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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part811【TSトレ】
≫41二次元好きの匿名さん22/08/01(月) 22:02:10
「むぅ…はいりませんね」
「おやおや、どうしたトプトレ。そんな悩んだ顔して」
「ベガトレさんこんにちは。こちらの水着が鞄の中の持ってきたものと入れ替わっていまして…」
「なるほど……うん。」
「どうされました?」
「なあ、トプトレ」
「はい?」
「これ着てビーチ歩くのはやめよう。間違いなく痴女認定されておしまいだよ」
「それは…水着をくれた方に申し訳ないですね」
「こんな『どうぞ私を岩陰で襲ってください』なんて水着おすすめする奴なんてきっと頭愛の女神様だよ」
「岩陰で襲ってはこけた時に岩に擦って大怪我をしませんか?」
「ああ〜知らなかったか。じゃあ私が遠慮なく襲ってやろう…ぐへへへ」
「私が襲われるということはベガトレさんに食べられてしまうのでしょうか?」
「そうだぞ〜?ほれっ覚悟せい!」
「ここで襲うとなると他の方に迷惑がかかりそうですね…どこか人気のないところでなら存分に襲えないですかね?」
「あ〜、そう言うのはもっと恥じらいがあった方がそそるんだぞ」
「襲われて食べられるなら恥じらいよりも恐怖では…?」
「あ〜もうギブギブ!私の負け!…やっぱからかうならネイトレだな」
参考:水着の殺生院キアラの第一臨
≫68二次元好きの匿名さん22/08/02(火) 08:35:03
「…で、ネイトレは何故そんな格好をしているんだ。そしてノータイムでからかいに行こうとするなベガトレ」
「ちょ、力強いファイトレ(女)!手首が、手首がー!」
「あ、あはは…色々あって…」
…とあるビーチ、波も穏やかな暑い日差しの元で某運命の武蔵三臨水着を身につけたネイトレと、そこにやってきた二人。
からかいに行こうとしたベガトレの手首を抑えたファイトレ(女)は、サングラスやら長袖やらと肌を隠した服装であった。
「私は肌を晒すのは好きじゃないのでな。ああ、無論濡らしても問題ない仕様だとも。」
「…ファイトレ、絶対下に水着来てるよね。ちょっと見せてもらっても…」
「必要ないだろう。それと、ネイトレは…なんだ、パーカー貸そうか?」
「うん…ありがとうファイトレ(女)。これ、私にはちょっとキツイかなって…」
先程までヤケクソで頑張って着ていたが、そろそろ限界が近かったネイトレには渡りに舟な提案。顔も真っ赤なのがその証拠。
ファイトレ(女)から彼女曰く微妙に大きめな、でも身長差によりネイトレにはピッタリなパーカーを着込む、と…
「見せるのはあまり好きではないのだがな…」
…サマータイム・ミストレスの水着を纏い、筋肉と柔らかな肌とのハイブリッドな肉体美を見せつけるファイトレ(女)。
「いいじゃんファイトレ(女)、めっちゃ撫で回したくなるボディしてるねぇ…」
「す、凄い…」
表情一つ変えないファイ女と、派手な服装で恥ずかしがらずに動けることに感心するネイトレと目を輝かせるベガトレ。
早速触れに行く彼女を他所に、ふとパーカーの内側に入っている水鉄砲を手に取ったネイトレ。掛けられる声。
「それにはキンキンに冷やした水が入ってるんだネイトレ。追い払う時や水鉄砲で撃ち合う時にでも使うといい。」
「冷水が詰めてあるって…ひゃっ!」
自分の手のひらに撃って余りの冷たさに震えるネイトレ、ファイトレ(女)とベガトレはその姿に苦笑した。
短文失礼しました
FGOの水着ネタということで、サマータイム・ミストレスをファイトレ(女)です。白い肌には映えそうな水着ですよね。
真っ赤だったり震えるネイトレはかわいい。からかう側のベガトレにも何か似合いそうな水着はないだろうか。
≫117二次元好きの匿名さん22/08/02(火) 21:59:38
魔ルドとシビトレ・お風呂編
「実際のとこ、シビトレちゃんってお風呂きちんと入ってるの?」
「え〜……まあ。それなりには。あ、そこの1Q84取ってください」
「はい。ジョージオーウェル読んでるの?」
「向こうの山にもっとありますよ。読みますか?」
「んーん、私はいいよ。それより、お風呂事情、教えて?」
「…そんな面白味もないですよ?髪まとめて洗ってボディーソープ泡立てたタオルで全身擦って、流して拭くだけですから」
「シャンプー、なに使ってる?」
「メリットです。結局これに落ち着くんですよね」
「浮いたお金は?」
「今度新しく増車しようかな〜と」
「もひとつ質問。一日中外に出ない日はお風呂、どうしてる?」
「………あ、今度の重賞のことなんですけ「どうしてる?」
「……まちまちです」
「そうなのね…じゃあ、行くわよ」
「え…どこに?」
「トレセンの職員用のお風呂。あと1時間でウマ娘化したトレーナーの番だから」
「………」
「不満が顔に出てるわよ。シャワーだけじゃなくて、少しはお湯に浸かったほうがいいのよ?」
「ちなみに拒否権は?」「ここにはないわ」
「…ならせめてタイヤ交換だけでもさせてください。汚れてからお風呂入りたいです」
「仕方ないわね〜。あ、私の方のタイヤの空気圧とエンジンの点検もやってもらっていい?」
「了解しました。オイル関係怖いですからね、魔ルドさんの車。じゃあやってきますね」
「私も行く〜」「ならガレージの方の冷房も付けますね」
スランプ真っ最中なので会話だけで許して…
≫122二次元好きの匿名さん22/08/02(火) 22:25:11
───とある部屋、一人きりで佇む人影。それは若干困ったかのような雰囲気を醸し出しているのはキタトレ。
「私でもこれは…ちょっとキツイわね」
…黒いバニーガール、白い肌を黒の布地が引き立てるその服装に、さしものキタトレと言えど羞恥心を感じていた。
なにせハイレグカットに加えて上乳がその巨乳と相まって見え、更にタイツもなしの素足で背中もそこそこ無防備なのだ。
「で、これでうまぴょい伝説を踊るって事かしら…こんなことを言い出したのは誰かしらね。」
とはいえ言っていても仕方ないので音源をつけて、一通り体に叩き込んだうまぴょい伝説を踊り始める。
ライブで歌って踊る曲全部とは言わずとも、うまぴょい伝説なら通しで踊れるトレーナーが大半だろう。
「うー、うまぴょい、うまぴょい」
「うまうまうみゃうみゃ3 2 1 fight!」
流石にこんな服装とはいえ、一人でやる分には問題ない。キレのある踊りをカメラを前に見せるキタトレ。
…踊りに合わせてたゆんたゆんと揺れる胸やら、相応にムチムチなボディもしっかりと録画されているが。
「どーきどきどきどき どきどきどきどき」
「きみの愛バが!…ん?」
決めポーズの最中、ふと物音がして振り向いたキタトレ。音源のドアの方には…
「キタトレ…?」
「あ、踊ってる所邪魔してすみません、キタトレさん」
「…」
魔ルドトレとトプトレの姿を視認したキタトレは、一瞬硬直してからため息を吐く。しかも二人も同じようなバニーガール姿だ。
「いや、うん…大丈夫よ。とりあえず説明するから聞いてくれないかしら。…その姿であちこち歩かせても拙いし」
そうして一通り説明したキタトレは、カクカクシカジカあって何故か三人でうまぴょい伝説を踊る羽目になったのだった。
「「「きみの愛バが!」」」
…尚、その録画は公開するには余りにも危険だということで、キタトレの自宅のPCにデータを厳重に封印されてるとかないとか。
短文失礼しました
バニーガールでうまぴょい伝説、言うちのダイナマイトボディ組で踊ってもらいました。いけませんよこれは!
