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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart466~470)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part466【TSトレ】
≫151チケトレの人21/11/18(木) 22:22:57
傷ついたヒトたち
17時─吐息も白くなる季節の公園でチケトレは一人ベンチに座り黄昏ていた
「…おれってチケットの役に立ててるのかなあ」
思わずため息を漏らすと、後ろから肩をとんとんと叩かれ、チケトレは後ろを振り向いた
「どうした?ずいぶん悩んでるけど」
「あっ、テイトレさんお疲れ様です…」
「いつからいたんですか…?」
「5分くらい前から」
気づいてなかったのか…どうやら杖をつく音が聞こえないくらい考えていたたらしい
「すみません、気づかなくて」
「いいよいいよ。俺もそういうことあるからさ」
おれが申し訳なく謝るとテイトレさんは気にせず許してくれた。いい人だなあ
「しかしウマ娘になっちゃったとはねえ。最初は戸惑ったでしょ」
「まあ、そうですね…」
テイトレさんが話を切り出した。
テイトレさんは最初にウマ娘になったトレーナーでテイオーさんのために足を折ったヒトだ。その後は精神を病むもみんなの助けにより少しずつだが自分と向き合っている強いヒト。
おれはこの人の中にある強さに触れたい。無意識のうちにそんな感情を抱いていた
「テイトレさんは、この身体になって後悔してないんですか」
失礼な聞き方だと分かっていた。起こられても仕方のないことだと理解していた。それでも、己の口は尋ねることを止めることができなかった
152チケトレの人21/11/18(木) 22:23:30
「…まあ、キミだったらこの気持ちが分かるかな」
そういって、テイトレさんはズボンを捲る夜の闇のようなタイツを上に上げると、真珠のように白いはだに不釣り合いな大きな傷が姿を表す
「この傷が俺の後悔の証だよ」
よくみるとテイトレさんの手が少し震えていた。傷をみられたくない─そんなこと当たり前なのにその気持ちを堪えおれにさらけ出してくれている。
そう思ったとき、おれの手は勝手にアームカバーを外し、包帯を剥がしリストカットの痕を見せていた
6本の傷が入った線は白い肌にくっきりと刻まれうっすらと紫色になっている。テイトレさんの傷に比べると割に合わないかもしれないがおれも見せるのが筋だと思ったんだ
「ああ、キミも"傷つけたヒト"なんだな」テイトレさんは目を細めどこか物悲しげな表情を見せる。
自分がそうだった故によく分かっている。どれだ不安か、どれだけ怖いか。
その後、自分の傷のことやいきさつを話したところで
「それと、ひとつ覚えていてほしいんだが」
テイトレさんは傷をしまい、穏やかな声色で話し始めた
「俺は弱いけれどテイオーやみんなに支えられてここまでこれたんだ」
「一人では絶対にやっていけない。必ずどこかでガタがくる。ヒトにしろウマ娘にしろそういうものなんだ」
「キミも同じようなものだろう。だから─キミももっとヒトに頼るべきなんだ。たってる者は親でも使えっていうだろ?」
「そうですね。勉強になります」
「あんまり参考にならないと思うけどね。あと、はいこれ」
テイトレさんにメモを渡される。よくみると3つの携帯番号が書かれていた
「俺の知り合いのトレーナーだよ。あいつらには言っておくから話が聞きたいときにかければいいよ」
そういってテイトレさんは立ち上がった
「じゃあね。また明日」
「はい。分かりました」
そういってテイトレさんはその場をあとにする。杖をつく音が遠ざかるなか、おれは次のトレーナーたちに思いを馳せた
ヒトは一人では生きていけない。辛いときに頼れるヒトを増やしておくのは重要なことだ。おれはヒトとの縁を深めるため、トレーナーの心構えなどを知るためもっといろんなトレーナーと交流しようと言う決意を固める
