぁ~~! ウチの運命は終わったんだーっ!!
もう世界なんてどうにでもなってしまえばいいんだーっ!!」
「おやおや。どうしたのかの、お嬢さん」
「超やばたにえん……」
「ほう。超までついて、やばいに谷ありとは難ありな。
……どれ。儂でよければ、話を聞こうか」
「それな!!」
ウェイのパリピ語は老翁にはつらたんであったが、幸いにしてこのトレーナーは神ってる理解力を有していた。
あーねそれなそれと言わんばかりに最適な相槌でダイタクヘリオスへ話をひと通り促した後、一言。
「では、私が君の面倒を見よう。わからないことや、困ったことには助言をするから、好きに走りなさい」
「ま!? おけぴおけぴ! じじピ、あざまる水産!!」
「ホッホッホッ。お安い御用、お安い御用」
そう言って、専属のトレーナー契約を結んだのである。
≫10二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:09:41≫9
それからのダイタクヘリオスの活躍たるや、まさに駿メの如く。
ガンダでバク逃げいぇあ!のランナウェイ、パリピが見れば10/10で「いいなみのってんねー!」とリプするやばみざわしんごであった。
(猛ダッシュでバク逃げ最高!な道を征く、若者が見れば十人が十人「調子いいね!」と声をかけるほど規格外の人物であった、の意)
老翁の指導も相俟って、快走快勝のバク逃げランナーと化したダイタクヘリオスは、その日も記者会見を控えていたのだが……。
「じじピ~~!」
「おお、来たか。ブン屋の準備は出来ておるよ」
「じじピぃ、メンブレでしょんどいからかまちょって~!!」
「むぅ」
奇妙な単語の羅列を、老翁は顎髭に手を当てて目を動かす。
優れたウマ娘は奇行に及ぶ。それに圧倒されず、まず観察するのが善きトレーナーである。
その教えを説き続けてきた老翁故に、まず先に気づいたのはダイタクヘリオスの気落ちした様子であった。
それに気づけば、老いた脳でも言葉の解体は容易いところと老翁は自負している。
「落ち込むことがあって、正直しんどさを感じているから構ってくれ、というところかの」
「それな!
とりまベッケンバウアーなんだけど、エゴサしてたら……」
「大方、何を言っておるかわからぬと、観客の一部かブン屋が言っておったのではないか?」
「それ~! じじピ、マジ理解力 神っててよきよき~!」
「ホッホッホッ」
彼の功績を知る者が見れば、ヘリオスの失礼さに卒倒しかねない光景だろう。
しかし老翁は抱きつくヘリオスの背を軽く叩きながら、優しく諭す。
≫11二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:10:31≫10
「安心なさい。じじピは言葉使いを改めよ、などとは言わぬよ」
「ま? さりげ、なしよりのなしとか言わん?」
「言わぬ言わぬ。ほれ、儂も今まさに、老人語を使っとるじゃろ」
ヘリオスが頭上にハテナを浮かべる。
老人語とは江戸時代の始まりの頃、高齢者や知識人などの保守層が上方(昔の京や大阪のこと)の方言を使う者が多かったことから、歌舞伎や落語で誇張して描かれた「物語用の言葉」だ。
それ故、実際に使う者はほとんどいないと老翁は解説し、しかしと言葉を折り返す。
「じじいがこう話すと、孫や童は絵本のようだと怖がらぬ。
それに、儂もゆるりと話さざるを得ぬ故、自然と些細な怒りは凪ぎ、静かなよろこびを見出だせる。
老いた身でも、人の人生に関われることへのよろこびじゃ」
ヘリオスは関心と納得を覚えた様子で頷く。
彼女もこの老人の下で教えを授かってきたが、今までで一度も怒鳴られるようなことはなかった。
褒めるべきことは撫でるように言葉を弾ませ、改めるべきことは寄り添うように、ゆっくりと諭される。
その刺激はダイタクヘリオスの人生にとって確かに貴重な、静かなよろこびだったのだ。
「ヘリオス、おぬしの言葉は確かに激しく、騒がしいものじゃ。
じゃが、おぬしの言葉からは常に明るく、元気でいようという気持ちを感じておるよ」
「じじピ、バイブステンアゲしてくれてる?」
「そりゃ、もう。じじピ、ばっちぐーじゃよ」
「……アハハ! マルゼンパイセンみてーで草!」
立てた親指を合わせて、老翁とヘリオスは笑う。
向かうは記者会見場。トゥインクル・シリーズ最後の有馬を前に臨む、大壇上である。
≫13二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:11:31≫11
記者会見場には、数々の記者陣が待ち構えていた。
祖父と孫ほどの年の差を持つトレーナーとウマ娘は、シャッターが眩しいのかそれともただ楽しいからなのか、パリピ向けのサングラスをつけてのご登場で笑いを誘う。
矢継ぎ早に繰り出される記者の質問に、老人とギャルはそれぞれのペースで答えた。
Q.この有馬でトレーナーを引退すると発表がありましたが、その理由は?
A.「事前にお伝えした通り、寄る年波には勝てぬというところです。
道中でくたばってご迷惑をおかけするよりは、老人ホームでくたばった方が棺にも入れやすいかと思いましてな。
最後に適性のない有馬に挑むのは、最後は朋友と挑んでもらいたいという、老いぼれの我儘とお考えくだされ」
Q.トゥインクル・シリーズ後のダイタクヘリオスさんのご予定は?
A.「まずじじピやダチと打ち上げっしょ? んでダチと渋谷で遊ぶっしょ?
あ! じじピ じじピぃ、温泉旅行当たってたし、URAファイナル終わったら予約おくちょ!」
「ホッホッホッ。それもいいのぅ。
……その後は補佐を務めてくれたトレーナーに後任を任せ、ヘリオスの方針に沿って出走を決めますが
概ねドリームトロフィーリーグでの、マイル路線に挑むとお考えくだされ」
≫14二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:11:58≫13
Q.加齢によるトレーナーの引退だそうですが、ご体調の方は如何許でしょうか?
講演会など、後進教育のご予定はございますでしょうか?
A.「じじピ、センセになるん?」
「ホッホッホッ。……実はな。
ヘリオスが生まれる、だいぶ前から先生じゃ」
「ま!?」「ホッホ。ま、じゃ」
「(記者達に向き直って)
お気遣いはありがたいことじゃが、心の臓がだいぶ傷んでおりましてな。その予定はございませぬ。
古い教えには今に遺る、大事なことが載っておりますが、今のウマ娘には、今の教え方がございます。
長く教鞭を執って参りましたが、教え子達はウマ娘と向き合うことを通して
より善く、よりウマ娘に寄り添った教え方を模索してくれるものと信じております」
Q.最後に、御二人の意気込みを教えて下さい。
A.「いつもはパーマーしか勝たんって言うケド、今日はあたししか勝たん!
っぱ、ラストはバク逃げで、バイブスマックスヒートっしょ!」
「最後に、心の臓を弾ませて見届けるつもりです。
ダイタクヘリオスこそ至上の難敵であると、証明される瞬間を」
拍手と共に見送られるふたりは、振り返ることなく記者会見場を去った。
そして彼らの最後の戦い、有馬記念は――朋友メジロパーマーに華を添える形で幕を下ろした。
≫15二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:13:15≫14
泣いて、笑って。
打ち上げも終わり、ダイタクヘリオスと老翁は三女神の像の前で、別れの時を迎えようとしていた。
「迎えの者が来るそうじゃ。パーマーとの約束もあるんじゃろ、早く行っておやり」
「りょ! ……ねー、じじピ」
「なんじゃい、元気のない」
何かを言い悩むヘリオスに、老翁はちょいちょいと手招きをして屈ませる。
そうして下がった頭を優しく撫でて、老翁は微笑んだ。
「人生最後にして、これほど学んだことはないと思える教えの旅じゃった。
パリピ語も、そして人に元気と夢を与えるということも。とても、とても。死んでも忘れられん」
「……バイブス、上がった?」
「おお、上がった上がった。天にも昇る、これぞまさに天上げじゃよ」
涙と共にダイタクヘリオスがみせた笑顔は、それはそれは太陽の如き明るい笑みであった。
力強い抱擁と共に、彼女は何度も振り返って老翁へ手を振る。
・・
「じじピ、またね!