ちなみに作者はバニーガールといえば、どちらかと言えば素足派です。無論タイツもこれはこれで好みですが。
≫140二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 00:18:25
『つれづれ話~たきぶら~』
「あの頃から変わってしまって……という言葉があるじゃないか、ブラトレ君?」
「あるなぁ、タキオンの印象は出会った時から変わらぬマッドサイエンティストだが」
「一応、誉め言葉として受け取っておくよ。ともかく、人とは誰しも変わっていくものなのだよ。印象論という部分でなく、現実的な部分としても生物を構成する細胞は生まれて死滅することを繰り返している。ウマ娘に変貌してしまったトレーナー諸君もそういった意味では、外側が大きく変わっただけで実のところ内面はそう変わっていないのかもしれないがね」
「んー、その辺りはわからん! なんだっけな、テセウスの船とかそういうやつ?」
「『パーツそれぞれを変えていき、最終的にすべてのパーツが交換されたらそれは同じものなのか』というパラドックスだね。決定的なる事実として、すべてのパーツが変えられれば元の船とは別物になるというのは正しい。出港したタイミングで存在したパーツは何一つとして使われていないのだからねぇ」
「まあそうだろうな」
「だけど、一つの型としての認識としては同じ船ともいえるわけだね」
「お帰りトレーナー君。良い茶葉は入荷していたかい?」
「ただいまタキオン、セイロンが良さそうだったよ。……それで、テセウスの船の話だろう?」
「そうだな、パーツ全部変わったら別もんになるってやつ。その理論で行くと人間はいつの間にか別人になっちまうわけだ」
「だけど、そういうわけではない。何故なら人というものは己の認識ともう一つ、他からの認識によって構築されているものでもあるのだからね。社会に生きる生物だから……というのもあるけれど」
「……つまり?」
「例えばグレートタキオン船がここにあるとしよう」
「名前よ」
「グレートタキオン船は10年間の航海のうちにすべてのパーツが取り替えられました。しかし乗員はその船をグレートタキオン船として愛し続け、無事すべての航海を終えました。それならば、彼らの中でその船はすべてのパーツが取り替えられたとしてもグレートタキオン船なんだよ」
「あー、つまり中身が変わって外見が変わったとしても、他人の認識からはその物体の定義が変わらないこともあるわけだ」
「そういうことだよ、ブラトレさん。私が君をそう呼ぶように、そして君が私をタキトレと呼んでくれるようにね」
141二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 00:18:53
「もう一つ例え話をしてあげよう。そこの紅茶の茶葉の中身は種類は同じだとしても毎回違うものだが、適切な名前が与えられればそれが適切な紅茶になるだけなのさ」
「わかりやすいけどそれでいいのかタキオン」
「当たり前だろう? 植物一つ一つをすべて人間と同じように区分けしたところで、残っているものは雑多な何かでしかない。大まかな種別で括る、そしてそれに適切な名前を付ける。人間社会が作り出した素晴らしいシステムだよ」
「いわれてみればそう……だなあ、たぶん」
「極論名前は関係なくとも、個々人それぞれの認識さえ合っていればその人がの人たらしめられる、ともいえるだろうね。そういった面で、私たちトレーナーは幸運だったともいえる。理解してくれる担当ウマ娘がいるわけだからね」
「それは思うな、ブライアンがすぐに俺を俺と理解してくれたから何も難しいことはなかった……わけではないな。結局テイトレのケースがなかったらもっとめんどくさかっただろうしなあ。ブライアンの理解は本当に感謝してるけどさ」
「何事にせよ、最初の一人というのは偉大なものなのだよ」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part812【TSトレ】
≫8二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 20:16:00
「美味しいよねハチミツ、この甘みが個人的には好きなんだ。色々使うかなぁ…」
「ああ…うん、そうだな。…高級品だってことに目をつぶればだけども」
…サトトレの家、何処かのマンションの一部屋に住む彼の家にお邪魔したファイトレ(男)は、用意されたパンケーキを頂いていた。
勿論、目の前で向かい合って座るサトトレはハチミツと合わせてもぐもぐと可愛らしい姿を見せてくれているが。
「正直、ファインと関わるまでは一市民だったからそういう高級品には抵抗があるんだよな。」
「あはは、僕も毎日のように食べるなんてことはなかったからね。時々贅沢したくて買うことが多かったかな。」
…ハチミツの難点、それはやはりお高いことだろう。やや値の張るハチミツは普段から食べるというのは一般人には難しかった。
「ファインを走らせてからは、もうハチミツ程度で驚かなくなってきたんだけど。王族って凄い()」
「うん、僕もダイヤに関わってからはあんまりお金がどうとか考えないようにしてるよ。」
片やサトノグループのお嬢様、片やアイルランドのお姫様である。こんな二人が一般人の価値観と合う訳がなかろう。
担当ウマ娘と飲食に行った先で、当然のように使われるブラックカードに引いていた頃がもう懐かしいレベルであった。
「アイルランドか…行くことも考えると英語が出来るようにはしとかないとな」
「え?連れてかれるのファイトレ(男)」
「いやほら、テレビ通話でなら会ったことはあるけど、対面で会うときがあるかもしれないし…というか、実家に連れてかれるのは寧ろサトトレの方じゃないか?」
「僕、もう何度か行ったことあるよ。そもそもサトノジャッジとか名乗った時点で大分…」
担当に大分引っ張られていることを互いに確認しあって笑う二人。それでも、少し楽しそうなのは気の所為ではないのだろう。
短文失礼しました
はちみつから思いついた担当がお嬢様とお姫様なうちのトレ二人の話。何気にうちのは皆担当が裕福なんだよな。
どちらかといえば受けなサトトレとファイトレ(男)。振り回すより振り回される側なので、火力のある二人には受け身になります。
≫37二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:24:27
『ふぉーりんぐはちみー』
青い空、白い雲。照り付けてくる太陽。そしてボウル。
ボウル。
「でさー、その時のテイオーがさー?」
降り注ぐ黄色透明の液体。直撃する芦毛のトレーナー。
夏。
「ちょっとカッコごべがべ」
「ウワーッ!? テイトレ大丈夫か!?」
偶々校舎の側を歩いていた四人組のうち、白い芦毛のトレーナー、テイトレの頭に、蜂蜜のたっぷり入ったボウルがかぶさってしまった。上からは青ざめ切ったウマ娘の生徒がすみませんと大声を出してこちらに呼び掛けてくる。
「くんくん、この甘ったるいにおいは蜂蜜ですわね」
「いや冷静になるな、色々とおかしいだろ」
紫髪のトレーナー、マクトレがボウルのお化けになったテイトレに、鼻を近づけて香りをかぐ。濃厚な甘さの香り。
「可笑しくはないかもしれないぞ、この上って確か家庭科室だろ? だからさっきから顔出してる生徒がぺっこぺっこと赤べこのように首を振ってるわけで」
「それにこれがヤバめの化学薬品であったら危険ですわよね、フクトレ?」
「まあそりゃそうだな。おーい、そこの。一応こいつは無事っぽいが後で話聞きに来るから待っといてくれ」
栗毛のトレーナー、フクトレが上にいる学生へと声をかける。その間、はちみつ柱になってしまったテイトレは放置された。
「三人とも酷くない? 友人が突然蜂蜜まみれになったんだけど?」
「とりあえずシャワー浴びて来い、このままだとハエが寄ってくるぞ」
「ギャーッそれは困る!」
水色の芦毛、ブラトレに指摘されたテイトレは、血相を変えてトレーニングルームのシャワーを目指そうとする。
「あーっ待てこら! あっあぶねえぞテイトレ!」
「何ゴルトぎょあーっ!?」
そこに茶色の飛行物体が直撃してしまい、見事にノックダウンしてしまうテイトレ。試合時間0.9秒。
「これは……カブトムシ?」
「おう、さっき見っけたから捕まえようとして逃げられてたんだよな。……で、なんでテイトレは蜂蜜塗れになってたんだ?」
「それは先ほど悲しい事故がありましてよ」
「なんにせよこの8センチカブトちゃんが止まってくれてありがた……し、死んでる!」
「死んでない死んでない、気絶してるようだが」
「とりあえず……シャワー室に運びこむか。本格的に虫寄せトラップになっちまう」
そうしてテイトレはえっちらおっちらとシャワー室へと運び込まれ、気絶したまま洗われた。
38二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:24:40
「トレーナーが倒れたって聞いたんだけど!?」
ガラガラダァンと保健室の扉が勢いよく開けられ、トウカイテイオーが足早に入ってくる。
「お、テイオーか。テイトレがはちみつぶっかけられてカブトムシに追撃食らって気絶しちまったんだよ」
「訳わかんないよー!?」
「まあ今はとりあえず眠ってるからそっとしておいておきなさいな、テイトレは今ようやく心の底からぐっすり眠っておられますのよ」
「いやまるで今まで一度とまともに眠れてないみたいな言い草だな」
「しかも外部要因で気絶してるわけだから、それ本当に心の底からか?」
神妙な顔をしたマクトレが淡々とつぶやくも、隣にいる二人に総突っ込みを食らう。
「言われてみればそうですわね?」
「いや、ボクに聞かれても困るんだけど? とりあえず起こしていいかな」
「お目覚めのキッスを!? 恐ろしい子!」
一昔前の少女漫画のような、激しく堀の深い表情を示すゴルトレ。
「そんなことするわけないじゃんゴルトレ! あとブラトレバーストしないで!」
「ままままだだいじょうぶだし」
目覚めのキッスの一つで崩壊するブラトレの調子。ある意味では最弱クラスである。
「大丈夫じゃなさそうだな。許してやってくれ、ヤツは初心なんだ」
「所詮敗北者ですわね」
「ハァ……ハァ……いやまったくもっておっしゃる通りで」
「いや、あの、人が寝てるときにコント始めないでくれる!?」
さすがに周囲が五月蠅すぎたのかついに眠り姫……もとい昏倒していた姫……否、テイトレが若干キレながら起き上がる。
「「「「「あ、起きた」」」」」
「起きた、じゃないよもー! テイオーまで!」
その後、はちみつを降り注がせてしまった学生から蜂蜜入りのお菓子をおすそ分けしてもらうことで、機嫌を直したテイトレであった。
うまぴょいうまぴょい。
≫64二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 11:40:46
LIVE
「トレーナーズTV〜」
「夏の海特番〜」
「フクトレあれやらないの?」
「トレセンの水着着てでそれはもう不審者だろ。……いやマルトレ腰細いなもっと食べた方がいい」
