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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart341~345)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part341【TSトレ】
≫36二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:13:24
「──というわけでこの漫画が面白いという話でした」
「みんなー!マーベラスなものを持ってきたよ!」
「ああ、確かそれはSCP1409-IUですね。なんで持ってきたんですか?」
「マーベラスだから!」
「面白そうだな!」
≫59ブルトレ監修グルメスパイザー21/10/29(金) 23:18:11
「マスター、荷物が届きました。トレセン学園のグッズ開発部からのようです」
「ありがとうブルボン。グッズの試作品を作ったので試用してみて欲しいとは聞きましたが......」ガサゴソ
「これは......腕でしょうか、マスター」
「なんですコレ......説明書を読んでみますか......菓子粉砕器?」
「これを使用するとお菓子を砕いてパウダーに出来る、とありますね」
「値段は2200円ですか。玩具随分高い様な気がしますが性能はどうなんでしょうか......」
「早速使用してみてはいかがでしょうか、マスター。この煎餅を提案致します」
「まあ使ってみないと分かりませんね。これなら小さいですし大丈夫でしょう。どれどれ」バキッ
「故障を確認。バラバラになりました、マスター」
「素手で使ったのが不味かったのでしょうか......試作品はまだありますし手袋つけてやってみれば......」バキッ
「再度故障を確認。この玩具による煎餅の粉砕は困難と判断します」
「嘘でしょう...!?玩具とはいえ2200円かけて小さな煎餅すら砕けないんですか!?」
「そのようです、マスター。この商品は改善の必要があると考えられます」
「そうですね。こんな物をグッズとして出す訳にはいきません。作り直してもらわないと...!」
その後、必死に改善案を出し続け、なんとか大抵のお菓子を砕けるようになりましたが......何故か輸送・量産が非常に困難となりほとんど流通しなかったそうです。
どうしてなんでしょう......?
終わり
≫135二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:44:07
こんにちは!2000の特技を持つ女!パラシンちゃんです!
私は今何をしてるでしょうか?
正解は寮の夜間巡回のお手伝いです!
前任のウマ娘の人が巡回中に倒れたから代理ですよ代理!因みに十万石饅頭5つで引き受けました!
むむっ!?私のアンテナにビンビン反応がありますね
これは確実に何かいますよ...そこだっ!
霊がーn
「わたしダヨ」
おっと、危ない... ちゃんじゃ無いですか?どうしたんですか?こんな所で?
「よるのさんぽダヨ」
成程、でも最近は物騒ですから早く帰ったほうが良いですよ!先日も一人倒れてますから!
「わかッタ...かえルネ」
気をつけてくださいね!不審者がいたら直ぐに呼ぶんですよ!
────────
ふぅ〜いい汗かきました!でも肝心の幽霊は見ませんでしたね?ん~?前任者は極度のビビリだったって事ですかね?まあいいです!問題無し!ヨシ!
さっ!さっさと寝ますか!おやすみなさいです!
────────────
今回のオチというか後日談
そんなものは無い
パラぴょいパラぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part342【TSトレ】
≫19別概念ファルトレ第4'話1/421/10/30(土) 00:21:54
“もやもや★Obbligato”
「ワン、ツー、ワン、ツー、……ここでステップ!ターンして、上手!逆ターンして、下手!そして……キメッ!」
「……うーん、最後の決めポーズ、半拍速かったかなぁ……。最後だしびしっと決めたいなぁ……」
「失礼します。ファルコンさん。施錠時間です。」
「フラッシュさん……うん、わかった」
フラッシュさんにレッスン室のカギを閉めてもらって。カギの返却を待って一緒に寮に帰ることにした。
トレーナーさんは今日病院でウマ娘化の検査。だから私は一日オフだったけど、朝から空きレッスンルームでひたすらダンスレッスンをしていた。でも全部が全部微妙に上手く行かなくて。結局もやもやした気持ちのままこうしてとぼとぼ歩いてる。……ダメダメ!ファル子はいまやトップウマドル!しょぼくれタイムをいつまでも引きずるのはNG!そんな事を考えてたら。
「……全く、感心しませんね」
「……へ?」
「レッスンとは、“出来ない事の習得”と“出来る事の反復練習”の為に行われるべきです。気持ちの整理などという、試行過程も達成条件も不確かな目的で行うなどもっての他です。作業の効率が落ちますし、何より負傷の確率が上がります」
「うぐっ……」
「そして結局その目的も完遂できなかったようですが」
「うぐぐぐぐ……」
「…しかし、一般的に不安を他者に共有することによって、心理ストレスの軽減が見込まれます。解決策の提示までは保障しかねますが……お聞きしますよ?」
「フラッシュさん……ありがと。えっとね……」
20別概念ファルトレ第4'話2/421/10/30(土) 00:22:42
「私、ウマ娘になっちゃったトレーナーさんを見たとき、驚いたけど、すぐに安心したの」
「変わらないものを見つけたから、ですか?」
「うん。トレーナーさんのおうちに行くのは初めてだったけど、聞いた通りに紙がぐっちゃぐちゃで、最低限生活できればいいーみたいな感じで。出てきたトレーナーさんも、とっても可愛くなっちゃったけど、一番にファル子の目を見てくれるのは変わらなくて。喋り方も前と同じだったからその時は全然心配してなかったの」
