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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart651~655)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part651【TSトレ】
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part652【TSトレ】
≫73二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 23:12:13◆演技レッスン・バカ面接「あらためて聞いてもすごい名前のレッスンですね……」
「元々は『じゃがりこ面接』というSNSで話題になったものの派生ですから、ネイトレさんも知っているかと思いましたが」
「残念ながら情報の収集源がうちはまだテレビなので……とはいえ、ファルトレさんのお手本も少しだけ見せてもらいましたし、多分、なんとか……?」
「余裕ですね。では音源代わりに私がアドリブも交えて問いかけるので、テンポ良く『バカ』と応えてください。……想像力、大事ですよ」
「今私じゃない方見て言いました?」
「気のせいです。それではテンポ用のBGMを流して……では、いき、ます、よ。3! 2! 1!」
「嬉しくて?」「……バカ」
「悲しくて?」「バカァ……」
「怒ってて?」「っバカ!」
「寂しくて?」「…バカ」
「嫉妬して?」「ばか。」
「失恋して?」「うえぇぇんバカァ!」
「ツンデレ風に?」「バカじゃないの!?」
「嘲るように?」「バ、バーカ」
「メスガキ風に」「バァカ♪」
「好きな人に?」「えっ、あのバk
「愛を込めて?」「……バカ♪」
「もっと込めて!」「……バカ♡」
「お疲れ様でしたー!!」
「これ恥ずかしい奴じゃないですかー!!」
「今更ですか?まぁウマドルの道はかくも厳しいということで。……とはいえ初チャレンジでほぼつっかえずにいけたのはすごいです。録音したやつを聞き直してみましょう」
「待ってください! 録音してたんですか!?」
「やりっぱなしはダメですよ、振り返りは大事ですから」
「ホントウニキエタイ...」 うまぴょいうまぴょい
≫84二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 23:53:09
「嬉しくて?」「……はいっ」
「悲しくて?」「…………はい」
「怒ってて?」「はい?」
「寂しくて?」「……はい」
「嫉妬して?」「……はぁい」
「失恋して?」「は、ぃ……っ」
「ツンデレ風に?」「ハァい!?」
「嘲るように?」「はァ〜〜〜い(笑)」
「メスガキ風に」「はぁーい♪」
「好きな人に?」「はい……」
「愛を込めて?」「……はい♡」
「もっと込めて!」「はぁいっ♡」
「恥ずかしくないのか?」「……いいえ?」
「嘘をつくな」「……はい」
出来心です。お納めください
≫86二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 00:51:41
恋愛夜咄
4.『変わったもの。変わらないもの』
誰もが輝けるわけではない。
自身の至らなさに絶望することだってある。そのこと自体を、悲劇とは思わない。
でも、諦めたくない意志がそこにあって。
日の目を見ずに、沈んでいく力があるのだとしたら。
その時はきっと、手を差し伸べて、背中を押してあげなくちゃいけない。
側に居て信じ続ける。頑張れって。諦めるなって。
居場所も意味も、無いなんてことは絶対にない。
救いは必ずある。
俺はそれを、みんなから学んだんだ。
87二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 00:52:07
あの告白で、何かが大きく変わったわけではない。
以前と同じように、俺は彼女の側に居る。でもその在り方はちょっとだけ違う。
二人とも、一人では歩けなかった。
どちらかが手を引っ張って前に進んで。そしてまたもう一方が手を差し伸べて。
二人で転びながら、一緒に歩いてきたのが今までの形なら。
きっと今はもう自分たちの力で、同じ方向を向いて、同じ歩幅で一緒に進むことができる。
時々横を向いては、隣にいることを確認して笑い合って。
些細だけど、確かな違い。そんな日常が何よりも愛おしい。
「トレーナーさん、よく笑うようになりましたぁ」
「そう、かな?」
「はいぃ。うまく言えませんけどぉ…いいと思いますっ。トレーナーさんの笑った顔が見れるのは、私も嬉しいので…」
「そう言われるとちょっと恥ずかしいかも…。でも、ドトウにそう言ってもらえるのは嬉しいかな。…ドトウは少し大きくなった?」
「えぇっと、あまり変わってないと思いますけどぉ…」
「そう?なんだかオーラが出てきたというか、頼もしく見えるようになったというか」
「ほんとですかぁ~!だったら私も嬉しいですぅ~」
一年という空白は大きいようでも小さいようでもあって。
それでも、その空白を埋め合いながら、今日も新しい日常は過ぎていく。
「あっ見つけた!先生ったらまたドトウ先輩といちゃいちゃしてるんだからー!もうトレーニング始めるからねー!」
「だから先生じゃなくてトレーナーだって…まったく、何回言っても聞かないんだから…」
「ふふっ…そろそろ私たちも行かないと、ですね」
「そうだね、行こうか。ドトウ」
「はいっ。…あのっ、トレーナーさん」
「ん?」
「もう、どこにも行きませんか…?これからも…、一緒にいてくれますか…?」
「…うん。もちろん。何があっても、ずっと君の側に」
≫93二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 01:13:04
じゃがりこ面接・ヒーロー風
「嬉しくて?」「変! 身!」
「悲しくて?」「……変、身ッ……!」
「怒ってて?」「変身ッ───!」
「寂しくて?」「……変身」
「嫉妬して?」「……、変☆身っ!」
「失恋して?」「───変身……っ!」
「ツンデレ風に?」「変身っ!」
「嘲るように?」「変身~~~~~!!」
「メスガキ風に」「変っ★身っ☆」
「好きな人に?」「変身!」
「愛を込めて?」「変身!!」
「もっと込めて!」「───変身っ!!!」
≫136二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 09:07:20
トレーナーによるトレセン学園生徒への交通安全指導集会
