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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part781【TSトレ】
≫26二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 20:49:50
不良ウマ娘「フフフ……私は不良ウマ娘、学園のルールを破る悪いウマ娘さ」
そう嘯くのは少し目付きの悪いウマ娘の少女。
不良ウマ娘「どうやら今日は『お巡りさんの日』だとかでトレ公が風紀委員の手伝いをしているらしいな……フン、その程度で私が悪い事を止めるとは思わない事だな」
そう言いながら5分前行動は欠かさない不良ウマ娘の少女は、校則違反である過度な食べ歩きを行う為に沢山のパンを抱えて歩いていた。
不良?ウマ娘「さあ、来るなら来い似非風紀委員のトレ公達……お前等の前で過度な食べ歩きの証拠であるパンを食い切ってやるよ」
いつでも掛かって来いと周囲に気を張りながらトレーナーを待つ毎朝花壇の水遣りを行う不良ウマ娘。
そしてその期待に応えるかの様に
ピピーッ!!
不良?ウマ娘の背後から高らかな笛の音が辺りに響いた。
???「こらーっ、過度な食べ歩きは校則違反だよ!」
不良?ウマ娘「フフフ、来たかトレこ……ぅえっ?」
遂に来た一日風紀委員トレーナーを少しおちょくってやろうと振り向いた後でちゃんと謝ろうと思っている不良ウマ娘、しかしその眼には恐ろしいモノが飛び込んで来た。
其処に居たのは警官っぽい恰好をした魔性のルドトレ。
しかしその実態は、青い警官らしいシャツを押し上げるたわわな双丘とそれは警官の服なのか? と疑問が湧く様なミニスカートを装備した魔性の魅了を振りまく存在。
そんな魔ルドトレが此方を追って迫って来ていたのだ。
不良?ウマ娘「エッッッ!?」
思わず思考が止まるのは仕方無い破壊力に、一瞬だけフリーズした何かが少し壊された不良ウマ娘。
???「しゃあ! 隙有りだぜ!!」
その一瞬のスキを逃さないとばかりに、今度は真っ当な警官の恰好をした芦毛のウマ娘が魔ルドトレの後ろから猛進して来た。
不良?ウマ娘「なっ! ゴルトレ!?」
ゴルトレ「おう! 此処で大人しくお縄に付くのが身の為だぜ!!」
芦毛のウマ娘……ゴルトレの登場に面食らう実は白い毛が好きな不良ウマ娘。
既に速度に乗っているゴルトレから逃げるのは難しい、しかしこのまま突っ立っていても当然捕まるだけ……
不良?ウマ娘「ちっ!」
機転が利くので頼られる事が多い不良ウマ娘は一瞬で逃げを選択し、ゴルトレから逃げる為に反対へと駆けだした。
27二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 20:50:15
……が、それは叶わなかった……
ムニュゥ…
身体が何やら柔らかい物体に弾き返されたのだ。
不良?ウマ娘「きゃっ!?」
予想外の事態に驚く結構悲鳴が可愛い不良ウマ娘。
直ぐに状況を確認する為に我に返ると、目の前に居たのは
トプトレ「逃がしませんよー」
いつの間にか背後を取っていたのは、こちらも何故かミニスカポリスな恰好であるトプトレ。
そして不良ウマ娘を弾き返したのは、その青いシャツを押し上げる魔ルドトレ以上の双丘だ。
不良?ウマ娘「やっわぁ……」
その体に感じた特級の柔らかさに再度思考がフリーズした再度何かが少し壊れた不良ウマ娘。
そしてそんな隙は当然見逃して貰える訳もなく……
トプトレ「逮捕ー!」
目の前に居たトプトレにあえなく捕まってしまうのだった。
不良?ウマ娘「しまっ……ほわぁっ!?」
あえなく捕まってしまった不良ウマ娘、しかしそんな事などどうでも良くなる様な事が彼女を襲った……
逃がすまいとしっかりと不良ウマ娘の左腕をホールドするトプトレ、その結果不良ウマ娘の左腕はトプトレの豊かな双丘に押し付けられて固定されたのだ。
不良?ウマ娘「やわ……やわわわ……」
ゴルトレ「あー、確保」
トプトレの柔らかさに脳がバグっている不良ウマ娘を背中から肩に手を置く形で押さえるゴルトレ、その声は少し同情が含まれている気がした……
しかし、そんなゴルトレの同情を他所に更なる追撃が既に何かはボロボロな不良ウマ娘へと迫る。
魔ルドトレ「私も確保ー!」
トプトレの胸でホールドされている左腕の逆、右腕を今度は魔ルドトレが同じ様に押さえて来たのだ。
不良?ウマ娘「ふみゅぅ……」
服の上からでも分かるしっとりと優しく包み込むまさに魔性と言える柔らかさに、不良ウマ娘は完全に思考を放棄せざるをえなかった……
28二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 20:50:28
ゴルトレ「……だから此処でお縄に付いとけって言ったろ……」
不良?ウマ娘「ふぁぁぃ……」
哀愁さえも漂うゴルトレによる同情の声も脳が蕩け切った不良ウマ娘には届いているのか……
ムントレ「ふむ、みんなご苦労だったね」
そんな中で最後に現れたのは何故かトレンチコートを着たムントレだった。
トプトレ「あっ、ムントレさん」
ムントレ「ああ、ムントレだよ」
魔ルドトレ「遅かったね、ムントレ?」
ムントレ「すまない、君たちの上司役だったからね」
ゴルトレ「似合い過ぎて警部どころか警視クラスに見えるぜ……それよりコイツは引き渡せば良いのか?」
ムントレ「いや、過度な食べ歩き程度だったから厳重注意といったところさ」
トプトレ「もうしちゃダメですよ?」ギュッムニィ
魔ルドトレ「メッだよ?」ギュッムニィ
蕩けたウマ娘「ふぁぁぁ……ぃ」
ゴルトレ「うわぁ、更に蕩けたな……」
ムントレ「ふむ、これで彼女もこれ以上悪い事はしないだろう……それでは締めをさせて貰うよ?」
ゴルトレ「締め? まあ、良いぜ」
ムントレ「ありがとう……では失礼して……」
ムントレ「謎は全て解けた!!」ビシィッ
ゴルトレ「謎ってなんだよ!?」
ムントレ「ハハッ、少し言ってみたかったんだ」
ゴルトレ「そっかー」
こうしてルドゴルムントプの手によりトレセン学園の風紀は護られたとさ。
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part782【TSトレ】
≫41二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 23:15:02
「和食なら私の出番ですね~、美味しいお茶も淹れますよ~」
「……あらあら~、素材を持ち込んだからお寿司にしてくれですか~?」
「仕方有りませんね~、どの様な素材か見せて貰えますでしょうか~」
「……まさかホヤのお寿司が食べたいと言い出すとは思いませんでしたよ~」
「大丈夫ですよ~、刺身等で食べられる物なのでお寿司に出来ますよ~」
「それでは少々お時間を頂きますね~」
「ホヤあそばせですよ~」
≫44二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 23:40:48
「テイトレ見事にとろサーモンばっかだな」
「…子供舌って思ったでしょ」
「子供はトロまでいかずにサーモンで止まるんじゃねぇか?」
「でもとろサーモンバカスカ食えるのは若者の特権ですわよ」
「…えっ」
「俺を見るな。やめろ注文履歴をまじまじと見るな」
「ハマチ、アジ、コウイカ……ご、ごめんな……」
「謝るな待て今は食えるんだただ昔の習慣が抜けねぇというか結局うまいと思ったルーチンから抜け出せないというか」
「まあ決まったコースから冒険しなくなるのも立派なおじさんの特徴ですわよ」
「ぐ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」
「延々といくらと赤貝と〆鯖とイワシをループしながら日本酒ちびちびやってるおじさんがおじさんをいじめてる……」
51二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 00:12:26
「…ってなことがあってな…」
「だから今日トロとか炙りサーモンとかばっか頼んでるんだね」
「…大分顔色悪いけど大丈夫…?」
「何でだろうな……胃は大丈夫なのに気分ばかりが重くなっていくんだよな……」
「うーん完璧に味の濃さに味蕾が負けてるね」
「ほら無理しないでかっぱ巻き食べよ?」
「巻物のシャリで腹膨らましたくねぇよぉ……」
「うわお金はあるのに可食物が制限されてる難儀でさもしいおじさんの理論だ」
「今お野菜をシャリのおまけと認識した?」
「うわ実家農家の何らかのスイッチを刺激しちゃった」
「ウワーッ!ナス漬とアスパラ寿司の雪崩が襲ってくるーッ!」
(inまともトリオ)
≫47二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 23:43:52
「…スライム?」
べちゃりと地面に広がる粘性の液体を見た少女…サトトレは、そんなことをふと呟いた。突然、人の形を取り出す液体。
「俺は悪いスライムじゃないよ」
「…あはは、僕は君に危害を加える気も捕まえる気も何もないよ」
「…本当に?」
ずいっと近寄り、体に絡みつこうとするテイトレスライム。スライムの能力の一つである消化、体内に取り込んだものを溶かして吸収するという多分一番火力のある攻撃をいつでも出来るようにする。(とはいえ相手が圧倒的…でなくてもそこそこ強者の場合、大体纏わりつこうがすぐにやられるのだが。)
「あー、僕にそれは無駄だからやめた方がいいよ?なんなら試してみてもいいけどさ」
「…」
試しにサトトレの全身を頑張って覆うと消化してみる。気づけばパッと消えたかのようにいなくなっていた。
キョロキョロと辺りを見回すテイトレに、囁く声が聞こえる。不気味な笑い声のようにも聞こえるそれは
『僕は生きてるよ?…あ、でもこれだと語弊があるなぁ』
「どこだ!?」
『んー、そうだね…』
『君 の 後 ろ に い る よ』
背中(スライムにあるのかは知らない)に震えが走る。首元に感じる冷たい感触に振り返ったテイトレは──
──まるで死体のように体の一部を赤色の液体に染めて、両足のない姿で笑いかけるサトトレを目撃して背筋が凍る。
「僕、いわゆる妖怪…幽霊なんだ。特に未練とかはないはずなんだけど、何故か成仏出来ないんだよね。」
「生きてた時は普通の村人から、ある日神様の加護を受けた巫女になったんだ。お祓いとか色々やってたんだけどねー」
頼まれて色々やってたのは良かったが、それが祟ったのか悪霊のお祓い中に亡くなったと。ふと気づいたら幽霊だったとか。
話を聞いたテイトレはふと自分の左脚の破片のようなソレに視線を向けると、向き直してサトトレに問うた。
「なあ、なんで足が…」
「…なんとなく分かってると思うけど、死んだ時に両足失くしてたからね。まあ幽霊だから大して困んないけど」
48二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 23:44:11
軽いノリで明かされる重い身の上に、テイトレは押し黙ることしかできない。まるで運命に定められたかの如きその人生。
「けど僕は、それでもと言うよ。報われない結末で終わるとしても、それが僕そのものだから。…しんみりさせちゃったね。」
「…そうだ、折角だしこの近くの毒沼で遊ばない?僕も君も大して問題ないし、人もあまり寄り付かないからね。」
「いいなそれ!」
…その後、毒沼でバシャバシャ遊ぶスライムと幽霊の姿がいたとか。案の定スライムは毒沼の影響で紫色になりましたとさ。
短文失礼しました
スライムテイトレの絵より急遽制作したやつ、巫女→幽霊なサトトレとセットでスレのネタを拾いつつです。
お祓いしまくった結果、逆に影響されて成仏出来ない系幽霊なサトトレ。ゴーストなので勿論ホラーなこともできます。
≫55次元好きの匿名さん22/06/19(日) 00:17:11
『スカイ』
『ウマ娘になっちゃった』
朝早く起きたからなんとなくぼーっとしていたらトレーナーからこんな連絡がきた。
あちゃー、ついに私のトレーナーにも来ちゃいましたかー、と独り言をこぼす。トレーナーがウマ娘になるという怪事件は何度もあり、トレセン関係者どころかトゥインクルシリーズに熱中する者ならみな知っていた。
『とりあえずそっちに向かいますね』
適当に返信してトレーナー寮へのんびりと向かう。のんびりと。
この時のセイちゃんは油断していたのでした。トレーナーさんがまさかあんな姿になっていたなんて……
ドアを開け、いつもと同じようにお調子者らしく話しかける。
「おっはよー。あなたのセイちゃんですよー」
「おはよう、スカイ」
「ぁ……」
「スカイ?どうしたの?やっぱりどこかおかしい?」
「い、いや!かわいいよ!……おかしくないよ」
トレーナーさんの姿に思わず言葉を失ってしまった。なぜなら、まるでフラワーのようだったから。
