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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part421【TSトレ】
≫40二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 17:43:29
ーーートレーナー室、その中には髪をとかす人影ととかされる人影の姿が。
「トレーナーさんの髪は、いつも凄いくせっけだね」
「そうだね…」
…黒鹿毛の髪をとかすのはファイン、とかされているのはファイトレだった。
「トレーナーも少しは気遣ってね、髪が傷ついちゃうよ?」
「いや…昔からこんなだから今更だよ。」
「そんなこと言わないの」
「…ごめん」
黙り込むファイトレ、心なしか耳が落ちこんでいるような気がした。ファインは
「髪は女性の命って言うでしょ?」
「…はい」
「もう、私が小さい頃からずっと変わってない悪いところだよ?もうちょっと体を丁寧にしてね。」
そう言いながらも髪をときおわったファインは、鏡の隣に用意した高級ブランドの化粧を手に取る。
化粧をしながらファインは語る。
「トレーナーは自分の体に無頓着すぎるの、スキンケアもしないと肌荒れしちゃうよ?」
「髪もくせっけだから仕方ないけど、整えていることは少ないし。少しは自覚してね」
「…荒れることはないからって答えは駄目だよ。それだと色々困っちゃうよ。」
そこまで言い終わった所で、メイクが終わった。ファイトレは離れていくファインに語りかける。
「…私がそういうのにこだわるのもなぁ…」
「…トレーナーさん」
「そもそも昔はそんな余裕はなかったし、今もメイクしてなくて困ったことがないから…」
その返答を聞いたファインは顔をふくらませる。
「…もう、本当に無頓着なんだからトレーナーは…」
「あまり見た目にはこだわりがないから、合ってさえいれば特に…」
「それがダメなの。…罰として今日はトレーナーさんのメイク用品を選ぶからね!」
「…分かったよ」
ーーーその後、ファインによってショッピングモールをいくつか一日中連れ回されることになったファイトレであった。
≫64二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:02:33
エルトレ「じゃあ皆撮るから、動くなよー!」
スペトレ「わざわざ私の為に用意してくれたんですよね、有り難いです」
グラトレ「そうですね~、普段の和服とはちょっと違いますがこういう装いも楽しいです」
セイトレ「俺の服厚底で決められてますよね?丈短すぎるしエルトレのズボン剥ぎ取って来ます」
キントレ「一枚取って終わりだから我慢してくれ、写真撮影で騒ぎを起こすな」
エミュが!わかりません!!!
≫69二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:11:59
「じゃあ反論しない」
「あらあら拗ねちゃった」
「……ネイチャ、月並みなセリフだけどね。すっぴんは裸も同然なんだよ」
「その顔でも変わらずそうなの?」
「……こーれだからティーンは」
「すごいマウントの取られ方してる!」
「よーく考えて? 体型も含めて、これの手入れをしないのは宝の持ち腐れだよ」
「トレーナーさん的にも一応宝なんだ……」
「……美形なのは認めるよ。自分の顔に張り付いてるから心底複雑だけど」
≫116二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:41:43
「……おい、長老」
「……どうしたんじゃ、居候」
「コスメってなんだ?最近トレーナーの中で話題らしいが」
「えっお主知らないのコスメ!?ワシでも知ってるんじゃが!?」
親父とかヘリトレとこんな感じの会話してそうじゃない?
この後は88歳なのにそんなこと知ってるのかと驚く親父と、そんだけ生きてコスメしらないって何事じゃと呆れるヘリトレが展開される思うんだが
≫123二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:47:50
「……トレーナー君」
「ルドルフ、ちょっと待って!あと少し……ここだけやれば終わるから……」
「いや……君は天姿国色、明眸皓歯と形容できる程の美人だ。……いや、気張る理由はわかるし、私のために試行錯誤しここまでたどり着いたことは素晴らしいが……」
「……ルドルフだって、自分の才能に胡座をかいてたら負け続きだと思ってるでしょ?なら、私だってしっかり努力して、ルドルフと並んでも文句ないくらい決めないとと思って……」
「しかし、既に出る予定の時間を五分も過ぎているが……」
「……あ、終わる!終わったから!行こ!」
「……ふふっ、やはり、そんな君も好きだ」
≫153二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:12:29
「…あ、口紅入ってない」
撮影のために身だしなみを整えてるボク達二人だけの部屋でトレーナーの声がぽつりと響いた。
トレーナーは化粧道具を全然持ってなかったから誰かにサンプル品の詰め合わせを渡されてたらしいけどリップだけ入っていなかったらしい。その言葉を聞いてボクは笑ってカバンの中に手を入れた。
「しょうがないなぁトレーナーは〜。はいこれ使っていいよ!」
そう言いながらリップを手渡す。ニヤリと笑うボクとは対照的にトレーナーが顔を赤らめて慌て出す。
「こ、これテイオーが使ってるやつだろ…さ、流石に使えないって」
「えーなんで?別にリップの共有なんてみんなやってることじゃん!…もしかして間接キスとか想像しちゃった?トレーナーえっちだよー」
「う…ちが…あう…」
口をモゴモゴと動かして恥ずかしがるその可愛い姿を見て満足して頷く。いつもいつもボクの心を揺さぶるトレーナーに仕返しができた事に笑って、ネタバラシ。
「へへー冗談だよ!ボクとお揃いの新品!だから早く準備しちゃおう」
「もー!全く…勘弁してくれ…」
安心して笑った顔を見てボクも準備をする為に道具を取り出す。ころりと手から落ちたリップを拾って違和感に気が付いた。
…あれ?全然傷がついてない。恐る恐るキャップを外して中を見ると案の定こっちが新品だった。
やばい、そう思って顔を上げてトレーナーが持っている物と交換しようと思って固まる。
手慣れてなさそうに鏡を見つめながらリップを塗っていたからだ。柔らかい、艶々とした唇を薄い色合いのリップが彩っていく。ボクが何度も使ったそれが、トレーナーの唇に。
「ん…むぅ…こんな感じか?分からん…どうした?」
「あ…えっと…何でも無いよ」
言うべきだった。交換するべきだった。だけど、トレーナーがボクのリップをこれからも使うかもしれないと思ったら…言えなかった。
黙り込んだボクを不思議そうに見ながら化粧を続けるトレーナー。リップを塗り終わり色味を出す為に唇を重ね合わせて、口を開いた。
パッと、音を立てて。
ボクが使ったリップが、トレーナーの綺麗な唇に。
───
「こんなことがあってさ…ボク…どうしたら…」
「テイオー…変態っぽいよ」
「ネイチャに言われたくないもん!そっちだって同じ事起きたらするでしょ!」
「そんなわけ!…そんな…うん…」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part422【TSトレ】
≫26二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:58:04
『カードゲームトーク』
夕暮れのトレセンで、ミホノブルボンのトレーニングを終えたブルトレは、リュックを背負い歩くブラトレとマルトレを見かけた。そのまま彼らはトレーナー室に入っていったので、ブルトレは気になって部屋に入ることにした。
「失礼します、ブラトレさんとマルトレさん。こんな時間にどうしたんですか?」
「うぉ!?ブルトレか。なんと偶然な」
「おー、ブルトレ。いやちょっとなー、マルトレと話してたんだが、トレーナーTVって知ってるよな?」
「ええ、知ってますよ?まあ私はなかなか見る機会がなかったので、たまにほかの人と一緒に見せてもらうことがあるんですけど」
「それなら話が早い。いずれゲストとしてブルトレも呼ぶ予定なんだけど、如何せん機械に対する体質があって遊ぶゲームどうしようかなーって思ってたんだよね……」
「あ、それはちょっと申し訳ないですね……せっかく御呼ばれしたというのに」
「いやいや、それは仕方ないから置いておこう。で、ふと思いついてこれならいけるんじゃあねえかなって」
そう言うと、ブラトレは背中に背負っていたリュックからいくつかの紙のボックスを取り出し、そのふたを開けた。
「これは……カードゲーム?」
「そうそう、アナログだけど十分にゲームだろ?それにこれなら機械っぽいやつでもブルトレが心置きなく触れるしな」
「案外思いつかなかったんだよね、適当にブラトレと話してた時に思いついて、持ってるか?って話になったらコイツ一人暮らしの家に10数個デッキ持ち込んでやがんの」
「たまに遊びたくなる時あるからさー。家に招いたやつにデッキ貸して遊ぶこともあるし。これは対戦用カードゲームのやつだけど普通のパーティカードゲームも何種類かあるぞ」
「まあそっちは俺が用意したんだけどね。ブラトレと一緒に買いに行ってきた」
そういうとマルトレもいくつかのパーティ用カードゲームを取り出した。
「いろんな種類があるんですねえ……」
