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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart761~765)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part761【TSトレ】
≫20キスマーク22/05/22(日) 21:00:36
「『担当にキスマークをつけてもらわないと出られない部屋』ー?今口紅とかは持ってないなー。パーマーは持ってないー?」
「私もないね……どうしようトレーナー」
「そっかー……じゃあ、いいよー」
「え?」
「こういうのって首元につけるんでしょー?……嫌かなー?」
「えええ!?い、嫌じゃないけど……」
「無理しなくていいからねー。でもー……私はパーマーにならー……いいよー?」
「っ!……ごめんね、トレーナー…!」
「んー…」
「おぉー。出られたねー」
「ホントごめんねトレーナー!大丈夫?痛くなかった?跡隠さないとね…!」
「大丈夫だよー。髪で十分隠れるだろうしー。それにー…」
「それに?」
「私はー…見られちゃってもいいよー?」
「ふぇっ…!?もー!からかわないでよトレーナー!」
「あははー、ごめんねー。じゃー、トレーニング行こっかー」
そう言って歩くトレーナーさんの耳は少しペタッとなっていたけど──私がそれに気づくのはもう少し後の話。
≫24二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:13:27
グラトレ(独占力)×2
「グラス♪」
「え……えっと、トレーナーさん?」
「うん?」
「あの……学園に行かなくて良いのですか?」
「うん♪」
「し、しかしトレーニングも有りますし……」
「…………ダメ」
「トレーナーさん?」
「もし学園に行ったら他の人がグラスの姿を見るでしょ?」
「……え?」
「ふふっ、グラスのね……姿も、声も、匂いも、視線も、足音も、息も、体温も、全部全部誰にも渡さないし、グラスの見る物、聴く物、喋る物、食べる物、触れる物、全部全部俺の物にしたいんだ」
「ひっ……」
「うん、グラスの恐怖も俺の物だね♪」
「だ、誰か……」
「…………ねえ、俺を考えたよね? ねえ、グラス?」
──グラスワンダーは監禁された
≫43二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:07:20
「…あら、どうされましたかトレーナーさ…」
「ダイヤ、どこにもいかないよね?」
しがみついてくる小動物…いやサトトレに、いつもとは違うものを感じ取りつつそれでもいつものように抱き締める。
普段なら頬を赤く染めて暫くオロオロしてるのだが、今日はすぐに腕を回すと強めに抱き返してきた。
「トレーナーさん、私はどこにもいきませんよ?」
「うん、そうだよね…」
「…」
ちらりと覗くサトトレの瞳、いつもなら見える特徴的な金色のダイヤは心なしか暗く見えた。彼は縋りつくように顔を見上げる。
ウマ娘のパワーでなら、人を引き寄せることも抱き上げることも容易い。ダイヤは抱き上げようとして
「ね、ダイヤ。だから…僕の傍から離れないでほしい。僕が見えないどこかへ行かれるのはとっても嫌なんだ…」
「トレーナーさん…」
逆に抱き上げられると二人でベッドにダイブする羽目になり、上から乗られるような形で抑え込まれた。
相変わらずその目は隠れているが、その口元からは独占力とその他諸々の感情が渦巻いてるのが見える。
「…煽ってくるトレーナーさんが悪いんですよ。折角いつもじゃ見れない積極的なトレーナーさんにわくわくしてたのに…」
「ダイヤ…んう」
思い切りぎゅっと抱き締め、そのまま横に転がる。どうやら彼女の独占力スイッチも押してしまったらしい。
元々独占力を点火してる側のダイヤと、先程向けてくるようになったサトトレ。どちらが重いかは明白だった。
「…ん、かわいいです」
「んんっ…」
互いにその独占欲を満たそうとする二人。時間も気にせず、ベッドの上でいちゃつく。二人きりで誰にも邪魔されない。
───一日中ずっとこんな感じだったので、独占力のエンチャントが外れたサトトレは隅へと恥ずかしさで縮こまった。
短文失礼しました
独占力ということで、普段くらう側のサトトレに向けてもらいました。ほらもっと独占力を向けるんだトレーナー達。
独り占めしたくて束縛して甘えてくる幼女…いけませんね、これにはダイヤちゃんも思わずぐちゃぐちゃにしたくなってそう。
≫51【初感情/制御不能】22/05/22(日) 23:30:15
「……ねぇ」
「ん?何だよ」
「何だよ、じゃないわよ。どうしたの?」
そう言うダイワスカーレットに答えるのは膝の上に頭を乗せている黒ダストレだ
「別に、何かよく分からねぇけどこうしたくなってな」
「変な事もあるのね、明日は雨かしら」
「るっせ、自覚はしてるからそれ以上は言うな」
そう言って顔をそむけるように転がるが顔が赤くなっているのは隠せていない
「……そう、ならもう言わない」
「そうしろそうしろ」
それから先はゆったりとした時間がすぎるのであった。
≫56二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:44:41
「大丈夫?トレーナー」
「…う、ん平気だから」
見慣れたトレーナー室のソファに座り込みながら絞り出したような声で返答を返す。
割れるような痛みの脂汗を隠して、気を抜くと震え出す悪寒を無視して、感覚の薄い左脚を握りしめる。
天気が崩れたせいか急に痛み出したこの脚が憎い。よりにもよってどうしてテイオーがいる時にこうなる。
不安そうに、真剣にこちらを見る瞳から逃れるように瞼を閉じる。
いつものことだ少し経てば収まる。歩けるようになったら一応タキトレに診てもらうか病院にでも行けばいい。
俺が我慢すればいい、耐えればいい、俺一人で。
テイオーはこれから友人達と遊びに行くんだからこれ以上迷惑をかけるな。
「…ほら、みんな待たせちゃってるんだろ?大丈夫だから、早く行ってやって」
嘘。大丈夫なんかじゃない。そばにいて欲しい。私といて欲しい。
違う、違う、ちがう。俺はトレーナーなんだから。
そう思ってるのに、身体は浅ましい本音を溢れ出す。
「…いか、ないで」
漏れ出た言葉は戻らない。
「一人、にしな、いで…」
ドアに手をかけたテイオーが振り返って微笑む。
「…うん分かった」
嫌そうな顔一つせずに私の前にしゃがみ込んで瞳を合わせてくれる。
「トレーナー。ボクはここにいるから、ずっといっしょにいるから」
「う、うぅ…ごめ…ごめん…」
「大丈夫だよ。だから、泣かないで」
顔を押さえ込んだ手を優しく離してテイオーがハンカチで涙を拭う。
迷惑をかけて申し訳ないのに、約束を破らせて謝りたいのに。
いっしょにいてくれるのが、嬉しくて。
ああ、なんて醜い独占力なんだろうか。
≫61二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:53:57
◎チアネイチャは独占力持ち
前略。ナイスネイチャがトレセン学園屋上のベンチにて悶々としています。
新人トレーナーたちに囲まれて何やら嬉しそうに応対してる自身のトレーナーを目撃して、なぜか居た堪れなくなってしまいこんなところまで来てしまいました。頼れる先輩役ができて嬉しいのが分かってても、ちょっとだけ許せないもんなんです。
「うにににに……! こんなのトレーナーさんがウマ娘になった直後以来ぃ……! ……はぁ、なーんで今更こんなモヤモヤしちゃうかなー……」
昔は考えるより先に視線の矢を射飛ばして安心を得ていたからでは? とツッコミを入れる者は残念ながら彼女のそばにいません。
(……あ、いたいた。ネイチャー。……ネイチャ?)
後ろから聞こえるのは屋上の扉の開閉音と愛しの担当を呼ぶ女性トレーナーの声。でも振り向きません。彼女は絶賛不貞腐れ中なのです。面倒くせぇ。
(……そぉーっと。そぉーーっと……)
そろりそろりと忍び足でネイチャに近づくネイトレ。いや口に出とるがな。無論ネイチャは奇行に気づいていながらあえて無視してます。ほんとこいつら。
そして彼女たちの間では挨拶のような後ろ抱き(あすなろ抱き)からの、
「だーれだ?」
「……目を隠さないとダメじゃないですか?」
「そこはまあ、『ふてくされてます。構ってくんないとやだー』って感じの背中だったから?」
「…………アタシの背中そんな風に見えた?」
「うん。そんなとこもいじらしくて好き」
口に出さずとも態度が何より雄弁な模様。
「……いいですよ、もう。アタシが勝手にやきもち焼いてただけですし、離してください」
「え? いや」
「……もしもーし? なにゆえー?」
「もうちょっと構ってほしいんでしょ。嫌ならスルリ躱せるはずだし」
「……トレーナーさんが構ってたいんでしょ?」ギュッ
「ん。半分正解♪」ギュッ
胸の前で組まれた腕に手を合わせるネイチャ。少しだけ強く抱きしめるネイトレ。……なんてことないよくある日常です。
(終)
≫70二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 00:23:50
「トレーナーさん、おはようございます」
「………」
「えっと…トレーナーさん?」
いつも通り部屋に入り、いつも通りの挨拶をしたはずが、トプトレは何も返事をしない。
ふらり、と立ち上がると背中でなにか赤いものが一瞬出て、消えるような感覚の後にそのトプトレの目がトップロードの目と合う。
そこにはいつものような光がなく、黒くぐるぐると何かが渦巻いていた。
「えっ…あの…トレーナーさん?」
「今日、誰と話しましたか?」
「え?あ…オペラオーちゃんと、アヤべさんと、たづなさんと…クラスの…みん…」
トップロードはそれを最後までいえなかった。トレーナーの耳がどんどん絞られ、脚を地面にガリガリしているからだ。
見るからに不機嫌。彼が普段そんなことはしないはずなのに。
「何故ですか?」
「何故…?」
「私以外の存在となぜ会話をする必要があるんですか?あなたのその声も、顔も、髪も耳も目も首も方も声も表情も腕も肩も脚も走りも全部全部全部全部全部私のモノのはずです。なのに何故他人に、そいつらにそれをさらけ出す必要があるんですか?」
「トレーナー……さん?」
「あなたは私だけのトップさんです。いつだってそうであるはずですし、そうなんです。なのに何故、何故何故何故、私以外の有象無象にあなたを取られなければいけないのですか?横取りされる道理は無いはずです。あなたは私だけの、私以外が目にしちゃいけないんです。一生私の傍で…ずっと…」
「ヒッ………」
「食べるものも、吸う息も、体温も聞く音も見るものも夜寝るのも朝目覚めるのも喋る内容も触るものも浴びるお湯も歯磨き粉も私だけのです」
「トレーナーさん…何かおかしいです…こう…分からないですけど…」
「おかしい……?今、誰かと私を較べましたね?何故今他人を思い浮かべたんですか?あなたには私だけが居るはずです。それで十分ですし満ち足りてます。私だけを見て、私だけに満たされてください…トップさん」
ぎゅっ、とトップロードに抱きつき、強く腕に力を入れて話さないトプトレ。するりと自身のネクタイを解くと、それを彼女の首に巻く。
「…これは……?」
「あなたが、私の、私だけのトップさんである証です。今日はもう…返しませんよ?」
トプロは────監禁されかけた
オペトレは────恐ろしいものを見た。
おしまい
≫78二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 00:44:49
「その姿……ヒシアマゾン、なのか?」
そこには俺がいた。これはうわさに聞く過去の自分が出てくる夢というやつだろうか。ヒシアマを担当し始めた頃だなぁ。
「それにここはどこなんだ!?」
……うん、普通は驚くよな。最近のトレセン学園は変なことばっか起こるから、一般的な感覚を忘れていた。
「だいたい分かったよ。つまり君は未来から来たってことだろ」
「正確には過去と未来で同じ夢にいるってことだけど」
「せっかくだから、未来の君に聞いて良いか?」
「答えられることなら」
「ヒシアマゾンは元気かい?彼女とは仲良くやってる?」
「元気だよ。今日もタイマンしたし」
「へぇ!君もタイマンするのか」
「他には聞かないのか?例えば活躍させることができるのか?とか、気を付けることとか」
初めて担当したときは色々と心配していたはずだ。
「それは……不安ではあるけど。これから俺が頑張ることだから。先に結果を聞くと慢心しそうだし」
「そっか」
元々教える気はなかったけど。今の俺はヒシアマと一緒に頑張ってきた結果だから、過去は変えたくないし。
それはそれとして、過去の俺に会ったら確かめたいことがあったんだ。
「じゃあ、俺から1つ良いか?タイマンしようぜ」
俺はどれくらい成長したのか。
80二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 00:45:13
「良いタイマンだった。……これで何戦目だ?」
「この夢、なかなか終わらないなぁ」
「流石にもうタイマンすることもないよな」
「料理対決しようとしたら食材が無限に湧き始めたのには驚いたなぁ」
「そういえば、君の料理好きはお母さんの影響かい?」
「そりゃそうだけど……。なんでそんな当たり前のことを?」
「ヒシアマゾンの料理に似てたからさ」
「?」
「ヒシアマゾンの娘だろ、君は」
「は!?いやっ、ちがっ」
──ピピピピ
「俺はお前だ!!」
嘘だろ!?ずっと誤解したままだったのか!!?