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part467【TSトレ】
≫20ロブプリの人21/11/18(木) 23:17:29
私にとっての流れ星
「トレーナーさん、今日は流星群があるそうですよ!見に行きましょう!」
そんなロブロイの提案で、今は高台にある野原に来ている。
学校でも見れるのですが、折角ならより綺麗に見れる場所で見よう、と私が提案したのである。
グラトレさんから以前教えてもらったところでもあり、周りには人気もないため、二人で星を見るのならぴったりの場所でもあった。
「トレーナーさん、今日の流星群はですね、実はですね……」
「ふふ、そうなのですね。そんな遠くからやってきた星たちなのですね。遠くから旅してきた、と思うととても感慨深いですね」
「はい、そう思うと、星の一つ一つにもいろんな思いが込められていて、すごくロマンチックです」
ロブロイは楽しそうに今日の流星群について語る。星々の流れ着くまでの旅路、星に込められた物語の数々、それらを楽しそうに語り続ける。
そして、そんなふうに語りあえば、時間も過ぎていく。夜風は私たちの体を冷やし……
「クシュン」
「ふふ、流石に夜ですからね。ロブロイ、風邪をひいてはいけませんからね」
可愛らしいくしゃみをしたロブロイに自分がしていたマフラーをかけてあげる。
「あ、ありがとうございます……。トレーナーさんの熱も感じられて、あったかいです」
「それはよかっ……クシュン」
「ふふ、トレーナーさんもですね」
「ええ、そうですね……流石に寒く感じますので」
「……あ、あの、トレーナーさん……失礼しますね」
そういうと、ロブロイは私の隣に近づき、マフラーを二人の首に巻いていく。
ピッタリと寄り添って、マフラーの温かさだけではなく、ロブロイの熱もまた、感じられる。
「これなら、二人とも暖かくなれますよね……」
「ええ、そうですね。とっても、暖かい……」
22ロブプリの人21/11/18(木) 23:18:05
そうして、二人で寄り添いながら、ただただ二人の熱を共有し続ける。
二人だけの時間を過ごしていると、その時が来ました。
「わあ……」
真っ暗な夜の闇に、幾万もの星が流れてくる。
まるで一つ一つの星が闇の中を切り開いていく冒険者のように……。
「ロブロ……」
隣りのロブロイに目を向ける。
その瞳には、キラキラと星がきらめていた。
青い瞳の中に多くの流星群が映りこんでいる。ロブロイはその光景に目を奪われている。
そして、私は彼女の中に映る光に、見惚れてしまっていました……。
「「……」」
流星群が終わった後も、お互いに何も言えず、ただただその光景に感動していた。
彼女の瞳の中には今もまだ、星が流れ続けている。今見た星々だけではなく、彼女がずっと読んできた物語の星々もまた、流れ続けているのだろう。
静寂は続く。その空気がただただ心地よくて、ずっとこのまま見つめていたい、と思えてしまった。
「トレーナーさん……とても、凄かったです……」
「ええ、そうですね。ロブロイ、一緒に見られて、よかったですね」
「はい……。ずっと物語の中でしか見たことがなかったですので、本物はこんなにも、凄いんですね……」
感動した様子で彼女は語り続ける。ああ、本当に彼女とともにここに来てよかった……。
そう思っていると、ふと彼女は何か思いだしたかのように言葉にする。
23ロブプリの人21/11/18(木) 23:18:23
「あ、見とれちゃっていて、お願いごとをすることを忘れていました……」
「……あ、そうですね。流れ星にお願いをすること、すっかり忘れてしまっていましたね」
「?あの、トレーナーさんも忘れていたのですか?」
「ええ、私も、見惚れてしまっていたので」
お互いに願い事をしておくのを忘れてしまっていました。
ロブロイは初めて見る流星群という感動に、私はそんな彼女に見惚れてしまって……。
「そうですね……。あんなにも素敵なものを見たら、願い事をするのを、忘れちゃいますよね。でも、折角だから願い事、したかったですね」
