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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart561~565)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part561【TSトレ】
≫7二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 08:40:42
───とある昼、屋台にて
「…トレーナー」
「…よし」
エプロンをつけた二人、ファインとファイトレはラーメンを作っていた。その屋台の前には既に行列が。
「醤油ラーメン一つください!」
入れ替わり入ってきた娘から注文が飛ぶ、すぐさまメモしてするファイトレと、
「はーい♪」
可愛い声で承るファイン、でも右手に持った湯切りは動かしたまま、まるでベテランの店主のように麺の湯切りをする。
「…」
一方で、静かに具材を切り続けるファイトレは手慣れた手つきで、ファインの盛り付ける手が止まらないように用意する。
会計と注文履歴も管理するその姿は店主を支える女房のよう。彼女はとことんファインのサポートに徹していた。
「醤油ラーメン一丁!」
ノリノリでラーメンを渡すファイン、受け取った娘は目を輝かせて食べ始めた。
「大繁盛だね、トレーナー」
「ああ、中々忙しいが楽しいな」
「…って、やっぱりだな…俺も醤油ラーメン一つ」
…そんな中でかかる聞き覚えのある声、ファイトレは手を休めずに口を開くと問いかけた。
「ダストレか、匂いにでも釣られたかい?」
「美味しそうだったからつい…」
「ふ、構わないさ。ここに食べにきた以上お客様だからな。」
阿吽の呼吸というか、素晴らしい連携をしている二人をみながらダストレは考えた。
(ファイトレさんとファインちゃんのコンビ凄いなぁ…。…というか、これうっかりまずいことしたら俺消されないよね?)
一市民というか小動物みたく萎縮しつつも、手際良く作られるラーメンに心を踊らせるダストレ。
「どうぞ!」
「ありがとうファインちゃん。…いただきます」
ダストレは手元にすぐさま届けられたラーメンを運悪く綺麗に割れなかった割り箸でいただく、熱いくらいなスープが良い。
「…美味しい」
細めの麺と、こだわって作っているであろうスープが美味しい。具材も普通とは違う味がした。
そんなダストレをファイトレとファインは見た後、二人はいつの間に長くなってきた行列に、顔を見合わせて笑ったのだった。
───ラストオーダーまで客が途切れることはなかったそうな。
≫123二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 14:07:53
「…トレーナー、どうかな?」
「…ん、ありがとうねファイン」
ヘアブラシを片手にファイトレの尻尾を整えているのはニコニコとしたファイン─手元のウマホには尻尾のヘアスタイルが映っていた。
「えへへ、こうやって自分で尻尾を整えるのは楽しいな♪」
「…なら良かったよ。私もこのヘアスタイルは良いと思うかな」
毛を整えるのを楽しむファインと、笑みを浮かべながら感想をもらすファイトレ。ファインは彼女の髪の毛に触れながら
「後は髪の毛だけど…トレーナーは凄くくせっ毛なんだよね、尻尾はすぐに整うのに…」
「この体になってからも変わらない以上、ヘアスタイルは諦めてるからね。…出来ればよかったのだけど」
髪に触れながらファイトレは呟く、そんな跳ねた髪型でありながらもむしろ魅力的に見えるのはやはり美人の特権だろう。
…一方でファインは、落ち込んでるようにも見えなくはないファイトレに、何かしてあげられないかと考えて…
「…あ!トレーナー、耳かきしてあげる!」
「…良いのかい?」
「私がしてあげたいだけだよ」
「なら、お願いするねファイン」
…ファインに膝枕をしてもらいながら、ファイトレはファインの顔を見つめる。
耳かきを片手に、にこやかな顔でその手を動かすファインのその瞳に、キラキラとした輝きを見るファイトレ。
(…その眼だよファイン。私が貴方に惹かれて、ずっと忘れられないほどに綺麗な眼。)
───綺麗なんて言葉が陳腐に聞こえるほどに、輝くその眼に魅入られていたファイトレは
「ふふ…」
「…?」
「ああ、気にしないでファイン。少し思い出して笑っただけだよ。」
それを伝えた彼女は、ファインの顔を指でなぞるように触れた後そっと手をおろして目を閉じた。
耳からはくすぐったい感覚が人であった頃より強く伝わる。ファイトレは思わず体を動かしそうになるのを鋼の意志で抑えた。
…目を閉じているファイトレに、ファインは上品にキスをする。ファイトレの口元が緩んだ気がした。
───どんな宝石よりも美しいその眼を思いながら、ファイトレはファインからの温かい感触に溺れるのだった。
≫129二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 15:26:58
◎RFA For ?
「───家庭用ゲーム機『うぃーゆー』。ゆーがウマ娘の頭文字から来ているのは……マルトレ、知っていますね?」
「あ〜〜知ってま〜〜〜〜…………す!!」
「ウソです。みんな(ウィー)のゲーム機であり、かつあなた(ユー)のためのゲーム機という思いが由来とされてます」
「引っかけだったかーーっ!」
「普通に知らなかった……でもウラトレ先生。ここに集められたのはいったい?」
「いい質問ですねダストレ」
「池●彰みたいな事言ってる!」
「なんと、某●天堂さんから発売予定のゲーム。その第三次先行モニター(オープン)に選ばれましたー」
「すごい!よく分かんないけど!」パチパチパチ
「某付けながらしっかり言ってる!でもすごい!」パチパチパチ
「ちなみに一次と二次にも参加させてもらっていました。一次はクローズでしたが」
「一気に癒着の予感が」
「癒着だなんてそんな……。本来あった抽選を好意により素通りさせてもらっただけです」
「VIP顔パスですか……」
「いくら賄賂渡したんです?」
「秘密です」
「否定してくださいよ!?」
「ふふ、オープンモニターといえあまり口外してはダメですからね?……ちなみにゲームはこちらです」
「めちゃくちゃ見たことのあるリングが」
「……もしかして、フォー・ユーですか?」
「察しがよくて嬉しいです。はい、ついにウマ娘の膂力に対応したRFAが登場する見通しです!」
「すごいや任●堂!!」
「株買うよ任天●!!」
「……ちなみにお値段はこのぐらい」
「もっとがんばれ任●堂!!!」
「株売っちゃうぞ任天●!!!」
130二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 15:27:11
「……ウマ娘の力はヒトに比べはるかに強大です。今後さらなる技術革新が求められそうですね」
「これで売り込むのは強気すぎでは? ……ダストレ買える?」
「いや無理くさい……」
「もとよりウマ娘の家庭自体、ヒトのそれより多くありません。想定ターゲットは現状ウマ娘の各家庭ではなく、トレーニングジムやトレセン本体ではないかと」
「まさかの企業向け。……でもこういうゲームなら楽しんでトレーニングする子も多そうですね。トレーニングしながらやる気が上向くみたいな。マルゼンスキーも気にいるかな?」
「だからウラトレ先生が窓口なのかな……ちょっとメニューは汎用的になりがち?あ、集中強化プラン用意されてる!?なんかかしこいぞこいつ!?……うん。いけるかも」
「……やってみたい、もしくは担当にやらせてみたい人ー?」
「「ハーイ!!」」
「ありがとうございます。……ではこの通り、使用感のレポートを提出してくださいね?」
「「ギャーーー!?」」
「後出しはずるい……」
「そうはいってもモニターなんですから。それに、『やっぱやーめた』でも別によかったんですよ?」
「……だから二人まとめて持ちかけたんですか?抜け駆けさせづらくするために」
「…………バレてしまっては仕方ないですね」メソラシー
「さては天然でやったか?」
「天然でやってる方がこわいんだけど?」
「なんのことでしょう……」
「……あ、でも先生。自分だけやらないとかフェアじゃないと思いませんか?」
「お、たしかに!」
「わたしは三次分含めてウララと散々やったからいいんです」
「「……ですよねー」」
「……死にそうなほどやったのでもういいんです」
「め、目が死んでる……」
「ウララに付き合ってやればそうなるか……」
(終)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part562【TSトレ】
≫27※トンチキ時空限定21/12/15(水) 18:34:57
タイキトレ
「まずは自分の右上の方にある……そうそうこれこれ。『存在の彩度』『存在の明度』をメモってから、まずは彩度の方を限りなく0にしてきまーす。初っ端だけど、0にしないのが最重要ポイントね?」
「次に『存在の明度』を0にします」
カチャン
「最後に『存在の彩度』を元に戻します……ね?簡単でしょ?っておおう。タイキ泣かない泣かない」
≫42二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 18:56:22
『やっぱ邪魔なのですよ』
「はあ、手錠を手当たり次第に架けて行く怪異。そのように変な存在が……トレセンとはよくわかりませんねえ」
「まあ百万歩譲ってそういう存在は良いにしても俺に架けてくるんじゃねえよっていう。あいつの想定してたのキャッキャウフフ的なもんらしいけど完全に人選ミスだわ」
「ですが手錠……うーん、日常生活に支障をきたす光景しか思い浮かびませんね」
「まず基本的に担当は学校生活するわけだろ?で、こっちはこっちで別の業務するわけだろ?まずもうこの時点でダメ」
「休日ならまだしも平日の時にやられては……」
「俺が授業受けながら仕事できるかって言われりゃまあしないわけにはいかないんだけど、あっちが行動しづら過ぎてたぶんイライラが大変なことになる」
「あぁ……」
「次に昼ご飯、割と食堂で食べるけど身長違う人同士で片側の手が縛られた状態のままトレー持つのは死ぬほどきついと思うよあれ」
「あー、そちらも問題ありますね……」
「しかも座ったところで俺とブライアンは両方とも利き腕が同じ、つまりどっちかは聞き手が縛られてるわけだ。イライラ度マックスどころじゃないな」
「その光景を想像すれば今すぐにでもブライアンさんはぶち壊しにかかりそうですね」
「そしてこれらすべての問題をさらに超えるのがトレーニング」
「……できませんね」
「おまけにチームメンバーもいるからな、俺がまともにトレーニングに関われないということはチーム全員の不利益なわけだ……だから、さっさと捻り倒した」
「倒せたんですか」
「わからん、なんか物理干渉が効くタイプだったからゴルシのとこの二人と一緒に叩きのめした」
「まあ不利益が出る前でよかったですねえ」
「本当それよ」
指導員と生徒という立場以外にも問題山積みであった。
うまぴょいうまぴょい。
≫43二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 18:56:33
「……両手が塞がっとるんじゃが???」
「い、一応私は左手、ヘリオスは右手が空いてますけど……」
「一日こんままってマ!? つか道せまくね!? じじピぃつめてつめて〜!」
「これこれ、よさぬかヘリオス。お弟子が潰れかけておる」
「あ、圧を感じます……これは加圧トレーニングになるのではっ!?」ぎゅむぎゅむ