「パーティゲーム多めだから誰でも簡単に楽しめるやつが多いな。なんか気になるやつあるか?」
27二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:58:13
「では、この猫&チョコゲームってのは?」
「ざっくりいうと、手札がまず配られる。その次にお題が出てきて、お題に対して手札にあるアイテムでどうやって切り抜けていくか、っていう感じだな。もし切り抜けられた!と思ったりこれは面白いぜ!ってなったやつにはグッドを送って、半分の人数がグッドを出したらポイントになる。最終的にポイントが一番多い人が勝ち、って感じだな」
「アドリブ力が必要なんですね」
「勢いとごまかしができるやつ向け、とも言うな」
「ところでなぜタイトルは猫とチョコ?」
「開発者的に使いにくいだろう、という公式外れカードだな。ただしこれも使いようだ、案外これで切り抜けられることもある」
「本当に発想力勝負なんですねえ」
「知り合いがやってた時はFAXが鈍器になってたな」
「ちょっとバイオレンス過ぎませんかね!?」
「……で、このちょっとおぞましい類のデザインのカードゲームは?」
「これは害虫ポーカー……まあ害虫っていうか不快なものばかりだな、うん」
「ルールは簡単!このカードは8種類の害虫が書かれているんだが、参加者の中から一人を指定して送り付ける。送り付ける際に、これはカメムシだ……みたいなことを言う。送り付けられた人はカードが本当に言われたものなのか、嘘つかれたものなのかを見抜き、答える。もし当たってたら送り付ける側に戻されて、外れたら送り付けられる。オープンな状態にして手元に置いておくわけだな」
「で、同じ絵柄を3枚手元でそろえてしまうとそいつは負けになる、って感じだ。途中から執拗に狙われたりすることもあるし、逆に中途半端な助平根性出したせいで連続で正解させられて窮地に陥ったりすることもある。結構面白いぞ」
「ホントいろいろありますね」
「ちなみにだが、これは多分収録時には使えん」
「えっなんでですか?」
「いやほら、スズトレが耳良すぎて心臓の音下手にならすとスグサマ見抜いてくるから……」
「強い……!」
「ブラフが使えなくなるからいっそ耳栓ありかと思ったけどそれはさすがにねーってことでお蔵入りしそう」
「まあ普通に遊ぶ分にはいいんだけどなー。そういうだましだまされのゲームじゃなきゃ大丈夫だし」
「なるほど……」
28二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:58:23
「あと個人的にこれも好きだな、10秒プロポーズゲーム」
「これは?」
「文字通り、10秒で告白の文句を考えてプロポーズするゲーム。各プレイヤーには3つの指輪と手札が配られて、その手札に書かれている文言を組み合わせて心に響くプロポーズを作って見せろ!というゲームだな。告白を受ける人が一人、残りの参加者がプロポーズを一斉に行い、そして一番びびっと来た人の指輪を受け取るんだ。指輪を最初に全部受け取ってもらった人の勝ち」
「これも相当なアドリブ力がいるね、意味不明な文章になることも多いし。あと受ける側の主観で決めていいから一番面白い告白を選んでもいい。あと全員告白が事故ったときにどれも受けたくないよこれ!っていうこともある……だが絶対に一人選ばないといけないんだ」
「そういえばマルゼンさん的にありなのこのゲーム」
「『一応気心知れた友人だからギリチョングーよ!』だって。後で一緒に遊べばいいし」
「……なんですかこのインフェルノっていう単語カード」
「使ってもいいし使わなくてもいいから……」
「あと鬼と呼吸のカードもあるぞ」
「誰と戦うつもりなんですか!?」
「ちなみに対戦カードゲームは箱が大量にありますけど、何でですか?」
「せっかくだからくじ引き一発勝負でデッキ使ってもらいたくてな、バランス調整のために予備カードも大量に持ってきてるんだよこれ」
「あーだからこんなすごい量になってたんだ……もしかしてブラトレ、結構お金使ってる?」
「大した値段じゃあないよ、古いカードも多いし……まあ古いからこそ高くなってるやつもないわけではない」
「カードゲームの高いカードってホント高いですからねえ……」
「で、しばらく調整のために何十戦としたいわけだが、せっかくだし参加する?」
「やりたいですけどもう一人ほしいですねー、手持ち無沙汰になってしまいますし」
「お困りのようだね!」
「うおっムントレ!?いつからここに」
「さっき来た!楽しそうだから混ぜてほしいな!」
「いいぜー、今日は長くなりそうだな……!」
その後部屋からワイワイと騒ぐ声で少しずつ参加者が増え、結果それなりの人数でのカードゲーム大会になってしまい、最終的にたづなさんに怒られてしまった彼らの姿があった。
≫83二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 20:30:58
ステラナイツをロブロイとロブトレがやった場合、本当に物語の主人公とヒロインみたいなものを作ってきそう
そして二人ともかなり設定を凝って作ってきそう
ロブロイ「このキャラはですね、実はこういう経歴があって……」
ロブトレ「ならそのブリンガーのステラドレスにはこういう意匠をぜひ入れてみたいですね。それからこのようなシチュエーションもぜひやってみたいです」
ロブロイ「素敵です!取り入れてぜひやりましょう!」
ロブトレ「それなら変身のワードの際にはこのような動作も一緒に入れたいですね」
≫89二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 20:36:17
「と、いうわけで二のトレもTRPG配信をすることになったわ」
「はぁ……まあデジタルゲームは少し苦手な関係上アナログというのはありがたいのですが……」
「いっちゃなんだけど……ここにいる面子全員そこまでしゃべり上手じゃないというか……」
「問題ないわ。そういう私たちの為にうってつけのTRPGがあるの」
「……なんです?」
「うどんTRPGよ」
「「うどんTRPG」」
「サイコロを振ってうどんを作って、そのうどんのPRを審査員たるうどん王にして、もっともうどん王の心に響いたものが勝者よ。ウマドルと一緒ね」
「それでいいんですかウマドル観。いやちょっと納得しちゃった部分もあるんですけど」
「じゃあ私たちの内2人がうどんを作って残った1人がその……うどん王をやるの?」
「いいえ。マルトレも呼んで私たち4人でそれぞれうどんを作るわ」
「え?でもうどん王は……」
「それは当日のお楽しみということで」
当日
「では、うどん王をよろしくお願いしますねヘリトレさん、ウラトレさん、教官さん」
「うどん王とは……ワシじゃよ」
「ふふ。生半可なうどんで私を満足させられると思わないで下さいね?」
「えーと……教官は何で呼ばれたでありますか……」
「「プレッシャー!!!」」
マルトレのひもかわ針金ゆずチーズプリンうどんが優勝した。
≫131二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 20:52:02
二人で1対1のCoCを回していた(トレーナー君の希望、シナリオ製作並びにKPは私)日のこと。
「……ルドルフ」
「どうした、トレーナー君」
「なんで『クトゥルフ神話は詳しくない』って言ってたのに平然とアイホートの雛の退散とか使うシナリオ作ってるの?いやまあ、クトゥルフ神話技能増えて個人的には嬉しいけどさ……」
そう言いながらこぶしの命中判定を転がすトレーナー君。
出目は……49、初期値で成功だ。因みに元々は拳銃を使っていたがファンブルの末素手で戦う羽目になっている。
「さて、こちらの狂信者の回避は……おっと、失敗だ」
「……そろそろ倒れてくれると嬉しいんだけど……」
そう言いながら転がったサイコロは……7ダメージ、まさかの最大値。
「うっそ……『これで、どうだっ!』」
「……『"くそっ、くそっ!まさか、こんな、こんなことで終わるとは……!おのれ、貴様……!許して、たまる、か……"と言い男は倒れた。』……さて、おめでとうトレーナー君。戦闘終了だ」
「……『ちっ、役に立たない拳銃だったぜ……』ということはエンディングしておしまい?」
「だな。さて、エンディングをしようか……おっと、こぶしの欄にチェックをしておいてくれ」
「あ、技能ポイントくれるんだ!ありがとうルドルフ!」
────この後1d10で1を出した結果ルドトレのPCのこぶし技能は51になった。
≫160二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 21:21:39
ウラトレ「あら。わたしも参加していいんですか?」
ヘリトレ「かまわんかまわん。……代わりにといってはなんじゃが、耳を出した状態で参加してもらうからのう」
ウラトレ「やだ先生……そんなの規約違反ですよ」
ヘリトレ「何を言っとるんじゃ???」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part423【TSトレ】
≫36ブルトレイン21/11/10(水) 21:44:14
ある日
「マスター、今度の休日にまた私の実家に行っていただけないでしょうか」
「ブルボンの実家に?それは構わないですが今回はどうして?」
前回はURAが終わった後、ブルボンのお父さんが私に会いたがっていたのとブルボンがお父さんと私の差異を確認したい、との事で彼女の実家に行きました。今回はどうしたのでしょう…?
