タグ一覧
このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart726~730)です。
SSまとめ各ページ案内
SSまとめスレはこちら
SSまとめスレはこちら
+ | part1~100 |
+ | part101~200 |
+ | part201~300 |
+ | part301~400 |
+ | part401~500 |
+ | part501~600 |
+ | part601~700 |
+ | part701~800 |
+ | part801~900 |
+ | part901~1000 |
+ | part1001~1100 |
アダルトコンテンツは乗っけると最悪wiki削除なのでやばそうだなとおもったらリンクかスレ位置を置いておいてください(主にルドトレ)
リンク例は編集画面にてコメントアウトしています。
リンク例は編集画面にてコメントアウトしています。
目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part726【TSトレ】
≫7二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 20:16:12
消灯時間も過ぎた真夜中、見回りなんかもとっくの昔。
時間に厳しいルームメイトも当然既に夢の中。
パフォーマンスに影響するから私も早寝は意識するけど、
今日だけ隣を起こさないようにとスマホ片手に夜を更かす。
夜間モードで無音のスマホが緑のランプを頭に付ける。
電源ボタンをノックして時刻はただいまちょうどゼロ。
私とおんなじ理由から夜更かししないあの人も、
今日だけ私とおんなじ理由でこんな夜中まで起きている。
特別な日に、特別な人からのメッセージ。
アプリを開いて、チェックして。
そうしてスマホを手から離して、ちょっぴり遅めのスリープモード。
けれどもスマホの液晶の光はまぶたに焼き付いて。
明日―――今日もいい日になりそうなんて自然と笑顔になっちゃう。
8二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 20:16:43
息を吸う、吐く。
薄明りの下、耳を立てる。
聞こえるのは、大観衆の騒めき。
私もこれの一欠片でも浴びるのかと思うと、不思議な感覚がする。
「嬉しいな。こんなにたくさんの人が来てくれるなんて」
私の隣に、私が支え私が追う輝きが立つ。
「ええ。今年は集客層を大きく広げてみたの」
その輝きは、これからたくさんの夢を浴びに行く。
「せっかくのバースデーライブなんだから。貴方のソロが良かったんでしょうけれど…」
私がそう零すと、彼女はあからさまに不機嫌になった。
「…せっかくのバースデーライブだから。あなたと歌いたかったの」
まっすぐな瞳に、何も返せなかった。
「…確かに不思議な気持ちはするよ。去年は送り出してくれたあなたと一緒に出ていくのは」
想起した光景は、なんだか他人事のようで。
「けれど。変わらなかったこともあるよ」
9二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 20:17:09
「今年も。いっちばん最初におめでとうをもらったから☆」
笑顔が咲く。微笑み返す。
交わした目線は、ブザーによって自然と同じ方を向く。
「これからのおめでとうに。負けたくなかったの」
「それにやっぱり得をしたわ。現在進行形で対抗できるから」
「わあ☆客席からもステージからももらえちゃうの?」
流れ出すイントロに、歓声が上がる。
「じゃあじゃあ。たっっっっくさんお返ししなきゃね♪」
キラキラを受けて、彼女は走り出す。
≫19二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 21:49:43
退いてやろうか リウトレ
トレーナー室であたしは自己嫌悪に似た何かに苛まれていた。ずっと苛まれ続けると言うよりは思い出しては頭を抱えているようなものだ。思い出すと顔に熱が集まっていき、心臓がどくりどくりと鳴り響く。目の前の仕事に専念したい為、誤魔化すかのように苦いだけの安いコーヒーを飲むが落ち着く気がしない。そういう流れだったとはいえ、あたしはシリウスにキスをしてしまったし、それ以上の行為の約束までした。卒業後とはいえ、在学中の彼女にそんなことの話まで進めてしまうのはダメなことだったのではないかと。
「勢い任せにも程があったわ……」
いわゆる掛かっていた、そう省みずにはいられない。あの時は彼女にペースを握られっぱなしで流されるままだった。彼女の誕生日であったこともあり、拒絶等のマイナスなことはしたくはなかったのだ。
「あたし、これで良かったのかしら」
「何が良かったんだ?」
「っ、シリウス……な、なんでもないわよ……」
「とても、なんでもないなんて風には見えねぇな」
とても良いタイミングとは言い難いが彼女からしたら絶好のタイミングだろう。あたしはあの時のことを思い出していたのだから。彼女はシニカルな笑みを浮かべ、あたしの隣りに座った。
「近いわ……」
「別に問題ねぇだろ?いつものことじゃねぇか」
彼女と身体の距離が近いのは彼女の言うとおり、ウマ娘になってからは平常通りである。この身体になった直後のあたしは彼女に横抱きにされて移動をしており、彼女の助けなしではまともな生活もままならない状態だった。現在は普通に歩けるのだが、彼女はそれを変えようとはしなかった。いつも近いから平気、そういう問題ではないのだ。
「あぁ、私とキスしたこと思い出して意識してんのか?」
「うるさい……」
「キスひとつでそんなことになってるなら、それ以上のコトをしたら―――」
「っ……!」
「どうなるんだろうな?」
彼女が学園を卒業するまでに、そういう耐性がつくのだろうか。そんなこと、今のあたしに知る術はない。彼女とトレーナー室の天井を視界に広げ、あたしはそう思った。
20二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 21:49:55
「キス以上のことを許した記憶はないわよ」
「ハハハッ!そんな顔真っ赤にして言われても、な」
今のこの身体、というかこの顔。すぐに感情を表に出すから困る。特に彼女を相手にしている時は。可愛げのない無愛想な女と言う者すらいたというのにどうしてこうも、顔に出てしまうのか全くもって。
「このままコトをシてもまぁ良いんだが、面白くはねぇ」
「ならなんで押し倒したのよ」
「アンタが面白そうな反応しそうだったからな」
「キスなんてしてあげるんじゃなかったわ」
あたしの長い尾に彼女の尾が絡む。少しむず痒く、肩が小さく震えた。本当に勢い任せにした結果がこれだ。あの時ばかりはまぁいいわよね、誕生日だものなんて思えたが現状を考えると良くなかったかもしれない。
「一瞬でも期待したんだろ」
「してないわよ、学生に手を出すなんて」
「キスはしたのにか?」
考えれば、彼女からの好意は向けられていたものの、告白もキスもあたしから彼女にしたものだ。なんて痛々しいのだろう、図星だ。言い返せない。
「それにアンタは手を出される側だ。私に食われるんだからな」
「なら大人しく食べ頃を待つべきよ」
うまく手綱を握っていないといけない。これはあたし自身のためではなく、彼女のためだ。
「私が不躾に食い散らかすようなヤツに見えるのか?」
「思ってないわよ」
「ならいい」
「……それでいつまでこうしているつもりかしら?」
彼女はあたしから退く様子がない。トレーニングの予定はないものの、誰かに見られるのはあまり良いものではないのではないか。尾も絡んだままだ。
「キスしてくださいって言ったらキスをしてから退いてやるよ」
「シリウス」
「これは本当だぜ?」
「わかってるわよ」
この身体になってからいつも羞恥心を犠牲にしている気がする。通勤時のあれもそうだが。人間に戻ったら、少しはこれも減るのだろうか。強いて心配があるとすれば、今ほど胸が無いから彼女が万が一にも胸元に耳を近付けようものならこのうるさい心音も聞かれかねないということ。
21二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 21:50:10
「キスシテクダサイ……」
「んな言い方で聞くと思ってんのか?」
「…して、キスして…ください……」
年上としてのプライドが無いわけではない。ただこの状況をどうにかしたかっただけだ。そう、それだけだ。あたしの羞恥心から絞り出された言葉を聞いた彼女は満足そうに笑みを浮かべた。
「良い子だ」
唇が重ねられる。あたしの方が年上なのに、なんとも情けない。唇が離れると、そのまま彼女に抱きかかえられ身体を起こされる。
「あたしこれで良かったのかしら……」
「アンタの判断は間違えてねぇ、これからの時間をかけていくらでも教えてやるよ」
いつものように彼女は自信に満ちた声色で言う。絡めた尾は今日離れることはなく、彼女はあたしにぴたりとくっついたままだった。
≫29二次元好きの匿名さん22/04/04(月) 23:09:57
───朝起きたらたわけボディになっていた。
「…は?」
…ベッドの上で、その肢体を晒して困惑しているのはファイトレ(男)。硬直してる姿もまた絵になるのは担当譲りの姿故だろうか。
「待って、どういうことだ…」
(いつものアレか?朝明らかに違う感覚がして、目を覚ましたらこんな素肌晒した体型に…んんん!?!?)
…その近くにある恐らくはち切れたであろう寝間着を見ながら、顔を少し赤く染めて焦り出すファイトレ(男)。
(どうしよう…見た感じ、身長はそんなに変わってない感じはするけど、胸と尻が明らかに大きくなって…服のサイズが…)
何もしないわけにもいかず、ベッドから軽く降りるとクローゼットを漁り着れる服を探すファイトレ。
…問題は、普通こんなこと想定している訳ないために特にπも込みで着れる服なんて持ってる訳ないのだ。
「…とりあえず、誰かに連絡しないと…」
「失礼します、トレーナー様…」
「「…あ」」
仕方なく他のトレーナーに連絡しようとした瞬間、静かにドアを開けて入ってきたSP隊長と目が合うファイトレ。
「〜〜〜ッッッ!!!」
「…」
…いくら着替えを手伝ったことがあるとしても、流石に目を逸らすSPと顔を朱くしてシーツを慌てて羽織るファイ男。
少し経って落ち着いてから、他のSPと連絡を取り合っていた隊長は無線機を下ろして声を掛ける。ファイ男は
「もう婿にいけない…」
「今の貴方なら嫁ではないでしょうか。…それに、どういう形かは置いておくとしても貰い手は既にいるのですし」
「隊長、持ってきました。採寸用のメジャーと仮で着てもらう服です。…それと、既に殿下には伝えてあります。」
「了解した。…では、失礼ながら採寸を。サイズを合わせなくてはいけませんし、尻尾があるウマ娘においては殊更重要な点ですので」
「…はい。その…ファインには既に伝えてあったりします?」
採寸される中で聞いたファイトレ。隊長はキリッとした表情で頷き、ファイ男はこの後の展開を何となく予想した。
「…諦めてください。」
───その後、やってきたファインと何故か途中から参加してきたグルーヴとグルトレに色々着せ替えられる羽目になった。
短文失礼しました
前スレのサイズ入れ替えネタよりたわけボディと化するファイトレ(男)です。たまにはこういうベタな話も。
このファイ男は少し泣いていい。隣の殿下が慰めてくれるよ!