トレーナーさんのおうちに上がる関係上変に緊張してたのは言わないでおく。
「それで、トレーナーさんにウマドルになってみない?って言っちゃったの。きっとトレーナーさんも不安だったんだろうけど、ウマドルらしくいなきゃって、元気をあげなくちゃって思って」
あと、トレーナーさんと一緒にウマドルになれば距離も縮まるなんて、ウマドルにちょっと似合わないやけくそめいた下心もあったり、なかったり。
「その後もトレーナーさんを走らせてみたりして。同じダートが得意だって分かったらいてもたってもいられなくなって。併走しようなんて言い出しちゃって」
自分が、嫌になる。勝手に舞い上がって、勝手に話を進めて。挙句の果てに。
「走ってた時に。ラストスパートを掛けた時に。分かってた。とってもすごい想いが後ろから追ってくるのが。それに応えたくて、思いっきり逃げちゃった。」
思えば、それがキッカケになっちゃったのかもしれない。
「終わったら、トレーナーさんが倒れちゃって。気づいた時には喋り方も変わっちゃってて……!」
もしかしたら、今日の検査で、何か大変なことが起こってるのかもしれない。そう思い始めたら、ダンスでぽいできてたいやな予感もどんどん戻ってきて。
21別概念ファルトレ第4'話3/421/10/30(土) 00:23:06
「……不可解ですね」
横で黙っていたフラッシュさんが疑問をこぼす。けれども何が疑問なのか分からなくて。混乱しながらフラッシュさんを見る。
「どうせウマドルになろう、という提案を出したのは進展しない関係を焦ったのもあったんでしょう」
「ぎくっ」
「…ですが、そこを勘案しても、先程述べられた理由を考察しても。あなたが他のウマ娘を勧誘することはあっても。自身のトレーナーに、大切なファンに、そんな提案をして、無理矢理表舞台に引っ張り上げるようなことはしないはずです」
そんなの、私が勝手に暴走しちゃっただけで、そのせいでトレーナーさんが。
「本当に、それだけなのでしょうか。あなたの、人とウマを見る目が曇りに曇っていた、なんて言い訳はウマ娘になったトレーナーの従来の癖を瞬時に見抜いたことからも否定されます。……何か、無意識下でも。感じ取ったのではないですか?」
無駄だと思いつつも、記憶をたぐってみる。普段のトレーナーさんの様子。ウマ娘になった当日の朝。受け取った電話の声色。部屋に散らばっていた楽譜。ライブ衣装を着せた時の表情。ダートを走っていた時の表情。そして、私を追っていた時の。
「……あ」
繋がった。
22別概念ファルトレ第4'話4/421/10/30(土) 00:24:16
「…何かが掴めたようですね。あえてこの場では聞きません。きっと、明日以降のファルコンさんたちの様子で伝えてくださると、信じてますから」
「……でも、結局トレーナーさんが変わっちゃうかもっていうのは」
「ああ、それに関してはそこまで心配する必要はないと思いますよ」
「へ」
「これも少々無責任な信頼ですが、ファルコンさんならきちんと見つめることができたならきっとトレーナーを見つけることができると思いますから。それに聞いた話では自己認識はしっかりしているんですよね?」
「あ、うん。呼びかけにもちゃんと答えられてたし、記憶もしっかりあるみたい」
「ならば大丈夫でしょう。今までの侵蝕事例はまずそこが曖昧になります。口調だけが変わった、というのは中々稀有な例ですが数少ない前例も例外中の例外ですし。何より重要なのは、ファルコンさん。あなたがしっかりと向き合えるか、だと思います」
「しっかり、向き合う……」
「不安を抱くことも無いと思います。あなたの答えは、きっと正しい。……最後に一つ。具体的方策は期待しないでほしいと言いましたが、多少のお節介と共に一つ。あなたは昨日レースの練習をし、今日ダンスレッスンをしました。───では、もう一つ、やるべきことがあるのではないですか?」
「───そうだね。そして、一緒に出来る人も、呼ばなくちゃ。……よぉーし☆ファル子っ、完全復活♪全速!前進!全力!一杯!ココが決め手だかけるぞスパート☆」
「ふふ。応援していますよ。ただ今日は寮に戻ったらすぐにお風呂に入ってください。それからストレッチ、マッサージ、予復習に課題の進行……就寝時間まで、しっかりスケジュール通りにやってもらいます」
「えぇ~!今の今までレッスンしてたんだしちょっとぐらい多めに見てよ~!」
「駄目です。ファルトレさんからも私のトレーナーさんからもしっかり面倒見るように言われているんです。そのにやけ顔をやめてください。どうせファルトレさんからはあなたの期待している感情とは別のベクトルの感情しかないんですから。もう少し現実的な想定のもと、現実的にアプローチを進行してください。大体いつも……」
長くなりそうなお説教にげんなりしつつ。トレーナーさんへの計画を頭の中で組み立てるファル子なのだった。
≫52二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 01:20:15
ネイトレがそもそも高身長かつ女性なんでヒェーってなっちゃうので、ベガトレやリウトレ相手にする事になりそう
ベガトレはお礼した後アルとチェンジしてる
「ちょっとだけ驚いてたみたいですよ」
「え、ダメだったかな?」
「……やっぱり顔と身体はいいなぁうへへって思ってます」
「ベガトレ先輩……姉御というかおっさんですそれ」
リウトレの場合はとった後にネイトレが周りを見渡してる
「……シリウス見てないよね?」
「やましい事したわけじゃないんですから大丈夫ですって。ていうか先輩も糸くず付いてますよ、肩のところ……これ。取れました」
「うそ!ありがとう、ごめんね」
≫57二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 02:02:07
試練の女神「愛の、流石になんの試練も無しにキスするだけで子供ができるというのはどうかと思いますよ」
愛の女神「ええ……試練のだって理不尽にヒトを酷い目に合わせてたじゃんならご都合的にいいことも起きるべきでしょ」