「食べてるんですけど! フクキタルにスリーサイズでニヤつかれた奴に言わいだだだだだだだだギブギブギブ!!」
「そう言えばスズトレは?」
「あそこの海の家の影だぞ」
「おい何をやってるスズトレ」
「え……でも……」
「隠れてないで出ておいでー!」
「……わかった」
「うおっ……背徳感」
「スズトレ顔を赤くするなヤバイ」
ブツン
────この放送はセンシティブと判断され非公開になりました────
≫91二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 21:23:11
「えっ何これ…」
「あれ、普ダストレも黒ダストレも見たことなかったけ?キタトレ、トレーニングメニューとか言えば見せてくれるよ」
LANEを通じて送られてきたメニューに困惑するダストレ×2。そして黒ダストレの膝元で撫でられているサトトレ。
何故こんなことになってるかといえば、単純に出張するキタトレから臨時でトレーニングを引き受けた事が理由だった。
「いや、キタサンだけ明らかに練習量が違うのですが…(スパルタすぎないかこれ?)」
「キタトレのチームメンバーは脚部不安だったり俗に言う気性難な娘も多いから、頑丈なキタちゃんが一番多いんだよね」
「それ加味しても追い込み度合いが別格なんだが…少なくともスカーレットにこんなメニューをさせたのはそうないんだけど」
トレーナーとしての経験人数が少ないから一概にそうとは言い切れないが、それでもキタサンのは明らかに違う。
「必要なことはその(大量の)メニューに全員分書いてあるから、参考にしてトレーニングを見てほしいかな。」
「え〜と、『キタサンは自主練してることもしばしばあるので、報告してくる量に合わせて修正してほしい』…?」
「『ジャッジはギリギリのラインまで追い込む傾向があるので、休憩はきちんと取らせること』…サトトレのもありますね」
「薄々勘付いてたけど、全部お見通しだなぁ…キタトレに勝てる気がしないや。本当、そういう用意周到さはらしいよね。」
仕事が出来るとはこのことだろう。必要なものを必要な時には既に用意してくれてるありがたみは皆実感していた。
「とりあえずこれがあれば困らなさそうだな…キタトレさん、凄く几帳面なんだろうか」
「でもキタトレ、あんなふうにしてるけど自分専用のメモは本当に読ませる気のない走り書きなんだよね。」
「「えー…?」」
…後日、キタトレに個人用メモを見せてもらった二人はその意味を痛感した。臨時のトレーニングは上手くいったそうだ。
短文失礼しました
トレーニングネタ、キタサンの追い込み具合はそうだし、キタトレはこういうの最大限に用意してくれるので楽…かもしれない。
トレーニング相手としてはキタトレは脚質と距離で幅広いしスタミナお化けなので、特に中〜長距離向けで需要は大きそう。(逆にサトノジャッジはスタイルが中々独特な追い込み一本組だったり)
≫100二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 23:06:19
「うーん…ううん…」
「ねぇマヤトレ…モブトレがあんなに深刻そうに悩んでるのって…」
「先日のメイクデビュー戦で担当の子が振るわなかったからだろうな…ちょっと励ましとくか」
「いや…しかし…おおボノトレ、マヤトレまで」
「そう悩まなくても大丈夫だよ。あの子なら次は一着になれると思う」
「映像で見させてもらったが展開に恵まれなかっただけだろ。お前の方針は間違ってな…」
「…?急にどうしたお前ら」
「え?君の担当の事で悩んでたんじゃ」
「いやデビュー戦は群に飲まれて実力出せなかっただけだし次に向けてメニューを組んだが」
「そ、そうか…じゃあ何をそんなに悩んでるんだ?話くらいなら聞けるぞ?」
「…すまない。迷惑をかける」
「で、どうしたの?」
「ああ…男性同士の恋愛を薔薇って言うだろ?」
「ん?」
「で、女性同士なら百合…尊く美しいものだ」
「ボク聞かなかったことにしていい?」
「ならば…ウマ娘になったトレーナー達の関係を何と呼称すべきか…四六時中考えてしまってな…」
「友情では?というかあいつらにその手の趣味はねぇ」
「分かっているさ…彼等は精神的には男性。しかし身体的特徴は女性…ならば薔薇で造った百合の造花とも言える!」
「おじさんきもいよ!(正論)」
「だがしかし常規の言葉で当て嵌めていいのか!?例を挙げるのならフクテイトレの退廃的依存関係やキタサトトレの母性爆発両誘い関係を!俺達地下隠蔽妄想班が新しい言葉を生み出さなければ…彼等に申し訳が立たん!!」
「申し訳なく思ってんなら今すぐ頭でも丸めたらどうだ」
「このパープルヘイズ!」
「ちょっと面白かったぞボノトレ」
「…そうか!ボノトレ…君は男の娘…君の気持ちを汲み取れず蔑ろにした俺を許して欲しい…これから共に語り明かそう!題材は男の娘とTSトレはありかなしゴッ」
「あて身」
「…久しぶりに鳥肌立った」
「ウラトレ先生とヘリトレ先生に連絡しておくからボノトレは執行部呼んできてくれ」
≫140二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 08:58:28
「肩こりって大変よね」
「分かるわー」
「私もそろそろチヨトレにマッサージしてもらおうかな。そこで寛いでるシビトレみたいにやってくれる人いないかな?」
「血行不良も起きやすいからその分気を遣わないといけないのよね」
机を挟んで特有の悩みを語るキュニュウ・トレーナーズ。…(上から)オベトレ、パマトレ、魔ルドトレ、キタトレの四人。
一方で、シビトレは一人だけソファに寛いで等身大自律型適温ぱかぷち(と書いてサトトレと読む)に肩を揉んでもらっていた。
「というかさー、サトトレの手つき上手じゃない?」
「当然じゃないの、キタサンと並んでチームプロキオンで私を一番マッサージしてくれるのが彼よ?」
「いいなぁキタトレ…」
「魔ルドトレはプラエトアリニが…って駄目だったわ」
プラエトアリニは皇帝の親衛隊であり…まあつまりそういうことだった。ルドルフ本人に頼むのもアレだし。
「それでも肩こりは起きるのよね…デスクワークも多いからかしら。オベトレは兎も角、パマトレは辛いんじゃないかしら。」
「そうなんだよねー、ずっと悩ませられてるのよ。パーマーが時折揉んでくれるけど…」
「トレーニングするときも少し邪魔に感じる時も多いね」
「…もふもふ」
話してる四人を他所に、一人シビトレはモフモフに頭を預けて堪能する。肩を揉まれているのと合わさってとても心地良い。
そんな姿にそろそろ魔ルドが我慢出来なくなったのか、モフモフなぱかぷちに声を掛けて自分もしてもらおうとしたところ
「魔ルドトレ、まだ揉んでてもらうから…」
「シビトレ…もう十分堪能したよね?」
なんか取り合いが発生しかかってるのを尻目に、オベトレとパマトレとキタトレはこの後チヨトレにマッサージしてもらおうと話していた。尚チヨトレは…最後のキタトレを終えた所で顔を真っ赤にしながらへたり込んだそうだ。
短文失礼しました
胸が大きい人たちのお話。オベトレとかパマトレとか、彼女らもチヨトレマッサージにはお世話になってそうです。
サトトレは膝上に乗せても隣に座らせても温かみを堪能出来ます。多分今日中にキタサトトレでもう一本上げる予定(多分親子丼ネタ)
≫179二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 18:19:13
「ゴルトレちゃん……」
「悪い、魔ルド……。俺やっぱセキヘイヒザミよりツラヌキイカ派だわ」
「そんな、どうして……」
「それに目玉焼きにはソースだと思うし、図書館の本は食べられるように改良した方がいいと思う……」
「じゃあ、みんなでセミエビを捕りに行く約束はどうなるの!?」
「……ごめん」
乳ビターンッ!!
「ッ……」
「ゴルトレちゃんのバカ!もう豆腐は絹ごしにしてあげないんだから!」
「………」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part813【TSトレ】
≫34二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 20:56:08
「そういえば、影さんはレースとか考えていないんですか?」
もくもく、とまんまる焼きを食べながら黒カフェが聞いてきた。中身は最近発売したカスタードクリームらしい。
「レース…カフェでなく、私が走ると?」
本に栞を挟んで閉じると、影カフェは聞き返す。
「はい。今日スズトレさんとブラトレさんが走っているのを見て、ふと思ったんです。僕たち3人は走るなんてできませんし、思えば影さんのことは全く知らないなって」
「私も一応、毎朝走ってますよ。そうしないと、中のコの衝動が少し漏れてしまうので」
そう言って愛おしそうに胸の辺りを撫でる。夏らしい深緑のカーディガンからは、真っ白な陶器みたいな指が覗いていた。
「え…じゃあ走ることはできるんですか?」
「ええ。自信は、結構ありますよ。私の中のコも、すぅっと出てきては走りたがりますし」
黒カフェは、それを聞いて何か思いついたような顔をした。
「そのコ、誰か分かりますか?」
「もちろん。四六時中、一緒ですから」
「じゃあ、カフェと走ったことは?」
「ないですね…ウマソウルの事は、話したこともないです」
それを聞いて黒カフェは笑う。割といい笑顔で。
「今日の練習は併走にしましょう。カフェにも連絡しておきます」
〜〜〜⏰〜〜〜
「ということでカフェ。今日は影さんとの併走です!」
「え…どういう……ことですか?」
「ごめんね、カフェ。私も説得しようとしたけど、押し切られちゃって」
ターフでバインダーに挟んだノートにターフの状態、天気、気温湿度を書き込んでいく黒カフェの隣で、カフェに申し訳なさそうに笑う影。
35二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 20:56:41
「それより……トレーナーさん。暑く……ないんですか?」
「ええ。丁度いいわ」
何故か元々男のウマ娘のトレーナーは短パン、女性の場合はブルマの傾向が多いトレーナーの中で、なにかと元性別が不明な影カフェが履いてきたのは長ズボンだった。
「それに……細いです」
「ご飯はしっかり食べてるけど……お腹に行かないのよね」
さすさすと腰を撫でるカフェを見ながら、黒カフェに声をかける。
「準備はいいかしら?」
「はい、いつでもOKです!」
「じゃあ、カフェ。走りましょうか」
「はい……」
二人横一列に並ぶと、黒カフェの合図で駆け出す。
最初の1000mは流すように走り、そこから徐々にペースを上げていく。
そんな中でも影は、カフェの横にピッタリ張り付いて、ペースを崩さない。
(早いですね……ペースを……あげて見ましょう)
そう思い、カフェはぐわっと脚を早める。少し驚いたような顔をしつつも、少し遅れて追走する。
そうして残り500メートル。もう一段ギアを上げ、ラストスパートに備えようとしたその時に異変が起こった。
(トレーナーさんが……居ない?)