料理とか同一人物だと気づくチャンスはいっぱいあっただろ……
鈍すぎないか、おれぇ…………
自覚なしにヒシアマゾンの影響を受けまくっていたヒシトレさん、自分に勘違いされるほどに。
未来から来たとだけ言って名乗らなかったのが悪い。
シリアスなお題来たと思ってたのに……
≫83二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 02:08:08
「トレーナーさん痛くありませんか?」
「あぁ、大丈夫」
ウマ娘スーパークリークの右手には白い綿毛がついた耳かき棒。膝の上にいる俺は、その耳かきをされている最中だ。
クリークはいつも通り優しい表情で俺を見ている。そんな彼女を見てるとなんだか落ち着くな…… しかし、何故こんな状況になったかというと話は数分前に遡る――
「トレーナーさん耳掃除をしましょう!」
スーパークリークが唐突にそう言い出したのだ。
「えっ?急にどうしたんだ?」
「トレーナーさんがウマ娘さんになってから耳掃除をなさってないのではと思いまして……」
「あー確かにそうだな」
ウマ娘になってから随分経つが、耳掃除なんて一度もしてない。耳の中も汚れてるだろうしやってもらうとするかな。
「ほらトレーナーさんこっちに来てください〜」
クリークはそう言うとソファの上に座り、自分の太腿をポンポンと叩いた。
「ここに座ってくださいね〜」
「……うん」
そして今に至るというわけである。正直担当に甘えすぎている気がしてならないがこの身体になってからはクリークの世話になりっぱなしなので申し訳ない気持ちもあるのだが好意に甘えることにした。
柔らかい膝枕の上で仰向けになる。するとクリークは俺の頭を優しく撫でてきた。
「では始めますよ〜まずは外側から綺麗にしていきますね〜」
クリークはそう言って耳かき棒を手に取り、俺の耳の外側をカリッと軽く掻いてくる。
「痒かったり痛かったりしたらすぐに教えてくださいね〜」
カリッカリカリッ クリークはゆっくり丁寧に耳垢を取っていく。あまり強くなく程よい力で掻かれるのはとても心地よかった。
カリッ、コリッコリッ 耳の中に異物感を感じる。今まで感じたことのない感覚だが嫌ではない。むしろ心地よいくらいだ。
「もう少し奥の方までいきますね〜」
カリッ!コリコリッ! さっきよりも少し強い力が加わる。でもやっぱり痛くはない。
「はい終わりました〜次は中に入っていきますね〜」
クリークは耳かき棒の先端を耳の穴に入れてくる。そのままゆっくりと手前側に向かって引いていく。
「あっ…」
思わず声が出てしまった。人の身であった時はで特に何も思わなかったがこの身体になってからは初めての経験だったのでつい驚いてしまった。
クリークは耳かき棒を動かす手を止めて心配そうな顔をしている。
84二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 02:08:58
多分俺の声を聞いて驚いたのだろう。しかし、クリークの手つきは非常に繊細で気持ちいいものだったため、自然と出てしまうものだ。だから別に気にしないで欲しい。
「大丈夫ですかトレーナーさん、続けていきますね〜」
クリークは安心させるように微笑みながら再び耳かきを再開する。
カリッ……コリコリ…… 先ほどよりも更に丁寧かつ繊細な動きだった。まるでマッサージを受けているかのような感覚に陥る。これは癖になってしまうかもしれない。
「トレーナーさんのお耳、とても綺麗ですね〜」
クリークはうっとりとした声でそう呟いた。
「毎日ちゃんと手入れをしてるからな」
「偉いですねぇ、よしよし」
ウマ娘になってから身だしなみには気をつけているつもりだ。髪や尻尾はもちろんのこと、爪や顔なども常に清潔に保つよう心掛けている。しかしクリークはそれを褒めてくれた。それだけでなんだか嬉しい気分になった。
「ウマ娘になった日にクリークに教わったからな、しっかり守らないと」
あの日以来、クリークに言われたことは全て守っている。髪を乾かす時も櫛を通すし尻尾油による手入れも欠かさないようにしている。もちろん風呂上がりにもしっかりとケアをしている。
「ふふっ、私の教えを守ってくれてるんですね〜」
クリークは嬉しそうに笑った。
それから暫くの間クリークは黙々と作業を続けた。時折聞こえる小さな吐息と鼻歌だけが部屋に響いていた。膝から伝わる彼女の温もりが優しさに包まれているような気がして、このままずっとこうしていたいなと思ってしまう。
「はいトレーナーさん終わりましたよ〜」
クリークは優しく囁きかけてくる。
俺は起き上がってソファに座り直した。
「ありがとうクリーク」
「いえいえどういたしまして〜」
クリークは笑顔で応えてくれる。その様子からは疲れなど微塵も感じられなかった。
85二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 02:09:12
「どうでしたか?私の耳かきは?」
「すごく気持ちよかったぞ」
「それは良かったです〜」
クリークは満足げに笑う。
俺は耳を触ってみるが全然違和感がない。それどころか非常にスッキリした感じがある。こんなに気持ちよくなるなら定期的に頼みたくなってしまうな……
「トレーナーさんさえ良ければまたいつでもしてあげますよ〜」
そんなことを考えているとクリークは満面の笑みでそう言ってきた。
本当にありがたいことだな…… 今度これまでの事を含めたお礼をしなければと思うトレーナーであった。
≫96二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 08:48:54
「んー、腕落ちたかなー?」
「…パマトレか、それでこれは…射的してるのか?」
「そうだよー、私、射的は得意なんだー」
コルクガンを構えていたパマトレは、ふと後ろからかかったファイトレ(女)の声に顔を上げて振り向く。
表情の変わらない二人は、しかしパマトレは耳と尻尾、ファイトレ(女)はごく僅かな声色から好意的なのは分かった。
「む…先程腕が落ちたかもと言ったなパマトレ。なんとなくだがその原因が分かったぞ。」
「ファイトレさんー、その原因ってー」
数発撃つ姿を見たファイトレ(女)は、その動きからいつもより下手になった…と言っても十分上手い彼に推測した原因を伝えた。
「感覚というか、その胸だな。大方重心がその質量体のせいで崩れたから、その分手ブレが酷くなっているのだろう。」
「なるほどー」
確かに身長の変化とそれ以上にHカップの胸は、パマトレの今までの感覚と噛み合わずブレるのも当然だろう。
納得してズレを補正しようとする彼を、ファイトレ(女)は手伝おうと言い、後ろから抱き締めるような格好で支える。
「持ち方ももうちょっと…こんな感じでずらした方がいい。ウマ娘のパワーなら多少強引なやり方でも保持できる。」
「う〜んー、こうしてみると中々胸が邪魔だねー」
「そういうものだからな。かくいう私もより大きくなったせいで銃が撃ちにくくなった。…と、流石だな。上手じゃないか。」
ポンポン的に当てていくパマトレに、もう補助はいらないと離れたファイトレ(女)はその腕前に感心していた。
「ああそれと、胸の揺れが気になるならブラにもこだわるといいとも。もし相談するなら…キタトレにでも聞くといい。」
「へー、ありがとうー」
「彼ならそういうのはしっかり聞いてくれるだろう(まあ元男だが)。…それと、私も撃ってみようと思うんだが…」
───このあと二人で射的の腕を競い合ったりした。
短文失礼しました
新しいトレで一つ、射的が特技らしいのでこういうこともあったんじゃないかなと。急激に変化したらバランスは崩れるよね。
バスト3桁かつカップもここで最高級のキタトレはこういう相談してそう。パマトレの人、何か意見等遠慮なく言ってください。
≫108二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 14:41:53
「……ラブレター?」
「ああ、そうだ。最近皆の間で流行っているようだが……」
「ふーん……」
いつものような生徒会室。いつものように仕事をしていた彼女に話を振っても、彼女はぴくりとも反応しなかった。
「普段なら、すぐ何か言うと思ったのだが……」
「……私、ラブレターって貰うのは得意だけど書いたことないなぁ、って」
「成程、そんなことか」
「……そんなこと、って何さ。ルドルフだって多分書いたことないでしょ?」
「さあ、どうだろう」
「……いいもん、ルドルフに書くラブレターなんてないから」
「……それは、どういうことだ?」
軽い沈黙を明け、彼女が呟く。
「……どうせ、ルドルフならずっと私の言葉覚えてるでしょ」
「ああ、覚えているとも」
「……だからラブレターなんていらない、でしょ?」
「さあどうだろう。少なくとも、君の言葉は記憶だけに留めるというのは、とても寂しく、物足りないものだ」
「……ルドルフ、一週間後にラブレター、交換ね?」
「勿論。君の為なら、今すぐにでも書こう」
その一週間後、開いた便箋の側で顔を真っ赤にして俯く魔ルドがカフェテリアで目撃されたという。
≫114二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 19:15:52
『独占力★★★』
今日も満面に周囲にマーベラスを振りまくマーベラスサンデー。
いつもの光景いつもの日常、モブトレはやや離れたところから風景を見ながら平和を享受していた。
そこへモブトレの胸ほどの背丈しかない小さなウマ娘、マベトレが近づく。
いつもであったならマベトレが加わり巻き込まれ結果的に元気をもらえるはずであったが、その日は"違って"いた。
「ねえーモブトレおにいちゃん★ なんでそんなにマベのことを見ているのー★」
「うん?マーベラスサンデーはいつも元気だなっと思ってさ」
「モブトレおにいちゃん★」
「ん?」
マベトレの雰囲気がなにか違う気がする――そんな風に疑問に思っているとマベトレはうつむきながらつぶやく。
「マベがね~★ みんなにマーベラスを分け与える。それはとってもマーベラスなこと★
でも、みんなはマーベラスはわからないー★ わかりあえないー★
でもね★★ 私だけがそのマーベラスな景色を共有してるのー★ そしてこの景色は私とマベだけのもの★ 誰にも渡したくない★ だからね★」
そしてマベトレは顔を上げる。
「マーベラスの一端もわからないようなよわよわでざこなモブトレおにいちゃんにはマベを視て欲しくないんだー★」
――そう言うマベトレの瞳は吸い込まれるほどに漆黒に包まれていた。
115二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 19:16:10
その異様とも思える気配に押されたモブトレは本能的に危険を感じ取りその場から逃げるように立ち去っていった。
その逃げたモブトレを入れ違いのようにマーベラスサンデーがマベトレのもとへ駆ける。
マーベラスサンデーは小さくなっていくモブトレの背中を見ながら、マベトレが何を話していたのか興味津々に聞く
「トレーナー何を話してたの?それはきっとマーベラスなこと☆」
マベトレはさっきまでの雰囲気が嘘のようにいつもの顔でマーベラスサンデーと接する。
「なんでもない世間話だよー★。そうだマベ、レースも近いし作戦を練るのにも学園だと見ている人も多いしー★ 私営の施設でみんなには秘密の特訓をしよー★」
「でも、トレーナー次のレースは併走練習が鍵って言ってなかった?」
「少し方針転換★併走なら私がやってあげられるし、私のスタミナなら数人分付き合ってられるー★だからねお願い」
「う、うんトレーナーが言うなら」
そう言いその場から半ば強引かのようにマーベラスサンデーを連れ出すかのように手を引いていくマベトレの口元は嗤っていた。
≫125二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 20:44:44
「こんにちは~、グラトレですが~」
「は~い」
トレセン学園の昼下がり
普段なら校庭の片隅で野点を立てて一服している時間だ。
しかし、今日は訳有ってとある部屋の前で大きなカバンを持って部屋主が扉を開けるのを待っていた。
「グラトレちゃんいらっしゃい」
そう言って扉を開けて出て来たのはフジキセキ担当トレーナーのフジトレさん。
今日はフジトレさんに少し用が有り、この様にフジトレさんのトレーナー室へと足を運ばせて貰ったのだ。
「フジトレさん、こんにちは~」
「こんにちは……ささっ、どうぞ入って入って」
改めて挨拶を交わし、フジトレさんに導かれるままにフジトレさんのトレーナー室へと入らせて貰う。
「気にせず好きに座って貰って構わないよ」
「ありがとうございます~、それとすみませんが荷物も置いても構わないですかね~」
「うん、大丈夫好きに置いて良いよ」
「では、お言葉に甘えさせて貰いますね~」
フジトレさんに言われるがままにソファーに座らせて貰い、荷物であった大きなカバンも脇に置かせて貰う。
中身のせいかこのカバン、中々に重かったよ……
「グラトレちゃんは緑茶で良いかな?」
「ええ~、ありがとうございます~」
「グラトレちゃんの為に茶葉を買って来たんだけど、口に合わなかったらごめんなさいね?」
「ええっ、そこまでされたんですか?」
「うん、でも僕が好きにした事だからグラトレちゃんは気にしないでね」
「でも、今日はお礼に来たのですが……」
「でもグラトレちゃんのお手伝いをしたのはカムちゃんだから、お礼はカムちゃんにして貰えたら十分だよ」
「……フジトレさんがそう仰るのなら仕方有りませんね~」
カムちゃんとフジトレさん双方にお礼を持って来ていたのだが仕方無い。
まあ、お茶会の席で出せる物だから問題無いだろう。
126二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 20:45:01
今日フジトレさんのトレーナー室へと来た理由。
それは以前、グラスの代わりに美化委員の仕事をした時にフジトレさんのペットの大百足に害虫駆除をして貰ったお礼だ。
…キチキチキチキチ
「おや、噂をすれば来ましたね~」
「おいで、カムちゃん」
このフジトレさんの首に巻き付いたカムちゃんと呼ばれる大百足。
50cmというサイズもだが、人の言う事を聞いてくれる知能の高さも有って害虫駆除要員として重宝されている。
……まあ、たまに虫嫌いの人が目撃して腰を抜かすのはご愛敬。
「ふむ……それでフジトレさんの言う通り林檎を持って来たのですが~」
百足が喜ぶ物とはいったい……と、悩んだ果てに何か餌をあげるしか思い付かず。
仕方無いのでフジトレさんに直接聞いてみた所、美味しい林檎で良いと言われたので持って来たのだが……
……百足って林檎食べるの?