「ふふ、ならまた一緒に見に行きましょうね。その時に改めて願い事をしましょう」
「いえ……大丈夫です。トレーナーさん」
そう言うと、ロブロイはそう言うと私の手をしっかりと握りしめる。
ああ、ロブロイの想いが伝わってくる。その瞳にまた、私は見惚れてしまう。
そして、そのまま言葉を紡ぎだす。
「だって、トレーナーさんと一緒なら、その願い事は叶っていますから」
きっと、私たちの願い事は同じだったのだろう。
これからも二人で一緒に……ずっと、ずっと一緒に……。
「ええ、そうですね。私の願いも、あなたと一緒なら叶っていますからね」
「ふふ、はい、トレーナーさん……」
静寂の中、二人は見つめ合い続ける。
流星群は終わっても、お互いの瞳の中にある星を見つめ合いながら。
これからも、ずっと、一緒に……。
≫40二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:33:10
最終話 変わらないもの
「………」
「こんな所に居たのか、フジマサマーチ。」
「…オグリのトレーナーか。何の用だ。」
「少し、教えたい事があってな。」
「なんだ。」
「マーチトレが、トレーナーステークスに出るらしい。」
「!?」
「彼の事だ、どうせ担当には言ってないと思ってな、だから教えに…「感謝する。」
「って行っちまったか。」
「…信じてるからな、マーチトレ。」
41二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:33:35
雪が降る中、俺はレース場のコースの上に居た。
「やっぱ、やめときゃ良かったかな。」
不定期で行われているウマ娘化したトレーナー達が走るレース。それの第3回に、俺は出走していた。
『5番マーチトレ、この距離は長いか…?根性でどこまでいけるか。』
「マーチトレ?誰だっけそれ。」
「確か…地方でオグリキャップさんに勝ったウマ娘のトレーナーをしてる人じゃなかったっけ?
でもあんまり聞かないよね。」
実況に名前を読まれたらしい。見に来たウマ娘達の会話が聞こえてくる。
「…やっぱ、場違いだよな。」
他に出走するのは、腕利きのトレーナー達。
そんな中に俺みたいな無名のトレーナーが居るんだ。そりゃ変に思うはずだ。
『…以上9人の出走バが出揃いました。…では、まもなくスタートです。』
開始のファンファーレが聞こえてくる。
どうせ勝てない事は分かっている。だが、最初から諦める訳にもいかない。俺は気を引き締め、ゲートの中に入る。
ガコンッ
ゲートが開いた。
一斉にトレーナー達は走り出す。
第一コーナーに差し掛かるあたり。位置は悪くない。だが…
(なんだこれ…いくら走っても、ついて行くのがやっと…
俺だってこの日の為に走れるようにはして来た…なのに…)
42二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:34:14
確かに俺の脚質は長距離に向いていない。それにこの天候の所為もあるのだろう。だとしても他のトレーナー達だって、一部を除いて走行能力はあまり変わらない。それでもこれ程の差がつく理由は、考えてみればすぐに分かった。
走った事がなくてもトレーナーなら分かる事はある。走る時のフォーム、位置取の方法、息を入れるタイミング。
トレーナーとしての能力。それが俺と他のトレーナー達との差だ。
(…こんな所でも、実感させられるなんてな。)
そんな事を考えながらコーナーを走り切る。
(なんとか置いてかれてはいない…だけどそれじゃ…)
目の前には、坂が迫って来ていた。
「……ッ!」
身体が重い。息が上がる。心臓が張り裂けそうだ。
だがそれでも、無理やり駆け上がる。
(心臓が痛い。でも、登り切れた!それにまだまだ脚は残ってる。)
負けが確定している訳じゃない。そんな希望が一瞬見える。
だが、
(…なんだ…なんだこれ…)
1800m地点、そこで異変が起こる。
(脚が…上手く動かない…?)