気配がふっと消えたのだ。蝋燭が風で吹き消されるように、ふわっと霧散した。
たまらず後ろをチラと伺うも、誰もいない。
どこだ、どこへ消えた。走る時とまた違う動悸が混ざる。その瞬間が命取りだった。
「お先、行くわね」
いつの間にか目の前に3バ身抜けていた。髪色が一瞬、灰色のように見えた。
(灰色の…幽霊……)
そのまま1バ身差でゴールされたカフェは、影カフェを見る。
しかし数度の深呼吸で息を整えたかと思うと、ターフにごろんと寝転んだ。
「カフェは、強いわね。危な、かったわ」
長い息を続けている彼女は、カフェを見ると笑った。
「また、今度、走りましょう」
それを見た彼女は、嬉しさと怖さ半分だったという。
≫43二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 21:29:52
「うん、出汁の味がいいね。卵もとろとろで美味しい」
「そう?なら良かったわ。やっぱり自炊はしておくものね…続けている分上達する訳だし」
…親子丼をもぐもぐと美味しそうに食べるサトトレと、その姿に嬉しそうな感じを見せるキタトレ。
既に食べ終わったキタトレと、おかわりした分まだ食べてるサトトレとで二人机を挟んで座っていた。
「でも、いつ聞いても不思議な関係よね私達。親子のようで、トレーナーと担当ウマ娘な同僚兼親友って字に起こすと…ね。」
「ん、確かにそうだよね。少なくとも数年前にそんな事を言ったら僕は困惑してたと思うよ。…ごちそうさまでした。」
台所に食器を下げにいったサトトレが戻ってくるまでに、コップに水を注いで補充しておくキタトレ。
「…キタトレはさ、この関係ってどう思ってるの?この姿になってから、僕はずっと頼ってばかりだし…」
「そうねぇ…私はこれもこれでいいと思うわ。そもそも、私は対等な対価は受け取ってる訳だから、持ちつ持たれつよ?」
「それはキタトレにとってという単語が抜けてるよ。僕はまだ、もらったものを返しきれてないのだから」
必要なものを用意してくれたキタトレには感謝しきれない。一人では難しかったのは分かっている…前を行くその背は彼には遠い。
「あら、私にこれ以上を欲しろというのかしら。わざわざ焚きつけるなんて随分と酷い親友じゃない。」
「キタトレ…煽ってるの?」
「まあ、私からあえて望むなら…私が忘れられなくなるほどに輝いてくれたらいいわ。まだ私のトレーナーノートは白いわよ?」
無論、キタトレの一番はみんなの愛バたる彼女しかいない。けれど、その次はまだ空いてるのだ。後ろから来る彼の影はもう近い。
「言ってくれるよね…それで、来週のトレーニングメニューってもうある?もう少し自分の武器は磨きたくて」
「壊れないのが前提よ?それにトレーニングの量もあるのだろうけど、その細い体で私より力があるのは凄いわよ。」
「キタトレは寧ろその体格でステイヤーかつ頑丈なのがおかしいんだけど…」
「ふふ…無理がきくって点ではこの体もありがたいわよ。とりあえず足出してちょうだい、手入れしてあげるわ」
手入れ用の道具を取り出してくるキタトレに、サトトレはあはは…と笑いながらその細い素足を見せた。
≫90二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 17:18:52
『月明かりのホリゾンタルライン』
月光照らす砂浜で走りこむ一人の影。静かな呼吸と砂を蹴る音。
それを見かけて声をかける一人。
「……こんな時間に何をやっているんだ、ブラトレ君?」
「お、黒ルドか。見ての通りランニングだが?」
「まあ、そうだな。だが先ほども言ったが、こんな時間だ。よくランニングをする気になるな」
そういって黒ルドは手元の腕時計に指をさす。時刻は22時を超えており、殆どの生徒たちはすでに自分の部屋に戻っている時間だ。
「昼はトレーニングに付き合ってるからランニングっていうよりガチ走りになりやすいし、そもそも暑いしな。ま、合宿先のこのビーチは景色もいいし昔っから走ってるわけよ。まあ昔って言っても3年前くらいからだけどな」
「ふむ……」
「黒ルドも一緒に走らねえか? たまには悪くないと思うぞ」
「……ならそうだな、一寸ばかり付き合おう」
「よし来た、まあ軽く走るくらいだからそんなに肩ひじ張らなくてもいいぜ」
ざっざっざっ、ざっざっざっ。一つだった足音が二つになり、月明かりの下に砂を蹴り飛ばす音の二重奏。
朝から夕方までの喧騒とは程遠い、静かな夜のランニング。
「……君は、変わったとき……どうだった?」
ふと、思い出したかのように黒ルドがブラトレへと尋ねる。それは、今の姿へと変わってしまった運命の日の事。
「……んー、んー……これ言うと苦労した人に若干申し訳がないんだが、ぶっちゃけなんともなかったというのが半分、やべぇめんどくせえというのが半分」
大層難しい顔をしながら返答するブラトレ。
「そんなにか……」
「関わってるトレーナーがどんどんウマ娘になったことを考えると、時間の問題かなとは思ってたしな。まぁいざ自分がっていうときにある程度覚悟はできていたのもあるんだが、それ以上にあの提出資料の山。いざ俺が書くってのはグエッてなったわな」
「ハハッ、君は……案外強いんだな」
苦笑交じりだが、その言葉は真意を伝えていた。一度折れかけた彼には、折れずに、そして変わらずに過ごすブラトレは少し眩しかった。
「んー、まあ強いのかな。でも俺はあんまりそうは思わないかなぁ」
ざっざっざっ、ざっざっざっ。広い砂浜を走り抜ける、白と黒の影。
「……どうしてだ?」
すっと立ち止まる黒ルド。それに気が付いてブラトレも立ち止まり、振り返る。
月明かりに、水色の髪が揺れる。
91二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 17:19:06
「俺はいろんなトレーナーを見てきた。その中には、自分を見失うどころか、自分の存在すら曖昧に思ってしまって命の危機にすら瀕していたやつもいた」
「……」
思い返すだけでも様々なトレーナーが、脳裏に浮かんでは記憶の奥へと流れていく。十人十色とはよく言ったもので、様々な危機もあった。それら全てをサポートできたわけではないし、全てを知っているわけでもない。
「だが、それでも立ち上がった。不格好でも這い上がって、倒れても起き上がって。たった一人、自分が大切に思う人を思って、絶対に投げ出さないという気概で。それだけ奮起できる奴らのほうが、するっと受け入れちゃった俺より十分に強いと思うんだよ」
そう、未曽有の危機に巻き込まれても皆、欠けることなく戻ってきてくれた。すんなり受け入れることも強さの一つではあるが、受け入れがたきことを乗り越えて受け入れる、そんな強さもあるのだ、と。
水晶のように透明な芦毛のウマ娘は、純粋な気持ちを載せてそう伝えた。
「……そう言ってくれると、ちょっとだけでも気が休まるかもな」
その言葉を聞いて、黒ルドは柔らかく微笑んだ。
「それに、逆境で踏ん張れる奴ってのはここぞという時の爆発力がでかい。ぎりぎりまで勝負を諦めない奴にこそ、勝利の女神が振り向いてくれる。もちろん全部が全部そういうわけじゃないが、逃げだろうが追い込みだろうが、最後の最後まで気を抜いて走って勝てるもんじゃあない。全身全霊、全力で駆け抜けてこその……あれ、そういう話じゃねえなこれ」
「……それは君のレースの持論じゃないか?」
思わず口早にしゃべってしまうブラトレを呆れながらも笑う黒ルド。
「そうそう、そういう風に常日頃から思って……ってまた脱線した。……まあ、これは冗談冗談。まっ、まっすぐ向けるならきっとそれでいいってことさ」
そう言うと、またブラトレは駆け出す。それに黒ルドも足を揃える。
遠く見える月は優しく二人を照らし出す。遠い遠い水平線に、二つ映る虚実の月。どちらも輝きを放つのは同じ、真にある場所も同じ。揺らがぬ光と揺らいでもそこにある光。
迷う一人と迷わぬ一人、そんな彼らと同じように、これからも輝きを放ち続ける。
≫118二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 23:24:36
「しかし…いつ見ても細い腰ですね。」
「それは貴女もそうだと思うわよ?」
…着付けの最中、キタトレの腰回りに手を回していたウラトレがふと漏らした言葉に、キタトレはお互い様だと言う。
こんなことになっているのも、永遠の十七歳だと言うウラトレにキタトレが永遠の二十歳の方では呟いたのが理由だった。
「女子高生というよりは、女子大生の方が貴女の雰囲気的には近いもの。そちらの方が似合うとは思うのだけどね」
「私は若いですから」
キタトレの言う事が間違ってないとはいえ、それでも永遠の十七歳を変える気はないウラトレ。女には譲れないものもある。
閑話休題、着替え中とあってキタトレは下着姿であり、ボン・キュッ・ボンな体型がはっきりと分かる状態だった。
「キタトレさん、ちょっと大きすぎるくらいのソレを除けば、着飾る素体にはいいんですよ。」
「この胸に結構制約されるのは否定しないわ…まあ、胸枕してあげたり私に気を向かせられるって点もあるのだけど。」
このスタイルだと特に気を引ける分、例えば誰かを連れてきた時にいいナンパ対策になったりと目立つことによる利点もある。
「そういう視線とか、キタトレさんは余り気にしないのですね。…私と長いこと対面してるのに、向けて来ませんが」
「ふふ、私に向けてくる分なら余程じゃない限りは見逃すわよ。後は例え魅力的でも、そんな視線を向けながらは失礼じゃない?」
「貴方ならそう言うと思ってましたよ。でも私に魅力がないと思ってるのかとは、少し考えたりしますが」
「あら、今の同性の私から見ても魅力的な人だと思うわよ?もし私にその気があったら襲われて───なんて、冗談だけども」
二人で視線を交わし見つめ合うと、クスクスと笑う。彼女らなりの戯れは楽しそうだった。
短文失礼しました
ウラトレさん、多分こんな細かい所で言ってもこうしてくるんだろうなと思いながら一つ。勿論キタトレは言葉は選びます。
実際状況的にはウマ娘と人だと襲われても抵抗できなさそう。やる訳ないし会話を楽しんでるだけなんだけどね。
≫152生えた義22/08/07(日) 18:09:46
「ふぁ……」
義カフェトレはいつものように朝早く目を覚ました。いつも通りベッドから起き上がり、いつものように左足に義足をはめようとしてガツン、と目が一瞬で覚める激痛に見舞われた。
「いっだ!」
右足の脛をぶつけた時のような痛みにその発生源を手で抑えて転げ回る。そうして違和感に気づいた。
「え……? 足が……生えてる!?」