「いかん酸素が足りなくなっておる!」
≫49二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 19:07:30
グラトレ(独)
「外れそうに無いですね~」
「鎖もあまり長くないですしね」
「仕方有りませんね……グラス」
「はい、なんでしょうトレーナーさん」
「今日はマーク戦法のトレーニングと致しましょう」
「……わかりました、具体的には?」
「このまま共に走りグラスは私の走りに合わせて頂けますでしょうか、時には速度や歩調を変えグラスを翻弄致しますのでその都度グラスも私に合わせて貰いましょう」
「ええ、わかりました」
「狙った相手の呼吸を読む……その力を強めましょうか〜」
「はい、頑張ります!」
≫50二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 19:07:39
平和な世界線
「だ、大丈夫だテイオー…こっちの手で食え…あっ」
「そう言ってスプーン何回落としてるのさー!ボクは気にしないし、それに…」
「それに?」
「トレーナーともっと仲良くなれそうでしょ?…駄目かな」
「…そっか、そうだよな。ありがと…テイオー」
ギャグ世界線
「ああああくっそアホ女神共!外れねぇんだけど!今日のトレーニングが!予定が!」
「トレーナー…もう諦めようよー…無理だよー」
「そんなわけには…あっファイトレ!おめでとう!」
「…??えっと、ありがとう?」
「悪いんだけどさ!アイア○マンみたいに指からレーザー出してこの手錠焼き切って!俺の方!」
「落ち着いてほしい。私の義手は確かに色んな機能があるけど流石に映画のように鉄を焼き切る程の炎は出ないし仮に出たとしても危険すぎてそんな事はできないよ」
「くっ…至極真っ当で常識的に嗜められた…!あっウオ202トレぇ!」
「うわっ…目ぇつけられたっす…」
「過去最悪な態度だぞオマエ!お前のパワーでこの鎖引きちぎるか手錠ひしゃ曲げて!俺の方!」
「未来最高、未来最高…じゃなくてテイトレ?もしかしなくても俺の事花○薫かシコル○キーだと思ってないっすか?」
≫51二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 19:10:18
「料理しようにも危ないし……出前を頼んでのんびりしてようか」
「そうね、じゃあトレーナーちゃんに膝枕してもらおうかな〜」
「手錠つけてると腕が辛くない?」
「それは承知のスケ!色々体勢変えて試してみましょう! 暇だもの!」
最終的にうつ伏せが手錠した手は互いに楽と判明したが息と姿勢が苦しかったので普通にベッドで仲良く寝転がってタブレットで動画見たりした
≫52いちゃつくの書いてて楽しい21/12/15(水) 19:11:59
「なんかいつの間にかついてたね、コレ。なんか今日一日は外れませんって書いてあるし」
「うん。……ウマ娘になってから不思議なことばかり起きるね、トレーナーさん」
「まあ、それは今更だけど……。で、どうする?今日休みだし、一日フジと一緒なのは問題ないけどさ、どうにか外す方法探す?トイレとかは問題なさそうなくらいには伸びるけども」
「……このままでいいかな」
「その場合今日外出れないと思うよ」
「たまには一日ゆっくり家に居るのも中々素敵だ。それに」
「それに?」
「赤い糸みたいだと思わないかい?」
「随分鉄臭くて重い赤い糸だね」
「そういうのは嫌いかな、お姫様?」
「大好きですよ、王子様」
≫62黒の手錠21/12/15(水) 19:39:16
「……手錠ですね」
「えぇ、手錠ですね。何なんでしょうコレ」
「……トレーナーさんはそそっかしいので寧ろ良いかも……しれませんね」
「これでも僕、カフェのために頑張ってるんですけどねぇ」
「……ふふっ、知ってますよ。じゃあ……手でも繋ぎますか?」
「手?」
「トレーナーさんさえ良ければ……ですが……」
「…良いですよ。あなたの言うことですから」
「……嬉しいです。じゃあ……」
「……トレーナーさんの手、温かいです」
「ありがとうございます。カフェの手もとても温かいですね」
「……あの、トレーナーさん。もう少しこのままでも……良いですか?」
「えぇ、あなたが望むならいつまでも。このままで良いですよ」
≫64二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:02:47
「…なんで手錠が…」
「…ふふ、今日は離れられませんね、トレーナーさん♪」
「…ダイヤ、ちょっと…」
「じゃあ今日はずっとお世話してあげますね♪」
「ダ、ダイヤ…せめて…」
「まずは朝食からですね!」
「…ほっ」
「あ、折角ですし朝風呂とかも一緒にですよ♪」
「…程々にしてねダイヤ…」
≫65二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:05:36
「なんてことだ! ライアンと手錠で繋がれてしまったぞ!」
「ど、どどどうしましょうトレーナーさん!? もしかして、トレーナーさんとお風呂とか、と、トイレも……!?」
「今は女性同士である以上、道徳的には問題ないが情緒としては些か問題があるね!」
「い、いつものマッスルインテリジェンスでなんとかなりませんか?」
「うん、ならない!」
「そんな冷や汗かきながら笑顔で言わなくても!」
「手錠は拳が引っかかるから外れない。人間の拳が手首より細くならないのは親指の関節が原因だ。なのでこの関節を外せば外れる可能性もあるが、それは母指CM関節症という親指の形を歪める怪我になってしまうんだ! これはボディビルディングにもレースにも、非常によろしくない!」
「ちなみに手錠の破壊も靱帯を傷める可能性があるのでお勧めしかねるね! ま、まぁ……その」
「……じ、女性の内尿道括約筋は制御が難しいが。今、自分は意識的に横隔膜を動かして内臓が下がらないようにしているからね。あと四時……一時……十分くらいは……」
「わああ恥どころじゃなかった! 行きましょうトイレ!」
「い、いやそのっ。自分の粗相を見られるのは流石に恥ずかしいんだが……っ」
「我慢してたらもっと恥ずかしいことになっちゃうじゃないですかぁ! ほら早く、行きましょう!」
この後なんとか間に合った
珍しく目をそらしてハーフパンツを履くリャイトレにライアンの性癖がちょっと破壊された
うまぴょいうまぴょい
≫76二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:18:24
『ゲーミングぶらまる~ユーロを駆けるトラック野郎編~』
「はい、では今日はバーミンガムからマンチェスターまでこのフォークリフトを輸送してもらいます」
「待ってくれ、キーボードだとどれがどこかわかんない」
「安心しろ、俺も遊んでるとき割と適当だから」
「それでいいのか!?っていうかマジで唐突にこのゲーム選んだね」
「なんかね、遊ばせてみたくなった」
「えぇ……まあ遊ぶけどさあ。っていうかこのあたりの土地勘なんて存在するわけがないぞ」
「安心しろ、カーナビはきっちりついてるしだいたいでなんとかなる」
「さっきから大体しか言ってねえなこのアホ!一応シミュレーターなんだよな?」
「まあトラックシミュレーターだな。適当に走りながら景色を楽しんだりすることもできる」
「なるほどなぁ」
「そして一つ言っておくことがある……この世界の人間はオリハルコンかなんかでできてる」
「どういうことだよ……」
「簡単に言うと乗用車がトラックに爆速で追突されても特に何か起きるわけではない」
「いや起きられても困るっていうかマジで頑丈だな!?」
「さあさ出発進行ー」
「まってーイグニッションキーすらキーボードのどの位置かわかんないんだけど!」
~~~~~~~
「あー、意外と快適だな」
「キーボードとマウス操作でも案外行けるだろ?」
「こういうのはハンドルコントローラーが一番やりやすそうだけどねえ」
「さすがに持ってないからしゃーない。暇つぶしのゲームだし」
「あ、ラジオ機能もあるのか、凝ってるな」
「現実のラジオも聞けるけど自分が持ってる音楽も入れられるから好きなやつ聞けるぞ。試しにならしてみなさい」
「えーっとどれだ……ああこれか。ぽちっとな」
ウーーーーーーウマダッチ!
「いやこれかよ!」
「いいだろ……伝説だぜ……?」
「しかもご丁寧にブライアンがセンターの時の音源じゃねえか……俺もマルゼンさんのやつ音源化しとくか」
78二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:18:46
「あー、そこから降りるぞ。……おいちょっとマルトレ、スピード落とせ」
「え?あ、しまった結構早いなこれ」
「ぎゅっと落とせぎゅっと!あっちょっとこける!」
「ちょっとコケそうどころではない!あああああああああ!」ドガーン
「……なんてことだ、もう助からないぞ!」
「えっこれどうするの、完全に横転しちゃってるけど」
「サービスを呼べば復帰できるが……当然走り直し!」
「うわああああああ!」
キミノアイバガ!
「トラック横転ずきゅんどきゅんで心臓バックバクですね」
「こんな運転初めてーってやかましい!」
~~~~15分後~~~~~
「やっと目的地に到着した……チクショウなんで交通事故が発生してたんだよ……」
「まあそういうこともあるわなー。完全に見逃してコーンに乗り上げちゃって、引くも押すもできなくなりかけたときは顔がやばかったな」
「放送事故まっしぐらだわ。……まってこれ指定位置で荷下ろしやらなくてもいいの?」
「ああ、到着時点で仕事切り上げでもいい」
「……いやせっかくだし指定位置の荷下ろしやってみるか……」
「そうか……まあがんばれ」
~~10分後~~
「うごー!調整が難しい!」
「まあ、そうなるな……とりあえずそこの数字キー押してみな」
「ん?これ?……上からの視点出来たの!?」
「はっはっは、ゲームだからな!これをやれるトラックの運転手はマジですごいと思うんだよ」
「感謝しきりだわ……」
79二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:19:17
「仕事しゅーりょー」
「おつかれさまー。どうだった?」
「まあドライブゲームとまではいかんけど気楽なほうだね」
「ペナルティかなり緩いからな……衝突事故?ああ罰金払ってくれればいいよ!くらいだし」
「ゲームだからな……こんな危険運転リアルじゃできねえわ」
「でも〇〇〇〇さんけっこう峠攻め……おっとこれ放送中だったな」
「後で編集入れとくか……」
「完全に余談だけどペナルティガン無視のオプションも設定できるし、バカみたいな速度出せるトラックも存在するのでスピードの向こう側へ行きたい方はどうぞ」
「トラックでやることじゃないなマジで」
「というわけで今回の動画は以上だぜー。次回は……アレちゃんと編集しないとな……」
「そういえばなんで塩漬けになってんの」
「マルトレのリアクションがおいしすぎてどこ切り取ればいいかわかんねえの」
「えぇ……」
≫83二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:40:45
◆一日手錠怪異
「慣れたもんだよこのぐらい」
「そうだね。しかも一日とはっきり期限が分かっているの、地味に助かる」
「終わりが見えてないのって不安だもんね……
というわけでネイチャさん的には割と前向きです、この状況」
「うん私も。差し当たっての問題は……」←繋がれた右手
「そうだね……」←繋がれた右手
……普通どっちかは左手じゃない?