≫35ごっつええ二の矢22/04/05(火) 01:39:48
黒タマ「フハハ〜お前はカキタレになるのだ〜」
魔ルド「きゃー助けてぇ〜!」
???「待てー!」
マルトレ「逃げレンジャイ!」蒼ファル「逃げレンジャイ!」ブルトレ「逃げレンジャイ!」フウトレ「逃げレンジャイ!」相棒スズ「逃げレンジャイ!」
黒タマ「……」
蒼ファル「五人揃って」
「「「「「二の矢レンジャイ!」」」」」
相棒スズ「さあ逃げて!」
魔ルド「ありがとう〜!」
相棒スズ「早く逃げて!」
黒タマ「……違う」「え?」
黒タマ「自分らおかしい。だってキミ、何よ」
スズトレ「……逃げレンジャイ!」
蒼ファル「五人揃って」
「「「「「二の矢レンジャイ!」」」」」「待て待て待て! キミは?」
蒼ファル「逃げレンジャイ!」
黒タマ「おかしいって、なんで逃げが二人もおるん!?」
マルトレ「……逃げレンジャイ」
黒タマ「いやキミも逃げやんな? キミは」
ブルトレ「逃げレンジャイ!」
黒タマ「キミは」
フウトレ「逃げレンジャイ!」
蒼ファル「五人揃って」
「「「「「二の矢レンジャイ!」」」」」
黒タマ「違う違う!ちがーーーう!なんで五人とも逃げやねん! 色分けされとるんやから名前変えろや!!なあキミリーダーとしてその辺どう考えとるねん!?」
マルトレ「あ、いや俺リーダーじゃないです」
黒タマ「赤なのにリーダーちゃうんか!?」
蒼ファル「リーダーは私ですね」
黒タマ「ピンクやんか! ……もしかして女児向きか? とりあえず名前考えてこい今時は見た目も大事だけど名前も大事やで。じゃ、来週またココで会おか」
「「「「「ハイ」」」」」
≫74二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 13:40:12
「…ん……」
「…熱発ね…これは困ったわ」
…熱を出してベッドで寝かされているのはサトトレ。チームプロキオンのメンバーも何人か同じように熱を出していた。
最近流行り出した病、特に育ち盛りのウマ娘がかかりやすいというたちの悪い代物で、トレセンでも既に二桁人が罹っていた。
「とりあえず濡れタオルよ。軽く体は拭くけど…起き上がれる?」
「…(ふるふると首を横にふる)」
ぽおっと恐らく頭も回ってない顔で、高すぎる体温に体力を消耗気味なサトトレ。彼の子供らしい特性が裏目に出た結果だった。
キタトレはそんなサトトレを両手で抱え上げると、薄い服を脱がしてその小さな体をひんやりしたタオルで拭く。
「いつもならダイヤちゃんが色々呼び出して面倒みるのだろうけど、今回はうつすことを考えるとそうもいかないわね」
「…」
現役で走ってるウマ娘にうつすなんて以ての外であり、だからこそ万が一の準備も出来てるキタトレが様子を見ていた。
布一枚隔てていても分かるほど熱い体を拭き終わり、そっと温くなったタオルを下げながら呟くキタトレ。
「プロキオンのメンバーにも、発熱でレースを回避せざるを得ない子もいるし、流行り病というのは面倒なものね」
「…」
頑張って首を回し、キタトレの方を向くサトトレ。そんな彼をピトリと触れて止めると、
「言わなくても分かるわ、心配しなくても私は大丈夫よ。そもそも体調を崩した事自体殆どないって知ってるでしょう?」
「…さあ、病人は早く寝なさいな。寝苦しいなら私の腕を思い切り握ってもいいし、暫くはここに居てあげるわよ。」
その髪故に目を閉じているかは分からないが、もう一度倒れて横になったサトトレは子供のように腕を強く握ってくる。
(随分と子供らしくなったわね…でもいいわ、私より今は彼の方が苦しいはずだし、時間を潰されるもの大した事ではないわね)
ちょっとずつ力が抜けているのか緩む腕への拘束。深く眠る彼の冷えピタが貼られたおでこを撫でて、隣で見ているキタトレだった。
───ちなみにキタトレとキタちゃんは罹った人ともろ接触したにも関わらず、ずっとピンピンしていたそうな。
短文失礼しました
流行り病で寝込む姿と看病ネタで一つ。体温が上がるのは元が高いサトトレには中々辛いのではないでしょうか。
体の拭き取りと声にせずとも理解するのは、まあ信頼関係ですね。キタとキタトレは病気には強そう。
≫99二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 18:26:07
不健康タキトレの朝は早い。
4時には起床し、スーツを着て目元にコンシーラーを塗る。これはクマを隠す為だ。
そのまま鞄に書類とパソコン、ゼリーとサプリを詰め込んでキッチンへ向かう。
そう、彼女の担当であるアグネスタキオンへの弁当を作るのだ。朝昼とトレーニング後の補食をしっかりと作り上げる。もちろん彼女の食べたいと言っていたハンバーグも忘れないでおく。
そうして気がつけば5時半だ。できた弁当と補食、鞄を持って家を出、トレーナー室へ向かう。
6時に部屋に着くと朝練の準備を始める。
アグネスタキオンが来れば練習のスタートだ。前日、これまでと徹底的に比較をし、彼女の目指す「先」を最善の限りサポートする。
それが終われば彼女に弁当と補食を渡し、ミーティングの後に始業だ。ゼリーとサプリを無造作に胃に流し込み、膨大な量のデータ、シュミレーション、その他の業務を粛々とこなしていく。
昼には担当と飯を食べ、話し合い、また業務を挟んで午後の練習をする。タキオンのシュミレーションと自身のものをすり合わせ、着々と検証していく。
練習が終わり、弁当箱を返却されるとトレーナー室の水道で弁当箱を洗い、乾かす。今日の足りない栄養をサプリで補い、カロリーメイトを齧りながら次のレースの出走者、バ場のデータ、天候、その他数多くの条件を組み合わせ、完璧を目指していく。
そうして夜遅く、家に帰ろうとして
「ここで何をしているのかな?」
タキトレ(健康)に見つかった。いつの間にか出張から帰ってきたようだ。
「ッスー……こんばんは。タキトレ(健康)さ「御託はいいよ。何をしていたか。それだけを答えてね?」
今日はまだ、帰れそうにないらしい。
≫123二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 20:07:32
「タキトレせんせー、ちょっとダルいから次の時間休んでっても良ーい?」
「保健室はサボる場所ではありませんよ。それに、調子が悪い時はもっと何でもない顔をしてます」
「えー、本当にそんなのわかるの~?」
「ええ、よくここに来てくれる貴女ですから。調子ぐらい一目でわかります…ほら、次の業のベルがなってますよ?」
「ちぇ~、先生のケチ。じゃあまた昼休みね!」
「はいはい……それで、君は何をしているんだい?」
「あの……ちょっとレースの研究をば…タキトレさんも言ってたじゃないですか。「保健室はサボる場所ではない」って」
「確かに言ったね…」
「でしょ?ですからちょっ「保健室は休む場所だからね。日頃から不健康な生活をしているんだから、せめてこういう時位休みなさい」はい……」
≫144二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 21:16:08
「タバコさん何徹目です?」
「ん〜……多分2、くらいですね」
「ちゃんと寝てくださいよ……あ、これコーヒーです」
「そういう不タキさんは?」
「3……くらいですね。どうも4コーナーの脱出がうまく出来ずこの有様です」
「そこは──して、ここは〜〜がいいですよ」
「……成程、ありがとうございます。今度奢らせてください」
「ありがとうございます」
いいよね、花見で桜を見ているはずが徹夜の話になっていつのまにか真剣に担当のことを話す二人組
≫155二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 22:30:09
蟲師タキトレ(不健康)概念…!?
「あ、クロヤマアリさん。魚肉ソーセージと交換で付箋をいくつか持ってきてくれません?今ちょっと手が離せなくて」アリーアリアリアリー
「ありがとうございます。そこにあるんで好きなようにどうぞ。角砂糖もよろしければ」
コンコンコン
「はーい」シャー!
「あ、カムちゃんさん。どうされたんですか?」シャッ、シャー!!
「こっちに来い、ですか?ちょっと待ってくださいね…よいしょっと」シャー!
「さて、タキトレ(不)ちゃん?ちょ〜っとだけ、おじさんと『お・は・な・し』、しようか?」
「……はい」シャー!!アリ!アリ!シャー!
蟲師はいいぞ。ぜひ読んでくれ(漫画)
≫164二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 23:13:00
「タキトレ(不)さーん」
ある日の昼下がり、ネイトレがある部屋へと訪ねてきた。そこはアグネスタキオン担当トレーナーの部屋であり、また養護教諭のとは違う人物だった。
「はーい、どうぞ」
返答が聞こえたので部屋へと入った。中には大きな土の入った水槽の傍には、10センチ四方ほどに切られ、3枚ほど重ねられた英語の新聞があった。
「どうされましたか?」
「この前タキトレ(養)さんからもらった手拭いを返しに…あとちょっとお話に」
そこにかけてください、と言われてネイトレはソファに座る。タキトレはコーヒーを淹れているようだ。豆の香りがここまで来る。
「わあ、いい香り…」
ふわりと、抽出をしているタキトレの方からいい香りがする。
「この前タバコさんからもらったものです。マンハッタンカフェさんとお二人で選んだものだそうで」
どうぞ、とカップに入ったコーヒーと、いつ取り出したのだろうか、ショートケーキを出される。
「今朝、タキオンの頼みで買ってきたものです。美味しいですよ」
「えっ…それって、タキオンさんの分は?」
「多めに買ってきたので心配はいりませんよ」
さ、悪くならないうちにお早く、と言われ、いただきますを口にしてケーキを運ぶ。昨今のような華やかな味ではないものの、なつかしいような、安心できる味だ。
「それで、話とは?」
一口コーヒーを啜ったタキトレが、ネイトレが丁度飲み込むタイミングを見計らって言う。
「話…と言っても個人的なものなんですけど…タキトレさん、健康とか大丈夫ですか?」
恐る恐る、と言った様子で切り出す。それをもう一口含んだコーヒーを嚥下すると同時に答える。
「ええ、大丈夫ですよ。きちんと必要な栄養素は摂取していますから」
「でも…お節介かもしれないですけど…鎖骨とか腕とか…すごい細くて…」
「そんなに細いですかね…?」
そう言って腕を捲り、さする。真っ白で肌の下の血管が透けそうな、細い腕。
「細いですよ!そんなこう…枝みたいです!…あっ」
「ふふっ…枝ですか。言い得て妙ですね」
ははは、と笑って袖を戻すと、肋を撫でる。
「この前タキオンからも細すぎるとここをつつかれましてね…」
「そんなに細いんですか…?」
見ますか?とシャツの裾をたくし上げる。
「ちょなにしてるんです…ってほっそ…え?……ええぇ??」
165二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 23:13:28
肋の本数が数えられそうな横腹を見て、羞恥よりも動揺と疑惑が優ったネイトレ。しげしげとそれを見つめている。
「失礼ですが…本当に生きてますか?腰もすごい細い……」
生きてますよ、と言いかけて、ネイトレの指にそれは遮られた。つつっ…とタキトレの横腹に好奇心でなぞったせいだ。
「んっ…」
「ひゃあ!ご、ごごごめんなさい!!」
「い…いえ、これに関しては私のせいですから。あ、ちょっと待ってください」
時計を見たそうって彼はそう言い、小さなメモ用紙に何やら書いた。
「クロヤマアリさん、いますか?」アリー!
「え、しゃべった…ってアリ!?アリですか!?」
「アリですが?ですよね」アリー!
「カムちゃんしかりなんで蟲がしゃべるの…?」
そんなネイトレの疑問は置いていかれる。
「これとこれを2人で持っていってください。キャベツ一枚とベーコン2切れでどうです?」アリー…
「不満ですか…ではベーコン3切れでは?」アリー!
「うん、ありがとうございます。タキオンのラボでお願いしますね」アリー!!
そうして棚の裏へと消えていくアリを見届け、ネイトレへと向かいなおった。
「申し訳ありません。置いてけぼりにしてしまって」
「い、いえいえ……というより、あの子らはいずこから?」
「あそこです。殆どがあそこで生活してて、変わり変わりで何人かがくるんですよ」
「そう言うことですか…というか何で喋れるの…?」
その後2人で話し、部屋にカチコミに来たタキトレ(養)とヒシトレ、アマトレに連行されてお開きとなったのだった。
≫171二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 23:34:01
「…ふむ、随分と熱心だなタキトレ(不健康)」
「…あ…どうもファイトレ(女)さん」
ポチポチとタブレットをいじるタキトレ(不)に声を掛けたのは、いつの間にか現れたファイトレ(女)だった。
腕を組みながらいつも通り表情は柔らかいがその目は冷たい。さて、タキトレ(不)はタブレットから目を離さずに
「担当の為になら、いくらでもやることはありますよ。徹夜くらいなら別にいつもの事ではないでしょうか」
「ふっ、それは結構…だが、過度な疲労はパフォーマンスの低下を招くぞ。徹夜を繰り返して隈が出来てるのを隠しきれてないな」
コンシーラーで隠していたのだろうが、ファイ女からすればまだまだ偽装が甘いと言わざるを得ない。
「…見抜けるんですね。」
「そういうものだからな。それよりも、少しは休んだらどうだ。多少なりとも自分の体に気を遣うべきだろう」
ふと手を止めてファイ女に顔を向けるタキトレ(不)。その瞳は吸い込まれそうな虚無のような色をしていた。
「タキオンの目指す『先』、それを見るためなら私の体なんて大して惜しくもない。その光景を見れるなら…」
「…そうか」
(…だが私も、不タキトレの事をとやかく言うことは出来ないな。ああ…貴様も狂気に取り憑かれてるんだな)
…タキトレ(不)がそうであるように、ファイトレ(女)もまたファインの『眼』を思い出し碧眼を暗く染めていた。
「…まあいい、私からは口出しはしないでおこう。だが…」
「?…っ…」
不タキトレの肩にファイ女が触れて少しした途端、ふらりと倒れる不タキトレを支えてお姫様抱っこすると
「Good Night…」
…その肩から離した左手に僅かにうつる小さな針。最新の無痛針で鎮圧用の睡眠剤を打ち込んだのだ。
「…さて、眠らせたことだしトレーナー室に寝かせて戻るか。後はタキトレ(健康)にも眠らせたと報告しないとな…」
鳴り響く着信音にすぐさま取ると、電話の向こうからはタキトレ(健)とファイトレ(男)の声がする。
「なんだファイ男…何?二人して発光する副作用付きの新薬を飲んだから動けなくなった?…まったく何をしているんだ…」
…そんな電話での会話をしながらも、抱き抱えたタキトレを一瞥するとふと心の中で思う。
(その先とやらが見たいなら、今はしっかり寝るんだな。なあ…せめて私みたいにはなってくれるなよ…)
≫178二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 00:01:10
誕生日 グルトレ
今日は4月6日、だいすきなグルーヴの誕生日だ。彼女がこの世に生を受けたとても大事な日。
「おはよう」
「おはよ~お誕生日おめでとう」
シーツの海、カーテンの隙間から入る春の柔らかな日差し、直に伝わる彼女のぬくもり、二度寝を促されるようなまどろみの中で彼女と向き合い指を絡める。薬指の指輪がひんやりと気持ち良い。幸せな時間、いつまでも続いたらいい。
「昨晩聞いたぞ」
「誕生日はいくらお祝いしてもいいの!」
彼女の言う通り、昨晩日付が変わった瞬間に私は彼女の誕生日を今のように祝った。24時間祝い続けるのは睡眠時間などを考えると厳しいところだが、祝える時は祝いたい。
「それに、いつもよりずっとよかったでしょ」
「…このたわけが……」
「ふふ~ん、私はグルーヴだけのたわけだもん」
あんなにかわいい彼女は私だけしか知らない。この事実には頬を緩ませざるを得ない。昨晩は特に興が乗ったというやつなのか、いつもより互いに歯止めがきかなかった。互いを求め合うそれを互いに満足するまでしていた。その分ぐっすりと眠れたのだけれども。
「いつもよりべたつくな…風呂に入りたい」
「うん、お風呂にしよ」
絡めていた指を離し、そのまま抱き着き唇を重ねると彼女が少し照れくさそうにした。頬を緩ませると、照れ隠しか小突かれ風呂を急かされた。湯を張りながら彼女とお風呂タイムを過ごした。
「誕生日っていいね」
「貴様にもあるだろう」
ふと思った。『私』の誕生日っていつになるのだろうか。『俺』がウマ娘になった日、『俺』と『私』が共存し始めた日、それとも『俺』がいなくなってこの身体の主導権が完全に『私』になった日。わからない。『私』ってなんなのだろう。
「そうだね」
「……どうした?」
「ううん、なんでもないよ!それよりお腹すいちゃったし、朝ごはんにしよ!」
ぽかりと穴が開いたような気持ちを誤魔化すように私は朝食の準備を始めた。今日は平日だからこのままふたりで学園に行き、平常通りの日程を過ごす。今夜は彼女の為に料理とケーキを用意しているから今日も彼女は泊まりだ。
179二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 00:01:22
「プレゼントは決まらなかったの」
「別に私は誕生日プレゼントが欲しいなんて貴様に言ってないだろう」
帰宅後。彼女に料理とケーキを振舞ったあとの夜のゆったりとした時間。私は彼女に打ち明けた。誕生日プレゼントが決められなかった。おとぎ話のようにたった1輪の赤いバラ、それをプリザーブドフラワーにして綺麗なガラスの中に入れようか、アクセサリーにしようか、それともふたりで風呂に入ることも多いからお風呂グッズにしようか。全部用意することもできたのに、私は料理とケーキしか用意しなかった。
「そうだけど、だって好きなヒトの誕生日だもん」
「なんでも物を用意すればいいという訳でもないだろう」
「形にして残っていて欲しかったから」
「貴様の家が片付かない理由を察した」
もし仮に『俺』に戻ったら、きっとそこに『私』はいない。『私』がいたことを忘れないでいて欲しい。それだけなのかもしれない。きっと彼女はよっぽど酷いものやヘンなもので無ければ受け取ってくれるという確信もある。
「ねぇ、グルーヴ」
「なんだ?」
「……その、『私』を欲して。ずっと、いくつ年を重ねても…ずっと」
言葉は縛り付ける鎖、そう表現する作品を目にしたことがある。『私』は彼女とずっと一緒に居たい。どんな時も、どんなにつらいことも悲しいことも彼女と乗り越えていきたい。『私』をどうか貴女のとなりに縛り付けて欲しい。あの時にした『俺』との約束でもあるから。
「今日の貴様は変だな」
「変でいいよ、だから……」
「まったく……」
彼女は私を優しく抱き締めた。
「ずっと私のとなりに居ろ。指輪まで渡しておいて離れるなんて許さないからな」
「うん、ずっととなりにいる。グルーヴに『私』をあげる」
咄嗟に出た言葉だった。誕生日プレゼントは『私』そのもの。頬をつたった涙が彼女の服ににじむと彼女は何も言わずに私の頭を撫でた。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part727【TSトレ】
≫30二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 18:33:31
「うっ……もう限界……」
トレーナーと一緒に焼肉に来たのは良いんだけど、相変わらず少食のあたしは食べ始めて直ぐに限界が訪れてしまった。
後はトレーナーが食べるのを見ながら食べ終わるのを待つかなって思っていたのに、アイツときたら
「……うん! 俺もお腹いっぱいだ!」
あたしに気を使ってもう要らないなんて言い出した。
……普段はクソボケのくせにこういう時は本当に気を回す人なんだから。
「あたしに気を使うな、バカ」
「いやいや、身体もちっこくなって食べる量が減ったんだよ」
普段沢山食べてるのをあたしが知らないと思ってるの?