試練「別宇宙の私の話を持ち出されても困ります。ともかく奇跡には試練が必要です」
愛「ええ〜」
運命の女神「ほぁ〜お供えの煎餅美味……」ボリボリ
試練「運命の、何か良い考えはありますか?」
運命「え?連続十回くらい絶頂すればいいんじゃない?」
試練「成る程、それなら相応に困難も伴います」
愛「愛ある行為だから私は文句ないよ」
試練「ではそのように」
運命「お供えの梅昆布茶美味……」
≫62教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 03:50:25
教官、という仕事がある。
担当を得られていないフリーのウマ娘を指導する業務であり、専属を持つトレーナーと比較して、人気は低い。
前者がこれはというウマ娘をスカウトして一対一で向き合い、絆を育み、栄光を得られる可能性を秘めているのに対して、
教官は『誰にも選ばれなかった(あるいはまだ選ばれていない)』ウマ娘を『一対複数』で受け持つ、絆や栄光といったトレーナー職に期待されがちな要素と縁のない業務であるからだ。
というか折角トレーナー資格ゲットしたんだからトレーナーしたくない? したいよね。そうだよねわかるようん。
そういった事情から教官職は常に人材に飢えている。この業界に入って日の浅い新米トレーナーや、その時担当を持っていないトレーナーが宛がわれることも多く、加えて複数人を受け持つので指導の精度は高くならない。
もちろん、重要な仕事である。
国内トップクラスのトレセン学園と言えどトレーナーの数には限りがあり、常に一定数のウマ娘が独りで戦うことになるのだ。そんな彼女等に対する数少ないサポートが、どれ程の重みを持つか。教官を名乗る者達は、それを忘れない。
それはそれとして、指導のレベルは高ければ高い方がいいだろう。
なので、こうしたらどうか、という意見が某世紀末覇王の黒子より出されたのである。
63教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 03:52:05
そういう訳で、しがない一トレーナーの自分は、大勢のウマ娘の前に立っているのだ。
彼女等の瞳はキラリと輝いていて、これから行われる事への期待のほどが窺える。当然ながら、自分が彼女達からこんな視線を貰ったことはないので、ほんの少し暗くなったりもするが、気にしても仕方ない。
自分の隣にいる人は、ここトレセンでも『上澄み』なのだから。
「教官!」
「きょーかんきょーかん!」
「なんでありますか生徒諸君!」
「隣にいるその……すっごくすごい方は誰ですか!?」
「言いたいことはわかるけどやめようねッ! この方は───」
彼女達の視線の先にいるのは、並み居る競走バの誰よりも小柄なウマ娘だった。ただし背丈のみ、と注釈がつくだろうが。
よくも悪くも、人目を惹き付ける風体であった。
女性用のスーツを押し上げるあまりに豊満な胸部に、美しいラインを描く臀部。やや童顔ながら整った相貌はしかし、見る人を自然と元気付けるような、性別に依存しない魅力に溢れた笑顔を浮かべている。
劇毒に通ずる性的魅力と暖かな太陽を想わせる人間的魅力の奇跡的な調和がそこにはあった。
「───この方はあのナリタタイシンのトレーナーさんであります! 今日一日、君たちの教導をしてもらう方です! この機会を無駄にすることなくトレーニングに励み、タイトレ殿の指導をぜひ、今後の糧にしてほしいでありますッ!」
64教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 03:57:26
つまりは予行練習である。
『現在チームを持たず優秀なトレーナーは多く、学園としてはいずれ彼等彼女等にも一団を率いてもらいたい』
からの、
『複数のウマ娘を同時に指導する場として、教官業務は最適であると考える』
によって、トレセンが誇る名トレーナーが一時的に教官───『特別教官』になるというイベントが発生したのだった。
無論、いかに優秀なトレーナーと言えどもチーム経験ゼロで指導の場に放り込むような真似を企画側が許すはずはなく、そのトレーナーに合ったウマ娘の少人数のグループが新たに編成され、指導の負担軽減と精度向上が計られている。
今回でいえば、驚異的な末脚で知られる追い込み型のウマ娘、ナリタタイシンを育て上げたトレーナー(元は普通の男性だったらしい)が一日受け持つことになったのは、同じく追い込みを脚質とする少女等であった。
(……いいトレーナーだな)
太陽が頂点から退き、緩やかに降っていく頃合い。
給水用のボトルやタオルを運びながら、自分はタイトレ殿の指導風景を想起する。
G1ウマ娘の育成者という肩書きに違うことなく、タイトレ殿は高い指導能力を発揮した。
前もって『最低限これはやってね』と指定されていた練習メニューを難なくこなし、各教官に委ねられた時間では、レース中盤での疲弊を軽減する走り方について、素晴らしいレクチャーを施していた。
特に『末脚』と呼ばれるレース終盤に爆発的な加速を発揮する技能への見解には目を見張るものがあり、しっかり纏めて然るべき場所へ出せば、トレーナーとしてより一層の評価を得るだろうという確信があった。
そして何より、
「そうそうそんな感じだ! あとはそこをこう……そう! いい感じだぞっ!」
「ちゃんと出来てるか不安なのか? 大丈夫! よく出来てるよ! それでも不安なら、走ろう! しっかり見てるぞ!」
とにかく、明るく、朗らかなのだ。
タイトレ殿は言うなれば隣にいてくれる太陽だった。あっちから側に来て、力強く笑って、触れる者を問答無用で暖めてしまう。
それでいて焼き殺すことはないのだ。分不相応な輝きに手を伸ばしたなら羽を失って然るべきだが、この太陽を相手に蝋細工の翼を携えたなら、『すっげー!』の一言が返ってくるのみだろう。
やや暑苦しい、よき隣人。それが、端から見た自分のタイトレ殿への印象だった。
65教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 03:59:00
「生徒諸君! 水分補給の時間でありますッ!」