義「ルールを守ることは大切だよ。交通ルールもそうだね、あれはおまわりさんが捕まえたいからあるわけじゃない。みんなを守るために作られたものなんだ。……ねえ、みんながルールを守らなくて……怪我をするのは幸いだよ。嘘じゃない幸せなんだ。ルールを守らなくて、誰かをこうしてしまう不幸に比べれば」左ズボンの裾をまくる。
義「でも本来は何も起きないことが一番の幸せなんだ。だからどうか交通ルールはしっかり守って欲しいな」微笑み
集会の後お通夜みたいな空気になる生徒達
≫157二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 10:44:59
オペトレ「では実際にぶつかったらどうなるか、車とウマ娘と同じ密度のダストレくん人形をご用意しました。イクトレさん、どうぞ」
イクトレ「◎」
(全速力で突っ込むダストレくん人形と車)
(大きくひしゃげる車と木っ端微塵のダストレくん人形)
オペトレ「はい、よくわかりましたね。皆さんウマ娘用レーンから外れないよう気をつけて走りましょう!」
ダストレ「ねえ俺の人形でやる意味あったぁ!?」
スイトレ「前作ったダストレくん人形が余ってたんだってえ……」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part653【TSトレ】
≫12二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 14:57:48
「……もうすぐ節分かぁ。」
「ですね。っていっても私もトレーナーさんも寮暮らしですから、他のイベントと比べるとできることは少ないですが……」
「あー、それなんだけどね。スズカ、節分の当日って予定空けられる?」
「はい、多分大丈夫だと思います。……出かけるんですか?」
「そのつもり。これまでは特に出かけたりはしてなかったでしょ?」
「そうですね、3年前は弥生賞、一昨年は金鯱賞と二年とも3月にレースが入ってましたし……」
「去年は去年で温泉旅行の日と近かったもんね。だけど今年は次走が4月に入ってすぐの大阪杯で、今までと違って少し余裕がある。」
「……でもどこに行く予定なんですか?節分のお出かけってあまりイメージが……」
「私もそう思ってたんだけど、調べてみるとイベントで豆まきやってるってところが結構あるみたいなんだよね、これが。そしてその中に……」
「えーと、"高尾山節分会"……景色……!!」
「そう。節分会参加してからトレーニングも兼ねて山登って、景色堪能して帰る。そんな感じのプランだよ。……どう?行く?」
「行きます、というか行かせてください。」
「OK、分かった。」
「……そうと決まれば早速詳細詰めて行かないと。まずどの回に狙いをつけてくかから……」
「トレーナーさん、この滝とかキレイそうじゃないですか?」
「そこ節分会の寺院とは道完全に別だからね……?」
話し合った結果、降りる時に通るようにした。
≫21二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 16:29:46
バレンタインにフウトレから手のひらサイズのラップに包まったおはぎを貰った。
と思ったが、おはぎに見えたそれはチョコだった。
でも表面とかボコボコしてて、濃い茶色と薄い茶色がまだらになってるのでおはぎにしか見えない。もしくは石。
ためしに20cmの高さから机に落としてみたら鈍い音がした。爪で字を掘れるかもしれない、と思ったが爪すら食い込ませることができなかった。
こんな物に歯が立つわけが無い。 誰もいない廊下にて野球の要領で大きく振りかぶってその物体を投げ、壁にブチ当てたが傷一つつかない。俺の心と壁に傷がついた。
どう扱えばいいか解らなくなり、鉱物に詳しい同僚に相談したところ
「セメントの疑いがある」というので社外に出て、駐車場のブロック塀におもいきり投げつけまくったところ、ようやくいくつかに割れた。
匂いを嗅ぐと、なるほどチョコレートの匂いがする。しかし小さいかけらを口に入れてみてもチョコレートの味はせず、しかもいつまでたっても溶ける気配がない。
駐車場脇の花壇に穴を掘り、チョコを埋めて仕事に戻ったが、あんな鉱物レベルの物体をどう錬金したのかが気になって仕事が手につかなかった。
≫87二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 21:22:40
「父親にチョコを贈られたらどう思う?」
「………………」
居心地の悪い沈黙が、居酒屋の喧騒に溶けていく。
シンコウウインディ担当トレーナーは救いの手を求めて辺りを見回し、やがて静かに嘆息した。
事の発端はかの悪戯ウマ娘、辻噛みつきバのウインディが性懲りもなく仕掛けた落とし穴に、哀れなウマ娘がハマった所から始まる。
シントレとしては愛バの悪戯癖の尻拭いはもう慣れっ子なので、ああまたか、という諦念と複数の謝罪文を手土産に現場へ参上したところ、待っていたのはビコーペガサスのトレーナーであった。仕立ての良いスーツを砂まみれにして笑う年上のトレーナーに、血の気が引いたのは言うまでもない。
すみませんうちの子がすみません、と平伏するシントレに、ビコトレは僅かな逡巡の後、こう要求したのである。
───『相談したいことがあるので、機会を設けてはくれまいか』。
というわけで手頃な酒場に連れ込まれたのだ。適当な世間話から育成談義と、中々に有意義な時間を過ごす両者であったが、本題である相談事とやらが出てこない。指摘してみると、それまでの明朗快活な話口調を途端に崩して押し黙る。シントレ自身、受け身な気質である。話しかけられれば答えるが、こちらから話しかけることは少ない。逆に言えば、待つのには慣れていた。適当につまみを口にしつつ、ぼんやりと待ってみると、おずおずと冒頭の言葉が吐かれたのである。
「バレンタインですか」
この時期にチョコを贈ると聞けば、百人が百人それを思い至るだろう。女性が贈るそれは、あるいは日頃の感謝であり、あるいは友愛の印であり、あるいは恋慕の象徴である。シントレ自身、学生時代匿名のチョコを贈られた経験がある。トレーナーになるための勉学が多くを占める中でも、青春らしい思い出である。
しかし、今回の場合、話の流れ的に要するにアレだろう。理解出来るだけに無難な回答が浮かばない。
「……まあ、その、そう珍しくもないのでは? 僕も子供の頃は親から貰ってましたし……」
「それは、母親から、だろう」
「……まあ……そうですね」
つまり『贈っちまった』のだ。
過去形。郵送済み。今は女の子だから贈れるじゃーん! と浮かれきった中年男性の後悔である。うかれビコトレはかわいい実子に何かしら物を送り付ける機会が増えたとしか思っていなかったのだ。