「……ほら!」
「?」
「口開ける!」
「あ、あーん」
そうしてあたしは、口を開けたトレーナーへ箸で肉を突っ込んでやった。
「……うん、タイシンが焼いた肉は美味しいな」
「焼いたのはアンタでしょ」
しっかり食べてよね、あたしはトレーナーが沢山食べるのを見るの……嫌いじゃないんだから。
……そんな事は絶対に口に出さないけど。
そう内心に思いながら、タイトレとタイシンの焼肉はタイトレが本当にお腹いっぱいになるまで続くのだった。
「まだ食べるでしょ? ほら、何頼むの?」
「うん! タイシンは良いお母さんになりそうだな!」
「…………はぁ!?」
タイシンの何かが壊れた
≫47二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 20:38:43
「あら? トレーナーさんがポロシャツとジーンズなんて珍しいですね~」
「ええ、偶には洋服というのも乙なものかと思いまして~」
「トレーナーさんは普段和服ですから、なんだか新鮮な感じです♪」
「ふふっ、そう言って貰えると幸いですね~……って、あら?」
バサバサバサバサ
「あっ、資料が床に」
「あらあら、積んでいたのが崩れてしまいましたね~」
「トレーナーさん、拾うのを手伝いますね」
「ありがとうございます~」
(それなりに散らばりましたね~……って!?)
(い、いつもと違ってジーンズですからでしょうか? ま、前に居るトレーナーさんのお尻が、その……凄く……凄いです! ……い、今にもはち切れそうになってます!)
「あらあら、あちらの方にも落ちていますね~」ビッ
「「ビッ?」」
ビリリリリリッ
「「……!?」」
「……お、お尻の窮屈さが無くなって……こ、これはまさか!?」
「ト、トレーナーさん……ジーンズが……」
「や、やっぱり破けてる?」
「はい、それに中の下着も……今日は黒なんですね」
「ううっ……すみませんが、グラスのジャージを貸して下さい……」
「良いですが……その前に」
「グラス?」
「黒い下着なんて私は誘われているのでしょうか?」
「……いえ? 特に意味は無いですよ?」
「すみません、あんな光景を見せられて……私はもう退けません」
「グラス? 目が座っていますよ? ……待って! 落ち着いて! グラス! グラァァァ……」
うまぴょいうまぴょい
≫48二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 20:39:38
「なぁお前らさ、あの、ちょっと服買いに行きたい気分じゃないか?」
「いやですわ。お小遣い差し上げますからブラトレこそいかがです?」
「…うぅ、なんでフクトレまで…お前そういうキャラじゃない…いやそうでもないな…」
「うるせぇ…くそ…フクの占いを信じるべきだったか…」
「それにしてもまぁ全員見事にばりっといってますわね…そういうプレイ用でしたの?」
「んなわけねぇだろ!」
「そうだそうだ!テイトレならまだしも!」
「なぁ?お前ら俺の事なんだと思ってんの?怒り通り越して泣くぞ?大の大人が子供みたいに泣き叫ぶぞー?」
「泣きたいのはみんな一緒なんだよな…」
「…仕方ないし恥だが人を呼ぶか?」
「あー…なんか他も似た状況になってるらしいぞ。タイトレとか「てめえらに今日を生きる資格はねぇ!!」って言いながら上ごといったと」
「なんで??」
「ウインチで引っ張られでもしましたの…?」
「じゃあどうすんだよぉ…テイオーにこんな姿見られたくない…」
「…ん?あれお前のとこの謎生物…カマライゴンだっけか」タスケニキタヨー
「わああぁありがとうカマ太…!」
「畜生にしては気が利きますわね。しばき倒すのは最後にしてあげますわ」
「なんで!なんでマクトレこいつらに厳しいの!?」
その後、スパッツ姿のDK4を見てトイレに駆け込むモブトレがいっぱいいたとかいなかったとか。
うまぴょいうまぴょい。
≫97二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 23:18:27
「ふぅ…動きやすい服装というのは楽でいいな」
「おお…似合ってるじゃんファイトレ(女)。わたしらよりしっくりくるんじゃね?」
「少しお尻の辺りがパツパツな気がしますね…」
「とはいえ、そこまで問題ではあるまい。ネイトレもベガトレも十分似合ってると思うが。アウトドア系女子みたいでいい。」
「いやー、褒めるのは上手だよねファイ女〜」
「そうですよね〜…ってあっ」
手に持っていたチラシを落とすネイトレ。すぐに反応したファイトレが拾おうとしゃがみ込んだ瞬間、鳴り響く何か破れる音
「…」
「あっ…」
「ファイトレ、ジーンズが…というか、下着黒なのかんぐっ」
ファイトレはおもむろに立ち上がると、即座に左腕を伸ばしてベガトレの頭を掴む。相変わらずの氷のような表情で
「…セクハラは程々にするんだぞベガトレ?さもないと…」
「待って!?その手に持ってる緑色のってアレじゃん!?」
「…察しがいいな、あのロイヤルビタージュースだ。さあ、折角タダなのだから遠慮なく飲むといい。」
…飲み干した(された)後、苦さに悶絶ししゃがみ込むベガトレ。ネイトレが慰めるように隣にしゃがみ込んだ途端また響く2つの音。
「えっ?」
「うん?」
「…はぁ…二人共、ジーンズが私と同じように破れているよ。」
「!?」
「…(カアッ)」
慌てる二人、特にネイトレは涙目で震えていた。下着の見える3人での何とも言い難い時間が流れる。
「…仕方ない、着替えを取ってきてもらうか。二人は…担当に持ってきてもらうかい?」
「そうするわ…」
「(コクコク)」
───その後、着替えを取ってきた担当と三者三様の反応を見せた3人であった。
短文失礼しました
女子3人でジーンズが破れるお話。同じ元女トレとはいえ、下着をいきなり見られることになるのは恥ずかしいですよね。
この中だとベガトレが一番反応が鈍そう。二人の下着を見ても口には出さない紳士なファイトレ(女)
≫107二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 00:35:50
セイトレ「あ、グラトレさんにフクトレさん。どうです一つ」 パターン
フクトレ「セイトレとブルトレか、何だそれ」
ブルトレ「昨日セイトレさんが土産屋さんで買ってきた饅頭だそうです」 オイシイデスヨ
グラトレ「それもですけど、今閉じた物は何でしょうか~?」
セイトレ「トレーニングについてのファイルです。担当がライバル同士ですから勘弁してください」 マンジュウドウゾ
ブルトレ「お二人は何を?」
グラトレ「それは……」
フクトレ「担当とお化け屋敷に行きたいからホラーに馴れたいんだと。ただ映画はてんで駄目」
ブルトレ「お化け屋敷にホラー映画ですか、確かに好き嫌いが別れますよね。……怖いですし」
セイトレ「俺もああいうのは苦手ですね。暗いとこは本当に身が縮こまりそうで……」
フクトレ「お前色々あったのにお化け屋敷駄目なの?」
グラトレ「確かにホラー映画を見たりする時も一緒に反対していましたね~」
セイトレ「蹲って泣いてても助かるなら泣きたいですよ、正直俺より体力自慢とか運動神経いい人に相手してほしいです」
ブルトレ「心霊現象を何とか出来る人ではないんですね……」
フクトレ「報告だと無理矢理逃げてるんだと。……セイトレ経験談から程々に怖い話出来ないか?」
セイトレ「急に無茶言わないでくれませ、……あ、ありました」
グラトレ「あるんですか~……?」
ブルトレ「あの、私はこの位で……」
セイトレ「そんなに怖くないですから大丈夫ですよ、ちょっと失敗談でもあるけどこの面々なら話してもいいかなって」
ブルトレ「本当に?」
グラトレ「怖くはない話ですか~?」
セイトレ「本当です、大して怖くないですよ。昨日の話なんですけどね」
フクトレ「昨日?」
ブルトレ「なんでそのペースで経験談が?」
セイトレ「偶然、偶然です!話し続けますよ」
108二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 00:36:03
──昨日、夕暮れ頃に集中出来なくなって気分転換に出かけた時の話です。
そうですね、その饅頭買った帰りです。
早めに帰るつもりだったんですけど思ったより遠くまで来てたのか寮に戻る前に暗くなってしまいました。
想定外に歩いたせいで立ちくらみなんてしまして、近くにファミレスがあったので食べていく事にしたんです。
食事自体は普通に食べましたよ?ここ数日食べたもののメモ見て食べれそうな量を頼んで、一呼吸。
暗くなった来たから自分の足で帰るのも心もとなくなってしまい、タクシーを呼ぶか考えてたんです。
スマホでタクシー会社の番号を調べてる時、トイレに行きたくなってきました。
なので先にトイレに行ったんですよね。ファミレスのトイレですから綺麗でしたよ。
ただトイレに入った時に既にちょっと違和感があったんですよ。あれ、何かおかしいな?って。
でも特にこれと言ったものもわからなかったのでおかしいな、と思いながらもトイレに入ったんですよ。
その後、ちょっとした頃にコンコンって扉が叩かれたんです。
あれ、混んでたかなーと思いながらも「入ってまーす」と答えたんですよ。
そうしたら扉の向こうからえっ、と慌てた声が聞こえまして。
なんだろうと思っているとそのままトイレから出ていってしまったみたいです。
何だったんだろう、と思いながらも手を洗ってる時。
ちょうど鏡があったので定番だなー、と思いながら鏡もよく見てみたんですけど何もわからず。
ただずっとある違和感は鏡越しにも感じてまして。なんだろうなー、怖いなー、気の所為かなー?と思ってたんです。
結局わからず終いかなと思ってトイレから出ようとした時ですね。
トイレの扉についてるガラス越しに、幾つかの影動いてる?蠢いてる?のが見えました。
急にサー、っと冷たい感覚が背筋を走りましたよ。
ここは街中のファミレスで、人もたくさんいるのに?もう何か起きたのか?って
バカバカしいですけど想像しちゃいました。窓は小さくて出れそうにないですし、どうしようって。
……一度、深呼吸して扉開けて思い切り突っ切った後に相談しようって。
泣きそうなのを奥歯を食いしばってこらえて、ドアノブに手をかけました──
109二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 00:36:19
セイトレ「まあ、大体こんな話です。少しは怖く聞こえました?」
グラトレ「す、少しというか……」 ギュー
ブルトレ「……大丈夫だったんですか?」 グラトレサンチョットキツイデス
セイトレ「俺今ここで元気してますから大丈夫ですよ」
フクトレ「それでセイトレ、真相は?」
ブルトレ「……はい?」
グラトレ「真相、ですか~?」
セイトレ「フクトレさんはわかりますよね、報告してないし」
フクトレ「何かあった時毎度俺か黒カフェトレに連絡来るんだよ」
ブルトレ「それじゃあこの話は作り話……?」
セイトレ「いや実話です。ちょっと恥ずかしい話なので秘密にしてほしいんですけど。実は──」
セイトレ「トイレ、男子トイレだったんです」
ブルトレ「えっ」
グラトレ「……はい?」
フクトレ「お前マジか……」
セイトレ「あ、お店の人には謝りましたよ。扉開けたら店員さんとトイレに居たらしい人が居てビックリしましたから」
ブルトレ「それは、確かにびっくりします。けど」
グラトレ「その、だいぶ今更な間違いというか~」
セイトレ「仕方ないじゃないですか!意識ある時はずっとこの体だけど元々男らしくて、でも今ウマ娘とか疲れてたら混乱しますって!」
フクトレ「面倒臭さの塊みたいな事情はわかったからせめて言い訳効く学内でやってくれ」
≫113二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 01:08:24
──ジーンズどうですか?
「好みを言わせてもらえるなら、私服に関してはある程度ゆったりしているものが嬉しいですね。デニム生地のロングスカートは持ってますが、ジーンズはおそらく一着もないかと」
「あー、たしかに締め付けキツそうな格好してるイメージないですね。ジーンズ然り束縛を求めないタイプ」
「……ジーンズ好きが皆束縛を求めてる訳ではないんですよ」
「自分はあったらあったで嬉しいすけどね、モノでも人でも。縛りがなかったら際限なく楽しちゃうんで」
「いっそ清々しいほど自覚的な自堕落ですね……」
「支えられて社会生活送ってます。センセにも寄りかかることもあると思うんで、そんときはよしなーに」オジギー
「もたれかかるとか、のしかかるの方が正しそうですが。それで、あなたはジーンズを持ってますか?」
「実は結構好きなんで何着か。ダメージ系も持ってますし、あとタイキとおそろの奴もあるんですよ。自分の場合はむしろ私服でスカート持ってないかも」
「タイキシャトルとお揃い、成程イメージできました。……え? 一着も?」
「一着も」
「スカートを一着も?」
「スーツのスカート抜きだと……マジで高校の制服にまで遡りますねぇ」
「……」ニコッ
「……?」ニコッ?