自分の身体だ。ある程度の調整はしてあるし、走り切れるようにもしてあった筈。
(シャカトレさんに言われた身体能力の低下がまだ治りきっていなかった?いや違う、これは…俺がこのレースのレベルについて行けてないだけだ。)
息が上がり、どんどん速度が落ち始める。
43二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:35:19
(ゴールまでまだ距離がある…なのに…)
最終コーナーに差し掛かる。
「…いける!」
後ろのトレーナー達がどんどん迫ってくる。
(俺は…俺は…)
そして次々と抜かされる。
一瞬。俺を抜かしたトレーナーの顔が見えた。
絶対に勝つと勝利を信じている顔が。
(!…くッ…)
差がどんどん開いて、前を走るトレーナー達の影が離れて行く。
(やっぱり俺じゃ…)
そして、最後の直線。
ついた差は、離れて行く一方。
上手く動かない脚。底を尽きたスタミナ。息が詰まる。思考がぼやける。その中で、
勝ちたい。
不意にそんな感情を覚えた。
(…トレーナーとしての力量差。自身の調整不足。そんなザマで勝てる訳ないがない。
いや、最初から無理だった。始まった時から自分の勝利を一度も信じていない俺が、同じ土俵で戦える筈なかったんだ。
それなのに…なんで今更そんな事思ってんだよ。)
酸素が足りない。意識が薄れて行く。
その時、
(………!?)
観客席にいるマーチが目の端に映る。
俺の勝利を、未だに諦めていない。そんな目をしたマーチが。
44二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:35:55
(…なんで君が、そんな目で俺を見るんだよ…
なんで…諦めていないんだよ…
あんな酷い事を言ったんだぞ?君のトレーナーを辞めようとしているんだぞ?
なのに…そんな目で見ないでくれ…俺には無理だ。
もう、あんな思いをするのは嫌なんだ。
積み上げた努力が崩れるのは嫌なんだ。
俺の心は、とっくの昔に折れていたんだよ。だから…)
「勝てッ!トレーナー!」
「────ッ!!」
今にも途切れそうな意識の中、マーチがそう言ったのが確かに聞こえた。
(なん…で…)
その瞬間、心の中になにかが灯る。
すると、恐怖も迷いも全て吹き飛んでいく。
そして一つだけ残ったものがあった。
『君と勝ちたい。』
それは、マーチと会った時。いやそれよりも前、初めての担当と共に勝利を目指した時からずっと変わらなかったもの。恐怖で塗り潰しされて、見えなくなっていたもの。
(あぁ…俺は…最初から。)
それに気付くと、重くて動かす事さえ出来なかった脚が、前に進んだ。
(…俺の中に居るあの子が…力を貸してくれている。
俺を諦めさせたくないから…いや、俺が諦めたくないから。なら、それなら…ッ!
覚悟を決めろ!全部背負って足掻き続けろ!
この思いを、止めれる訳が無い!
ここまでの努力を、無くせる訳が無い!
俺が信じるマーチが!今の俺の勝利を信じてくれている!
だから、俺は!)
45二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:37:13
俺の中の魂が、強く共鳴するのを感じる。
「諦めて…たまるかあぁぁぁああッ!!!!!」
二度目の坂を駆け上がる。
勝てなくても、見えなくても、辛くても、それでも君が俺を諦めないでいてくれるなら。
何度だって足掻いてやる。
途切れそうな意識を無理矢理繋ぎ、動かない脚を前に押し出す。そしてゴールへ向かって真っ直ぐ走って行く。
「とどけぇえええ!!!!」
そして、ゴール板を駆け抜けた。
顔を上げる。そこには掲示板に順位が映されていた。結果は9着、最下位。最終的に、前を走るトレーナー達の影さえ踏める事はなかった。
それでも、確かに分かった事がある。
「トレーナー!」
マーチが見えた。
「うぅ…」
身体が重い。涙が溢れて出てくる。
「マーチ…」
「喋るな!そんなボロボロになって…お前は…お前は…」
それでも、言わなきゃ。
「あんな…ひどいこといったし…しっぱいばかりの…おれだけど…」
それが俺の、変わらないものだから。
46二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 23:37:55
「きみの…トレーナーでいても…いいか?