88二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 21:24:27
「……父親がウマ娘になって、チョコを送り付けてきたって、それは、その……あまりにもあんまりじゃないか?」
「いや、どうでしょう……?」
バレンタインのチョコレート。
黒光りする糖質の結晶に与えられたロール(役割)は多かれども、共通するのは『女性から』贈られるということ。
それが、『父親』から贈られたとなれば、『息子』はどう思うのだろう。
「……ただでさえ、父親らしいことも、ろくにしてあげられていないというのに」
湿っぽく呟いて、喉に酒精を流し込む。
ビコトレの少女らしい顔立ちはすっかり赤みを帯びていて、かなり『出来上がっている』ことが見て取れた。
さてシントレといえば、大人しく無口、聞かれたら答えるが言われなければ口を開かないようなトレーナーである。
加えて言えば、シントレは若い。トレーナー経験でも、人生という意味でも。結婚もしていないし、当然、実子を抱いたこともない。父親と言えば肉親の顔が頭に浮かぶ。仮に自分に子供がいたとして、と考えてみても、やはりふわふわとしていて、実感がない。ましてやそこに、ウマ娘化だとか、別居中だとか、複雑な事情が挟まるのだから、無意味だ。
もっと別の、子供のいるトレーナーに相談すべきなんじゃないか。かの旧老爺、現麗しいウマ娘が、この手の相談事を断るとは思えない。
ふと、シントレの耳が震えた。鋭敏になった聴覚が、規則正しい呼吸音を捉える。
隣を見てみれば、テーブルに突っ伏して寝息を立てるビコトレの姿があった。
「……ふぅ」
今すぐ家に帰って何もかも忘れて眠りたかった。言うだけ言って寝ていやがる。何も解決してないというのに。そもそもの発端がお詫びなので決して文句は言わないが。
少なくともシントレは、ここの会計を済ませ、ビコトレの軽い身体を抱えてトレーナー寮に帰らなければならないようだった。
≫133二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 23:10:54
手錠概念で湯たんぽ組に好き勝手していたグラトレの結末
グラトレ「ふふ~ん、サトトレさんとシビトレさんのお二人は温かいですね~~」
グラトレ「…………おや、あちらに居られるのはブルトレさん」
グラトレ「丁度私は誰とも繋がっていませんので~、ブルトレさんと御一緒するのもよろしいですね~」
グラトレ「ではでは、確保に向かいましょうか~」
グラトレ「……? ……何やら足が重たい様な?」
グラス「…………」──独占力 シャッ
グラトレ「…………」
グラス「はーい、トレーナーさんは私とペアですよ~♪」
グラトレ「違グ聞」
グラス「ちゃ~んと聴いてあげますからね~」
グラトレ「アアアァァァ……」ズルズルズルズル……
うまぴょいうまぴょい
≫163二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 09:06:29
「いや〜。なんかおもろいことになったね、黒カフェさんや」
「…………はい」
「とりあえずご飯でも食べに行く?行きつけのお店あるんよね、ここら」
「…………はい」
「黒さん?黒っち?おーい?平気かーい?」
「いえ……悪いのは僕なんで……。タイキトレさんは悪くないので……」
「……???」
≫169二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 09:20:16
───某日、謎の声が聞こえた後。
「…」
「えっと…大丈夫かな?」
…サトトレとシビトレ、よくゆたんぽにされる二人だが、サトトレの右腕とシビトレの左腕に手錠で繋がれていた。
この学園でのトンチキな事自体はもはや慣れっこではあるのだが、同じゆたんぽであれど面識はそんなになかった二人。
当然、この状況にシビトレはやや怯えて嫌がっており、そんな姿をみたサトトレは心配せざるを得なかった。
「…すみません」
「ふむ…」
手錠で繋がれているので離れる事は出来ない。シビトレからすれば昔のアレに結びつきそうな状態。するとサトトレは
「ふわぁ…」
「?!」
ピクリと反応するシビトレを他所にあくびを一つ、うつらうつらと体を揺らす。いかにも眠たそうな様子だった。
───心配はしているのだが、それはそれとしてそういう人ではないのと学園内で疲労気味ということでこの行動である。
シビトレからすれば驚くべきことであったが、同時にその無防備なサトトレについ少しの可愛さを覚える。
おずおずと手を伸ばし、もふもふかつ手触りの良い髪と耳に触れる。サトトレは特に反応を返してこない。
(…心地良い)
なるほど最高品質の等身大ぱかぷちかと思うシビトレ。サトトレをよく抱く人達の気分が少しだけ分かった気がした。
「じゃあこれは…?」
両手でサトトレを持ち上げて膝上に、手錠のせいで向かい合う形でしか乗せられず、ここでサトトレが
「んぅ…」
「!」
髪の毛で目が隠れてるせいで起きているのか分からない。おそるおそる前髪をちょろっとあげて確認する。
───やや開いていた目が合う。
そのブリリアントイエローダイヤの瞳を捉えて硬直するシビトレ。引き伸ばされているように感じる時間が流れる。
「…」
…その目がゆっくり閉じ、また舟をこぎだしたサトトレに安堵するシビトレ。少し疲れたのか動く気が失せる。
「いいかも…」
ちょっとだけ、その等身大自律型適温ぱかぷち(と思うことにした)を抱いてリラックスするシビトレであった。
───後にグラトレに纏めて捕まったり、知ったダイヤが独占力を発動したり、シビトレが時折抱いてる姿が目撃された。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part654【TSトレ】
≫14二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 10:27:39
言うトレファイト学園条約7ヶ条
第一条 - 「下着を破壊された者は失格となる。」
第二条 - 「相手の生身の部分を攻撃してはならない。」
第三条 - 「破壊されたのが下着以外であれば、何度でも着直して決勝リーグを目指すことができる。」
第四条 - 「トレーナーは己の衣服を守りぬかなくてはならない。」
第五条 - 「一対一の闘いが原則である。」
第六条 - 「学園の代表であるトレーナーはその威信と名誉を汚してはならない。」
第七条 - 「トレセンがリングだ!」
言うトレファイト、レディーゴゥ!!