私が少しだけ見下ろしていたぐらいの背丈は私の顔が胸部にあたるぐらい高くなり、純真な子供みたいな声も少し大人らしい声になっている。これだけならフラワーとは似ても似つかないはずだった。フラワーのような黒鹿毛、花のように綺麗なすみれ色の目。私の冗談を真に受けてしまうような優しい雰囲気は変わらなくて。「まるで大人になったフラワーみたい」なんて思っちゃった。全然似てない他人を重ねるなんて人として最低だよね。
でも――
「そっか……おかしいところは無かったんだね、よかった」
そう言って頭の上の耳を軽く開かせて笑った君に、また恋したんだ。
ヒミツその1
セイウンスカイは新しい恋をしました。セイちゃんが恋したのはトレーナーさんなのでしょうか。
56二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 00:17:54
私に連絡するのと同時に上の方に報告していたらしい。ウマ娘になってしまったトレーナーの部屋に、たずなさんが来た。トレーナーさんは変化に慣れるまでしばらくは休職になること、ついでにウマ娘用の正装などを用意するので今から巻き尺でおおまかに身体測定すること、用意したものが合わないようなら正確に測定して新しく用意することを告げるとさっと測り始めた。
「そういえばー、私服も準備してくれるとトレーナーさんは嬉しいかもー」
「確かにスーツやジャージで私服を買いに行くのは恥ずかしいですよね。代金の方は後でトレーナーさんに請求することになりますがそれでいいですか?」
「私服まで……ありがとうございます」
「いえいえ、トレーナーさんが大変な時に金銭的な負担までかけてすみません」
「いえいえ、このままでも大変な事には違いはないので。今外に出れない私の変わりに用意してもらえるだけでも助かります」
私が横から口を挟むとなんとなんと私服まで用意してくれることになった。ふっふーん、トレーナーさんは賢いセイちゃんに感謝してくださいね。
……しっかしまぁー。体格が一回り、二回り大きくなったから仕方ないとはいえ、下着すら付けずに身体測定って恥ずかしくないの?いくら同姓とはいえセイちゃんは顔が真っ赤だよ。
ヒミツその2
ウマ娘になる前のトレーナーの身長は140cm、ウマ娘になったトレーナーの身長は175cm。
57二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 00:19:39
私は学生の身、どうせサボるとはいえ学園に登校しなければなりません。トレーナーさんとひと時のお別れをして学園生活を送りました。まぁ授業はサボりましたけどね。
そんなこんなで日が東から西に傾く頃。学園生活午後の部は暇なのでトレーナーさんのいる部屋にぶらりぶらりと向かう。
「どもどもー、またまたセイちゃんでーす」
「あっスカイ!来てすぐで悪いけど助けて!」
半分脱げたパンツスーツに乱れたスーツの上着、上気した肌、潤んだ瞳、私を呼ぶ瑞々しい唇。魅惑的なトレーナーさんの姿に誘われるようにふらふら、ふらふらと私は――
はっ、いけないいけない。セイちゃんさすがに自分でも引いちゃうなー☆
……はぁ。自己嫌悪はいつでもできる、切り替えろ私。
「え……っと、だいたい予想つくけどどうしたのかなー?」
「ウマ娘用の服が……着れなくて……」
「上の方はどうにかなるけどいきなりしっぽがついた下の方はさすがに要領がわかんないよね。うん、手伝ってあげるよ」
「ありがとう、スカイ」
倒れた状態から上体を起こして、ぺたんと座ったままのトレーナーさんが潤んだ瞳で上目遣いで私の顔を見て笑う。かわいい。ってそうじゃなくて。
「ウマ娘の体のことは担当ウマ娘のセイちゃんにまっかせなさーい。ということで、一旦ズボンは脱いじゃいましょーか。……あーはいはい、ヒトの感覚だとそこに気しないよね。トレーナーさんや、ここ見てくださいな」
「どこ?……あ!あぁー、そんなところにホックあるんだ」
「はい。穴が空いてるとはいえ、ウマ娘がパンツスタイルのものをそのまま穿くとめんどくさいので、こんなふうに穴の上の方はホックがついてて開けることができるんですよね」
「なるほど…!」
しっぽ穴の上の方が空いたパンツスーツを手にしたトレーナーさんはガバッと一気に穿いた。そしてホックをとめようとして少しわたわたした後、助けを求めるようにこちらを見た。あざとい。
「スカイ……」
「はいはーい、おまかせあれー。ついでに身だしなみチェックもやっちゃいますねー」
「えっスカイさすがにそこまではいいよ」
「いやいやー、トレーナーさんはウマ娘の体に慣れてないですよねー。だから、私が整えるのできっちりと覚えてくださいねー。まぁトレーナーさんならすぐ覚えれますよね」
「自分の体のことだからね。すぐにでもスカイの手は借りないようになるよ」
58二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 00:20:26
「……そうですか」
――なにを考えてるのだろう。なにを残念がっているのだろう。もしフラワーが大人になった時に、こんな時間を過ごせたらいいな、なんて。トレーナーさんに「私の手は借りない」って言われたくない、なんて。
ヒミツその3
セイウンスカイが「自分の手は借りない」と言われたくないのはトレーナーさんだけなのでしょうか。
≫103二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 10:16:38
パーラパラパラ!
どうも!最近影の薄いパラシンちゃんです!
まあ、本家本元新人ちゃんや教官ちゃんとかはもっと影の薄い気がしますが!
それはそうと……
なんですかこれ……肉ですよ肉……乳肉が酷いことになってますよ……
カップ数Fでも貧乳に見えて、私がまな板どころか紙にすら思えるくらいの肉ですよ……
えーと、面子を確認してみましょう。
まあやっぱり外せないタイトレさん、汝皇帝の性癖を見ろと言わんばかりの育ったそれの魔ルドさん、マーベラスな体型をしているマベトレさん、シンボリにはこんなのしかいないのか!リウトレさん、壁の中の山脈な猫タマさん、不健康組のバイク好きな健康ボディのシビトレさん、大きな妹系フウトレさん、パワーで言えば最上級なオベトレさん、生徒会も大概なグルトレさん、最上の双子山脈なキタトレさんとトプトレさんに、こんなんで爆逃げされたら色々壊れちゃいそうなパマトレさん……
手を出したいけど出したら間違いなく挽き肉にされるので出せないのが困りますね……
というか、この光景R指定まだですか?肉しかないですよ?
「……あの子、大丈夫かしら」
「大丈夫じゃなさそうなら、見に行くべきでは?私も着いていきますよ?」
「あら、ありがとうトプトレ」
「いえ。そういったこともトレーナーの勤めかと!」
「……ふふっ、優しいのね」
おや?待って、キタトレさんとトプトレさんが近付いt
────パラシンちゃんは耐えられなかった。
その圧倒的な乳力の産み出す新時代のエネルギーの奔流を受け、並行世界全てのパラシンちゃんの意識が1フェムトの時間も与えずに壊され、そして再構築されたのだ────
そうして、倒れたパラシンちゃんの元に集まる皆のばるんばるんなそれを見てパラシンちゃんは────
本日二度目の精神破壊と再構築を味わったのであった────
≫148雷迅舞い踊る122/06/19(日) 20:59:08
「だいぶ上まで来ましたけど、本当に例の魔物はいるんですかね?」
「さあな。一つの場所に留まるタイプの種族じゃないからとっくに移動している可能性もあるぞ」
王国より北西に位置する山岳地帯。そこにそびえる山々の中でも特に高いものを慎重に登っていた。上に行くに連れ、周囲を囲っていた樹々が少なくなって行き、無機質な岩石や灰色の石と砂の道が広がって行く。
この山を通った商人から危険な魔物の目撃情報が入ったため、冒険者の先輩と共に調査、そして場合によっては討伐しに来ていた。
「道が急になって来ましたね……うわ高っ。下の森があんな小さくなってる」
「足滑らせるなよ。落ちたらまず即死だからな」
「わかってますって……あれ、先輩?」
突然先輩が立ち止まり、鋭い表情で前を見ていた。手はいつでも武器を取り出せる様に構えられている。何かの気配を感じたのだろうか。私も先輩に続いて短剣を手にしながら注意深く周囲を見回した。
「魔物ですか?」
「一瞬だけだが視線を感じた。警戒しておけ」
「了解です」
己の感覚を研ぎ澄ませながら魔物の気配を探る。今のところは何も感じないが、気配を消すのが上手い魔物もいる。相手がどこから襲撃して来ても良い様にしなければ……と覚悟を決めた次の瞬間______一体の魔物が目の前に現れていた。
「っ!?」
「おっと」
咄嗟に魔物の首めがけて短剣を突き出すが、身体を僅かに反らすことで避けられてしまった。すぐにその場から飛び退き、距離を取りながらその魔物の姿を観察する。
黒と明るい緑色が混ざったサイドテールの髪と三白眼の鋭い目、両腕は髪と同じ黒と緑の翼になっており、脚は猛禽類を思わせる強靭かつ鋭い爪を持った鳥のもの。
間違いない。コイツは雷を操る強力かつ危険なハーピィ族、サンダーバードだ。
149雷迅舞い踊る222/06/19(日) 20:59:47
「悪くない一撃だったけど、慌ててたからか精度が足りないね」
刺されかけた事を怒るどころか、私の先程の一撃を冷静に分析しているサンダーバード。
左の翼を口元に当てながら嗤っているその顔からは魔物らしい危険な雰囲気と共に、妖艶さも感じ取れた。
「お前がこの辺りで目撃情報が入っていたサンダーバードだな」
「その通り。アタシの名前はデジトレだよ。以後よろしくね」
「魔物によろしくはされたくねぇな」
「ひっどいな。こっちは礼儀正しく名乗って挨拶もしてるのに」
「突然後輩の目の前に現れる様な奴が礼儀を語るなよ」
「それもそっか。驚かせてごめんね、お嬢さん」
サンダーバード……デジトレと掛け合いを続けながらも、武器を構えていつ戦いが始まっても良い様にしている先輩。それに対してデジトレは相変わらず余裕の笑みを浮かべていたが、少しずつ獰猛な表情に変わっていく。
「アタシは自分をシビれされてくれる強い奴を捜しててね、お兄さん達がどんなものか確かめに来たんだ。……と言うわけで、今からアタシと踊ってもらうよ」
「ヤル気満々って訳か。……来るぞ後輩!」
私めがけて突っ込んで来るデジトレ。その顔を切り裂いてやろうと短剣を再度突き出すが、素早い動きで後ろに回り込まれてしまう。相手の気配を追いながら背後に刃を振るうがそれも躱される。
「うぐっ……!」
デジトレの蹴り、感触からして加減されている一撃が脇腹に入ったと同時に、身体に電流が送られて来る。
激しい痺れに立っていられなくなった私は手に持っていた短剣を落としながら地面に倒れ込む。
「はい、お疲れ様。次はお兄さんだね」
「よくも可愛い後輩を電流攻めしてくれやがったな!」
150雷迅舞い踊る322/06/19(日) 21:00:29
一気にデジトレとの間合いを詰めると、長剣を使った連撃を繰り出して行く先輩。
しかし、相手はまるで踊っているかの様な動きで先輩の攻撃を躱していく。離れるのではなく、あえて至近距離で避け続けることで先輩を翻弄していた。
「いいよお兄さん、その若さでこの動きが出来るなんて凄いじゃない」
先輩の突きを躱しながら左脚を振り上げるデジトレ。
蹴りを入れるつもりか?と言う私の予想とは違い、左脚を剣を持っている先輩の腕にからませると、そのまま太ももとふくらはぎで腕を挟み込んだ。
脚で腕をひねりながら先輩にとびかかり、そのまま地面に押し倒してしまう。もう片方の腕も空いていた脚で抑えつけられていた。
「ぐああぁっ!」
電撃を食らった先輩の身体が跳ね上がり、持っていた剣が地面に転がる。
先輩が動けなくなった事を確認すると、抑えつけていた腕を解放して先輩から離れるデジトレ。
先輩も私も、身体が痺れて立ち上がる事が出来ない。
______このまま二人ともコイツに食われしまうのだろうか。死の恐怖が少しずつ迫って来ていた。
151雷迅舞い踊る422/06/19(日) 21:01:14
「二人とも良い動きしてたよ。まだ未熟な部分も多いけど、君たちなら必ず強くなれるから精進しな」
「……俺たちを食わねえのか」
「食事目的では来てないからね。強い人かどうか確かめる為だからさ」
「なんで、貴女はそんな強者を捜してるの?」
「刺激が欲しいんだよ。アタシを心の底から痺れさせてくれる、どんな道も切り開く「勇者」をね」
「勇者か……どうやら俺たちはアンタ好みではなかったか」
「また君たちが強くなったらリベンジしにおいで。アタシを見つけられたらね」
両腕の翼を広げ、空に飛び上がって行くデジトレ。
「アタシはそろそろ別の場所に移動するよ。身体の痺れはあと数分すれば治るから安心して」
そう言うと身を翻して飛び去って行く。その姿はあっという間に小さくなり、雲に隠れて見えなくなってしまった。
まだ少し身体が痺れているので地面に寝ころびながら空を見上げる。