「はい、マスター。父にマスターの体の変化を教えた所、ぜひまたお話をしたいとの事です。よろしい…でしょうか?」
「勿論です。確かにこの体になってしまって生活も変わってしまいましたし一度挨拶に行った方がいいですよね」
色々あってすっかり忘れていました。今はブルボンと一緒に住んでますしちゃんとした説明が必要です。
「ありがとうございます、マスター。早速切符を購入しておきます」
次の休日
「マスター、予約しておいた切符をお渡しします。特急なのであまり時間を掛けずに目的地までの到達が可能です」
「ありがとうブルボン。今代金を渡しますね」
「問題ありません。父から交通費を支給されています」
「む…好意に応えないのも悪いですね。ならこの分のお金で今度ブルボンの好きなものを買いましょう」
「いいのですか?マスター」
「いいんですいいんです。貴方にはいつもお世話になってますからこれくらいはね?」
「感謝致します、マスター。…予定時刻、5分前。そろそろ列車が到着するので改札を通りましょうか」
「そうですね。行きましょうか」
(思えばこの体になってからは移動手段は学園から出るバスばかりで列車の類は使ってませんでした。随分久しぶりですねえ)
そんな事を考えながら改札を通ろうと切符を入れた瞬間────
ジジッ…バチッ…プシュー
「えっ」
嫌な音を立てながら、改札機は動かなくなってしまったのでした。
37ブルトレイン21/11/10(水) 21:44:40
1時間後
「うう...駅員さんに説明したらこんなに時間が…ごめんなさいブルボン。私のせいで乗り遅れてしまいました…」
「いえ、マスター。急な改札機の故障は予測不可能であり、不慮の事故であると推定致します」
「まさか改札すら通れないとは…情けないです。次からは私だけワープしましょうか…」
「問題ありません。各駅停車ではありますがまだ列車もありますので。…それに、この時間も『大切な思い出』の一つです」
「こんな事まで思い出にしなくても…あなたのメモリがいっぱいになってしまいますよ?」
「問題ありません。マスターとの日常はどれも『大切』ですが、忘れる事はありません」
「ありがとう、ブルボン…迷惑をかけますがこれからもよろしくお願いしますね」
「勿論です、マスター」
ブルボンの言葉に少し救われた気分になり、私達はゆっくりと彼女の実家に向かうのでした。
終わり
≫84二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:07:32
とある病院の一室にて
「今日は随分と暖かい日ですね」
「そうですね先生、いやウラトレさん。」
「あら、言い直さなくてもいいんですよ?」
「何となくそっちの方がいい気がしたので。」
そう穏やかな顔で話し合うのはサトトレとウラトレの二人。
片方は車椅子、片方はベットの上で外の日差しに当たりながら世間話をしていた。
その途中、サトトレはふと問いかける
「…所で先生、僕の親友の話を聞いてみたいですか?」
「…ええ、少し興味がありますね。」
「そうなんですね、なら語ろうかな。」
一旦言葉を切ったサトトレは少し考えこんだあと、口を開いた。
「その友人は元々は器用な人じゃなくて、小さい頃は失敗ばかりしてたんだ。とにかく新しいことに挑んでは失敗することを繰り返していた」
「その時の僕は最初、疑問にも思ったんだ。なんでいつも失敗してるのにチャレンジし続けているのかって。」
「そしたらその友人からはこう返ってきたんだ。『まずはやってみないと何も分からない。トライ&エラーだ』ってね」
「案の定、怒られたりすることも多かったみたい。それでも成績は良かったみたいだけど。」
「当時の僕には友人のことはよく分からなかったかな。…今ならそれがよく分かるんだけど」
「それと後、結構なお人好しでもあったかな。皆と話してはよく約束して、なんでもかんでも引き受けて。」
「…勿論、約束したのに裏切られた事もあった。その時の友人は相当キレていたね。それに色んなことを引き受けては失敗したり、よく貧乏クジを引いたりもしてた。」
「今思えば、その失敗こそが今の友人の根っこにあるんだろうね。担当の子も似たような経験をしているって聞くし。」
「…貴方以上に不器用だったんですね。」
「うん、多分。…歳を重ねるにつれて、友人はどんどん器用になった。人に聞くことも、真似ることもするようになってからは失敗は少なくなったみたいだったよ。」
「それでもお人好しな側面は変わってなくて、頼み事はなんでも引き受けてた。割とトチ狂ったこともしてた覚えはあるかな。」
「そのお蔭かクラスでも一際有名になってたね。良くも悪くも。そして僕と友人は互いの道に進んで今に至ったって所かな。」
85二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:07:58
「…でも、多分きっと友人は変わってない。仕事について、辞めてからトレセンに来て、担当を持ち、チームを持つようになってからも。」
「どれだけ外面が厚くなっても、その本質は変わってないんだ。お人好し気味で、頼みを断れない、他人に笑ってほしいっていう所はね。」
「…ふふ、いい話が聞けました。担当にそっくりな面白い友人さんですね、そして貴方は全部分かってると。」
「そうだよ、何年じゃきかないほどの僕の親友だからね、全部お見通しだよ。同じように確実に友人は僕のことを全部分かってると思うけどね。…先生もきっと僕のこと分かってそうだけど。」
「…そこまでではありませんよ。」
「あはは、分かりやすいですね。…ねえ先生、その内友人が来ると思うので、その時は何か頼んであげてください。頼られたことにきっと喜ぶと思うので。」
「…なら和菓子でも買ってきてもらいましょうか。少し多めに欲しいですね。…隣の患者さんのためにも」
「…はは、ならお言葉に甘えて。」
穏やかな陽気は未だ病室を照らしていた。
ーーーその後、三人で少しお高い和菓子を楽しむ姿が見られたそうだ。
長文?短文?失礼しました
サトトレとウラトレで友人の過去のお話。ここの友人が誰かは皆わかるはず。
どれだけ外面がアレでも内面はただのお人好しなんですよね。後頼みは基本断れないので例え恥ずかしいことでも引き受ける。そしてダメージを受けてます(一応誤魔化してはいるけど。)
頼られることに喜ぶ彼女は、もしかしたら寂しがりなのかもしれませんね。
≫91二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:15:28
ルドグルリウ
「あの、またシリウスがなにか……」
「違うの。私たちがリウトレちゃんとお話したいなぁって呼んだの」
あたしは今生徒会室にいる。ランチタイムを終え、シリウスにトレーナー室へ運ばれ、トレーナー業務を再開させようとしたところだった。エアグルーヴ担当トレーナー、グルトレ先輩が来て生徒会室に行こうねとおんぶをされ半ば強制的に生徒会室へと運ばれた。以前、シンボリルドルフの担当トレーナー、ルドトレ先輩に耳をいじられてから別の意味でトラウマというか近寄り難い場所になっている。少し警戒している。ナリタブライアンの担当トレーナー、ブラトレさんは不在なのだろうか、姿がない。ぶっちゃけあの人が一番安心できる。グルトレ先輩の裏にしがみついて近寄られないようにした。
「リウトレ?」
「うぅ……」
「ルドトレさん、リウトレに何かしたんですか?」
「ちょっとだけお耳が長いから気になって触っただけだよ?」
「触り方……会長サンにされてる時の触り方しませんでしたか?」
「え、なんでわかったの?」
思わず息を飲んだ、シリウスだってしてこないのに。これが傾国という噂のそれか。あたしはグルトレ先輩を絶対に放さないようにしがみついた腕を強めた。
「ほら、怖がってるじゃないですか…よしよし、シリウスにされたかったよね~」
「え、あ……えと……」
違うと言えば嘘になる。シリウスになら───。
「リウトレちゃんもそうなの?」
そうなの、はどういう意味。困惑するあたしをグルトレ先輩は頭を撫で続ける。
「そういえばシリウスちゃん、迎えに来た時に『私のもの』って言ってたような…」
「まだそういうのじゃないですよ、この娘ら」
「え~そうなの?そういうのも聞いてみたかったけどなぁ」
「そういうのって……?」
思わず口が滑った。そういうのとはどういうことなのか。
「リウトレちゃんは───」
「ストップです。リウトレがシリウスと付き合ってからです」
好奇心は猫をも殺すとはこのことか。あたしは言葉のままに少しだけ想像してしまい、恥ずかしくなった。
「ふ、ふたりは……担当と?」
そう聞くと、肯定の言葉が重なった。あたしはもしかしてとんでもない空間にいるのではないだろうか。
「それより!早く座って!」
言われるがままにソファーに座る。なぜか3人横並びに、あたしが囲まれるように。
92二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:15:41
紅茶とお菓子の並べられたテーブルとあたしたち。
「もっと素直になればいいのに」
「この娘。意地っ張りですもん」
「ちょっとだけ頑張ってみようよ、ね?リウトレちゃん」
「え……素直に?」
「そう!シリウスちゃんにひとこと、好き!って言うだけ!」
「…む、無理っ!」
「この娘は私たちみたいにすんなりと相手に好きって言えない娘なんですよ」
「甘えたりも?」
「お酒があれば……」
酒があれば、普段言えないことも言える。でもシリウスはそれで受け止めるとも思わない。素面のあたしでないと意味はないだろう。というかこの流れ、あたし。
「リウトレちゃんは好きって言うのが恥ずかしい?」
「だって……」
「シリウスちゃんは受けとめてくれると思うけどなぁ」
「リウトレ、ちょっと好きって言うだけだよ。大丈夫だよ」
「今更素直になんて…」
「素直になるのに、今更もないと思うよ」
「そうだよ!絶対いけるって、じゃなきゃ毎朝お迎えしてお姫様抱っこなんてしないよ~」
「シリウスちゃんにあんなにアプローチもされて、好きなのに怖がる必要あるの?」
実際のところルドトレ先輩の言う通りだ。好意があるからアプローチするし、辛酸を舐めさせたあたしを恨まずに、切ろうとした契約も切らずに、歩けなかったあたしを横抱きにして送迎なんてしない。ましてや歩けるのにそれを隠してまで続けたりはしない。わかっている。
「…ないです、けど」
「けど、じゃないの。リウトレちゃん」
「いつも会話するみたいにさらっと言えない?」
「さらっと……言えるのかな」
「やってみよう!リウトレちゃんならできるって!」
「やらなくて後悔するより、やって後悔した方が良いよ。それにできたら成功したようなものだし!」
そのあと、あたしのことからふたりの惚気といった恋愛関係の話で盛り上がり、放課後に入る前にあたしは自分のトレーナー室へとグルトレ先輩に運ばれた。シリウスには当然匂いでバレたが、今回は何もなかったことを説明して夕食を彼女のリクエストでことを丸く収めた。
≫118二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:32:16
「タバコさん?」パタン
「…ええと、今から仕事…」
「もう夜ですよ?