老人ホーム、アゲアゲにしてあげっから!」
「ホッホッホッ。さらばじゃ、さらば」
老翁も見えなくなるまで手を振って、背を向け……やがて満足気に息をついた。
「……楽しい旅じゃったよ、ダイタクヘリオス」
力尽きるように、老翁の膝が落ちた。
≫16≫15
心臓が早鐘のように鳴る中で、老翁の最期を看取ろうと眼前に立っていたのは三女神の像であった。
膝立ちに胸を抑えながら、老翁は霞む視界でそれを認識する。
「――っは、は。最期の挨拶に、相応しい」
胸を抑え、深く頭を垂れる。
その様はまるで祈るように。表情もまた、どこか柔らかな笑みに近づく。
(生まれて88年。導き務め60年。
本当に、本当に長い旅を楽しませて頂きました)
思えば生まれて初めて競バを見てから、ずっとウマ娘に関わってきた。
初めて面倒を見たウマ娘と迎えた、初めての有馬記念の光景から、次々に関わってきた人々の顔が思い浮かぶ。
家族、教え子達、愛バ達……。
勝利に笑みを咲かせる顔も、無念に涙を零す顔もあった。
決して、すべてが上手くいった訳ではない。よろこびの数と同じだけ、後悔もあった。
「……嗚呼」
そして最後に見えた顔は、太陽のような明るい笑顔。
「どうか……どうか。
彼女達が、笑顔でいられます、よう……」
その願いが浮かんだ後、老翁の意識は途絶えた。
誰も見ていない中、三女神の像が輝き、そして――。
≫17二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:14:37≫16
「……台無しじゃのう」
彼女が目を覚ましたのは、保健室のベッドの上であった。
掛け布団を乱雑に剥ぎ取ると、張りと豊満さを湛える、毬のような乳房が眼前に広がり、彼女はまたもため息を零す。
「死んだ婆さんについとったシワッシワのもんでないだけ、マシと見るべきかの」
「全くです。その優美なものがなければ、今頃肺炎になっていたかもしれないのですよ、先生」
「てぃーびーえすって知っとるか」
「テレビ局ですか」
「てんしょんバリ下げじゃわい」
そう諌めたのは彼女の教え子であり、今はテイエムオペラオーというウマ娘の専属トレーナーを務める“ウマ娘”であった。
青鹿毛を肩口に切り揃えた燕尾服の少女が、元はワックスでオールバックにまとめた燕尾服の似合う伊達男だったことを、彼女はよく知っている。
近頃トレセン学園を騒がせたトレーナーウマ娘化現象が、よりによって死に際の老翁に齎されたことを元老翁は理解した。
延命してやるから、自分で笑顔にしろと言わんばかりの措置に、思わず元老翁はテンサゲの気分で天を仰ぐ。
≫18二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:15:18≫17
「死んだ婆さんにクリソツなのが、また腹立たしいのう……」
「奥さんと共に居られる。素晴らしいことじゃありませんか」
「婆さんにどう言い訳しろっちゅうんじゃ。ええ?」
「下手なことを言えば、日本刀のように切って捨てられそうですな」
大きな尻に敷いていた鹿毛を引き出して、渡された手鏡を見る。
まず目に留まったのは逆さ雫の流星。切れ長の目は鈍色に輝き、眉は細く伸びている。
笑みを浮かべれば柔らかなものが手鏡から返ってきて、元老翁は初恋を思い出し……人生の清算を諦めた。
「すまんのぅ、八つ当たりをしてしもうた」
「お気になさらず。昔の教えを思い出すいいきっかけですよ」
「いや、いや。どうも気が若くなっていかん。
昔の価値観に若い身体など、老害待ったなしじゃわい」
必要なのは価値観の更新、そして精神の老熟。
そう自分を律し続けてきた元老翁だからこそ、このような変化に尚のこと身を引き締めた。
「ダイタクヘリオスを呼んでおくれ。おぬしの扱いも含め、少し話さねばならぬ」
≫19二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:16:01≫18
「じじピがギャルになったーッ!!」
「いぇーい、若返りじゃ若返り」
「やったーッ! じじピぃ、今度シブヤで服買お、服!」
半ばヤケクソ気味に笑顔を見せる元老翁は、あっさりと受け入れたダイタクヘリオスに抱擁を受けていた。
年老いた頃には感じられなかった少女の芳香を鼻腔に感じ、元老翁は数十年ぶりに浮かんだ「回春」という言葉をかなぐり捨てた。
「ホッホ……服も揃えねばならんが、その前に大事な話があるんじゃよ」
「久しぶりだね、ヘリオスさん」
「サブトレじゃん! ちょりっすちょりっす! おぺらおち、元気ー?」
「勿論。今朝も元気に歌っていたとも」
元老翁がわざとらしく咳き込めば、教え子達は居住まいを正す。
昔から大事な話や講義をする時にする癖だ。
細かいところは変わっていないのだなと客観視しながら、元老翁は話を再開する。
「実は前に話した通りなら、儂ゃ引退して、おぬしの面倒をこやつに見させる予定じゃった。しかし……」
「見ての通り、先生の身体は高等部のウマ娘同然。なので、私の補佐なくとも、前以上に活動可能です」
「じゃからのぅ、ヘリオス。
ああいった手前、おぬしの覚悟を台無しにして申し訳ないんじゃが……」
気恥ずかしげに頬をかきながら、元老翁は愛バと向き合う。
まるで初めてウマ娘をスカウトした時のように。
「もう一度、儂に……おぬしの走りを、支えさせてはもらえんかのぅ?」
元老翁は、ウマ娘のトレーナーとなることを志願した。
≫20二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:16:44≫19
「……MJK。きゅーにロミオ化するじゃん」
「うむ?」
「元カレみたいなことやめてよぉ、じじピぃー!!
あたし達、神友BFFじゃんかぁ~っ!!」
わぁわぁと泣き喚くダイタクヘリオスにぎょっと驚きながら、元老翁は彼女をしっかりと支えた。
いつ永遠の離別になるかわからぬ日々に、ヘリオスながらに不安を感じていたのだろう。
それが一気に解放され、堰を切ったように流れた涙は、元老翁に熱く染み渡る。
「……すまんのぅ、ヘリオス。今後も、よろしく頼む」
「了解道中膝栗毛……」
「なんかゴツい了承したのぅ」
「いーのっ! こっちこそあざまる水産よいちょまる!」
いつものパリピ語なのだが、どうにも照れ隠しのようにも思えるやり取りに元老翁は苦笑する。
老いたままでは見えなかった感情を見て、もっと引き出したいと思うようになってしまったと元老翁は自らの我欲を内省した。
「ホッホッホッ。とりま、ズッ友のノリでガチヨロじゃ」
「りょ! ……えっへへ!」
今まで我慢していた分のように、強く強く元老翁を抱きしめるダイタクヘリオス。
元老翁は昔のように、軽く背を叩くのだった。
うまぴょいうまぴょい
≫39二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:24:43ていうかこのレベルのベテランってウララトレ間違いなく知り合いだよね??大丈夫??脳破壊されない???≫101二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 11:52:23≫39
ウララトレ「歳を召しているとはあの人のようなことを指すのです。同時にわたしが若輩者であることの証左とも言えるでしょう」
じじピ「んー、それな★」
ウララトレ「ダイタクヘリオス担当」
じじピ「ちょまち…身体エグいって…」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part67【TSトレ】
≫50二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 12:35:08こんにちは!新人トレーナーです!
昨日はナリタタイシンのトレーナーさんに助けられちゃいました…
…この始まり方前回と全く一緒ですね…しっかりしろ私!まだ本物のウマ娘とまともに話せてないじゃん!
と言う事で今日も今日とてスカウトに出かけます。
昨日は1人にしか声を掛けられなかったから(しかもトレーナーさんだったから実質0人だし)今日は積極的に色んな子と話してみよう(このくだりも前回と全く同じだよ私)
そう思いながらキョロキョロしていると杖をついてベンチに腰掛けている芦毛のウマ娘を発見しました
(わわっ…綺麗な子…だけど怪我大丈夫かな…スカウトなんて言ってる場合じゃないよね)いくら私が今すぐ担当ウマ娘と契約がしたいとは言え怪我をしている子を無理にスカウトする気はありません
でも…なんだろう…不思議な魅力というか…雰囲気や目を見るに……何か思い詰めてる…?
私だって新人とは言えトレーナーです。微力ながら悩んでいるウマ娘に何かアドバイスをあげられたら…そう思いました
…よし、行こう!
「あのー…すみません」
「どちら様でしょうか?」
「えーと、私は新人トレーナーでして…(名刺渡し)」
「あー……なるほど(苦笑)、いや実は俺は」
「あっごめんなさいスカウトじゃないんですごめんなさい…」
「…ではなぜ?」
「いやその…何故かあなたと一度話してみたくて…変ですよね私…何か思い詰めてるのかなって…初対面なのにごめんなさい……」
(うーヤバいグダグダだどうしよどうしよ落ち着け落ち着け…)
「ははは……俺の方こそ初対面の人にこんな事を聞くのはおかしいですが……あなたは自分の担当ウマ娘が急に自分の足を折ったらどう思います?」
「…えっ?」
「すみません、率直に思った事を聞きたくて」
「……………寄り添ってあげたい…ですかね」
「…怒りや絶望の前に?」
「はい…まずは理由を聞いてその子に寄り添ってあげられたらいいなって。人間やウマ娘はみんな生きていたらどうしようもなく辛い時はあると思うんです。だからこそウマ娘とトレーナーはお互いにとって唯一無二のパートナーとして何があろうとも支え合って成長して行けたらいいなって思うんです。
「…」
≫52二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 12:35:24≫50
「あはは…何新人の癖に長々と語っちゃってるんだ私…ごめんなさい本当に…」
「……いえいえ…ありがとうございました。…貴方は間違いなく担当ウマ娘の事を思いやる事ができるトレーナーになれますよ、俺が保証します。」
「いやいや私なんてまだ1人も担当を持った事がないトレーナーなのに…」
「おーいトレーナー!!!」
「あぁ俺の担当ウマ娘が来たみたいです」
「あー彼女が担当ウマ娘ですか……………担当ウマ娘?」
「あれ?言ってませんでしたか?俺はトウカイテイオーの担当トレーナーです」
「ヒュッ…し、失礼します!!」
「あぁちょっと!」
うぅ〜恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい何を私は先輩トレーナーに向かって長々と…消えたい。やば。てかトレーナー達がみんなかわいいのズルだもん。
もう無理…カツ丼食べて元気出そ……
明日は…明日はちゃんとスカウトしてみせる!
「ねぇトレーナーあの人誰?」
「あぁあの人はね、俺の未来のライバルだよ」
≫59二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 12:52:51『新人ちゃん奮闘記 夕ご飯編』
「お疲れちゃーん、今日はどうだった?」
「今日も…ダメでした…!何の成果も得られませんでしたぁァ!」
今私は一日目に連絡をもらったブラトレさんにかつ丼をおごってもらっています!海よりも深い優しみ…!
この悲しみをちょっとでも分かち合ってほしい…!こんなこと先輩トレーナーに頼むことではないのはわかってるけど…!