黒く分厚い雲に覆われ、雷光が空を照らし、雷鳴が轟いていた。恐らくサンダーバードの能力によるものだろう。
「勇者ってどんな人なんでしょうかね……」
「あんな奴に気に入られるぐらいだから、相当ぶっとんだ奴なんだろうな」
「私もちょっと見てみたいなぁ。そんな凄い人」
少しずつ和らいでいく痺れを感じながら、彼女の言う勇者とやらに思いを馳せる。
多くの武勲を上げた屈強な兵士なのか、それとも特殊な技能を身に着けた天才なのか。
もしかしたら、私の想像も及ばないありえない才覚を持った、最早変態としか言えないような存在かもしれない。
デジトレが飛んで行った方角を見ると、遠くの空まで覆っていた雲が少し薄くなり、青空と陽光が大地を明るく照らしていた。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part783【TSトレ】
≫19二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 23:03:04
「グルーヴ!」
「トレーナーか。どうした?」
「えへへ、よんでみただけ!」
「そうか…」
廊下を歩く大小の人影。エアグルーヴと…その担当トレーナー(幼女仕様)、違う歩幅を二人で合わせながら仲良く手を繋ぐ。
一見とてもトレーナーと担当ウマ娘という姿には見えず、ただの仲睦まじいウマ娘の母子にしか見えないそれ。
(やれやれ、このたわけは…まったく可愛くてしょうがない。)
「トレーニングのメニューでもかんがえてるの?」
「いや…まあ少し気になる点があるから、部屋で相談しようかとな。」
「…わかった、でも今やらなくてもいいの?」
「こんな廊下で歩きながらなんて危ないだろう(喋るのに気を取られて誰かにぶつかったりしかねんからな。)」
幼くなったとはいえトレーナーとしての業務は最低限こなせる彼女、更に手伝ってくれる同僚もいるしグルーヴも手を加えれる。
…以前のグルトレならグルーヴに手を加えてもらうのは自分が駄目だからと思い込んで溜め込んでいただろう。最も、グルーヴのそれは優しさでありそれに気づいたのとウマ娘化したことの悪魔合体じみた影響が今の幼女グルトレとも言えるが。
(最初はどうしたものかと思ったが、今やすっかりこの調子だな。それに昔の担当とも仲良くやれてるみたいか)
ちなみにこの二人…というか溺愛するグルーヴを見た殿下そっくりな某トレーナーは、結構驚いてたとか。
「グルーヴ、お部屋にファイトレ(男)さんが持ってきた箱があるけど…なんだろう?」
「…」
「もしかして、ふれちゃダメなものだった…?」
「そんな訳無いだろう。」
厄ネタ入りの箱(と書いてファインからの届け物と読む)を考えて一瞬頭痛がしたものの、隣で見上げて見つめると笑ってくるトレーナーの姿に元気を貰う。今なら会長の駄洒落にすら対抗出来そうだと気炎を上げ、部屋に二人で戻るのだった。
──その後、幼女バフによる耐性で厄ネタを処理したり、にんじんジュースを飲ませてそこそこ甘やかしてたりしたそうな。
短文失礼しました
造花セイトレが上がってたので、折角だからあのグルトレ修正案を軽くssにしてみました。造花セイトレは明日書きます(宣言)
多分このグルーヴには幼女によるバフが掛かってるんじゃないかな。母は強しともいうし。
ちなみに更に幼女グルトレを練りたい人がいればご自由にどうぞ。その場合多分私が勝手に書き出すだろうし。
≫29二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:02:49
グラトレ(独)の因子の話
……不思議な夢を見た
黒鹿毛の毛並みをした四足歩行の動物となって走る夢
大観衆のレース場の中、前を行く同じ四足歩行だが毛並みの違う二頭へと追い付こうと駆ける……そんな夢
しかし、戯れる様に死闘を演じる鹿毛と栗毛の二頭には終ぞ追い付く事は出来ず……
……そして、勝者を称える熱狂の中で静かに夢は終わる
「…………夢?」
朝だというのに熱い夏の陽射しが簾を越え淡く部屋を照らす中、俺は不思議な夢から目を覚ました。
……あの動物は何だったんだろうか?
思い返せるほどの明晰な夢だったというのに、夢の中で見た動物に生憎と心当たりは無い。
夢と言うのは自分が持つ記憶が混ざり合った物を見ると言うが、何故記憶に無い動物が出て来たのかは謎だ。
……しかし、記憶に無いのは動物の方だけだ。
「あれは……中山レース場かな?」
夢の中で謎の動物が競っていた場所、それは間違いなく中山レース場だろう。
中山レース場と言えば有馬記念の開催される重要な場所、グランプリウマ娘であるグラスの大事な場所だから見間違える筈がない。
しかし、見間違える筈が無いからこそ見覚えの無い動物の異質さが浮き上がる。
何故……中山で見た覚えの無い動物が、あれ程までにしっくりときていたのだろうか……
「いや、そんな事より時間だね」
色々と思う所は有るが、此処で思考は夢から今へと向ける。
どうやらいつもよりも長く眠っていたうえに夢の事で色々と考え込んだせいで、それなりに良い時間となってしまったようだ。
仕方無いが、今日は朝食を直ぐに食べられる物にするしかないだろう。
「非常用のカップ麺……グラスに怒られそうだな……」
朝からカップ麺なんか食べていたのを愛バに知られたら……まあ、小言は言われるだろう……
その後、せめて口臭でバレないようにしようと思い念入りに歯磨きをするのでした。
30二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:03:08
「もう……私は怒っているのではなく心配しているのですからねトレーナーさん?」
「ごめんなさい」
……バレました、怒られています
気まずくて目を少し逸らしてしまったのが敗因ですね。
でも、怒っているグラスも可愛いですね……ハイ、ハンセイシテマス
そんな感じでグラスに怒られていたのだけれど……
「あらグラスちゃん、そんなにプリプリしてたら可愛い顏が台無しよ?」
「なんかグラトレってちょくちょく担当に怒られてない?」
そこに一組の救世主……マルゼンスキーさんとマルトレさんが来てくれたのだった。
よし、助かった!
「あっ……す、すみませんマルゼンスキー先輩……お見苦しい所を」
「ノンノン、元気な所が見れて良かったわ」
「それで、グラトレは何で怒られてたの?」
偶然通り掛かった救世主マルトレさん達と軽く会話を始めたのだけど、どうやらマルトレさんは何で怒られていたのかが気になるよう。
……しかし、他のトレーナーさんに怒られていた内容を伝えるのは抵抗有りますね。
此処は少し適当な事を言って煙に撒いてしまいましょうか。
「それは~、海よりも深く山よりも高い「トレーナーさんが寝坊して朝食をインスタントで済ませていたんです」
「グラァス!?」
……はぐらかそうとしましたが愛バのグラスにバッサリ切り捨てられました。
もしかして割と俺の考えている事が筒抜けだったりしない?
「珍しいね、グラトレはいつも早起きだと聞いてたんだけど」
「あら、それは確かに珍しいわね」
そんな俺達の遣り取りを見ていたマルトレさんが疑問を口にし、マルゼンスキーさんもそれを聞いて不思議に思ったみたいだ。
確かに普段とは違う行動を取っていたとしたら気になりますよね。
そう思ったので二人にも今朝見た夢の話をする事にしました。
31二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:03:26
「その事でしたら~、不思議な夢のせいですね~」
「夢?」
「ええ、そうですよ~」
それからどんな夢だったのか二人へ話していく。
中山レース場だった事と見た事の無い動物が居た事、そしてその動物達が競い合っていた事……
「……不思議な夢だね」
「ええ、マルトレさんもそう思いますでしょうか~」
「…………」
今朝見た夢の内容を語り終え、マルトレさんは俺と同じく不思議な夢だと称してくれました。
ですがマルトレさんの横で聞いていたマルゼンスキーさんは話が終わっても押し黙ったままで……
「マルゼンスキー?」
「……あら、ごめんなさいね」
「どうかしたの?」
「いえ、何て言うのかしら……私もそのレースに出たかったなって思っちゃったのよ」
「出たかった?」
「不思議よね、知らない動物達のレースの筈なのに」
「ううん、俺もマルゼンスキーならそのレースでも勝てたと思ったもん」
「ふふっ、トレーナーちゃんが言ってくれるなら私もベリーグッなレースが出来そうだわ」
マルゼンスキーさんの口から出た感想はあまりにも予想外の物。
そしてマルトレさんもマルゼンスキーが出たら勝てると思っている様……マルトレさんの全幅の信頼は今に始まった事でも無いですが……
「うーん、何となく走りたくなっちゃたわね……グラスちゃん併走をお願い出来るかしら?」
「えっ? えっと……私は構いませんが~」
「……ええ、グラスが構わないなら私も構わないですよ~」
「急にごめん」
「いえいえ、大丈夫ですよ~」
それからグラスとマルゼンスキーさんは暫く併走を続けました……しかし、相も変わらず速いですねこのスーパーカー……
32二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:03:45
……不思議な夢を見た
昨日と同じ場所で同じ黒鹿毛の動物になる夢
以前と同じ、大観衆のレース場の中で駆ける夢……しかし、以前の夢に居た二頭は居ない
今度は自身がゴールを目指して一番先頭を走り、追撃する鹿毛を躱し切り一番にゴールを越える……
……そして、勝者を称える熱狂の中で静かに夢は終わる
「…………昨日に引き続きか」
少し内容は違ったけど昨日と同じ様な夢、二日続けて見るとなるといよいよもって怪しくなって来る。
とは言えここで悩んでいても昨日と同じ轍を踏むだけ、流石に二日続けて怒られるのは避けたい話だ。
という訳でサッと作れる物を作って食べ、学園へと向かいますかね。
「……昨日に引き続きですか~」
「ええ、そうなんですよ~」
その後、グラスに会ってから今朝も見た夢について話して意見を聞いてみた。
独りで考えても答えは出無さそうなので、他の人の意見も聞いて考えてみるべきだろう。
「そうですね~……フクトレさんかカフェトレさんの案件ではないでしょうか?」
「あ~、やはりそうなりますでしょうか~」
その考えは一応していた、フクトレさんもしくはカフェトレさんに聞くべき案件……つまり霊関係だ。
……これで本当に霊関係だったら、払い終わるまでの暫くの間グラスの部屋に泊めさせて貰えないかな……
そんな風に考えながら、フクトレさんとカフェトレさんを探す事にしました。
……カフェトレさん達のおともだちの事を考えたらフクトレさんに相談したいんですけどね……
グラスも授業じゃ無かった着いて来て貰いたかった……
33二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:04:06
それからフラフラと探しに周り、先に見付かったのは……
「あっ、グラトレさんこんにちは」
「……カフェトレさん方こんにちは」
「こんにちはグラトレ、何か悩んでいる様だね?」
「こんにちは! 僕達で出来る事なら聞くよ? ……ほら、グラトレさんが恐がるから大人しくしていて?」
そこに居たのは三人全員が霊に関わりが有るというカフェトレさん達でした……慈悲は無い……そう思った。
……というより義カフェトレさんは虚空の誰に向かってしゃべっているんですか? かえっていい? あっだれかがかたをおさえて!?
「こーら」セッカクニゲナイヨウニシテアゲタノニー
……たすかったよ……かえりたいよ
「落ち着いたかい?」
「ええ、なんとか~」
「それでグラトレさん、悩みってどうしたの?」
「あっ、言い辛い事なら無理に言わなくても大丈夫ですよ?」
「ご配慮心要ります……実は夢の話なのですよ~」
「夢……か」
それから俺が俺が落ち着くまで少し待って貰い本題へと入ります。
話すのは昨日見た夢と今朝見た夢、そして昨日のマルゼンスキーさんの反応。
多分マルゼンスキーさんの反応も関りが有る様な気がするのだ。
「う~ん……話を聞く限りだと霊的な物は感じないなぁ」
「そうですか!」
黒カフェトレさんの鑑定では霊は関係なさそうとの事。
これで今日も寛いで熟睡できそうだ……
「ふふっ、霊が関係無いと分かって嬉しそうだね」
「それよりタバコさん、コレをどう見ます? 僕はギムレットさん案件じゃないかと睨んでるんだけど」
「……うん、コレは霊の話じゃなくてウマソウルの話だろうね」
34二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:04:42
これは霊ではなくウマソウルの話だろう。
そう情報を手に入れた俺はカフェトレさん達にお礼を伝え、ウオトレ(親父)さんを探し始めました。
……最後に後ろから尻を叩かれましたがおばけではない、そうおばけではないはずです、ちがうよね? おばけ?