それに折角の休みなのに疲れを取らなくてどうするんですか…
僕はタバコさんに休ませる為に来たんです」
「………むぅ…黒さんも人の事言えないと思うんだけど…
私の事はいいから寝ても…」
「…だったら、タバコさんが寝るまで僕も起きてる事にします。
僕の事を心配するなら一緒に寝ましょう?
………ね?」
「……………。」ムギュッ
「わひゃあぁぁああ!?
なっ何です!?」
「仕返し…
わかった…今日は早めに寝るよ」
「………全くもう…
意外とイタズラ心あるんですね…」
「柔かそうなお尻を付けてるのが悪い」
「もーーーー!!」
「ははっ…」
ちなみにこの後ベットの上にタバコが座っていて、
「…?一緒に寝るって添い寝じゃないの?」
「お、同じ時間に寝るって事です!」
「…私を監視してくれなきゃ、こっそり抜け出しちゃうかもよ?」
「………………。
…全く、もう…もう少し詰めてください…」
みたいな会話があったとか無かったとか…
≫149ガンギマリ頭スズトレ21/11/10(水) 22:54:30
「ところでスズトレさん。一つだけ聞きたいことがあるのですが。」
「何?バクトレ。」
「スズトレさんの身体に本格化の兆候が出たというのは本当でしょうか?」
私が苦手とするメディア対応のいろはを教わりにバクトレのトレーナー室を訪れた時に投げかけられた質問だった。
「うん、本当。なんでかは正直、私もわかってないんだけどね。」
「ふむ…ウマ娘になってからの僕達は実は若返ってる、ってことでしょうか?」
「いや、そういう事でもないみたい。だからこそ思春期をすぎた体に本格化が訪れた、って前代未聞の事態になってるんだけども。」
「なるほど。」
一言だけ呟いてバクトレが手を当て俯く。
そして少し時間が経った後。
「…スズトレさん、協力してもらいたいことがあるのですが。」
「…本格化の情報収集とかですか?」
「はい。スズトレさんだけで終わるとも限りませんし、どの程度本来の本格化と一致するのかを確かめておきたいのです。」
「…分かった、いいよ。だけどどうするの?私デビューに向けたトレーニングは今も少しとはいえやってるからあまり他の人と比較とかはできないと思うけど…」
「そこは安心を。僕に考えがあります。」
そして後日。
「じゃあ俺が自衛官時代に受けてたトレーニングを行わせてもらう。…いいんだな?」
「はい、問題ありません。今のスズトレさんの限界を調べるならタマトレさんのそれが1番ですので。」
調査に使用されるトラックには私とバクトレ、更にタマトレが集っていた。
タマトレは自衛官から騎バ隊を経てトレーナーになるというかなり特殊な経歴の持ち主。
トレーニングを見る時も一切の手加減はない、そこが今回大いに働くとバクトレは考えたのだろう。私もこれ以上の人選はないと思うし。
「私も大丈夫。むしろビシバシお願い。」
タマトレの遠慮をなくすため、私からも声をかける。
「…ああ、わかった!途中で後悔するなよ!!」
こうして、私の現時点の実力計測も兼ねたトレーニングが始まった。
150ガンギマリ頭スズトレ21/11/10(水) 22:54:53
「「「いただきます!」」」
「うーん!!美味しい!!」
「これはなかなか…今度バクシンオーも連れてきたい美味しさです。」
「そうか、よかったよかった。ここは私のイチオシの店の1つだからな。」
私とバクトレの反応を見て、タマトレが満足そうに言う。
「それでバクトレ、データは取れたか?」
「はい。とは言ってもまだ比較するものがないので具体的なことは言えません。ただ、僕の目で見た限りではかなり能力が上がっていたと思います。」
「そうなの?正直意識飛ぶ寸前だったんだけど…」
「いや、ウマ娘の身体とはいえアレを1度目で完遂できるなら大したものだ。何せタマでも初めの頃はある程度ヘトヘトになってたからな。」
「嘘でしょ…これタマモクロスもやってるの…?」
「たまにだがな。」
「…ふむ。すみませんタマトレさん、また後日詳しく話聞いてもよろしいでしょうか?」
明かされた意外な事実にバクトレが食いつく。天皇賞春を目指すバクシンオーのことを考えれば当然かもしれない。
…だけどおかげで私の立ち位置も少し分かった。ある程度、ってついてるからおそらく目に見えるくらい疲労してたわけじゃない。
タマモクロスが最初にこのトレーニングをやったのがいつかは分からない。けれど、きっと今の私はデビューを控えたウマ娘にもまだ大きな実力差がある。
「…今日はありがとう二人とも。私の方でも思わぬ収穫が手に入った。」
「いえ、こちらこそお付き合いしてくださりありがとうございます。何ヶ月かしたら再び頼むと思いますので、その時はまたよろしくお願いします。」
「デビューはまだまだ先だろうが今も応援してる。困ったらぜひ頼ってくれ。」
「…はい、先輩方!」
「あ、ところでですがタマトレさん、この後時間はありますか?」
「ん?ああ…どうした?」
「うーんとね、実はちょっと寄りたいところが…」
「…ここは私の奢りだ、お金は置いていく。では!!」
「この段階で感ずきますか!?」
「どこまでしたくないの…!?もしもしドベトレ!!出番よ!!!!」
この後タマトレはこっそり作られていた包囲網によって捕まったが────付けなかった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part424【TSトレ】
≫34ヒシトレさんの帰省1/1021/11/10(水) 23:51:41
トレ公がウマ娘になって1か月経った。彼は相変わらず、負けず嫌いで、ずぼらで、アタシのことだけは細やかで、とにかく前と変わらなかった。
「帰省?」
「そう、いい加減親御さんに顔見せなって怒られて。ウマ娘になってから、一度も連絡してない俺が悪いんだけどさ」
「そりゃ、ヒシトレが悪いなぁ」
「うっ……」
「難しいこと考えずに顔見せてあげなよ。連絡してないなら心配しているはずだ」
「覚悟決めるか……。ヒシアマにも言われたしな。相談乗ってくれてありがとな、ブラトレ!」
「帰省?」
「はい、一晩泊まってきます。ここから近いのですぐ帰ってきますし、ヒシアマゾンがいるから問題ないでしょうけど、寮のことお願いします」
「おじさんに任せて。
ヒシトレちゃんのことだから、ウマ娘になっても連絡してなかったんでしょ」
「何で分かったんですか、フジトレさん!?
こんなこと、なんて説明すれば良いか分からないじゃないですか……」
「それならヒシアマゾンちゃんも連れてったら?