「今日は誰に話しかけちゃったのかい?」
「えーっとそのですねえ…畏れ多くもあのトウカイテイオーのトレーナーさんに…うう」
「ほほーう、そりゃ良い出会いをしたなぁ。実は彼…ああいや今は彼女だな。彼女が一番最初にウマ娘になったトレーナーだ」
「ええっそうなんですか!?」
ビックリしました。まさか3日目にしてそんな人と出会ってしまうとは。
「まあ細かいことはアイツに直接聞いてほしいんだが、一度かなり大変なことになってしまってな?それでも担当や周囲のサポート、そしてアイツ自身の意志の強さで復帰できたわけだ」
お、重い!直接聞ける話じゃない!ハードルが空の果て!
「そ、そうなんですねえ…」
「知ってるかい?ウマ娘と担当ってのは言葉通りの関係以上のつながりがあるんだ。どっちもどっちも頑張って頑張って、そうやって夢を掴む。まあこりゃ友人の受け売りなんだがね」
そういうとブラトレさんは到着したかつ丼をガツガツと食べ始める。うわあすごい食べっぷり。特特盛があっという間に消えていく。
私も大盛りかつ丼をががっとたべる。明日のエネルギー充填。
「つながりですか…私も、いつかとっても良い関係を築きたいですね」
「ふむ…時に新人ちゃん、別れ際のテイトレの様子はどうだった?」
「えーっと…ちょっと恥ずかしくてあんまり見れてませんでしたが…嬉しそう?でした」
そういうと、ブラトレさんははっはっはと笑い始めました。
「お前さんいいトレーナーになれるぞ!」
「えええええ?そ、そうですかぁ?」
そんなことを言ってもらってしまいました。たとえリップサービスだとしてもちょっと元気が湧いてきました。
明日も頑張るぞ!
≫102二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 12:56:50タマモクロス実装おめでとう記念
part64 148、168の続き
あれから一週間
変化直後は色々あったがもうすっかり馴れ、私はいつもの日常に戻っていた...時折タマが見せる恐怖と疑心に満ちた目が気になるが心配しなくても大丈夫だ、俺̶私は私だから...姿形が変わろうとも俺̶私はタマモクロスのトレーナーだそこだけは変わらないわ
≫130二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 13:06:04≫102
タマ「トレーナー、ちょっと質問いいかな?」
トレ「なぁに?タマちゃん」
タマ「トレーナーって走るの嫌いだったよな?」
トレ「この身体になってから無性に走りたくてね☆」
タマ「甘いものも苦手だったよな」
トレ「糖分=正義(ジャスティ)よ★」
タマ「最後に一ついいかな?うちと夏祭りで取った指輪何処やった?」
トレ?「....君のような感のいいウマ娘は嫌いよ」
タマ「やっと正体見せたな!やっちまいな!フクキタル!」
フク「ふんにゃかハッピー!はんにゃかラッキー!センキューシラオキ!!覇!!」
トレーナー?「ぐわぁァーーー」
こうしてトレーナーに取り付いていた無念の死を遂げたウマ娘のウマソウルは浄化された
タマモクロスは思った、シラオキ様って凄い
終われ
≫164有馬マルゼンスキー21/09/28(火) 13:20:53我ながら先日は恥ずかしい醜態を晒した。いろいろ始末を終えた後。一息つこうとしてコップを三つ割ってから一度も使わず仕舞われていた金属タンブラーを使って飲み物を飲んだ。服も、ダービー前167cmから160まで縮んでいたのが150まで一気に縮み、横も全部細く……いや胸そこそこあるが、マルゼンスキーが目測で銀座で買ってきてくれた。服のセンスは流石マルゼンスキー、完璧であった。休養期間なのに申し訳ない、と思ってしまったがマルゼンスキーの善意に対してそれは侮辱だ。俺はただありがとうとマルゼンスキーに感謝した。
体調不良の休暇が明けた後は今後の出走予定についての記者会見を行った。なんで関係なさそうなウマ娘が記者会見してるんだと言いたげな記者の顔が若干忘れられない。あんまりに深く考えるとまだグラついて泣きそうになる。そんな困惑もマルゼンスキーの有マ記念への出走を表明すると吹き飛び、質問攻めになった。
「古バ三強のASJも出走を予定していますが自信のほどは!?」「スーパーカーと名高いマルゼンスキーですがどのような戦略で!?」「というかあなた誰ですか!?〇〇トレーナーは!?」
「落ち着いてください。戦い方をばらすつもりは無いですが、今回の出走でわかる事を一つだけ言わせてもらいます。マルゼンスキーは世代最強を証明しました。世間にはこの世代が弱かった等と無礼な事を言う輩が居ますが、それは違う。世代が弱いのでなく、マルゼンスキーが現役最強だった。それが有マで証明される」
「そんなわけで、有マでも、ブットビよー!」
わずかな静寂の後、記者達は大盛り上がりだ。大盛り上がりのまま記者会見を終え、有マに向けたトレーニングを開始する。当然対策するべきは古バ三強と名高いASJ、アマノガール、スターレイス、ジェードアサシンだ。三人のレース模様をマルゼンスキーと分析し、秘策を用意した。その為にシンボリルドルフに並走トレーニングをお願いした。ルドルフは恐らく数少ない俺の事情に詳しいウマ娘で快く引き受けてくれた。
有マ記念での人気投票は、三冠を取ったマルゼンスキーで尚三番人気。一位はアマノガール、二位にスターレイスが入り四位にジェードアサシン。五位以下を突き放しての人気投票であり四強対決と目されている。出走も九人と年末のグランプリとしてはだいぶ少ないが、十六人立ての際中山特有の外枠の不利が消えたのでよしとした。
≫165有馬マルゼンスキー21/09/28(火) 13:22:02≫164
「イェーイ!みんな応援ありがとう!センキューベリマッチョ!」
当日のパドックでもマルゼンスキーの調子に異常はない。万全の体制だ。だがそれはASJの面々も同一である。
「いよいよだな」
「ふふ、そうね。楽しんでくるわよ!」
「……俺との約束は?」
「守られるって決まってるんだから、わざわざ言う必要ナッシングよ。だから安心してトレーナーちゃん」
「……そうだな!信じてるよ」
「オマッカセー!行ってくるわね!」
地下道で紅の勝負服に身を包んだマルゼンスキーを見送る。
『さあスタートの準備が整いました。有マ記念、スタート!本当に綺麗なスタートを切りました。おおっと?』
スタートの歓声に若干のどよめきが混ざった。マルゼンスキーが逃げていないのだ。位置は先行に一見見える。
『マルゼンスキー出遅れはなかったようですがこれはどう言う事でしょうか?先頭はアマノガール、それに続いてスターレイスです。ASの二人が一番手二番手で競り合っています。それに続いてソウルビー、ここにクラシック三冠馬マルゼンスキー続きましてジェードアサシンです』
正面スタンドを通過し、第一コーナーへと入っていく。アマノガール、スターレイスはマルゼンスキーを意識しつつもライバルとして互いに一歩も譲らない競り合いだ。どんどんと隙間が開いていき、ASJ、ソウルビーにマルゼンスキーの先頭集団とそれ以外の後方集団に分かれているように見えるがそれは違う。今回の秘策。マルゼンスキーは"差し"の走りをしている。ジェードアサシンもその後ろに着いているがあれも恐らく追込だ。通常のレースでの先行位置に居なければ差せないそうマルゼンスキーが判断したのだ。
『さあスターレイス抑えた先頭はアマノガール!』
≫167有馬マルゼンスキー21/09/28(火) 13:23:33≫165
足が軽い。全力を出せばそのままへし折れてしまいそうなベリバッドな感覚さえあった。トレーナーちゃんが居なければ今ここに私はナイナイだったかもしれない。アマノガールちゃんやスターレイスちゃん、後ろにいるジェードアサシンちゃんからも、意識をされているのを感じる。でもそんなの関係ナッシング!最終コーナー、ここが仕掛けどころよ!溜め込まれたパワーを爆発させる。
「これが私の……!フルスロットルよ!!」
『おおっとマルゼンスキー急加速!本領発揮か!?しかし後ろからジェードアサシンも突っ込んできている!アマノガールもスターレイスも譲らない!!すごいレースになった!!短い直線で四強対決だ!!』
「天馬舐めんなぁぁあ!!!」
「勝つのはアタシだぁ!!!」
「まとめて差し殺してやる!!!」
楽しい。こんな高揚感ったら無いわね。そんな中大歓声の観客席、そこからトレーナーちゃんの声が微かに届いた。
「い゛け゛え゛え゛ぇ゛!!!」
私は、あなたのお陰でこんなに楽しい思いができてる。でも泣いちゃ綺麗なお顔が台無しよ。どんな姿になったとしても、私がトレーナーちゃんにゾッコンラブなのは変わらないけれど。
トレーナーちゃん。アマノガールちゃん。スターレイスちゃん。ジェードアサシンちゃん。みんなみんな、感謝感激雨あられ!