「利き手が封じられたんですけど……」
「私もだよ……しかもこれ、なんか歩きづらい!」
「……トレーナーさん。しばらく二人羽織スタイルで乗り切りませんか?」
「……はい。抱きしめていいですか」
「その言葉を聞きたかった。……はあ、すぐ後ろにトレーナーさんがいるっていうのもそろそろ定位置って感じがしますわー」
「……私も。腕の中にネイチャがいるっていうのが、落ち着く」
…………。
「……今日は色々とお休みにしません?」
「ダメ。今日はビデオ学習の予定でしょ」
「お休みにしません??」
「ダメ。ドーベル待ってるから」
「本当にお休みにしません!?」
「恥ずかしいのもすっごく分かってるから!行くよ!」
そうして視聴覚室にやってきたドーベルに「何やってるの……?」と刺すような目で見られたとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫92二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 21:00:40
フウトレとDK4
「ということでわたしの時代よ!!」
「ヨカッタネー。」
「ほら言ったろ、絶対テンション高めで来るって。」
「くっ、わたくしとしたことが見誤りましたわ……!」
「ブラトレの一人勝ちか……確か賭けは買い出しの荷物持ちだったよな?」
「おう。よしこれで大量に買い込めるな。」
「……反応、薄くない????驚くとこ色々あるだろ、身長とか身長とか身長とか。」
「それだと身長1つだけじゃねえか。どんだけ嬉しかったんだよ。」
「まあ真面目な話、めちゃくちゃ大きくなったっていうのは事前にマクトレから聞いてたし……」
「え、俺話した覚えないんだが。」
「アイネスさんからマックイーンに、マックイーンから私に、という経緯ですわ。」
「あと直近でイナリトレのお二人がウマ娘化でほぼ同じ身長になってるしなー。181と183。」
「1cmプラスするかマイナスするかの違いしかねえ!?そんな事ある!?」
「まあ運が悪かったってことで……いや別に悪くはないか、念願叶ってるんだし。」
「ところでその口調はなんですの?わたくしパターンかと思いきや、そうでもなさそうですけれど。」
「フッ、よくぞ聞いてくれたわね……あ、先に言っとくと侵食とかそういうのではないから安心してね。
これはズバリ、姉口調よ。」
「もうこの時点で聞き流したくなってきたんだが?」
「まあ真面目な話が飛び出てくるかもしんないし……ミリくらいは。」
93二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 21:01:14
「コホンコホン!
ほら、わたし今この身長でしょう?顔もいい感じに凛々しさのある美女って感じになったでしょう?これに姉口調を合わせれば……頼れるみんなのお姉さんの完成ってわけ!!」
「バカだな。」
「バカだね。」
「はーい解散ー。」
「100歩譲って口調がすぐ戻るのどうにかしてから名乗ってくださいまし。」
「お前らぁ……いや。好きなだけ言いなさい、全部受け止めてあげる。だってわたし、みんなのお姉さんですから!!!!(どやあああああ)」
「ウワーッ!!効くどころかこれでもかと言うくらいのドヤ顔返してきやがった!!」
「今まで散々からかわれた恨みも若干こもってるでしょこれ!!目がそんな感じしてる!!」
「こうなったら甘やかして撃沈させるか……マクトレ、やれるか?」
「もちろんですわ。連携していきますわよ!!」
「へぇー……前ならともかく、20cm以上差がある今のわたしを甘やかすと……?やれるもんならやってみなさい!!」
「なんとでもなるはずですわ!!」
この後二人で油断させたところにブラトレがマシュマロ(テイトレの)をあーんになる形で放り込み、無事フウトレは撃沈した。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part563【TSトレ】
≫24二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 23:28:22
午前の座学の終わりを告げる鐘が鳴り、一気に喧騒が戻ってくる。
昼飯を食べ終わり、花壇の花の水やりに来たエアグルーヴは、見慣れない影を見つけた。
芦毛に小さな体躯。目立つハチマキとメンコ。タマモクロス先輩だった。
この前のトレーナーの一件以来、すっかり沈んでいる。何かしようにも、するするとかわされっぱなしだった。
「あの…せんぱ…」
声をかけようとしたが、思わずそれを躊躇ってしまった。
彼女に似つかない、すすり泣く声が聞こえたのだ。
「…ッ…あ、エアグルーヴ…すまんな。こんな頼りないん見して」
「…いえ…」
こちらに気がついた彼女は、廊下ですれ違った時より遥かに弱々しかった。
目元は赤く腫れ、髪はくしゃくしゃになっていた。
「あの…先輩…」
「んああ、言わんでええんや。ウチの事やろ?」
どこか他人事のように、そういった。
「いやな、トレーナーになんかできんかって考えとったんや」
「そう…ですか…」
これ以上聞くのは彼女を傷付けるかもしれない。でも、言わなければならない。どこかそんな気がした。
「…なら…なんでそんなに目を腫らしているんですか?」
「………」
沈黙が場を支配する。
「先輩…」
「いーや。ウチなら大丈夫や。心配いらんいらん」
そう笑う彼女は、とても痛々しい笑みだった。苦しそうに、でも何とか隠そうとする笑み。
25二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 23:29:27
声をかけようとしたが、思わずそれを躊躇ってしまった。
彼女に似つかない、すすり泣く声が聞こえたのだ。
「…ッ…あ、エアグルーヴ…すまんな。こんな頼りないん見して」
「…いえ…」
こちらに気がついた彼女は、廊下ですれ違った時より遥かに弱々しかった。
目元は赤く腫れ、髪はくしゃくしゃになっていた。
「あの…先輩…」
「んああ、言わんでええんや。ウチの事やろ?」
どこか他人事のように、そういった。
「いやな、トレーナーになんかできんかって考えとったんや」
「そう…ですか…」
これ以上聞くのは彼女を傷付けるかもしれない。でも、言わなければならない。どこかそんな気がした。
「…なら…なんでそんなに目を腫らしているんですか?」
「………」
沈黙が場を支配する。
「先輩…」
「いーや。ウチなら大丈夫や。心配いらんいらん」
そう笑う彼女は、とても痛々しい笑みだった。苦しそうに、でも何とか隠そうとする笑み。
気がつけば、彼女を抱きしめていた。25cmの差があるとはいえ、あまりにも小さく感じた。
「なんやなんや…そんな急に」
「心配いらないなら…どうしてそこまで傷を隠そうとするんですか…1人で背負い込んでしまうんですか…」
「でもな、これはウチの問題で…」
「違います…そんなの違います…!このままだと潰れてしまいます…そうなっては…もうどうしようも…」
「なら……なら、どうすればええんや?ウチはわからん…わからんのや…」
「なら、私たちに頼ってください」
腕の中で、ピクリと体が跳ねる。
「その荷物を、負担を、少しだけでも分けてください。先輩ひとりでは潰れる重さも、分け合えば大丈夫です。ですから…」
また、静けさが満ちる。
26二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 23:29:50
「…んか…?」
「…どうされました?」
「ほんまに…ええんか…?」
「ええ、勿論です。私だけじゃありません。ブライアンも、会長も、他にもきっといるはずです。ですから…」
そこで1度言葉を切り、少し溜めてから伝える。
「もっと、貴方の、先輩の仲間を頼ってください」
息を飲む気配。そして
「……なら………今…頼って…ええか…?」
「ええ、勿論です」
「……あんがとな…ちいと…かりるわ………」
そう言うと、彼女はエアグルーヴの腕の中で泣き始めた。次第に、おずおずと、背中に手を回してくる。
「ウチ…なんとかしようとして…でも…できんで…」
「………」
今は、言葉はいらない。彼女を優しく抱きしめ、頭を撫でる。涙と一緒に、苦しさも、しんどさも、全部を吐き出す。
そこに居たのは先輩と後輩ではなく、まるで姉の胸の中で泣きじゃくる妹と、それを優しく包む姉のようだった。
≫33二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 23:52:20
Epilogue
「ねえ、オグリ。そろそろ離してくれない…?」
「いやだ。離さない。トレーナーのことは信じていた。でも、もしかすると、もう会えないのかもしれないんじゃないかって、そうどこかで思っていたのも本当なんだ。だから、しばらくはこのまま離さない」
レースの後、私は一連の経緯を皆に話した。レターとグリームは訳が分からない、といった様子だったが、彼はもっと混乱がひどかったようで、
『すまん、一度冷静になる時間をくれ』
と言って帰っていってしまった。あとでしっかりとした謝罪とお礼をしなくてはいけない。
そして学園に戻ってきて私とオグリの二人きりになるや否や、オグリにこうして抱きしめられて放してもらえない時間が続いている。
「気づけば、オグリとはもう、こっちの姿と一緒にいる時間の方が長くなっちゃったね。…私も、ずっとこのまま、誰からも忘れられて、普通のウマ娘として生きていくのかと思った」
実際、その覚悟はあった。私自身、いずれは崩壊するとどこかで分かっていた。今日、オグリが手を伸ばしてくれたことは、奇跡に等しかった。
「…寂しかった。さみしかった。大切な人に気づかれないことが。大切な人に、違う姿で接しなくちゃいけないことが、つらかった。もっと、頑張らなくちゃいけないのに。頼れる大人じゃないといけないのに。私は『トレーナー』なのに。こんなにも弱くなっちゃうなんて」
一つ漏れ出た弱音は連鎖するようにとめどなくあふれ出る。オグリの腕の中で、私は声を上げて泣く。小さくなった体で、私もまた離れたくないとオグリを抱きしめる。
夕暮れ、寒空の下。私の声だけが周囲に響く。
「私、オグリのトレーナーに戻れるかな」
「…私は、君を選んだ。今日のレースで私に一番力をくれたのは君の声だ。君がいい。この思いはずっと前から変わらない」
「…ありがとう、オグリ。―大好き」