そこには失ったはずの左足があった。頬をつねってみるも夢では無いようで、昔ウマ娘になるなら足も生やしてくれればいいのにと小さく不満に思ったのがある種解消されたのであった。異常事態ではあるのだが悪い事態では無いなと義はとりあえず着替えて朝ごはんを作ってさらにお昼のお弁当の準備をし始めた。
『コレは、不味いことになってるネ!』
照明が点滅してたがいつものことなのでスルーした義であった。
一番小さいお弁当箱がタバコカフェトレの、普通サイズが黒カフェトレと影カフェトレとマンハッタンカフェの、一番大きいのが義のである。しかしふと作っていてこのサイズではお昼足りない気がしてきた義、朝ごはんも何故かもの足りていない感じがしたので品目を足してもう一個弁当箱を作り終えた所で、コンコン、とドアがノックされた。
「はーい!」
「悪い、義」
「タバコ? どうしたのってうわっ!」
タバコがあらん限りの力を使って引っ張ってきた。本来義との筋力差でほぼ動かないが義が抵抗せず動きに合わせて引っ張られるままに動いたところバランスを崩して尻餅をつきそうになり、そこにピッタリ椅子が入ってきて義は車椅子に乗っけられた。そして車椅子を掴んだタバコが義の耳元で囁く。ゾワゾワと変な感覚がした。
「義は私の言うことに素直に従ってくれ」
「ひょえっ……あっ待って! みんなのお昼のお弁当が……」
部屋からポルターガイストでお弁当箱が飛んできて義の膝に収まり、ドアの鍵も勝手に閉まった……と思ったら影カフェトレが閉めてた。
「えぇ……」
そうしてタバコが結構な速度で押す車椅子に乗せられたまま義はトレセン内を移動していく。タバコがはぁはぁ息を荒くしてるのが後ろから聞こえるのが謎の背徳感を出してるのを義は努めて気にしないことにした。そうして練習コースの一角、ダートコースの脇にウオトレ、いやギムレットと黒カフェトレにフクトレとなんか面倒ごとに強そうな面々が集まっているところで停止する。
153生えた義22/08/07(日) 18:10:11
「あっタバコさんお疲れ様ですこれタオル」
「……はぁ……はぁ……ありがとう」
(*1))
「緋色の良くきた。早速で悪いが、このダートコースを見てどう思う?」
「え? そう言われても別になんとも……」
義はギムレットに問われて、改めてダートコースを眺める。胸の内に熱が宿るような感覚を覚えた。
「走ってみたい、と思いました。せっかくだし少し走り……ぐえっ!!」『ダメだヨ!!』
車椅子から立ちあがろうとして鳩尾にお友達の友達パンチを受けて義はうめき声とゴホゴホと咳を吐いた。
「今見てわかった。緋色の中のやつは必死で抑えているが、たったこれだけで馬鹿にならない侵食だ。小走りさせるだけでも良くなかったはずだ。フクキタルのの提案で車椅子に乗せたのは正解だったな」
フクトレが深刻そうな目で義を見ている。
「義カフェトレ、正直意味がわからないと思う。コレは来ないはずだった岐路だ。義カフェトレがどうしたいか選択する為に必要なことを全部知ってる奴のところに送り出す。行ってこい」
「えっちょっと待────ガンダムッ」
フクトレが義の額にお札を貼り付けてチョップでぶん殴った。義の意識が落ちたのか体が弛緩している。お札を貼った部分にタンコブができているがコラテラルダメージである。
「義がどういう選択をするかわかりませんけど……義が望むならお友だちの友だちはケツパンチで吹き飛ばすしか無い」
『アイツも自分のせいで誰かの人生台無しにするならそれを望むと思うヨ』
154生えた義22/08/07(日) 18:11:00
義は気がつくとレース場に立っていた。芝コースが内側にあって、外側にダートコースがあり、最内には池が存在していた。ダートを触ってみれば、硬い。日本の砂タイプのダートではなくアメリカ式のダートコースだった。
「やあ」
陽気な声に振り向くと、いまの義をさらに大きくマッチョにしたみたいなウマ娘が突っ立っていた。緑と白を基調にした勝負服は土で少し汚れている。前にもあったことがある、義に入ったまま出れなくなったお友だちの友だちのウマソウルだった。
「あ、どうもお久しぶりです」
「お久しぶりも何も、会う予定も本当ならなかったしね。三女神も善意なんだろうけど余計なことをしてくれる全く」
「僕、朝起きたら右足が生えてていきなりここに連れてこられたみたいな感じで状況わからないんだけど」
「それにしてはいやに落ち着いてるな?」
「まぁ、よくある事かなって」
HAHAHAとお友だちの友だちが豪快に笑った。
「じゃ、まぁ簡単に状況を説明しようか。三女神が足を生やした。以上だ」
「いやいやいや足生えたのはわかるけど!」
「今のキミは勝負応援服を着てるが義足だろう?」
「え、あったしかに」
「ボク自身が抑え込んでいる以上に君の右足が無いことはウマソウルの侵食を抑える上でこれ以上ない防壁だったんだ。キミは聞いたことがないか? 自分が自分である為足を壊そうとしたトレーナーのことを」
「テイトレ……」
「今その防壁がなくなったからこそ分かる。例え外のダービー馬がボクの名前を君に教えて覚醒をしても、キミはキミのままだった。走る為に生まれたウマ娘の右足がないという矛盾がキミを守っていた。そもそもキミにボクが宿ってウマ娘化したのがイレギュラーである以上三女神すらも仕組みを理解してない。だからウマ娘に幸福をもたらす三女神が矛盾を解消しようとキミを祝福したのさ。結果足が生えた。だからボクの影響がキミを致命的に変質させようとしている」
「見た目ならまだしも……自分自体が変わるのは流石に怖いな」
155生えた義22/08/07(日) 18:11:33
「そうだろう? だからボクから提案だ。外のボクの友だちと一緒にいるトレーナー、あとジャパニーズウィザードなトレーナーに協力して貰ってボクを消し飛ばせ」
お友だちの友だちの大きな手が義の頭を撫でた。
「そもそもケンカの仲裁に来てキミに入ったボクが悪いんだ。三女神の祝福が消えるわけじゃないから君は両足で走れるようになって、ウマソウルの侵食も受けなくなるハッピーエン「待って」」
頭を撫でていた手を掴んでお友だちの友だちと義が目を合わせる。義は首を横に振った。
「消し飛ぶって、あなたはどうなる?」
「痛いところを突くなあ。いいじゃないか別に気にしなくて」
「右足が無いのは慣れてるけど、お別れにはいつまでも慣れないから。別に右足が無くたって困らないけどお友だちの友だちのあなたが居ない方が僕困る気がするんだ」
「怪異的な意味で?」
「そう怪異的な意味で。前も夢で助けてくれたじゃないか。あなたがいない方が僕は困るって言ってるんだから何か別の手段はないの?」
またお友だちの友だちが大笑いして義を抱え上げた。
「いやはやこっちの価値観押し付けも甚しかったな! 足がなくても構わないなんて言われると思ってなかった! 手段はある。今から教えるから現実に戻ったら実行してみな」
156生えた義22/08/07(日) 18:12:54
「うん……」
「義?」
「あ、黒おはよう……額が痛い……」
「それはすまん。それで、どうするか決まったのか?」
「うん決まった……忙しいと思うけどブルトレを呼んできて欲しいんだ。お友だちの友だちに解決手段聞いてきた」
「俺とギムレットが呼んでくるよ」「ブルボンのだな。わかった」
「それで……どんな解決手段なんだ?」
「うん……それは────」
タバコカフェトレと黒カフェトレと影カフェトレとフクトレがごくりと唾を飲んだ。
「────曰く、ケツブルクロスボンバー」
「「「「???????」」」」
そしてギムレットがブルトレを抱えてやってきて状況の準備をする。しかし絵面がアレである。地面に寝転がって左足を天に向け伸ばした義、そこから少し離れたところにブルトレと黒カフェがスタンバイ。
「行きます」
「行くよ」
157生えた義22/08/07(日) 18:14:07
謎の牧歌的な感じの和やかさから一転、ブルトレと黒カフェトレが右手をぐるぐるさせながらダッシュ! ラリアットを繰り出し、その交錯点には義の左足があった。ラリアットのツープラン、クロスボンバーである。数瞬わずかに早く義の左足に接触したブルトレラリアットが左足にかけられた三女神の祝福を乱す。乱れた瞬間義の内にいるお友だちの友だちがそれを異物として押し出す。そして異物、つまり義の肉体ではなく超常の存在と化した左足だった部分に黒カフェラリアットが直撃し問答無用で消し飛ぶ。側から見ると義の左足がちぎれ飛んだように見えるが、義の足は元通りになった。
事態解決になりふりは構っていられないが、すごい絵面である。ギムレットに大丈夫とお墨付きをもらってブルトレとフクトレにお礼を言ってカフェトレ達はトレーナー室へ戻っていった。全員いろいろな意味で疲れていた。
そうしてお昼、義は影響が出ていて作りすぎのお弁当の処理に手間取りタバコは急に運動したせいで飯が食えず黒は実体はないとはいえ義の足を切り飛ばしたのを間近で見たせいで食欲がなく、そんなタバコと黒のお弁当を自分の分と合わせて頑張って食べる影という惨事にマンハッタンカフェはコーヒーを飲みながら首を傾げた。
「トレーナーさん達……何かありました?」
「「「「何もない、いつも通りだよ」」」」
トレーナー達四人は疲れた顔でそれでもいつも通りの尊さを感じながらお昼の時間を過ごした。
おしまい
≫170二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 19:44:03
誰がこんな遅くに鉄バを駆けているの
それはルドトレとテイトレ
ルドトレは腕の中にしっかりとテイトレを抱え
テイトレを暖めている
テイトレよ、何を恐れて顔を隠す?
ルドトレには女神が見えないの?
王冠とシッポをもった女神が
テイトレよ、あれはただの蜃気楼だよ
可愛いテイトレ、私と一緒においで
楽しく走ろう
コースのキレイな芝生で
黄金の衣装もたくさんある
ルドトレ、ルドトレ!
女神の囁きが聞こえないの
落ち着くんだテイトレ
並木が風で揺れているだけだよ
171二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 19:44:18
素敵なトレーナーよ私達と一緒においで
私の娘たちが待っている
娘たちとウイニングライブで
共に歌やダンスを披露しよう
ルドトレ、ルドトレ!
あれが見えないの?
暗がりにいる女神の娘たちが!
テイトレよ、確かに見えるよ
あれは灰色の古い銅像だ
あなたが大好きだ、愛くるしいその姿が
嫌がるのなら力ずくで変えていくぞ
ルドトレ、ルドトレ!
女神が僕をつかんでくるよ!