「ッ……何っ笑って……!」
世界が色を無くなっちゃった。口から出る息はタッちゃんの排熱より熱くって、駆ける足は炎を纏って。競り合う三人が止まってしまったのかと思った。
『抜けた!抜けた!スーパーカーフルスロットル!!年末のグランプリを制したのはマルゼンスキーだ!!世代最強が現役最強も証明しました!』
色が戻ってきた。汗がビッチョビチョで熱くなった体から湯気が立ってる。
『おおっとレコード、レコードが出ています!二着スター……いえ四着のジェードアサシンまで既存のレコードタイムを超えています!』
トレーナーちゃんがボロ泣きしながら手を振っているのが見えてお返しをした。
「ウワッー!クッソ!!レイスに負けるならまだしも三着でドリームトロフィーに移籍なんてできるか!!逃げたみたいじゃん!トゥインクル続行よ続行!移籍撤回!!来年覚悟してろよマルゼン!レイス!」
「私達も負けてられませんわねレイス」
「あ、居たの?ジェード」
「ぶっ殺しますわよ?」
「ふふ、来年も勝つのは私よ〜!」
≫169有馬マルゼンスキー21/09/28(火) 13:24:32≫167
歓声も止み静かになった地下道を俺は走っていた。戻ってきたマルゼンスキーを迎える為に。通路を曲がったところでマルゼンスキーの姿が見えた時、また抑えが効かなくなった。
「マ゛ル゛セ゛ン゛ス゛キ゛ー!!」
バフンと突っ込んでマルゼンスキーを抱きついた。それを外側から優しく包み込むようにマルゼンスキーが抱きしめてくれる。
「どうだった?トレーナーちゃんが鍛えた私の脚は」
「す゛こ゛か゛った゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛!」
「あらあら、また泣いちゃった。うふふよーしよーしねんねんころりんねんごろろ」
「ね゛な゛い゛よ゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!……あこ゛め゛ん゛ズズック゛ール゛タ゛ウ゛ン゛や゛ら゛な゛い゛と゛ズクッ」
「……ええそうね。いきましょう!」
泣いてたらいつの間にかマルゼンスキーと手を繋いで控室に向かっていた。通りかかる人にすごい微笑ましい顔で見られていたらなんだか涙も引いてきて平常心を取り戻せた。
クールダウンとマッサージを終えて、勝負服を着替えて。「見てみてトレーナーちゃん!汗絞れる〜!」「せめて服着てからやってくれぇ!?」
夜のウイニングライブも大成功に終わった。
「さっトレーナーちゃん。帰りましょう?」
「待った、マルゼンスキー。疲れてるんだ。俺が運転するよ」
「本当に?そんなのお姉さんマンモスうれピクなっちゃう!お願いね!」
疲れた様子のマルゼンスキーが、タッちゃんの運転席に乗ろうとしていたので代わりに俺が運転する。マルゼンスキーに比べて背が低いので座面を動かしてなんとか位置を合わせると。発進しようとしてギアが噛み合わずエンストした。
「……」
「ドンマイドンマイ!ガンバよトレーナーちゃん」
顔を真っ赤にしながらも再挑戦。今度はギアが繋がるようになり、中山競馬場から出てマルゼンスキーの家に向け高速を走っていく。
その日の夜景はウマ娘化して以来一番美しく感じた。
「トレーナーちゃん……」
「ん?」
「酔った……」
「えっ」
「気分がゲロゲロ〜……」
「待ってもうすぐ!もうすぐ家に着くから!!」
完
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part68【TSトレ】
≫11二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 13:40:39生垣障害に誤って突っ込んでしまうタイトレ
出てくる際に胸から飛び出してくる
タ性壊
≫22二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 13:48:49…また細くなっている。
車椅子に乗ったトレーナーの後ろから肩を掴んでそう思った。
他のトレーナー達にはあまり食事を摂っているのを見かけないと聞いていたけどここまでとは。彼の腕をぐいと伸ばしてマッサージをしながら瞳を伏せる。
「んぅ…あー…伸びてる…」
「えへへ、ちょっと強いくらいでも気持ちいいでしょ」
…よかった、いつも通りの声で話せて。トレーナーはちょっとでも心配そうな素振りを察するとすぐに空元気を見せようとするから。
ボクの前では変わらずにトレーナーであり続けようにしているのに、一人で涙を流しているのを知っている。ボクのことを気にかけられるのに壊れそうな自分に優しくないのを知っている。
トレーナーとして、トレーナーとして。崩れそうな心を抱えながら努力をしているのをボクは知っている。
…担当のいないトレーナーに何かあったらすぐに言ってくれと、言外に「荷物になったあれを見捨てる気になったら声を掛けてくれ」と言われたことがある。血が出るほど拳を握りしめて睨んだらどこかに行っちゃったけど。
たしかに自由に使える時間は減ったよ、最近はずっとトレーナーといるもん…じゃあ弱くなったかと聞かれたらハッキリ答えられる。
ボクは強くなった。自主トレが減った分トレーニングの質を上げた、ターフを駆ける轍の一つ一つに覚悟を乗せた。
トレーナーを、ボクを、ボク達を悲劇的だと、不憫だと哀れみ侮った有象無象共を実力で黙らせてやった。
ボクの隣にいていいのはトレーナーだけだと見せつけてやった。姿形が変わっても一緒に駆け抜けてきた思い出は、力を合わせて乗り越えてきた記憶は変わらないんだ。
「…テイオー、どうかした?」
「…なんでもないよ。いいから集中してテイオー様直々のマッサージを堪能するべし!」
ぐにぐにと可愛いウマ耳を揉みしだく。ウワーッ!と叫びながら笑う彼につられてボクも微笑む。
どうか、君が笑っていられるようにと想いを込めて。
≫25二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 13:49:30≫22
マッサージも佳境に入り、正面に回って膝立ちになる。その動作で何がしたいのか理解したんだろう、彼は手を小さく震えさせながら自身の太腿をぎゅっと押さえた。
「トレーナー」
「っ…見せたく、ない」
「…なんで?ボクじゃ駄目なの?」
「テイオーだから…君だけには見てほしくない。こんな、汚い、醜いもの」
「…ごめんね、トレーナー」
そう言ってトレーナーのスカートをゆっくり太腿まで捲り上げる。あぅ、と漏れた声は聞こえないふり。
デニールで言うと100は超えているだろう、防寒用の光を通さないほど厚い真っ黒なタイツ。
そのままスカートの中に手を入れて左脚のそれをずり下ろした。
「テイオー…」
「ごめんね…ボクの事嫌いになってもいいよ」
「…卑怯だ、そんなの。出来ないって、知ってるくせに…」
もう一度心の中で謝ってからトレーナーの脚に目を向け、ああ、綺麗だなんて、そう思ってしまう。
酷く痛々しく残った傷跡が白百合のように細く美しい脚に映えるだとか外面的な話じゃない。
間違っていたかもしれない、愚かだと罵られるかもしれない、それでも彼がボクのために、ボクだけを想ってそうしたという事実が不謹慎なのに愛おしく感じてしまう。
絵本で見たガラスの靴を差し出す王子様のように、両手で彼の左脚を支えて跪く。見上げて見えるその顔は、まるで助けを乞い求むお姫様のよう。
ねぇトレーナー。君と歩くこの先で幾千幾万の罵倒を浴びたとしても構わない。
あなたと進むこの道に、どんな障害が待ち受けてたとしても構わない。その全てを踏み潰し置き去りにして駆け抜けて突き放してやる。
瞳を伏せて傷跡に口づけを交わす。これはボクの、帝王としての決意表明。
鬼でも、悪魔でも、例え神様が相手でも譲ってやらない。
絶対は、ボクだ
≫114ドーナツ21/09/28(火) 14:44:14「……一体何をなさってるんです?バクトレさん」
「ああ、……ええと、メジロマックイーン……の、トレーナーさんの方ですか」
「ええ、ご明察。それで、そのテーブルに山と積まれたドーナツは一体?」
「これはうちのバクシンオーが……立ち話もなんです、席へどうぞ。宜しければドーナツも」
「先日、うちのバクシンオーがクラスメイトから聞いた話なのですが」
「ムグムグ……おいしいですわねこれ……失礼、続けて」
「はい。何でも、ドーナツは中心に穴が開いているから食べても太らない、んだとか」
「……いくらなんでもそれは無いでしょう。現に食べ過ぎで太っている方もいることでしょうし」
「僕もそう思いました。しかし何の根拠も見せずに嘘と断じるのはよくない、そうも考えました」
「それはまあ、いやでも……ムグムグ、これチョコのかかり方が今一つですわね」
「こうしてウマ娘としての身体を手にした以上、まずは自分で試してみるのも悪くはないかと」
「ゴクン……それでこの山ができた、という訳ですわね」
「ドーナツの山……!……いいえ、わたくしはメジロの令嬢……コホン、おふたりとも、そこで何を?」
「おや、これはどうも。今、2人でドーナツは食べても太らない、という話を」
「……その話、本当なのですか」
「……さあ。それを確かめるべく、自分たちの身体で検証しているところです」
「ならば、このメジロマックイーンも検証に参加しましょう」
「おいマックイーン、いくら直近に出走予定がないといってもだな」
「事実の検証には数が必要、タキオンさんでなくとも知っています。二人より三人の方が客観性はあるでしょう」
「僕としては正直、この山を均してくれるならむしろ歓迎したいところですが」
「望むところですわ!……大丈夫、少し増えるくらいならトレーニングで取り返せます」
「……メニュー、組みなおす準備しとくか」
検証結果:ドーナツは食べると食べた分だけ普通に太る。
これを受けてメジロマックイーンは──キレ──かけたが自業自得なのでしょんぼりした。
むしろマクトレがキレた。バクトレは納得した表情で担当へ説明しに行った。
(了)
≫153二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:12:34『伴走、勝利への熱意』
ウマ娘化した翌日の夕方、ロブロイのトレーニングを終えた後、二人でグラウンドに立っている。
走るのはロブロイではなく私、トレーナーの方である。
ウマ娘化した体に慣れるためにもやはり走ることが大切である。
走ることや運動自体は元々行っており、毎朝ランニングを欠かさず行っていたから運動自体は嫌なわけではない(ただ、その鍛えていた身体もウマ娘化でなくなってしまったわけではあるが……)
昨日は走っておらず、ウマ娘化したこの姿で走ることは今日が初めてになる。
というのも、ウマ娘化した体は予想よりもはるかに早く、走り方を実際に学んでからでないと怪我をする恐れがあるからである。
そして、走りを教えてくれるのは……
「普段は私が教えてもらっていますから、私が詳しく教えてあげますね」
「ええ、お願いしますね、ロブロイ」
私の担当でもあるロブロイにこうして教えてもらっている。
担当であり、とても信頼でき、また同じ体形であることからも適任であった。
それにほかのトレーナーたちも担当に教えてもらっているとのこともあり、やはり担当に教えてもらうのがいいのだろう。
本当はロブロイのトレーニングを優先したいという私の意志から、今回、トレーニング後にお願いした。
彼女のためにもまずは自分自身も鍛えてこの体に慣れていかなくては、それにロブロイと同じような体型であることから、実際に走ることでトレーニングにも活かせそうで楽しみでもある。
≫154二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:13:00≫153
「トレーナーさんもわかっていると思いますが、ウマ娘の走りはですね……」
ロブロイは得意げにウマ娘について語っていく。やはり彼女は好きなことを語る姿がとてもキラキラしている。
最初はウマ娘の体に関しての説明、私の身体を実際に触れながら教えてくれている。時折ウマ娘の起源や物語についても語っており、ところどころ脱線するけどそれも彼女の愛らしさである。
やはり、私は彼女のキラキラした瞳で話す姿が好きだ。
「あ、す、すみません。話長くなってしまいました……」
「フフ、いいのですよ。とても参考になりましたし、分かりやすかったですよ」
「あ、ありがとうございます、トレーナーさん」
そうして最初はランニング程度から始めていく。
かつての身体も十分鍛えていたが、やはりウマ娘の身体はすごい。
脚が軽やかに動き、まるで自分が風になったかのように駆け抜けていけそうである。
同じ体形のロブロイが教えてくれたこともあり、大きな胸があまり弾まないようにする方法も教えてもらったおかげでこの体でも問題なく感じられる。