おれ…やっぱりきみと…かちたい。」
「ッ!私のトレーナーは…これまでもこれからも、変わらずお前だ!」
マーチはそう言って俺を抱きしめた。
「…そっか、そっか。あんなこと…いってごめんな。」
「絶対に許さない…だからずっと私の隣にいろ…大バ鹿者。」
「…ありがとう、マーチ。」
そうして俺はやっと、踏み出した一歩を、進ませる事が出来たのだった。
少し時は流れ、マーチ二度目の重賞レース。
そこには、
『フジマサマーチ!フジマサマーチ一着です!
地方から来た『不屈の芦毛』!ついに重賞を初制覇!』
ゴール板を一番最初に駆け抜けた、マーチの姿があったのだった。
≫55[悪い王子様には躾が必要?]21/11/18(木) 23:51:27
[悪い王子様には躾が必要?]
お待たせいたしました。ご指名を頂きました「クールな年上系王子様」のギムレットと申します。この度は私を選んでいただき誠にありがとうございます。精一杯お世話をさせていただくので本日はよろしくお願いしますね、お姫様。
……そんな話し方をしないでくれ?いつものような話し方をしている貴女の方が好き?しかし、当店は……わかった。わかったよ。「お姫様の言うことは絶対」だからな。それならしょうがないけど、キッチリと奉仕はさせてくれよ?
それで、メニューは何を頼もうか。個人的にはこの「王子様の祝福付きふわとろオムライス」とか美味しいからオススメだぞ?よし、じゃあそれとハーブティーにでもするか。
しかし良い食べっぷりだな。食べるのを見ているだけで楽しくなってくるのは初めてだぞ。
どうした?スプーンをこっちに差し出して。何?「1人で食べてるのはなんかイヤだし、奉仕すると言ったのに何もしてもらってないから食べさせあいっこさせて?」……仕方がないな、本来なら別料金になるが特別だぞ?
ほら、あーん。んっ、これは美味しいな……!よし、じゃあこちらもあーんってするぞ。そうか、お前も美味しいか。そう言ってもらえるなら嬉しいよ。
56[悪い王子様には躾が必要?]21/11/18(木) 23:51:38
さて、オムライスも食べ終わったし何をしようか。
ここは王子様側が認めるならなんでもして良いからな。何かしたいことがあるなら遠慮なく言ってくれよ。
「尻尾を触らせてくれ?」俺の尻尾なんて触っても何も面白くないだろ?綺麗だと思ったから触ってみたいって?……また珍しいこと言うんだなお前も。お前がそうしたいなら良いさ。ほら、好きなだけ触っていいぞ。
……少しケアが甘い部分がある?そりゃあいつもは適当にやってるからな。昨日今日と念入りに手入れをしたけどそれでも積み重なった部分はどうしても出るさ。それに、別に悪いことだけじゃないんだぞ?……どうしてって?ああ、それはな──今ならお前の腕をこうして捕まえられるからさ。ふふふ、驚いたかな?お姫様に会うために身だしなみを整えてきた王子様の尻尾に「ケアが甘い」なんて言うんだ。捕まってしまうのも仕方のない話だろ?
だけど、困ってしまったな。こうすると俺もまたお前に捕まってしまったようなものだ。
さあ、どうする?お姫様を捕えようとして自分が捕まってしまった悪い王子様がここにいるぞ。尻尾を握られてしまってお姫様の言うことを何でも聞くしかない貴女だけの王子様がここにいるぞ?