こののち、タイキトレに色んなスカートを履かせる撮影会が開かれた。本人は満更でもなさそう顔をしていた。 win-winだった。
(終)
≫124二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 09:11:49
「ふぅ…」
白く湯気が立ち昇る露天風呂で、身体を伸ばして湯に浸かるキタトレ。今回はいわゆる湯治を目的に入りに来ていた。
勿論チームプロキオンも引き連れており、彼女らは先に入って満喫して、キタトレは遅い時間に入っていた。
「やはりこういう温泉はいいわね。家でも湯に浸かることは出来るけど、こちらの方が効果があるわ。」
水滴の垂れ流れるその大きな乳はプカプカと湯に浮かんでおり、湯気がキタトレを覆い隠すベール代わりのよう。
体の力と口元を緩め、気持ち良さそうな表情で入る彼女の姿はとても妖しく扇情的で魅惑的なものだった。
「…あ、トレーナー」
「あら、もしかしてもう一度入りたくなったかしら?」
…キタトレ以外に珍しく人のいない露天風呂に入ってくる影。チームメイトの一人がまた入りたくてきたらしい。
さてその娘だが、目の前にいるのはトレセンでも屈指のダイナマイトボディを誇るキタトレ、しかも入浴中である。
「…(ポンッ)」
顔を真っ赤にしながらキタトレの元へ寄る彼女。いくら同性とはいえ、初心な彼女にその肢体は毒ですらあった。
ついでに浮いてる乳を見てそこまで大きくない自らの膨らみと比較してしまい、脳がバグってしまう。
「もっと寄ってきてもいいのよ?大丈夫、私は他の娘には言わないし、二人しかいないもの。」
いつもよりも妖しい雰囲気のキタトレの声に、優しく取り込まれるように従うその娘。胡散臭さに警戒するということもない。
長い腕に抱かれる彼女は、浮かぶその胸につい手を伸ばして触ってしまう。そんな彼女に目を細めながら
「うふふ、いいわよ。私は別に気にしないわ」
その言葉に突き動かされるようにゆっくりと揉んでみたり、片腕で支えられてるそれに頭を乗せてみたり。
「さて、これで色々リセット出来たかしらね」
…暫くして溶けていた脳が戻ってきたのか、動きを止めた彼女を微笑しながら見つめるキタトレはひどく蠱惑的だった。
───その日から、彼女の何かは壊れたそうな。
短文失礼しました
湯治らしいので露天風呂に入るキタトレとモブ娘。うぶな彼女の精神と性癖はもうボロボロでしょうね。
魔ルドみたくオープンではないけど、一度懐に入り込んでしまえば後はズブズブ沈められるというのがキタトレの魅力です。
来る者拒まず去る者は追わず、でもまず去る者はほぼいないという底なし沼というのがコンセプトの一つですね。
≫163二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 17:53:37
『げーみんぐブラマル~それはふいうちでしょHA〇研さん~』
「おいブラトレ、収録そろそろ終わりそうだから寄ってきてと言われて来たが何だこの惨状は」
「お、おうフクトレ……マルトレが……不意打ちグロホラー気味演出で死んだ」
「あぁ……何やらせたんだよお前」
「いや、カービィの最新作……」
「たまに怖い描写あったりはするがそこまでか?」
「んー、まああれだよあれ、覚えてるかは知らないけどバイオのどれかに出てくる……なんだっけ、奥から迫ってくるタイプの敵。あれみたいなの」
「あぁー……成程」
「どうもアレがトラウマだったらしく無事絶叫して気絶した」
「無事か?」
「まあとりあえずポーズはかけてるから復帰はできるけど……こっちの再起動はしばらく無理そうだからなあ、バトンタッチということで」
「それ込みで呼ばれたのか俺は」
「いや、終わったらついでに飯でもと思ってたらこんなことになってしまってな……」
「……まあ不意打ちは死ぬだろうな、こいつの場合。窓割れてないよな?」
「音波兵器ほどの奴は出なかったのでセーフ。たぶんそうなってたらまず俺が無事じゃすまない」
「そりゃそうだ」
可愛い世界観に劇物なものが含まれるとインパクトは激しいものになる。
しばらくして復帰したマルトレを含めて軽い食事会になったが、マルトレは少々記憶が吹き飛んでしまったという。
≫170二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 18:19:27
「ルドトレ(魔)さん。ウマドルになりませんか?」
「あ、ファルトレさん。えーと……ウマドル?」
「はい。何もスズトレさんのように走ってくれとは言いません。少しライブに出ていただけないかと」
「ライブ……楽しそう」
「でしょう?ですので、その人に好かれる雰囲気、皇帝の伴侶として培ったその能力、まさしくウマドルとしてのアドバンテージに働きます」
「そうかなぁ?でも、面白そうだし、楽しそうだし、とりあえず一回だけやってみるね?」
「ありがとうございます。それでは詳細は後日メールで送付します。よろしくお願いしますね」
「はーい!」
「……それで、今練習していると」
「うん。ダンスとかのトレーニングを受けるのも、チームのみんなのためにもなるかなって」
「確かにそうだが……」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと本業は疎かにしないから!」
「……」
後日、無自覚にファルトレに胸を押し付けたりするハプニングがありつつもライブまでこぎ着けた。
楽しく踊る魔ルドの無自覚天然傾国魔性に観客は──やられた。
ルドルフも掛かった。
ライブ後、シャワーを浴びてしっとりしたルドトレは監禁された。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part728【TSトレ】
≫15二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 20:37:45
私はピカピカの新入生!
今、私は入学式に遅れそうになっています!
って、あっ!
「むぐうっ!?」
「あっ……!うっ、痛てて……」
ヤバい、前にいた優しげなウマ娘にぶつかって、しかも胸に顔からダイブしてしまった……
「ぷはっ……あの、ごめんなさい!」
「ううん、大丈夫、私も少し気が……って、新入生かな?」
「あっ……はい!」
それにしても綺麗な人だ、あと、ぶつかった衝撃で胸元のボタンが外れて谷間が覗いている。……あれ、そのことに気がついてない?
「なら、急いだ方がいいかも」
「ですよね……あと、胸……」
「……胸?……あっ!」
「ええと……それじゃ、行きますね!」
「……あっ、うん!教えてくれてありがとう!」
「いえー!」
あの人、腕をブンブン振って見送ってくれてるなぁ……
「……オグトレちゃん、裁縫道具持ってたかなぁ……私も入学式に顔を出さないといけないのに……」
後々、その人が生徒会長のトレーナーだと知るのはまた別のお話……
みたいな?
≫23☆温泉はダラダラするもの22/04/07(木) 20:45:47
「あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああァァァァ…………♪」
「タイキトレのうめき声がおっさん過ぎる件について」
「いやさ……温泉に浸かると色々溶けてく感じ、ベガトレさんなら分かるでしょー……」
「分かるけど妙齢の女性が出していい声じゃないわよ……私も抑えたってのに」
「うんにゃ、こんなの誰だってそうだよ。例えばネイトレちゃんやリウトレちゃんだってこんな声出る出るぅ……」
「ネイトレはともかくリウトレは違うでしょ」
「ネイトレはともかく」
「うんともかく。……リウトレはあれよ、耳も含めて細かく震える時間が長いの。そんでゆーーっくりと肩を落としつつ、それに合わせて深ーい息を吐くだけ。声はほとんど出さないと思う」
「あぁーー……いいねぇ。見えた。解像度高い。なんなら女子力も高そう」
「もちろん普段結ってる髪は下ろしてる」
「わーお人形! 愛でたい……」
「ネイトレは……声もそうだけど顔からして溶けてそう。垂れネイトレになる」
「……黙ってりゃそこらのウマ娘まとめて沸かせられる美人顔だってこと、本人も覚えてなさそう……」
「中身が全然追いついてないギャップがネイトレの良いところなのよ。……そして普段以上に隙だらけになるんだよねうへへへへ」
「風呂入ると気は緩むもんよ。あのファイトレさんだってちょっと会話のテンポ遅くなってたもん……。……ってなにその視線」
プカプカ
「…………分かっちゃいたけど、アンタも相当立派よね」
「代償は大きかったけどね……ってそれ言ったらそっちも十分大きいじゃん。なにさ、つつき合いでもする?」
「……やめとく。アンタ相手にセクハラする気は起きないや」
「あぁ……ストレートにいい反応返してくれるネイトレちゃんは偉大だなって……」
「いじり甲斐があるんだよね……それでいて謝ったら『仕方がないですね』って顔して許してくれる……いい……」
「優しい……付けいる隙だらけでかわいい……」
「有り体に言っていじめたい……」
「言っちゃった……。……でも分かる」
24☆温泉はダラダラするもの22/04/07(木) 20:45:58
「……しっかし濡れて普段の跳ねっ毛がおとなしくなると、印象変わるわねあんた」
「まぁねー。ゆるーい天パでこの髪の長さと量だから体積半減どころじゃない訳で……でもこっから乾かすとね、しばらくは三つ星のモフ度になるんよ」
「モフ度」
「テキトー言ってると思うでしょ? 一度アヤベちゃんにモフられて太鼓判押されたやつだから間違いないんよこれが」
「何やってるのあの子は……おっと?」
(変わって!変わってください!)
「わ、わたしも三つ星、モフモフしていいですか……!」
「およ、アルちゃん? うんいいよー。じゃあ特別に自分の髪にドライヤーを使う権利をあげよー。……けっけっけ、髪が膨れていく様を特等席で見るがいい……」
「ふ、増える髪の毛……!」
(ワカメかな??)
「増毛かな??」
その後、アルの手によって手入れされたタイキトレの髪の毛は当者比5割増しになった。アルは髪に埋もれた。
(終)
34二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 21:01:09
おまけ:雨の日のモフモーフ
──金髪毛虫と呼ばないで。ども、タイキトレです。
──雨の日はすごいです。主に髪が。今ならビワハヤヒデちゃんとタメ張れるかも分からんね。いや、向こうも膨れてるか? なら勝てんなぁ。
「……やや細めの毛質。一本一本が柔らかい。跳ねも多いけど、……うん。ダメージヘアはほとんどない」
「……」
──などと思ってたらいつの間にかアヤベちゃんに捕まってました。なして?