2人は見た目が似ているから説明しやすいと思うよ」
「なるほど……、確かに……。でも、寮が……」
「1日ぐらいだったら大丈夫だから」
でも──
──あなたの息子がウマ娘になったって言われて信じるか?
35ヒシトレさんの帰省2/1021/11/10(水) 23:52:09
トレーニングを終え、電車に揺られること1時間。そこから少し歩き、トレ公の実家にたどり着いた。
門を開け、数歩進み玄関の前に立った。
「ついに着いてしまった……」
トレ公はわずかに震える手でインターホンへ手を伸ばす。
「兄貴!?」
「○○!?」
ピンポンと鳴る前に飛び出してきた。
「あっ、ヒシアマゾンさん初めまして、○○です。兄貴の弟です。ということはこっちの小さいのが兄貴か」
「小さい言うな!というか、なんで俺が来たの分かった!?」
「門が開く音が聞こえたから……
早速だけど兄貴に質問。『ワンピース』で一番便利な悪魔の実、俺たちで話し合った結論は?」
「フワフワの実」
「じゃあ、兄貴。『ポケモン』で俺が一番好きなのは?」
「バシャーモ」
「『NARUTO』で俺が一番好きな忍術は?」
「飛雷神の術」
「最後に……。兄貴が高校生の頃、好きな人にしてほしいって言ったことは?」
「おまっ、なんで知ってる!?」
「正解は、頭を撫でられ──」
「言わせるかバカ!誰から聞いた!?」
ポカリとトレ公は弟の頭をはたいた。
「いてっ。──ほんとにウマ娘になってる!?」
「その確認に最後の質問必要だったか!?」
「お帰り、兄貴。いらっしゃいヒシアマゾンさん」
「……ただいま」
36ヒシトレさんの帰省3/1021/11/10(水) 23:52:33
「ただいま、父さん、母さん。こちら俺の相棒、ヒシアマゾン」
「初めまして、ほんとにそっくりなのね。そして、あなたは小さくなったね」
「この前のレース見ていたよ。かっこいい走りだった。おかえり、お前はずいぶん小さくなったな」
「なんでみんなして小さいって言うんだよ!?」
アタシたちは賑やかな歓迎を受けた。
「ちょっと早いけど、夜ご飯にしましょうか。息子よ、頼んだ」
「俺!?良いけど、母さんも手伝ってよ!弟よ、お前も道ずれだ。ヒシアマはゆっくりしててー」
「うわあぁぁぁ……」
トレ公はトレ公の母親にキッチンに引っ張られていった。弟をつかみながら。
残されたのは父親一人。
「ヒシアマゾンさん、────。」
37ヒシトレさんの帰省4/1021/11/10(水) 23:52:58
父さんとヒシアマを残してしまった。頼むから変なこと言わないでくれよ、父さん。
「今、冷蔵庫に何入ってる?」
「今日買いものに行ってきたから何でもあるよ。あとご飯はすでに炊いてある」
「じゃあ、鮭を使おう。○○は邪魔だから、そこで待機して出来上がったら運んで」
「へーい。……兄貴、俺の扱い悪くない?」
さて、調理を開始しよう。
勝手知ったる我が家の台所だ。数年ぶりでも体が覚えている。
「母さん、あれ取って」
「ほいよ」
それでも、体が小さくなったからか手が届かないものが多い。もどかしい。
「サラダは任せた」
「了解」
以前と同じように動けているだろうか。別の人間に見えてはいないだろうか。怖い。
「○○、コップ出して持ってって」
「はーい」
以前なら棚から出すとこまでやっていた。コップの位置が高い。歯がゆい。
「この蓋開かない」
「貸して。ほら」
「ウマ娘って力が強いのね。前は開けられなかったじゃない」
──ドキリとした。
「○○、出来上がったのから、持ってけ」
「おぉ、うまそう。さすが、兄貴」
居間からは賑やかな声が聞こえてくる。どうやら、父さんとヒシアマは話が弾んでいるようだ。
38ヒシトレさんの帰省5/1021/11/10(水) 23:53:18
食卓にお皿が並ぶ。
「「「「「いただきます!」」」」」
「腕を上げたな。トレセンに行ったかいがあったな」
「ほめてくれるのはうれしいけど、トレセンはそんな場所じゃねえよ父さん!」
「でも、ヒシアマさんと料理の腕を競いあったんだろ」
「それは……そうだけど!」
「冗談はさておき、お前の口からもこれまでしてきたタイマンの話を聞かせてくれ」
ヒシアマの解説が適宜挟まりながらも、俺は語った。気が付いたらアルバムが広げられ、俺の幼少期の話になりつつも、和やかな時間は過ぎていった。
順番にお風呂に入り、その後も騒がしく俺たちの話をした。夜が更けてきたが、問題が発生した。
「ヒシアマには客間を使ってもらうとして、俺はどこで寝れば良い?」
「ん?あぁ、流石にその姿になったら○○と同じ部屋はまずいか」
「確かに親父の言う通りだ。いくら兄貴でも、まずい」
「じゃあ、ヒシアマちゃんと一緒の部屋で寝れば?」
「お袋!?それもまずいだろ!兄貴もそう思うだろ!」
「まぁ、他に部屋ないし仕方ないか」
「兄貴!?」
「ヒシアマもそれでいいか?」
「トレ公が良いなら、それで良いけど……。良いのかい?」
「決まりだな、布団取ってくるよ」
39ヒシトレさんの帰省6/1021/11/10(水) 23:53:40
アタシは客間に案内され、トレ公が布団を2つ持ってきた。
「トレ公!大丈夫か!?」
「ウマ娘の、パワーなら……、余裕だ!」
てきぱきと布団を敷いていく。きれいなもんだ、トレ公もやればできるんだねぇ。
「ヒシアマ~、電気消すよ~」
月明りが部屋を照らす。
「あっ、カーテン閉めてなかったか」
トレ公は薄暗いなか窓に向かって進み、手を伸ばす。届かない。トレ公の顔に一瞬不安が浮かび、消えた。
『ヒシアマゾンさん、あいつは隠そうとするから分かりづらいけど、今の自分が家族に認められるか不安に思っているはずだ。学生であるあなたに頼むのもおかしな話ですが、息子を頼みます』
40ヒシトレさんの帰省7/1021/11/10(水) 23:54:02
夕食前に聞いた、トレ公の父親の言葉を思い出す。
「トレ公、こっちへ来な」
「ヒシアマ?」
トレ公は不思議そうな顔をして、こちらへやってくる。
「ヒシアマ!?」
以前より小さくなった体を抱きしめる。
「トレ公。不安ならそう言わないと伝わんないよ!」
ビクッと肩を震わせる。
「……何で、分かったの?」
「3年間も過ごしたんだ、それくらい分かるさ!」
「──っ!」
トレ公の目からぽろぽろと涙がこぼれる。
「だって、長男が、ウマ娘に、なったって、すぐに、受け入れ、られる?