「肉食にみえて百足は雑食なんだよ、肉食の気が強いけどね」
疑問が顔に浮かんでいたのだろう、フジトレさんが補足説明をしてくれた。
雑食だったんですね百足。
「そうだったのですね~、勉強になりますね~」
「うん、だから気にせず切り分けてあげて?」
「はい、そうさせて貰いますね~」
そしてこれまた懐より取り出した短刀で林檎を切り分けてカムちゃんへと差し出す。
すると待っていましたとばかりにカムちゃんは林檎を齧り始めた。
「うん、カムちゃんも美味しそうに食べてくれているね」
「それは良かったですよ~」
正直林檎で本当に良かったのか半信半疑だったので、美味しそうに林檎を食べてくれるカムちゃんに安心する
これで心置きなく別件の話をする事が出来るよ。
「それでフジトレさん、もう一つの件ですが~」
「あの話だね」
「ええ~、なのでフジトレさん……服を脱いで貰えますか~」
127二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 20:45:19
服を脱いで下着姿になろうとしているフジトレさんを尻目に持参した大きなバックを開き中身を取り出す。
カムちゃんに手伝って貰ったお礼をしたいとフジトレさんに話した時に頼まれた物がその中に入っているのだ。
「え~と、脱ぎましたよ?」
「すみませんが~、そのまま立っていて貰えますか~」
「ちょっと恥ずかしいですけど、分かりました」
「それでは着付けていきますね~」
フジトレさんに頼まれた物は着物。
どうやら着物を着て過ごすトレーナー達を見て着てみたくなったらしい。
そしてそれとは別に、担当のフジキセキさんを驚かせたいという思惑も有る様だ。
という事で、フジトレさんに似合いそうな着物を見繕ってバックに入れて来たのだ。
それからフジトレさんの着物の着付けを進めていき……
「帯は苦しくないでしょうか~」
「はい大丈夫ですよ、丁度良いみたいです」
「ではでは~、これにて完了ですね~」
無事に帯の調整も終わり、フジトレさんの着付けを完了しました。
濃ゆい赤色を基調として白い藤の花で彩られた着物に金の筋が入った黒い帯。
我ながら中々の選択だと自負しています。
「ありがとうグラトレちゃん!」
「わぷっ!?」
着付けの終わりを聞いたフジトレさんはとても嬉しそうに感謝の言葉を述べてくれました。
その言葉だけでも着付けをした労力が報われるというものですね。
まあ、感極まったのか直後に頭を抱き抱えられフジトレさんの胸に押し付けれましたが……
殆ど同じ身長なのにだいぶ大きさに差が有りますね、着物の帯で持ち上げられていてその事がよく分かります。
128二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 20:46:02
……さて、そんな事よりも確認しないといけない事が有る。
「フジトレさんは~、この色で良かったでしょうか~」
あくまでこの着物は俺がフジトレさんに似合いそうだと選んだ物、フジトレさんが気に入るかは別の話だ。
最悪この着物を基に別の色や柄を決めて貰わないといけない。
「全然大丈夫だよ、とっても綺麗だと思ってるくらい」
「それなら良かったですよ~」
どうやら杞憂だったらしい。
自分が選んだ色が綺麗だと言われたら中々に気分が良いものだ、着せ替えたがるウラトレさんの気持ちも少し分かる気がする。
そうして一通り着物を着た自分を見回したフジトレさんが一つの疑問を口にする。
「でも本当に綺麗な赤だね、どうしてこの色を?」
「ふむ……赤は古来より厄除けや生命の象徴の色でして~、縁起の良い色として扱われるのですよ~」
「厄除けと生命の象徴か……」
「そして藤の刺繍には~、不死と掛けて長寿の意味が込められているのですよ~」
「長寿……そうか、フジにはそんな意味が有るんだね」
「ええ、そうですよ~」
フジトレさんが言った藤に別の意味が込められていたような気がしたが……
詮索するのは野暮と言う物だろう。
129二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 20:46:22
…カチカチカチカチ
「……おや?」
「あっ、カムちゃん?」
どうやら少々しんみりとした空気になったのを察したのか、カムちゃんが牙を打ち鳴らして空気を変えてくれました。
……まさか百足に気を使われる時が来ようとは、やはりカムちゃんはお利口さんだ。
(嘘でしょ……お利口で済ますの……)そんなツッコミが何処からか聞こえた気がした……
何はともあれ、折角カムちゃんが気を使ってくれたのだ。
このままのんびりとしたお茶会を始めるのも良いだろう。
きっと着物を着たフジトレさんがお茶を飲む姿は様になるだろう。
「それではお茶を淹れさせて貰いますね~」
「待ってグラトレちゃん」
「はい?」
「僕に淹れさせて貰えるかな?」
「ですが~、フジトレさんは慣れない着物を着てられますし私が淹れますよ~」
「ううん、着物を着付けてくれたお礼をしたいんだ……それに、フジが帰って来る前にある程度慣れておきたいしね」
「おやおや、それは良いですね~、それではお願い致しますね~」
「ありがとう、グラトレちゃんは寛いでいてね」
「ではでは~、お言葉に甘えますね~」
「うん、言葉だけじゃなくても、僕に幾らでも甘えて良いからね」
「……そうですか~」
その後
フジトレさんにお菓子をあ~んされる等、甘やかされながらのんびりとお茶会を楽しみ。
フジキセキさんが帰って来る前にフジトレさんのトレーナー室から退去させて貰いました。
フジキセキさんを着物姿で出迎えて驚かせるという計画の成否は、翌日の上機嫌で肌が綺麗になったフジトレさんを見れば分かるのでした。
うまぴょいうまぴょい
≫137二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 21:58:24
「そういや今日はキスの日らしいな。やるか?キス」
「は、はあ!?いきなり何言うとんねん!」
「天ぷらとかにすると美味いよな…きっとチビ達も喜んでくれる」
「魚の方やないかい!ベタすぎるネタでからかいおってからに…!」
「まあまあ、ちゃんとプレゼントはあるから。誕生日おめでとう、タマモ」
「…なんや、アクセサリーか?」
「チビたちに回しちゃうから中々お洒落してくれないからなぁー。折角かわいいんだから損だぜ」
「んなっ…!ウチはええねんオシャレなんて…まぁ、ありがとなトレーナー。嬉しいで」
「喜んでもらえて何より。またよろしくな、タマモ」
「ああ!今年はもっとデッカくなったるから見と…なに笑てんねん!むきー!」
≫155二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 23:22:23
「ラブレターの日か…」
ここ最近、浮足だっているように感じるこのトレセン。ラブレター、キスの日というのが理由だろうか。
割と普通の学生生活をおくり、まだ記憶に新しいほうな俺にはそういう気持ちはまだ分からなくもない。
「そういえば…」
…ファインとキスしたことはあまりない。ファインは王族…今やすっかり認められ、なんならあちらに引き込まれるんじゃないかと時折思ったりもするほどではあるが…いくらこの姿とはいえ、キスはそうそう出来ない話だった。ハグならもうしてはいるが。
「ねぇねぇ、キミ、今日はなんの日か知ってる?」
「ファイン、ラブレターの日とキスの日だね。」
…などと言っていればすぐに来た。やはりこの殿下は俺の心でも読めるのだろうかとでも勘ぐってしまう。
(ファインと双子みたいな姿だし、双子特有の互いに状況が分かるというアレだろうか。どうなんだろう…)
「どうしたの、トレーナー?」
「いや、ちょっと考え事をしてただけだよ。」
覗き込まれるように見られるのは少し落ち着かない。身長まで並んでしまったので、顎クイとかも普通にされるように。
…なお、ウマ娘パワーこそ手に入れたが、SPの人達やファイン相手に力で勝負したら普通に負けるので結局変わらなかった。
「ねぇ、キミ。」
「…え」
───頬に暖かい感触がした。目一杯にうつる離れていくファインの顔に、キスされたことに気がついた。
「ッ!」
「今日はキスの日だよ?ふふっ、言葉じゃなくて行動で示すのもいいよね。…ね、してくださらない?」
そう言われて引き下がりはできない。丁寧に彼女を引き寄せると、これみよがしに向けられた頬にバードキスをする。
…どうやら、お気に召してくれたらしい。さて、この後見守ってるSPさん達になんて言おうかと俺は考え始めた。
短文失礼しました
ファイトレ(男)視点、キスの日だそうなのでラブレターよりはファインならこっちかなと。ファイトレ(女)はいつものやってるし。
何気にうちのトレでは一番常識的な感性を持つ若いトレなので、こういうのは彼だからこそ。他3人はそれぞれねー
≫160二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:45:32
暗闇の中を行く。
ただ、足音だけを響かせながら。道なき闇を、夢とも現実とも分からぬまま進んで行く。
それはまるで無意識のうちに何かに導かれているようでもあり。
自身の意思でその先に待つ『何か』を目指しているようでもあった。
しばらくして、足音が止まる。何もなかった無から、突如として扉が浮かび上がる。
何処に繋がるとも分からない。そもそも繋がっているのかどうかすら分からない扉。
非現実な光景を目の当たりにしても、不思議と進もうとする意思だけは確かだった。
僅かな静止の後、躊躇うことなくゆっくりと静かにその扉を開けた。
白い光が辺りを包む。
あまりの眩しさに目を瞑ったのも一瞬。気づけば先刻までの暗闇はなく、とある一室に立っていた。
特徴のないきわめて普通の部屋。ただ、普通というには少しだけ狭く、そしてあまりにも寂しいと感じてしまうのは内装の少なさ故か、それとも部屋の隅に蹲っている『彼』の存在がそう感じさせるのか。
『彼』はその場から動こうとはしない。背を向け、体育座りで俯いたまま、声を出すこともせず、ただ、物のようにその場に在るだけ。こちらの存在に反応する素振りもない。
ゆっくりと『彼』のもとへ歩いていく。声も、表情も、背丈も、感情も。どれだけ近づいても全く分からない。
それでも、俺は『彼』をよく知っていた。
161二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:48:35
ゆっくりと腰を下ろし、『彼』と背中合わせになる形で座る。触れ合っても『彼』に変化はない。ただ呼吸音と共に微かに揺れる鼓動が伝わってくるだけ。
それはまるで今にも消えそうな灯のようであまりにも弱々しかった。
言葉が届くとは、到底思えなかった。そもそも俺はそんな資格を有してはいない。止まりかけている『彼』を立たせ、動かすのは、他でもない『彼』自身しかいない。