「すごい……しっかり髪があるはずなのに完璧な沈み込み……手に跳ね返ってくる感触が気持ちいい……」
「……ねえアヤベちゃん。楽しい?」
「はい。すみませんがもう少し、もう少しだけ……ああっ! やっぱり髪の中ごろがあたたかい……! 背中からの熱? 保温? とにかくすごく、モフ……!!」
「(こんな面白い子だったんだ……)」
しばらくアドマイヤベガに髪を堪能されたタイキトレだったとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫66チヨトレ?SS22/04/07(木) 22:29:22
「なんだこれ…」
タバコカフェトレは現状に理解が追いついていなかった。目覚めたら見知らぬ場所で椅子に座らせられていたのである。椅子にはゴツい手錠がついていて、両腕と両足が拘束されている。ウマ娘の力でもびくともしないほど頑丈だ。どうしてこうなったのか思い出してみる。何時ものようにコーヒーを飲んでからの記憶がない。もしやコーヒーに睡眠薬でも盛られたか?しかし、誰が?何の為に?頭の中で考えていると、聞き覚えがある声がした。
「どこですかここ!」
不健康な方のタキトレだ。いや、それだけじゃない。他にも数人のウマ娘化トレーナーがこの部屋に居て、自分と同じく拘束されている。よく見ると、そのいずれも不健康と言われているトレーナーばかり。であれば、おおよそ今回の元凶が絞れてくる。
「まさか…」
嫌な予感はすぐに的中することになる。
「お目覚めのようですね」
その声を知っている。その顔を知っている。今まで幾度となく追いかけられたのだから。
「ち、チヨトレ!」
サクラチヨノオー担当トレーナー。健康志向で所謂『不健康』が許せないタイプの人物だ。もう疑う余地はない。この人は自分達の食生活を矯正しにきたのだ。
「この度は皆様をある利用で拘束させて頂きました」
チヨトレは語る。このところ、学園上層部では一部トレーナーの食生活について深刻な懸念が出ていたこと。担当達からもトレーナーの健康状態について不安の相談が相次いでいたこと。学園やウマ娘の協力のもと今回の拘束が実現したこと。事態は思ったより大掛かりで深刻だったようだ。
「なので、助けが来ることはありません」
いつの間にか部屋には大量の料理が用意されていた。それらの料理には肉や野菜など様々な食材が使われ、あらゆる栄養素は十分とれる献立になっていた。ここを出たいなら健康的な食事を食えということらしい。トイレなどには行かせてもらえるとのことだが、食べなければ外に出ることができない。牢獄と言って差支えないだろう。
67チヨトレ?SS22/04/07(木) 22:30:14
「あの、実はさっきご飯食べてお腹が一杯で」
口をはさんだのはシビトレだ。なるほど、既にお腹が一杯なら料理を出されても食べられない。おまけに彼女は元々小食なので、無理して食べさせることは流石にしないだろう。そう楽観視していたのだが。
「それならご心配なく」
チヨトレが手を叩くと、シビトレの元に何かが運ばれてきた。小さめのコップに入れられた緑の液体だ。
「『ロイヤルビタージュース』…皆さんご存じですよね?」
トレーナー達がにわかにざわついた。ああ、知っているとも。近頃学園で販売されるようになった飲料で、ウマ娘のやる気が下がるほど不味いらしい。まさか、代わりにそれを――
「このジュースには、ビタミンや鉄分などがたぁ~~っぷり入っていまして」
ロイヤルビタージュースを持ったチヨトレがシビトレに向かって歩いていく。それはさながら死刑執行人のようで。
「あ、ちょっまってくださいゆるし―――――ギャアアア嗚呼アあああ!!!!!!」
あ、悪魔だ。あまりにも悍ましい光景に鳥肌が立った。当のチヨトレは満面の笑みだが、それが逆に恐ろしい。彼女は気絶したシビトレを一瞥してからこちらに向き直った。大きな大きな三日月のような口。
「次は皆さんの番ですよ」
それから後のことは覚えていない。
≫77二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:08:45
「あ、シビトレさんこんにちは」
「こんにちは」
タブレットに目を落としながら、タキトレ(不)が挨拶をする。
「タキトレ(不)さん、これ頼まれてた資料と、こっちが論文ですね。筋繊維の作用の関係と、あとホルモンバランスの」
「ありがとうございます。そこ置いといてください」
よいしょと紙の束を置くシビトレ。ポケットからクッキーを取り出すとそれも置く。
「これ、クロヤマアリさんの分です。この前の伝達のお礼です」
「ああ、ありがとうございます。後で彼らにあげておきますね」
「あ、お二人ここで何してらっしゃるんです?」
「タバコさん。ちょっとタキトレ(不)さんに頼まれた資料の方を」
「それを受け取ったところです。コーヒーでも飲みますか?」
「いいんですか?」「ええ。丁度私のも切れましたから」
豆を挽き、コーヒーを淹れるタキトレ(不)の隣に行くタバコと水槽のクロヤマアリを観察するシビトレ。
「出来上がりましたよ」
「あ、私も良いんですか?」「ええ。2人も3人も大して変わりませんから」
3人がソファに着こうとした時、異変は起きた。
まず扉が蹴破られた。次にタキトレ(養)と義カフェとマルトレが突入してきた。
「あ…マルトレさんこんにちは…」「あのゴミ箱のカップケーキの説明、できる?」
「どうしたんですか?義さん」「今日で3徹目だよね?ね?後はわかるよね?」
「タキトレ(養)さん」「部屋にあったコンシーラーのゴミ。あれどう言うことだい?」
3人は自身の死を直感で感じ取った。次の瞬間には3人揃って窓から脱出し、散開して逃げ出した。しかしタバコは転けて、不タキトレは100メートルほど走ったあたりで息切れした。
シビトレはうまく逃げおおせたと思ったが、回り込んだ寮長コンビに捕まえられた。
この後めちゃくちゃ反省文書いた。
≫96二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 09:45:27
「…ん?」
トレセン学園、その中を歩くサトトレがふと見つけたのは大量の書類を抱えて整理するフウトレと黒ルドトレだった。
「…お、こんにちは」
「こんにちはサトトレ!」
「こんにちは黒ルドトレ、フウトレ。二人で書類整理してるのかな?」
「そうそう、ちょっと書くものが多くてね〜」
姉モードのフウトレがトントンと紙を揃えて置き、黒ルドトレは紙束の中から何枚かを選別していた。
「んー、僕も手伝うよ。多分だけど、相当時間掛かる仕事でしょ?」
「いや、大丈夫…」
「そうだよ、わたし達だけで…」
「こういうのはさっさと終わらせるに限るし、僕も手伝うからね」
多少強引だが手伝うサトトレ。こういう仕事人間の遠慮には引き下がらないようにすべきと学んでいるのだ。
キタトレの補助にも入ったりするだけあってか、手際良く二人を補佐するサトトレ。サブトレ適性は高い。
「…所でさ、二人はちゃんと休んでる?特に黒ルドトレ。」
「一徹はしたが、まだ頭は回る、やることは多いんだ」
「わたしは最近忙しくて寝れてなくてね〜、でも倒れたりするようなほど休んでない訳じゃないよ?」
「ふ〜ん…」
ひらひらした例の服の中に手を入れつつ、飲み物を取りに動くサトトレ。片手で器用に入れると持ってきて
「はい、水分補給はしっかりね」
「ありがとうサトトレ!」
「…助かる」
「まあね、それと…」
振り向いたサトトレに合わせて奥を見る二人。その奥からやって来る二人分の人影に、二人は嫌な予感がした。
「フウトレ?貴方、睡眠時間はバッチリ取ってると言ってなかったかしら?」
「黒ルドトレ?私の出張中に何してるの?」
…キタトレと魔ルドトレが話を聞きつけてやって来たのだ。二人を信頼してはいるが、ワーカホリック気味となれば別である。
勿論サトトレの采配で、手を服の中に入れていたときに二人宛で連絡していたのだ。手が凄く器用なサトトレだからこその芸当。
(まずい…というか、掴んでくるサトトレの力つよっ!?)
「…僕と君たちとじゃ、まずトレーニング量が違うから離れられるわけないよ?」
「黒ルドは放っておくとすぐに仕事漬けするし、フウトレは仮に大丈夫でも一度前科がある以上は心配されるのも当然よ?」
67二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 09:45:52
…結果、疲労のリセットがてら二人は魔ルドとキタトレに身体を流されとことん甘やかされたらしい。
短文失礼しました
サトトレと不健康以外で警戒されてそうな仕事人間二人です。サトトレは基本子供らしいけどちゃんと頭は回るしハメてきます。
フウトレは普段は大丈夫でも一度やらかしたし黒ルドは言わずもがなだからこうやって時折甘やかされてるといい。
オマケ、身体を流される二人
「えへへ~」
「身体を揉まれるのは気持ちいいかしら」
「…っ!」
「髪はしっかり根本まで洗わないとね〜」
「…しかし結構弾力ある肌ね。」
「黒ルドトレも髪をわしゃわしゃするするといい感触してるんだよキタトレ」
「もっとおねがい〜…」
「…ぅぅ…」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part729【TSトレ】
≫16二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 23:22:32
ある日のこと。オグトレの元に魔ルドが訪れていた。
「オグトレちゃん!」
「どうしたルドトレ。何かあったのか?」
「えへへ~……見せたいものがあって……」
そう、魔ルドが紙袋から出したのは酒瓶。
「これは……日本酒か」
「そうそう!お父さんが送ってきて、せっかくだしオグトレちゃんとスズトレちゃんと三人で飲みたいなー、って思って!」
「全く、お前さんは優しいな」
「そうかなぁ……」
そう、首をかしげる魔ルドの頭を、オグトレは優しく撫でた。
「ああ、お前さんの優しさで、救われる人も沢山いるさ」
「そっかぁ、ならこれからもそうするね?」
「ああ、そうするといい。それと、酒には肴がつきものだ。ルドトレ、手伝ってくれるな?」
「勿論!」
────そうして、数時間後。
結局遅れてしまったスズトレ(相棒)より先に飲み始めた魔ルドとオグトレのうち、魔ルドは既に酔いつぶれていた。
「んっ……オグトレちゃぁん……」
「全く……どんな夢を見てるのやら」
衣服がはだけ、色々危うい雰囲気の魔ルドに膝枕をしながら、その髪を梳く。
すると……
17二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 23:22:46
「ごめん!仕事が……って、もう酔い潰れてる……」
「ああスズトレ。とりあえずルドトレが持ってきた酒はお前さんの分も残してあるから、安心してくれ」
「……そこはいいんだけど。なんだか、懐かしくて」
そう言いながらスズトレ(相棒)は魔ルドが持ってきた日本酒をグラスに注ぎ、一口舐めてから続ける。
「ほら、三人で最初に飲んだ日のこと」
「ああ、覚えてるとも。三人で飲めるとなったルドトレが喜びすぎて、ハイペースで飲み過ぎて、そのまま二人で介抱したんだったな」
「そうそう!それで、その時も服がはだけてて……」
そのまま、二人でちびちびやりながら雑談を続けていく。やがて、スズトレ(相棒)の頬も赤くなった頃、そっと呼びかける。
「……でさ、オグトレ」
「どうした、スズトレ」
「なんというか、ルドトレも言葉では言わないけど「オグトレは変わらなくてよかった」って思ってるかもね」
「……お前さんたち、飲みすぎだな」
「……ルドトレがやれアルメニアワインだのクミスを持ってきたのが悪いと思う」
「だな。そこも可愛いんだが」
「まあ、ルドトレの息抜きになったなら、いいかな」
「……だな。スズトレ、水を今持ってこよう」
そう言うオグトレは、優しげな笑みと共に立ち上がるのであった。
≫23二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 01:06:04
げーみんぐぶらまる・石村編
「デッドスペースじゃん」
「TPSとしても楽しいゲームだよな。ホラーだけど」
「まあまぁ、俺前にトレーナーTVでプレイしたから問題ないね」
「じゃあ五回叫んだらこの後の外食奢りで」
「言ったな。ウマ娘御用達のラーメン屋で特盛注文してやる」
ぎしゃぁはぁあば!
「うわっぽっぽっぴうっあっ違うね叫んでないし」
「それは無理があるのでは?」
「いやいや、現にマイク壊してないし『ギシャー』ンドバット!!」
「今のはダメだ!」
「いやいやいやセーフ、セーフです!」
「埒があかねぇスズトレを呼ぶぞ!!」
「……なんで私が?」
「スズトレがビビリモードに移行するくらい大声出したら叫んだ判定で一発アウトでいいな?」
「くっそれは逆らえない……」
「嘘でしょ……」
「スズトレは俺が勝ってもマルトレが勝ってもラーメン奢るから!」
「えぇ……」
≫26二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 01:59:06
「あらあら、不タキトレさんこんにちわ〜」
「む? グラトレさんか……こんにちわ、僕に何か用ですか?」
「いえいえ、お姿を見掛けしましたのでお声を掛けただけですよ~」
「そうですか、それではこれからどちらに?」
「私はこれから〜、養タキトレさんの所へ和菓子を食べに行く所ですよ~」
「……それでしたら、すみませんが養タキトレの方に僕はこっちに居なかったと伝えて貰えませんか?」
「言伝でしたら~、御自分でお願い致します~」ガシッ
「へ?」
「養タキトレさんに、不タキトレさんを見掛けたら連れて来て欲しいと頼まれていましたので〜」
「くっ、逃げ……られない!? 力強っ!?」
「鍛えていますので~……よいしょ〜」
「ちょっと待って、流石に肩に担がれるのはちょっと恥ずかしい!」
「まあまあ、取り敢えずこちらの羊羹を食べてくださいな~」
「羊羹? ……にしては深い緑をしているような?」
「……ロイヤルビタージュースを混ぜた羊羹ですよ〜」
「!?」
「……すみません、どうにかロイヤルビタージュースを摂取させて欲しいと言われまして〜」
「だからって固形化させなくても…!」
「…………諦めてください」
「う……うわぁぁぁっ!! まっず!!」
その後不タキトレは、養タキトレとグラトレ一緒に和菓子を食べさせて貰えたのでした。
うまぴょいうまぴょい
≫138二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 23:42:42
「さて、皆様今夜も黒の會ラジオにお付き合いくださりありがとうございます。今夜は私黒ウオトレと黒カフェトレさんでお送りいたしますね。本日のゲストは…ヒシトレさん、ファイトレ(女)さん、キタトレさんです。」
「始めまして、こういう企画は始めてだから少しわくわくするわね。」
「さあ、タイマンだ!」
「…ふ、では早速始めるべきだな」
「はい、今日は幾つか質問が来ておりますので、それに答えていきましょう。では一つ目、『自分のスリーサイズについてどう思いますか』。う〜ん、私は特に気にしたことはありませんね」
「俺も黒ウオトレと同じくあまりだな。この中だと色々一番のキタトレはどうなんだ?」
「私はね…慣れるまでは特に胸を流石に持て余したわ。とはいえ、枕にも出来るし埋めてあげれば緩む人も多いから悪くないわね」
「…」
「はぁ…ほら戻ってこい黒カフェトレ、あまり気にするな。後私は前より無駄に贅肉が増えただけとしか思わん。…次へ行こう」
「は、はい。…えっと、『トレーナーは仕事が多くて大変というブラックな業界とはよく聞きますが、食事とか睡眠はどうされてますか』…私はきっちり三食取って、睡眠時間も取ってありますね。基本自炊ですがたまには食堂とかにも行きます!」
「私も彼女と大体同じね。睡眠時間に関しては空いた時間や休日に帳尻は合わせてあるから、そこまで不健康ではないわ。」
「空いている時間があるのか…?とはいえ、私はファインに合わせてることが多いか。そのために私はいる訳でもあるのだからな」
「俺はヒシアマゾンに色々言われてからは自炊も早起きもしてるよ。…少しだけ、朝起きることは苦手だけどな」
「僕は大体食堂か義が作ってるのをいただきますね。自炊しようとするとしなくていいとはよく言われますが」
「…当たり前だろう」
「え、ファイトレ(女)さん?他の人もなんで黙ってるんですか…」
「「「「…(無言で目を逸らす)」」」」
「あの、何か言ってください!?」
短文失礼しました
昨日の黒の會ラジオネタです、ゲストの黒髪の3人はあんまりスリーサイズとかこだわりなさそうな感じがしますね。
ケツ上がデカ乳に脳破壊されてる時にファイ女はリセットかけにいく役割してそうです。こいつも巨乳だけどな!