≫41[それが繋ぐもの1/2]21/12/16(木) 00:10:04
[それが繋ぐもの]
「うーん、次はこう来たか……」←右手に手錠
「こうも続くと流石に慣れてきたね。全く、三女神だけではなく別のモノまで居るとはこの学園は興味が尽きないねぇ」←左手に手錠
「黒カフェさんも大変だろうなぁ。というか、最初の頃は色々と凄い反応してたけどタキオンも慣れてきた?」
「まぁ色々見てきたからね。もう流石に手に手錠をかけられるぐらいじゃ驚かなくなったよ」
「だよねぇ。……あ、今日はどうする?トレーニングも実験もできないよねこれじゃ」
「研究資料の整理でもすることにするよ。最近実験ばかりだったからそろそろ資料を纏めなきゃとは思ってたんだよ」
「ん、了解。じゃあ俺も今日は資料整理に充てるとするかな」
~~~
「そういえばだけどさ」
「ん~?どうしたんだいモルモット君」
「タキオンはプロフィールの嫌いな所の欄に『研究の邪魔』って書いてるだろ?それって今はどうなのかなぁって」
「嫌いだよ。アグネスタキオンというウマ娘は、昔から変わらず研究の邪魔をされるのが大嫌いなままさ」
42[それが繋ぐもの2/2]21/12/16(木) 00:10:26
「……そっか、そうだよな」
「……?どうしたんだい?何か浮かない顔をしているようだけど、私の好き嫌いでも何か問題でも?」
「いや、さ。こうなったりしていてタキオンは迷惑に感じてないのかなって。猫になったり手錠で繋がれたりして俺が君の研究の邪魔になってないかなってふと思ったんだ」
「ああ、そういうことかい。以前にもキミに一回言ったことだからもう一度ハッキリと言っておくけど、全く嫌じゃないよ。むしろ嬉しいぐらいさ」
「そうなの……?」
「まず研究の邪魔という話だけど。キミを実験につきあわせられない時は資料を整理するなり、カフェを実験台にするなりして対応しているから問題は無い。私が嫌うのは研究の進みそのものを止めかねない邪魔についてだからキミがそれについて気にする必要も無いよ。そして嬉しい理由だけどね」
「タキオン、ちょっと、顔近いよ……⁉」
「キミがずっと近くに居てくれるからさ。保健室の養護教諭として仕事とかトレーナーとしての仕事とか、そんなものに邪魔されずキミの傍に居られる。その事実自体が私にとっては嬉しいんだよ」
「こうして繋がれた手を握るとキミの暖かさがする。いつもなら昼間は少しの間しか握れないけど、今なら心行くまで握ることができる。ホラ、こう考えてみたらこの状態も案外悪くないだろう?私にとっては少なくとも今の状況は幸せなわけだけど、キミにとってはどうなんだろうねぇ?」
「……そんなにニヤニヤしなくたって良いじゃないか。俺は幸せだよ。君と居られるんだから絶対に幸せに決まってる」
「ふふっ、そう言うと思ってたよ。……資料整理は手早く終わらせることにしよう。それが終わったらこの状況についての詳細なデータ取りをしなきゃ、ね?」
「うん……」
~~~
それは怪異も三女神の悪戯にも慣れてきたある日の一風景。
自分との時間を愛する人が幸せに感じてくれていることを互いに知った二人はそれを顔に出すことは無かった。しかし、絡み合う尻尾、握られた手に流れる血潮は間違いなく彼らが幸せに胸を高鳴らせていることをどんな言葉よりも如実に教えてくれている。
体を縛り、心を繋ぎ、想いを交わす。彼らにとって今互いの手首を繋ぐ手錠とはそういうものだった。
≫88二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 07:50:58
「よくよくトレーナーさんに後ろから抱きしめられるじゃないですか」
「うん。しょっちゅう抱えてると思う」
「やっぱりその……」
「??」
「胸、当ててるんですかね?」
「……ネイチャのえっち」
「あれ、あたしの方が?」
最近のネイトレネイチャ①
お互い相手のことをH(entai)だと思ってる。
≫97二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 08:29:00
───トレーナー室にて
「…」
「…キタ、寝不足かしら?」
目をこするキタに話しかけるのは、今丁度チームメンバーの二人から話を聞いていたキタトレ。
「うん…今日は眠たくて…」
「なるほどね…何か心当たりはある?」
「ううん、あんまり…」
眠そうな目で答えるキタに、キタトレは「ふむ…」と考えた後、時間を見てから言った。
「そうね…なら昼寝でもしましょうか。調子が悪いと練習も勉強も辛いだけよ、今日の予定は大丈夫だわ。」
優しく声を掛けつつ、座っていたソファの背もたれを倒してベッドにする。ソファにかかっていたブランケットを置きつつ
「寮に戻らなくていいわよキタ、ここで一緒に寝ましょうか。」
無言で寄ってきたキタを胸元で抱き締め、そのままベッドに寝転がるとキタを胸に押し当てられる形に。
「〜♪」
鼻唄を一つ、唄いながらキタトレはキタを眠りに誘う。歌い切った後は離さないように腕の力を僅かに強くした。
一方で、胸に埋まるキタはその暖かさに意識がとろけそうになってきていた。頭を優しく包む温かい感触と、
トクン…トクン…と力強さと優しさを感じる心臓の鼓動が聞こえる。子守唄のようなそれに、意識は薄くなっていく。
思わずギュッと腕を回してキタトレの体を抱き締めると、鼓動がほんの僅かに早くなったのを感じる。
───心音と温かさにくるまれて、キタの意識は緩やかに暗転した。
…キタからの僅かな寝息を聞きつつ、反対側のソファに座っていたメンバーにもキタトレは声を掛けた。
「…おいで、二人共」
流石に四人でとなると狭いベッド、当然のようにくっつく形になる。キタトレの脇腹の所に頭を当てて目を閉じる二人。
人肌のぬくもりはやはり安眠にはいいのだろう。程なくして動かなくなった二人を隣に天井を見上げていたキタトレは
「いいわね…しっかり休みなさい」
三人はトレーナーの心音を耳に、安らかな顔で眠るのだった。
短文失礼しました
担当を眠せるキタトレです。あの胸で優しくとらわれて抗える人はいないでしょう。担当が絶好調で走れることが彼女の最優先事項です。
なので、ウイポのでも現実のでもクソローテとかアプリの3連続出走とかキタトレに見せたら間違いなくそれにキレます。
≫100二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 08:44:28
ETS2を見たらブラトレが様々なシミュレーターを持ってくる図が浮かんだ
ブラトレ「ファーミングシュミュレーター20だ」
マルトレ「牧場物語的な?」
ブラトレ「いや、農作機械シュミュレーターだ」
マルトレ「なんで?」
────────
ブラトレ「ヨーロピアンシップシュミレーターだ」
ブラトレ「フォークリフトシュミュレーター2019だ」
マルトレ「どっから見つけてくるんだよ」
ブラトレ「まだまだ色々あるぞ」
マルトレ「シミュレーターにかけるその情熱何!?」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part564【TSトレ】
≫72二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 14:13:44
コツ、コツと。石畳の道を杖を突く音が響く。
三人が談笑しているところに芦毛のトレーナー…いつもアホなことをする仲間の一人、テイトレが何かを考え込む様に通りすがった。
「あらテイトレ。座ります?」
「ん…うん…そうする」
いつもならどんな話をしていたのかと楽しそうに聞いてくる彼が真面目そうに考えてる姿を見て三人が首を傾げる。
「…どうした?」
「さっき、オグリの話を聞いた」
要約すればこうであった。タマが彼女の見舞いに行った日の後背中に引っ掻いた傷跡や血が滲む程の咬み傷が出来ていることがあると。
「あー…ブライアンからなんとなく聞いてはいたが」
「まぁ…話を聞いた限りでは…彼女がしてしまってるんでしょうけど」
「仕方ないんじゃないか?あんな事があった後じゃ…」
「仕方ない?フクトレお前本気で言ってんのか?」
テイトレが同情的にぼやく三人を見つめながら言った。普段の笑みをなくし冷酷ともいえる顔で。
「俺達トレーナーはウマ娘を輝かせるためにいるんだ。足枷になるようなら必要ない」
「テイトレ!お前…」
「冷たいと思うか?そうだろうな」
咎める様に見据えるブラトレの青い瞳を灰色の瞳が睨み返す。ここだけは譲らないと言わんばかりに。
「早く治ればそれでいい。だけどもしこのまま悪化していったら彼女は、タマはどうなる」
「…そうですわね、怪我でコンディションを崩し本調子になれなかったら…頸動脈が切れたりして最悪…そんな恐れは十二分にあります」
「考えたくはないけどな。可能性はある」
「みんながどうなのかは知らないけど、俺はそんなことを思ってトレーナーになった。それが出来なくなるなら…俺はまた同じ事をするよ」
吐き捨てるように言い切って自身の左足に触れる。彼が彼であるように、トレーナーであるために選んだ、愚かな傷跡を。
「だから、少なくとも今の彼女を俺は認めることが出来ない」
「…」
73二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 14:14:28
「…だけど、だけどさ」
重苦しい沈黙を裂くように、テイトレが声を震わせながら本音を漏らす。
「壊れていく苦しみとか、おかしくなった焦燥感とか、何もかも終わってしまいたい悲しみとか、分かるんだ」
「…テイトレ」
「いや違う。違う」
ぐしゃりと前髪を握り潰しながら俯く。瞳を合わせないように。
「同族嫌悪なんだよ、彼女が悪いんじゃない…臆病で醜怪で、卑しい自分を思い出すんだ」
息を荒げながら、顔を隠した両手を濡らしながら続けた。
「結局、私は…タマがどうだとか…彼女がどうかなんて考えてないんだ…弱いわたし、から目を背けたいだ、けで」
「テイトレ」
隣に座ったブラトレが震える小さな身体を抱き締める。何も言わずにただただ優しく。
「…そうだな。俺も…トレーナーはウマ娘のために、担当のためにあるべきだってのは…分かる。フクの足枷になるんなら俺だって似た様なことはする…だけど」
「…トレーナーは何があっても耐えろだなんて思いませんわ。私達は間違って、悩んで前に進んでいくんですから」
溢すように呟いた二人の言葉をかき消すように冷たい、冷たい風が吹く。