だから、これは独り言だ。意味を持たない、空へと無造作に放つ、『自分』への語りかけ。
「─救いは、ある。誰にも。いつか必ず訪れる」
ささやくように。
「間違えてもいい。転んでもいい。止まってもいい。また歩ければ、それでいい」
いのるように。
「待っていてくれる誰かがいる。隣にいてくれる誰かがいる。自分を呼んでくれる誰かがいる。一緒に歩いてくれる誰かがいる」
ねがうように。
「ゆっくり歩いてきて。
───未来で待ってるから」
勝手に期待されて。勝手に失望されて。勝手に傷ついて。勝手に絶望して。現実全てを悲観していた過去は、間違いなく切り捨てられない自分の一部だ。
例え姿形が変わってしまっても、時を経ても、絶対に忘れない。だってそれは、俺が俺であったという証だから。
痛みを。苦しみを。悲しみを。迷いを。喜びを。感謝を。愛しさを。希望を。
その全てを背負って、生きていく。
───
「トレーナーさぁん…?だ、大丈夫ですかぁ~…?」
「せんせー!起きて、起きてー!」
目を開けると、そこはいつもと変わらない日常だった。
「あはは…ごめん。ちょっとぼーっとしてたかも」
あの時見ていた世界よりも、広くて、明るい。そんな場所に、今は居ることができる。
「いつもありがとね、二人とも」
「…?こちらこそ、ですぅ…?」
「急にどうしたのー?どういたしましてー!」
かけがえのない今を、生きている。
≫164二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 01:14:38
「待たせてしまっただろうかトレーナー君?」
「いや、今来たばかりだよ。ルドルフ」
待ち合わせ場所には既に夏物の白いシャツとフレアスカートに左耳には自身と同じ耳飾りを着けた〈彼〉いや今はウマ娘となった〈彼女〉の姿があった。
肩まで伸びた艶やかな黒色の髪と、透き通るように白く美しい肌。スカートから伸びた手入れが行き届いた尻尾。
普段のスーツ姿とは違う私服姿のトレーナー君を見るとつい見惚れてしまう。
「どうかしたのかルドルフ?俺の顔に何か付いているかな?」
「いいや、何でも無いよ」
最近のトレーナー君はとても女性らしくなってきたと思う。トレーナー君自身は気付いていないみたいだが、服の好みが以前とは変わっているし、何より仕草一つ一つがとても色っぽく見えるようになった。
「じゃあ行こうか、ルドルフ」
「ああ、そうだね」
私はトレーナー君の隣を歩く。今日はこれから二人で映画を見に行く予定なのだ。映画館に入り、座席を確保する。
「どれを見るんだいルドルフ?」
「そうだな……これにしよう」
《初恋キャロットケーキ2 ハチミツの甘い香り》以前二人で見た映画の続編である。前回の作品も丁寧な恋愛模様を描かれていたが、今回はどうなるのだろう。私は期待に胸を膨らませながらチケットを購入し、席に座った。
館内は休日にしては珍しく私とトレーナー君の二人だけだった。やがて照明が落ち、スクリーンに映像が流れ始める。
165二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 01:16:42
─前作と同じくとある喫茶店でウマ娘の主人公とトレーナーが出会うところから始まる。
お互いに惹かれ合うものの、選手とトレーナーという壁が立ちはだかる。それでも二人は諦めず、様々な困難を乗り越えて結ばれ、幸せになるという内容であった。
席の間隔が狭いからだろうか。お互いの尻尾が触れ合い、その度にドキドキしてしまう。
映画の終盤に差し掛かった頃、不意に隣から視線を感じた。横目で確認すると、トレーナー君がこちらをじっと見つめていた。
目が合った瞬間、彼が慌てて目を逸らす。
私はそんな彼の反応が面白くて、つい肩を寄せ互いの耳を擦り付けてしまう。
カチャリ 耳飾りがぶつかり、音を立てる。それに驚いた彼はビクリと身体を震わせる。
ふふっ、可愛いなぁ……
そんな事を思いながら、私は誘うように自身の尻尾を揺らめかせる。
すると、それに釣られたように、トレーナー君の尻尾が私の尻尾に絡みついてくる。そのままお互いに尻尾を擦り合わせる。耳元に吐息を吹きかけると、また身体を小さく跳ねさせる。
「んっ……」
漏れ出た声を抑えようと、口元に手を当てる姿が愛らしい。
そのまま尻尾を撫で続ける。時折、尻尾の付け根を軽く叩くようにして刺激すると、面白いくらいに身体を震わせた。
「……るどぅ……」
トレーナー君が何か呟いたが聞き取る事が出来なかった。
「すまない、よく聞こえなかったのだがもう一度言ってくれないか?」
そう言うと、トレーナー君は顔を真っ赤にしながら答える。
「だから、その……当たってるから……」
「ああ、これの事か……」
私がわざと尻尾を動かすと、トレーナー君はびくりと肩を震わす。
「すまない、少し調子に乗りすぎたようだね」
そう言って尻尾を引っ込めようとしたのだが、彼から尻尾を絡めて来て離れられなくなってしまった。
「その……もう少しだけなら良いから……」
顔を真っ赤に染めたトレーナー君は消え入りそうな声で囁く。そんな彼に私も我慢が出来なくなり、尻尾を強く押し付ける。
「あっ……」
「ふふっ、本当に可愛いねトレーナー君は……」
「か…可愛くなんてない」
「そんなことは無いさ。今の君はとても魅力的に見える」
そう言いながら、トレーナー君の頬に口づけをする。
166二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 01:17:38
「だ、だめだって……ルドルフ」
私はそんな彼を更に追い詰めていく。耳元に指先を当てながら、耳飾りを引っ張るようにして弄「ひゃめっ……あぁっ」
耳と尻尾を同時に責める度に、身体が小刻みに震えている。力が抜けていき、私の身体の上に倒れ込んでしまう。
彼の体重を感じているはずなのに、何故か重さは感じられなかった。むしろ心地の良い温かさを感じていた。
乱れたシャツから覗く鎖骨に、つい視線を奪われてしまう。気が付くと、無意識のうちにそこに唇を押し当てていた。
「ん…るどる…ふ」
突然の事に驚くトレーナー君。私は構わずに首筋に舌を這わせ、強く吸う。白い肌に赤い痕が浮かぶ。
我に返り、彼の顔を見ると、涙を浮かべて恨めしそうに睨みつけてきた。
「すまなかったね。つい夢中になってしまった」
そう言った後、トレーナー君は恥ずかしくなったのか、そっぽを向いてしまった。
─上映終了を告げるアナウンスが流れる。私は立ち上がり、トレーナー君の手を引く。
まだ余韻が残っているのか、トレーナー君の顔はまだ赤く染まっており、瞳には熱が篭っていた。
「すまないトレーナー君。今の君を見ていると、どうにも抑えが効かなくなってしまってね」
「別に気にしなくていい…その……嫌じゃ無かったから」
彼の尻尾は左右に揺れており、機嫌が良い事を証明していた。私は思わず、トレーナー君の手を引き寄せて抱きしめてしまう。
「ちょ、ちょっとルドルフ!」
「ああ……やはり君の匂いは落ち着くな」
髪から香ってくる甘い香りを堪能する。私が勧めたシャンプーの香りと、彼自身の持つ優しい匂いが混ざり合ってとても心地よい気持ちになる。
「トレーナー君、今日はこのまま帰らないかい?」
「えっと、それはつまり……」
「ああ、そういう意味だよ。今日は君とずっと一緒に居たいんだ。駄目かな?」
トレーナー君の返事は分かりきっているが、それでも聞いてみたくなるのが乙女心というものだ。
「……分かったよ。今日は一日付き合うよ」
「ありがとう、トレーナー君」
二人は手を繋ぎ歩き出す。
この日、私達はいつも以上に愛を深め合ったのであった。
≫174二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 08:47:08
「え、ええ…」
キタトレのトレーナー室に入ろうとする一人のウマ娘、その手には筆記用具やら宿題やらトレーニングメニューやら。
「寝てる…」
…扉の先ではソファに腰掛けて眠るキタトレと、その両肩に凭れ掛かるようにして眠っているサトトレとキタサンの姿が。
(よく見たら肩っていうか、あの巨乳に頭を預けてる…気持ち良さそうに寝てるなぁ。)
キタトレが夜間でも働いているのを知ってる一ウマ娘としては、超人ではなく同じ人なんだなと仮眠姿を見て思った。
とはいえ、色々教えてもらいたいから来た訳だし起こそうとしたが、その大変さを知る彼女は起こそうにも起こせなかった。
「う〜ん…」
仕方なく冷蔵庫からドリンクを取り出して飲む。好きに飲んでいいと言われてるので、静かに開け閉めしておく。
「…美味しい…はっ!」
すわ声量的に起こしてしまったのではないかと振り返る。…3人は相変わらず眠ったまま、ほっと胸をなでおろした。
───ここでうっかり気を抜いてしまったのが運の尽きだったのだろう。置いてあったガラスのコップに肘が当たる。
「…あ」
気づいた時にはもう遅い。ガラスのコップは倒れ近くにあった別のコップに当たり特有の高音を発生させる。
「…誰かしら。」
「…」
「zzz…」
「し、失礼してます…」
ぱっちり目を開いたキタトレと半目でやや不機嫌そうにも見えるキタサン。サトトレは変わらずお休み中。
「す、すみませんでした!」
「まあ私はいいけど…キタ、あんまり言わなくても大丈夫よ」
「うん、今度から気をつけてね」
「zzz…」
…その後キタトレとキタサン、途中で起きてきたサトトレに色々教えてもらい、目的は達成した彼女だった。
短文失礼しました
昼寝してる人達と起こしちゃうお話。近くに寝ている人がいると静かに動くのはよくある話ですね。
キタちゃんは実馬の方で昼寝を邪魔したら怒るそうなので、参照してみました。サトトレは安定に子供仕様です。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part762【TSトレ】
≫14二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 14:05:55
『貴方と私は似ている?』
食堂にて、二人のトレーナーが語らいながら食事をしている。何ということのない光景の一つだが、人によっては不思議に聞こえるかもしれない。何故なら、二人の声は少々似通った声なのだから。
「……大分難しい顔をしていますが、どうしましたかブラトレさん?」
「いや……ちょっとさっきグラッセと会ったんですがね? 多めの荷物抱えてたから後ろから声をかけて手伝おうとしたら『あれ、ブラトレさんか……てっきり樫本トレーナーかと』って感じで言われたので。そんなに似てるかな……と」
「声質だけで行けば、似ているかもしれませんが……私の声よりも貴方のほうが声音が高いでしょう」
「んーでもやっぱり声だけ聴いたら案外そういうものかもしれませんね……不思議なもんですねぇ、同じ一族家系ってわけでもなしに」