≫145二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 01:14:09
「あ、ウオッカさん!」
「ん……トレーナーか。どうしたんだ?」
「今日が何の日か、分かりますか?」
「ん〜……」
廊下でウオッカを見つけたウオシスは、彼女の元へと小走りで行くと、唐突にそう聞いた。
「今日は特に何にもなかったし、練習も休みだろ?」
「えっと……あの……そうじゃなくて」
なにやら言おうか言うまいか迷った様子のウオシス。モゴモゴしている。
「あ!もしかして俺の誕生日?」
「そう!そうです!!」
尻尾を大きく振るウオシス。
「でもなんでそんな勿体ぶってきいたんだ?」
「えっと……聞いても笑いませんか?」
「笑わねえよ」
その返答を聞いて、えっと……とつづける。
「誕生日というものを……祝ったことが無くて……どうすれば良いのかがわからなくて……」
「あー、なるほどな。こういうのは素直に誕生日おめでとう、でいいんだぞ?俺は別にそんな気にしねえし」
「なるほど……そうなんですね!あの……そ、それで!プレゼントなんですけど……」
お、なんだ?と興味を向けるウオッカに、傍にかけた鞄の中から小さな箱を取り出す。
「うお……すげぇ……何の花だ?」
「かすみ草のプリザーブドフラワーです。ミニドームに入れてみました……どうです?」
掌に乗るサイズのそのドームの中には、小さなかすみ草や青薔薇などが散りばめられていた。ガラスには白い石も埋め込まれている。
「すげぇ……ずっと大事にするからな!」
「はい!……あと、ウオッカさん」
すぅ、と深呼吸をして、ウオッカをあらためて見つめる。
「ウオッカさんは、本当に私の人生の転機でした。あの日のことは今でも夢に見ますし、色褪せていません。このような言葉で申し訳ありませんが、これからもよろしくお願いしますね?」
「……ッ!おう!こちらこそよろしくな!」
ぎゅ、とウオシスを抱きしめるウオッカと、恐る恐るそれに応えるウオシス。
不器用ながらささやかに祝われたそれは、ウオシスにとって大事な思い出となるのだった。ら
それからそのミニドームは、ウオッカの部屋の棚に大切に飾られているという。
≫148二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 03:22:54
月と桜と愛バと
「月に照らされた桜というのは雅なものですね~」
「そうですね〜」
家の庭に一本だけ植えられた桜の木。
その桜を挟んで縁側から月を眺める二人のは、この家の主のグラトレこと俺とその愛バのグラスワンダー。
週末という事でグラトレの家に泊りに来たグラスと、天気が良さそうだったので花見と月見を行う事にしたのです。
「ふむ……『風に乗り、月に照らされ、舞う桜、踊る愛バと、姿重ねて』……どうでしょうか~」
「……57点です、後半をもう少し頑張りましょうか〜」
「グラスは手厳しいですね~」
そんな他愛も無い会話をお茶と一緒に嗜みながら、月と桜の鑑賞を続け少し経った頃
「トレーナーさん?」
ほんの少し悪戯っぽい顔をしたグラスが声を掛けてきました。
「はいはい、なんでしょうか~」
「はい……月が……綺麗ですね」
「ええ、ええ、散り始めた桜と合わさりとても綺麗ですね~」
「…………そうですね」
……期待していた答えと違った物が返って来たらしいグラスは少々落胆してしまっています。
悪戯が少々過ぎたかもしれませんね。
「夏目漱石でしたでしょうか~」
「……! ……トレーナーさん、知っておられたんですね?」
「ええ、ええ、実際に言われたかどうかは定かではないみたいですが〜」
「……知っているなら、返事を返してくれても良かったじゃないですか」
グラスが俺に何を期待していたのか気付いていた事をネタバラシ。
当然グラスからは知っているならどうしてと、少し批難されます。
しかし、コチラにも考えというのが有るのです。
149二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 03:23:20
「……グラス」
「なんでしょうか、意地悪なトレーナーさん」
「愛しています」
「…………えっ? …………っ!!」
急な愛の言葉に驚いたのか、グラスは声にならない歓喜の声をあげ。
「はい……はい! 私もです!」
そして歓喜のままに、力強く囁かれた言葉に返してくれました。
……が、グラスはその返答の言葉に繋げて
「ふふっ、トレーナーさん……お顔がそれこそ桜色に赤くなっていますよ?」
何とも余計な事を指摘してくれました。
「……〜〜!! ああ〜っ……! やっぱりいざ面と向かって言うと恥ずかしいっ!!」
「あら、今のトレーナーさんのお顔は桜を超えて林檎の様ですね〜♪」
「こ、こういう時は指摘しないものじゃないかなぁ!?」
「ふふっ、さっきの仕返しですよ~」
どうやら先程グラスの言葉をスルーした仕返しとして、恥ずかしさからの紅潮をスルーしてくれないらしい。
口は災いの元とはこの事か……
「ですが、そんなに恥ずかしいのならそれこそ先人の言い回しを真似ても良かったのでは?」
俺の気持ちが少々落ち着いたのを見計らったグラスは疑問を口にしてきた。
……確かに『月が綺麗ですね』なんて言い回しなら言い易いだろう。
だが、俺はその言葉を使う予定は無い。
「俺は……グラスに伝えるのなら先人の考えた言葉ではなくて自分の言葉を伝えたかったんだよ」
先人考えた言葉ではなく自分の気持ちそのままの言葉を伝えたかった。
ただそれだけだ。
150二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 03:23:47
「嬉しいですね~♪」
俺の考えが伝わったグラスは何とも上機嫌となって尻尾を振っている。
そんな上機嫌の愛バを見れば此方も嬉しくなるというもの。
嬉しそうに笑顔なグラスに釣られる様に俺も笑顔となった。
「ふふっ、本当にトレーナーさんが私に直接『愛している』なんて伝えるとは思いませんでしたよ♪」
「……うん、喜んで貰えたみたいで何よりだよ」
「それで、次はいつ聴けますかね~」
「…………………………えっ?」
……次? ……次ィ!?
ちょ、ちょっと恥ずかしいかなぁって。
「……言って貰えないんですか?」
愛の言葉を口にするのが恥ずかしくて躊躇している俺に気が付いたグラスは顔を少し曇らせてしまい。
そんな、ちょっと悲しそうにする愛バの姿を見た俺は……
「…………善処します」
またいずれ、グラスに『愛している』と口に出して伝えるのが決定したのでした。
上機嫌そうに尻尾を振り隣の肩に頭を預けるウマ娘と、そのウマ娘の腰に手を回して離れない様にしているウマ娘。
月と桜を愉しむ二人の夜は静かに過ぎるのでした。
うまぴょいうまぴょい
≫166予約特典マルトレゾンビASMR22/04/10(日) 10:28:35
「……マルトレのゾンビASMRか……音量最小でいこう」
サンプル品としてデータをもらったフクトレは突然の大音量に備えほぼミュート寸前の設定で音声を聴き始めた。すると車の車内のような音が聞こえ始める。
『……264日目。今日の天気は晴れ。そろそろ貯めておいた荷台の燃料が無くなりそうだ。さっきのスタンドはもうダメだった。どうしようかマルゼンスキー』
『圏央道のサービスエリアの方へ行ってみるのはどうかしらトレーナーちゃん』
『確かに、そっちは行った事なかったね。長めの運転になると思うけど車酔いは大丈夫?』
『もう慣れちゃったからバッチグーね』
右側から聞こえるマルトレの声に対し、ふふっと左側からマルゼンスキーの微笑む声が届く。ちょうど運転席と助手席の間から聞いているような格好だった。
「なんだか思ってたのと違う」
フクトレは困惑した。
『266日目。今日はどうしようか、ここはゾンビもいなさそうだし燃料節約と車の整備かな』
『そうしましょうか。トレーナーちゃんが何かやってる間見回りは任せて!』
『頼りにしてるよ。……タッちゃんが乗れればよかったんだけどな』
『仕方ないわね……タッちゃん油大好きだもの。今二台に積んでる燃料がいくらあって足りないもの。今のこの子はタッちゃんの意志をつけ継いだタッちゃん2号よ!』
『タッちゃんのエンブレムが眩しいねぇ……』
『274日目。いやぁ〜武器があればな。ゲームならショッピングモールに行ってショットガンゲットなんだけど』
『お巡りさんからもらった拳銃だけだものねえ……』
167予約特典マルトレゾンビASMR22/04/10(日) 10:30:04
突然音声が乱れる。エンジン音が大きく、燃費を気にした運転でなくなりふり構わない高速走行をしているのが明らかだった。
『クソっ走るゾンビなんてありかよ!』
『トレーナーちゃん頑張って!』
鈍器で何かを殴打する音や風切り音に紛れたうめき声が聞こえた。再び音声が乱れる。
『ハア……ハァ。……何日目だっけな。マルゼンスキーが噛まれた。ありったけのエタノールで消毒して処置はしたけど……熱が出てる』
『……トレーナーちゃん自分でわかるの……きっとダメだから『ダメなんかじゃない!! きっと大丈夫だ!!』
『……ならせめて縛って。もしもの時にあたし……トレーナーちゃんを襲いたく……ない』
『……わかった』
『ダメだったら……私を眠らせて。トレーナーちゃんは……生きて。生きてればきっとベリグッドなことが待ってるんだから……約束よ?』
168予約特典マルトレゾンビASMR22/04/10(日) 10:31:00
「…………」
フクトレは腕を組んで深刻そうな顔で音声を聴き続けた。縄が擦れるような音が続き、また切り替わる。
『……297日目。昨日と変わらずマルゼンスキーは眠ってる。あのクソッタレなゾンビ病と今も闘ってるんだ。だから今俺は安全な所を転々としてる。物資調達の危険は犯せない』
ギチリ、と縄が軋む音がした。
『よかったマルゼンスキー目が覚め────』
『ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア!!!』
マルゼンスキーの声の面影をわずかに残しながらも、獣のような叫びとガチン、ガチンと噛みつこうと口が開閉されぶつかり合う歯の音が響き渡った。
しばらくの間それが続き、それに紛れて金属音が小さく小さく鳴った。バンという大きな破裂音が二度して、叫びが収まる。
『…………おやすみ。マルゼンスキー…………ぐ……く……う……ッあァァァアアアア゛ア゛!!!』
マルトレの悲痛な叫びと当たり散らすように何かを叩く音が続き、唐突に止まった。無言で縄の擦れる音が続く。マルゼンスキーを縛っていた縄を解いたようだった。そして手で乱雑に捕まれ録音機器が引き寄せられる。
『もし、コレを聞いてる人がいたなら。この軽トラックに積んであるものは好きなようにしてくれ。あなたが生きるために使ってくれ。ただお願いがある。俺たちを引き離さないでくれ』
ことり、と録音装置が置かれ撃鉄を弾く音とシリンダーが回る音がした。
『……約束を破るのは初めてか。謝らないと』
バン
拳銃が床に落ちる音を最後に音声は止まった。
「…………」
フクトレは呆然としながら聞いてから開いてくださいと書かれたファイルをクリックする。そこには運転席側ドアを開けたなかで身を寄せ合い手を繋いで死んでいるマルトレとマルゼンスキーの姿を撮った写真風の画像が※特殊メイクです
「ま、マルトレええええええええ!!!!」
「どどどどうしたんですか!?」
絶叫するフクトレにちょうどトレーナー室にやってきたフクキタルがガチの心配をした。
完
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part730【TSトレ】
≫33二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 13:10:02
ろりろりろり!いうっちまうのしちょうせい、ろりしんちゃんです!!
わたしはあさおきたらろりになってました!きのうのよるののこりのぴーまんのにくづめがにがくてたべられませんでした!!
あっ!いくとれさんです!!ちょっとはなしかけてみましょう!いくとれさーん!
「はんまーがにぎりやすい…うちやすい…ふふふふ…ていてつよ!わたしはかえってきた!!」
とってもはいてんしょんです…わたしはみないふりをしました!!