女神が僕を苦しめる
ルドトレは恐ろしくなり 鉄バを急がせた
苦しむテイトレを腕に抱いて
疲労困憊で辿り着いた時には
腕の中のテイトレはウマ娘になっていた
シューベルト作曲:魔王より
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part814【TSトレ】
≫12二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 21:08:04
ゴルトレ「抱かせろ」
トプトレ「いいですよ?どうぞ(腕を広げる)」
ゴルトレ「…お前な、少しは警戒というものを覚えろ」(チョップ)
魔ルド「あら、2人とも何してるの?」
トプトレ「ゴルトレさんが私を抱きたいと言いまして」
魔ルド「…ふーん?それでトプトレちゃんは?」
トプトレ「私は構いませんが…」
魔ルド「ふーん?」
この後のルドゴルムンのえっちうすうすブックはC100サークル『トレセン地下帝国』にてお楽しみください!
豪華70P、お値段1000円となっております。
≫17二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 21:46:28
花の日
「今日は花の日ですね~」
「あら、そうなのですかトレーナーさん?」
「ええ、8月の7日……87で花の日となっているのですよ~」
「なるほど語呂合わせなのですね」
「ええ、そういう事ですね~」
「それでトレーナーさん?」
「はい、どうされましたか~?」
「急に話を振ってきたという事は何か有るんですよね?」
「ふふっ、グラスは目聡いですね~……どうぞこちらを~」
「これは……タンポポ?」
「ええ、ええ、造花となっておりますが~、グラスはタンポポが好きだったと思いまして~」
「ふふっ、ありがとうございます……それでは、トレーナーさんにはこちらを」
「私にでしょうか~?」
「ええ、こちらの桃の花の造花……トレーナーさんは桃の花がお好きでしたよね?」
「あ、あら?」
「ふふっ、トレーナーさんが私へのプレゼントを用意している事に気が付いていたんですよ?」
「なっ……」
「なので私も用意してしまいました♪」
「……何でしょう……グラスにタンポポの造花を渡すという目的は達成できたのに負けた気がしますね~……」
「ふふっ」
「あらあら、勝った顔をしてますね~……今に見ていなさいな~」
その後、グラトレはグラスを驚かせる贈り物を作る為に奔走し
そしてトレセン中のタンポポが消えるのだった……
うまぴょいうまぴょい
≫44二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 10:48:35
ニャ~ニャ~
「ニャ~」
「……何やってんの?」
「おお、タイシン! 見てくれ、可愛い猫だぞ!!」
「うっさい、見れば分かる」
「そうだ! タイシンも一緒に……」
フシャー!!
「うお!? 何か怒ってるぞ!?」
「アンタがそんな大声出すからでしょ」
フシャア!! ポヨン
「ワッ!」
「……!?」
「ははっ、胸を叩かれてしまったな!」
「……」
「よし、猫へのお詫びとして鰹節でも持って来るか!」
「……」
「それじゃあまた後でなタイシン!」
「……」
タイトレの大声に驚いた猫による猫パンチはタイトレの胸に当たり……
大きく揺れたタイトレの胸を目撃したタイシンの性癖は壊れた
≫46二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 11:01:02
『あじさいとねこ』
われは紫陽花である。
猫パンチ、それは激闘。
猫パンチ、それは破壊力。
猫パンチ、それは刹那の技。
ぬいぐるみ程度の重さしか持たぬわれにとって、彼奴らの一撃はあまりにも重く、鋭い。幸いながらこの鱗(としている生地)は、そんじょそこらのものでは傷つかぬ代物とはいえ、痛いものは痛いのである。
何故われは、この仮初の身体に痛覚を与えたもうことか。それは不便だからである。
痛みがなければ感覚はなく、感覚がなければ物も満足に持てぬ。生き物とは不便なり、しかして不便の中に妙もあり。
それはそれとして、日向ぼっこの最中であるわれにちょっかいを出すこの猫は、どこより現れたものか。やめよやめよと申しても、聞く耳持たぬ。
そのうち飽きるものと思っていたが、何故かわれを大層気に入ったらしく運動相手に御指名のようだ。勘弁してほしい。
そうしてしばらく後、ふと何者かの気配を感じれば、そこには霊妙なる栗毛のうまのこが一人。探したよーと猫を抱えて、頬擦りをしている。われはようやく解放されたようだ。
うまのこはわれに感謝を述べると立ち所に消えていった。何者かよくわからぬが、多分同類やもしれぬ。
そうしてわれは、あのふたつぼしのうまのこの家のベランダにて、また日向ぼっこを続けるのであった。
「いやどっから湧いてきたのよその猫。気になるじゃないの」
「われにだってわからぬことくらいある」
猫とは、得てしてそういうものなのかもしれぬ。
≫90二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 21:34:26
「……なんか、色々おっきいね?」
「そうでしょうか?……いや、色々という点が気になりますが」
そう、元々少し下の方を向かざるを得なかった同僚を見上げながら、魔性と呼ばれるそれはふわふわした感じで話す。
「あー、うん。おっきいって思っただけだよ?ほら、ねぇ?私って昔は獅ルドさんよりはだけど、結構あったし」
「今となっては、当時の身長でも尚届かないのでしょうけどね」
「そうそう!だから、やっぱり不思議な感覚だなー、って。ルドルフも、獅ルドさんも、私より背が高くなっちゃったし」
「……貴様も随分低くなりましたものね」
「……黒ルドちゃんとか、イクトレさんよりは変わってないもん。私なんて20センチも減ってないし」
少ししんみりしながらも、自分より他人のことを考えていく。その優しさは、ある意味エゴ?
「確かに、そうですね」
「まあでも。こう……やっぱり大きいっていいことだな、って思ったりはしたかな」
「その心は?」
「……さあねぇ?楽しんでるならいいと思うよ?私は関係ないけど」
「……さあ、どうでしょうね」
勘づき、そして見なかったことにしてくれる。それが誰のためかは兎も角。
下手をすれば自分にあったことすら蓋をしかねない、そんな彼だからこそ馴染めるのだろうし、馴染んでいるのだろう。
そう思い、小さくなった同僚を見ながらわたしはいつもの顔を続けていた。
≫128二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 05:40:46
ハグの日
「……むっ、日付が変わってしまいましたね」
此処は深夜となっても灯りが灯っているグラトレのトレーナー室。
普段なら家で眠っている頃なのだが今夜ばかりは少々仕事が嵩張っている様だ。
コンコン
「おや?」
そんなグラトレのトレーナー室に深夜だというのに控え目なノック音が響き渡る。
こんな時間に訪問者等有るものだろうか……
そう訝しみながら訪問者へ声を掛ける。
「……どちら様でしょうか~」
「あっ、セイトレです。転の方の」
返って来た答えはよく知った者の声。
……確かにセイトレさんならこの時間に起きていて資料の有る学園に居てもおかしくは無い。
……とはいえ、こんな時間の訪問に疑問が無い訳では無い。
一応警戒しながら訪問者のセイトレさんを迎える事とする。
「……どうぞ〜」
「すみませんこんな時間に」
「いえいえ〜……しかし、どうされたのでしょうか〜」
迎え入れたセイトレさんを見ても特に変な所は見受けられない。
……警戒のし過ぎだったかな?
そう思い直し訪問理由を聞く事にした。
129二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 05:41:02
「さっき8月9日になりましたよね?」
「ええ、そうですね〜」
「何でも語呂合わせでハグの日らしいのでハグをしてみようかと」
「なるほど〜……なるほど?」
という訳でセイトレさんに話を聞いた所。
日付が変わりハグの日になったのでハグをしに来たと言う。
……こんな時間に?
そんな疑問は晴れる気がしない。
「あっ、唐突でしたよねすみません」
「いえいえ、それよりどうしてまたその様な話になったのでしょうか~」
……取り敢えずどうしてその様な話になったのか聞いてみないと判断出来ないだろう。
そう思い聞いてみる事にした。
「……ハグの日らしいのでハグの効果に付いて調べていたのです……」
「ふむ……」
「その時、もしかしたらハグされながらなら眠れるかなあと思いまして」
「……それで私にですか〜」
「ええ、運良く起きている方を見付けれました」
セイトレさんから出た話は思っていたより重大な話。
ハグの……落ち着かせる効果だろうか?
その効果によってセイトレさんは夜眠れないのを克服出来ないか試そうと言うのだ。
「そういう事でしたら〜」
「良いんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ~」
……もしかしたらセイトレさんの助けになれるかもしれない。
そんな思いに飲まれ、先の疑問は消し飛んだ。
130二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 05:41:45
「……では此方に来てくださいな~」
ハグをしたままセイトレさんが眠れる様に畳の上に仮眠用の布団を敷き寝転がる。
そして腕を開きいつでもハグ出来る状態となった。
「それじゃあ失礼しまーす」
「は~い」
そして腕の中に入ったセイトレさんをハグする。
相変わらずセイトレさんは体温が低いのかひんやりとして……
…………ひんやりし過ぎじゃないか?