俺だったら、無理だよ。
そんなこと、誰に、言えば、良いの?」
しゃくりあげながらトレ公は言う。
「トレ公の親御さんも、とっくに知ってたんだよ。トレ公が思っているより、周りは気づいているんだから、もっと周りを頼りな!」
「……うん」
彼は声を押し殺して泣き続けた。
41ヒシトレさんの帰省8/1021/11/10(水) 23:54:24
深夜、俺は目を覚ました。もぞもぞとヒシアマと同じ布団から這い出る。室内は月によって照らされ、時計を見ると0時だった。あのまま寝たから、カーテンを閉め忘れたのか。
流石に泣く姿を見られたのは恥ずかしい。今になって顔が熱い。
「……水飲むか」
キッチンへ向かい水を飲んでいると、後ろから足音が聞こえてきた。
「なんだ、母さんか」
「のど渇いたの?」
「そんなとこ。……ねぇ、母さんは俺がこんな姿になってどう思った?」
「そりゃ、びっくりしたわよ。でも、すぐに息子だって分かったわよ」
「なんで」
「料理するときの動きを見ていたら、変わらないなって」
「そこ!?一目見て分かったとかじゃないの!?」
「これだけ見た目が変わっていたら、分かるわけないでしょ」
「そうだけどさ!せめて、話したら分かるとかさ!」
「でも、お父さんも言っていたわよ。あの動きは間違いなく息子だって」
「父さんも!?色々考えて損した……」
「○○は「話したら兄貴だって分かったぜ!」って言っていたけど」
「そっか……、ありがとう。おやすみ」
うれしくて泣きそうだ。この顔は見られたくない。
「おやすみ~。そうそう、ヒシアマちゃんを大切にね」
「言われなくても分かっているよ!」
42ヒシトレさんの帰省9/1021/11/10(水) 23:54:45
「いってきます!」
「いってらっしゃい」
朝早く起きた俺たちは朝食を食べ、すぐにトレセンに戻ることにした。
早朝の澄んだ空気に包まれながら、2人きりで駅までの道を並んで歩く。
「ヒシアマ」
「何だいトレ公」
「昨日はああ言ったけどさ。俺はウマ娘になるのも悪くないと思っているんだ」
ぽつぽつと俺は話す。
「以前とは違う視点になったのは面白い体験だし、何よりヒシアマとのタイマンが好きなんだ。まぁ勝ててはないけど、それでも全力をぶつけ合うのは気持ちいいし、一緒に走ることで見えるものがあるし」
ふと、立ち止る。
「……だから、これからも一緒に走りたい。これからも一緒に色んな奴とタイマンしたい」
何を言いたいのか頭の中がぐちゃぐちゃだ。
「……頼りない俺だけど、これからもヒシアマを支えさせてほしい」
しっちゃかめっちゃかのまま、口からこぼれた。これではまるでプロポーズだ。顔から火が出そうで、ヒシアマに目線を合わせられない。
ええいと顔をそらしたまま拳を突き出す。
「これからも頼りにしてるよトレ公!」
こつんと拳がぶつかった。
43ヒシトレさんの帰省10/1021/11/10(水) 23:55:09
トレーニングは終わり、いつものようにタイマンをした。
いつものように俺は負けた。
──でも
「ヒシアマ!俺のタイム縮んでる!!」
わずかではある。わずかではあるが、これまで一切詰められなかったヒシアマの背中までの距離が確かに近くなっていた。
ヒシトレさんはようやくウマ娘となったことに向き合いました。そのボーナスとして、本格化らしきものが見えてきました。いつの日かヒシアマ姐さんに勝てる未来もあるかもしれません程度の話ですけど。
ウマ娘である自分を認める。これは広義のメス堕ちと言えるのではないでしょうか。
つまり、ヒシトレさんは布団の上で抱かれて、散々なかされ、メス堕ちしたといえますね。(健全な意味)
≫95二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:57:13
「んにゃ……んな~お、にゃぁ…(眠くなってきたな、マフラーにでも包んでそっとしといてくれ)」
「えー、もうお終い!?もうちょっとセイちゃんと遊んでくれてもいいじゃないですか!」
夕暮れも近づく頃。
結局トレーナーさんはペンもスマホも握れないからトレーニングも中止。
今日はお休みでいいって言われたのでこうしてトレーナーさんでずっと遊んでる訳です、にゃはっ☆
「シャーッ、ンーゴロゴロゴロ…(まだ起きてるけどなー、そろそろ帰るように。俺はもう寝る…)」
「トレーナーさーん、良いんですかー。連れて帰っちゃいますよ~?」
「ふしゃー、シャー…(起きたら帰るからな、ふぁ…)」
ウトウトし始めたトレーナーさんを言われた通りマフラーで包んで抱えちゃいます。
ゆっくり毛並みを撫でてみると気持ちよさそうに喉を鳴らしてくれるけどホントに寝ちゃいそう。
よく見たらトレーナーさんと同じで毛並みはボサボサだしちょーっと洗っても許してくれるでしょう!
「しょうがないな~、セイちゃんがちゃんと洗ってあげますよー」
……猫洗浄中……
「…ん…あれ、ここは?」
「…あー、その…トレーナーさん、おはようございます?もう夜だけどね」
「……スカイ?…あ、メモ用紙と何か書くものないか?」
夜暗くなりだす頃、元の姿に戻りだしたトレーナーさんが起きた。
軽く自分の姿を確認したトレーナーさんは体を隠すように縮こまらせてたから書くものをはいと渡す。
何を書くか覗き込むと名前や仕事、昨日今日食べた物…?もうちょっと食べてほしいなぁ…でも今はそれより
96二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:57:32
「セイちゃん先に服とか気にする事あると思いまーす」
「いや担当の服着るのはちょっと不味くない…?」
「いやいやー、担当の部屋でマフラー巻いてるだけの方がもっと駄目じゃない?」
「…ここ寮なの?なんで???」
「それは、そのー……にゃはは…」
「……俺の服とか鍵はトレーナー室か。非常用の懐中電灯と鍵ある?それとマフラーの先持っててくれるか?」
「ありますよー、でもなんでマフラーを?」
「いや俺居ちゃ駄目じゃん、窓から出るから合図したらマフラー離してくれ。ここ二階だし降りて服取って帰る。よいしょっ」
「ちょっと待ってトレーナーさん!?」
口に懐中電灯咥えてマフラーを右手で握って窓から降り始めてる。
足に問題があるから右足は宙ぶらりんのままだ、急いで止めようと覗き込むとOKとマフラーをクイクイ引き出してる。
え、離すの?ほんとに?催促するようにまたクイクイとマフラーが動くので思い切って離してみる。
トレーナーさんは左足で壁を蹴って頭を両手で抱えながら茂みに飛び込んでいった。
受け身は取れたみたいで茂みの中から顔を出して左手を振ってる。今声出せないよねー…。
手を振り返すとマフラーを巻き直して懐中電灯の明かりを頼りに行っちゃった。
「追いかけたいけど…許してくれないよねー…」
時計を見て呟く。出かける理由も違反だし難しいかもしれない。
そもそも私のトレーナーさんの足の事情からして二階の窓から出ていったなんて信じられるかなぁ。
寮長のフジさんに相談するも全部話せず許可が降りなかった。
いっその事抜け出そうか、なんて悩んでたら夜の時間はあっという間に過ぎてたみたい。
普段寝る時間少し前頃にトレーナーさんから『無事ついた』と連絡が来てた。
取り敢えず一安心とホッとした。
97二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:58:07
「…素肌だと木の枝無茶苦茶痛い、それに寒いな」
改めて服の偉大さを感じながら栗東寮近くの茂みを懐中電灯で照らしながら歩く。
もう日は傾いて空も暗くなり初めてる上、栗東寮の近くでマフラーだけのトレーナーなんてすぐにでも走りたいが多分転ける。
足の感覚が戻るにも数秒時間かかるし何より気をつけて駆け足しても足元を取られかねない。
懐中電灯や物陰に隠れながらトレーナー室に近い裏口へ向けて歩を進める。
校舎に近づくと遅くまでトレーニングしていたウマ娘やトレーナー達が帰り始めてる。
茂みや物陰に一々隠れなくちゃいけない事に妙な緊張感を感じながら頼れる人が居ないか視線を向けてみる。
「(こういう時に限ってだーれも知り合いが通らない……)」
普段から話すような相手がいればいいけどそういう相手はもう帰ってるのか通ってない。
最悪トレーナー室の鍵渡して取ってきてもらえば良いんだがウマ娘化したトレーナーの評判見るに少し怖い。
愛する担当バや普段から話している同僚相手と思うと余り気にならないが誰彼構わず見せて問題ない訳じゃない。
と言うか推定元男の体だし、女性からすればただのウマ娘体だ、もう少し皆落ち着いて欲しい。
俺は今寒いし茂みに突っ込んだ時擦りむいたから痛いんだ、後いい加減暗い場所が怖い。懐中電灯の明かりだけが味方だ。
「…スマホあれば探偵料払ってでもブイトレさんに頼んでもいいのに」
何処からか『探偵は何でも屋じゃねぇよ!』って声が聞こえた気がする。今度言ってみよう。
多少時間がかかるが人通りが少ない裏口に回ろうとする。
もうすぐトレーナー達も帰りだす時間のはずだ、下手な遭遇は避けたい。
裏口まで回り、耳を澄ませ人が居ない事を確認して中に入る。
ちょっと顔を出し廊下を見て、慎重に歩を進める。物音がなる度に近くの物陰に隠れながら進むせいでスゴく時間がかかってる様な気がする。
なんで校舎に忘れ物を取りに行くのに一時間近くかけてるんだろう、マフラー巻いてるだけで。寒い。
スゴくバカバカしい事をしてる気がしてきたけどココまで来たしやるしかない。
それにずっと怖い、息が荒くなりそうなのを深呼吸して止め、胸を掻き毟る…素肌でやると痛い。
98二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:58:19
流石に疲れてきて数回の転倒を挟んだ後、最大の難所である階段を見上げる。
エレベーターはちょっと鉢合わせした時洒落にならない、疲れと妙な緊張感で息も上がった頃に厳しいが慎重に歩けばいいだろう。
一段、また一段と階段を上る。妙に力みそうになれば一度体を丸め休みまた上る。
気づけば踊り場へ、どっと疲れた気がする。汗ばんでるのか妙に肌寒い、やっぱり寒いこの服装…服装…?