「…早く会ってみたいな」
「そうだな、きっとすぐに会えるさ」
風が運ぶは明るい未来か、暗い闇か。
未来の事なんて誰にも分かりはしない。だけど、少なくともこの場にいる四人は光を見て、望んでいた。
≫84二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 16:06:51
ビコーペガサス担当トレーナーが真に己の小さなカラダを利点と思えるようになったのは、父親になってからだった。
ウマ娘はよく食べるので、食費が嵩むのだ。特にビコトレの場合はウマ娘が2人、普通の子供4人を抱える大家族の稼ぎ頭ということもあって、学費、生活費など、ともかくお金はあればある程よいという考え方が定着して久しい。
そもそも、ビコトレが地方から中央に来たのは『キャリアアップによる給金の増加』のためなのだ。日々の業務に励むのはもちろん、競技者時代に積み上げた『奇形の競走者』としての知名度とツテを活かした金策に、暇があればトレーナー業務支援会社『あぶみ本舗』でアルバイトをする生活である。
とにかく、カラダが動くうちに稼ぐべきなのだ───ビコトレは、己の肉体が普通の人と同じ年齢まで動いてくれるものとは思っていなかった。無論、平穏無事に働けるよう努力は怠らないが、『自分の努力』という不確定なものを安易に信頼しない程度に、ビコトレは己を強い人間とは思っておらず、また父親の責任を大きく、重く見る人間であった。
そして、節制・節約の標的を自分のみに向けるタイプでもあった。自分のような者と結婚し、三男三女をもうけてくれた最愛の妻と、愛しい子供達には、不自由なく暮らしてもらいたい。当然、自分の取り分は可能な限り削るべきだ───そこで、冒頭に戻る。
カラダが小さければ、食べるものも少なくていい。
ビコトレは意図的に食を細くする人間で、ウマ娘となってからもそうしていた。
85二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 16:07:39
「それで、こうなった訳ですね」
「いやあ、はっは! 不甲斐ないっ!」
栄養失調。それによる転倒。
あんまりな理由の急患に、保健室の主は機嫌を損ね、ビコトレは笑顔で平謝りしていた。
養護教諭にして、奇人の集う中央トレセンでもとびきりの変人とされるウマ娘、アグネスタキオンの担当トレーナー。表情からウマ耳に至るまで、全身で不機嫌さを露わにする彼女に、ビコトレは少しばかり困惑する。
ビコトレが保健室の世話になることは皆無であり、個人的な親交もなかったので、タキトレと顔を合わせる機会は学園の定期検診くらいなものだった。互いにウマ娘となってからは、初対面である。しかし、以前の『彼』は温厚さと冷静さを兼ね備えていて、少なくともほぼ初対面の人間にここまで感情を露にする性格ではなかったはずだ。
これもウマ娘化の影響なのだろうか、と呑気に考えていたビコトレだが、ピシャリとテーブルを叩くタイトレを見て、流石に佇まいを正すのだった。
「とにかく、適量の食事を摂るようにしてください。以前までの、四十代男性の適量ではなく、年頃のウマ娘の適量ですよ」
「ふむん……しかしねぇ。ウマ娘でも食の細い子はいるだろう? であれば、個人的な努力によって、適切な食事量を変えることは出来ると思うんだ。ワタシ個人としては、そう、話に聞くマンハッタンカフェ担当トレーナーのような食生活を目指しているのさ! 継続的な努力によって、望ましくない体質は改善される! どうだろう!」
「───ビコーペガサス担当」
しん、と辺りが静まる。ビコトレの相貌から笑顔が消え、タキトレの瞳が剣呑に光る。
暗黙の了解があった。中央のトレーナーが相手を『そう』呼ぶのなら。それはある種の神聖さを帯びて、場を整えるのだ。
「……貴方の事情はわかりました。私自身、家庭を持たない身です、貴方の親としての考え方に口出しできる立場ではないのでしょう」
「しかし」とタキトレは続ける。
「養護教諭として、貴方の食生活を見過ごす事は出来ません。改善を『推奨』します」
「わお……マジで?」
「大マジです」
86二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 16:08:46
ビコトレの瞳に、驚倒の感情が浮かび上がる。
タキトレが『立場』という名の鬼札を切ってくることは、全くの想定外だった。温厚で少し天然。人当たりも良く、面倒見の良さのせいで変人の担当になってしまった哀れな被害者。それがタキトレに対するビコトレの所感で、つまりは一般トレーナーと同じ目線でタキトレのことを見ていたのだ。
いくら面倒見が良いと言ったところで、ほぼ初対面の人間にそこまで深入りすることはないだろう、この場は適当な注意をいただいて終わり、そう思っていた所に『推奨』である。
「ふむん……それは困るな。学園の正式な養護教諭からの『勧告』を受けるのは、是非とも避けたい 。しかし、ふむん、どう『交渉』したものかな」
しかし、ビコトレはむしろ、笑顔を取り戻した。
弁舌での競い合いには自信があった。良くも悪くも、容姿をキッカケにして自らを高めてきたビコトレは、その道程を少なくない人間に疎まれてきたのだ。それを跳ね返したのはいつだって、計算された笑顔と、組み上げられた弁舌だった。
何より、彼女には確信があった。
タキトレは、他者を言葉で説き伏せることには長けていない。彼女は善良で、温厚な、しかしそれだけの人物だろう。でなければ、愛煙家のカフェトレの食生活はとうに改善されているだろう、と。
素人の付け焼き刃など恐るるに足らないように、『強権』の振るい方を知らない若者など、どうとでも言いくるめられる───
「悪い顔をされているところで、拍子抜けさせるようですが。正式な命令をする気はありません」
「む。……色々とツッコミたいが、最後が気になるかな! どういうことかな?」
「私の役割はここで終わり、ということです。───そういう事だそうですよ、ビコーさん」
「───」
今度こそビコトレから笑顔が消え、扉の開くガラリという音が、静かに張り詰めていた空間を破った。
≫113二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 17:42:05
────これは、彼が変わる前のお話。
シンボリルドルフ担当は、特定二名(最初に変貌し、精神面で未だ立ち直っていないテイトレとウマ娘化が"誰でも起こりうる"ことを証明したタイトレ)の犠牲の上で置かれた特別休暇の最初の数十分をチーム全員への説明と休暇中の代理のチームトレーナー(これ自体は手当が学園から出るのでやりたがる者が多かったらしい)の用意に費やした。
そうしてから、一番信頼している相手である最初の担当、シンボリルドルフに連れられて様々な物を工面すべくショッピングモールに来ていた。
「さて、トレーナー君。まず昨日、君が気にした通り最初に必要なのは下着だ」
「……だね。肩もこるって言うし……」
そう言いながら自らの身体を気にするルドトレの服装は紺のブラウスと淡い色のロングスカート。耳飾りは暫定的にルドルフと同じもの。これらを見れば、おおよそウマ娘の姉妹にしか見えないだろう。
そうして、二人はランジェリーショップに向かう。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお探しで?」
「彼女に似合う物をと。後は……彼女のサイズの測定も」
「なるほど、わかりました。ではそちらの方はこちらに……」
「あ、はい。それじゃあ、少し行ってくるねルドルフ」
そうして連れられるトレーナーを見てから、一足先にブラジャーを見ていく。
「トレーナー君ならやはり黒……いや、白も……私が思い悩むのでは、羞花閉月とはよく……いや、用法が……」
そう言いながら見定めていくそれが、少しずつ"着けていて欲しいもの"、"着けていると己が嬉しいもの"に変わっていくのをシンボリルドルフは自覚していなかった。
114二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 17:42:25
そうして戻ってきた彼は、すこしばかり顔が赤い。
「……トレーナー君?」
「あー、ルドルフ。その……」
「……その?」
「……胸もお尻も理想的な美しさ、だって……どっちも88cmあるとか……あと、カップサイズはEだったかな……」
「……そうか」
自分より大きいのは最初に持ってきたブラジャーが合わなかった時点でわかりきっていたのでそこは気にならないとは言えど、自らのトレーナーがそこまで立派なものを持ち合わせているとは、とルドルフ一瞬思った後、
「なら、これはどうだろう?」
と予め選んでおいた下着────赤にピンク、白に黒と少し敷居の高い色のそれを見せる。
「この色なら、君に似合うだろう」
「……もう少し落ち着いた色のじゃ、ダメかな」
「少なくとも、黒や白は落ち着いた色の方だと思うが……」
「まあ、たしかにそうだけど……」
そう言いながら二人で試着室に入る。
そうして現れた彼の上半身を見て、"やはり私が守らねば"と思ってしまう。
そんな美しい肌に添えられる赤いそれを見ていると
「……ルドルフ、どう、かな?」
と感想を求めてくる。
「……ああ。とても似合っている。つい、側に欲しくなる程に」
「そう?なら良かった。そこまで言うなら安心した……ルドルフ、これも買うよ」
────そう言いながら天真爛漫な笑顔で笑う彼を見て、己の中の暗い情欲に、彼を完全に独占したいと思う欲に火が灯るのをルドルフは自覚できなかった。
≫150二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 19:08:24
DK組クソアホ時空バトミントンwithウラトレ
「このプチトレーナーぬいぐるみ可愛いよなぁ…ふかふか」
「こっちはストゼロゴクゴクしないしアイアンクローもしてこないしな!」
「おっ喧嘩売ってまして?」
「なんだアイアンクローされたいならそう言えよ」
「おやめなさい…確かに素晴らしい出来ですね」
「ですよねーこれ一般販売もするらしいですよ」
「…ふむ、この四人なら誰が一番売れるんでしょうか?」
「はっはっは何言ってるんですか先生」
「そりゃ…ねぇ」
「「「「もちろん俺(私)ですよ…あ゛?」」」」
こうして、四人の血で血を洗う争いが始まったのである!!ちなみに対決内容はバトミントン。なんで??