ふふっ、顔が真っ赤になっているな。じゃあもう少しだけ話そうか。
──「俺は、今貴女の物ですよお姫様。何でもしますからどんなことでも言ってくださいな」
≫75フェストレ達と星空1/221/11/19(金) 00:38:02
ウマソウルである私が住む牧場を模した精神世界。
目の前には宙に浮かぶ大画面のスクリーンがあり、それを通して私は外の様子を見る事が出来る。ただし肉体であるフェストレが視認している範囲に限るが。
画面に映るのは星空。場所は校舎の屋上。
昔と違って街灯が多くなり薄くなってしまった星空を少しでも見やすくしようと学園内の明かりは殆ど消されている。
「やっぱり掴めねぇよな」
フェストレの隣で、仰向けに寝っ転がりながら空に向かって手を伸ばす。
「運って言う名のあやふやなツキは掴む事が出来ても、ハッキリと存在していると分かる月を掴む事は
出来ない。」
画面も月の見える景色に代わり、フェストレの手が同じように月を掴もうとして空を握った。そしてその手を、横から伸びて来たフェスタの手が握る。
「どうした、月明かりに目が眩んだか?」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら握り返すフェストレ。挑発に動じず、掴んだ手を見詰めるフェスタ。
「あんたの事もこんなにも容易く掴めるのに、手に入った気にならないんだよな」
「ほう、俺を欲してくれるとは嬉しいね。だが自分も狙われる側だと自覚したが良いぞ?お嬢さん」
76フェストレ達と星空2/221/11/19(金) 00:39:48
フェスタの首に手を回して引き寄せる。
顔が近付き、互いの額がくっついて息が顔にかかる。あと少しでキスが出来そうな距離だ。
半目になって見詰め合う二人にの顔には獲物に狙いを定めた獣の様な笑みが浮かんでいた。
思わず画面から目を反らしてしまう。
正直、自分の容姿でイチャイチャ?されるのはちょっと恥ずかしい。ナンパ好きの多いイタリアで生活してたからキザな台詞は聞き慣れているが、自分で言うのは勿論、女の子同士でやるのも不慣れなので照れくさくなってしまう。
私を知ってる奴に見られたら全力でからかわれそうだ。
「私が欲しいならキスでもしてみな。案外あっさり落とせるかもしれないぜ?」
フェストレの声に釣られて再び画面に視線を移す。
「俺の唇は安売りはしてないよ。値段も付けて無いし」
「なら条件はなんだ?さぞかし難題なんだろうな」
「そうだな……」
立ち上がって手すりにもたれ掛かるフェストレ。その視界には先程掴もうとした満月が映ってた。フェスタも一緒に空を見上げている。
「『月が綺麗ですね』って言わせてみろ」
「ならそっちも私に『もう死んでもいい』と思わせないとな」
互いに想い合い、決して譲らない。
私はあくまでも傍観者の立場だ。でも、叶うのなら二人の幸福な行く末を見届けたいと、画面の向こうの星空に願いをかけたのだった。
≫89二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 00:59:18
「ククク……俺は怪異・欲望しか喋れなくなるオバケ! すでに欲望ビームはネイチャとネイトレに照射済みだぁぁっ!! それではさらば!」
(……全部説明してから行っちゃったね)
(世の中色んな人がいるねぇネイチャ)
(トレセンの中に色んなオバケが居るって感じだけどね)
(……耐えれそう?)
(いや、実はもう限界だったり)
(そんな!)
「あたしは…………」
(ダメ! 負けないでネイチャ!)