練習場を回りつつ、生徒達へタイトレ殿について聞いてみると、やはり好意的な感想が多い。
曰く、タイトレ殿と話していると前向きになれるのだとか。
善いことだ。素直にそう思う。
選抜レースに出走した上で、ここに居るウマ娘は少なくない。
それはつまり、名だたるトレーナー達から『光るものがない』と評価されたということだ。
その事実を肌で感じているのだろう、酷く焦燥していたり、憂鬱げな表情を浮かべる彼女等を見かける度に、心苦しさを覚えずにはいられなかった。今の自分は、何の力にもなれないのだから。
だからこそ、善いことだ、と思う。
常々抱いていたはずの嫉妬心が、ちっぽけなものに見えてしまうほどに。
「教官教官! タイトレさんがいないです!」
「むっ」
そう言われて辺りを見回すと、なるほどいない。
練習はつつがなく進行しているらしいので一安心だが、タイトレ殿が目に見える場所にいないのはちょっと不味いだろう。
教えてくれた生徒に感謝して、最近えげつない程に良くなった五感を駆使してみると、はたして練習場の片隅に姿を見つけたのだ。
喧騒から少し離れたそこに、二振りのしっぽが揺れていた。
長身のウマ娘と話しているようだった。見覚えのある生徒だった。
二人の会話を失礼ながら少しばかり盗み聞いて、自分はその場を去った。
◾️
「教官、少しでいい、時間をくれ」
要請を快諾し、下手なりに茶を淹れる。
自分と彼女、二人きりでテーブルを囲むのは、タイトレ殿と話していたウマ娘である。
66教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 04:00:56
「端的に言う。……おれは、やっぱり、逃げウマだと思う」
言葉の節々から不安と心細さが滲んではいたが、それでも彼女は目を逸らさずに言い切った。
彼女は語る。
地方におけるウォーロード、負けることなどあり得ない、街一番の大逃げ娘。
更なる強敵を望み、期待を背負いて意気揚々と中央入りを果たしてみせて、
「───抜かされた」
そう、地方の大逃げ競走バは追い抜かされたのだ。
先行バに、差しウマに、追い込みに、次々と、当然のごとく、己など眼中にないと言わんばかりに。
初めての敗北は、惨敗の二文字に呪われた。
「それで、怖くなった、抜かされたくないと思った、だから」
追い込みの戦法をするようになった。するようにした。
はじめから後ろにいれば、抜かされないから。
いつしか彼女にとって恐ろしいのは敗北ではなく抜かされることになっていた。
「では、よろしいので? もちろん、次回以降、追い込みグループから逃げグループの方に移ってもらうというのは、もちろん出来ますが、そういうことで」
「……それだけなのか?」
「何がでありますか?」
「勝手に自惚れてぶちのめされて、落ちぶれてサボって当たり散らして散々迷惑かけた挙げ句サヨナラバイバイしようとしてるおたんこにんじん相手に、あんたはそれだけで済ませるつもりなのか、って言ってるんだが」
そう一息に言い切って、彼女はぐいっとカップの中身を飲み干した。もったいない。そこそこ高い茶葉らしいのに。次を注ごうとポットを持つと、彼女の視線に険しさが混じる。
誤魔化しは許されないらしい。軽く息を吐き、前を向く。交差する瞳には罪悪感と断罪願望。
67教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 04:02:52
「……これは教官の独り言と思ってほしいでありますが、まあ、『及第点』かと」
「……及第点」
「いかにも。挫折して自分に失望した後、さっさと地元に帰らなかったのは、アナタが少なからず『誰か』のために走っていたからでしょう。
それが他者からの糾弾への恐れか己の意地か、まあそこら辺は知りませんが、それでなんとかここまで生き繋いで、こうしてチャンスを拾ったのです。花丸に値します。
それはそれとして『抗い方』がクソ雑なんでたくさん減点してます。なので及第点であります。いかがでしょう?」
「……」
「納得しないでありますか。では一つ、お聞きしましょう。───アナタは、あのトレーナーから何を得ましたか?」
しじまに満ちる。
明日の予定を確認して、新しくお茶を淹れて、なんとなくそれらしく見えるように口をつけてみて、彼女の伏せられていた瞳が露になった。
◾️
「恥ずかしいと、思った」
口調は静かだったけれど、激情の発露に違いなかった。
68教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 04:05:17
「なんか知らないけどさ、初見でその、見抜かれたんだ。悩み事かぁ、相談に乗るぞぉってなって、まあ所々ぼかしつつ話して。いやに明るく接してくるもんだから、おれもいい気になって、楽しくなって、こんなヒトがおれのトレーナーだったらなぁって思ったんだ。でも、タイトレさんが、タイシンさんのことを話してるのを見て、おれは、そう、恥ずかしくなった。
───自惚れな上に妄想癖で、救い難くて。あのヒトの輝きは、輝こうと必死にもがき苦しんだ、小さなステイヤーがいてこその輝きなんだって。そう思って、おれ、おれはさぁ、おれの恥ずかしさを、自覚したんだ、理解できたんだ」
「そう、でありますね」
「……変わりてぇ。───変わりてぇ……ッ! 強くなりてぇんだよ教官……っ、もっと、もっともっともっともっとッ!! もっと強くなって、速くなって、おれは、おれが誇れるおれになりてえんだ……ッ! 必死になって足掻いてもがいて、何がなんでも輝きたいっていうおれに……ッ!」
「誰も聞いていないであります。教官は猫舌なので、あちってなってお茶を溢したのであります。だから」
「あああ、あああああああ……!!! 走りてえっ、走りたいっ、速く早く疾くっ! 怖いよっ、取り返せんのかなぁっ!? たくさん無駄にしちまった……! でも、それでも輝きたい……ッ、誇れる自分に、相応しい自分にっ、なりたいんだよぉッ……!!!」
その日、とあるウマ娘が翼を得た。
そしてとある教官の上着がずぶ濡れになった。