≫61無限のパチタマ22/01/29(土) 11:10:58
体はパチ屋でできている
血潮はメダルで心は鉄玉
幾たびの戦場を超えて不敗
ただ一度の敗走もなく
ただ一度の勝利もない
正月は運試し 換金所で勝利に酔う
しかし その臨時収入に意味はなく
総合収支は、マイナスで出来ていた。
≫119二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 13:15:38
「違うんですよバンブーさん。私が食べすぎたのではありません、ただ目の前に食べ物が多かっただけなのです」
「その食べ物全部トレーナーさんが注文した奴じゃないっスか。あきらめて運動するっスよ」
「これはですねバンブーさん。冬というのは食べ物によって栄養を蓄え、厳しい寒さを乗り越えるというのが肝要であって」
「そんな古い時代じゃなくて今は令和っスよ。そのぷよぷよしたおなかを摘ままれたくないのであればサッサと一緒に走るっスよ」
「しかしバンブーさん。目の前に絶品たる甘味を差し出されては、食べないというのが不作法というものでしょう」
「だからってケーキ食べ過ぎっスよ!?聞いただけで何個食べたかわからないレベルじゃないっスか」
「それにほら、お土産としてこちらをご用意しております」
「……仕方ないっスね……食べたら一緒に走るっスよ」
≫124二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 13:32:47
「そういえばアンタって意外と食べないわよね」
「あー……前は食べれたんだけどね。なんか量が食べられなくって」
「だからってまた豆腐サラダだけじゃ、身体が温まらないでしょ。湯豆腐鍋でも作ったら食べる?」
「食べる!」
「あら、食いつきいいわね。好きなの、豆腐?」
「いやあ、スカーレットの料理って俺の好みにピッタリだもん。ごちそうになっていいなら喜んで食べるよ!」
「……あっそ!」
ダストレは小食だけど、ダスカに胃袋抑えられてるので程々にひんやりもちもちボディを維持しています概念
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part655【TSトレ】
≫63☆三日は長くない??22/01/29(土) 19:42:08
またこれかー、と思ってるのはお相手さんもだろう。すんごい苦い顔したと思ったら、ある種澄みきった悟りの表情をみせてる。……いや、むしろ感情が抜け落ちた無心の表情?
「まあ黒カフェさん自身の胸に目線落としてるから考えてる事バレバレだけど」
「呪詛の言葉を吐いても?」
いよいよ吹っ切れおった。晴れやかな笑顔に瞳だけは澱んでる。こわいこわい。
「……生々しい話するとよ? 自分も胸の平たい族の高位にいたもんだから気持ちはわかる」
「うっ……」
「求めよさらば与えられん、とは誰の言葉だったか……。てな訳で黒ちゃん、「揉みませんよ」」
「あれー? まだ何も言ってないのにー? いやはや健康的なムッツリなようで……ごめんて。泣きそうな顔で睨まんといてって」
「……タイキトレさんは骨の髄からエンジョイ勢って感じですね」
「うーん? でも自分がこんなムーブなのってここ一、二年ほどの話よ。昔はそこそこ不安症だったからねー」
「そうなんですか?」
「タイキを丸々三年浴び続けた結果よ……まあトレセン入り立ての自分って言っても知らんだろうけど」
「……すみません。例によって男性だと思ってたぐらいなので。……逆に僕のことは知ってました?」
「んにゃ? ちっとも」
「ちっとも!」
「そんなもんよ。いうて自分、結構非社交的だったし……あれ?なんか聞こえる?」
「神様アナウンス、ですかね」
「……今の追加アナウンス、聞こえた?」
「三日は流石に色々と死にます……カフェのトレーニングに絶対に支障が出る」
「だよねぇ。影響が自分だけならいくらでも流されて楽しむんだけど……うーーーーんーーーー」
「……えっと、何をそんなに天井を睨んでるんです?な、何かありますか?」
「いや、普段はまっっったくダメだけどね……なぜか今なら集中すればできそうな気が…………よっしゃ見えたぁ!!?」
「何が!?」
「まずは『存在の彩度』を限りなく0にします!!」
(終)
≫84二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:26:13
「ここかぁ……」
昨日の帰り際に渡された地図を頼りにここまで来た。トレセン学園から歩くこと15分。裏路地を抜けた先の川沿いに隣接したボロいアパート。そこがどうやらお嬢の家らしい。
「ここ…なんだよな……?」
壁は所々小さなヒビが入っているし階段はサビに覆われいる。何やら黒いシミも付いている。見るからにボロい。
「えっと……201号室……」
1階のプレートは101から始まっているのでおそらく2階だろう。ギシギシと鳴る階段を上がる。左端の部屋に行くと201号室のプレート。
「ここか」
洗濯機は外に置かれている。今は稼働していない様子だ。
「っし……」
コンコンコンとノックを3回する。すると中からパタパタと足音がした。
「どちら様でしょうか」
向こうから声がした。
「俺だよ俺。ドベトレ」
そう言うとガチャリと扉が開いた。
「いっらっしゃいませ」
中には割烹着を着たお嬢がいた。
「おう、今日で間違い無いよな?」
「ええ、左様でございます」
「なあお嬢」
「如何なされましたか?」
「その口調やめてくれ。なんかむず痒い」
「え……あっ、申しわ…ごめんなさい!」
「ああそんな気にしなくても良いって」
頭を下げてまるで非礼を丁寧に詫びるみたいに謝ってくる。しかしさっきからそれらは妙に型にはまっていた。
「あ、どうぞ上がってください」
「おう、ならお邪魔するぜ」
靴を脱いで部屋を見る。
「せっま……」
一言目に出た感想がそれだった。
壁には嵌め込みの大きな窓。所々テープでの補修跡がある。4畳半の畳は擦り切れていて、砂壁の砂は所々はげていた。押し入れの襖も穴がいくつか空いていた。
85二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:27:24
「ドベトレさん……どうされましたか?」
「いや……なんでもない」
そう言うと
「えっと、もう少しで夕飯ができるので、楽にしててください」
そう言ってキッチンに戻る。
どこか心地が悪くなってちゃぶ台の横に置かれた座布団に座る。
部屋の窓からは川と堤防、対岸のビル群が見える。
家具らしい家具はほとんどあらず、30センチほどの高さの棚だけだ。中には使い古されたであろう教本があり、上には炊飯器が置かれていた。
「ドベトレさん、遅くなりましたがアレルギーや苦手なものはありますか?」
「い、いや、ない」
一口のガスコンロをカチッと鳴らして鍋に火をかけている。見ていれば手際は鮮やかだ。
上の棚からいくつか食器を出すと出来上がったであろう料理を盛り付け始める。
「お嬢、オレも手伝う」
「いえ、ドベトレさんは客人ですから。どうぞお気遣いなく」
「いやでも流石にこんままじゃオレが嫌だ」
そう語気を強くすると少し逡巡した様子を見せると
「……では、食卓を拭いてもらえれば」
「おう」
何故か申し訳なさそうに布巾を渡してくるからそれを貰ってちゃぶ台を拭く。
「ありがとうございます。ではご飯にしましょう」
そう言うとお盆に茶碗とおかずの椀を乗せて運んでくる。
「お米はどのくらいですか?」
「ん〜、普通で頼む」
そう言うと炊飯器を開けて米をつぐ。
「こちらがドベトレさんのですね」
温かい茶碗を受け取るとおかずが並べられる。
「おお……」