「一説によれば類似した特徴の顔を持つ人はこの世の中に3人はいる、というのもありますし、声であれば猶更似たものを持つ方もいるというのはおかしくないのかもしれません。ですが……」
「ですが?」
「……もしその『そっくりさん』とブラトレさんが同じだとしたら、私の運動能力がもう少し高くても良かったのでは、と偶に思うこともあります」
「あぁ……たまに重そうなもの持ってますけど怪我はしないでくださいよ……」
「失敬ですね、怪我をしないような物の管理も十分に行っています。日常生活において怪我をしていてはどうにもなりませんから。それに、適切な管理を行って選手たちのトレーニングを行う私自身が、管理不足で怪我をしたりするのではお笑いです」
「そりゃそうでしょうがね」
「……しかし声質、ふむ」
「どうかしましたか?」
「もしそのように人から聞いても似た声であるというのであれば、デュエットで試してみるというのも面白いかもしれませんね」
「……今度またカラオケでも行きます?」
「ウイニングライブの新曲もありますからね、指導のためにも」
その後、ファン感謝祭で余興として披露されたデュエットは会場を大きく盛り上げたのだが、それはまた別の話。
≫56二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 19:24:00
「☹」ビチビチビチビチ
「ご不満なようですね、トレーナーさん」
「いくの……」
「成程、確かにこの薄い白地のスクール水着は犯罪的な装いです。
児童に着せるには首周りのしめつけもきつく、窒息の危険もあるので別の水着にしましょう」
「いくの……!」
「というわけでこのフリルいっぱいビキニにしましょう。これなら窒息の危険もありません」
「いくの!?!?」
この構文とってもたのしい
≫109二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 22:19:12
「はぁー…」
ベッドの上で目覚めるたびにため息を漏らしてしまう。手入れが行き届いた黒い尻尾は自身の体がウマ娘のままである事を示す何よりの証拠だ。
寝間着を着替えるためにクローゼットを開けば、そこに収まっているのは女性用に仕立てられたスーツ、衣装ダンスの中にはブラウスやスカートなどが入っている。男性だった時の衣服はダンボールに収められホコリを被っていた。
「慣れてしまったとはいえ……慣れたくないものだな」
ウマ娘になった当初は、胸元を締め付ける下着類が鬱陶しくて仕方がなかった。今ではそんなものを着けていないと違和感を覚えてしまうほどだ。
「…………いかん、これではいけないな」
洗面台の前に並ぶ化粧品や尻尾油を手に取り、いつものように身支度を整えていく。男性だった時と比べて、身だしなみを整えるのには時間をかけなければいけなくなった。
鏡に映る自分を見つめながら化粧を施し、髪を丁寧にブラッシングしていく。
「ルドルフに釣り合うようなトレーナーにならないとな」
髪のセットを終えると次はメイクだ。ファンデーションを薄く塗っていき、アイシャドウを軽く入れ、チークとリップをつけて完成。
「ん、これで良いだろう」
最後に左耳に耳飾りを通せば、そこには一人の可憐な鹿毛のウマ娘の姿があった。
110二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 22:20:02
「なぁ…ルドルフ、その、少し距離が近くないか?」
「ふむ、そうだろうか? 私としては普段通りにしているつもりなのだが」
書類仕事も一段落して生徒会のソファに腰掛けていると、いつの間にか隣に座ったルドルフがピッタリとくっついてくる。
彼女から香るシャンプーの良い匂いに鼻腔がくすぐられ、心臓が高鳴った。
「トレーナー君、今日は少しだけ甘い香りがするね」
「ん、ああ……ルドルフに薦められて買った香水だよ。似合わないかな」
休日、二人で買い物に出かけた時にルドルフが勧めてきたものだった。
ウマ娘用のそれはあまり強くなく、ほのかに香る程度、そのおかげで普段からつけていても気にならなくなる程度のものであった。
「いや、よく似合っているよ。ただ……」
ルドルフはそう言うと俺の首筋へと顔を埋め、スンスンと鼻を動かした。首から伝わる吐息にドキリとする。
彼女は俺の膝の上に手を置いて、上目遣いでこちらを見た。
思わず喉が鳴る。
ルドルフはこちらの反応を楽しむように微笑みながら、ゆっくりと唇を近づけてくる。
(あ、だめだ)
反射的に目を閉じれば、次の瞬間には彼女の柔らかいものが触れていた。最初は優しく触れるだけのキスだったが、唇を割るようにして舌が口内に入り込んでくる。
突き出された舌はこちらのそれを絡めとり、そのまま彼女の方へと引っ張られる。舌先を絡め取るように舐め上げられると、ゾクリとした感覚が背骨を駆け抜けた。
気づけばこちらからも彼女に合わせるようにして舌を差し出していた。
お互いの唾液を交換し合い、歯列をなぞり、口蓋を刺激し、貪るような深い接吻を交わす。
ルドルフの柔らかな手が尻尾の付け根を撫でる。彼女は尻尾の根元を愛おしそうに撫で回すと、今度は指先で付け根をトントンと叩く。その度にゾワゾワとしたものが背中を走り、力が抜けていく。
111二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 22:20:21
「トレーナー君、可愛いよ」
「んぅ…そんなこと…ない」
「眉目秀麗、容姿端麗、明眸皓歯……今の君は美しい」
彼女はそう言って俺の頬を両手で挟み込むと、再び唇を重ねてきた。
頭がボーッとして、思考がまとまらない。身体が熱を持ち、汗が滲んでくる。男として見栄や少なからず残っていたプライドが音を立てて崩れ落ちていく。
そして、それと同時に、今の自分が女である事を否応なしに理解させられていくのだ。
男としての尊厳が失われ、代わりに女性としての意識が植え付けられていく。
俺は、この目の前の少女に、男としての尊厳を奪われることを、心地よいと感じてしまっているのだ。
彼女はこちらの瞳を見つめたまま、妖艶な笑みを浮かべてみせる。
俺はルドルフの目を見返すこともできず、顔を赤くしながら視線を逸らした。
そして彼女は、そんな俺を見てクスリと笑った。
≫137二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 04:05:32
ラブレターとキスの日のグラトレ(独)
「グラス、こちらをどうぞ〜」
「……封筒? はい、ありがとうございます?」
授業も終わりトレーナー室へと顔を出した私は、トレーナーさんから一通の手紙を受け取りました。
可愛らしいハート型のシールで止められた白い無地の封筒は、まるでラブレターの様。
「トレーナーさん、こちらは……?」
「……恋文、俗に言うラブレターですよ~」
思わずこの封筒が何なのか聞いてみると、予想通りラブレター。
まさかそんな物を渡されるなど思ってもおらず、嬉しくて顔が綻んでしまいます。
中の手紙には何を書かれているのでしょうか、期待が否応無しに高まってしまいますね。
「えっと……開けても?」
「ええ、どうぞ〜」
「では、失礼して………………あら?」
期待を胸に秘め、トレーナーさんからの許可を取って封筒を開封したのですが。
封筒から取り出した手紙には『グラスワンダー様へ』という宛名と『グラトレより』という送り名しか有りません。
……どういう事なのでしょう?
この何も本文が書かれていない手紙は何なのか、トレーナーさんに直接聞こうとした所……
「トレーナーさ……んんっ!?」
急に頬を押えられ、唇を塞がれてしまいました。
……あまりの急な出来事に頭が追い付きません。
「…………トレーナーさん?」
それから暫く甘い接吻を続け、漸く開放された私はトレーナーさんに困惑の声を掛けます。
本文が書かれていないラブレターを渡されたと思ったら急に唇を奪われたのです、説明して貰わないといけません。
138二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 04:05:57
「グラスは、今日が何の日か知っていますでしょうか~」
「今日……ですか?」
……おそらくトレーナーさんの行動に関係が有る日なのでしょうけど、生憎分かりません。
「今日は〜、ラブレターとキスの日らしいのですよ〜」
「ラブレターと……キスの日……ですか?」
……何となくトレーナーさんの行動の真意が分かった気がしますが、そのまま説明を続けて貰います。
「最初はラブレターをしたためようとしていたのですが~、キスの日という事ですので行動で示してしまおうと思いまして〜」
つまりトレーナーさんはラブレターの本文をキスという形で自分自らの行動で表したのだ。
……この人は本当に、たまに突拍子も無い事をしてくれる。
「どうでしたでしょうかグラス?」
自身の行動に自信満々でこちらに評価を伺うトレーナーさん、もちろん私の返答は……
「はい、とても嬉しかったです♪」
「ふふっ、それは良かったですよ~」
「それはそれとして、ラブレターを貰えると思った私の気持ちを弄びましたね?」
「…………えっ?」
幾らキスという行動で表したと言えども、期待して開いたラブレターに何も書かれていなかった落胆は残ります。
……トレーナーさんには少し小言を言う必要が有るみたいですね。
「トレーナーさんには少し、乙女心というものを学んで貰う必要が有りますね」
「えっ? 何故?」
「学んで貰います」
「……はい」
それから暫く説教を受けたグラトレは、改めてグラスへ渡すラブレターを書く事になったそうな
うまぴょいうまぴょい
≫177二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 08:21:01
お風呂上がりの……お酒っ!
美味しいのは確かだが、ちょっと待ってもらいたい!
ボディメンテはトレーナーの嗜み、リャイトレおに……おね……今は筋肉の比率が女性寄りの自分が解説するぞ!
まず筋肉的に説明すると、血管が拡がっているお風呂上がりはアルコールが回りやすい。つまり酔っぱらいやすいんだ!
これが急性アルコール中毒を引き起こすこともあって大変危ないから、お酒はお風呂上がりの三十分後に飲んだ方がいいだろう
お風呂上がりはスーパーストレッチタイムだから丁度いい塩梅だね!
そしてこれは筋肉的じゃない説明だが、お酒には多少なりともアルコールとカリウムが入っている
これは利尿作用と抗利尿ホルモンの低減を起こすもので、早くアルコールを排出する為に、多くの水を出してしまうんだ
お風呂上がりで体内の水が減っている状態でそれをしたら、お酒のたっぷりつまったミイラになってしまうということだね!
だからお水、可能なら経口補水液で水分をしっかりと摂取してから飲もう!
30分後、しっかりとお水を飲んでから! そうすれば大丈夫!
細かい気配りが筋肉の秘訣!
メジロライアン担当トレーナーでした! アデュー!