「グラスのか、待っていたぞ」
「あっ、うおとれさん」
「なんでメンタルが壊れかけてるんだ……」
どうやらカフェトレさん達が連絡を回していてくれたみたいですね。
最後に受けたおともだちからの洗礼によってメンタルブレイクしかけていたが、壊れる前にウオトレ(親父)さんに会う事ができました。
おばけのことはわすれる
「それで、ウマソウルの鑑定だろ?」
「ええ、ええ、特に不調をきたしている訳ではありませんが~、あの様な夢を見れば気にもなります故~」
なんでもウオトレ(親父)さんはウマ娘に力を与えるというウマソウルの鑑定が出来るらしく、その的中率は驚異の百中。
どうやらウマ娘化と同時に二重人格となった事と関係が有るみたいですが詳しい事は知りませんね。
しかし、いざ見て貰うとなると期待半分不安半分と言った所。
さてさて、鬼が出るか蛇が出るか……
「ふむ……」
「先生どうですか?」
「誰が先生だ……ああ、分かったぞ」
どうやら鑑定結果が出た模様。
さて、鬼か蛇か……
35二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:05:00
「グラスのに入っているウマソウルは二つ……一つはグラスのが担当している娘と同じ栗毛のモノだな」
「グラスと……」
「もう一つは古い黒鹿毛……いや、コイツを古いと言うとマルゼンのに怒られるな」
「となると、マルトレさんと同じモノでしょうか~」
「いや、マルゼンのより少し古いヤツのだ」
ウオトレ(親父)さんの鑑定によると、俺に入るウマソウルは二つで栗毛と黒鹿毛らしい……そういえば、夢の中の動物も黒鹿毛だったな。
……それよりも、何故ウオトレ(親父)さんがグラスに入っているウマソウルを知っているのか問い詰めたいのですが?
「それで、グラスのに一番影響を与えているのは黒鹿毛の方だな」
「おや、そうなのですね~」
「例えば髪なんだが、変わって無い様に見えて実は影響を受けている」
「……黒鹿毛だから変化が分からなかっただけなんですね~」
「他にも、グラスのの主戦場はマイルではなく長距離だ」
「ええっ!?」
……そんな、ずっとマイルだと思って……グラスの併走訓練とかマイルで頑張ってたのに……!
……でも、よく考えてみたらしっかり確認した覚えは無いな。
「……それで、一番重要なウマソウルの状態なんだがな?」
ウマソウルの状態……ウオトレ(親父)さんが言うにはウマソウルの活性化によって心身に影響が出る事も有るという。
そんな重要なウマソウルの状態……しかし、何だかウオトレ(親父)さんの歯切れが悪い様な?
「……グラスのに入っているウマソウルは双方共に活性化しているが……」
「が?」
「……のんびり寛いでいる」
「────なんて?」
36二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:05:14
……不思議な夢を見た
これまでとは全く異なる夢
山の中の草原、その中に有る温泉に浸かっている夢
「いや、温泉はおかしくないか?」
『でも温泉気持ち良いよ?』
『そうだ、毎日浸りたい程だ』
夢の中の温泉に浸かるとかどういう状況だよとツッコミを入れる俺に、さも当然の如く一緒に温泉に浸かる二頭が語り掛けてきた。
栗毛の温和な動物と黒鹿毛の落ち着いた動物、黒鹿毛の方は夢で見たヤツだ。
「貴方達がウマソウル……だったりしますかね?」
『ウマソウルは知らないが……馬とは呼ばれていた』
「ウマ……」
ウマ娘と関係の有りそうな名前……
やはりウマソウルか……
『でもみんなは別の名前を呼んでくれたよ』
「別の名前?」
『ああ、個別の名前だ……だが、教えるのは止めておこう』
『うん、もし君がレースに出るって決めたら教えてあげる』
二体共に俺がレースに出たくなったら名前を教えるという。
しかし、それではまるで二体共レースに出る気が無い様に聞こえるが……?
37二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 00:05:28
「俺が出たくなったら? 貴方達は?」
『僕はレースよりのんびりタンポポを食べている方が好きかな~』
『レースの中での酷い怪我を見たし、俺自身も怪我をし易かったからね……わざわざ出る気は無いよ』
「なるほど、二人共レースにあまり出る気が無いのか……」
『でも、君が出たくなったら名前も教えるし手も貸すよ』
『そうだとも、出るなら勝ちに行くのが俺等の信条だ』
「どうやらのんびりそうに見えて闘争心は凄いみたいだね」
どうやら二体共あまりレースに積極的ではない模様。
だが、出るなら勝ちに行くと黒鹿毛は言った。
そしてどうやら栗毛の方もそれには同意見の様だ。
『僕に関しては君の担当で知っているでしょ?』
「ふふっ、そうだね」
そこまで話した所で視界が急に白んで来た。
……どうやら目覚めの時間らしい。
『どうやら時間みたいだな、怪我には気を付けろよ』
『ばいばい、レースに出たくなったら力を貸すからね』
そんな最後の見送りをしてくれる二頭の声を聴きながら、意識は現実へと引き戻されていった。
「……一番不思議な夢でしたね」
夢の中で自身のウマソウルと会話するなんて不思議な体験ではあったが、きっとあまり変わる事は無いだろう。
俺が走りを望まない限り彼らはのんびりしておくと言っていた。
それならのんびりしていて貰おう、いつか必要に迫られる日が来る迄……
それから一つ伸びをした後、窓を開ける。
相変わらず夏に近い熱気が立ち込める中一陣の風が吹いた。
≫98二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 20:48:12
「手伝ってもらってすみません…」
「いいのよ、身長も大分変わってるみたいだしまだその感覚に慣れてないでしょう?」
長身なウマ娘が二人、どちらもスーツを身に纏い歩く。その手には大量の資料を持ち、部屋へ向かう所だった。
セイトレ(造花)とキタトレ、ちゃんとあるサイズのとここでも随一の胸を抱えている彼女らは、雑談に興じていた。
「キタトレさんはチームトレーナーなんですよね、時間とか大丈夫ですか?」
「別に問題ないわ。トレーニングはまだだし、私自身の仕事はそこまでかからないもの。」
「チームを受け持ってる人達って凄いですよね、私もいつかは持つことになるのかな…?」
「それは貴方次第ね。ただ、もしチームトレーナーをやるならキチンと覚悟は決めて、周りにも頼りなさい。」
じゃないと遠からずキャパオーバーでぶっ倒れるわよ。というキタトレからの言にセイトレ(造花)は深く頷いた。
キタトレ自身倒れた経験はないが、忙しい時期なんかだとトレセンでは毎年一人は過労でダウンするのだ。
「それで、ここでいいのかしら。」
「ありがとうございます。…そうだ、お礼に仕事手伝いますよ!」
腕をその巨乳の下で組み少し考え込むキタトレ。とはいえ無下にするわけにもいけないと思い感謝の言葉を伝えた。
「ありがとうね、それなら…この後のトレーニングに付き合ってもらおうかしら。勿論貴方と担当の彼女が許してくれるならだけど」
「私は大丈夫です、スカイは…ちょっとLANEで聞いてみますね。」
「同じ逃げのウマ娘同士、学べるものも多いと思うわ。それにチームの娘達へのいい刺激になるはずだしね」
「あ、スカイもオッケーって言ってくれました。じゃあこの後お願いしますね!」
──その後、チームプロキオンとスカイの友情トレーニングを行った。スカイはキタトレと話すセイトレにもやもやを抱えた。
短文失礼しました
宣言通りセイトレ(造花)で一つ、同じ逃げの担当であるキタトレと。なんか雑な気がするので腹を切ります。
チームトレーナーは毎年こんな感じそう。そしてセイトレとキタトレの仲良さそうな雰囲気になんかもにょるスカイ。
≫132二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 05:59:10
「あー、美味しいなビッグマック」
「ええ、流石世界的チェーンと言えるわね」
「わたしもよくお世話になるのよね」
「…そこでひたすらもぐもぐしてるサトトレは気にしなくていいの?」
…チームトレーナーズ。ウマ娘化トレーナーの中でも担当個人だけではなくチームを受け持ち色々と活動する人達である。
ルドトレ、ブラトレ、キタトレ、フウトレの四人は、担当ウマ娘を連れてマ○ドナルドへとやってきていた。
ちなみにその担当達は別の机で雑談に興じていたりする。なんか一人トレーナーが混じっているが担当ウマ娘ではあるからセーフ。
「でも、いつ見てもキタトレとサトトレの関係って凄いよね。担当として見てもらう代わりに事実上のサブトレにするっていう」
「そもそも私がチームを作ったのも、サトトレのデビューに合わせてって一面があるからある意味当然よ。」
「それにしてもその人数をよく見れますねキタトレさん…単純な数だけならフウトレさんの方が多いけど」
「わたしの場合はアオハル杯向けの合同チームだから、キタトレのとはまだ違うしね。他にあれだけ見てるのは…代理?」
この発言に全員が元理事長代理にして敏腕トレーナーの一人、理子ちゃんを思い出す。そして顔を見合わせると
「…ブラトレ、彼女を最後に見かけた時の顔色とかどうだったかしら。必要なら私が」
「俺が見た時は大丈夫だったはずです。だからこれ以上仕事を自分から増やさなくていいですよ?!」
「倒れてないか真っ先に心配されるのはなんかね…」
「まあ仕方ないよ…」
…四人に理子ちゃんが相当か弱いことは既に知られており、当然のように話題になるとまず大丈夫なのか確認される。
以前ふらついてる彼女を四人が見かけた時なんかは、それはもう介護みたいなシーンだった。そして視線はフウトレへ。
「一概に悪いとは言えないけど、前科持ちだからねフウトレ?」
「(まあ次は大丈夫でしょうし、いざとなれば打つ手はあるからそこまで気にしてないけど)気をつけなさいな」
「はい…」
「ここらへんはどうしても切り離せない悩みですしね。…それと、ルドトレは親衛隊と化したチームってどう思ってるんだ?」
133二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 05:59:46
プラエトリアニ、実質ルドルフの親衛隊なチームだがルドトレはそうなってることを大して気に留めてない様子。
「チームの士気は高いから私的にはいいかなーって」
「まあやる気があるに越したことはないわね。私は個人に合わせて対応してるけど、一つの目的で繋がれるのは強いわ」
「俺のブラックヴォルフは皆ガッツはありますからね。」
「重賞バのチームと考えると中々凄いよねー」
この四人、チームの方針やらなんやら綺麗に分かれているのは中々面白い点だと言えよう。少数精鋭なブラックヴォルフ、敢えて気性難や脆い娘を引き入れるプロキオン、士気と忠誠心が高水準なプラエトアリニ、調整役が纏めるミルキーウェイ。
「…あちらも食べ終わったみたいね。長時間占拠するわけにもいかないしそろそろ出ましょう。」
「私はルドルフにさっき閃いたトレーニングの相談しようかな」
「ブライアン、野菜はきちんと食べただろうか…」
「会計は私がやっとくねー」
短文失礼しました
マックで語るチームトレーナー達、それぞれのチームにも個性があり、中々面白い。どこかで競ってそうです。
そして全員から心配される理事長代理、チームファーストの面々がいないときはトレーナー達に色々手伝ってもらってそう。
≫174二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 16:41:22
「最高だ。これが酒風呂というものか…」
「あ〜〜、温かい〜」
「お酒美味しー」
某日、とある露天風呂にて。酒風呂なるものをやっていると知った元女性トレ達は入浴しようとやってきていた。
…で、入った結果がこれである。饒舌なファイトレ(女)、へにゃるネイトレ、酒に酔ったベガトレ(とアルちゃん)。
「ファイトレ(女)は相変わらず風呂だと雰囲気変わるよねー、あ、お酒注いでおくわ。」
「ああ、助かる(グイッ)…ふぅ、湯船の中で堪能する酒は美味いな。これだけでも十分に楽しめる。ネイトレはどうだ?」
「私はいいかな、温かくてとろけそう…」
「ふむ、アルちゃんは…アッパーだろうしまあいいか。」