テイトレvsブラトレ
「うおおおお!!」
「あああああ!!」
「きしゃあぁぁ!!」
「くえぇえぇっっ!!」
「ハゥアーッ!」
「ホィヤーッ!」
「奇声上げてないで早くしろ」
「「はいすいません」」
──draw
151二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 19:08:43
マクトレvsフクトレ
「そういえば俺とお前は割と強い組だっだが…」
「こうして雌雄を決するのは初めてですわね…今日ここで分からせて上げますわ!」
「よしいくぞ…あっマックイーン」
「えっどこ」
「(かかったなアホが!)」ペン
「アウト」
「「!?」」
──マクトレwin
ブラトレvsマクトレ
「ほい」
「ていっ」
「ほい」
「…うっ」
「ほい」
「ちょっと!走らせるのやめ…あっ!」
「マクトレアウトー」
「ブラトレ普通に運動してるしなぁ」
──ブラトレwin
フクトレvsテイトレ
「…今の上?下?どっち?」
「丁度見えなかった…先生判定を」
「…紐をこう…スーって通り抜けて行きました」
「ええっ!?」
「それは…ど、どっちだ…」
「ふふっ」
「…もしかして俺達先生に遊ばれてる?」
「今気づきましたのブラトレ?」
──draw
152二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 19:09:06
テイトレvsマクトレ
「マクトレ…疲れてるとこ悪いけど…全力で行くからな!これも百合営業だ!」
「ええ…構いませんけど…真剣に質問なんですが貴方百合営業をなんだと」
「よしいくぞ!」
「あっテイトレの恥ずかしいコスプレ写真を落としてしまいましたわ」ズサーッ
「はいテイトレアウト」
「ねぇ!今のはズル!ズルじゃん!」
「負けは負けです。テイトレ写真を見せてみなさい」
「先生!?」
──マクトレwin
フクトレvsブラトレ
「今の下!紐の下だ!」
「上だ!何見てたんだお前!いいか?こうギリギリ上を通って…グシャー!地面に突き刺さった!ぎゅるるる!地下10センチまでめりこんだだろーが!掘り出すのスゲー大変!」
「フクトレお前最近ツッコミ役ばっかりだからってふざけやがって!バーカバーカ!」
「…フクトレになんか奢った方がいいかなぁ」
「あれはあれで楽しんでますわよ…多分」
──フクトレwin
数時間後
「あー…遊んだなぁ」
「途中でウララが参加した時はどうなることかと思った」
「4人がかりで負けるなんて思いませんでしたわ…」
「スマッシュで本当に地面にめりこむとはなぁ…」
「私も久しぶりに身体を動かせて楽しかったです。皆ありがとうございました」
「俺達も先生と遊べて楽しかったですよ…でも最終的に決着はつかなかったなぁ」
「プチトレが売れるかどうかだったっけ?まぁ結果聞けばいいだろ。ブライアンの隣に飾ろっと」
「…恐らくですが、差は出ないと思いますよ」
後日発売されたコーナーにはDK4がセットで売られやっぱり決着はつかなかった。
ぬいぐるみをデコレーションしたり衣装を着せたりするのが流行ったらしいが、それはまた別のお話。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part565【TSトレ】
≫50二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 20:23:38
ダストレ「俺思うんだ。俺がチアやるよりヘリサブがやった方がみんな得するって……うおおおだから離せーっ!!」
ヘリサブ「に、逃しませんよダストレさん……っ! 運動苦手勢同士仲良く死にましょう……っ!」
ダストレ「俺はウマムスメモドキなだけで運動はできるんだよ!! やだよチアとかパンツ見えんじゃん!」
ヘリサブ「みなさーーんっ!! ダストレさんチア希望でーっすっ!!」
ダストレ「やりやがったこいつ!! あっちょっやめっ抱きつくなおっぱいすげえ!!!」
この後ダストレは選手参加もチア参加もさせられた
≫59二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 20:27:50
「ねえオペトレ、あそこで追い掛け回されてるむちぷるは?」
「ああベガトレ。彼女は月毛というだけでムントレ、ハヤトレ、バントレに一緒に騎馬戦やろうぜと追い掛け回されているかなしきいきものだよ」
「ああ、そういえばあの4人だったわねえ。……案外サイズちょうどよさそうね」
「まあ問題としては、スイトレが運動ができないということだ」
「もしや一発ネタのためだけに月毛四人衆やろうとしてんの?」
「酔狂だねえ」
≫71チヨクリ目SS21/12/16(木) 20:42:03
「チヨトレさん、相談があるんです」
ある日、友人のクリトレが神妙な面持ちで話をきりだしてきた。それは、彼女の担当であるスーパークリークさんの良きライバルであるタマモクロスさんのトレーナーについて。大きな事件にあいトラウマを抱えてしまったトレーナーで、学園からトレーナー達に箝口令が敷かれていたと記憶している。
クリトレさん曰く、会う度にタマモクロスさんの傷が増えているらしい。それを見た彼女はタマモクロスさんのトレーナーの為に何か出来ないかを知りたくなった。そこで、方向は違うがトラウマ持ちの私に白羽の矢が立った訳だ。
「最近のタマモクロスさんはとても見ていられなくて…」
泣きそうな顔のクリトレさ?。彼女の気持ちは最もだ。何かしてあげたいという善意も理解できる。だが、それはやってはならないことだ。トラウマを抱えた人間にとって、それは逆効果になる。
「結論から言うと、私達は何もすべきではないです。」
「どうしてですか?」
完全には納得できていないクリトレに対し、私はある例え話をした。
まず、自分の考えうる限りの最も恐ろしい怪物を想像してもらう。映画エイリアンシリーズのゼノモーフでも、リングシリーズの貞子でも良い。人の理から外れた、何を考えているか分からない、醜悪で悍ましい化け物。それが思い描けた段階で、一つの質問をした。
「もし、その怪物が貴方の目の前に現れて、『友達になろう』なんて言ったら、信用しますか?その怪物について何も知らない段階で。」
「それは…」
言葉に詰まるクリトレ。至極真っ当な反応だ。普通の感性なら、そんな危なっかしい物に近づかないだろう。場合によっては逃げるか怯えて攻撃するかもしれない。そして、それが『タマトレ』の視点。今回は分かりやすさを優先した為、実態からズレたかもしれないが、大まかな方向性はあっている筈だ。
72チヨクリ目SS21/12/16(木) 20:42:43
「今のタマトレさんにとって、私達とは…他者とは、そういうモノなんです」
その人に加害の意思があるかないかは関係ない。タマトレさんにとって他者とは、自分を傷つけうる危険なものであり、それに怯えて攻撃をしてしまっている。トラウマとは、得てしてそういうものだ。
自分にも覚えがある。かの災害で家族や友人・知人を失った後、私は地震、炎、波を見ると取り乱すようになった。なんでもないものが自分を殺めんとする凶器に見え、辛い場面が強制的にフィードバックする。そうやって、私に親身になってくれる人に手をあげ、傷つけた。克服するのにも、それなりの時間がかかった。だから…
「親しい人物がゆっくり教えていくしかないんです。他者とは恐ろしいものではないと。」
こればかりはどうしようもない問題だ。そこに親しくもない他者の介在する余地はなく、長い期間を必要とする。
私達が何か出来るとしたら、彼女が他者への恐怖を乗り越えてからだ。今の段階で他人との関わりなぞ持とうものなら、逆に悪化してしまうだろう。
「そう…ですか…」
クリトレさんは見るからに落ち込んだ。自分の善意がかえってタマトレさんを傷つけると知れば、こうなるのも道理ではある。
そんな彼女に対して、私は他の方法を提示した。例えばタマモクロスさんに医療品を送ったり、タマモクロスさんの悩みを聞いてあげるのでも良い。それが回り回ってタマトレさんを助けることに繋がる。そう語ると、ほんの少しだけクリトレさんに明るさが戻った。
「今日はありがとうございました。」
礼をして去っていくクリトレさんの後ろ姿を見ながら、私はタマトレさんについて思いを馳せた。トラウマを抱えた、人となりもよく知らないトレーナー。今はただ、必死で戦っているであろう彼女が立ち直ることを祈ることにしよう。
≫82二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 20:54:00
◎ハルウララ 参戦!!
あの熱戦・烈戦・超激戦から少し経ったある日。一人対四人の戦いが再び行われていた。
「そーー!れぇっっ!!」コン
「うわぁっ!声デカいだけのフェイント!」
「マッチポイント。ウララー、最後までがんばってー」
「勝ってる側への声援とは思えん……」
「先生!ウララがフェイントとか解釈違いです!」
「誰がこの子を育てたと?」ナデナデ
「えっへへー♪」
「……まずいな。パワーもやばいが普通に巧者だ」
「わりと魅せプしてくるのも心にくる……」
「こうも押されるかぁ。なめてたつもりはないんだけど」
「……もし、皆さん一つだけよろしくて?」
「なんだ。言ってくれ」
「攻めるにしても守るにしても!四人もいるとめっちゃやり辛いですわ!!」
「「「!!!」」」
「おま、そんな大事なことなんで早く言わないんだよ!」
「誰より早く気づいた私になんという言い草!?」
「いや薄々気づいてはいたけど、前回のリベンジって体だったし……って、先生?」
「トレーナー、泣いてる……?」
「その言葉が、その言葉が聞きたかったのです……。マクトレに10ポイント加点です」
「やりましたわ!やりましたわ!」
「ツッコミ待ちだったかー!」
「誰だよ!四人で再戦しようなんて言った奴は!」
「「「お前だよテイトレ!!」」」
(終)
≫95二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:05:11
『黒狼物語~第二幕後編・桃源~』
3月は花弁舞う季節。ダートは砂塵吹き荒れるコース。
年中無休の砂の竜巻が吹き荒れるそこは、実際のところ少々地味である。
今でこそスマートファルコンやハルウララ、オグリキャップなどのダートでも強い有名ウマ娘がいることで境遇の変化も十二分にあるのだが、それでも芝コースに比べると観客的にはどうにも見劣りしてしまうらしい。
また、ウマ娘たちの適正的にもダートに強いウマ娘というのが少ないらしく、その点において競技人口的な問題もあるとかないとかいう話である。
「まあだからと言ってやりにくいからポイするわけにもいかんのがアオハル杯のつらいところだな」
「なんですかその突然の独白」
「カッコつけてるだけだ」