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part763【TSトレ】
≫13二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 12:08:10
「あー……っつい……なんで一番に出てきたのにまだ冷めないんすかね……」
某温泉、脱衣所の外に設けられた談話スペースにてそう独り言ちるのは、ウオトレ(202)。
ウマ娘になったトレーナーたちの中でも、一際大きな体格のトレーナーだ。
「何だったっけ……あー頭が回らない……せめてモンエナがあれば……」
「どうかなさいましたか?」
何やらうんうん唸りつつ考えようとしている彼女に声を掛けたのはウオトレ(女)、またの呼び名をウオシス。
その若さと箱入りっぷりから、ウオッカ担当たちの中では、まるで娘か妹分のような扱いを受けている。
「ん? お嬢、随分早くに上がったんすね……いや、何てことないっすよ。ホラ、極地ほど動物が大きくなる……」
「……?」
ちなみに202が思い出そうとしているのは「ベルクマンの法則」。寒冷地域ほど、生息する恒温動物は巨大化する傾向にある、という法則である。
身体が大きくなればなるほど、体表面積に対する体の質量、即ち熱の放散量に対する蓄積量が増加する。
体を大きくするほど熱を溜め込める故、寒い地域では動物が大きくなる、という法則だ……閑話休題。
「……まあいいや、思い出せないってことはその程度の情報ってことっすから……で、あの3人はまだ?」
「あ、はい。何でも負けられない戦いがどうとか……」
「は? 何やってんすかあの3人?」
「ええとですね……」
『いいかい、お三方……ハードボイルドってのは固茹で、即ち熱に長く晒されたってことだ……俺のサウナは、長いぜ?』
『……ハ、言うねえVトレ……いいぜ、乗ってやる。俺ん中のギムレットも熱くなってるみたいだしな』
『……おいおい、俺を差し置いて何をトレーナー同士でバチバチしてんだよ……こりゃダセェとこ、見せらんねぇな!』
「……との、ことで……私はよく分かりませんでしたので、早めに上がってしまったのですが」
「……そういうことっすか……うん、付き合わなくて正解っすね。あの3人、多分のぼせるまで出てこないっすよ」
「ええっ!?」
「さ、今のうちにダウンした3人を介抱する準備でもしておくっすかね……お嬢、手伝ってほしいっす」
「は、はい!」
果たして、ウオトレ(親父)、ウオトレ(V)、ウオッカの3名の我慢比べは、「全員リタイア」という結果で幕を閉じたのだった。
(了)
≫44二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 18:45:49
それは、友人のチヨトレのマッサージ店に行った時のことだ。いつものようにドアを開けて挨拶をしたが反応がない。不審に思った俺が店舗の奥の方へ歩いていくと、そこには施術ベッドにもたれかかるように倒れたチヨトレの姿があった。
「チヨトレッ!!?」
「…あ…ダストレさ…」
思わず駆け寄る。その目には生気がなく、明らかに異常な状態だ。とうとう過労でぶっ倒れたのか?ともかく直ぐに助けを呼ばないとと思いスマホを取り出した。しかし、チヨトレはそれを制止させようとする。
「バカ!!見栄を張ってる場合か!!」
そう叱りつけると、チヨトレはフルフルと首を横に振り、震える手で部屋の一角を指差した。何が違うのかと思いながら指差した辺りを捜索する。そこには、受付用の名前記入表があった。そこには――――
トプトレ、キタトレ、フジトレ、フウトレ…
今日ここを訪れたトレーナーのサインが並んでいた。瞬時に何があったのかを悟る。自分もその気があるが故に、その面子の悍ましいまでの色気を知るが故に。
「oh…」
俺は心の底からの同情を込めて、チヨトレに向かって手を合わせた。
≫98二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 22:21:32
「ふぅ…」
「はふ…」
…湯に浸かり少し声を漏らすキタサトトレ。身長35cm差ではあるが、肩まで浸かれば大して変わらないようにも見えた。
勿論キタトレの双丘は湯に浮き上がり、一方でちょこんと座るサトトレは足を組んでないと口までお湯に浸かってしまう。
「やっぱりお湯はいいわね…」
「うん、疲労感が取れていくような気がするよ。足のダメージも治してくれるしね。」
…この露天風呂に入るまでに、仲良く一つの風呂につかっているDK4や何故か水風呂に入る黒カフェトレと黒タマトレを見た。
大して気に留めもしなかったが、彼等も満喫してるのだろう。そう考えると少しほっこりするキタトレ。
「ところで…足を組んでるのはつらくないからしら。ちょっと開けるようにしてあげるわ。」
「ん?」
伸ばしていた脚を軽く曲げ、その上にサトトレを引き寄せて乗せると腕と風呂のふち、胸の3点でずり落ちないように保持する。
「…重くない?」
「そんな訳ないでしょう。貴方の軽い体重で、しかも水中なのだから大して感じないわ。寧ろこれでよくバ群突き抜けられるわね」
「運動エネルギーは正義だからね。速度さえ乗せてたら後はパワーでどうにかなるよ。面倒なら大外からぶち抜きでもいいし」
「相変わらずその体のスペックは本当にイカれてるわね。…貴方に入ってるその因子…いやウマソウルのお陰かしら。」
振り向きこてりと首をかしげるサトトレに、キタトレはくすりと笑うと少しだけ彼を抑えている力を入れる。
「まあ、こういった話もいいのだけど、少し静かに楽しみましょうか。…のぼせそうになったら上がるわよ?」
「わざわざ僕に合わせる必要なんてないと思うけど…キタトレがそうしたいならそれでいいと思うよ。それに…」
「トレーナーさん、隣いいですか!」
「キタトレさんと仲良さそうですねトレーナーさん。」
二人は視線を交わすと、表情を緩めて担当ウマ娘を呼んだ。四人で入る風呂はとてもいいものだったとか。
短文失礼しました
今日ちょっと銭湯に行ってきたので、露天風呂を満喫してもらいました。裏で26の事案が起きてたりしますが大丈夫です()
温泉は治癒効果もあるのでリハビリや休息とかでも機会は多そう。そして仲のいい四人、こういうのも良いじゃないですか?
≫105マッサージ22/05/25(水) 23:21:42
「こんにちはー、マッサージやってるって本当かなー?」
「は、はい。やってますよ」
「んー?お疲れかなー?出直した方がいいー?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。どうぞ、パマトレさん」
「む…結構こってますね」
「やっぱりー?最近あんまり寝てなくてねー。パーマーにも怒られちゃってー」
「寝不足は体に良くないですよ。ぐっすり寝ないと」
「そうなんだけどねー。勉強したい事はまだまだあるからー…んー、ちょっと眠くなってきたなー」
「寝て貰っても大丈夫ですよ。マッサージはしていますので」
「ありがとー。じゃあお言葉に甘えて、おやすみー…」
パマトレが寝たのを確認しつつマッサージを再開するチヨトレ。その時までは会話と手強い凝りに完全に集中していたのだが…改めて見ると巨乳の美人が無防備に眠っているという事に気づいてしまった。
「心頭滅却、心頭滅却、心頭滅却…!」
チヨトレは飛び込んでくる視覚の暴力と反応の声による雑念と必死で戦うのだった…
「んー体が軽いねー。ありがとーチヨトレさん」
「え、ええ…(表情とか声とか全然変わらないけど…満足してもらえたかな…?)」
「すごく気持ち良かったよー。また来るねー」
「はい、ありがとうございました(ま、また!?頑張って耐えないと…)」
≫123二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 12:00:16
プールの縁で休むグラトレ(独)
「少々疲れましたね~」
生徒達の大半が授業を受けていて、人がまばらな昼のトレセン学園のプール。
そんなプールで個人的なトレーニングをしていたのですが、休憩の為にプールの縁に座り一息入れさせて貰っています。
しかし、まだまだグラスが授業を終えるまで時間は有りますので少し休憩したら再度泳ぎましょうか。
そんな事を考えながらプールの縁に座っていたのですが
「おや? こんにちは、グラトレさんもトレーニングですか? ……ケツデッカ」
「……あら、モブトレさんこんにちは~」
後ろから来たモブトレさんに声を掛けられました。
……何か小声で言っていましたが何でしょう?
「モブトレさんもトレーニングでしょうか~」
「はい、恥ずかしながら最近身体が鈍ってしまって」
「それは頑張らないといけませんね~」
そんな他愛のない会話を少しだけモブトレさんと行います。
良いタイミングでモブトレさんは来てくださいましたね、そろそろ休憩も終わりとしましょう。
「では、私ももう少し頑張りますかね~」
「グラトレさんも、もう少し続けるんですね」
「ええ、時間はもう少し有りますので~」
「頑張ってくださいね」
「ありがとうございます~」
その言葉を最後にさせて貰い、俺は座っていたプールの縁からそのままプールへと倒れる様に入りトレーニングを再開し始めるのでした。
「ん? この跡は? …………デッカ!?」
その後モブトレは、プールの縁に残されていたグラトレのお尻の跡に何かを破壊されていた……
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part764【TSトレ】
≫31二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 20:25:10
「ふぅ〜」
「おかえりなさい、トップさん。湯加減はどうでしたか?」
「ちょっと熱かったですけど、すごく気持ち良かったです〜」
「ならよかったです。一旦確認をするので、こっちに座ってください」
ここは山奥にひっそり佇む旅館の、大広間の一角。温泉を上がってゆったりとせせらぐ外の川を見ていたトプトレは、湯上がりほくほくなトップロードを見ると手招きをする。
今日ここに来たのはトップロードの脚の療養のため。若干の筋肉の張りと違和感がみられたため、ゆったりと2泊3日の宿泊だ。
「張りは少し引きましたが、まだ不自然ですね。トップさん的にはどんな感覚ですか?」
「まだ、こう…動かすたびに…こう…」
「どこか引っかかる所がある、と?」
「はい。あと…ここが…こう…」
「腓腹筋の…ここあたりですか?」
「そこです。そこが…あの…ぴんって、脚が少し、違和感が…」
「ではマッサージをしましょうか。うつ伏せになってもらえますか?」
「はい。よいしょ…あ、トレーナーさん。マッサージチェアがありますよ!」
「まずはトップさんの脚が先です。その後であれば構いませんよ」
トップロードの脚をゆっくりとマッサージしていくトプトレ。
クラス委員としての活動だけでなく、そのほか様々な委員会の手伝い。それに加えてのトレーニングとなれば必然的に疲労は溜まっていく。そんな彼女のためにトプトレは定期的にケーキや今日のような療養を設けていた。
時たま他のトレーナーやその担当(99年世代を始めとした様々なトレーナー)も同伴し、中々の評判だ。
マッサージを終えると、頭の中に声が響いた。
33二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 20:26:07
(ずる〜い!わたしもお風呂はいりた〜い!)
「わかりました。トップさん、チェムさんが温泉に入りたいらしいので、しばらくゆっくりしててください」
「え…トレーナーさん、また入るんですか?」
「私でなく、チェムさんです。ヒナギクはどこにありましたっけ」
「お部屋においてました」
「わかりました。チェムさん、行きますよ」
(わ〜い!!)
部屋に戻り、しばらくしてヒナギクを左耳にさした、髪色の変わったキンチェムが歩いてくる。
「はろ〜!!あなたも一緒にお風呂入る?」
(チェムさん、あまり他の方がいないといえど、もう少し声を抑えてくれると助かります)
「おっけ〜」
「一緒に…え?」
「無理しなくてもいいよ?わたしはフィジィと一緒にはいるから!」
(女性の体を見るのは失礼なのでずっと目を瞑りますがね)
「えっと、私はもう入ったので。キンチェムさんはゆっくりしててください!」
「おっけ〜。じゃあ行くわよフィジィ!」
(お風呂上がりは牛乳ですね)
「あっそれ楽しみ!」
傍に持ったボウルからタオルを取り出して頭に乗せたキンチェムは赤い暖簾をくぐっていく。
ちなみにトプトレは女将に相談して今日人がいないのは確認済みである。そのため男湯に1人で入れた。
トプトレの意識の時は男湯、キンチェムの意識の時は女湯だ。
34二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 20:26:34
「あの…女将さん」
「なんだいお嬢ちゃん。婆ちゃんに何でも聞きな?」
「トレーナーさんとはどういった関係なんですか?」
「そんな愛人なんて仲じゃないさね。あの子が5の時からのお守りさ。しょっちゅう家に遊びに来て庭を綺麗にしてくれたもんだよ」
「そうなんですね。ウマ娘になった時は驚きませんでした?」
「ああ。驚かなかったさ。ちょっと残念だったけどね」「残念…ですか?」
「あーんないい男が女になったらそら残念さね!あのあま〜いマスクが可愛かったのにね〜。もちろん今だってかわいいよ」
他愛もない談笑を楽しんでいると、暖簾の奥からぽかぽかのキンチェムが出てくる。大きな古時計を見ると30分ほど経っていた。
「気持ちよかった〜…。フィジィ、ありがとうね」
(チェムさんがゆったりできたなら私も満足です。変わってもらえますか?)