「あたしは……あたしは! トレーナーさんの胸に挟まれたい……!!」
「ネイチャ!?」
「その谷間に顔をうずめたい……! ……殺して……!!!」
「血の涙が出てる!? 死なないで! 私がネイチャのツインテモフり倒す前に死なないでぇ!」
「……なんなんだそのちゃっちい欲望はー!」
「もうやめてって言われたって止めないんだからね!?」
お互い心からツッコミを入れることで怪異の影響からなんとか逃れた二人だった。なおネイチャのやる気は下がった。
(終)
≫117欲望の多い教官ちゃん21/11/19(金) 01:37:10
「ククク……我は怪異・担当への欲望を溢れ出させるお化け。気まぐれに欲望ビームを放ってみたがこいつトレーナーだったっけ? まぁいいかぁ! さらばっ!」
「殺してほしい」「謝らせてほしい」「許さないでほしい」「眠らせてほしい」「罵ってほしい」「糾弾してほしい」「居なかったことにしてほしい」「一緒に走りたい」「出会わないでほしい」「誰か別の」「殴りつけてほしい」「もっと優秀で」「突き落としてほしい」「もっと誠実な」「輝かせてあげたかった」「私ではない星の下で」「喜びも悲しみもない」「勝負服を着せてあげたかった」「終わらせてほしい」「重賞の誉をあげたかった」「償いの機会を」「勝たせたかった」「どうか幸せに」
≫120おいたわしやエル上21/11/19(金) 01:38:43
「……」
「なんか謎の欲望?の怪異??が出てから黙りこくってるけど、エル、大丈夫かー?」
「……(今何も口に出せないので許してくださいと目で訴える)」
「分かった、ただ無理はするなよ?エルのためなら俺なんでもしてやるからな?」
「んグッッッッ」
「エル、あなたのトレーナーさんも近くにいないのを確認しました。例の怪異の影響は気にしなくて大丈夫ですよ」
「トレーナーさんのお尻を揉みしだきたいデース!!あの身長のわりに大き目で敏感な臀部を揉みしだいて公共の電波に乗せられないようなトレーナーさんの声を聞いたら寝ないで二日平気でトレーニングできます!!その際には真っ赤な顔でこう、黙りこくったまま半ば恨みがましい目線をこっちに向けてほしいデース!!あ、おっぱいでもいいデス!薄いけど柔らかくて最高なんですよトレーナーさんの胸は!あとメイド服着てほしいデス!ミニスカっていうか最早【検閲済み】な!もはや役目を果たして無いスカートの【検閲済み】したいです!あと「ご主人様」って呼びかたを強制して【検閲済み】するのもいいデス!!潤んだ目で(以下自主規制)」
「これは重症ですね。好きなだけ続けましょう、エル。誰にも言わないですから」
「トレーナーさんのスケベっぷりに感謝デス!!(ありがとうグラス!!感謝しますっ!!!!)」
その日ストレス発散しつくしたエルはぐっすり就寝でき、グラスがたまにエルを同情的な目線で見るようになったという
≫128パルトレSS21/11/19(金) 02:30:13
「啖呵を切って出てきたのは良いものの、そう簡単ではないわよね」
私は貸し与えられたトレーナー室で本とにらめっこをしている
選抜レースで幸先よく担当を見つけたのは上々だ
相性もよさそうだし、
でも、この日本でトレーナーをやっていく上で難しい問題があった
日本の馬場に不慣れだという点である
私の実家は欧州を中心に活動しており、欧州の主要G1を制覇している
でも、それはあくまでホームでの話
UAEや香港、オセアニアやアメリカ、そして日本
ビジターではそこまで大きな戦績を挙げられていない
理由は単純で、馬場の性質が違うから
実家の育成セオリーは欧州のタフな馬場に合わせたもの
当然だろう。実家にとって主戦場は欧州で、海外ではない
遠征もするが、あくまで数か月から一年程度の短期間で終わる
このような状態では当然知識の蓄積はそこまでなされず、少しの記録と共に残るのみだ
母が日本でトレーナーをやっていたが、それでも不足感は拭い切れなかった
そこで私はあるトレーナーに目を付けた
サクラチヨノオーのトレーナーだ
彼女はこの学園においてトップクラスの情報収集力の持ち主
であれば、彼女と親交を持つことはとても有意義な結果をもたらす筈だ
そう決意した後日、私はチヨトレに頭を下げて交渉に行った
思ったよりすんなり快諾してくれたのも意外だった
こういうデータは普通他者には隠していくものだと思っていたからだ
これも、ジャパニーズ・オモテナシなのだろうか