69教官ちゃん奮闘記(仮)21/10/30(土) 04:06:58
「なあ、ちょっといいか?」
「なんでありますか、タイトレ殿」
次の日。
特別教官二日目。
自分は、タイトレ殿に声をかけられた。
柳眉を不安げに歪めて話すには、先日二人きりで話した生徒の姿が見当たらない、自分が何かやってしまったのかもしれない、とのこと。
───さて、どう返してくれようか。
『残ってれば明日も会えますよ』の返しに『次にあのヒトの前に立つのは、誇れるおれだ』と言い残して去った訳なので、言い訳の選択肢がだいぶ少ない。
彼女の笑顔に苦笑を返しながら、眼前のうるうるおめめ爆乳幼女(成人済み)にどう対応したものかと途方にくれるのだった。
「それにしても、ウマ娘の教官さんなんて珍しいな! 初めて見た! ……今の失礼だったな、ごめん!」
「……。HAHAHA、いえいえ別にお気になさらずジッサイ珍しいでありますからねぇ」
「ところで君、オペトレさんの弟子なんだって? 知り合いの間で話題になってるんだ。あの人副業扱いしてる会社でいつも忙しくしてるから、滅多に弟子は取ってないんだ」
「……。HAHAHA、いやもうほんとかのテイエムオペラオーのトレーナー様とお近づきになれるなんて望外の僥倖でありますはい」
≫165フジトレは年上相手だと敬語21/10/30(土) 08:08:57
「スイトレさん?」
「は、はいぃ」
「フジから聞きましたよ?最近スイープちゃんが夜な夜な寮を抜け出してるそうじゃないですか。ほぼ、毎、日」
「あ、あー、はいぃ、その件については、」
「あまつさえ、トレーナーと、連れ立って」
「あ、あははぁー。フジトレちゃん、ひょっとしてそのー」
「怒ってます♡」
「え、えーっとこれはそのぉ」
「その?」
「蛍が、必要でしてぇ」
「わざわざウマ娘を夜間外出させる理由は?」
「え、えぇーっとぉ」
「買えば済む話では?」
「こ、ここらへんだと売ってなくてぇ」
「そもそもウマ娘に校則を破らせるのはトレーナーとして監督不行き届きですよね?」
「ひぃん」
「こちとら先輩のおかげでフジが寝不足気味なんですよ」
「し、私怨だぁ」
「やですね、理由はベテランのアラフォーにもなって担当ウマ娘に校則を破らせて他人に迷惑かけるような先輩に腸煮えくり返ってるからですよ」
「ひ、ひぃん!」
「先生から落とし前つける許可は貰ってますので、『しっかり』お話しましょう?セ・ン・パ・イ?」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
その後、スイトレはこってり絞られた挙句にフジトレと各々の担当ウマ娘に回らない寿司を奢らさせられたのであった
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part343【TSトレ】
≫29多分ヤケ酒してた21/10/30(土) 08:39:19
SE:インターホン
「オハヨーゴザイマスッ!トレーナーさん!」
「んぅ、おはよエル……」
(イ、インナー姿は色々とまずいデスよトレーナーさん!?しかもノーブラ!?)
「トレーナーさん、なんていう格好で出てきてるんですか……」
「いや、酔っ払ってそのまま……着替えるのも億劫でさ」
「だからってブラジャーはしておきましょう?」
「あー……うん。まあ宅飲みだったし」
「それにそんな恰好だと色々危ないですよー。」
「エルなら平気だろ」
「……出たのが私じゃなかったらどうする気デスか!ちゃんとした服着てください!!」
「まあエル以外の人と会うならなんか着るさ」
「もぅ……」
その日の夜
(トレーナーさんは信じてくれてるのに……私は今朝の光景が、光景が……!!)
エルの性癖に輪チラが増えた!
≫35二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 08:43:57
いちゃつくおっさんどものはなし
「ひんひん……次やったら、わたしの財布で払ってもらうってフジトレちゃんにおこられた……」
「おやおや。フジトレさんも意外に勝ち気だね」
「オペトレは怒ってないって言ったのにぃ……」
「君にハブられたことに関してはちょっとさみしいよ私は(´・ω・`)」
「そ、それはほんとごめんねぇ……?」
「あーぁ……お金がいっぱいあったらいいのにねぇ。スイーピーの為にいっぱいいろんなことができるのにねぇ」
「悪銭身につかずだ。金があるに越したことはないが、君の財布は誰か、しっかりした人に握ってもらう方がいいかもしれないね」
「それはそぉ……ぜったいこわくない優しい人にずっとめちゃめちゃ甘やかされてたぃ……」
「中々強欲だね。そういう人に心当たりでもあるのかい」
「……オペトレがわたしと家族になったら、すぱだりになってくれる???」
「私か……確かに君の満足のいく世話はしてやれるだろうが、やはりオペラオー第一になってしまうからね……」
「うん???」
「ひん???」
うまぴょいうまぴょい
≫92二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 09:22:54
前略。今日も戻っていない。
「おや?おはよう、寝坊助トレーナーさん」
「ん……おはようネイチャ」
「と言ってもあたしより十分遅いだけだけどね。今朝食用意してるとこだから待っててねー」
「ありがとー……」
……ん?おはようネイチャ?
辺りを見回す。ここは私が住んでるマンションの一室、そのリビングに置いてるソファの上。ちゃんと着替えてパジャマ姿になっている私、うん偉いぞ。でもベッドで寝てなかったせいか身体がギシギシ痛い……気がする。
そしてネイチャが私服姿でキッチンに立っている。流石に裸エプロンなんて格好ではなかった。圧倒的セーフ。ああ、朝からなんて美味しそうないい匂い……。
待って私。途中経過が抜けている。なんでネイチャがここにいるんだろう。全然思い出せない。今朝に至るまでの私の動きがまるでない。……なんだか自分の服に少しネイチャの匂いを感じる。これは、ひょっとして、、、
ヤってしまったかな?