そして、走れば走るほど高まってくる、走りたい、という感情。これが、ウマ娘が感じていたもの、なのだろうか。
「お疲れさまです、トレーナさん。問題なさそうですね。流石はトレーナーさんです」
「ロブロイの教え方が分かりやすかったからですよ、ありがとうございますね」
軽くランニング、ダッシュ、とトレーニングを一通り終えて、走りについて話し合う。
実際に走ることでやはり見えてくるものが違う。
それに、何よりも……
「走るのって、ここまで楽しいのですね……もっと、もっと走りたくなりますね……」
「フフ、そう言ってもらえると嬉しいです。なら次は伴走をしましょうか」
「ええ、ロブロイと一緒に走りたかったですからね、お願いします」
≫155二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:14:10≫154
そしてグラウンドのスタート地点に二人で並ぶ。
お互い同じくらいの身長で同じくらいの体型、傍目から見たら姉妹や双子のように見えるのかもしれない。
実際、ロブロイと一緒に走ることは夢でもあった。
ウマ娘と人間では圧倒的に異なり、そのようなことはできないものであったが、それがこうして叶うことになった。そのことは三女神に感謝してもしきれない。
お互いにスタート地点について体制を整える。お互いに顔を見合わせ……
「「ドン!」」
一気に駆けだす。
一人で走る時とは異なり、隣で走るロブロイに意識が向かう。
ロブロイは私に合わせてくれるようで、余裕を持って走っている。
目が合うと思わず笑みを浮かべ、ロブロイもまた一緒に走れることを楽しんでいるようだ。
ああ、このまま一緒に、走って……
勝ちたい……
私の中の何かが、そう囁いた。
今まで私は自分自身が勝つことへの欲求はあまりなく、競うのではなく共に高め合いたい、いやそれ以上に誰かを輝かせたい、と思ってきた。
だが、私の中の、このウマソウルは……
2着、3着、違う、違います。英雄なら最後には勝利を……
「あ、ああああああ!!!」
「!!と、トレーナーさん!」
負けたくない、勝ちたい、今までなかった感情があふれ出す。
そう思った瞬間、脚は前へ、前へ、前へ……。
そして……。
≫156二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:14:51≫155
「トレーナーさん!」
「あ……」
ロブロイの声が響く。
そうだ、ここでけがをしたら、ロブロイは心配する。
心優しい彼女のことだ、私以上にそのことを気にかけてしまう。
それは、ダメだ……。本能に、ウマソウルに任せて走っては……。
彼女の悲しむ姿は、見たくない!
少しずつ、少しずつペースを落としていく。
すぐそばに共に走っているロブロイの泣き出しそうな顔が……
ああ、彼女を心配をさせてしまった、本当に申し訳ない。不甲斐ない。
そして、お互いにペースを落としていき、ようやく止まる。
それと同時に一気に倒れ伏す。もう、立つことができないほどに体力を使い果たしている。
既にゴールとしていた地点からは遠く離れていた。恐らく、私はあそこから全速力で駆けてしまったのだろう。
恐らく、このまま走り続けていたら、私は……。
「トレーナーさん、大丈夫ですか、怪我はないですか!」
「ああ、大丈夫……大丈夫ですよ、ロブロイ……ただ、疲れただけ、ですので」
瞳に涙をためて、抱き起してくれる
本当に、彼女に心配をさせてしまった。自分自身の欲のために彼女を傷つけてしまった。これでは、トレーナー失格だ……。
「ああ、本当に、本当によかった、です、トレーナーさん……」
「ロブロイ……」
安堵からか、私を強く、強く抱きしめる。
小さな身体なのにとても強く、そして暖かな熱が伝わってくる。
彼女の優しさが染みわたってくる。その優しさが心を癒し、改めて自分のしたことを反省する。
≫157二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:16:15≫156
「すまない、私……私は……」
「大丈夫、大丈夫です、トレーナーさん……私がいます。傍についていますから……」
思わず、涙がこぼれてくる。
ああ、私は何て弱いのか……。
傍で支えてあげたいのに、支えられてしまっている。
ウマソウルのことは聞いていた。ウマ娘になったトレーナーたちからも聞いており、それに浸食されることも……。
覚悟してきたのに、彼女を支えてあげる、って覚悟してきたのに……。
「きっと、ウマソウル、による影響なのでしょうね」
「……ええ……聞いていたのに、覚悟してきたのに、止められなかったです……すみません、ロブロイ……」
「いえ、そんなことありません。ウマ娘はやっぱり走りたいものですから」
「走りたい、それだけではなかった……ロブロイ、貴方もレースではあんなにも強く勝ちたいと思っているのですね」
「え……」
ウマソウルが原因、だけどその因子も私自身既に心当たりがある。
私に勇気をくれるやさしさ、そして誰よりも負けないレースへの熱意……。
それはきっと、目の前の彼女だ。
だからこのウマソウルは否定したくない。この思いは否定することはできない。
「……はい、私もずっと、ずっと思っています。私は英雄たちのように物語の主役に、なりたい……2着や3着ではなく、G1で1着をとりたい、誰にも、負けたくないんです……」
「うん、うん、その気持ち……今なら痛いほどわかります……」
≫158二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:16:43≫157
今、実際に走ってより実感した。誰にも負けたくない。勝ちたい、2着、3着での善戦などではなく、1着を……。
その気持ちをずっと、ずっと彼女は抱えている。
抱きしめられていた背中に腕を回す。
今は体力も尽きていて、正直腕を上げるのもつらいけど、それでも、彼女を、今この時の彼女を、抱きしめたい。
「勝とう、ロブロイ、絶対に、勝ちましょう……」
「はい、はい……トレーナーさん、私、絶対に勝ちます。貴方に勝利を捧げますから……」
そうしてお互いに泣きながら、改めて誓った。
必ず、勝利して二人で英雄になろう、と……。
≫159二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:17:18≫158
お互い落ち着いてきたときにはすでに夜遅くになっていた。
それほど長い時間、お互いに抱き合っていたのだろう。
「ロブロイ、ありがとう……」
「トレーナーさん、ありがとう、ございます……」
落ち着いて、少し恥ずかしくなりながらも離れる。
まさかこんなことになるとは思ってもなかった。でも、お互いの絆は以前よりもさらに強く、強くなったようにも感じられる。
二人で星空を見上げながら、ただその時間を過ごす。
「「クチュン」」
思わずくしゃみが出てお互いに顔を見合わせる。
先程まで抱き合っていたから気にならなかったが、秋の夜は肌寒く、このままでは風邪をひいてしまう。
お互いに風邪をひいてしまったらいけない、そう思い立ち上がろうとするが……
「あ、あの、トレーナーさん、もう少しだけ、一緒にいてくれませんか……」
「ええ、良いですよ……でももう少しだけ、ですからね、今は肌寒いですから」
「……あ、あの、それなら、これで、どうでしょうか……」
そう言うと、再び抱きしめる。ロブロイの熱が温かく感じられる。
それに、今はお互い同じくらいの身長でもあり、お互いに抱き合うとちょうどお互いの身体全体に熱を感じられる。
≫160二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 15:17:43≫159
「こ、これなら、温かい、でしょうか……」
「ええ、ロブロイ、とても暖かいですよ。ロブロイも、寒くありませんか?」
「いえ、トレーナーさん、まるで湯たんぽみたいで温かいです」
そうして再び少し時間が過ぎる。ああ、こうしているだけで、幸せだ……。
そう思っていると、ロブロイが顔を上げて少し真剣な表情で
「あ、あの、トレーナーさん。きっとまた、走りたい、って欲求でると思うのですが……その時もまた、一緒に伴走、しませんか?」
「え、ロブロイ、ですが……」
今日のようなことがあったのにまた伴走をしたい、という申し出であった。
覚悟を決めてきたのに、ああやってウマソウルに流されてしまった。そしてそのウマソウルを、彼女を否定できない自分がいる。
そんな私がまた伴走をすれば、今日のように大変なことになるのでは、そう思い、今後は伴走はしないように考えていたが……
「そう言ってもらえるのはうれしいのですが、もしも今日のようなことがあったら……」
「それでも、私はトレーナーさんと一緒に走りたいです。もしも今日のようなことがあっても私がついていますから……」
「ロブロイ……」
その顔はずるい……そんな顔をされたら、断ることができないじゃないですか。
それに、きっと彼女の因子は今後も走りたい、勝ちたい、というものが出てくるのはわかっている。彼女の英雄への、勝利への熱意は因子にも強く残っているようです。
なら、それを否定せず……抑え込まず……
「ええ、分かりました。ではまた、一緒に走りましょう。貴方が一緒なら、安心して走れます」
「!!はい、ありがとうございます、トレーナーさん!」
「ふふ、こちらこそ、ありがとうございますね」
二人で笑いあう少女たち、お互い似た背格好でまるで姉妹や双子のよう。
その二人の絆もまた、まるで家族のように、強く、深く、結ばれていく。
秋の満月がただただ、その二人を静かに見守っているのでした……。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part69【TSトレ】
≫27二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:14:15井戸からお皿が一枚…二枚…という声が聞こえてビビるカレントレと特にビビってないマクトレ
しかし井戸から出てきた幽霊が葦毛で思わず「「あ、葦毛だ」」と言ったところ、幽霊が「お前葦毛なら誰でもいいのか?」と答え、「「違うんだゴルシ聞いてくれ!」」と二人同時に叫び恐怖心がどっかに飛んで行ったカレトレマクトレコンビであった
≫33二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:16:11思ったけどこれ担当ウマ娘を幽霊役にしたらトレーナーの怖がる姿を見たくてやる気出すやつ結構いるのでは?????≫38二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:17:50≫33
ホラー映画を参考にして計画を練りガチで驚かそうとするカレンチャン
そしてお兄ちゃんは──泣いた
カレンチャンは慰めた
うまぴょいうまぴょい
≫49二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:21:48「ふぅ…まぁあんまり怖くなかったですね。
本物でもあるまいし」カチッカチッ
「えと…カフェトレさん。タバコ逆さです」
「……………。」
クルッ
シュボッ
≫66二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:28:45テイトレ「肝試しなんて…俺たちもういい大人だし…なぁ?」(よわい。何かあるたびに二人の腕にしがみつこうとする)
フラトレ「ふふ…そうですねサクッと終わらせましょう」(顔に出さないけどよわい。硬直して固まる)
スズトレ「そうそう。ゴールでゆっくりしてようか」(やっぱりよわい。驚いたら明後日の方に走って逃げようとする)
( ( ( 二人とも余裕そうだし最悪任せればいいや… ) ) )
表面上は余裕そうにしながらそんなことを考えてる三人のお話が読みたいので誰か書いてください
≫76二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:35:41≫66
(突然現れて)「ハーイ!今回の案内人はテイオーサマが務めるよ!……ん?」
(置いてあったバケツに頭を突っ込んでる)
「どうしたのトレーナー」
「え、ううんテイオーのトレーニングのヒントがそこに」
(茂みに頭から突っ込んでいる)
「どうしたのスズトレ」
「え?いやスピードの向こう側がここに」
「……」
(笑みを浮かべたまま動かない)
「フラトレ?……き、気絶してる……モウワケワカンナイヨー!」
≫93二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:46:58≫66
≫55
ガサッ!!