ほかほかの白米に具沢山の豚汁。ほうれん草のおひたしと大根の煮物。そして揚げ焼き豆腐にはあんかけと薬味がたっぷり乗っかっており、非常に食欲をそそるものだった。
「どうぞお召し上がりください。おかわりも沢山用意しておきましたから」
自分の分の米を盛って炊飯器の蓋を閉め、彼女も席に着く。
86二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:28:24
「いただきます!」
「いただきます」
豚汁を啜ると汁の中に野菜の甘さや豚の脂が溶け出て腹を優しく温める。
噛み締める野菜もしっかりと火が通っておりとろとろだ。
「よければ使ってください」
そう言って七味を渡される。少しかけてまた啜ると、ピリッとした辛さが全体を締め、味をいっそう引き立てていた。
しかもその野菜や豚肉がよく米と会う。あっという間に汁がなくなった。
「あー……お嬢……」
「おかわりですね。お待ちください」
「お、おう」
スッと立ち上がると椀を受け取りキッチンの方へ汁をつぎに行く。コンロで温めていたらしく、すぐ持ってきてくれた。
「どうぞ」
「おう、サンキュー」
受け取ると少し具材と汁を減らし、ふぅと一息つく。
「お嬢すげえな。メジロの飯より美味えぞ」
「ふふっ、それはありがとうございます」
にこりと笑ってほうれん草を食べる。それにつられておひたしの小鉢を取る。切り揃えられたほうれん草にかつお節がかかっており、透き通った出汁のようなものがかかっている。
「……うめえ……」
びっくりした。出汁のようなものは薄口醤油らしい。食感の残ったほうれん草は風味を残しつつも甘い。
続いて揚げ焼き豆腐に移る。あんかけのおかげでまだ温かい。口に入れるとジュワッと豆腐から餡が滲み出る。薬味もキリッと輪郭をはっきりさせながらもスッキリとさせており、パクパクと箸が進む。
あっという間に空にしてしまい、お嬢がおかわりを聞いてくるが一旦保留にさせてもらう。大根の煮物はスッと箸が通るほどに柔らかく、上には柚子の皮が添えられていた。
出汁と醤油の風味が香り、柚子が口内をすっきりさせた。
どれも一級であるはずなのにどれも嫌に主張せず、むしろ調和していた。
「ふぃ〜…美味かった…ご馳走様だ」
「お粗末様でした。気に入っていただけたのなら、私も嬉しいです」
いつのまにか完食していた。腹もよく膨れて満足感もやばい。美味すぎたせいで少し食い過ぎた。炊飯器のそばの小さな置き時計は7時を示していた。
87二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:30:02
「お茶碗、お下げしますね」
そう言ってお盆に空いた茶碗を乗せていき、湯気の立つ緑茶を淹れて渡してくる。
「いやいや、流石にオレが皿くらい洗うって」
「ドベトレさん、流石に客人の方にそれを任せることができません」
「でも……」
「私がやるべきことなんです。どうか」
「……じゃあ他に、やることはねえか?風呂掃除とか」
「もうしてしまって……なら、お湯をためてきてもらっても良いですか?」
「お安い御用だ。ここの扉でいいんだよな?」
はい、という了承を聞いて扉を開く。中は昔ながらのタイル張りの床と壁、湯船は小さく深いタイプだ。
「湯針のボタンは……」
ない。あのコンソールが見当たらない。
「あ〜……お嬢、すまねえ」
風呂場からキッチンを覗いて尋ねる。
「コレどうやって沸かすんだ?」
「ああ、蛇口から出るお湯で溜めてください。大体7、8分くらいで一杯になります」
そう言いながらもテキパキと皿を片付けていくそれは見事だ。顔を引っ込め、湯の温度を調節して蛇口をひねる。最初は冷たい水だったが、少しして少し熱めの湯が出てきた。
それを確認すると5分の4ほど蓋を閉じ、風呂場を出る。
「……なあ、お嬢」
「どうされました?」
「……脱衣所ってあるか?」
「……申し訳ありません……」
「んな謝んなくても…」
そう。扉を開けると即風呂場。即ち脱衣所がないのだ。
「あ〜……じゃあお嬢が風呂入る時オレ一旦外出るから……」
「ダメです!ドベトレさんが風邪をひいてしまいます!」
焦りながらも皿を片付けていく。ほぼ無意識なのだろう。それはそれで怖いが。
「えっと……押し入れの下段を見てもらえますか?」
「お、おう」
そう言われて襖を開ける。上には布団が入っており、下の右側には小さなタンス。そして左には何やら折り畳まれたものがある。
88二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:30:53
「……コレか?」
「はい。前にトレセンでもらいまして。カーテン代わりに使ってるんです」
それは樹脂の半透明の折り畳み式パーテーションだった。樹脂でできた仕切りはうっすら向こうが透けている。
「コレなら大丈夫か」
「はい。大丈夫だと思います」
皿を洗い終わって拭き始めている。オレもそろそろかなと立ち上がって風呂場に行く。湯船は7割ほど貯まっていた。
「お嬢、風呂先に入って良いぞ」
「いえ、ドベトレさんがお入りください」
「いやお嬢が先に入れよ。オレは客人で家主はお嬢なんだから」
「いえ……その……」
「どうしたよお嬢急にどもって」
「その…私が入った残り湯で……それは……その…………恥ずかしくて……」
顔を真っ赤にするお嬢。そういうことか。
「あー……じゃあオレが先に入るわ。それよりお嬢は大丈夫なのか?オレの残り湯で」
「……ええ。問題……ありません」
見るからにありそうだが、そこを突くのはさすがにかわいそうだ。
「了解だ。じゃあいつ入ればいい?」
「もうすぐで皿が拭き終わるので、納めた後でいいですか?」
「オッケー。着替えの準備しとくから終わったら言ってくれ」
そう言って鞄から着替えを取り出す。ついでにメールや諸々を済ませる。
「終わりました」
「丁度だな」
スマホを鞄に収めたタイミングで声をかけられる。
パーテーションを置き、袋に今日着た分を詰めると風呂に入った。
中は意外と温かく、それほど苦では無かった。
持ってきたシャンプーやボディーソープで体を洗い、初めての湯船に浸かる。
「ふぃ〜……きもちいいぃぃ……」
足を曲げる必要はあったが想像以上に気持ちがいい。溶けそうだ。
ふとプラスチックでできた入れ物が目に入る。入っていたのは廉価なシャンプーやボディーソープたち。しかしあれほどの綺麗な髪を持つのに少々勿体無い気もする。少し気にしすぎかもしれないがまあ彼女のものだから口出しする権利は無い。
89二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:32:13
20分ほどだろうか。体の奥までじんわりと温まった。湯船から出て蓋を閉め、扉を少し開けてタオルを取ると、体を念入りに拭く。
足裏を拭きながら浴室を出て着替える。肌寒さが少しだけのぼせたのを覚ませてくれるようだ。
「上がった……ぞ……」
寝巻きを着てタオルを首にかけてパーテーションから出ると三つ指を揃えて正座をし、頭を下げるお嬢がいた。
「布団の用意ができました」
見ると布団が2つ、離して敷かれていた。
「びっくりした……女将さんかと思ったぞ」
「あっ……ごめんなさい」
急にパタパタと少し取り乱した後、「私もお風呂に入ってきます」とパーテーションの奥に消えていった。
「ふぅ……」
そう一息ついて布団に倒れ込む。しかし安息はなかった。
なぜならパーテーションの奥にお嬢のシルエットがうっすらと見えるからだ。
(落ち着け落ち着け……)
衣擦れの音が微かにこちらに聴こえてくる。
(心頭滅却……心頭滅却……)
目をぎゅっとつぶって心を無にする。無に……無……に……
(できるかあぁっっ!!)