「なああぁぁぁぁぁ……!!!」
「どうしたのトレーナーさん!?」
「ごめんネイチャ……!責任は取る!いや元から取る気だったけど、改めて取るから!」
「ちょっと待って、ネイチャさん状況が見えてないよ?」
「あああ嘘だぁぁぁぁ!!なんにも覚えてないとかそんなのアリなのぉ!?」
「だから何言ってんの!?よーしよしよし落ち着いてー落ち着いてー!」
慌てて駆け寄ってきた宥めようとするネイチャの手にキラリと光る何かが見えた。同時に自分の薬指にも嵌めている何かの存在にも気付く。
……あ、これ夢だな。
気づいてしまった瞬間、急に視界がぼやける。全ての音が、撫でられる感触が遠のいていく。しまった。夢だとわかっていればもう少しだけ、もう少しだけ……何をしていたんだろう。
───ピコン。どこか軽快な音がした。
93二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 09:23:26
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おはよう、寝坊助トレーナーさん」
「……おはようネイチャ」
…… 辺りを見回す。ここはトレセン学園の私に与えられたトレーナー室、そのソファの上。なるほど、身体がギシギシ痛い。というかちょっとおでこが痛い。
そしてピコピコハンマーを携えたジト目ネイチャ。
「もしかして寝不足気味です?トレーナーさんがそんなのならあたしも猫動画見放題週間、解放しちゃおっかなー」
「ねえ、ネイチャ」
「なんですか?」
「……ちゃんと責任取るからね」
「ふえっ!!?」
慌てたネイチャの手から滑り落ちたピコハンが私の額に再度クリーンヒットした。
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part344【TSトレ】
≫21二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:03:15
『天弓、秋空裂く一矢』
「……で、結局なぜあんたまで流鏑馬の準備に参加しているのだ」
「いやーねえ、なんか変な夢見てねえ……」
そう語るのは生徒会副会長にしてシャドーロールの怪物、ナリタブライアンとそのトレーナー。
駿大祭における流鏑馬の準備は昨年度と同じくナリタブライアンとシンボリルドルフの二人が準備する予定であったのだが……何故か、今年はブラトレまで一緒に参加していた。
「夢とは何だ。あんたは夢見一つでころころと行動を変える奴だったか?」
「いやまあ、そんなわけじゃあないんだがねー。いやホント変な夢だったんだよ。なんか偉そうな人が3人ほど土下座……してた気がする」
「土下座?」
「いまいち覚えてないからアレだけど、風評だの復興だの?とりあえずなんか駿大祭に参加して助けて?みたいなこと言われた」
「ものの見事に怪しさしかないな」
「まあそんなわけで、流鏑馬のトレーニングに俺も付き合うわけだよ」
「おい待て、お前もやるつもりなのか。そもそも弓を引けるのか?」
「……まあなんとかなるっしょ」
「ハァ……まあ最低限くらいは教えてやる」
「サンキュ、ブライアン。まあ、皇帝の前哨戦とでも思ってくれ」
こうしてブライアンとブラトレは、日常のトレーニングとは別のトレーニングを行うことにした。
最初のトレーニングとしては、まず弓と矢筒を抱えたまま走行するトレーニング。
次に、走りながら弓をつがえるための動き方のトレーニング。
そして、障害物を回避しながら走るための障害走トレーニング。
チーム練習などの時間は確保しつつ、その他の時間をうまく利用してブラトレは練習を続けていく。
ブライアンの心配とは裏腹に、ブラトレはどんどんその基礎技術を吸収していった。
22二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:03:30
「不思議なもんだな、最初は走るのには邪魔だろうなーと思ってたんだが、案外手に馴染むもんだ。今じゃ手にしながら普通に走れるようになったし」
「ああ、これは勝負服に近いものなのだ。伝統的な製法によるもので、1000年以上の歴史があるようだよ」
そう語るのは生徒会長、シンボリルドルフ。今回突発的な参加となったブラトレに、技術の指南を行っていた。今まで全く気が付かなかったがトレセン内にも道場がある。そこに弓道場として使える場所があったため、狙いのつけ方の練習を行っている。
「ふぅむ、歴史ってのは連綿と続くもんだとはわかってたが、ここまで長いと驚きより感嘆のほうが出るな」
「それだけ、三女神は信仰されてきたということなのだろうね、ブラトレ君」
語りながら弓の弦を引くルドルフ。放たれた鏑矢は、狙い過たず的へと直撃した。
「お見事。まだまだ手を付けて一週間程度じゃ技術ではかなわんね」
「そうだろうか?君の眼は、そう言っていないようだがね」
「……ま、俺も負けず嫌いってわけよ。もうちょっと付き合ってもらえますかな、生徒会長殿?」
「ああ、良いだろう。一意専心、取り組み方によって技術というものは如何様にも身につくものさ」
静かに弓を引き、視線を合わせる。以前外した時の目線を思い出し、力のコントロールを適切に行う。
矢の向き、風の吹き方、遠くの的、その三つのピントを合わせていく。
そして、今だと見えたタイミングにて、矢を放つ。一閃、的の中央をとらえることができた。
「素晴らしい集中力だ。これを後は、走りながら行うわけだね」
「ぐっへーそれきついよルドルフ会長……」
「いや、案外君ならいけるかもしれないよ、ブラトレ君」
「……それは俺の走りを見てそう判断したので?」
「そうだ。君の走りは周囲を把握しながら走る、情報集積型の走法といっていい。ならば君の洞察力をもってすれば、どの進路を進み、どの位置から矢を放てば的に命中するかの把握もできるだろう」