テイトレ「ヴェエエエエエ!」ヒシッ
フラトレ「ピュイッ」ビタッ
スズトレ「」ダッ
フクトレ「おいお前らどうした?」
カフェトレ(ケツ)「うわぁ!スズトレさん!?」
「「「救世主だ!救世主様だ!」」」
テイトレ「タスケテ!!ああ!!茂みに!茂みに!」
フクトレ「怪奇小説かなんかか?」
フラトレ「手を、手を引っ張ってくれませんか?」
フクトレ「わあ恥捨てるぐらいには追い詰められてんのか」
スズトレ「」ダバダバダバダバ
カフェトレ「目の前見てください!!僕で止まってますよスズトレさん!!!」
フクキタル「ウラメシヤァー!!!!親類の敵!!!!」竹槍突撃
フクトレ「危ねぇし肝試しじゃないだろそれ」アイアンクロー\フンギャロー/
「「「素敵!!!抱いて!!!」」」
フクトレ「うるせぇ!!あとフラトレは言うな!!!!」
テイトレ「ダッテコワインダモン」
フクトレ「まあそこまで驚いてくれるなら幽霊冥利に尽きるだろうよ、カフェトレも俺も全然驚かねぇし」
カフェトレ「そうですね。結局死にはしませんしね」
「「「「「え?」」」」」
「え?」
フクトレ「おい今一人多くなかったか?」
「「「」」」ヒシッビタッダバダバ
≫82二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:39:59こんにちは!新人トレーナーです!
さっきはトウカイテイオーのトレーナーさんに偉い口を利いちゃって…うぅ…何ということを…
でも、三冠バのトレーナーさんって凄いんですね…
こう、ひしひしと感じるものがありました!
私もああいう風な立派なトレーナーさんになりたいなぁ…
………うん、その為にもスカウトを続けよう!
取り敢えず今日は帰らないといけないけど…!
………あれぇ…?どこだろうここ…
学園の裏手っていうのは分かるんだけど…
うぅ…せめて地図くらい持ってくれば良かった…
もう夕方になっちゃってきてるし…
そう思ってきょろきょろ探していると、近くの建物に入ろうとしている芦毛のウマ娘さんを発見しました!
(わぁ…凄い大人っぽい…!
でも制服じゃないし…手には…たっタバコ!?)
こ、これはいけない!
学園の風紀の為にも注意しなければ!
「あっあの!」
「…ん?」
ひぇえ目がこわいぃ……!
なんか重いモノとか覚悟を秘めている目ですよ!
で、でも引き下がるわけには…!!
「み、未成年の喫煙は禁止されています!
う…ウマ娘としても、走行能力に支障が出るので、タバコはやめりゅ…辞めるべきですよ!」
かかか噛んじゃった!
で、でも言い切ったよ!頑張った私!
………あれ、ポカンとしてる?
≫83二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:41:02≫82
「え、えっと…だから…辞めていただけると…」
「……ふふっ。そうか、新人トレーナーさんか」
「ひ…ひゃい!」
「………うん、私はこういう者なんだ。
以後お見知りおきを」
「名刺…と、トレーナーさんだったんですか!?」
「うん。ウマ娘化…ああいや…あーそうだな…
そうだね、私はウマ娘のトレーナーなんだ」
「そ、そうなのですか…中央は凄いですね!」
「…嘘は言ってない」
「…へ?何か言いました?」
「いいや何も?」
な、なんだか隠したい事でもあるのかな…?
でもそういうのには触れないべきですよね!
…あ、そうだ。先輩トレーナーなら…
「えと、少しいいですか?
担当を決める時って…どうだったのですか?」
「ん………そうだね。
私の場合は心の底からビビビッと来たから、だったな…あれは運命だって、今でも思ってる。
…ふふ、笑ってくれてもいいんだよ?」
「いえ!素敵だと…思います」
「ふふ、ありがとう。
そうだね…焦らなくても君の心根に響くウマ娘さんがきっと居ると思うよ」
「…なるほど………」
心根に響くウマ娘さん…そうか…そういう出会いもあるんだ…
≫84二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:41:32≫83
とメモを取ろうと胸ポケットを開けようとしたら、ポンと頭に手を置かれました。
「君は良いトレーナーになれる。きっとね」
「へ…!?」
うわぁぁぁ近い…!か…顔が良い…!
中央のトレーナーさんって美形ばっかなの…!?
あれ…でも凄く腕が軽いような…
「ん…サービス。未来のトレーナーさんにね」
気づくと、開けた胸ポケットに一本のタバコが差し込まれていました。
「相談事があったら、昼休みにでも喫煙室に来ると良いよ。
…ああ、もちろん吸わないから安心してね」
「あ…ありがとうございます!」
「ふふ、それじゃあね」
ぽんぽんと頭を叱咤され、私の背後に歩いて去っていくトレーナーさん…
ぽけ〜としていましたが…あ、そうだ!
これだけは言わないと!
「えっと、カフェのトレーナーさん!
ご飯はしっかり食べた方がいいですよ!
手が…その、凄く軽かったので!」
彼女は振り返ると、少し困ったように笑うのでした。
……………あぁぁあああ!
また先輩トレーナーさんに変なアドバイスしちゃったぁぁぁ…ううぅぅ…折角優しくしてくれたのに…何やってんだろ私…
う…でも、優しい人だったなぁ…ぽわぽわしてたけど…本当の事だったのか怪しいくらい。
まるで幽霊さんみたいな…そんな人だったな…
…ううん、そんな考え失礼だよね!