ハグをしたセイトレさんはまるで氷の様な冷たさで、触れている側から体温が奪われるかの様。
『捕まえた』
明らかにおかしい……
そう思った直後に腕の中から聞き覚えの無い声が聞こえた。
そしてその声に釣られる様に腕の中に居る筈のセイトレさんを見てみると……
『捕まえた捕まえた捕まえた』
「ひぃ!?」
黒いウマ娘を模った靄の様な物が腕の中に収まっており。
そして壊れたレコードの様に捕まえたと連呼する。
「………………ピィ」
『! ひひひひひひひひひ!』
そんな悪霊の存在にグラトレはとても耐えられず意識を飛ばしてしまい。
それを見た悪霊は嬉しそうにグラトレへと近付いて……
「破ァ!!」
『!? ギャァァッ!』
そして現れた何者かに祓われたのだった……
131二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 05:42:11
「ううっ……」
グラトレが目を覚ましたのは日が登り明るくなったトレーナー室だった。
「あっ、グラトレさん気が付きましたか?」
「うん……セイトレさん……セイトレさん!?」
「あ〜……そのセイトレは本物だぞ」
「……フクトレさん?」
目を覚ましたグラトレを迎えたのはセイトレさん。
嫌でも昨晩の記憶が蘇り思わず警戒してしまうが、それをフクトレさんに止められた。
……どうやらこのセイトレさんは本物らしい。
「……しかしどうして二人が……それに昨晩は確か……」
「僕もフクトレさんに聞いただけですけど、グラトレさんは昨晩悪いものに襲われたとか」
「そこを間一髪助けた……という訳だな」
「うっ、思い出しただけでも身震いが……フクトレさん助かりましたありがとうございます」
「セイトレにも言ってくれ、他にも祓う奴が居たから札を持たせて気絶してるお前さんを任せたんだ」
「……そんな事が……セイトレさんありがとうございます」
「いやいや気にしないでください」
二人がどうして此処に居るのか話を聞いてみた所。
どうやら昨晩悪霊に襲われ気絶した私を護っていてくれていた様だ。
……感謝してもしきれないとはこの事だろう。
132二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 05:42:47
「一段落付いたしこれで失礼する」
「あ、フクトレさんありがとうございました」
「んっ、暫く札は扉に貼ってろよ」
そして一段落付いたのを見届けたフクトレさんはそう言い残して部屋を後にした。
そんな仕事人なフクトレさんの後ろ姿を見ながらグラトレは
やっぱりフクキタルのTさんって凄いんだな
そう思った。
「それじゃあ僕も帰るよ」
「あっ、セイトレさんは待って貰えますでしょうか~」
「? どうかした?」
「いえいえ、頼み事が有りまして〜」
フクトレさんが帰った後、続いて帰ろうとしたセイトレさんを呼び止めさせて貰う。
……どうしてもセイトレさんでなければいけない事が有るのだ。
「……あの、グラトレさん?」
「ううっ、すみませんが昨晩の感触を忘れる為に暫くハグされててくださいな〜」
「……まあ、良いですよ……」
そうして呼び止められたセイトレは
昨晩の恐怖体験を忘れたいグラトレに暫くの間ハグされ続けたのでした。
うまぴょいうまぴょい
≫144二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 10:18:43
『つれづれ話~ぶらばん~』
「そう言えば、以前ほかの教導者の方に聞いたのですが、バンブーさんが手に持った竹刀で実体のないよくわからない化生を撃退した……というお話がありましたね」
「あったなーそれ。いやおかしいだろ眉唾もんだろって思ってたけど」
「実は、バンブーさんの竹刀には……護符が仕込まれています」
「……マジ?」
「まじな話にございます。私が何かあった時のためにと仕込んでいたものですが、フクトレさんから頂いたものでして。どこまで効果があるかはわからんが……という念押しは頂いていたものの、実際のところは非常に効果的だったようです」
「アイツがすげえのかフクが持ってきたやつがすげえのか……」
「まあその一撃で護符は破損してしまったようで、後日確認した時には見事にずたずたになっていました。交換は済んでいるので、また何かあったらバンブーさんや生徒を守ることにつながる……かもしれません。本当であれば、ああいう手合いは大人である私たちが何とかすべきもの。他生徒を守るという心意気は立派ですが、危険にさらされるのもまた彼女なのですから。帰ってきたときには少々お小言を言わせていただきました」
「んー、まあそりゃ必要だろうな。それに味を占めて危険に突っ込んでいくんなら本末転倒だ」
「そういった、英雄的行動に身を任せすぎる子ではない、ということは理解しております。ですが、やはり何かあってからでは遅いのですからね。専門的なことは、専門家に任せておくのが一番です」
「……それで、専門家として黒カフェやらフクトレやらを突っ込ませるのもなんか違うような気もしないでもないが」
「……まあ、彼らが率先して行っていることですので……」
「その時のトレーナーってアレだろ、まだ新人の子だろ?」
「ええ、そのようでした。『トレセン周辺ってあんなのがうろついているのですか?』と質問されたときには、どのように答えるべきか頭を悩ませましたね」
「実のところトレセンそのものにも結構うろついてる、というのは知るべきか知らないままでいるべきか……」
「……知れば縁られる、というものでもあります。不用意に知識を得ず、近づかないことも十分に防衛なのです」
「まあ俺たちそのものがオカルトの影響ばっちり受けてるってのは内緒だけどな」
「それは言わぬお約束、ということでしょうね」
≫159二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 20:27:01
『風邪をひいてしまいました。今日は練習をオペトレさんとオペラさんに委託しましたから、私抜きでお願いします』
朝、メールでそう届いていた。文面はいつも通りだが、風邪で今日1日会えないとなると何処かもの寂しい。
『ご飯とかは大丈夫ですか?体とかすごくしんどくありませんか?』
そうメールを送ると、すぐ返事が返ってくる。
『ご飯は炊けば大丈夫です。体も熱いですが、薬を飲んで今はベッドの中です』
『今日、授業が終わったらお見舞いにいきますね』
『ダメです。風邪をうつしては私はトレーナー失格です』
「…っ」
そう帰ってくる。正論だが、だからこそどこか突き放されたような気がして胸がちくりと痛んだ。
「……よしっ!」
どうやら今日の放課後の予定は決まったらしい。
少しでもお恩返しをすべく、必要なものを揃えるのだった。
〜〜〜⏰〜〜〜
時場所は変わって放課後、トレーナー寮の一角。
「トレーナーさーん?いらっしゃいますかー?」
大きな袋を持ち、マスクをつけたトップロードがピンポンを押す。しばらくしてインターホンの向こうからしゃがれた声が帰ってきた。
『…はい』
「あ、トレーナーさん!お見舞いに来ました!」
『…どうしてですか?あなたに風邪を移してしまったら、私はトレーナー失格です。世界一大事なあなたを、傷つけたくないですから…ここまで来てくれてとっても嬉しいですが…帰ってくれないでしょうか?』
「…嫌です」
悲しいような、でも決意がみなぎった声でそう返す。
「私だって、自分の大切なトレーナーさんが風邪をひいてるのに一人で帰るなんてできません!開けてくれるまでここにいます!」
『……外の郵便受けに合鍵が入ってますから。それで入ってください。あとマスクは忘れないでくださいね』
そう言って通話は切れた。
郵便受けの蓋を開けると、そこに一つ合鍵が入っていた。木と蛍石のようなキーホルダーもついている。
ガチャンと扉を開け、何故か早る胸を押さえて扉を開けた。
160二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 20:27:50
部屋の中は綺麗に整頓されていた。
木目を基調とした、暖色のLEDの灯る暖かいリビングに、カーテンの締め切られた大きなベランダへの窓。左手の壁には天井までの本棚に様々なレースや栄養学、トレーニング理論の本などが並ぶ。
ソファや机は遊びに来るトレーナーたちのためだろう。一人暮らしにしては大きい。
右手にはスライド式の扉があり、どうやらそこがトプトレの部屋らしかった。
コンコンコン。ノックをする。
「トレーナーさん?いますか?」
「…トップさん……マスクはしてくださいね」
「もちろん、きっちりつけてます」
「入りますね」と扉を開ける。
「……来ちゃったんですね……」
ベッドで毛布をかぶり、顔を赤くしてこちらに視線だけをよこすトプトレ。耳は力無くへにゃりと萎びれ、ナイトテーブルには花瓶に一輪、白いヒナギクがさしてある。
ベッドから起きあがろうとするトプトレを支えると、横に寝かして毛布をかける。
「ご飯、食べましたか?」
「……食欲がわかないんです」
「なら食べやすいようにお粥作りますね。苦手なものとかは?」
「みょうが…です」
なら大丈夫そうだとおでこに冷えピタを貼ってやって、キッチンに立つ。
「…よし!」
冷蔵庫を物色し、ネギを見つけて取り出す。卵を一つと、冷凍ご飯も見つけた。
特に苦戦もなくさっさと作り終え、皿によそって塩を軽くかける。
「出来ましたよ」
「ありがとうございます…いただきますね」
「トレーナーさんはゆっくりしててください!私が食べさせます!」
そう言ってスプーンに軽くよそうと、フーフーしてどうぞと差し出す。
絵面的には雛鳥の餌やりだ。
「うん…おいしい。とても美味しいです。毎日でも食べたいですね」
「……ッ……そうですか…」
その言葉に頬を赤くしつつも、フーフーしてはスプーンを口に運ぶ。
しばらくすると皿は空になり、トプトレも一息ついた。
161二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 20:28:24
マスクの下からニコリと笑いかけてくる彼にお粗末様でした、と返し、タオルを渡す。
「だいぶ汗が出てきましたね。着替え、持ってきましょうか?」
「ああ……そこの、下から二段目にはいってますから」
そう言ってモゾモゾと毛布の中でタオルを服の下に這わせ、汗を拭き取っていく。
その間にトップロードは衣装棚の引き出しを開け、下着と替えの少し厚手のTシャツにドルフィンパンツを取り出す。色やサイズは……曰く「あの…こう……すごく……えっと…わあ……はい!な、なんでもないです!!」
「トップさん……背中を…拭いてもらっていいでしょうか?」
モゾモゾと毛布の隙間から這い出し、おもむろにTシャツを脱ぐトプトレ。
「あ……は、はい!」
その光景を目に入れてしまい、一瞬石化するも持ち直すトップロード。
フロントホックタイプらしく後ろにホックはない。汗のにじむ、マシュマロみたいにシミひとつないもっちりな肌を優しく拭いていく。
「申し訳……ないですね。…教え子に…こんなことを頼んでしまって」
「い、いえ。大丈夫ですよ。私だって、普段はトレーナーさんに頼りっぱなしですから。これくらいのことなら、なんでもありませんよ」
それを聞いたトプトレは、マスクの下で少しだけ笑うと、正面を向いてトップロードを撫でた。
「トップさんは、本当に偉い子ですね。よしよし」
突然の撫でにびっくりするも、えへへと笑うトップロード。その光景はまるで暖かい春のよう。
「ただ、委員長だからと言って根を詰めすぎて壊れてはダメですよ?適度に息抜きしないといけませんからね。…今度、海にでも行きましょう」
「本当ですか?」
「ええ。ささやかで申し訳ないですが、ご褒美です」
撫で終わると、着替えをとってください、と頼まれたので意識を現実に引き戻し、4点セットを渡す。
しかし振り向いた時のそのTシャツの無くなったことによる双丘の露呈によって、トップロードの何かが悲鳴を上げた。
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part815【TSトレ】
≫7二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 07:38:55
「さてさて、カマライゴンさんは呼ばれた理由は分かりますでしょうか~」
「……タベラレチャウ-!? メカミタイニ! メカミタイニッ!!」
「ダメぇぇぇグラトレさん食べちゃダメぇぇぇ、ネイチャが悲しんじゃうぅぅぅ」
「……お二方は私を何だと思っているのでしょうか~」
「タベナイ? タベナイ?」
「食べませんし、調理も致しませんよ~」
「それなら何でカマライゴンを呼び出したの?」
「ふむ、ネイトレさんは今日が何の日かお知りでしょうか~」
「今日? えっと…………あっ、ライオンの日?」
「ええ、ええ、ですのでカマキリライオンドラゴンさんとお茶でもしようかと思いまして〜」
「ソウイウコトナラー」
「う〜ん、私も同席していても良いのかな?」
「ええ、ええ、構いませんよ~、人は多い方が良いですからね~」
「イッショタベヨー」
「えへへ、それじゃお言葉に甘えさせて貰いますね」
「さてさて、因みに今日はカッパエビセンとハーゲンダッツの日という事なのでそれぞれ用意しましたが〜、どちらを選びますでしょうか~」
「両方!」
「リョウホー」
「あらあら〜」
そんな感じで二人と一匹のお茶会が始まったそうな
うまぴょいうまぴょい
≫34二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 14:34:58
手でハートを作らないと出られない部屋
「……また、アホな事になりましたね~」
「トレーナーさん、例に拠って扉は開きません……」
「まあ、今回は条件が緩いですからね~」
「はい、直ぐに出られると思います」
「では早速……はい、ハートですよ~」ハートー
…………………………
「……開きませんね~」
「……どうしてでしょうか~?」
ピーン・ポーン・パーン・ポーン⤴
『ポーズと決め台詞もお願いします』
ピン・ポン・パン・ポーン⤵
「……だそうですよトレーナーさん」
「巫山戯てますね~……まあ、良いでしょう~」
「ではお願いしますトレーナーさん」
「感謝しますよ~、皆と出会えた今までのすべてに〜」ネテロー
…………………………
「……駄目みたいですね~」
「責任者さ〜ん、どうなっているのでしょうか~」
35二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 14:35:19
ピーン・ポーン・パーン・ポーン⤴
『萌え萌えキューン♡ くらいしてください』
ピン・ポン・パ…ガシャア!!