「買いかぶりすぎでしょうよ、俺の走りはあくまでチームのものなんだから」
「ハハハ、そう思ってもらっても構わないよ。最も──この皇帝がそう感じ、そう口にした。そのことだけは確かだと伝えておくよ」
「……おー、怖い怖い」
改めて皇帝の“視線”の強さを感じ取ったブラトレは、まあやらなければわからんねと口にして練習を続けることにした。
23二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:03:47
本日はいよいよ実戦となる。
模擬練習場の小さめの山に、十五の的が用意される。それぞれうまく隠されており、ある程度の方向からしかわからないよう設置されているらしい。
『的が矢を受けたら信号を放つようにしている。もし的に当たりさえすれば、どちらがあてたのかもこちらからは把握可能だ。二人ですべての的を当て終えたら、そちらに連絡が行くようにしているよ』
「ハイテクだなあ……まあそうでもしないとわからんか」
インカムから会長の声が聞こえる。耳にかるく巻き付けておける、ウマ娘用のものだ。
軽く準備運動をする。今回着用している白地に金の装飾、赤い袴の和装も勝負服と同じようなものらしく、わざわざ仕立ててくれたらしい。
『ブライアンも別の場所からスタートとなる。これまでに鍛えられてきた不失正鵠たる君の弓の腕前、楽しみにしているよ』
「へいへい、当然タダで負けてやる気にはならんからね。それに負けた時には……」
『ふむ、負けた時には?』
「いや、何でもないない。準備が大丈夫ならもう始めてもらって構わんよ」
『了解した。健闘を祈っているよ……ちなみに開始の合図だが、練習においては法螺貝を使うことにしている』
「……それも伝統で?」
『そういうことだよ。“ほら、解”しただろう?』
「……会長のそれは伝統にはしないほうがいいでしょうね」
そう口にした瞬間に、法螺貝がぶおおおおおと突然鳴り響いた。もしや会長、嫌がらせなのか。
慌ててブラトレはスタートを切ることになった。
洞察力に優れたブラトレとはいえ、さすがにターフで周囲を確認するのと、山中において地形を把握するのでは明らかに負担が違った。足を置ける場所はどこだ?飛び上がった際の着地地点は?この道はどこまでいける?木の根っこには気をつけろよ?おっとちらりと的が見えたぞ、狙いを定めろほら早く。
実際のところ、四六時中走り回るわけではない。が、普通に立てる場所から矢を放つには、少々狙いにくい場所ばかりに設置されているのがいやらしい。
とりあえずで2個射落とし、ほかにも数個確認したところで、一呼吸を置く。今から本格的な射撃に入ろう。
ちらりと見えたのは岩の上、木の洞、しっかりと把握したのは枝に吊り下げられたもの、崖に突き刺さったもの、そして……。
「山のてっぺんに見えちゃったんだよなあ……」
24二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:04:10
本当に小さい山でやってるんだろうな?と思うくらい妙に広い山の、最も背の高い木の頂上に堂々と鎮座した的が一つ。誰だあんなところに設置しやがったアホは。
「ええい、とりあえず近くにあるやつから狙って、最終的に上のやつを狙う……」
そう考えて、ふと立ち止まる。待て、こんなにわかりやすいところにあるものをブライアンが放置するか?彼女が気づけば、直ぐに向かって狩り取っていく。そうなれば、みすみす獲物を捕り逃した愚か者として、後で好き放題にブライアンに煽られるだろう。
「なるほど、だから走りながら撃てってことか…やるか!」
野山を疾走する。視界の端に映った的を射落とす。小さな崖の、足をかけられる場所を瞬時に見抜き、駆け上がる。木にぶら下がった的を射抜く。矢筒が背中で跳ね踊る。長弓を投げ上げ、崖を駆け上がり、落ちてきた弓を手に取ってまた走り出し、射抜き、また駆ける。躍動する心が本来の狩りを想起させる。野山で獲物を追いたて、そして仕留めるその姿を。気が付けば綺麗な袖や袴は土に汚れ、野性的な趣を出している。
道は見えた。いざ駆け上がれ、山頂の首級へと向かって。
果たして偶然か必然か、頂上の的を狙う位置に走るとき、向かい側には彼の愛バがちらりと見えた。
一刻も早く射抜かねば負ける。そう考えた瞬間の動きは、実に俊敏であった。
足に力を籠め、思い切り駆け上がる。背の筒から一つを取り出し、長弓を引き絞る。
上半身と下半身、二つの向き先が異なる力を操る。到着まで3歩。
狙いを見定め、最もよい位置に見立てた到着地点を修正する。残り2歩。
左足を地面にたたきつけ、最終地点に足をかける。残り1歩。
アンカーのように右足を大地に降ろし、引き絞り切った弓を的に向ける。残り0歩。
そして渾身の矢は、放たれた。
残心をしながら向かい側を見てみれば、ブライアンも最後の一矢を放った後らしい。後は野となれ山となれ。
カァンと二つの音が秋空を割り、戦の終了を告げる音が耳元から鳴り響いた。
35二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:04:53
「結果はナリタブライアン8点。ナリタブライアン担当トレーナーは7点。惜しかったな」
「負けたかー。最後の奴はだめだったかあ…?」
「いや、頂上のものはブラトレ君が射抜いたようだ」
ルドルフ会長がタブレットを二人に見せる。
「解りやすい獲物は後回しにと考えていたが、甘かったようだ。ちっ、あれさえ狩れば私が完膚なきまでに勝利したと言えたのだがな」
「音二つ鳴ってたからマジでぎりぎりだったんだな」
「思った以上に二人のペースは速かったようだ。これならば、本番でも問題なくこなせるだろう」
ルドルフ会長はご機嫌のようだ。……あれ、本番?