現状、ここにストッパーがいない問題。本来ならブレーキ役として非常に有用なファイトレ(女)がいるのだが、肝心の彼女はここが温泉故にアクセル側に行っちまってるのだ。常識人…というか抑えに回れそうなアルちゃんはアルコールでアッパーになり駄目だった。
「ふふふ…温かいなネイトレ」
「右手、いつもなら冷たいけど…酒風呂のお陰?」
ネイトレの二の腕にポンと置いたファイトレの手、それに反応するネイトレとその手をとるベガトレ。
「お、本当なん?…おお、温かくなってる。左手も……って変わんないし…」
「はは、私の左手は義手だからそう変化するわけないだろう。とはいえ私の体温があがっているか…」
…ぷかぷかと浮いているお盆と、湯けむりの合間から除く三日月がいい味を醸し出す。月明かりが酒に反射して輝く。
だらりと寛ぐ3人は、心いくまで酒風呂を堪能していた。その顔は3人とも大変緩んでいたそうな。
(アッパーになり表にあまり出てなかったアルちゃんは、堪能出来なかったのでもう一度行きたいと言ってきたとかなんとか)
短文失礼しました
酒風呂で満喫する元女子トリオ。温泉かつ酒が出るとブレーキが効かなくなるという地味にやばい状態。
下手な日本人より日本文化に浸る女ファイトレ(女)、KOTATSUに取り込まれたパルトレのことは言えないかもしれない。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part784【TSトレ】
≫23二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 20:53:04
「ここは…」
真っ暗な、向こうがどこまであるかもわからない空間。足元はドライアイスのようなモヤがかかっている。
ウオシスはそこを見回した。誰もいそうにない。
正面に視線を戻すと、そこには音もなく椅子と、ひとりの少女が座っていた。
「お初にお目にかかります。不躾では御座いますが、お名前を教えてはくださいませんでしょうか」
冷たく、心を切り裂くような声音で、その少女は聞いてきた。
耳に入ってきた音に、ぞっとする。それは何度も聞いたことのある声で、今とは違う声だった。
「その前に、一つ宜しいでしょうか?」
「はい」
「あなたの名前、───ではありませんか?」
「…申し訳ありませんが、何処かでお会いしましたでしょうか」
「…私は、未来の貴女です」
心臓を、氷の手で鷲掴みにされたような冷や汗が背をつたう。
ほんの僅かに目を見開いた彼女、昔のウオシスは、しかし再び落ち着いた様子で口を開く。
「そのようなことが、あるのでしょうか?」
「…ええ。貴女の目の前に居るのが見覚えのないウマ娘でも、私は貴女です」
眼前に慎ましく座る少女は、外見的には14、5であろう。しかし明らかにそれを感じさせないほどに洗練された一挙手一投足が、はるかに成熟した様子を感じさせた。
「未来の私さん。今、あなたは何をしているのですか?」
「……」
ウオシスは迷った。もし、これが過去の自分が見ている夢ならば、この内容を覚えていた彼女が、父を、母の逆鱗に触れるような行動を起こしてしまうかもしれない。
できるだけ、言葉を慎重に選択して言う。
「私は、今、とっても素敵なウマ娘の方と、温かい方々と共に歩めていますよ」
24二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 20:54:33
「トレーナーに……なれたのですか?」
懐かしい。今も瞼を下ろせば鮮明に思い出せる。あの画面の奥の、温度が伝わってくるような熱い走りが。
あれに恋焦がれて、何もかもから飛び出した。
それを伝えるには、まだ早いだろう。幼い彼女にはまだ、忍耐の分が必要だ。
「……ええ。色々と無茶はしてしまいましたが、やっと」
「ほんとう!?」
目を途端に輝かせて椅子から体を乗り出す少女へと、言葉を預ける。
「でも、楽しいことばっかりじゃありませんでした。むしろ、気が滅入ってしまうほどに嫌なことの方が多かったです。ですから」
椅子を立ち上がり、少女の頬に手を添える。
「耐え忍び、夢を見失わないで。きっと、隣に誰かが居てくれます」
おまじないを、そっと授ける。
「…はい!」
年相応に、元気に笑う彼女をひときわ強く抱きしめると、暗い帷が上から沈んでくる。
「負けないで。いずれ、光があなたを導いてくれます」
意識は、そこで途切れた
目が覚めた。
ヒビが走った天井。吊り下げられた電球。窓の外からは薄く水面のせせらぎが聞こえる。柔らかな朝日が部屋の中を、ランプのように優しく染め上げていた。
もう、夢の中身は朧げで思い出せない。でも、それになぜか、いつの日か背中を押してもらえた気がする。
小さな置き時計は朝の五時を指している。いつも通りの起床だ。
「…ありがとうございます」
どこかの、誰かへと無意識に声をかける。
今どこかで暮らしているであろう、あの1人のウマ娘へと。
おしまい
≫77二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 07:50:28
──チヨトレは今、大変な窮地に立たされていた。恐らくそう味わうこともないそれは…
「…(ポンッ!)」
「…(スヤスヤ)」
…ざっくり言えば、眠るキタトレにホールドされたことでマッサージの時からずっと意識してしまったのをやり過ごせなかった。
元々、肩がこりやすい(何故とはいわないが)キタトレに、肩揉みを施したチヨトレ。それはまあ…
「ふぅ…」
「…!」
…その時から割と意識してしまったが、それだけなら後で心頭滅却すれば良かった。だが、彼は終わった後に仮眠を取り始めたキタトレに、迂闊にも近づいて、そのだらりと伸ばされた腕と開かれた手を軽く揉もうとしたのが運の尽き。掴まれて引き寄せられる。
「キタトレさ…!」
「zzz…」
ノンレム睡眠するキタトレは簡単には起きない。ぐるぐるする頭の中で、しかしキタトレの業務量を知っており、しかも原因は自分にもあるっちゃあることから無理矢理起こすことも忍ばれた。…まあそれ以上に脳が使い物にならなくなってきてるが。
──さて、真っ赤な顔で抱かれたままのチヨトレ。視界と触覚から分かるキタトレの白い肌と豊満な肢体、そして漂う僅かな香り。
座ったまま眠る姿勢が故に、引き寄せられた時に肩口と柔らかな胸にチヨトレの頭が乗せられて大変刺激的な状況。
(や、やわらか…!…っ!)
意識すればするほどに赤くなる顔。抜け出そうにも担当のトレーニングに付き合うキタトレ相手では力負けしてしまう。
それでもあたふたとするチヨトレは、ふと肩から頭部がずり落ちると双丘の合間に鼻先が入り込む。
(あっ…)
「…きゅう」
──大変いい匂いと程良い弾力を顔に感じたチヨトレは、キャパオーバーでとうとう意識を飛ばすのだった。
その形で一時間程眠った後、起きて状況を大体把握したキタトレは後日チヨトレにお詫びをしたとか。
短文失礼しました
肩こりから派生して多分お世話になる可能性が高いキタトレ、色事に強くないチヨトレに存分に堪能してもらいました。
以前人肌を感じると寝やすいと言ったキタトレ、よく稀にホールドされるので寝てる彼女に近づく時は気をつけましょう。
≫116二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 19:16:45
グラトレ「タイトレ様〜、ようこそいらっしゃいませ〜」
タイトレ「お? 何かよく分からないが、よろしく!」
タイトレ「それで、どうしたんだ突然?」
グラトレ「実は〜、かくかくしかじかうまぴょいうまぴょい……という事でして〜」
タイトレ「よく分からないが、何かの記念という訳だな!」
グラトレ「ですので〜、蟹でも振る舞おうと思いまして〜」
タイトレ「蟹!」
グラトレ「ふふっ、今日は6月22日……五十音順で6番目と22番目である『か』と『に』にちなんで蟹の日なんですよ~」
タイトレ「へ〜」
グラトレ「という訳で用意したのが『茹で蟹』と『蟹雑炊』となっておりますよ~」
タイトレ「これは凄いな! タイシンにも食べて貰いたいくらいだ!」
グラトレ「いえいえ、タイシンさんは呼べない理由が有りまして〜……こちらなのですが~」
タイトレ「……おっ、酒か!」
グラトレ「蟹味噌の甲羅焼きをツマミにどうぞ〜」
タイトレ「よし、それじゃあさっそく! いただきます!!」
グラトレ「どうぞ〜」
117二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 19:17:06
タイトレ「うぃ……食べたし呑んだ~」
グラトレ「おやおや、最後の締めが有りますよ~?」
タイトレ「しめ〜……?」
グラトレ「蟹味噌が無くなった甲羅へ日本酒を入れて火にかけまして〜……どうぞ〜、甲羅酒ですよ〜」
タイトレ「おっしゃ! 呑むぜ!!」
タイトレ「たいしんはとてもすごいんだぞ〜」
グラトレ「……見事に酔い潰れてしまいましたね~」
タイシン「うっ、酒臭っ! ……って、何やってんの?」
グラトレ「おや、タイシンさんですか~」
タイトレ「お〜、たいしんだ〜」
タイシン「うわっ、酔い潰れてんじゃん」
タイトレ「たいしんはおれのじまんでな〜」
タイシン「へっ!? きゅ、急に何!」
タイトレ「ひくてあまたなじまんなんだ〜」
タイシン「なっ……何なのよ!?」
グラトレ「あらあら、タイシンさん自慢が始まりましたね~」
タイシン「はぁ!?」
タイトレ「お〜、おれのいちばんだぞ〜」
タイシン「……!」
グラトレ「あ〜、これは収まりそうにないですね~」
その後、延々とタイトレからタイシン自慢を聞かされ続けたタイシンの情緒はボロボロになったとか
うまぴょいうまぴょい
≫129二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:25:27
●山神様は突然に…?●
「あら、生き物が来るのは久しぶりね」
森がいつもと違う騒ぎ方をしている。いつからか聞こえなくなった、遠い遠い昔の懐かしさ。
どうやらしかしそれは、人ではないらしい。
「…あまり、期待はしないでおこうかしら」
周りの木々に問いかけると、わからないとばかりに雪を払い落とした。
「うっへぇ…寒い…」
できるなら おこたのなかで 一生を
そんな心の句を詠んだところで一度も暖かくはならないとおもいつつ、タイキトレはふうと白息を吐いた。
今回の依頼はどうやら北の方ででっかい奴が出たらしい。奴。その詳細は頑として教えてくれなかったけど、まあなんとかなるでしょと干した鮭をつまみに北に赴いた。ぶっちゃけてしまえば報酬も結構上々だった。うん。鮭うまい。
でもそれも一瞬で打ち砕かれた。北といってもせいぜい2、3度程度の冬の寒さだと思っていたのに、ここはまるで極寒。冷凍庫にずっとぶちこまれてるみたい。死ぬぞ?我もうすぐ死ぬぞ?
持ってきたコートとあったか魔術でさえもこの極寒を遮断できていない。もはや魔法の領域だよこれは。
そんなことを考えつつ坂を登る。今回の依頼の土地はカルデラの中。そこに行くまでにまずしんどい。
「ぶぇっくし…おっとと」
くしゃみをしたところで丁度地響きが1つ。まさか自分のくしゃみは世界を変える…なんて思ったりしたところで丘を越える。
そこに広がるのは広大な森。背の高い針葉樹が綺麗にびっしり、見渡す限りのカルデラの陥没地帯には、左端にわりかし大きな村が見える。教会があるし、立派な石造り。まあお金持ってそうなこと。
それ以外は本当に森。森。森。ひたすらに針葉樹林が生えわたるのみ。こんな景色そうそう見れないよ。うん。それくらい美しい。
縁から中へ降っていくが、カルデラの中はいっとうさむくてもっこもこのフードを被る。あ〜あったかく…ないわ。雪が入っててべちゃべちゃだし。
そんなこんなで寒さにうだうだしながらも村に到着。依頼主はどうやら教会のらしい。おじゃましまーす。
131二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:26:16
「おおよく来てくれました。早速ですが依頼の件について」
「あ〜…その前に、服乾かしたい…」
雪でずぶすぶになったコートを脱ぐ。コートが濡れたおかげで中の服は無事。その尊い犠牲に感謝しよう。すぐ忘れるだろうけど。髪もだいぶしっとりしてる。乾いたらボリューム3割増だぞ〜?