体をグッと起こして頭を振る。
音からしてもうお嬢は風呂に入っただろう。そう思うと少し楽になれた。
(そういえば……お嬢はなんでこんなボロい家に住んでんだろ)
トレーナー寮に住むことだってできるはずだし、まず不便なことが多い。
(後で聞いてみっか)
そう思考を切るとふと半開きになった襖が顔を見せる。
「何入ってんだろ……」
破れた襖を開ける。上段はちゃぶ台が収まっていた。先程布団を出すときに一緒に収めたのだろう。
90二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:33:12
下段を見ると小さな3段の棚と幾つかの段ボールにアルバムがあった。
「なんだこれ」
アルバムを開くとそこには沢山の写真があった。
写っているのは彼女の担当のウオッカと他のトレーナーの姿。そしてコロコロと表情を変えるお嬢だ。
ダービー制覇で5人で抱き合って泣き笑いしているものもあれば、顔に墨を塗られるもの、映画観賞会など沢山の思い出がある。
後ろからガラガラと扉の開く音がして慌ててアルバムを収める。
「あ…………あの…………」
「ど、どうしたお嬢」
パーテーションの奥から声をかけられる。
「そ……その……はしたないって……怒りませんか?」
「待て待て何があったんだ」
91二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:36:02
「その……着替えを全て……そちらに忘れてしまって……」
「は?」
とんでもない爆弾が投下される。
「……どこだ?」
つとめて冷静に聞く。
「下着は……箪笥の一番上で……あとその一段下のものを……」
「お、おう」
ここで動揺しては彼女に申し訳ない。
2段目から少し厚手の着物らしきものを取り出す。
「お嬢、帯は?」
「いらない……です……」
そして一旦それをパーテーションに背を向け、腕だけで下から通す。
「オレは目ぇ瞑ってるからその間に下着は取ってくれ。お前も嫌だろ」
「あう…………ありがとうございます……」
目を瞑って下を向く。閉じた瞼の向こうで足音が聞こえる。
「……終わりました……」
「おう、目開けていいか?」
「はい……」
目を開けるとこちらに土下座をしているお嬢がいた。
「って待て待て!何してんだ!」
「このような不徳……本当に申し訳ありません……」
耳も尻尾も力なく萎れている。
「顔あげてくれって!」
「ぅ……はいぃ……」
赤いのか青いのかわからない、とにかく申し訳なさは十二分に伝わる。
「このお詫びは……なんとしてでも……」
「そういうのいいって!」
いつかのホテルでの土下座合戦が目に浮かぶ。
「とにかく、お嬢のはわざとじゃないんだろ?ならいいじゃねえか」
「でも……」
92二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:36:32
「とにかくもうコレは終わりだ!いいか?」
「はい……」
このままでは後味が悪い。なんとか話題を変えなければ。
「そういえばだけど、お嬢の部屋何もねえのな」
「はい。あまり物欲もない方ですし、部屋も狭いですから」
「ふ〜ん…お嬢は何でこんな狭い部屋に住んでんだ?」
「昔、少しトラブルがありまして。それ以降ずっとここに住まわせてもらってるんです。
それに、入るまでが入り組んでいるので辿り着きにくいですしね」
そう笑う顔に少し陰りが見えた。でも、それは踏み込んではいけないような陰りだった。
「そっか……じゃあさ、今度姉貴とか連れてきていいか?」
「ふぇっっ!?」
我ながら道理が無い提案だと思う。でもどこか孤独を感じた。
「ネイトレさんが良いなら…でも3人となると狭いでしょうし……」
「いーんだよそれでも。それとも嫌だったか?」
「いえそんな!嫌だなんて全く」
「じゃあ決定だな」
そう言って立ち上がる。
「オレの布団、どっちだ?」
「えっと、こっちです」
そう言って窓際じゃ無い方を伝えられる。
「オッケーだ。じゃあもう寝るか」
「わかりました」
そう言ってパチンと電気を消すと隣から布団に潜り込む音がする。
(こんなんも悪くねえな……)
「おやすみなさい、ドベトレさん」
「おう、おやすみ」
そう言って眠気に意識を任せた。
93二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:37:15
朝、ふと目が覚めた。まだ窓の外は薄暗い。棚の時計は5時半を指している。
キッチンには壁の小さな電球が灯され、何やら音が聞こえる。良い匂いもする。
布団をめくると恐ろしいほどの寒さが襲ってきた。慌てて布団を戻す。
「あ、起こしちゃいました……?」
振り向くお嬢は割烹着を着て何やら作っていた。
「いや、オレが起きただけだ。それより……寒くないのか?」
「寒いのには慣れてますから」
そう言うと「もうすぐでできますから」と鍋に豆腐を入れた。
体に鞭打って布団から這い出ると急いで着替える。
「お嬢、布団はどうすれば良い?」
「あ、ちょっと待っててください」
コンロの火を切ったお嬢がこちらに来ると、布団を畳んで襖を開けた。「よいしょ」とちゃぶ台を出す。
「ああ、布団はオレがしまうから」
そう断って2つを入れる。ちゃぶ台をいつの間にか拭いているお嬢。拭き終わると押し入れの下段の奥から電気ストーブを取り出した。
「コレしかなくて…ごめんなさい」
そう言って電源をつけるとじんわりあったかくなってきた。
「いや、十分だ」
そう返すと「ありがとうございます」と言われた。
「ドベトレさん、朝ごはんができました」
そう言ってお盆を運んでくる。
「今日の朝はお漬物と昨夜の豚汁、焼き鮭と胡麻和えのレタスです」
昨夜に引き続き彩鮮やかな食事が出てくる。
「ご飯はどうされますか?」
「大盛りで頼む」
そう伝えて茶碗を受け取り、また美味い朝食をとった。
94二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:38:36