少し休憩した後また一段、一段と階段を上りだす。妙に時間がかかってるけど転ばず上りきれた。
「……あれ、ココ十二段じゃ?何時も転ばないように意識して」
階段がもう一段、目線を上げると何時も通りの校舎が何となく別の雰囲気に見える。
気づいたら懐中電灯の明かりも消えて、暗いのに校舎の様子が見える。暗い事自体が怖いから本当に止めて欲しい。
どうしよう、ココで待つ訳にもいけないしそもそもコレ朝になれば帰れるのだろうか。
帰れたとしてこの姿で朝になって階段で寝るのはちょっと不味い。見つかる人によっては面白いかもしれないけど怒られる。
「…フクトレさんにこういう時どうすればいいか教えてもらえば…どうにかなる物かな」
自分を落ち着ける為に呟くと何処からか、足音を感じる。コツ、コツ、コツ……と前からも後ろからも聞こえてくる。
早く何とかしないと不味い気がしてきたがこの階段上りきっても良くない気はする。
ちょっと上ってみたいけど一人だし怖い。自覚したらどんどん怖くなってきた、息も荒くなり始める。どうしよう。
コツン、コツン、コツン、コツン……
もしかして段々近づいて来る?
ゾーッと血の気が引いてきた。悩む時間もない?本当に?
とにかく今出来る事を考えよう、持っている物を確認する。
99二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:58:56
[持ち物]
- マフラー
スカイが猫(俺)を包んでくれた白いマフラー。体を僅かに隠せる。
- 懐中電灯
ウマ娘用だからか片手で持てる程度。電池の交換や点検も定期的に行われる。
- トレーナー室の鍵
スカイに渡していた合鍵。コレがないと部屋を開けられない。
無理な気がしてきた。霊験あらたかな何とかーって言うものが一つもない、欲しい。
そもそも裸にマフラーだから持ち物が少なくて当たり前と言えば当たり前だ。
途中でも周りを気にするばかりで着るもの探さなかったし着の身着のまま……今着てると言えるのだろうか。
「急に不味い事してるような…いや本当に不味いんだろうけど」
コッ、コッ、コッ、コッ、コッ、コッ……!
足音はどんどん近くなってくる。
多分だけど足音に追いつかれたら駄目。13段目に上がるとどうなるかわからない、13段目を飛ばして良いかもわからない。
そもそもこの格好のまま朝まで待てないしスマホもないから連絡も取れない。
解決方法なんて物も正直怪談話なんて特段詳しくないからわからない。
……取り敢えず今度聞こう。何ともならなかったら…その時まだ何か考えられますように。
100二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:59:11
ダッ、ダンッ!ダンッ、ダッ!ダダッ、ダンッ!
足音が激しくなってきた。耳を澄ませて出来るだけ引きつける。
踊り場を抜け、俺のトコにもうすぐ届くところまで足音が迫った頃。
何時も通りおかしい右足で思い切り13段目を蹴り、同時にマフラーと懐中電灯を投げる。
何時も通り自分では制御の効かない足は階段を蹴り何時かの時みたいに体が投げ出された。
踊り場の壁に思い切り背中が叩きつけられ息が吐き出される。急いで頭を庇おうと覆った腕が床に叩きつけられる。
「ウェッ、ゲホッ……!ぜぇ…ひゅ、ぜぃ…」
息を整えようと吸って吐いてを繰り返す。無理、やっぱ暗いと落ち着かない、手もガタガタ震えて止まりそうにない。
この呪いじみたウマ娘化の影響なら人への階段から逃げれるかもと思ったが何とかなった…のかもしれない。
階段を見てみると何故かマフラーが懐中電灯が巻かれていた。
懐中電灯の頭が潰れる程に強く絞められてる事に寒気がする。いや洒落にならないのも居るの霊って、物理的被害は怖い。
いやもうそろそろ限界だ、早く階段を上って部屋の電気を付けよう。
手摺を掴み、階段を一段一段上り、落ちたマフラーに手を伸ばす。次の瞬間、サッと全身から熱が失せる感覚がした。
これが落ちてるの、13階段──
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!
とっさに手摺を掴んでる左手で体を前に押し出すように力を入れまた右足に力を込め前に跳ねるように祈る。
手摺を掴んでいた左手も離し前傾姿勢で体を前に倒す。段差一つ飛び越えたらもう階段は終わりだ!
前へ跳ぼうとする直前、全身の毛が逆立つようにゾワッと嫌な寒気が走る。
胃の中に手を突っ込まれるような嫌な雰囲気を感じ咄嗟に右手に持ってたマフラーを後ろに投げ出しながら跳ぶ。
直後、背中に衝撃が走り床に投げ出される。咄嗟に頭を庇うと壁に勢いのママ叩き出された。
「ぇほ、ひっ…うぇ、ぅ…ぐす、ぁ…ゲホッ…!」
101二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:59:20
涙をこらえながら体を起こし周りを見る。…どうやら階段の手摺の鉄柵にぶつかったみたいだ。
ただ階段を飛び越える事は出来た様で、トレーナー室がある階まで上がれたみたいだ。
足の感覚も朧気だが取り敢えず立ち上がろう。色々あったのと暗いのでもう涙は引っ込みそうにない。
手に鍵が握られているのを確認し左手を壁に付きフラフラと立ち上がる。
カツン、と足元から音がした。肩でも当たって何か落としたのかと目を向ける。
投げ出したはずのマフラーが髪の毛先に巻き付いてた。
足腰が崩れ落ちそうになる、もう立てない、今座り込んだらもう立つ気力はないと体が震える。
右足の感覚はまだ希薄なままだ、咄嗟に左足で地面を蹴ってトレーナー室前まで体を転がす。
慌てて鍵を使い、勢い良く扉を開け、叩きつける様に電気を付けるボタンを押す、そのまま鍵も閉めた。
「はぁ、ぁ…おぅ、え…ぅぶっ、う、ぐす、あぁ…!」
数秒立っても何も起きる様子はない。
肩で息をしながらソファの方に這って動く。足は棒になった様で動く気がしない。
ソファの上に乗っかると上着を羽織り、スマホを開く。
気づいたら結構な時間が経ってたらしい。…学校からココまででそんな時間かかるのか?