「で、では。改めまして。端的に言いますと、この村の横の森の奥。そこに斧を持った凶暴な化け物がいるのです。そやつを退治していただきたいのですが」
「ほう。凶暴な」
どうやら話を聞くと、森の中に入って木を切り倒したり狩猟をしようとするとそいつが現れて人を喰ってしまうらしい。コワー
報酬も結構あったから即受けた。あと超あったかいコートも借りた。どうやらこの地ゆかりの毛皮らしい。めっちゃあったかいしなんか安心するわコレ。
銃と縄とその他諸々を持っていざ森へ。ついでに干し肉ももらってので齧りながら。なんだい結構狩れてるじゃないのーとか思ったけど口に出さなかった。えらいぞ自分。沈黙は金。でも金より今は干し肉に塩気がー欲しい。
雪に足を取られながらもおくへすすむ。アイゼン借りてくればよかってなんて後悔もする。あまり強い雪を降らせるなよ、とか謎な思考をする。
「誘い出す…どうすればいんだろ。一発空にぶち込むとか?」
銃をガチャンとリロードして弾を込める。一発なくなるのは痛いがまあ背に腹はなんとやら…
132二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:26:52
「いよいしょっと」
ドカンとかまそうとしたが、トリガーに指を当てたところで撃つ必要はなくなった。
「奴さんから出てきてくれるとはありがたいねえ」
銃を構え直して気配を探る。しかしどうにもおかしい。気配があるようでない。どこにでもいてどこにでいないような。
「撃つのはやめて頂戴。他の子に当たったら、私は貴女を殺さないといけないわ」
どっしりした女の声が耳に入ってくる。でも普通の声じゃない。魔力とかそういったものとは段違いの、腹の奥のもっと奥を揺さぶられるような声。
「オーケー。そんじゃできる限り撃たない。だから姿見せてくんない?こっちも不意打ちで死んだらひとたまり…くらいはあるけど」
そう言うと木の影からにゅっと人が出てくる。人……うん。訂正。巨人。
3メートルはあろう体躯に、ぼろぼろの皮のような何かを胸と腰に巻いてる。樹齢数百年を思わせるガッチガチな脚。所々傷があるけど、肌は真っ白で綺麗。加えて何より纏う気配が、もう格が違う。まるで大地や海、ひっくるめて地球そのものと対峙しているような感覚。破廉恥とか、えっちとか思えない。昔の美術品みたいな、冗談抜きで神聖な感じ。
珍しく背中に冷や汗が垂れた。そんだけ怖いのよこれ。わかんないだろうけど
133二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:27:32
「生き物とこうして会うのは久しぶりね…。要件は何かしら」
「んにゃ。多分そちらさんなんだろうけど、化け物退治を頼まれてね。…まあ、結構キツイか」
「とりあえず話し合いをしましょう。人と話すなんてそれこそ懐かしいし、喧嘩なんてしたら皆驚くわ」
ついていらっしゃいと背を向ける彼女…彼女?についていく。まー不思議なことに目の前にはいるのに気配はないのよ。感じられない。
奥に奥に進んでいく進んでいくにつれて鹿やらリスやらモモンガやらが増えてきた。まあかわいいこと。リスなんか肩に乗ってきちゃってるもん。お持ち帰りしたい。サキュバスコンビが見れば喜ぶだろうな〜。
「ありゃ、地下?」
「そう。いつもここで暮らしてるのよ」
デカい階段を降りていく。一段が高いコレ。正直驚き。もう飽和状態だけど。
「ちょっと待っててね。お茶を淹れるわ」
ちっちゃいコップに何か注いでる。かんかこう…あれだ。子供用の小さいコップ持ってるみたい。
身長も思ったより高くない彼女は、お茶を注ぎ終わるとやまいちごと一緒に出してくれた。
「ここなら寒くもないし、ゆっくりお話ができそうね」
「だねぇ。んじゃ、いただきます」
毒が入ってないのは探知魔法でわかってたし、何より目の前の彼女からは殺気をまったく感じない。ずずっと啜るとあんまいホットミルクだった。いちごもおいしい。
「それよりまず、貴女の名前は?」
「タイキトレです。ども」
「タイキトレ、ね。私はオベトレよ」
大きな手を差し出してくる。それを握るときいんと冷たい。
「で、オベトレさんは魔族なの?」
「ん〜…貴女たちの括りで言えば聖霊、の方が近いわね。土地に根ざして、その大地と生を共にする」
「ほっほう…ちなみに種族は?」
「霜の巨人の一族よ。と言っても…皆いなくなってしまったけれど」
目を伏せて懐かしむようなオベトレ。古傷に触れちゃったか。にしても霜の巨人とはいやはや。
大昔、魔族の源流になったらしい別の種族、それが霜の巨人。だった気がする。めいびー。超長生きだね彼女。
「あー、それはごめん。でさ、私はそちらさんが村人を食ったり暴れ回ったりなんて聞いたけど」
134二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:29:45
「私はそんなことしてないわよ?」
「ありゃ。じゃあ何を?」
「私は、大地と人間との調停役だったの。かつては、人は自然に敬意を払い、木を切り獣を狩り、田畑を切り開く代わりに、祭りを奉納する。…それが、いつの日か無くなっちゃってね」
ずずっとお茶をすするオベトレさん。なにやら大昔からここにいるらしい。
「代わり代わり巡る四季は、全ては遍く大地のため。そんな中で生かされていることを、忘れてほしくなかったの。でも、彼らはそれを忘れてしまった」
どこかでそんなの聞いたことがあるようなないような気がする。知らないけど
「だから私は、自然のありがたさを忘れないように、って声をかけてたの。それが尾鰭を盛られたらしいわね」
「…つまりオベトレさんは、土地の聖霊様なの?」
「それはちょっと範囲が狭いわね。遍く大地と海原、そしてそれを司る…化身?みたいなものよ。実を言えば聖霊ともちょっと違うわ」
「…‥ウップス」
想像以上にデッカいのが目の前にいた。よく生きていられたな村の人。こう誤魔化してはいるけど、ぶっちゃけ神様だよこれ。
「じゃあさ、なんで村の人をあんなに驚かせたのかい」
「彼らは木を切り道を作ってこの森を一直線に分つ道を作ろうとしたの。ここからもっと北にある国との交易のためにね。しかもそれだけじゃ飽き足らず、森を全部切り倒して街を作ろうとした。……彼らの発展を祝福しないわけじゃないわ。でも、彼らはもう、自然に対する敬意を持ち合わせていない。…バレちゃったようだけれど、ちょっとだけ罰を下したのよ」
想像以上に重い話だった。
つまりは彼女は地球そのものを司る化身で。街の人らはこの森全部薙ぎ払って街を作ろうとして。そんでもって自然に敬意も何にもなくて、自分達第一主義。それに怒ったオベトレさんがこうして森を守ってると。
「ん〜……」
こりゃ難しい。連れて帰ろうにもそうすればオベトレさんの大切なものが消えてしまう。かと言ってここに残しておけば、私は彼女を持って帰れない。う〜む本当に悩む。
「じゃあさ、村の人らにそれを伝えて、それでここをまかせるとかは?」
「無理ね。昔それをやってみたけれど、結局金の魔力に屈したわ。彼らはもう、自分達だけで生きられる。自然なんて必要がない…そう思っているのでしょう」
135二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:30:31
「んー…でもさ、それは、ダメな事なの?」
「…どういうこと?」
「いや。物の例えなんだけど、彼らはもう、きちんと自分達で生きられる。ならもう、彼らに全部任せちゃえば?」
「…それも、ありなのかも、って、昔は思ったりもしたわ」
お、いい感じ。動かせそう。
「時代はうつろいゆく。神様も大分いなくなったし、人は人のために生きる。でも、それじゃあ大地があまりにも救われない。…ねえ、タイキトレ。教えて頂戴」
目を正面から見てくる。吸い込まれそうなほどにふっかい。怖い。
「私は、きっと変わることを恐れていたんだと思う。神様失格よね…。人は、人のテンポで世界を進めていくけど、私は私のテンポでしか進められない。私はどれだけ行っても人じゃないから、人のテンポは分からないわ。教えて頂戴」
泣き出しそうな顔でこっちを見てくる。手は少し震えている。
「ねぇ…どうすればいいの…?」
どれだけ行っても、どうやら目の前の金髪の彼女は神様らしい。そしてその神様は、人のことをよく分からない。
だからこそ、私みたいなのに答えを出して欲しいらしい。色々ガバガバだけど、それほど追い詰められてるんだろう。
「じゃあさ、全部思いっきりほっぽり出せば?」
「え?」
「だから。この地を全部人間に預けちゃうの。そんで期間を決めて、その時に返してもらう。そうすれば人間はとりあえず約束は守るだろうし、そちらさんも晴れて自由の身。しばらくは気兼ねなくシャバをエンジョイできる。どう?」
「…人は、それを守ってくれるかしら」
「そりゃ分かんないけどさ。まずはこっちが信じる番じゃない?」
それを聞いた彼女は黙ってる。考えてるのかな。視線を感じて振り返れば階段からさっきの動物たちが覗き込んでる。おーいここ人の家だよ?私が言えないけど。それに何か増えてない?まっしろもふもふなキツネも出てきたぞ?
「……まだまだ私はダメね。未熟だわ」
「およ。結果は出ましたかな」
「ええ。……ここを、離れるわ」
「そりゃまたけったいなこって。子離れする親みたいな顔だね」
「…子、ね。人は、確かに私の子なのかもね」
椅子を立ち上がり屈んでこちらに手を出してくる。
「自然は、彼らに託すこととします。これから、彼らがどう選び、どう進んでいくか。私はゆっくり、見届けることとしましょう」
136二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 20:32:02
「…んじゃ、解決で?」
「ええ。一応。タイキトレ、貴女はコレからどうするの?」
「ん〜…村の人にゃ悪いけど、一旦倒したって報告して、報酬受けとって、んでオベトレさん連れて帰るかなぁ」
「そう…え?」
「え?」
まずい。完全に口が滑った。あーもうめちゃくちゃだよ。まあどうにかなるでしょ。
「ふふっ…どこへ連れて行ってくれるのかしら?」
「およ、案外乗り気だね」
「ここ3万年はずっとここにすんでたし、外を見るのも悪くはないでしょう。…後ろ髪は、やっぱり引かれるけれど」
「3万…一体いくつなんです?」
「ナイショよ。レディに年齢は聞かない、っていう風習もあるんでしょう?」
「さいですかい」
その後は早かったよ〜?森のみんなが寄ってきたもんでそれに挨拶してお別れして村に行ってことの顛末とちょいと釘をさしといて、んでイマココ。オベトレさんと帰路についてる。オベトレさんには旅路だけど。
あと歩かないでいいの楽。髪もすっごいしオベトレさんの背中のリュックの中に入ったらもふもふした髪がとてもあったかい。あっなんかいい匂いがする。
とまあ、自然にはきちんと礼節を弁えましょう。さもなくば大変なことになります。
はい以上解散!こっからぬくぬく昼寝するんだい!