「美味かった……お嬢いつもこんなに美味いもの作ってんのか?」
食後、互いに茶を啜りながらの会話。ふと気になって聞いてみた。
「いえ、今日はドベトレさんが来てくださったので、少し贅沢をしました」
「へえ〜。なんか美味いもんでも入れてくれたのか?」
「おかずを2品増やしたんです」
「……お嬢」
「はい?」
「ってことは普段一汁一菜なのか?」
「そ、そうですけど……」
当たり前だと言わんばかりに頷く。
「……ちょっと失礼するぞ?」
そう言って後ろから持ち上げる。ヒョイと想像以上に軽い。
「ふぇっふぇえええ!?」
「……お嬢」
「今度メジロまで来てくれ」
「えええ!?何か悪いことでも……」
「美味いもんたらふく食わせてやる」
「………ぇ?」
「流石に軽すぎるぞ。なんでも好きに食べたいもん言ってくれよな」
「………え?いやいやそんな!私がそんな…」
「じゃあこうしよう。今日の分の返し。それでチャラだ」
先日のホテル事件の分が今日というはずだがこの際どうでもいい。
「でも…」
「じゃあ今度メジロ家総出でお嬢を迎える。会食もあるしダンスパーティーもある。それで良いか?」
「ふぇえええぇぇ……無理です……」
「無理か……じゃあ今度飯に連れて行く。それでも良いか?」
「あぅ……はい……それなら」
言質は取れた。
「多分オレ以外に結構居ると思うからな」
「………ふぇ?」
95二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 20:39:23
そのあと片付けを手伝い、諸々を終わらせ、6時半きっかりに2人でトレセンまで家を出てお泊まり会はお開きになった。
侘助はドーベルとウオトレーズとベガトレとネイトレに詰め寄られた。
うまぴょいうまぴょい
≫111二次元好きの匿名さん22/01/29(土) 21:04:57
『輝けぼでぃらいん』
保健室にて相対するは、ブラトレとタキトレ。目の前の机には、広げて置かれた水着が一着。
「はい」
「はいではない。で、何このブツ」
「そうだね、一言で言えばレインボースク水」
「レインボースク水」
「繊維のレベルで発光塗料を混ぜ込んで作成したものなんだけどね、不思議なことに人肌に一定時間触れていると七色に輝き出すんだよ」
「うん、説明聞いても余計わからなくなったわタキトレ。なんでこんなものが生み出されたんだ」
「元はと言えば『暗いところでもはっきりと分かる水着を、できればボディラインがはっきりとわかるように』と言う少々欲望に満ち溢れた依頼がタキオンのところに舞い込んできたのが発端でね?まあ最近は手持ち無沙汰なところもあったから試しにやってみようといった具合になっちゃって」
「なっちゃってこれが?」
「そう、これが出来た。体の一部が発光する薬品の延長線上のものなんだけど、まさか七色に輝くとはねえ」
「正確には1680万色だよ、トレーナー君」
ガラリと引き戸が開いて、タキオンが大層良い笑顔で入ってきた。
「おう出たなハイパーマッドサイエンティストウマ娘」
「心外だね!これはオーダー通りに作ろうとしたら少々発光が極端なことになっただけで、至って普通の水着であると言わせてもらおう!」
「普通の水着は七色に光らねえんだ!」
「偉大なるものは輝いて見えると以前にも説明しただろう、ブラトレ君!?」
「輝いて見える理由を聞いてるんじゃあないとその時も返したはずでしょうが!?」
「うーん、でもこれはこれでアリだと思うよ私は」
「えぇ……このトンチキ物体の何処らへんに需要が……?」
「あまり体をジロジロと見られたくないという人はいるだろう?そこでこれだよ。一般的な人はおそらく発光の方が気になって、ボディラインのことなんて一瞬で意識の外に吹っ飛んでしまうだろうね」
「リアクティブアーマーの類でいらっしゃる?」
「流石トレーナー君は良くわかっているね!」
「まあ……迷惑にならんならもう良いんじゃねえかな……」
なお、着用してもらった所一部の人には好評だったらしい。
需要とはなんなのか。ブラトレは考えるのをやめた。
うまぴょいうまぴょい。
≫139不思議なものと1/222/01/29(土) 22:35:04
不思議なものと
『およそ人間が考え得る限りのことはいずれ実現し得る』とは果たして誰の弁だったか。誰か海外の偉い学者の弁かもしれないし、もしかしたら昔自分の相棒が読んでいた漫画の一節だったかもしれない。とにかく、世界はいつだって奇想天外だ。三女神が存在し、別の世界で死んだ自分が今こうして2度目の生を過ごしているのだからこの世が変な所で不思議に満ちているのは確約できる。
が、いくらなんでもこれは予想外だ。まさか──
「困ったことになりましたね……」
「全くだな。まさかこうなるとは……」
まさかハルウララのトレーナーと手錠でつながれることになるとは──
「それで、どうしますかギムレットさん。あの言葉が正しければ三日間はこのままですが」
「一応対策は打ったが、それがダメだったらまあ、このままだな」
「ああ、さっきかけていた電話はそれについてですか。その様子からして失敗はあまり考えていないようですがよっぽど自信がある策なのですね?」
「現状で打てる最善策って所だ。だが実験してないから確証はできんのが辛いところだけどな」
「どちらにせよ失敗した時の想定はしなければならない、ということですか。これは困りましたね……」
「全くだな……」
「ところでギムレットさん。トレーニングは大丈夫なのですか?」
「これでもウチの所は大所帯だからな。たとえ俺やボウズが動けなくても青いのに白いの、それにお嬢も居るからそれについては気にしちゃいないさ。それよりそっちの方はどうなんだウララの。担当のトレーニングに支障は出たりはしないのか?」
「これでも基本的には病院住みですからね。ギムレットさんたちとは違いますが、ここからでもウララのトレーニングをできるようにしているので問題ありませんよ」
「なるほどそう来たか。折角だからコツとか教えてくれると嬉しいんだけどな「先生」?」