心配させるのは悪いし『無事ついた』とスカイへ連絡した。
後は…学校関係者に簡単に今回の事の報告の為にまとめて、手元で出来る仕事をして朝まですごそう。
翌日、変質者が出ると朝礼で報告され理事長室に謝りに行った。
≫115チヨノオートレSS21/11/11(木) 01:40:40
ウマ娘化によるゴタゴタが片付いた頃、私は地元に戻ってきていた。無論わざわざ来た理由もある。家族は死んでしまったが、今の自分について報告しなければならない人がいるのだ。
未だに震災の爪痕が残る市街地を抜けて、郊外に入った。街の喧騒から離れたその場所は、私があの震災の後に育った孤児院がある。そこの院長先生には酷くお世話になり、第二の家族の様な関係だった。だから、ちゃんと話さないとと思っていた。
チヨノオーさんや同僚・友人達のお陰で心は安定してきたが、最近まで踏み切れずにいた。果たして孤児院の皆は今の私を見てどう思うのだろう。拒絶されるのではないか?そんな不安が拭いきれない。
高鳴る胸を抑えながら、孤児院の扉を開いた。受付には年配の女性が座っていた。施設の職員のおばさんだ。彼女もまた私を支えてくれた人物であり、進路に関して迷惑をかけていたことを思い出す。
「こんにちは…すいません、その」
いざ目の前に立つと緊張して言葉がスムーズに出てこない。どう見ても挙動不審だ。何やってるんだと心の中で自嘲していると、おばさんの方は何やら神妙な面持ちだ。
116チヨノオートレSS21/11/11(木) 01:41:53
「ちょっとまっててね」
おばさんはそう言うと奥の部屋へ姿を消した。奥の方から声が聞こえてくる。
「先生!■■君が帰ってきましたよ」
「え…」
耳を疑った。だってそれは自分の本名の筈で、この姿を見て出てくる反応じゃない筈で。混乱していると、奥から足音が近づいてきた。覚えている姿より少し老けている年配の男性。院長先生だ。
「よく来たね。立ち話もなんだし、あがっていきなさい。」
客間に通され、お茶を頂いた。話題は専らトレーナー業について。チヨノオーさんの話題もあった。
「この間の日本ダービー凄かったわね。おばさん感動しちゃったわ。」
「無事夢を叶えられているようでなりよりだ」
昔と何も変わらない会話。でも、それはおかしい。だって姿は別人で、昔の面影なんか欠片も残ってない筈なのに。
「先生…おばさん…この姿には何も言わないんですか…」
話を遮り本心を話した。何故僕だと分かったのかと問うた。すると、二人はなんでもないように真相を話してくれた。
117チヨノオートレSS21/11/11(木) 01:42:32
「先生は貴方の動向をメディアで追ってたのよ。私も最初は気付かなかったけど、この子は■■君だって先生がおっしゃって。」
「トレーナーのウマ娘化の報道は前からされていたし、担当も同じだったのでね。まぁ、確証が持てたのは最近なんだけどね。」
「確証ですか?」
「日本ダービーの後インタビューを受けてただろう?あの時の君は昔と全く同じことを言っていた。覚えてるかい?」
忘れる訳がない。慰問のウマ娘を見た後、私は院長先生にトレーナーを目指すと語り、当時の心の内を語り説得した。確かに、同じことを言っていたと記憶している。つまり、院長先生はそれを以って私が俺であると特定したことになる。
「推測が当たっているようで良かった」
苦笑する院長先生。微笑むおばさん。まるで何も変わっていような時間。
なんだ、気に病むことなんて無かったじゃないか。皆、ずっと私を見守ってくれてたんだ。そう自覚する頃には、両の目から涙が溢れていた。
「先生……俺……俺……」
「大変だったろう?…でも、元気そうで良かった」
「───────ッ!!」
いつぶりだろう。私は人目も憚らず大声で泣いた。そんな私に対し、二人はいつまでも暖かな目を向けていた。
118チヨノオートレSS21/11/11(木) 01:43:07
院長先生やおばさん、施設の子供達と話している内に、戻りの便の時間になっていた。孤児院を出ていく私。二人はわざわざ見送りに出てきてくれていた。
「じゃあ、チヨノオーさんに宜しくね」
「いつでも帰ってきなさい。待っているよ」
「はい!お元気で」
私はお礼を言って帰路につく。振り返ると、何時までも手を降っている二人の姿があった。自分でも頬が緩むのが分かる。ああ、私は本当に恵まれているのだな。そう思った。
≫151二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 07:34:05
「トレーナーさーん!」
「どうしたライアン!」
「トレーナーさんってジムに通ってますよね?」
「マッスル! 通っているとも!」
「でもそれ人用ですよね?」
「マッスル! そういう意味ではジムの人は構わないと言っているが迷惑を若干かけてしまっていないから不安になるな!」
「良い案があるんですよトレーナーさん! メジロ家のトレーニングルームを使ってください!」
「しかしそれはメジロ家のウマ娘が使うトレーニングルームだろう?」
「トレーナーさんもメジロですから大丈夫です! 器具はウマ娘用に調節されてるのでトレーナーさんも満足いくマッスルができますよ! 私も一緒なマッスルできます!」
「わかったマッスル! お言葉に甘えさせてもらうマッスル〜!」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part425【TSトレ】
≫6二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 08:26:06
「…ウェディングドレス?」
そう怪訝そうな反応を見せるのはサトトレーーー車椅子に乗った彼女だった。
「はい、作ってもらってた衣装が出来たので一度着てほしいんです。」
そう言ってくるのは担当であるダイヤ。にこやかな顔でサトトレを見ていた。
「でも、今の状態で着ても微妙じゃないかな?」
「…トレーナーさん、着てくれませんか?」
「う…分かったよ。ただ…」
「あっ、着付けは他の人に頼んであるので心配いりませんよ。じゃあ私は出ますね。」
そう言ってダイヤが退出するのを眺めたサトトレは、
「…まあどうにかなるかな。」
そっと呟いた。
しばらくして、中から終わったとの声が聞こえた。ダイヤは扉を開けてトレーナー室に入る。そこには…
「えっと…どう、かな?」
サイズにあった白いウェディングドレスに身を包む、座ったままのトレーナーの姿が。
何枚かの白い生地が重ねられ、フリルとベールがつけられたドレス。そして首に巻き付く勝負服と同じですか赤色のチョーカー。
対照的に手と足にはなにもつけておらず、綺麗なーーー少しばかりの怪我はあるがーーー肌色が見えていた。
この光景に元々の彼女の印象と相まって、ダイヤの何かがぴしりと音を立てた。
「…かわいいですトレーナーさん!」
「そう…?ならいいけど…」
問題になるかと思った怪我も、長い袖とロングスカートによって殆ど隠れているので気にならない。
「でも横に立つことも出来ないのは勿体無いなぁ…」
サトトレはそう呟く。隣で聞いていたダイヤはすぐさまサトトレを抱き上げると…
「わっ」
「こうすれば解決ですね!」
7二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 08:26:30
両手でお姫様抱っこをし、そのまま微笑む。新郎が新婦を抱えるような構図であった。
「ダイヤ…その…」
近くなったダイヤの顔を見ながら頬を赤らめるサトトレ。そんな彼女を見たダイヤは思わずキスを落とす。
「…かわいいですよ、トレーナーさん。このまま連れ出してもいいですよね?」
「ちょ…ちょっと待ってダイヤ!流石に周りに見られるのは恥ずかしいんだけど…!」
「このカワイイお姫様を見せないのは損失です!見せつけにいきましょう!」
ーーーその日トレセンで、ドレスに身を包んだ少女が抱えられた状態で目撃されたそうだ。
短文失礼しました
ウェディングドレスを着るトレーナーとのことなのでサトトレに着てもらってます。しっかりしてるドレスだと傷は見えなさそうです。
市中引き回しかなんかのノリで連れ回されてます。無論歩けないのでお姫様抱っこです。トレセンじゃなかったらヤバそうな光景ですね。
≫99二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 10:35:54
魔法少女💪メジロ・ライアン
トレセンに通うメジロライアンはある日、物理の国マッスルからやって来たという筋肉の養成リャイトレと出会い
「マッスル! 素晴らしい僧帽筋だマッスル! 君も筋肉を育てて魔法少女になってみないか? 君に翼を授けるでマッスル!!」
と誘われ、魔法少女💪メジロ・ライアンとなったぞ!!
筋肉を愛でる日々を脅かす曇らせの邪龍メカカマドラゴンを撃退する為に、今日もリャイトレと供にライアンは筋肉を鍛える!!
今だ! 魅せろ! 必殺のサイドチェストォォォ!!
Blu-ray特典にはライアンの日常を描いた
「プライベート・ライアン」も入ってるぞ💪
ノルマンディー? 知らんな
≫162二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 12:45:16
たった今考えたプロポーズを君に捧ぐよ(全カード縛り)
マルトレ「君は伝染病ナイトを焼き尽くして鬼のようなんだね、結婚しよう」
マルゼンスキー「????」
マルゼンスキー「僕は歩きながら命よりも大切な炎君を飼うのが夢なんだ、結婚しましょう」
マルトレ「俺は炎だった?」
≫164二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 12:49:33
前略。俺は一人で外に出たら突然ゲリラ豪雨に襲われびしょびしょになったところをハヤヒデさんに助けられた。
「ありがとなぁ、ハヤヒデ」
「お礼なんて私達の間には不要だろう?それはそうと、タオルと着替えを取ってこよう。いくらウマ娘といえど、あの雨に降られたら風邪を引いてしまう」
「……ありがとなぁ、ハヤヒデ……って、今の俺ブラが透け」
刹那、へぶちっ、と俺の鼻からちょうちんが。
「……はぁ……トレーナー君、ちーん、だ。ちーん」
「鼻をかむくらい自分で出来るってよぉ……」
と言い、ティッシュで鼻をかむ。
「後は……服を脱ごう。確かここに君が男だった頃に放置していたジャケットがあったはずだが……」
そう言って出てきたそれをハヤヒデさんは軽く検分した後渡してくる。
「虫に食われてはいないようだ」
「ありがと」
そうして、ばさり、と羽織ってからあることに気がついた。
「……なんだかよぉ、彼シャツみてぇだな」
「……彼シャツ?」
「あー、彼氏のシャツを羽織るって奴」
「……ま、まあいい。私は着替えとタオルを持ってくる」
「……あっ、言っちゃったかぁ……怒らせちゃったか?」
こうして俺は地道に待つことになった。
≫175二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 13:02:23
ゲーム実況部カードゲームトーク編
マルトレ「後悔したくない、奇跡みたいだね君との出会い、金。結婚しよう」
スズトレ「金って」
マルトレ「いれるばしょなかったんだよぉ」
フクトレ「どんなに辛くてもはなさない、フォーリンラブはち切れそうさ、まるで胸。結婚しよう」
スズトレ「まるで胸って何?」
フクトレ「でかいおっピーー」
スズトレ「一応投稿するやつなんだからそういうこと言わない!」
フクトレ「すまん」
スズトレ「僕はからっぽの透明人間じゃない同じ苗字に集まる虫です、結婚しよう」
マルトレ「うわぁ」
フクトレ「うわぁ」
スズトレ「無理でしょ……」