おしまい
≫142二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 21:05:00
「確かにほくほくの脚にかぶりつきむしゃぶりながら酒を啜るのも悪くないものですが、私はそのワンランク上をいきますわ!」
「言い方よ」
「妖怪のそれだよ」
「まずは……この残り少ない甲羅ミソをみみっちく掻っ込みますわ!!」カツカツハグハグムシャムシャ
「気品の欠片もねぇ」
「黙々と食べるものNo1候補相手によくそんなやかましくできるね」
「そして!この空になった殻(激うまギャグ(ウマだけに))をオン・ザ・カナアミ!」
「一瞬すっごい体感温度下がったんだけど」
「二文字かかりはギャグとして認められない家系もあるらしいぞ」
「酔いどれ特有の世迷事をわざわざ耳に入れなきゃなんないこっちの身にもなってくれ」
「お黙りあそばせ!!イイ感じに熱せられてちょっといい匂いがしてきたらすかさず熱燗をシュゥゥゥゥゥウウウッッッ!!!」
「テンションがおかしいんだよ」
「まあ甲羅酒は大分気持ち昂るのはわかる」
「うあー…おいしそう」
「ほーらほらほらごらんあそばせ!甲羅をかすかに揺すれば、ほのかに香る麹と蟹!口に含めば……───クゥーーーッ!ミソの仄かーな苦みと深みの中に、とびきり燗上がりの辛口シャープさが突き抜けて!終いにゃ後味微かにカニさんの幸せ風味!!まさしく茫と瞭、敏と深の神秘!!いくらでもいけますわよ!!!」
「泥酔おじさんとは思えない語彙で挑発してくる!」
「クソッ!そいつをこっちによこせ!」
「くやしかったら自分の甲羅でやぁりゃーいーじゃないですの!!これは私のもんですわ!!」
「みにくいあらそい……」
「やってやろうじゃねぇかこの野郎!!熱燗追加で!!」
「俺も!!!来るまでにこの蟹処理すっぞ!」
「あ、じゃあ俺も」
「…」コリ…カリ…グリ…
「……」モグ…モグ…チビ…
「………」パキ…ホグシホグシ…ハム…
「…………(さっきまであんなにうるさかった酒呑みどもがウソのように静かに……おそるべしカニの魔力ですわね)」チビ…チビ…
≫174二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 22:17:21
「…美味い。」
「凄い食いっぷりだねファイトレ(女)…」
隣で若干引き気味のオベトレとパルトレを尻目に、タコやフグの刺身をガッツリ食べるファイトレ(女)。
目の前で捌かれるデビルフィッシュや致死毒持ちの魚に慄く二人を他所に、この女はクールな顔で興味深い反応をしていた。
「美味しい食事に美味しいと評価するのは至って当然のことだろう。味は私が保証する、食べるといい。」
「…ねえオベトレ、前から思ってたのだけどファイトレ(女)って美食屋だったりするの?」
「私もわからないな…」
「む、ほう…すまない、あれとその隣のを頼む。」
メニューの一つを指差し、注文したファイトレ(女)。気づけば目の前の皿は既に半分以上なくなっていた。
気になった二人がそちらの方を向くと、奥から出てきたのは蟹はかにでもザリガニ…しかも結構なサイズ。そしてある魚の内臓。
「北欧でも中々なものだな…そしてアレの内臓の漬物か。…ついでに納豆も頼むとしよう。」
「よく食べるねファイトレ(女)、太ったりは…あなたならしないわね。」
「何、食べられるのであればしっかり食べるべきだろう。そう満腹になるまで食べられる機会なんて少ないのだからな…」
「あなた、本当に生まれてからどういう経歴辿ってるのか気になるわね…詮索したりはしないけれど」
と、ここで追加の皿が置かれる。内臓の糠漬けとザリガニの揚げ物を3人で取って食べると、まあよくご飯が進むこと。
「…そういや、この内臓の糠漬け。何の魚の内臓?」
「あ、私も気になるわ。多分知ってるだろうし教えて」
「ん、ああ…河豚の内臓さ。糠漬けにして毒を抜いた代物なんだがこれがまあ美味しくてな…飯が進むんだ」
「「…ゑ?」」
──今度から、食べる前に話を聞こうと思った二人だった。ファイトレ(女)はクールな、しかし満足気な顔をしてたとか。
短文失礼しました
日本人…というか文化特有のこれと、美味い食事に凄く反応するファイトレ(女)with慣れてないであろう海外トレーナー二人。
こやつ、相当な美食屋にして怖いもの知らずなのは間違いない。彼女の経歴的には食事に拘る理由はまあうん。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part785【TSトレ】
≫21二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 02:14:26
夜の帳が下りる前 ナイショで一人出かけるの
お化けと怪我は怖いけど 密かな楽しみ止めないよ
ブカブカ服へ袖通し ベルトで締めてこっそりね
お店の服に着替えたら 夕日を追いかけ公園へ
ヒラヒラスカート翻し ブランコシーソー通り過ぎ ターザンロープに飛びついた
体を預けて掴まれば 走れず動かぬ足だけど 風切る気分になれるのさ
ガッシャンと音が鳴りロープが向こう側に着いた事を知らせる。
ロープを掴んだまま腕を伸ばして体を反らせて見る風景を変えてみる。
夕日の赤色に染まる公園だが、徐々に夜の暗さに侵食されている様を見ると何処か寂しさを感じる。
これが暗闇に包まれる頃には恐怖に塗り替わってしまうのが無情なのか、僅かな楽しみだからこそ何度も通うのかはまだ良くわからなかった。
……暗くなったら誰でもある事と割り切ろう、何か遭遇率おかしい気がするけど当事者は何時もそんなものだ。
首を振って思考から追い出しゆっくりとした風を味わう、行きほどではないがゆったりとした風も心地よく心落ち着けるには十分だ。
──十分だった。
急に視界いっぱいを光が覆い、暗転させられる。
なんだなんだと首を回すと目についたのはセイウンスカイ──今日、釣りに行ってると聞いた担当バだ。
スマホのカメラをこっちに向けているので、恐らく今のフラッシュはアレが原因だろう。
然しそれ以上にこちらに向けて何かを叫んでいるような、一体何を──
「トレーナーさーん!前!前!」
「へ?…ゥわぁイッ!?つゥァアアア!」 ドガシャーン
光に気を取られてロープがスタート地点まで戻ってきていた事に気が付かず思い切りデコと背中を打ち付けた。
22二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 02:14:39
「ちょ、ちょっと!大丈夫ですかー!?」
「……大丈夫だぞー、背中とデコ打っただけだから」
「返事は出来そうですねー、立てます?」
「……多少痛いけどなんとも、ちょっと待って」 ヨイショット
「大丈夫そうですね~」
悪い悪い、と砂埃を落としながら立ち上がる。
近くの川釣りだったのかスカイは軽装で片手は竿で埋まっていた。
クーラーボックスも持ってないところ今日はキャッチアンドリリースで済ますつもりだったのだろう。
「大体門限ちょっと前か、今日みたいな暗くなる日はもうちょっと速く帰った方が良いかもな」
「えぇ~、今のトレーナーさんには言われたくないですよ」
「そんなおかしな事言ってる?」
「いえいえ、そんな事ないですよー。それで、どうして公園にいるんです?」
「……走れないから、どうしてもフラストレーション溜まるんで風浴びて誤魔化しに来てる」
答えるかどうか数秒悩み、この位いいかと答える。
走れないと諦めが付くのなら楽だったがどうにもそうは行かないらしい。
勿論万人が、という訳ではないだろうが少なくとも俺は走りたいという欲求を抱えたまま足の問題がついてまわる状態になった。
「ただ怪我するだけならまだいいんだけど、人にぶつかると危ないからね」
「トレーナーさんの怪我の事も考えてくださーい、ただでさえ良く転けてるじゃん」
「……出来るだけ気をつける。じゃあ送るからちょっと待ってくれ、公衆トイレで着替えてくる」
「そう言えばその服どうしたの?ブランド物ですよね」
「知り合いにバレたくないからお店の人に頼んだ、特徴隠せてない?」
「印象は変わるけど、今のトレーナーさん一見公園で夜遅くまで遊んでる子供ですよ。それ女児服だし」
「うそぉ!?」
≫30二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 08:25:53
『つれづれな話~ねいべが~』
「やぁーんまた売り切れてるじゃないの」
「どうしたんですかベガトレ先輩、スマホとにらめっこして」
「あー、ネイトレェ……ほれこれ見てみ」
「ぬいぐるみ……ですか? いや、クッション?」
「まあそんな感じ。限定生産でちまちまこうやって公式ショップに並ぶんだけどまああっという間に売り切れるんでねぇ……ああ、いつになったら堪能できるのやら」
「仕事の都合張り付いてでも、というのも難しいですからねえ」
「こういう時にアルが頭から分離してくれないかなーって思ったりするんだけどねぇ」
「さすがに無理がありますよ先輩……両親に頼んでみるというのはどうでしょうか」
「んー、それも考えたけど送料がエッグいことになりそうだからパス。このサイズを北海道からはヤバくなりそうじゃない?」
「あぁ……それはそうですね……」
「それにね、あと一つでっかい問題があるのよこの作戦は」
「……いったいどんな問題が……?」
「今私の両親もふわもふに侵略されてる」
「あっ……争奪戦……」
「そう。同好の士でありライバルなのよ今は……」
≫69二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 21:46:03
モブトレA「あ〜…尻に物理的に敷かれたい」
モブトレB「おかしくなったふりして養護タキトレさんにお世話になる気だろ、やらせんぞ」
モブトレA「いやいや、おっきなお尻に敷かれたらさ…癒されそうじゃん?」
モブトレB「癒されるか?」
モブトレA「考えてみてくれ…うつ伏せになって肩の辺りに黒カフェトレさん、腰の辺に転セイトレさん、そしてお尻の上に独グラトレさんが座るんだ」
モブトレB「背面に感じる3つのデッケツ…先生、俺も座って貰いたいです…」
モブトレA「分かってくれたか…」
モブトレB「野点のござになりたい」
モブトレA「妄想なら自由だ、存分に尻に敷かれよう!」
モブトレB「おう!」
漢達の熱い会話は続く…
≫90二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 23:23:00
──目が覚める。その隣から感じる重みが、同じベッドの中で横たわる存在をはっきりと感知できた。
とある夏の日、日本特有の蒸し暑い夜にやや弊癖するファイトレ(男)は両側に眠る二人に視線だけを向けた。
(ファインはぐっすりだな…いやそれ以上に気にするべきはファイトレ(女)のほうか。)
「…」
珍しく体を寄せ、寄りかかるように眠る彼女。そのひんやり冷たい体温は蒸し暑い今には気持ちよく、又少しだけ心配でもある。
普段ならまず見ることもないその姿は、或いは彼女が信頼出来る人だと認めてくれてるからなのかもしれなかった。
「スゥ…スゥ……」
「(これもファインの采配なのかな?)」
我らが殿下が恐らくやったのであろうこの川の字。元々両隣にトレーナーという配置だったはずだが、いつの間に入れ替わっていた。そんな事をすればファイトレ(女)は間違いなく起きるはずなのだが、そこも彼女がなんとかした…のだろう、多分。
「……ッ…」
「…!」
やや寝苦しいのか僅かに込める力が強くなる。恐らく暑いから、ではないのだろう。彼女曰くそんな環境でも別に寝れるらしい。
…であれば、ファイトレ(女)が寝れない理由というのはそういうことだった。ファインから彼女の一部始終は聞いている。
(どうにも出来ないのかな…)
片腕を伸ばして寒そうにする彼女を撫でる。目を閉じたまま撫でられる中で、僅かに力が抜けたのを感じ取った。
ゆったりとした空気の中で、徐々に瞼が重くなる。目を瞑り意識が沈む間、それでも撫でるのをやめない。
「…zzz」
寝落ちしたその腕を両側からギュッと抱きとめられながら、鳴き声も聞こえない静かな夜はふけていった。
短文失礼しました
冷たい…ということで体温低い人の話。ひんやりした体はそこそこ夏には気持ちいいと思う。大体寝落ちするまで起きててくれるし。
撫でられてる光景ですが、その腕を彼女が気に留めなかったのか、勘違いしたのか、知ってて撫でられてたのか…真意は彼女次第。
≫109二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 09:32:21
セイトレ(転)「それで、亀って美味しいの?」
グラトレ(独)「海亀やスッポン系なら絶品ですね~、普通の陸亀なら固いささみ肉と言った所でしょうか~」
セイトレ(転)「お勧めの食べ方って有る?」
グラトレ(独)「海亀スッポン系なら鍋、陸亀系なら唐揚げでしょうか~」
セイトレ(転)「なるほどー、それじゃあこの亀は?」
グラトレ(独)「こればかりは一度食べてみないと何とも言えませんね~」
セイトレ(転)「それなら試食からだね」
グラトレ(独)「取り敢えず唐揚げにしてみましょうか~」
🐢「えっ?」
≫114二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 14:49:22
『つれづれ話~はやばん~』
「バントレ、俺すっげーことに気が付いたんだけど」
「どうしましたかハヤトレさん?」
「たしか『月と鼈』って言葉あるじゃんよ」
「ありますね」
「つまり月見酒しながらすっぽん食らえば最強ってことなんだろ?」
「……そうですね、きっと美味しいでしょう」
「だろー? 今度試してみようぜー」
「しかし……実のところ、その言葉とその行動は一切繋がりがございません」
「なんだと? じゃ、じゃあこの言葉は一体何なんだ?」
「そもそも、月は星でしょう? そしてすっぽんは亀です。つまり、『月と鼈』というのは並べてもまったくもって違う存在である、転じて釣り合いの取れない状態という意味の言葉なのです」
「ははーん、なるほどねぇ……じゃ別にキレイなもん見てウマいもん食べるって意味じゃねえんだなこれ」
「ですが、月と一言に表せば星ですが……こちらの御酒をご覧ください」
「んー? お、こりゃ銘柄に『月』ってあるな」
「これで月と鼈は同じ酒の席に並ぶ美味しいもの、というわけです」
「はっはーん……バントレ頭いいな!」
「御酒の銘柄には様々なものがありますからね、場面に合わせて銘柄を選ぶというのも面白いものですよ」
≫138二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 20:37:16
「トレーナーさん…?」
「はい?」
「その…あの…これは?」
昼休み。ご飯を食べてたらトレーナーさんがプレゼントをくださいました。
くださったのはいいんですけど…その……こう…
「何故チョーカーを?」
「トップロードさんが大切な方だからですが?」
「あ…あ…りがとうございます…ではなくてですね!」
「それはですね…」
かくかくしかじか。
どうやらトレーナーさんの周りでチョーカーのプレゼントが流行っているらしです。
どうして…?
「嬉しいのですが…どういった意味で?」
「意味ですか?日頃の感謝のプレゼントですが」
「あ、なるほど…。ありがとうございます」
「私の尻尾の毛も編み込んでありますからね。これからきっとトップさんを守ってくれますよ」
それを聞いた私の顔は燃え上がるほど熱かったです。
あと…その…つい…こう…わぁ…あの…勘ぐってしまいます…
≫154二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 22:08:54
こんにちは?こんばんは?ども、今の状況が飲み込めていないタイキトレです。
依頼が終わった帰り、宿屋でふかふかのおふとんへダイブしたまでは覚えてるんだけど、そっから先はわかんないや。ここどこ?