うん…困ったらまた来てみるのもいいかもしれない。
そう思って、胸ポケットのタバコにそっと触れてみるのでした。
…夕食何にしようか。
≫85二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:41:47≫84
──────────────────
「…中々良いトレーナーさんだな…。
ふふ、見通せるような…良い目を持ってる」
ぷかりと、夕陽に紫煙が浮かんで消える。
あの人もまた、心から惹かれる素晴らしいウマ娘に出会えるのだろう。
また会う時が楽しみだ。
≫89二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:45:44「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」(遠くから聞こえる悲鳴)
「チケットの奴、やっぱ叫んでる。幽霊役の鼓膜破らないといいけど」
「え!?叫んで無いよ!?」
「いや叫んで……え?なんでここにいるのチケット」
「なんでって……ずっといるけど」「そうだな。チケットはずっとわたしとここにいたぞタイシン」
「え?じゃあの悲鳴は?」(血の気が引くタイシン)
「大丈夫かタイシン貧血か!あっ」(走って弾け飛ぶ胸のボタン。タイシンの額に直撃するボタン)
「ぎゃぁぁぁあ!?」
タイシンの性癖は壊れた。
その頃
マルトレ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!た゛す゛け゛て゛え゛ずびっマ゛ル゛セ゛ン゛スキ゛ー!!」
≫106二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:51:44或る高級中華料理店。
そこの円卓に、六人のウマ娘がいた。
────彼らの共通点を聞けば地方中央問わずほぼ全てのトレーナーが驚くような面々だが。
「ホッホッホッ。まさかこうして皆で食事を囲む日がまた来るとは」
そう切り出すのは鹿毛に168の高身長、和装のウマ娘────八大競走制覇を達成した名トレーナー、数多くの論文を産み出し、数多くのウマ娘と悩めるトレーナーを導いてきた偉大な先達にして現ダイタクヘリオスのトレーナーであった。
「ですね。先生のことを考えてお酒とか辛いものとか塩気の多いものとか頼めませんでしたし、私もまた先生とこういうお店に来れて嬉しいです!」
そう話しながら可愛らしくえへへ、と笑う豊満な体の鹿毛のウマ娘は七冠ウマ娘イロボケカマキリ…もといシンボリルドルフのトレーナー。
「確かに。みんな先生には世話になったし、ウマ娘になったことで恩返し────って、今日は先生のぶんはみんなで出すって話だったっけ」
そう話すのは小柄な葦毛のウマ娘となった、三冠ウマ娘トウカイテイオーのトレーナー。杖はなく、すっかり傷は癒えている。
「……財布は余裕ないし俺は考えさせてくれ……ってルドトレ、よく予約取れたなここ」
そう呟く葦毛のウマ娘はこれまた三冠ウマ娘ナリタブライアンのトレーナー。他と並ぶと体格のせいか一番幼く見えてしまう。
「そう?マルゼンスキーと行くお店も普通にアポ無しでいけるしそんなものだろ?」
そう返すウマ娘は"怪物"マルゼンスキーのトレーナー。ちらりと覗く赤いシャツとドットサングラスがよく似合っているのは有名か。
「感覚、マヒしてません……?いや、先生とこうやってお食事はいいんですけど、堅苦しい気が」
そう話す白毛の高身長モデル体型、クールビューティーと言うに相応しい姿をしたウマ娘はナイスネイチャのトレーナー。これまた三冠ウマ娘である────疑問点については気にしてはいけない。
「え?ダメだったの?」
「いや、構わないけど視野狭窄というか、臨機応変に対応してほしかったと言うか……」
「……同感だ。気軽に話し合おうというのにこんな高い飯にいったら気軽どころかマナーに気をとられてしまう」
「こらこら、儂が主役だというのに争ってたら食事も話も楽しめんわ。これではてんしょんバリ下げじゃ。それに、財布が厳しいものがおるなら儂のぶんはちゃんと自分で払うわい」
≫107二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:51:57≫106
「「「……すみませんでした」」」
やいやい言ってたルドトレ、テイトレ、ブラトレが先生の一喝で謝る。こんなよくあった光景すらもウマ娘の姿となっては新鮮味に溢れるな、とネイトレが思うと、コース料理の一品目、前菜の盛り合わせが運び込まれる。
「うぅ、ネイチャと食べられない感じに対する罪悪感」
「……ごめんなさい」
「俺はマルゼンスキーと来たいお店が増えたことに感謝してるし謝るほどでも」
「そうそう、こんな美味しそうなのが不味くなると、ねー……」
「ああ。下手に安い店行くより全然いい選択だろ。気にすんな」
皆色々言う中、先生は盛り合わせの"冷たい料理"に手をつけ、それを舌で味わい、飲み込んでからまた口を開く。
「うむ、美味い。店選びは完璧じゃ、それ以上言わず口をつけてみい」
はーい、と言いながら料理を口に運んだルドトレがキラキラした笑顔を浮かべ、空気がようやくいい方に向かう。
そうして、盛り合わせを食べながらブラトレが一言漏らす。
「それにしても皆、こんな店で楽しめるくらいのトレーナーになれたって凄いな……」
「確かに、俺もこんな美味しい食事を楽しめるなんて一日千秋?トレーナーバッヂを手にした日には思わなかったな」
「ですね……私も本当にビックリですよ」
美味しい食事に目を丸くする面々と、特に気にしないマルトレと先生、曇りない笑顔で料理を堪能することに夢中なルドトレは会話に入ってこない。
「皆マナーはなっとるな。感心じゃ」
「……俺はマルゼンスキーのを見よう見まねでやってるだけですから」
「それはつまり担当をしっかり見ておるということよ。感心感心、アリアリよ」
そう返されてまんざらでもない顔になるマルトレも、やはり生徒。耳と尻尾が喜ぶのを見て、翁の口元も綻ぶ。
そうやって話していると盛り合わせは皿から消え、その皿も運び出される。
そして、次にアワビのスープが出される。
≫108二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:52:36≫107
またも四人程言葉につまるが、平然としている先生とマルトレは流石と言うべきか。
「ルドトレ、本当にいい店見つけたな……値段も高いと思ったがこの味なら納得だ」
「思わず喋る機会を失うというか、これじゃ先生を呼んだ意味が怪しい、って点では判断ミスだけど……」
「なに、儂から切り出せばよいことよ」
「……美味しい……」
「あはは……ルドトレさん?」
「……あれが"皇帝"を墜とす顔か」
一人だけ味の情報量に屈したルドトレをよそに、五人はスープを飲みながら話す。
因みにお酒は結構あるが、先生は日本酒を飲んでいる。
そうして、スープを飲むなか、先生の咳払いが始まる。
「して、皆今の栄光を得て何を思っている?」
そう、穏やかな声の裏には圧が、長年ウマ娘に関わってきた翁だからこその重みがずしりと全員に襲いかかる。
「マルゼンスキーは、強いけど俺はまだまだです」
しれっと酒を片手にマルトレが先鋒を果たす。
「が……彼女が最強だと信じています」
情緒を乱さぬよう堪えたそれは、皆にしんと響く。
「俺はまだまだ勉強不足ですが。テイオーに寄り添い、二人で歩んでいきたいと思っています」
テイトレがそれに続く。
「俺はブライアンの"渇き"をうめるための努力は惜しまない。そこは絶対曲げない」
ブラトレはそう言い烏龍茶を飲む。
「……私は、ネイチャに迷惑かけてばかりですけど。あの子の頑張りにしっかり報いたい、あの子に寄り添いたいと思っています」
ネイトレもそう言い終える。
「私は、正直ルドルフに見合ったトレーナーなのかと思うこともありますけれど、彼女の夢に、理想を叶えるための努力は惜しみません」
最後にルドトレがそう話すと、先生は頷いた。
「……皆、各々の担当と向き合っていてよろしい。しかし、何人か些か奇妙な噂があるのは問題じゃが」
何人かの目がルドトレに向かう。
しれっとブラトレは青島ビールを注文し、ルドトレはぴょぴょぴょ、という効果音が似合いそうに肩をすくめる。
「まあ、儂もとやかくは言わぬが。皆成長したの」
そう言い、先生は日本酒を飲む。
≫109二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:53:25≫108
「「「「「ありがとうございます、先生」」」」」
そうして話すうちにスープも終わり、フカヒレの姿煮に移る。
「これがフカヒレ……」
「はじめてのフカヒレってこんななんだ……」
(マルゼンスキーと来よう……)
(ルドルフ、中華は好きだっけ……)
(肉……)
「ホッホッホッ、黙々と食べる者が増えては困る、一つテンアゲのために儂の三冠ウマ娘の話でも……」
「「「お願いします、先生」」」
「よろしい」
そう続く話は、どんどん盛り上がっていく。
やがて、互いの担当についてのアレコレやウマ娘となってからのアレコレ、温泉はどうだった……
流石に、先生の温泉話については皆止めに入ったが。
やがて、フカヒレの姿煮の次に出てきた主食の伊勢海老のチリソース煮を食べ終えた頃、こんな話をマルトレが始める。
「にしても、先生までウマ娘になるとは……」
「確かに……いや、最初になった俺が言ったらまずいか」
「それは、そうですけど。いや、ルドトレさんの時もビックリしましたからね?口調とかもいつの間にか変わってましたし」
「……そうだっけ?」
「俺は変わらなさすぎて逆に問題視されたけど、ルドトレは変わりすぎだ」
「ウマソウルってより担当とのつきあい方のせいでしょ?一度見直したら?」
首をかしげるルドトレをブラトレが冷静に返し、テイトレが解決策を提示してみる。
「見直そうなんて言ったらルドルフが悲しみそうだし……」
≫110二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 16:53:58≫109
「共依存してら……」
「おい、さっきの夢はどこ行った」
「これがマルゼンスキーのライバルのトレーナーかぁ……」
「ネイチャのいう不健康の意味がわかった……心が不健康って意味だったんだね……」
「納得するなネイトレ、戻ってこい。というか肉料理はまだか」
「ホッホッホッ、そろそろじゃと思うが……」
「あ、先生日本酒注ぎますね」
「うむ」
そう言いながら進む集まりは、皆楽しそうであった────
翌日、どうにか関係の見直しを言い出したルドトレは監禁された。
≫123二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 17:05:58≫119
ルドルフ「流石にボンネットいろは坂も慣れてきたな」
マルゼスキー「今日は湾岸よ!」
ルドルフ「え?」
マルトレ「ごめん途中でパーキング寄って欲しいトイレ行きたい」マッタハヤイハヤイシンプルニハヤスギテコワイ!!
マルゼンスキー「オッケー」ァァァァァァルナカエルウウウウ!!
≫154二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 17:34:32光るスレが突き抜けフライアウェイ
頭中に広がる性癖
何か崩れたタイシン怒って 性癖を爆発させる
折れたテイトレの前に テイオーが居たら イケメンスパダリしちゃうね
デッカッデッデカッ!!
なんだこの数値は 頭サイゲか?
エッロエッエロッ!!
これは五割くらいルナル悪い!
デッカデッデカッ!!
笑顔ウルトラケツで今日もウワウワウワウワウワッーー!スパンキング!!