「切り捨てられちゃった。まあ良い、次のレースがそろそろ始まるな」
前回のレースでスカウトをできなかったトレーナーは勿論のこと、成功させたとしてもチームを運営している以上まだスカウトする必要のあるトレーナーはこちらに来る。そして当然スカウトがうまくいったトレーナー、もしくは翌日以降に賭ける人は戻ってこない。
新人トレーナーは、どうやら戻ってこなかったようだ。つまり、後者のどちらかである。
「ところでタマシチ、選考レースはだいたい何人ぐらいレースに出走すると思う?」
「うぅーん……いや正直うちの代ですら何百人入学したかわからないレベルなので何とも何とも……」
「まあ、そうだろうな……正直に言うとトレセン在籍ウマ娘の正確な人数は上層部くらいしか把握していないだろう」
「2000人くらいは余裕で受け持てるレベルらしいからなー、ちょっと俺の想像を軽く越えてるわ」
「なあ知ってるか?寮には未だに大量の空き部屋があるらしいぞ」
「本当にどうなってるんですかこの学園」
雑談をしながらも次のレースに出走するウマ娘たちを観察する。
「ダートと芝の大きな違いはなんだと思う?タマシチ」
「まだ数える程度しか本格的なダートコースを走ったことがないので何とも言えませんが、ダートって柔らかいですよね。芝よりもっと」
「そうだ、その分足の沈みが強い。更に足裏からの圧力の分散もしやすいから芝と同じ走りは難しいな」
「あの感覚は慣れんな、アレをスイスイ走れる奴らが羨ましい」
どの場所のウマ娘とも戦いたいブライアンにとっては不服のようだ。
96二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:05:25
「あとこれも困ったことなんだが、コースによってかなり砂質が変わるらしい」
「……つまり競走場一つ変わるだけでだいぶ走りやすさも変わる、と?」
「まあそういうことだなー。如何にその場その場の砂に慣れられるかという変幻自在の足の動かし方というのも重要かもしれん」
「そういえば、オグリの出身であるカサマツは川砂らしいな」
「……あのさらさらした?」
「さらさらした」
「キッツいですねえ……」
トレーニングコースで使うときもあるのだが、あれを全力で走り続けるのはなかなか大変そうだ。そんな表情を浮かべながらタマシチはパドックへと目線を向ける。
自分より自信満々な子が沢山いる。それでも、勝てるのはただ一人。
今更ながらこの世界に身を投じたことの意味を感じながらも、送り出してくれた両親、友人たちに恥じぬよう走り続けることを静かに決意した。
「んー、あの子よさそうじゃない?」
「ん、検討しておくか」
そんな心の中の決意を他所に、ブラトレたちは競争者たちを簡単に値踏みをしていく。
「……今更ながらもう勝負は始まってるんですねえ……」
「まあそんなもんだからなあ、全員が輝けるわけじゃないってのが競争だしな」
「例え話ではあるが、素晴らしいトレーナーがいたとして、彼らがすべてのウマ娘を常勝無敗の伝説の存在にできるわけではない。同様に、ウマ娘側が会長と同等の実力を持つとして、彼女とうまく対話し、導けるトレーナーでなければその強さには陰りが生まれるだろう。言ってしまえばトレーナーとの相性だろうな」
「あたしとトレーナーの相性ってどうなんでしょうね……」
「まだわかんねえや……」
「ですよねぇ……」
出会ってすぐに相性がわかるのであればそう苦労はないのである。今でこそブラトレの最高の相棒であるブライアンとも、最初はそれはそれはとんでもない経緯から始まったのだ。
「故に最初のトレーナー選定はある程度考えなければならんというのは正しい。だからといって時間をかけすぎるのも問題だがな」
「そうだな。まあ出会って半日と立たないのにもう慣れてるようだからそういう部分には期待してるぜ」
ある意味図太いという部分に関してタマシチは十二分に合格点なのである。
「何とかうまいことついていきます……」
本人は冷や汗だらだらなのだが。
97二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:05:40
「むしろ同期を値踏みするというのが難易度高いんですが」
「まあそりゃそうだわな。自分より強いぞ!っていうのを見るのはちょっと大変だろうし、自分より弱いのかとか思うのも色々と失礼だろうし。いやそもそも強さだけで値踏みするというのが一番ダメなんだが」
「そういうものなんですか?」
「まあ先にも言ったが相性が大事だ。そういう点で、私は幸運だった」
「そういうわけだな」
ふーむ、と顎に手を当てながら考えるタマシチ。その後ろから、別のトレーナーが話しかけてきた。
「お疲れさま、ブラトレ。そこの彼女は新しい担当かい?」
「ん?おー、フラトレさん。まあそんな感じだな。俺も晴れてチーム持ちとなったから」
そこには美しい白銀の髪色を持ったウマ娘が、傍らにエイシンフラッシュを連れて立っていた。
エイシンフラッシュ担当トレーナーである。
「お疲れ様です、ブラトレさん。私たちも後学のために勉強を、ということで今回の選考レースを見に来たんです」
静々と礼をするエイシンフラッシュ。またも有名ウマ娘が来たことにより若干タマシチは落ち着きをなくしている。
「そういえばいつの間にかドイツに行ってていつの間にか戻ってきてたな……ってことはあれか、向こうでチームでも?」
「そういうことだね。でもここで学べることもまだまだ多い。だからこそこうして選考レースを見に来たというわけさ」
「スケジュールとしては、今日の部のダート、明日の芝1戦目を観戦する予定です」
「相変わらずきっちりしてるねえ。それだけ予定が詰まってるのに俺のところに来たってのは何か理由でも?」
「……まあ、同僚と一緒に見るのも乙なものかなとね」
少々照れ臭そうに喋るフラトレ。基本的に忙しいのと今や相当な美人となってしまった故に少々近寄りがたい……というか畏れ多いという扱いをされているのだが、本人はなんだかんだ人付き合いが好きなのだ。
「オッケイ、横にどうぞ」
「では失礼させてもらうよ」
自分で思うのもなんだが、美女と並ぶというのはなんだかむず痒いとブラトレは感じた。周囲からの目線もなんだか先ほどより強いようになったとも。
「んー、まあいいか。そろそろレースも始まるし、きっちり見定めていくか」
しかしブラトレは周囲のことを気にせず自分のことをやる、それがいつもの俺だと思い直して目前に迫るレースに集中することにした。
98二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:06:52
ゲートが開かれ、レースが始まった。
とにかく、砂煙が凄い。多数のウマ娘たちが自身の脚力によって蹴り上げた砂が舞い上がり、前方から始まる砂塵の風となっている。これは後方から進んでいるウマ娘たちにはなかなか堪えるようで、しきりに顔を拭いながら走っている。
「ダートレーサーはかなり強靭ですね」
「芝とは違った走り方が必要だからなあ、そういった部分はファルトレやウラトレ先生のあたりが詳しいだろうなー」
「先生、最近は少々調子が悪いようで気になるね。入院されたみたいだし」
「うーん、今は中々タイミングが取りにくいしもう少し落ち着いてからお見舞いに行きたいところだな……」
「脱線していますよ、トレーナーさん」
「おっとすまないねフラッシュ。さて、そろそろスパートタイミングか」
最終コーナーに差し掛かり、全員が一気に勝負を決めるように動き始める。特に目立つのは逃げの3番と先行の7番、差しの1番。
逃げは後続を突き放すように限界まで脚を動かし、先行は前の逃げを躱そうとし、差しはその二人の切れ始めたスタミナを攻めるように一気にスパートをかける。
逃げるか、躱すか、差し切るか。三者三葉の風が最終直線を彩り飾っていく。土の上に吹き荒れる大竜巻は、終ぞもつれ合ってゴール板を駆け抜けていった。
「おお、激戦。こういった場合ってどうなんですっけ」
「基本は写真判定になるな。コンマ数秒、クビ、アタマ、ハナの差で勝敗が決まる。だいたい……クビだと80cm、アタマだと40cm、ハナだと20cmくらいだったかな?」
「それで合っているよ。ついでに言うならば1バ身差は2.5mになっているね」
「選考レースとはいえ一応着順まできっちり決めないといけないのは大変だな……おっ、確定したぞ」
掲示板にようやく順位が表示され、7番、1番、3番の順で勝敗が決まったことがこの場にいる皆に通達された。
「この三人がメインになっていく感じですかね」
「おう、そして俺とブライアンがよさそうだと思っているのは1番だ」
「終わり次第早めにスカウトに向かうか」
「頑張ってきてね。そろそろ次のスケジュールも迫っているからここでお別れかな」
「ああ、お疲れさん。まあなんかあったら相談するかもしれないなー」
「その時は役立てることを祈っているよ。……まあ、事前連絡だけは、欲しいかな?」
「連絡ミスは減らしておくから……」
99二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:07:21
「ぐぁー!くっそーくっやしー!」
「何言ってんの私が一番悔しいに決まってんでしょ……ハナ差で……ハナ差ふたつで3位とか……」
「ギリ勝ちだから本当にこれ勝敗ついたといえるか……?っていうのは差し置いてぇ!はっはーん負け犬の遠吠えは気持ちがいいのぉー!」
「こいつマジで!……まあ対して差がついてないのは事実、今度のメイクデビューが一緒になるかは知らないけどそんときゃ絶対負けねえっすよ」
「私のこと忘れんなよ!絶対負かしてやるわ!」
わいわいがやがやとトップの三人が雑談をする。まだトレーナーたちのスカウトはやってきていないようで、そのほかにも疲れ果ててぶっ倒れていたりレースの振り返りをしているウマ娘たちが集まっていた。
「あー、でも全力疾走後は本当にのどが渇く……アタシ水飲んでくるわ」
「おー、いってこーい。……抜け駆けはするなよー」
「何の話だよーう」
そういいながら桃色の髪を揺らして1番のゼッケンをつけたウマ娘、フラハラウが集団から離れていった。
栃栗毛の髪色をした彼女は別に抜け駆けだのなんだのを考えて集団から抜け出したわけではない。本当にのどが渇いていただけだったのだ。
もっとも、その道中で彼らと出会うのは運命だったのかもしれないが。
「おっと、カモがネギしょってやってきましたよトレーナーさん」
「まるで取って食うみたいな冗談はやめなさいよタマシチ」
「ちゃんと今回は名乗りから入るぞ」
「わかってるって、二度同じ轍は踏まんぞ……」
「そう言って何度連絡ミスを起こしたか聞いておくべきだったな」
「やめてくれブライアン、その話は俺に効く」
(うわーなんだろあの人たちクソ怪しい!ってなんでナリタブライアンさんがこんなところいるの!?)