「……巫山戯てますね~、ええ巫山戯てますね~」
「……見事な槍投げですねトレーナーさん……」
「それ程でも〜……しかし、やらないといけないのでしょうか……」
「やらないと埒は開かないかと思います……」
「くっ……」
「トレーナーさん」
「も……萌え萌え……キューン♡……」
…………カシャン
「!……開きました! 開きましたよトレーナーさん!」
「……」
「トレーナーさん?」
「奴等をシバいて私は自決しましゅぅ……」
「可愛いらしかったので大丈夫ですよ♪」
「何も大丈夫じゃ……よく考えれば私ではなくグラスがやっても良かったのでは?」
「さあ、トレーナーさん早くトレーナー室へ戻りましょう」
「グラス?」
「せっかくなのでさっきのをもう一度しっかり見せてください」
「えっ?」
「一回も二回も一緒でしょう、もう一度見せてくださいね♪」
「えっ、ちょっ? イヤ……イヤァァァ……」ズルズル…
結局グラトレはもう一度とは言わずもう数回程同じ事をさせられ色々と有耶無耶にさせられたとさ
うまぴょいうまぴょい
≫132二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 09:44:36
『百物語の話~仮面を一つ添えて~』
「百物語っていつからの話なんでしょうねえ」
「江戸時代にはその考え方が存在していたようですよ、黒カフェさん」
「意外と新しい……のか?」
「まあ、雛祭りのようなお祭りとはまた違った風習ですからね。単に妖怪や幽霊の話だけでなく、不思議な体験といったものを上げてもよいというのは緩やかというか、寛大さのある風習だと感じます」
「ちなみにバントレさん、なにかそういったネタとかあったりします?」
「……私の実家には、黒い仮面がありまして。月が見えなくなったその日にのみ怪しく動く……というような趣のお話でも致しましょうか」
「やっぱ仮面ネタなのね」
「古来より呪物的な要素を持たされたものでもありますからね。ブラトレさんもあの電子遊具(げぇむ)のとある仮面にはそういった印象を持っているのでは?」
「あー、ムジュラの。あれも漫画だとそういった感じだったなあ」
「怖い仮面といえば……般若のお面とか結構怖いですよね」
「あれはホラー的に怖いっていうかなんというか……」
「どちらかというと火曜劇場的な怖さですね。あのお面、実のところ女性が嫉妬と恨みに狂った顔というものを表現したものですので。別の意味合いとしては、鬼女に変貌していく最中の顔というものもありますが」
「えっそんな感じだったのあれ」
「というか女性だったんですねあれ……」
「遡っていけば、仏教用語の智慧の意味を成しているので仮面との繋がりは薄いのですが」
「智慧って言葉とは程遠いなあの顔……」
「まあ理性をかなぐり捨ててる顔ですよね」
「恨み辛みというものはいつの時代も強い感情ではありますからね。言葉というものは、あてはめられた物体によっても意味を変えていくものなのでしょう」
「バントレのおかげでまた変な知見が深まってしまった。それはともかく、担当に限らずあんな般若みたいな顔は向けられたくねぇなぁ」
「まあそれはそうでしょうね……」
「包丁を翳しながらあのような顔をされたら……たまったものではありませんね」
「どんなホラーよりも怖いわ」
≫147二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 12:38:57
昔のジャージとグラトレ(独)
「さてさて、今日は日射しも強く程良く風も吹いている虫干し日和ですね〜」
夏真っ盛りのトレセン学園。
連日蒸し暑い日が続いていたが今日は風が吹いていて纏わり付く様な暑さは感じない。
そんな日なのでグラトレは衣服の虫干しを敢行するべくトレーナー室の衣類を引っ張り出していた。
「……おや? ……あらあら、こちらの袋は〜」
グラトレが見付けたのは棚の奥にしまっていた見覚えの有る布の袋。
忘れもしない、ウマ娘となる前に使っていたジャージを入れている袋だ。
今は変わってしまった容姿に合わせてジャージを新調した事も有り使って無かったが
どうやらウマ娘化のゴタゴタでしまい込んでそのままだったらしい。
「……ふむ」
そしてそんな物を見付けてしまったグラトレが
せっかくだから袖を通してみようかな?
と、考えるのは自然な流れだったのだろう。
片付けというものはそうやって遅々として進まないものなのだから……
「おやおや、これはこれは〜」
取り敢えず上から着てみるかと着ていた浴衣を脱ぎ去り上着に腕を通してみる。
だがなんと袖から手が出ないではないか。
それに裾の方も太ももの辺りまで覆っており一目見て大き過ぎると分かる様な状態だ。
「……思えばかなり小さくなってしまいましたからね~」
元の身長と比べれば20cmの差、ならばこの彼シャツ状態もやむ無しと言った所か。
……我ながらよく対応出来たなとは思う、もしこれでタイトレの様に胸に重しが付いたら大変だった。
あの、苦労を微塵も見せない太陽の様なトレーナーも最初は大変だったのだろうか……
そんな事に思いを馳せているとコンコンと控え目なノック音が扉の方から聴こえて来た。
148二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 12:39:22
「トレーナーさん、居られますか~?」
「おや……まあ、グラスなら良いでしょう〜……は〜い、居ますよ~」
来訪者の声は聴き馴染んだ担当ウマ娘のもの。
……まだズボンは履いて無かったが大き過ぎる上着で下着は隠れている。
はしたないと言われるかもしれないがグラスが相手なら問題は無いだろう。
「失礼しますトレーナー……さん? ……そ、その格好はどうされたのでしょうか〜」
「これは〜、衣服の虫干しをしようとしたら昔のジャージが出てきまして〜」
「そうだったのですね……ですが、その……ズボンの方は〜……」
「ふふっ、凄いですよね~、上着だけですっぽりと身体が入っちゃいましたよ~」
そう言ってクルッと一回転してみせるグラトレ。
……グラスの何かが高まっている事にはまだ気付いていない。
そしてそんな無防備なグラトレによる更なる追撃がグラスを襲う。
「っ! ……ト、トレーナーさん! し、下着が!」
「下着? あら……あらあら〜」
クルッと一回転する程に気分を高揚させていたグラトレ。
そんなグラトレに合わせるかの如く尻尾もフリフリと揺れ動く。
……しかしグラトレが現在身に付けているのはジャージの上のみ。
尻尾穴も無いのに尻尾を大きく動かした為ジャージの裾は持ち上がってしまい。
その結果、かろうじて隠せていた下着は外気に晒された状態となってしまっていた。
「あらあら、これははしたない物を見せてしまいましたね~」
とはいえ根が男なグラトレはあまり気にはしてない様子。
しかし、さほど気にしてない当人は兎も角間近で見せられた者はそれどころではなく……
「…………据え膳食わぬは……というものですね」
「……グラス?」
其処には何やら覚悟が決まった愛バが此方を見据えていた。
149二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 12:39:47
「無防備なトレーナーさんに今の格好の危険さを教えないといけませんね~」
「……あの、グラス? 目が恐……」
少しずつ距離を詰め寄るグラスに何かを察したグラトレ。
「ふむ……虫干しは別の日ですかねぇ……」
何故火が着いたかは分からないが、愛バの願いならばと受け入れる事にしたのだった。
……後日、グラスに同じ様にジャージの上着を着て貰いグラスが掛かった理由をグラトレは理解した。
そしてグラトレ自身も掛かった模様。
うまぴょいうまぴょい
≫181二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 20:02:37
カキカキ......
「サトトレ様、頼まれていた資料を見つけましたわ。報告書と一緒にそちらにお送りいたしますの」
「助かるよロレトレ。……これは承認……これも承認と、……あれロレトレこのページのこの部分抜け落ちてないかい?」
「あら本当ですの。わたくしとしたことが申し訳ないですわ……」
「いいってことだよ、それよりもこの紙束の山を片付けるほうが先決」
「そうですわね、張り切っていきませんとなりませんわね」
――真面目な話をしているがこの二人、担当の膝の上でナデナデされながら仕事をしているのである
以上サトトレお借りいたしましたエミュが間違っていたら義によってハラを切ります