「うん。後でここの湧水っての飲みたいな〜」
(用意しておきますよ)
ヒナギクを取り外し、髪色が変わり切るといつものトプトレに加えて湯上がりで色気が3割増だ。
「ではトップさん。一緒に楽しみましょう」
「え…あ、はい!何をですか?」
「もちろん卓球です。そっちにありますよね?」
「勝った方には晩飯一品サービスだよ!」
「ありがとうございます、マダム。今夜の献立は?」
「牡蠣三昧さね。ほれ、行った行った!」
「トレーナーさん、負けませんよ!」
その後卓球を楽しんだトプロは夕飯の牡蠣に舌鼓を打つのだった。
おしまい
≫57二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 22:29:59
「…この髪、やはり面倒ですわ…」
「…うん?あ、こんにちはロレトレ。どうしたの?」
「ええ、こんにちはサトトレさん。少しこのドリルヘアをいじっていただけですわ。」
「その調子だとどうにもならなかったみたいだね…」
143cmと128cmの邂逅、ちっちゃいもの倶楽部入りしたサトトレよりも更に15cm小さいロレトレは、見上げるような形で顔を見てくる。普段は見上げる側故にサトトレには新鮮な事だった。…まあ、130cmや132cmのトレ、なんなら90cmという例外もいるあたり大概な気がしないでもないが。
「あ、ちっちゃいもの倶楽部のグループ入った?」
「ええ、イクトレさんから招待されたので。しかし私より小さいイクトレさんは大変そうですわ…」
例のクラブの会長にして恐らく物理的な変化で最も苦労する羽目になったイクトレに、大変そうだと思う二人。
「女物はやはり嫌ですわ…サトトレさんは気にしてませんの?」
「僕は…まあもう慣れてきたから。よく着せられるこのドレスならまあいつもみたいには動けるかな。」
(後はスーツとかは似合わないし、厚みのある服だと暑くて仕方ないんだよね…もふもふの上着とか着れない…)
そんなことを考えながら外してた視線をロレトレの方を戻すと、凄く微妙そうな引き攣った顔していた。
「す、凄いですわね…」
「そんなにじゃないと思うよ。それ以外だったら普通に恥ずかしいし、何よりダイヤが大体服を用意してくるから…」
「ええ…?」
「…まあ、女物に関しては慣れといた方が楽だよ。うん。どうせそのうち着せられるようになるだろうしね…」
…経験者であるサトトレは語り、ロレトレはその話に乗り越えるべき試練…!と闘志を燃やしていたそうな。
短文失礼しました
サトトレより小さいロレトレとの話。ロレトレ作者さん、こんな感じですかね?イメージと違ってたら切腹してお詫びします。
後はもこもこが着れなくなったサトトレ。悲しいことに布団を被って寝ると夏場はまともに寝れないほどです。
≫63二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 23:56:07
「お前らそれじゃ足らないだろ!追加!」
「…私達のパーティーは四人なのにどうして料理がそれ以上に?まぁ食べますけど」
「その丼の肉はさっき仕留めたやつのか」
「ああ…手こずったなぁ…こんなんじゃいつになったらダンジョン制覇して帰れるやら」
「まぁ頑張っていくしか…ところで…あの…フクトレそのキノコ…食べていいやつ?図鑑とかで見た覚えないよ?」
「ベテランっぽい冒険者が簡単な毒キノコの見分け方を教えてくれてな、焼いて食べられるやつは食えるキノコ。焼いて食ったら死ぬやつが毒キノコらしい」
「本当にその人ベテランなの…?」
「まぁ…見た目は…そもそも俺たちに毒も麻痺も効果薄いんだから気にしなくていい。早く蜘蛛食え」
「いや…蜘蛛…うーん…」
「ゲテモノでも食えるだけましでしょうに。ちなみにその唐揚げ毛を取りながら食べないと口血だらけになりますわよ」
「くもぉ…」
──
「肉丼美味いけど…そういえば米なんてあったか?」
「私は見てませんわね」
「ああそれちっこい蛆虫加工したやつ」
「聞きたくなかったぁ…」
「でもこれお腹膨れますわよ」
「幸福度も上がる」
「日本でも昆虫は完全食だとか言われてたし栄養価は高いぞ!見た目を気にしなければ」
「第一印象の5割は見た目なんだよぉ…食べるけどさ…甘いものたべたい…コンポート…ソフトクリーム…」
久しぶりに見てやっぱりんぎゃわだねぇ!ってなったからやったことないけど勢いで書いた
日本一のソフトウェアのゲームの料理レシピ一覧見てたらやりたくなったよ。というかどの調理法も虫ばっかやないかい!!肉丼のレシピ見て驚愕しましたわよ!!
≫93割り箸の話22/05/27(金) 11:43:27
- 外で食事に来たオペトレ・ヘリトレ・イクトレと、同席したダストレ
両手に割った割り箸を持って、接合部分を擦るおじさん達
「「「「…………」」」」コスコスコス
「……みんなして割り箸こすって、何してるんですか?」
「😮」
「そういえば……これはいらんかもしれんのう」
「……あ、わかった。これジェネレーションギャップ案件だ!」
「御明察だよダストレ君。昔の割り箸は、今ほど上手く割れるものではなくてね。
細かい木屑やささくれができてしまうんだ」
「こうして擦って、均してやらんと口に刺さったりしてのう……ありゃ痛いんじゃわ」
『癖になってるんだ、割り箸をこするの……』
「そ、そうだったんですね……」
「そう考えると、今は随分綺麗になりましたね。加工技術も日々進化してるということでしょうか」
「そういや、コンビニでもらえる割り箸って割りやすいよなあ……」
『そもそも割らずともよいタイプもあるね。プラ包装の効率化あってのことかもしれない』
「ホッホッホッ。日常に根差す技術も、日々進化を続けているということじゃの」
どっとはらい
≫124二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 17:50:54
ロレトレコンビ
「一段落つけるとおもっていましたにゃににゃんですニャン!」
「すごい……語尾の交通渋滞で何言ってるか全然わからないー……!」
「解除される条件は簡単そうですにゃね。このままだとアイドルまでさせられそうですニャン。そんなのいにゃですわ」
「それでワシャワシャすればいいんですか?トレーナーさん」
「ええ、おやりににゃって!恥ずかしいたらあにゃしませんにゃん」
――ワシャワシャワシャワシャ
「(かわいい……)」
――記録3分
≫134二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 19:53:58
「トレーナーさん、オーバーサイズニット良く似合ってらっしゃいますよ♪」
「あ、あの……グラス……」
「ニットの裾なんて押さえてどうされたんですか?」
「その……サイズが合わなくて……」
「……? 小さい物を着られたんですか?」
「いえ、身長に合わせました……」
「では、何故……?」
「お尻が……お尻が邪魔で裾が上がってしまって……」
デカいお尻の分持ち上げられた裾を頑張って押さえているグラトレの図
「…………良く……似合ってらっしゃいますよ♪」
「ううっ、嬉しくない……」
≫157二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 22:50:50
「尻尾穴のついた男服のデザイン?今もあるスーツとかじゃなくて?」
「ああ。私のように女性用が恥ずかしい人や、そもそも身体に慣れず抵抗がある人も少なくないはないだろう?」
窓から差し込む朝日を背に受けながら、黒ルドがそう語る。
「それでリィに頼みたい、と。まあ確かに男物っぽいのってあまりないもんね……ウマ"娘"である以上仕方ない事だけど。
でもなんでそれを私に?魔ルド、リィの連絡先持ってなかったっけ。」
「うん、あるよ〜!けど今回は黒ルドに頼る経験積ませたいな〜って思って。」
「あー……なるほど、納得したわ。」
というのも、黒ルドは人に頼るのがあまり得意ではない。多分良くも悪くも真面目すぎるんだろう。もう少しくらい肩の力を抜いてもいいと思う。
「……すまん。」
「いや謝る必要ないって。私が頼られること大歓迎なのは黒ルドだって知ってるでしょ?」
「それは……そうだな……」
「だから大丈夫。これでも先輩なわけだし、もっとガンガン頼って。」
ドンと来いと言わんばかりに胸を叩く。
それを見た黒ルドは少し考え込んで、そして。
「……分かった。正直誰かを頼るのはまだまだ慣れないが……是非ともそうさせてもらうよ。」
ちょっとだけ申し訳なさそうにしながらもそう言うのだった。
158二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 22:51:11
「よし、じゃあ早速連絡するけど……黒ルド、覚悟はできてるんだよね?」
「ん?なんのだ?」
「着せ替え人形にされる事への。」
「……えっ。あ、いや、え!?私がか!?」
「うん、だってリィにとっても結構新しい試みだし。 」
一応私が巻き込まれたと知ったばかりの頃に似たようなことを考えてた事はあるはずだけど、すぐにどう売るかの問題で頓挫してたから多分デザイン自体はほとんどない。となると最低限どんな感じだといいか、という方向性を決める必要が出てくる。
「だが、それなら二人だって……!!」
「私とスズトレちゃんは普通にどの服も着れるから意味ないと思うよ?」
「あああそうか、今ここにいる中で女性もの苦手なの私だけなのか……!!」
「どうしても無理ならフクトレとかも巻き込……協力してもらうこともできるけど、いけそう?」
「少し……ほんの少しだけ時間をくれ……!今腹をくくる……!!」
数時間後、黒ルドは顔を真っ赤にしながらもなんとか耐えきった。
≫171いずれ大河になる君へ 1/422/05/27(金) 23:57:29
5月27日。少しずつ春が遠のき、来たる梅雨のことを考え始める時期。
──僕の愛バ、スーパークリークの誕生日だ。
この日の為に、たくさん準備をした。
ロブトレさんをはじめとした服飾に造詣の深い方々や、オグトレさんを筆頭としたお料理上手の方々。
時間も手間も、いっぱい掛けさせてしまった。後できちんと、お礼をしなくちゃ。
でも。沢山の人に助けられて、山ほどの失敗を重ねて、今日に至った。
──大丈夫。きっと、喜んでくれる。
そう呟けば、何だか心がすーっと楽になった気がして。
僕は、家の戸を閉めて、学園へ向かった──普段は持たない紙袋を一つ持って。
トレセン学園に着き、トレーナー室へ移動中。中庭に、クリークの姿が見えた。
スーパークリーク。中央トレセン高等部に在籍するウマ娘。
時に優しく、時にもっと優しく、時々ちょっと厳しい。そんな、お母さんみたいな包容力を持つウマ娘。
抜群のスタミナで力強くターフを駆けるその姿も合わせて、彼女を慕う子も多い……と、僕は思っている。
現に、今日の彼女の周りには沢山のウマ娘がいて、皆楽しそうに、嬉しそうに、プレゼントと一緒に言葉をかけている。
「お誕生日おめでとうございます!」「ハッピーバースデー!」……そんな、素敵な言葉を。
当然、貰うプレゼントの量も多く──量が多いということは、種類も多いということに他ならない。
質も皆、可能な範囲で良いものを選んでいるだろう……僕が用意したプレゼントと、重複しないといいのだけれど。
そんなことを考えながら、中庭でわちゃわちゃしている彼女を遠巻きに見守っていると……目が合った。
(また後で、トレーナー室でね)……そんなメッセージを思念でビビビと飛ばしながら手を振ると、
クリークもにっこり笑って、手を振り返してくれた。きっと、こちらの考えが伝わったのだろう。
そう信じて、僕は中庭を後にし、トレーナー室へ移動した。
172いずれ大河になる君へ 2/422/05/27(金) 23:57:46
お祝いの言葉に、いっぱいのプレゼント。きっと練習も押すだろう、ならいっそ……ということで、今日はお休みにしている。