≫41マルトレゾンビASMRおまけ22/04/10(日) 14:55:36
「恨めしやぁ〜」
「食べちゃうぞ〜」
「きゃあ!? マルゼンさんにそのトレーナーさん!? 何があったんですか!?」
「あっ心配しないでチヨちゃん。コレは怪我してるわけじゃなくて学園の企画で作った音声劇の仕上げのお写真カシャってする時のコワコワメイクなのよ〜。あたしはゾンビね!」
「な、なんだびっくりしちゃいました。ウマ娘にも衣装では無いですが、コレもそれでなんだか似合ってる気がします! 所でどうして此方に?」
「実はね、ジャーン、チヨトレマッサージ優先券を貰ったの! それで忙しく無いならすぐ使いましょってメイク落とすの勿体無いしそのまま来ちゃった!」
「チヨノオーちゃんもトレーニングの用事とかで被ってるんだったら後日また来るけど大丈夫?」
「あっ、大丈夫ですよ! でもこの券、よく見ると足ツボ用って書いてありますけど……」
「わお♪気持ちよさそうね」「足ツボか〜やった事ないなぁ」
「それで、よければマルゼンさん! マッサージの後並走トレーニングしてもらえないでしょうか!」
「ええ! 問題ナッシングよ!」
「俺は構わないけどチヨノオーちゃんもチヨトレに一応確認は取ってね」
「はい!」
そうしてチヨトレの部屋に入っていく。
「マルトレさんにマルゼンスキーさん。二人してどうしたんですか? ああなるほどマッサージですね! 収録で疲れた体も一発ですよ」
「なんか痛いイメージあるんだけどどうなの実際」
「不健康じゃなければ痛くないはずですよ!」
「……じゃあ大丈夫か」
「さ、此方へ!」
その後マルゼンスキーは気持ちよさそうに足ツボマッサージを受けたが。
「あっそこはっいだだだだだうぼあ゛あ゛あ゛」
「凝ってますね。ここが痛いと言うことは運動不足ですよマルトレさん」
運動不足のマルトレは激痛が走りうめき声を上げながらツボマッサージをされ悶えるその様子の方がよほどゾンビだった。
おしまい
≫48二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 15:33:35
四、性癖祭の夜
テイトレは、口笛を吹いているようなさびしい口付きで、檜のまっ黒にならんだ町の坂を下りて来たのでした。
坂の下に大きな一つの街燈が、青白く立派に光って立っていました。テイトレが、どんどん電燈の方へ下りて行きますと、いままでばけもののように、長くぼんやり、うしろへ引いていたテイトレの影ぼうしは、だんだん濃く黒くはっきりなって、足をあげたり手をったり、テイトレの横の方へまわって来るのでした。
(ぼくは立派な機関車だ。ここは勾配だから速いぞ。ぼくはいまその電燈を通り越す。そうら、こんどはぼくの影法師はコムパスだ。あんなにくるっとまわって、前の方へ来た。)
とテイトレが思いながら、大股にその街燈の下を通り過ぎたとき、いきなりひるまのマベトレが、新らしいデコルテの露出した服を着て電燈の向う側の暗い小路から出て来て、ひらっとテイトレとすれちがいました。
「マベトレ、概念ながしに行くの。」テイトレがまだそう云ってしまわないうちに、
「テイトレ、お父さんから、車椅子が来るよ⭐︎」その子が投げつけるようにうしろにびました。
テイトレは、ばっと脚がつめたくなり、そこら中きぃんと鳴るように思いました。
「何だい。マベトレ。」とテイトレは細く言い返しましたがもうマベトレは向うのひばの植った家の中へはいっていました。
「マベトレはどうしてぼくがなんにもしないのにあんなことを云うのだろう。走るときはまるでメスガキのようなくせに。ぼくがなんにもしないのにあんなことを云うのはマベトレがメスガキなからだ。」
テイトレは、せわしくいろいろのことを考えながら、さまざまの灯や木の枝で、すっかりきれいに飾られた街を通って行きました。時計屋の店には明るくネオン燈がついて、一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤い眼が、くるっくるっとうごいたり、いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の盤に載って星のようにゆっくり循ったり、また向う側から、銅の人バがゆっくりこっちへまわって来たりするのでした。そのまん中に円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。
49二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 15:34:26
ジョバンニはわれを忘れて、その星座の図に見入りました。
それはひる学校で見たあの図よりはずうっと小さかったのですがその日と時間に合せて盤をまわすと、そのとき出ているそらがそのまま楕円形のなかにめぐってあらわれるようになって居りやはりそのまん中には上から下へかけて銀河がぼうとけむったような帯になってその下の方ではかすかに性癖が爆発して湯気でもあげているように見えるのでした。またそのうしろには三本の脚のついた小さな望遠鏡が黄いろに光って立っていましたしいちばんうしろの壁には空じゅうの星座をふしぎな邪龍やカマライゴンやあじさいやシシマイゴンの形に書いた大きな図がかかっていました。ほんとうにこんなようなばけものだの女神だのそらにぎっしり居るだろうか、ああぼくはその中をどこまでも歩いて見たいと思ってたりしてしばらくぼんやり立って居ました。
それから俄かにマルトレお母さんの牛乳のことを思いだしてテイトレはその店をはなれました。そしてきゅうくつな上着の肩を気にしながらそれでもわざと胸を張って大きく手を振って町を通って行きました。
空気は澄みきって、まるで水のように通りや店の中を流れましたし、街燈はみなまっ青なもみや楢の枝で包まれ、電気会社の前の六本のプラタヌスの木などは、中に沢山の豆電燈がついて、ほんとうにそこらは人魚の都のように見えるのでした。子どもらは、みんな新らしい折のついた着物を着て、星めぐりのくちぶえ
を吹いたり、
「三女神様、露をふらせ。」と叫んで走ったり、青いマグネシヤの花火を燃したりして、たのしそうに遊んでいるのでした。けれどもテイトレは、いつかまた深く首を垂れて、そこらのにぎやかさとはまるでちがったことを考えながら、牛乳屋の方へ急ぐのでした。
テイトレは、いつか町はずれのポプラの木が幾本も幾本も、高く星ぞらに浮んでいるところに来ていました。その牛乳屋の黒い門を入り、牛の匂のするうすくらい台所の前に立って、ジョバンニは帽子をぬいで「今晩は、」と云いましたら、家の中はしぃんとして誰も居たようではありませんでした。
「今晩は、ごめんなさい。」テイトレはまっすぐに立ってまた叫びました。するとしばらくたってから、年老ったウラトレ先生が、どこか工合が悪いようにそろそろと出て来て何か用かと口の中で云いました。
50二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 15:34:49
「あの、今日、牛乳が僕ぼくんとこへ来なかったので、貰いにあがったんです。」テイトレが一生けん命勢よく云いました。
「いま誰もいないでわかりません。あしたにして下さい。」
その人は、赤い眼の下のとこを擦りながら、テイトレを見おろして云いました。
「おっかさんが病気なんですから今晩でないと困るんです。」
「ではもう少したってから来てください。」その人はもう行ってしまいそうでした。
「そうですか。ではありがとう。」テイトレは、お辞儀をして台所から出ました。
十字になった町のかどを、まがろうとしましたら、向うの橋へ行く方の雑貨店の前で、黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、六七人の生徒らが、口笛を吹いたり笑ったりして、めいめい概念の燈火を持ってやって来るのを見ました。その笑い声も口笛も、みんな聞きおぼえのあるものでした。テイトレの同級の子供らだったのです。テイトレは思わずどきっとして戻ろうとしましたが、思い直して、一そう勢よくそっちへ歩いて行きました。
「川へ行くの。」テイトレが云おうとして、少しのどがつまったように思ったとき、
「テイトレ、車椅子が来るよ〜⭐︎」さっきのマベトレがまた叫びました。
「テイトレ、車椅子が来るよ。」すぐみんなが、続いて叫びました。テイトレはまっ赤になって、もう歩いているかもわからず、急いで行きすぎようとしましたら、そのなかにマクトレが居たのです。マクトレは気の毒そうに、だまって少しわらって、怒らないだろうかというようにテイトレの方を見ていました。
テイトレは、遁げるようにその眼を避け、そしてマクトレのせいの高いかたちが過ぎて行って間もなく、みんなはてんでに口笛を吹きました。町かどを曲るとき、ふりかえって見ましたら、マベトレがやはりふりかえって見ていました。そしてマクトレもまた、高く口笛を吹いて向うにぼんやり見える橋の方へ歩いて行ってしまったのでした。テイトレは、なんとも云えずさびしくなって、いきなり走り出しました。すると耳に手をあてて、わああと云いながら片足でぴょんぴょん跳んでいた小さな子供らは、ジョバンニが面白くてかけるのだと思ってわあいと叫びました。まもなくテイトレは黒い丘の方へ急ぎました。
≫90二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 20:27:52
「お嬢〜いるっすか〜?」
202がレジ袋を片手にトレーナー室に入ってきた。今朝から頭痛がするというウオシスのために頭痛薬やスポドリ、ゼリー飲料などを買ってきたのだ。
「あれ、お嬢いないんすか?お嬢〜」
しかし、冷蔵庫にポカリを入れながら何度声をかけても返答がない。上着も帽子も掛けられたままで、外出した様子もない。
「おかしいっすね……」
首を捻りながらウオシスが横になっていたソファを覗く。
「お嬢、寝てるんす……か?」
「んぅ……どちらさまですか?」
そこにはウマ娘の少女がいた。しかし髪色は毎日見てきた濡羽色だし、目だってアメジストのような紫紺だ。
「……お嬢っすか?」
「おじょうって、だれですか?わたしは、おじょうってなまえじゃ、ないです」
「ちょっと待っててっすね。……電話どこっすっけ」
冷や汗をダラダラ流しながらスマホのコールボタンを押す。
『どうした202。今飯食ってるんだが』
「親父さんそれどころじゃないっすお嬢が緊急事態っす」
焦燥の滲む声で電話の向こうに伝える。
『ちょっと待てどういうことだ』
「お嬢がトレーナー室で子供になったっす。比喩とかそういうのは一切無しっす」
『オーケー。コレ片付けたらすぐ向か『おいボウズ!娘の非常事態に何呑気に飯食ってんだ!?V、コレ頼むぞ!!』』
奥からVのええ……?という困惑が聞こえたが、ガタンと椅子の倒れる音と共に電話が切られる。
「だいじょうぶですか?」
とてとて、といった擬音が似合いそうな足取りでウオシス(であろうウマ娘の少女)が近寄ってくる。
91二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 20:28:15
「うん、大丈夫っすよ。それよりお嬢ちゃん、お名前を教えてもらえるっすか?」
床に胡座をかいて、背筋を曲げる。こうでもしないと視線が合わないのだ。
「わたしは、───といいます」
やっぱり、と202は思った。やはりその名はウオシスと同じ名だ。
「ありがとうっす。それよりお嬢ちゃん、お菓子食べるっすか?」
「おかし……い、いえ。おきもちだけ、うけとらせていただきます」
「そうっすか。じゃあ一緒に散歩いくっすk「娘よ!?無事か!!??」
途端、扉が勢いよく開き、ギムレットが入ってくる。
「青いの!娘はどこだ!?」
「ギムレットさん、一旦落ち着いてっす。お嬢ちゃんがびびってるっすよ」
「だ、だれですか……?」
「むすm「ちょっと待てギムレット。これ以上はお嬢のメンタルがやばい。改めましてこんにちは、お嬢ちゃん。俺のこと、覚えてるか?」
「も、もうしわけありません……どこかでおあいしましたでしょうか……?」
「どこかで、な。ま、それよりもお嬢ちゃん。何かたべたいもの、あるか?」
親父がしゃがみ、ウオシスに聞く。
「えっと……おとうさまとおかあさまの、おゆるしがないので……」
「……そうか。大丈夫だ嬢ちゃん。ちゃんと俺が許可を貰ってる」
「えっ……うそじゃない……ですか?」
「勿論さ。ほれ、何がしたい?」
もちろん許可なんて取っていないし、ウオシスの両親に至っては顔さえも知らないが、それはこの際置いておく。
「えっと、えっと……」
「ゆっくりで良いんだぞ」
うんうん唸るロリシスを優しい目で見る。
92二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 20:28:41
「えっと……とってもわがままなんですけど、それでもいいですか?」
「ああ、勿論だ。何だって言ってくれ」
「なら、おさんぽがしたいです」
「わがままなのか……まあいい、了解だ。歩くか?それともおぶってやろうか?」
「わたし、ひとりであるけます」
「そうかそうか。そりゃ結構だ。202はどうする?」
「部屋に居るっす。あとロブトレさんから絵本借りてくるっすね」
そう言って部屋から出て行く202を見届け、ロリシスの手を優しく握る。
「じゃ、行こうか」
「はい!」
部屋を出て、廊下をロリシスの歩幅に合わせて歩く。
「どこに行きたい?大体のはあるぞ?」
「おそとに、でてみたいです」
「外か。了解した」
ロリシスを抱っこして階段を降り、中庭へと向かう。その道中で、ネイトレがいた。
「あ、親父さんこんにち……え?」
「おう、ネイトレ。ほらお嬢ちゃん、あいさつだ」
「ねいとれさん、こんにちは」
「お嬢ちゃん……え?ウオシスはちゃん?え?はぇ?」
「おちつけおちつけ。これはだな」
かくかくしかじか。こうなった経緯を説明する。
「なるほど……って納得はできませんが」
「まあどうせいつもの三女神だろう。抱っこしてみるか?」
「いいんですか?」
「良いか?お嬢ちゃん」
「はい、わたしはだいじょうぶです」
その返答を聞いてネイトレにロリシスを渡す。
「きゃわ……あぁぁ……」
「中庭まで行く予定なんだが、何か忙しかったか?」
「いえ全く!!」
93二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 20:29:19
そう答えて親父に同伴して中庭まで歩く。ウオシスはネイトレの腕の中でキョロキョロと忙しなく周りを見ている。
「ほら、着いたよウオシスちゃん」
「自由に走ってきて良いぞ」
ロリシスを降ろし、キョロキョロしている彼女をみる。
「どうしたんだ?」
「えっと、さっきのきんいろのうまむすめさんの、はしるのがみたいです」
「だとよギムレット」
「そうか……娘に頼られたならば仕方がない!」
瞬時に親父の目が金色に変わると、ほれ、とおんぶの姿勢になる。そこにウオシスを乗せると、中庭をスピードを抑えて駆ける。
「どうだ娘よ!たのしいか?」
「はやいです!とってもはやいです!」
「ネイチャの!娘はどんなだ?」
「とっても楽しそうですよ!後で代わってください!!」
その後もネイトレに交代して中庭を走り回り、終始笑顔だったロリシスをギムレットに渡し、満身創痍のネイトレは反対側に向かった。
「楽しかったか?娘よ」
「はい!ありがとうございました!」
ニッコニコのロリシスと共に再びトレーナー室へ戻ると、202の他にロブトレがいた。
「青いのにロブロイのもいたのか。どうしたんだ?」
「202さんが絵本を借りたいとおっしゃっていて、理由を聞いたらウオシスさんが小さくなったと聞いて……私も見てみたかったんです」
「そういうことならほれ、娘よ」
「まあ、かわいらしい……」
「えっと、ろぶとれさん、はじめまして」
「ふふっ、その姿では初めましてですね。どんなおほんがいいですか?」
絵本をいくつか見せてロリシスがこれがいいです、と一冊の本を指差す。
94二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 20:29:47
「なるほど……では少し、失礼しますね」
「ふぇっ!?」
そういうとロブトレはロリシスの脇を持ち上げ、膝に座らせる。
「では、読みますね。むかーしむかし……」
その本は、とある少女の話だった。牢獄のような厳しい制約の家から抜け出し、厳しい試練を乗り越えて、その途中に出会った運命の人と一生を添い遂げる話だ。
「わたしも……あえますか?」
「運命の人、ですか?ええ、きっと会えますよ。私も、私の英雄と出会えましたから」
ロブトレがロリシスをそっと撫でて言う。まるで自身の過去を思い出すように。
「お眠ですか?」
「ねむく……ないです……」
「大丈夫ですよ。ゆっくり眠ってください」
ゆっくりと眠りに落ちていくロリシスを見ながら、ロブトレは微笑む。
眠りに落ちたことを確認すると、親父が顔を出す。
「申し訳ねえなロブトレ。読み聞かせだけじゃなくて寝かしつけもやらせて」
「いえ、大丈夫ですよ。でも、ウオシスさんが……」
そう言われてソファの正面に回るとか顔色が悪い。それに何やら魘されているようだ。
「……なさい……と……さま……ごめ……」
「……ロブトレ。いいか?」
はい、とロリシスを親父の腕の中にそっと預ける。
「よしよし……大丈夫だからな。みんな、そばに居るからな」
きゅっ、と小さな手で親父の服を掴む。
それはまるで本当の父親のようで、親子のようで、とても優しいものだった。
おしまい
なんでここまで長くなったんですか…?