「さて、そこは企業秘密ということで。……それと、さっきの質問はウオッカさんについてもそうですが、ギムレットさんとウオトレさん自身についてのトレーニングも含まれていますよ。というより、質問の主題としてはどっちかと言えば貴方たちの方に重きを置いています。もう一度聞きますが、大丈夫なのですか?」
140不思議なものと2/222/01/29(土) 22:37:21
「大丈夫だ。最近、俺も相棒も動き詰めな所があったからな。どうせならこの期間を使って休みをとることにしたよ。それに、もし走りたくなったらお前をおぶって走るぐらいは訳ないからな。少々スピードは落ちるが、ウマ娘の視界を体感するのは楽しいと思うぞ?」
「そうですか。ならば問題ありませんね。……それに、貴方曰くわたしは「先生」らしいですからね。師として教え子の走りを体感する、というのも悪くないのかもしれませんね?折角ですし、その時は来たらお願いすることにしましょうか」
「……そうだな。折角なら走るついでに走り方をチェックしてもらおうか。厳しい採点で頼む」
「それぐらいお安い御用ですとも。……ところで、貴方の考えた対策というのはいつ行われるのですか」
「時間的にそろそろ到着しても良い筈な「ギムレットさん!それにウラトレ先生!到着しましたっす」いや、むしろ丁度良いタイミングだ青いの」
「ギムレットさん。もしかして対策というのは……」
「青いののパワーで手錠の鎖を破壊する。以前三女神の生で別の所にウオッカと一緒に閉じ込められた時にはこれで脱出したらしい。頼めるか、青いの」
「任せてくださいっす!」
青いのと呼ばれたウオトレの1人が鎖に手をかける。ウマ娘が集うトレセン学園においても、比類のない剛力だと謳われる彼の力ならば恐らくはこの鎖も破壊できるだろう。そうとなればさっきまで感じて話していた不安や悩みといったものはもう何もない。しかし、
「ギムレットさん」
「どうしたウララの?」
「わたしを背中に背負って走るという約束、ちゃんと果たしてくださいね?」
しかし、これだけは約束を結んでおこうと思った。さっき話した時とは少し内容は違うが、そこはご愛敬。彼もその程度は気にしないだろうし、青い彼が居て、鎖が千切れるその前が約束をするなら一番のタイミングだった。
「もちろん。いつだろうが走ってやるさ。速すぎて振り落とされないように気を付けてくれよ?」
いつもの様に不敵に笑う彼。なんというか、それを見ているときっと彼は昔からそういう人なのだろうなとも思わされる。
この世界は不思議に満ちている。三女神様がこうして悪戯をし、目の前の彼が異なる世界に居たという辺り、不思議とは存外身近に転がっているのかもしれない。だけど、それでも大切なことは不思議なことではないのだと、自分には確かにそう思ったのだ。
≫148チヨノオートレSS22/01/29(土) 22:58:53
最初はやれるって思ってた
地元でも早い方だったし、俱楽部でも褒められていたから
でも現実はそんなに甘くない
トレセン学園ではそれは普通で、皆が勝つために努力していた
だから私もやれることをやったし実際走りは良くなってきた
でも、それによって見えてくるものもあって――
マルゼンスキーさん
私がその走りに目を奪われた、尊敬する相手であり目標
その走りは私なんかとは次元が違った。その走りには私に足りない何もかもがあった。あの様になれる訳がないと思った
そんな時、私はトレーナーさんと出会った
ある日一人で特訓をしているところ、どこかで見ていたのか若い男性が話しかけてきたのだ
彼はまだトレーナーになったばかりで、スカウトするウマ娘を探していたところ私を見たらしい
その時は私も焦っていたせいか自分の悩みなんかを打ち明けてしまった
当時は初対面の人に何言っているんだろうと思ったのを覚えている
今覚えば、それが分岐点だった
それを聞いたトレーナーさんは、その手伝いが出来るかもしれないと言った
見せられた電子端末には、トレーナーさんのこれまでの成果があった
ウマ娘レースのデータである
そのトレーナーさんのデータは想像を超えていた。私の収集したものとは比べるべくもない
その質や量は、ある種の未来予知を可能とするほどだった
今まで考えていたレースでの立ち振る舞いがより具体的になった。自分が抱える短所が明確になった
私に出来ることが増えていった。走りはより良いものに変わっていった
この人となら、マルゼンスキーさんを超えられるかもしれない
そう思った
サクラチヨノオー/ターニングポイント
≫171二次元好きの匿名さん22/01/30(日) 01:07:58
「うぅ…」
深夜、目が覚めた。あの事故の後から夜は真っ暗だと怖くて眠れないから電気をつけて寝ている。
時計の針は午前1時あたり。1度起き上がり、水を飲みに行く。
コップ一杯飲み干し、ベッドに戻ろうとする。
1歩を踏み出した途端、急に背中が痛み出す。
焼けた鉤爪で引っかかれるような、そんな痛み。呼吸すらままならず、その場に倒れてしまう。
引き伸ばされたような圧縮されたような苦痛の時間が過ぎ、痛みはまるで居なかったかのように消える。それがかえって不快だ。
額には気持ち悪い汗が流れている。時たま顔を出すこの痛みは、きっと私への罰なんだろう。彼女の思いに甘え、何も出来なかった、しようとしなかった私への罰。
覚束無い脚をなんとかはたらかせ、ベッドに倒れ込むようにして体を預ける。
「タマ…ごめん…」
とめどなく涙が零れてくる。どんなに自分が傷つけてしまっても、隣で支え続けてくれた彼女。その恩に報いらないといけない。他の人にも、迷惑をかけちゃいけない。負担になっちゃいけない。もうこれ以上、誰かの荷物になっちゃいけない。
そんなことを思いながら、目を閉じる。まぶたの裏で自身への怨嗟が締め付けてくる。そんな負を見ながら、闇へと沈んでいく。
歪なそれは、酷く孤独を享受していた。
それを疑いもせず、当然だと受け入れるそれもまた、歪であった。