一応、皆からのお祝いがひと段落着いたらトレーナー室に来てね、と伝えてあるけれど。
朝からあんな調子だから、だいぶ時間がかかりそうだなぁ……なんて考えながら、トレーナー室でお仕事をして待つ。
時々持ってきた荷物を確認したり、あじさいさんの為にカーテンを開け閉めしたり、ミニメカさんのお世話をしたりしながら。
「ごめんなさ~い! 遅くなっちゃいました~!」
「ふふふっ、大丈夫だよ、クリーク。僕の方も、今ひと区切り着いた所だから」
結局、彼女がトレーナー室に現れたのは夕方。話を聞けば、一人ひとりとハグしていたとのこと。
クリークらしいと笑いながら、ふと沢山ある筈のプレゼントを持っていないことに気付く。
「ああ、プレゼントは一度寮のお部屋に置いてきたんです。手が塞がっちゃったら、トレーナーさんと手が繋げませんから~」
「そっか、それもあってこの時間なんだね……まあ、ある意味で丁度いい、のかな?」
「……? トレーナーさん、丁度いい、ってどういうことですか~?」
「ええと……こういうことだよ。はい、クリーク。僕からのプレゼント、一つ目だよ」
そう言って手渡すのは、家から持ってきた紙袋。その中身は──
「まあ~! 可愛いエプロンですね~!」
「えへへ、そうでしょ? 一生懸命考えて選んだんだよ」
そう、エプロン。
プレゼントが重複したらちょっと困る、とはこういうことなのだ。
流石にエプロン二枚掛けはしないだろうし、被ってしまえばどちらかが予備に回ってしまうかもしれない。
折角のプレゼント、死蔵してしまうのは勿体ないから。
「……それで、ええと……一つ目、って言いましたよね~?」
「うん……もう一つあるんだ。こっちだよ」
173いずれ大河になる君へ 3/422/05/27(金) 23:58:01
二つ目のプレゼントを渡す為、クリークを連れて学園を出る。既に外泊届は出してあるから、問題はない。
二人で手を繋いで道を行き、到着したのは僕の家。
「到着だよ。さ、上がって! もう一つのプレゼントは、中にあるから」
「は~い、お邪魔しますね~……二つ目のプレゼント、一体どんなものでしょうか~……」
手を洗い、着替え(何だかんだとお世話になるので、クリークの着替えも幾つか置いてある)、キッチンへ。
「……さてクリーク。二つ目のプレゼントは……ずばり、今から作ります!」
「……ええっと……?」
「ふふふっ。今からクリークの為に、僕が夕食を作るってこと。それで、クリークにはお手伝いをお願いしたいんだ」
「そういう事でしたか~……あ、もしかして」
気付いてくれたみたい。そう、エプロンをプレゼントに選んだ理由の一つは「彼女にお手伝いしてもらう」ため。
ただ、あくまでクリークはお手伝い。料理自体は僕がメインに進める──これが、二つ目のプレゼント。
「クリーク。そのエプロンも、これから作る料理も……皆みんな、僕ひとりじゃ用意できないんだ」
「……」
「エプロン選びも、ポケットのアップリケの刺繍も。料理の献立を考えるのも、練習も。全部誰かの助けを借りてる」
「そうですね~……どれも、時間と手間が掛かっているのが分かります」
「それでも、君の為に。沢山悩んで、ちょっとケガして、失敗もして……今日、この日を迎えたんだ」
「トレーナー、さん……それだけ頑張れるのは、トレーナーさんがいい子だからですよ~」
「えへへ、ありがとう。でも、やっぱり一番は……クリーク。"君の為に、成長したいから"」
「……!」
これまで、新人トレーナーの僕を信じて、支えてくれたこと。ウマ娘になってしまった僕を、優しく包んでくれたこと。
これからも、沢山お世話になるだろう。一人立ちするには、まだ早い。それでも、伝えたい。
伝えきれないくらいの感謝と、祝福と──そして、成長を。
174いずれ大河になる君へ 4/422/05/27(金) 23:58:14
「どうかな……改めて、プレゼント、受け取ってくれますか?」
「……はい……はい、はい! と~っても嬉しいです~!」
……きっと、この時の彼女の笑顔が、今日一番の大輪だった。
僕はそう、信じている。
「さーて! それじゃ、早速始めよっか!」
「は~い! うふふ。先生、まずはどれから始めましょうか~」
「オッホン! えー、それではー……」
今日は、あなたの生まれた日。大切な君が、産声を上げた日。
ハッピーバースデイ、スーパークリーク。僕の愛バ、親愛なる君へ。
どうかその道行きが、温かな愛と、柔らかな幸せに満ちていますように。
「……あっ、そうだ! 帰り道に行こうと思ってたのに、ケーキの受け取り忘れてた!」
「……あらあら~♪」
(了)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part765【TSトレ】
≫39二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 11:12:13
「はい、不正解ですわね。落ち着いて回答してくださいまし」
「すみません先生、もう一度計算しなおします……いやおかしくないですか先生」
「どうしましたの?私の言動に何か差し支えあるところがあれば修正いたしますわ」
「言葉遣いが……メジロっぽくなってます」
「ふむ? 確かにおっしゃられるとおり、少々語尾に変化が見受けられますわね」
「いやもう少々どころじゃないです。一体全体何の影響なんですかね」
「……世の中にはわからないことも多いのです、それ故に、私たちは勉強をいたしますのよ」
「それっぽい感じでいい話風にまとめないでください、後ろの数名が感銘を受けてます」
「ところで、お嬢様言葉と一口に語ってもその表現は意外と奥が深いものでして」
「先生めっちゃ脱線してます」
「基本的には丁寧語を中心に『ことのて』……ですこと、ですの、でしてなどの表現をつけると一気にお嬢様言葉のように聞こえるというものがありますわね」
「くっ、突然国語の勉強になった……」
「もしそういう機会がありましたらその辺を意識して語尾を選んでいくと、よりお嬢様らしい言動をもってお茶会に参加できることでしょう。よろしくて?」
「どこらへんにもよろしい要素ありません先生!」
≫46二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 12:10:26
グラトレ「困りましたわね~」
ブライト「あら〜、グラトレ様〜、どうされたのでしょうか~」
グラトレ「あらあら〜、ブライト様〜、実はお嬢様方の様な喋り方へ変わってしまいましたのですわ~」
ブライト「ほわ〜、不思議な事も有るものですわね~」
グラトレ「ええ〜、不思議な事も有りますわ~」
メブトレ「うっ……何か眠気……が……zzz」
グラス 「しっ、しっかりしてくだ……さ……zzz」
グラトレ(独)がお嬢様言葉になったら、いよいよもってブライトと文字上の見分けが付かなくなると思うんだ……
≫139二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:10:46
ゆるりとするある日のトレセン学園にて、二人のトレーナーがお茶を飲んでいた。
そうして、特徴的な流星のトレーナーが口を開く。
「……キタトレさん」
「どうしたの?魔ルドトレ」
「んー……キタトレさんは、口調を姿に合わせてるんだよね?」
「ええ、そうだけれども……」
「ああいや。凄いなぁ、って」
「そうかしら」
そう言い、キタトレはカップに口をつける。
ゆっくりとした、落ち着いた時間が流れる。
「……うん、凄いと思う。私は、過去に戻ろうとして、疲れちゃうから」
「……いいえ。そういう貴方も、大事なものを守るために今も秘密を抱えている。それは、凄いことでしょう?」
「そう、かな?」
「ええ。状況証拠だけでは、どうしようもないから」
ふふっ、と微笑むキタトレの笑みに呼応して、魔ルドも微笑む。
誰が為の笑みは、二人をつなぐ。
それが、深い闇に面していようと、慈愛を阻止する術はないのだから。
≫151二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:36:00
イケメン・お嬢様・メスガキ
『ナイト・スカウト・魔道士★』
「思ったよりも動きづらいなこれは……」
カチャリカチャリと金属同士がぶつかり合う音を立て、甲冑を着た大柄の男が更衣室から出てくる。彼の名はマヤトレ未だウマ娘化してない貴重?な男性陣の一人である。
今回マヤトレを含む三人、ロレトレ、マベトレと共にウマレーターを使ってファンタジー世界を遊ぼうとする企画をするらしい。そして世界内の都合と相談の結果マヤトレがタンク役になった。
マヤトレは自身の背丈の半分ほどもある大型の剣と盾を置くと少しばかり騒がしい更衣室に向かって声をかける。
「そろそろロレトレとマベトレは着替え終わったか?」
「私は準備マーベラスだよー☆」
そうすると元気あふれる声と共に全身を白で統一し、フリルをふんだんに取り込んだ衣装のマベトレが出てきた。
途中で杖を忘れたのか駆け足で戻っていったがよくあれで転ばないのか不思議である。
「どうー?私は魔道士だよー☆ 幻術からヒーラーまでマーベラスにお任せー★」
「うわ、絶対変な使い方で敵をチョメチョメしたりわざと回復しないで動き理解した?とかするタイプだ」
「クスクス生殺与奪の権ってしってるー?ざこは床がお友達だもんねー★」
そういうマベトレはいじったらしく満面の笑みであった。
152二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:36:16
そして二人は騒がしい音の正体であるロレトレの更衣室に目を向ける。
「ロレトレ大丈夫か嫌なら」
「恥ずかしがってないで出ておいで~★」
「いいえお気になさらず、もう大丈夫ですわ」
そろそろ決心がついたのか勢いよくカーテンがシャーと音を立て開かれた。
ロレトレの姿はギリギリ胸を隠すほどの丈しかないタンクトップとホットパンツそして、上から丈の長いマントを羽織ったシーフやスカウトと呼ばれる軽装の職であった。
マベトレとマヤトレが注目しているとロレトレはたちまち顔を赤くしながらマントに身を隠す。隠密を意識している服だけに金色の栗毛が映えていた。
「どうしてこの世界、このような服ばっかですの」
「ロレトレ恥ずかしがってると逆に女々しくないか」
「ロレトレおねえちゃんよわよわ〰★ ざっこーい★ おとこらしくない~★」
「ええ、マヤトレ様わかってますわ。そしてマベトレさんお黙りなさい……これでどうかしら」
マヤトレとマベトレに言われ吹っ切れたロレトレは仁王立ちのポーズで立ち上がる。
153二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:36:31
「そこまで言うならナイトをやればよかったんじゃないのー☆ ほら女性用衣装もマーベラスでかっこいいよー☆」
マベトレはそう言うと装備サンプル絵を指差す。
「わたくしだって可憐で優雅な騎士様とかやりたかったですわって口調補正がひどくありませんこと。こほん……でもできませんでしたわ」
「なんでー?」
「STRや体格のせいで不適切って言われましたわ。ウマ娘でSTRが足りないってどういうことですこと」
「あー……☆でも小さい種族がタンクってのも珍しく無いよねー☆」
別に大柄の大男がタンクの特権ではない近年のゲームや漫画では小人サイズの人物が前線を張るなんてものはよくあることなのだ。
「この世界だとレベルがあるとステータスも比例して上がるから一応全職できるらしいな」
「ええですから、近接職を選んだんですのよ。いつかはなってやりますわ」
ロレトレはそのサクラの瞳に闘志を燃やす。それを見たマヤトレは横目に視線をずらし言う。
「まあなんだ……それまで俺がお前たちを死んでも守ってやるからな」
「きゃー★ マヤトレおにいちゃんかっこいいー☆」
「それわたくしが言いたかった台詞ですわ!!」
――こうして3強トレの冒険は始まった。