ロリシスは精神とウマ娘としての肉体が幼少期に戻った感じですね。そのせいでトレーナー達のことは何も知りません。
この後2日ほどして戻ったんですが、その間ギムレットがロリシスを甘やかしまくってウオッカに怒られました。
親父さんとギムレットさん、ネイトレさん、ロブトレさんをお借りしました。エミュ自信ないので腹を切ります。
≫102二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 21:10:54
「あっ、こんにちはタイキトレ…って、なんか縮んでる?」
「いやー、朝起きたらこうなっててねぇ…」
微妙な表情をするサトトレの目の前に立っているのはロリになったタイキトレ…その身長はサトトレを下回っていた。
「…それで、僕と同じくらいの身長になった気分はどうかな?」
「うん、高い所に手が届かないのが凄くつらいわ〜…おん?」
サトトレの奥から歩いてくる二人分の人影に反応するタイキトレとそれに合わせて振り向くサトトレ。
「あ…タイキトレさんもですか」
「あら〜…私と同じく小さくなってますね〜」
ブルトレとロリ化したグラトレ、そんな気の抜けた感じの二人に手を振るタイキトレと更に苦笑するサトトレ。
ブルトレ以下のサイズのグラトレに、担当が掛かっていないだろうかと思考するサトトレの横で回り込むブルトレ。
「確かにサトトレさんが前言ってた通りそんなに寒くはないけどさー、他が色々面倒になるのよね」
「ちっちゃいものというのは、そういうものなんです。…えい」
後ろから抱き締める形でミニタイキトレをホールドするブルトレ。何か考えてそうで特に考えてないタイキトレはブーたれていた。
…一方でサトトレとグラトレは、グラトレが低くなった身長に少し慣れてなさそうなのを見かねて近くで支えていた。
「慣れない内は一人で歩くのはやめておいたが方が良いと思うよ。それに、よく迷子になってるみたいだし」
「ありがとうございま…っ!」
案の定小さくなった歩幅に慣れずバランスを崩すグラトレ。サトトレがすぐに手を引き自分の身体に凭れ掛からせる。
「ふぅ…危ない、もうちょっと危機感を持って…僕が抱きとめれたからいいけど…」
「すみません……でもそれと、抱かれる感覚というのは案外悪くないですね〜」
「でしょ〜」
「相変わらずですねタイキトレさん…」
珍しくいつも抱く側の二人が抱かれる構図、凄くほのぼのとしていたそうな。
短文失礼しました
抱く側と抱かれる側をロリ化したことで反転させてみました。ちっちゃいもの倶楽部の臨時会員が増えそうです。
ブルトレサトトレは子供らしい側面と大人である一面がいい比率で両立してますよね。精神までロリ化トレも明日までに書いてみたい。
≫107二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 21:37:51
ズズズ……ズズズ……
何やら固い物を引き摺る様な音が聞こえてきている廊下。
その音の発生源を見てみると、薙刀を重そうに引き摺るグラトレが居ました。
「お、重さはどうにかなりますが〜……長くて支えられないですね〜……」
トレセンを突如として襲った謎のロリ化現象。
当然の様に巻き込まれたグラトレは、随分と身長ご縮んでしまったのでした。
「今の身長は135cm……流石に長柄の物を持つのには身長も腕の長さも足りてませんね~……」
元々は175cm有った身長。
それがウマ娘となった事で20cm下がり155cmに……
それでも鍛えていた体幹とウマ娘の膂力で槍や薙刀を振り回せていたのですが。
そこから更に20cmも下げられたら流石に持つ事にさえ支障が出てしまい……というか今現在支障が出ています。
「とはいえグラスとお揃いの大事な薙刀を放置する事など出来ませんからね~」
という訳で、トレーナー室へ石突側を廊下に引き摺りながら向かいます。
……ちょっと廊下を傷付けながら引き摺っているので、後でたづなさんに謝らないといけませんね。
「グラトレさん? どうしたんですか?」
「おや、サトトレさん」
そんな風に薙刀を廊下に引き摺りながらトレーナー室へと向かっていると、サトトレさんが声を掛けてくれました。
「グラトレさん……随分小さくなっていますね、もしかして今話題になっている?」
「ええ、ええ、20cmも縮んでしまいまして〜」
ウマ娘となった後では12cmの差で上から見ていたサトトレさん。
それが今では8cm差で見上げる側となりました。
改めて思いますが、この学園どうなっているのでしょう……
109二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 21:38:13
「運ぶのを手伝おうか?」
「……良いのですか?」
どうやら薙刀を苦労して運んでいるのを見かねたのか、サトトレさんは薙刀を運ぶのを手伝ってくれるそう。
救世主は此処にいました。
「では、刃の方は私が持ちますのでサトトレさんは石突の方をお願いしますね〜」
「(石突?)……刃とは反対側かな? 分かったよ」
そういう感じで、ロリ二人で薙刀を頑張って運び始めました。
途中、私達を手伝おうとしてくれていたマヤトレさんが、何故か取り押さえられてましたが……
あれは何だったんでしょうか……
「到着ですね~、助かりました~」
「無事到着出来て良かったよ、それじゃあ僕はこれで」
「……! いえいえ、お待ちくださいな~」
トレーナー室へと無事に運び終わり、早々に帰ろうとするサトトレさんを慌てて呼び止めます。
恩には礼で返すもの……何も無しで返しては仁義に反するというものです。
「和菓子しか有りませんが、お時間が宜しければお礼をさせて貰えないでしょうか~」
「それじゃあ……お言葉に甘えようかな」
「ええ、ええ、ぜひ、そうしてくださいな~」
呼び止められたサトトレさんは、私のお礼をしたいというお願いに快く頷いてくれました。
重ね重ね有り難い話です。
110二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 21:38:33
「粗茶ですが〜」
「ありがとうございます」
トレーナー室へと迎えたサトトレさんにお茶と和菓子を用意して差し出します。
「改めて〜、いつも私が抱きしめていた大きさに自分もなると、サトトレさんの苦労が身に沁みるというものですよ~」
「僕は慣れたよ……でも、確かに今では僕がグラトレさんを抱きしめる側になれそうだね」
「確かにそうですね〜」
「……やってみる?」
そう言ったサトトレさんは腕を広げました。
「……では、失礼して〜」
それを見た私は、せっかくなのでそのままサトトレさんの腕の中にすっぽりと納まります。
「抱きしめる側はこういう感じなんですね」
「抱きしめられる側はちょっと手持ち無沙汰ですね~……フアァッ……」
そんな普段と逆になった感想を言い合っていましたが、体温の高いサトトレに抱きしめられていたからでしょうか何だか眠気が襲って来ました。
「フアッ……サトトレさんに包まれていると〜……フアッ……何だか心地良く眠くなりますね~……」
「うん良いよ、そのまま眠っても」
そう言ったサトトレさんは私の頭を撫でてくれます。
その心地良さにそのまま瞼は閉じて……
結局、私が目を醒ますまでサトトレさんは私を抱きしめていてくれるのでした。
うまぴょいうまぴょい
≫136二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 01:05:19
『子供になったからと言って止めるわけにもいきませんので』
ボフン、といった音が空き教室に響く。
生徒中の目が煙に包まれた教師の目に注がれる。
「おや、これはまた……なんとも面妖なことになりましたね」
「いやバントレ先生、落ち着き払ってますけどだいぶダメでしょこれ。面妖っていうか面倒でしょ」
煙が晴れたころには身長が大幅に縮んでしまい、ぱっと見では小学生か幼稚園生かと言わんばかりのサイズになってしまったバントレの姿がそこにあった。ご丁寧に仮面までしっかり縮んでいるため、服はダボついたままだというのにしっかりと顔は隠れている。惜しいと思った生徒が数人。
「ふぅむ、しかして貴女達としてもここで勉強会を止めるわけにもいかないのでは?明日がテストなのでしょう」
「それは……そうなんですけど……」
困惑する生徒たちをよそに、拾い上げた指し棒をぱしぱしと手に振り下ろすバントレ。その様子は先生から棒を借りて遊ぶ子供のよう。かわいいと思った生徒が数人。
「いえ、しかしこれでは皆さんの答案を見るのに不便ですね……そこの、グレープガーデンさん」
「は、はい」
名指しされた生徒がびくっと反応する。
「暫く……そうですね、戻るまでの間私を脇から抱え上げてもらえますでしょうか?」
「えっ、いや、えっ?あっはい……えっ……?」
そういうことになった。
「はい、そちらで正解です。今回の場合、彼が事態に直面した時何を感じたか……という設問ですが、選択肢はどれも上手く表現を変えられていますね。なので、言葉の意味とそれの指し示すものをしっかりと把握すれば問題なく正解できるでしょう」
(うわぁ……後頭部からすんごくいい匂いがする……)
脇のあたりに手を差し込んで、リフトアップする……つまり、グレープの顔の前あたりにちょうどバントレの後頭部が来る。
ふわふわと少しばかり漂ってくる髪の匂いが、グレープの鼻をくすぐる。
「そちらは惜しいですね、数式の中盤でスライドさせるべき数値が変わってしまっています。時間の許す限りではありますが、計算終了しても元に戻せるかを確認するべきですね」
(フローラルっていうか……高級そうなお花のシャンプー……?しかもサラサラだぁ……)
かなり子供っぽい声音になってはいるが、いつも通りの優しい口調が教室に響く。ついでに、金糸のような髪と柔らかな花の香りがグレープの意識を搔き乱す。
137二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 01:05:27
「単純な誤字ほど恐ろしいものはありません。たった一文字、されど一文字……英単語はきっちり覚えましょうね。ではグレープガーデンさん……グレープガーデンさん?」
「はぁ……すごいいい匂い……ハッ!何でしょうか先生!」
つい、グレープの口から正直な感想が漏れだす。羨ましそうに見つめる生徒が数人。
「いえ、答案を見ますので……今更ですが、腕は大丈夫ですか?」
なんだかんだで持ち上げながら十数人分の机一つ一つを歩いて回っていたので、腕にはそれなりの疲労がたまるはずなのである。だが、グレープは匂いに集中していたせいなのか、あまり疲労の色は浮かんでいなかった。
「あっ、はい。堪能しました……ああいや違う、特に疲れてません」
「そうですか、それは安心しました。……ふむ、大方正解ですね」
その後の勉強会やテストを含め、、妙に答案の正答率が上がったグレープガーデンのせいか、バントレの髪のにおいを嗅ぐと頭がよくなるといった具合の噂話が流れたとか、流れなかったとか。
~おまけ~
「だからやたらとトレーナーさんの後頭部に視線が送られてたわけっスね……」
「人の噂も七十五日、と言いますし、しばらくすれば落ち着くことでしょう。もし匂いが学習への効率上昇につながるのであれば、いくつか用意しておくのもありかもしれませんね」
「いや、そういうわけでは……まあいいっスけど……」
「それとも……いっそ、嗅いでみますか?バンブーさん」
「ほぁ!?い、いや別にアタシは……」
「ふふふ、言ってくれればいつでもお裾分けしますよ。グルトレさんにいつかのお返しにと頂いたものですが、本当に良いものです」
「あ、そういうつながりでもらったやつだったんスね」
≫155二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 08:38:21
…トレセン学園、トレーナーが相次いでロリ化するという(いつもの)怪奇現象が発生してる中、ファイ男はファイ女を訪ねた。
「ファイトレ(女)さん…、…!?」
「ねぇ、ここ何処か知ってるの?」
「…はい?」
「私は────────って言うのだけど、貴方は?」
…困惑していたファイ男はここでようやく彼女が精神までロリになっていることを把握し、頭を抱えながら連絡を取った。
──⌚──
「…なるほど、大体分かったわ!でも、随分と教えるのが上手いわねファイ男さん、私の家庭教師にでもなってくださらない?」
「う、う〜ん…」
「ねぇねぇ、二人とも私のトレーナーだよ?放置されたら、私拗ねちゃうかも」
合流したファインと共にロリファイ女に現状を伝える。幼少から聡明だったのか、ファイ男が上手とはいえすぐに彼女は理解した。
(即興で軽くここにいるカバーストーリーをつけてたとはいえ、こんな状況でも混乱すらしないのか…でも…)
「…ファインさん、私、ここをもっと知りたいの。この異国の地のトレセンはよく分からないけれど、危ない訳ではないから」
「いいけど…なんでかな?」
「だって、きっと楽しいわ!」
───そのファイ女の眼はファインのようにキラキラと輝いており、ファイ男はその瞬間に色々と諦めて見惚れた。
当然、こう言われたファインが止まる訳はない。二人で揃って飛び出していき、ファイ男は慌てて追い掛けることになった。
──⌚──
「ほう、珍しい客だねぇ…キミが子供を連れてくるとは」
「えっと、タキオンさん。私、その研究が凄く気になるの!参加してみてもいいかしら!」
「くくっ、自分から志願するのかい?…勿論構わないとも。では早速…」
「そこで緑色に発光してる不タキトレさんみたいに発光させるのかしら?」
「そうだねぇ…」
「ファイ男、止めた方がいいんじゃ…」
「…」
「あっ(察し)」
156二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 08:38:45
──⌚──
「ファイトレ(女)さん、その…」
「なるほど、ゴーストに触られる感覚ってこんな感じなのね」
「お友だちが嬉しそうな…振り回されてるようにも…見えます。」
「ねぇねぇ、お友だちに今座ってる椅子を浮かせられないか頼めるかな」
「今日は凄くグイグイ来ますね二人共…」
「…そういうものなんだ…」
──⌚──
…一日中ファインとあちこちを回り、満喫出来たのか凄く嬉しそうな表情で見てくるファイトレ女(と乗っかるファイン)。
一方で、ファインのような破天荒が二人ということで止めに入ったり色々していたファイトレ男は肩で息をしていた。
「…楽しかったわ、やっぱりまだまだ私か知らないことは沢山あるわね。…でも、寧ろそれにワクワクするの」
「?」
「だって、世界はきっと輝く面白い物ばかりなはずだから。それを全部知って楽しむまでは死んでも死にきれないわ!」
…ロマンチストでキラキラな感情豊かな少女。ファインを思う彼女の理由の一端が分かった気がした。
「あ、そうだ。御二人に伝言を頼んでもいいかしら。宛て先は…未来の異国の地でトレーナーをしてる私かな?」
「!?…気づいてたの?!」
「え?だって、今ここで子供になる怪奇現象が起きてるんでしょ?それに、私が知ってる日付よりもずっと未来だってカレンダーが示してるもの。…じゃあ、多分未来の私が巻き込まれてこうなってるんだって仮説を立ててたけど、合ってるみたいね」
「…その通りだよ。それで、その伝言は何かい」
「じゃあ…『未来の私へ、きっと過去の私よりもっと多くのことを知ってるはずだけど、今とっても楽しい?』ってお願いね!」
「………了解した」
───その後、ファイトレ(男)とファインがその伝言を話したのかは当人達のみぞ知る秘密である。
短文失礼しました
精神までロリ化したファイ女です。ロリファイ女とファインとその姉でファイ男を挟んだら多分彼は振り回されて倒れるでしょう。
ファイ女の幼少期はファインと同等以上に行動する破天荒知りたがり娘です。伝言は今の彼女に伝えたらきっと…