ベンチに向かう最中に怪しげな集団(うち一人は三冠ウマ娘ナリタブライアンその人)を見かけてフラハラウは若干引いた。普段はお気楽な態度を崩さないフラハラウでも、あからさまに変な集団に突っ込めるほど心は強靭ではない。
それ故にそそくさとベンチのお目当ての物体を手に入れるためさっさと通り抜けようとしたのだが……
「やぁ、レースお疲れさま。俺はナリタブライアン担当トレーナー!」
やたらと格式ばった挨拶によってその目論見は崩れ去ることになった。
後から彼女が思い返してみれば、それは幸運への第一歩とも言えなくはなかったが。
100二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:08:51
怪しい集団が三冠ウマ娘とそのトレーナー、あと新人ウマ娘だということを聞いた事で、フラハラウは混乱した。
「え、で、なんでアタシがスカウトされてるっすか?」
「んー、理由はまあ色々あるが三つ挙げよう。まず一つ目としては俺がダート知識がペーペーなので、ブライアンと作戦が似通っていて教えやすい子がよかったこと、二つ目は今回トップの三人の中でも特にハングリー精神に飢えていそうであったこと、そして最後に……ダートの後方って結構大変だろ?」
「ええまあ、それは……そうっすね」
「泥だらけになっても、砂埃で前が見えにくくても、それでも君の楽しそうな表情が見えてたからな。レース、楽しいか?」
「勿論!」
フラハラウは、ウマ娘によくある勝利への執着心も、自身が絶対的に強いウマ娘だという傲慢さすらある自負も希薄だ。
良くも悪くも真剣になることは少なく、子供のころは何事も楽しめれば十分とも思っていた。
それでも、走ることが好きで、皆と競い合うことが好きで、その中で研ぎ澄まされていく自分のことが好きで。
そういった思いを抱きながらこの世界に入ったのだ。
入ってすぐには勝利への渇望を抱いた子がたくさんいて、気圧されることもあった。
それでも走りたい。前を向きたい。自分が自分のまま輝きたい。そう砂のコースを走りながら改めて思い直せたのだ。
「最も、俺がスカウトしたからと言って絶対に栄光を掴める訳じゃあない。トレーナーを選ぶというのはきっと、同じ旅路を進むための相方を選ぶようなもんだ、焦らなくてもいいさ」
「すぐに結論を出す必要はない。お前の進む道はお前で決めろ」
そして目の前には、その道筋を知る人。
アタシの夢をかなえてくれるかもしれない人。
なら、答えなんて決まってる。
「ふむ。えー、ブラトレさん?」
「おう、なんだ?」
普段の飄々さは鳴りを潜め、真剣に目の前の師を仰ぐ。
「アタシ別に運命論者ってわけでもないし、テレビの占いなんて気にしないほうがしょっちゅうっす。でもきっと、今ここで出会えたのはなんか意味があると思うっす。なら、乗らない手はないじゃないって話ですよ」
「つまり、スカウトOKって事かい?」
その答えは、大きな笑顔だった。
「というわけで、ブラトレさんのチームにアタシ、フラハラウも参加させてもらうっすよ!」
「ようこそ!うちのチームへ!」
拳と拳が、軽くぶつけられた。
101二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:09:14
「でもトレーナー、名称未定じゃちょっと締まり悪いっすよマジで。さっさと決めたほうがいいんじゃないっすか?」
てくてくと歩く4人。本日のレースはもう少し残っているのだが、いつまでも残っていい選手ばっかりとっていくのもさすがに申し訳ないので、今日の観戦とスカウトは終了である。
「あー、それもそうだなあ……明日くらいには決められるといいな……」
「緩すぎませんか……?」
「まあだからと言って私がいい案を出せるわけではないのだがな」
チーム名、これからずっと残っていく大切な名前。ブラトレも一応考えているようだが、まだ決め切れていない。
「ま、明日は明日の風が吹くってやつだ。あと二人見つけてようやくチームが始まるわけだからな」
「じゃあ、今日のところは……え、何するんすかアタシたち」
「暇だろ?トレーニングに付き合え」
待っていましたと言わんばかりにブライアンが笑う。そのテンションは獲物を見つけた肉食獣に近い。
「……初っ端からブライアンさんとトレーニングできるなんて感動ですね」
「顔がこわばってるぞタマシチ。大丈夫、その辺りはちゃんと俺が調整するから問題ない」
「安心しろ、取って食うわけじゃあない。だが、いずれは私の走りを研ぎ澄ませるレベルまで鍛え上げるから覚悟しろよ」
「やっぱやめたほうがよかったかなーなんて!望むところです!」
タマシチも順調に染まって……いや、慣れてきているようだ。
「アタシはもーちょっと体休ませてからかなー。まだ走ってた頃のテンションが残りっぱなしっす」
「無理に練習しても身につかんからな、良いぞ」
「やったー……あっ」
そう口から漏れたフラハラウの目線の先には、先程レースで1位を争っていた二人。
「「抜け駆けしてるじゃないの!」」
「ごめーん!!!」
そう叫んだ声は、春の空の彼方へと消えていった。
残り、二人。
余談ではあるが、抜け駆けされた二人は無事トレーナーを見つけられたようだ。
≫115二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 21:32:32
海岸の浅瀬から砂浜に戻るような。そんな感覚でパチリと目が覚めた。
まだほんの少し微睡みが尾を引いているが、もう一度それに包まれるのは無理そうだ。諦めて体を起こす。脇の時計は7時を指しており、隣のオグリはもう居なかった。
土曜日の朝。あと1時間もすれば練習を始める。そんな、何でもないような朝。
軽くストレッチをして体をほぐし、髪を整えてジャージを着込む。少しづつ、暑くなり始めた。夏用の上着に、半袖の体操服を取りだす。
寝巻きの上を脱いで、ふと鏡に背中をうつす。そこには引っ掻かれたような傷と、肩には濃い噛み跡があった。普通ならつかないような傷。そう、普通なら。
あかんあかんと小さくため息をつくと、下着を脱いでスポブラに着替え、黒い薄手のシャツの上に体操服。そして上着。
荷物をまとめて、それを持って部屋を出る。食堂に向かう途中、量の方へ向かうオグリとすれ違った。何を食べたとか、どんな夢を見たのかとか、そんな小さな話をして別れる。
味気ない控えめの朝食を腹に貯め、ターフに向かう。
鞄からノートと蹄鉄をはめた練習用の靴を取り出し、履き替える。ふと空を見ると、青々としていた。雲ひとつない。飛行機すらいない。空っぽな空。
よし、と立ち上がると体を伸ばす。来週は見舞いがある。それまでに理想までは仕上げておきたい。
見ててくれや。そうぽつりと言うと、1人ターフでアップを始める。
あの人はどうしているだろうか。ふと思うが、それを振り払う。
こうしてまた一日は、回っていく。
≫177二次元好きの匿名さん21/12/17(金) 07:44:14
───キタトレは考えていた。
(さて…サトトレのトレーナーを引き受けたのはいいとして、これからどうしましょうかしら)
…ウマ娘化してから日は流れ、その体やら服装にも慣れて来た頃。キタトレはサトノジャッジのトレーナーを引き受けていた。
担当であるキタはトゥインクルを駆け抜けた後ドリームに移籍し、今も走り続けている。それで少し余裕は出来ていたのだ。
…或いは、そんな時だからこそ、そうやって発想したとも言えるかもしれなかったが。
(まずは………いや、これはいい機会かもしれないわね)
…キタトレには夢があった。といっても、皆が笑って過ごせたらいいという、世の理も知らぬ子供みたいなどだい無理なものだが。
けれど、キタトレにとってそれは諦めるということとイコールではなかった。それなら自分に出来ることをしようと思ったのだ。
例えば他人の仲介、あるいは仲裁。他にも色々と自分に出来る事をこなし続けた。それが理想に繋がると信じて積み上げていた。
…だから彼女にこの機会を逃すという選択肢はなかった。すぐさま立ち上がると書類の作成に動き出すキタトレ。
パソコンを確認し、彼女が素早くメモして机に置いた紙には、『チーム』という単語が汚い文字で書き殴られていた。
(…よし、許可は下りたわね。)
あれから数日後、チームを作る許可が下りた彼女はトレーナー室で待機していた。程なくして開くトレーナー室の扉。
「トレーナー、用事って何かな?」
「キタト…トレーナー、僕達も関わること?」
…入ってきたのは担当ウマ娘であるキタとジャッジことサトトレ。キタトレは二人をソファに座らせてから、問いかけた。
「単刀直入に言うわ、私はチームを作ろうと思うの。」
「「…え?」」
178二次元好きの匿名さん21/12/17(金) 07:44:36
困惑しているのか顔を見合わせて、その後キタトレの顔を見る二人。
「…トレーナー、チームを持つの?」
「勿論、そのつもりよ。許可は下ってるから後は二人がどうするか次第かしら。」
「流石早いね…まあ、僕はトレーナーが出来るって言うなら従うよ。」
「う〜ん、アタシもジャッジちゃんに賛成かな!」
「…早いわね二人共…でもありがとうね」
…割とあっさり決まったそれに、拍子抜けしたキタトレはやや苦笑いしつつも感謝した。二人は笑顔で返してくる。
「…でも、どうやって後三人を選ぶんだいトレーナー?」
…ジャッジからの至極真っ当な質問に、キタトレは
「それなんだけど、こちらからスカウト…というよりは、募集してみたいのよ。敢えて私から声は掛けないわ。」
「…え?!それで大丈夫なのトレーナー?」
キタからの驚いた声に、笑みを絶やさずキタトレは返した。
「大丈夫よ、まず来た娘を把握してから後日個別面談と軽いチェックを行うわ。そもそも私は強い娘がほしい訳じゃないのよ。」
「…トレーナー、敢えてセオリーから外すんだね。何となく予想はつくけど僕は聞かないでおくよ。」
「…助かるわジャッジ、それとキタには終わってから教えてあげるわ。だから気にしないでちょうだい。」
少し怪訝な顔をしつつ頷くキタに微笑んで返したキタトレは、話してくるサトトレに答える
「でも、僕には教えてねキタトレ。トレーナーとしての僕からすれば、なんでそれを選んだのかは聞かないといけないから。」
「そうね、後で話しましょう。後はチーム名かしら…といっても一応案はあるのだけど。」
179二次元好きの匿名さん21/12/17(金) 07:45:43
「?」
「…プロキオン、チームプロキオンってどうかしら。トレセンのチーム名に天体が多いから、私もそれに乗っかってみたわ。」
「…冬の大三角とダイヤモンドを構成する星の一つだね。同じ恒星のシリウスよりも先立って登ってくる星だったよね?」
「そうよ、何よりも明るい星ではないけど、先立って輝く星だから選んだわ。私達はある意味先人になるのだし。」
「…アタシは良いと思うかなトレーナー!」
キタは勿論、サトトレも頷いて肯定の意を示す。キタトレは二人に感謝しながら、これで行くことを決意した。
「なら、これで行くわ。じゃあ…」
───プロキオン、トレセンで恒星の一つが産声を上げる日は近かった。
短文?失礼しました
キタトレがチームを作るお話のプロローグです。シリーズとして全四話で行こうと思います。長編とするにはモチベがね…
キタトレの掘り下げと、チームメンバーの話を並行していく物ですね。レースの方は週末に頑張って上げるから待って…
ちなみにジャッジとサトトレってなっているのは、トレーナーとしてと競走バとしてのスイッチみたいなものだと思ってください。