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part70【TSトレ】
≫29やりきった頭スズトレ21/09/28(火) 17:51:04『夜空を駆ける星々』
「ふぅ…あっぶなかった…」
数十人分が騒ぐ声でさえ届かないほどの距離まで到達して、ホッと一息つく。
今日はクリスマス。中高生が多いウマ娘達にとっても、トレーナーとの仲を深めるいい機会となっている。
しかし、今年は件のウマ娘化現象が急増。
少しだけどうするか打ち合わせしていたのだが…
「クリスマスの時間だオラぁ!!」
「フクトレ後は任せた。」
「おい待て逃げるな!?」
この時点でもう私は速攻退出した。声の主はゴールドシップ、破天荒が人の形をしたようなウマ娘だ。
そのゴールドシップが部屋の壁を破壊して破ってきたらもう彼女のペースに乗せられるか説教コースでどっちにしろ時間が潰れる。
実際この判断は正解だったようで、その後声はこう続く。
「今日の予定を一言で話すとサンタコスプレを条件とした大規模なクリスマスパーティです。魔法は12時に溶けますが、それまでは健全にみんなで一緒にクリスマスパーティの時間です!!!」
まさかのエイシンフラッシュである。明らかにテンション高めだし多分フラトレで買収されたんだろう。
フラトレとはちょくちょくスイーツを食べに行く仲なのでご冥福を…いや、フラトレなら喜んでいった可能性あるししなくていいか。
冥福祈るなら集まりに急用で来なかったルドトレにするべきだ、多分いつものだし。
でも実際エイシンフラッシュがゴールドシップについたのはまずい。あの子ならすぐに私がいない事に気づく。
…ということで、ここまで逃げてきたのだった
「…みんなで騒ぐのも楽しいけどね。」
今日はもう大事な予定が入ってしまっている。
心の中で謝りながら、私の車で待っているスズカの元へと歩みを進めた。
そして、車を走らせ一時間。
「到着。ここが私の故郷、結構な田舎だけどね。」
「運転お疲れ様です。静かでいいとこですね…」
「田畑が多くて家同士の感覚も空いてるから、多分他のとこよりも更に静かだと思う。」
そんなことを言いながら車を降り、しっかり鍵を閉める。
「…それで、目の前の山が?」
「そう、今回スズカを連れてきた理由。
────頂上の景色を見に行こう、スズカ。」
「…はい!!」
≫32やりきった頭スズトレ21/09/28(火) 17:53:59≫29
星空の下を、トレーナーさんと走る。
「夜風が気持ちいいですね…」
「走って温まってきた身体に染み渡るわ…」
そう言うトレーナーさんの横顔はとても気持ちよさそうだ。
冬の寒さはいつもは苦手だけれど、お風呂上がりの感覚をいつでも感じられるのはとても魅力的だと思う。
「…温泉旅行を思い出しますね。」
「スズカも?あの時はこうして、スズカと一緒に走れる日が来るとは思わなかったなぁ…」
「トレーナーさんがウマ娘になるだなんて、普通は予想できないですよね。」
確かに、とトレーナーさんが笑う。
もうアレから何ヶ月も経ったけど、未だに不思議な現象だ。トレーナーさんの後も更にウマ娘化した人は増えていて、終わりが見えない。
「…何が目的なんでしょうか?」
「…さあ。少なくとも私やテイトレみたいな人がいる以上、善意ではないと思うけど。」
『私は、担当ウマ娘の力になりたくて一時期リハビリの勉強をしていたの。その過程で、大きな体の変化に精神を病んできた人を何人も見てきたわ。
身体は人生において、最も身近にあるもの。だからこそ、それが変化するということは何よりも耐え難い事なのよ。』
あのトレーナーの言っていたことを思い出す。
今でこそ乗り越えられたけど、前向きなトレーナーさんでさえ苦しむことになったのだ、他のトレーナーもきっと苦しんでいるのだろう。
「────だけど。私はなれてよかったって、今はそう思ってる。」
「…それは…」
「…飛ばすよ!」
「え、今からですか!?」
不意をついて急に速度をあげたトレーナーさんを追うべく、私も脚を速める。
「はー、はー、ふぅー…疲れたぁ…」
「それは…トレーナーさんが…急に飛ばすから…」
スズカが息を切らしながら言う。
私が急加速してからざっと1キロくらいの間、ずっとフルスピードで山道を走り続けたのだから当然だけど。
「えいしょ、っと…」
疲れきった脚を動かして草むらにバタッと倒れ込む。そして目でスズカも誘う。
「では、遠慮なく…」
≫33やりきった頭スズトレ21/09/28(火) 17:55:12≫32
そうして私の隣にスズカも寝転んで…その表情が、一瞬で変わる。
「…キレイ…」
「でしょ?この星空は父さんに見せてもらってからずっと、私のお気に入りの景色なんだ。」
そう喋りながらへへ、と笑う。
翌日が休みで暇な日にはよくこのためだけに山を頑張って登ったものだ。
だけど、スズカはそんな声も聞こえないくらい見入ってるようだ。
眼前に広がる星空にも負けないくらい目を輝かせるその姿はとても微笑ましい。
「…あっ、すみません。つい見惚れちゃって…」
「いや、気に入ってくれたようで何より。そのために連れてきたんだから。」
「なら、お言葉に甘えて目に焼き付けておきます。」
スズカが静かにそう答える。
「…さっきの続き、話していいか?」
「…はい。」
「ウマ娘になったからこそ見られたものがあった。得られた発想があった。できた経験や、思い出があった。
…だから、私はウマ娘になれてよかった。そう胸を張って言える。結果論になるけどね。」
嫌なことを数えるよりは良かった事を数える方がいい。
ウマ娘になったことで得られた幸せが少しでもあったのなら、それで十分だ。
少なくとも今の私はそう思っているから。
「…トレーナーさん、私からも一つだけ聞いていいですか?」
「…うん、何?」
「デビューについては、今どう思ってますか?」
≫34やりきった頭スズトレ21/09/28(火) 17:55:50≫33
いつの間にか立ち上がったスズカが、私に問う。
思えば、その言葉を聞くのも随分と久しぶりだ。
ウマ娘化した初日の並走から、ずっとスズカが主張してきた、私のトゥインクルシリーズデビュー。
起き上がり、体についた草を払いながら耳をスズカの声へと傾ける。
「初めて並走したあの日、私はゴールへと走るトレーナーさんに素晴らしい景色を見ました。それこそ、先頭の景色にも負けないくらいの。
トレーナーさんの走りには私と同じように人に夢を与える力があると思います。
…お願いします、トレーナーさん。大舞台でトレーナーさんが走るところを。たくさんの人に夢を与える姿を。誰よりも近くで、私に見せてくれませんか。」
そう私に頼むスズカの声は、天皇賞のときのように決意に溢れている。
「…ごめん、まだ断らせて。」
────だからこそ、全てを話すべきだ。
「1つ、ウマ娘化した人達がどういう扱いになるか、まだ分からない。学園の生徒じゃないからダメってなる可能性もあるし、まずそこがどうなるか待たなくちゃいけない。」
ただこれは一応理事長に議論を頼んである。そのうち決まるはずだ。
「もう1つ、今の私はウマ娘だけど、それ以上にスズカのトレーナーだ。いくらスズカがトレーナー資格を取ったとしても、最初はきっと2人とも手こずる。その間、スズカのトレーニングを蔑ろにしたくない。」
最後の1文字まで、力を込めて言い切る。
これだけは譲れないという想いを込めて。
≫35やりきった頭スズトレ21/09/28(火) 17:56:25≫34
「…そんな事言われたら、言い返せないじゃないですか。」
スズカが困ったように言う。
「ごめん。私なりに出した結論だから。ただ…」
「…ただ?」
「スズカがトゥインクルシリーズからドリームシリーズに移籍した後なら大きなレースは半年に1回になって、互いに余裕ができる。」
「…それって!!」
スズカの顔が一気に明るくなる。
「うん。スズカが出たいだけレースに出て、走りたいだけ走って、もうトゥインクルシリーズに悔いはない、ってドリームシリーズに移籍した後。
その時に私が出れるようになっているなら。
…もう一度始めよう。私とスズカの2人で。」
「…はい!!トレーナーさんのトレーナーになれるように、勉強、頑張りますね!!」
「没入しすぎてトレーニング疎かにしちゃダメだからね?」
「分かってます!」
そう心底嬉しそうにスズカが答える。
山肌を通り、空へと昇る風が、私たちの髪を舞い上げる。
「これからもよろしく、スズカ。」
「はい、よろしくお願いします。トレーナーさん。」
世界は巡る。朝に現れ、昼を経て、夕に沈み、月輝く夜がくる。そして────
『さあ今日もやってきました!中山レース場、メイクデビュー戦!!トゥインクルシリーズへのスタートダッシュを見事決めるのはどのウマ娘になるのか!天候もデビューする彼女たちを祝福するような青空となっています!
では出走ウマ娘達を紹介していきましょう!
まずは1枠1番!!トゥインクルシリーズで数々の伝説を残したあのコンビが、まさかの形で帰ってきた!!
1番人気────サイレンスアサヒ!!!!』
────また、世界に朝日が昇る。
≫166二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 18:49:08とりあえず、尻尾アクセということで、ロブロイとロブトレ、有馬記念前のクリスマスでミサンガを渡した後のを置いておきます。
ロブロイと十分にお互いの気持ちを確かめ合った後、
「ロブロイ、ミサンガだけど、私が付けてもいいですか?」
「え、ほ、本当ですか!ぜひ、お願いします」
嬉しそうに微笑み、椅子に座って足を差し出す。ああ、本当に信頼してくれているのが伝わる。
「では失礼しますね」
そっと、その足に触れる。優しく、そっと……
暗闇の中、ろうそくの光だけが私たちを照らしている。
暖かな光に照らされた足は、まるで芸術品のよう……
その芸術品に、黒いミサンガが結ばれる。
「ロブロイ、ずっと、ずっと一緒ですからね……」
そっと、ミサンガが結ばれた箇所の先、脛にそっと、キスを落とす。
それはおまじないの気持ちで、でも、キスとしての意味も込めて……
「トレーナーさん……はい、トレーナーさんは私だけのヒロイン、ですからね」
そう言うと、スッと、立ち上がって私の服を少しはだけさせる。
そして、近づいていき、そっと、私の胸元にキスを落とすのでした。
「ええ、ロブロイ、私は貴女だけのもの、ですからね」
そうして一夜が過ぎていったのでした、まる
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