とりあえず歩いてるけど誰も居ないし。
ま、装備はそのままあるし何とかなるなる。
「おやー?こんな所に誰か来るなんて珍しいねー」
振り返れば白黒の服を着た何かを食べてる女の子。でも、尻尾が生えてる。ウマ娘とは違うやつ。牛かな、ありゃ。
とりあえず銃は撃てるようにしとこ。
「ども、タイキトレって言います。気がついたらここに居たんだけどさ、ここどこかな?」
「こんばんはー。私はパマトレだよー。夢の中へようこそー」
わお、ファンシー。
「夢の中?どゆこと?」
「夜に誰でも見てるような夢だよー。たまに他の人の夢に迷ってきちゃう人が居るんだよねー」
「なるほどねぇ…じゃ、パマトレさんは何でその夢の中に居るの?あと帰り方知ってる?」
「私がいるのは食事かなー。帰り方?知ってるよー」
「食事ってのは…私を食べちゃう感じ?」
「違うよー。サキュバスさんじゃないんだからー。私は夢を食べるんだー」
夢を食べる、ねぇ。まぁ、依頼とかも出てないし大丈夫かな?
「ほー…夢って今食べてるやつ?どんな感じの味なんで?」
「そうだなー、夢によって色々変わるかなー。でも悪夢は美味しいよー」
もぐもぐしながら彼女は言う。聞いてたらなんかちょっと美味しそうにみえてきた。
「よし、食べ終わったし帰ろっかー。寝るときに何か数えたりするー?」
「え?そりゃ羊だねえ。何匹か数えりゃスヤスヤですよ」
聞いた彼女はどこからか羊を取り出し、
「いっぴーき、にーひき、さんひきー…」
寝たら帰れるのかな?なんて聞こうとしたのも束の間。すぐに私の意識は遠のいていった…
目が覚めたらそこは元いた宿屋のベッドの上。夢かな?まーいっか、二度寝しよ…
155二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 22:09:22
「やれやれー、珍しいお客さんだったねー」
ハンターさんをさっさと帰してあげて一息つく。人は来る事はたまにあったけど、ハーフなんてのは初めて見た。暴れられたら面倒そうだったな。
「まー、忘れてるだろうしもう会わないとは思うけどー」
そう呟いた彼女は次の夢はどんな味かな、なんてことを考えながら食べ終わった夢の世界から去っていった。
彼女は獏。夢を食べる幻獣だ。
人が夜見た夢を覚えて居ないのは、食いしん坊の彼女達が殆ど食べてしまうから。悪夢に悩まされる者は食べてもらうよう頼みながら眠るといい。きっと、悪夢をみる事はなくなるだろう。
おしまい
モンスター娘いいなあと思って書いてみました。タイキトレさんを出しましたが間違いなどあったらすみません。
≫161二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 22:28:36
「トレーナーさん、これつけてください!」
「い、いきなりだねダイヤ…」
栗色のチョーカーを片手に押しかけてきたダイヤに、サトトレは若干引きながらも向き合った。
その色はダイヤの尻尾の毛色に大変そっくりで、なんとなくだがその素材に心当たりがあるサトトレ。
「もしかしなくてもそれ、ダイヤの毛だよね?」
「そうですよ?」
隠す気ゼロの彼女、もはや反対する気も湧かないのはそれだけ彼女にどっぷり浸かってるということなのだろう。
後ろに回って首元にチョーカーをつけてくるダイヤは、ふととある質問をお人形みたく座る彼に投げた。
「そういえば、トレーナーさんは勝負服に赤いチョーカーをつけてますが、何か理由があるのですか?」
「うん?ああ…これはね、運命の赤い糸ってあるでしょ、あれを意匠に取り込もうとしたんだ。」
「でも、ブレスレットとかにしても良かったのではないでしょうか…?」
「…僕は運命を信じてるから。だからその証としてつけてるんだ。…まあ、後はブレスレットやアンクルだと汚れやすくて…」
その屈託のない笑顔に彼の言葉が本気であることを理解したダイヤは…敬意と若干の嫉妬を抱いた。
「あれ、どうしたのダイヤ…ひゅっ!?」
耳元をはむと甘噛みされるサトトレ。跳ねる体は回されていたダイヤの両腕で押さえつけられ、ホールドされる。
ダイヤの独占力…独占欲を点火させた時点で、抑えるという選択肢は彼女の中からは消え去っていた。
「僕、なにかしたの…ふみゅ?!」
耳をいじったり体を撫でた後、力の抜けたその体というか首元にあるチョーカーに触れる。栗色は比較的白さのある肌には浮いて、後ろに立つダイヤの髪の色ともお揃いである分、彼女と彼との関係が大変分かりやすく見えた。
短文失礼しました
チョーカーネタらしいので、多分ここまで来ると隠さないであろうダイヤちゃんと受け入れるサトトレです。
サトトレ…サトノジャッジの勝負服である首元の赤いチョーカー、赤い糸の意味が運命であるというのは分りますよね。
…これ、裏返せば彼が運命に縛られた存在であるという『首輪』なんですよ。信じる『証』とは表裏一体な訳です。
≫165二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 22:59:42
「トレーナー君、これをつけてくれたまえ」
「これは…チョーカーですか?」
「そうさ。君のデータを逐一把握するために開発したものだよ。血圧、毛中酸素濃度、血糖値、睡眠時間、脈拍、居場所…これさえあればなんでも把握できる訳さ」
ふふん、と誇らしげな顔でタキオンがこちらを見てくる。『褒めてくれ』と直に貼ってありそうな表情だ。
「流石タキオンさんです。これでもっと研究が捗りますね」
彼の首に巻かれているのは黄色に栗色の刺繍が入ったチョーカーだ。
「そうだろうそうだろう!これでもっと…先への道が縮まるかもしれないのだから!」
「本当に私も嬉しいです。…では、私は検証に戻りますね」
チョーカーを愛おしそうに撫でてから不タキはパソコンを持ち直してソファへと戻る。その前のローテーブルは堆く資料が積み重ねられ、缶コーヒーが両手の指では数えられないくらいの数が置かれている。
「待ちたまえトレーナー君」
「どうしましたかタキオン…さ…」
後ろから声をかけられた不タキは振り返ると同時にタキオンにソファに押し倒された。タキオンに腹の上にウマ乗りに乗られ、身動きが取れない状況にある。
「あの…タキオンさん?」
「…君は全く…こんなに…」
そのまま不タキにしなだれかかり、首元をそっと撫でる。ぞぞぞっと寒気が体中に這いずり、耳も尻尾もぞわぞわと毛が逆立つ。
「な、何を…??」
「君は本当に自分を顧みないね。体重だってこの前より2キロも落ちているじゃあないか。それに血糖値だって下がりっぱなしだ。…そんな君にはこうして寝かせないとねぇ」
そのまま白衣の袖の中から薬品の染み付いた布を不タキの口に当てる。すると一瞬で彼は眠りに落ちてしまう。
「…これでいいのかい?」
「ありがたとう。やっとねむってくれたよ…」
部屋の外から養タキが入ってくる。やれやれとため息をつく彼の首元にも、おそろいのチョーカーがついていた。
その後仮眠室のベッドで3人で川の字になって眠るタキトレズが発見されたとか。
≫171二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 00:57:11
グラスにチョーカーを贈られたグラトレ(独)
「トレーナーさん少々よろしいでしょうか~」
「ええ、良いですよ~」
のんびりとお茶でもと思いお茶を淹れていたらグラスに尋ねられました。
「それで~、どうされたのでしょうか~」
「実はトレーナーさんにプレゼントをと思いまして~」
「あらあら、それは嬉しいですね~」
話を聞いてみると、なんでも贈り物が有るらしいです。
何かの記念日だった覚えはありませんが、とても嬉しいですね。
「こちらです」
そう言って差し出されたのは綺麗な飾り結び付きの赤い首飾り……いや、和風チョーカーと言うべきですかね?
なんにせよ、それがグラスからの贈り物でした。
「あらあら、何とも綺麗な首飾りですね~」
「喜んで貰えると嬉しいのですが~」
「ええ、ええ、とても嬉しいですよ~」
グラスからの贈り物と言うだけで無条件に嬉しいのですが、着物に合う様に和風の物を探してくれた事も合わさってとてもとても嬉しいですね。
「……早速着けてみるのはどうでしょうか~」
「ええ、ええ、良いですね~……グラス、お願いしてもよろしいでしょうか~」
「はい、是非」
グラスからの提案も有り、早速貰った首飾りを着けてみる事にしました。
やはり贈った物を直ぐに身に着けて貰えるのは嬉しいのでしょう、グラスも何だか嬉しそうです。
172二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 00:57:25
「トレーナーさんは知っていますか~」
後ろに回りチョーカーを締め様としてくれているグラスはそう切り出してきました。
「はて、何をでしょうか~」
「……チョーカーを恋人に贈る意味ですね~」
「ふふっ、知っていますよ~……束縛したいですね~」
「はい、そうですよ~」
カチッっとその言葉と共にチョーカーの留め具が締まる音がした。
どうやら束縛は完了らしい。
「ふふっ、飾り結びの所に私の尻尾の毛も織り込んでいますからね~」
「あらあら、そんな事までしていたんですね~」
「チョーカーを着けている間はず~っと一緒ですよ♪」
グラスからの強力な独占力を向けられた。
それを一身に受けるのは良いのだが、その想いに此方も何かお返しをしたい。
……しかし生憎手持ちに良さそうな物は無さそうだ。
「……斯くなる上は」
「どうされましたかトレーナーさん?」
「グラス、首を失礼するね」
「え?」
グラスの想いに返せそうな物は手持ちに無い。
それならば、グラスが束縛の意味で俺の首にチョーカーを着けた様に所有印をグラスの首に付けようじゃないか。
そう考えた俺はグラスの首に唇を落とし……赤い印をしっかりと付けさせて貰った。
「取り敢えずはこれがお返しかな」
「ふふっ、しっかりと印を付けられてしまいましたね~」
「それが消えるまでには尻尾の毛を織り込んだチョーカーを作っておくよ」
「はい、楽しみにしていますね♪」
それから暫くの間首に絆創膏を貼っていたグラスが、ある日絆創膏を外してチョーカーを着け始めたのは少し後の話。
≫175二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 01:23:20
ある日のこと。
「トレーナー君」
「……なぁに、ルドルフ?」
軽く呼び掛けるだけで彼女は迦陵頻伽な声で返してくる。といっても、これは私の主観に過ぎず、実際の彼女の声がどう取られるかはわからないのだが。
「最初に君に与えたチョーカーだが。少し痛んできたようだな」
「……えっ!?ほ、本当……?」
慌てながら、首筋に傷が付くのも厭わずにチョーカーを取り、それを確認する彼女。
そうして、確認が終わるとこう呟く。
「……確かに、少し傷とかついてる……えっと、ルドルフに貰ったのが嬉しくて。一番着けてたから……」
「いや。決して君のせいではない。むしろ、複数のチョーカーがある中それを選んでいたということは、君の優しさであり、私にとっても嬉しいことだ」
「……本当?」
「ああ。私が、君に嘘をついたことがどれ程あったか?」
「……まあ、信じるけど……」
やや嬉しそうに、されど私を見定めるような目でこちらを見つめる彼女に、そっと箱を見せる。
「さて、トレーナー君。ここに、私からのプレゼントがある」
「……プレゼント?」
「まさに、君が一番気にしているだろう物だ」
「……いいの?」
「ああ。私の尻尾の毛をいくらか使ったチョーカーだ。いつかのお返し……と言うには、私も、君も随分変わってしまったかな」
そう言いながら、箱を開ける。中には茶の入ったチョーカーが入っている。
それを彼女は手に取り、すんなりと着ける。
一瞬、彼女の顔が恍惚したものとなるが、すぐ戻る。
176二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 01:29:48
「どう?似合ってる?」
「ああ、似合っているとも」
「良かった。これが似合ってなかったら、あまりに……ね?」
そう言いながら、先程まで着けていたチョーカーも大事そうに抱える彼女を見て、私は離れられそうにないことを再確認させられる。
「……ルドルフ?」
「ああ、いや。少し、思うところがあってな」
「んもう。別に、気負わなくていいって、何度も言ったじゃん。私は私、変わったけど、変わってない。そうでしょ?」
「ああ、そうだ。君は君だ」
そう、問答していると、彼女は私に顔を近づけ、目をまじまじと見てくる。
そうして、唇同士が軽く触れる。
「……とりあえず、チョーカーのお礼だけど、後でもっと色々出すから!」
「……全く、君というものは……」
優しさであれ、素であれ。結局互いに離れられそうにない、という事実だけを再確認した一日券であった。