「え?俺も参加するの?流鏑馬に参加できるのは二人だけだろ?」
「ああ、そのことについてだが……もう一人参加希望者が出てね」
「「それは……私だ!」」
星を身に宿す二重人格ウマ娘、ベガトレが現れた。
「ええ、ベガトレ?何でまた」
「──実は、わたしが提案したんです。集中力を鍛えるのに最適ではないかと。まさか流鏑馬に巻き込まれるとは思いませんでしたが……」
もう一人のベガトレ、アルがその桃色の瞳を覗かせて話す。聞けば、両眼を開けた時のコントロールのために、やってみようということになったらしい。
「ちょうどブラトレ君が参加するという話もあったからね、せっかくだから2戦分ということになったのだ」
「アル、いけるのか?かなり走ることになるが」
そういわれると、髪の毛を撫でつけ、黄色の瞳を覗かせる。
「問題ないよ。私もなんだかんだでベガのトレーニングに付き合ってきたからね、無様は晒さないさ。それに──「ふたり分の思考速度なら、ブラトレにだって負けやしないよ」」
両の眼が真っすぐにブラトレを見据える。
「ふっ、簡単に勝たせちゃくれなさそうだな。楽しみにしてるぜ」
「ああ、いい戦いにしようじゃあないか」
バチバチと火花を散らす二人を見て、ルドルフはほほ笑む。
「ふふふ、昨年の駿大祭を思い出すじゃないか。なあ、ブライアン?」
「……まあな」
「今年もまた、互いに牙を研ぎ澄まして戦うことになるだろう。竜虎相搏、楽しみにしているよ」
「ふっ、最近は色狂いに成り果てたと思っていたが、なんだ。まだ牙と爪は残しているんだな」
「私も、また戦いに生きる獣だということだよ」
今年もまた、秋が深まる霊山にて戦が始まる。神に捧げる御前試合に、星と狼の輝きを添えて。
≫45二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:24:32
早い昼食だけど。
??????
「最近、人使いが荒い気がするんだが。」
「どうしたのよ?」
「急だね…」
そう言い合うのは机を挟んで向かいあう三人。
一人は大層なワガママボディ、一人は引き締まった体型、一人はやべーぐらいのロリだった。
ワガママボディの彼女は口を開く。
「あいつ、俺が許したのをいいことに存分に使いやがって…」
「許したのだから当然のことでしょう?」
「うん、そうだと思う」
「貴様ら…何か思わんのか?」
「特に。彼女とは波長が合うから楽だし」
「彼には自由にさせてもらってるから」
足を組み直し、青筋を浮かべる彼女。
「貴様らはそうだったな…俺が頑丈なことも分かってて使ってるだろあの野郎…」
「そういう運命としか言えないわね」
「だよね」
キレ気味に彼女は言い放つ。
「貴様ら…足が折れても走ろうとした奴と走る気をなくした奴らがよ…」
「私の居場所はあのターフの上だからよ」
「僕は足が折れちゃったからね」
二人して別の返答を返す。
46二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:24:56
「それに、其れでも使われてるのは貴方が認めてるからでしょう?」
「俗に言うツンデレってやつ?」
「黙れ、俺はそういうのではない。あいつが使うのを良しとしただけだ。全部くれてやった覚えはない。」
「典型的ね、変わらないじゃない。私みたいに預けたら?」
「うん、そう思う。後こっちはもう溶け込んでるし」
「貴様ら…後で覚えとけよ」
そう彼女は吐き捨てる。突然、目覚まし時計の音が鳴り響くと、世界が黒く染まった。
…起き上がった私(僕)は思った。
(*1))
駄文失礼しました
嗜好を変えてとある三人(?)を書いてみました。
分かるひとなら分かるかも?
56二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 11:34:45
正解は彼女達に入ったウマソウルです。
キタトレの所の気性難ソウル
サトトレの所の幼いソウル
ファイトレの所の覚悟きまったソウルの三人です。
…流石に難しいですね…
≫167二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 12:34:12
「「タチネコの話をしてもいいの!?」」
「うわでた発酵モブ女トレズ」
「…マヤトレはいいけどボクは巻き込まないでね」
「そもそもタチっていうのは男性ならうまだっちをずきゅんばきゅんする方…ウマ娘なら単純に攻め側と考えてもらっていいわ!」
「逆にネコはおひさまぱっぱか快晴レースされる側…まぁ今回は受け手側でいいですよ!ちなみにどちら側にもなれるのがリバです!芝もダートもいけるってことですね!」
「では本題。誰がタチで誰がネコかなんだけど…まぁ基本的には担当の子にぐいぐい行ける人はタチ、逆ならネコでいいんじゃないかしら?」
「…おお?なんか普通だな」
「もっと熱く語るのかと覚悟してたんだけど」
「語りたい、語りたいですよ!…でもその…この話題火種にしかならなくて…」
「話は聞かせて貰ったわ!押しの強さがあるトレーナーはみんなバリタチよ!ブラトレ、マクトレ、ドベトレ辺りは壁ドンしてるわ!進研ゼミで見た!」
「は〜…これだから素人さんは…強い組こそネコなのよね…責めて、からかって、誘い受ける…これなんですわ」
「はい!オーソドックスにDK組が全員爛れた関係なのがいいと思います!相手によって立場が変わってたらてぇてぇが止まりません!」
「はいにわか共乙です。ヘタレ攻めが最高なんですよね…想像してみなさい?ウオトレ202があの身長で泣きそうになりながら誰かを壁に押し付けてる姿やマルトレが押し倒してからどうしようか慌てる姿を…鼻血出てきた…」
「なんか急に湧いてきたな…」
「誰しも心に悪を飼ってるってことじゃないの」
≫170二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 12:36:23
期待、 させすぎちゃった?
だってもうこんなになってる
…………いけない娘だよ
これ全部耳元で言われてるのを想像しよう
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part345【TSトレ】
≫166二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 16:31:51
マルトレ「先生、今日はお見舞いに来ました。これお見舞いの花のガーベラにせっかくなんで暇つぶし用のSwitchとゲームソフトも少々どうぞ。あとこれは今日作った手作りうどんと麺つゆです賞味期限想定は書いてあるのでそれまでに食べてください」
ウラトレ「なぜ前半のまともさを後半にも残せなかったんですか。あとゲームソフトが全てゲーム実況部で見たホラーゲームソフトじゃないですか体の良い押し付けをしないように」
マルトレ「ゲーム実況配信見てるんですか」
ウラトレ「教え子の配信はほぼ網羅しているつもりですよ。お陰様で夜も楽しく入院させてもらっています」