129パルトレSS21/11/19(金) 02:30:34
「動かないでくださいね?」
「あだだだだだだだ!!!? ちょっと待って!!お願い!!!」
お礼と称して、彼女はマッサージをさせてくれと言った
その時は気分も良くて了承した
ほんのり後悔した
~~~~~~~~~~
おまけ ある日の姉妹(パルトレと妹ちゃん)の通話
「ハーイお姉ちゃん!元気してる?」
「いたって健康よヤゼール。まだまだスタートラインって感じね」
「ふ~ん。お姉ちゃんも頑張ってるんだ。一安心だね。」
「ヤゼ―ルこそ人の事心配している場合?いまゴドルフィンにいるんでしょ?大変じゃない?」
「とっても充実してるわ。殿下にも気に入って頂いてるみたいだし、順風満帆って感じ」
「我が妹ながら末恐ろしいわね」
≫136二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 03:28:09
お疲れですねー、トレーナーさん?」
「書類仕事が続いてるからな、スカイも宿題終わったか」
「終わらせてますよー、皆と一緒にやってるから安心してね」
「ほんとに?見せてもらったりしてない?」
「やだなー、セイちゃんを疑うなんてトレーナーさんホントに疲れてません?しょうがないから肩叩いてくれてもいいですよ」
「俺が?良いけど」
「あ、待った。靴はスリッパに履き替えてね!転んじゃったら危ないですよ」
「はいはい」
とんとんとんとん……
「トレーナーさん、ホントに手も小さくなっちゃったね」
「前がどの位か覚えてないけどそんなに?」
「そうですねー、あの厚底の身長で想像できそうな大きさだったり……」
「それは小さくなったなあ」
「なっちゃいましたねえ」
とんとんとんとん……
「手も小さいですし私が逃げたら捕まえられないんじゃないです?」
「その時は色んな人を頼るから」
「えー、トレーナーさんもうちょっと頑張って!」
「俺が?そうだな……」
137二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 03:28:16
とんとんとん、ぎゅ……
「………ふぇ」
「……取り敢えず、手じゃ足りないなら腕も」
「………」
「スカイ?俺結構頑張ってるつもりだけど、ちょっと恥ずかしいと言うか」
「……ぶぶー!時間オーバーです、離してくださいねー」
「はいはい、肩叩きはまだ続ける?」
「お願いしまーす」
とんとんとんとん……
≫141二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 04:29:11
怪異「欲望開放光線!!」
グラトレ「ウボァー」
グラス「きゃあ!」
怪異「このビームを受けた者は喋る言葉が全て、自身の欲望に忠実な言葉に変換されるぞ!」
グラトレ「グラスと一緒ならどうでも良い!」(まるで意味が分からんぞ!?)
グラス「トレーナーさんを元に戻しなさい!」
怪異「では、私はこれで!」
グラス「あっ! 怪異が逃げます!」
グラトレ「グラスは逃しません」(逃がすとお思いでしょうか?)
グラトレ「グラスと手錠で繋がり合いたい」(捕まえさせて貰いますね)
怪異「甘い! それではサラダバー」
グラトレ「グラスは居るので良いです」(なんと逃げ足の早い……!)
グラス「……逃してしまいましたね」
グラトレ「なでなでして欲しい」(グラスが無事で良かった)
グラス「くっ……恐ろしい怪異ですね!」ナデナデ、ナデナデ
グラトレ「もっとお願い」(まったくだ……!)
エル「…………え? トレーナーさんの欲望へのツッコミは無しデース?」
後日、一部始終を見ていたエルに何故かおかしなものを見る様な目で見られたのは解せませんでした。
≫144二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 06:33:30
おばけ「ワハハハ欲望ビーム!!」
タイトレ「ぐわぁぁぁ!」
タイシン「トレーナー!?」
タイトレ「一体何をされたんだ……? 特に変なところはないな……」
おばけ「?????? 何だと!? もう一度! 欲望ビーム!」
タイトレ「ウワァ!!」
タイシン「トレーナー!」
タイトレ「さっきから何なんだ眩しくて目が痛くなりそうだな」
おばけ「? 欲望ビーム!」
タイシン「わっ!?」
タイトレ「タイシン!」
タイシン「結婚したい」
タイトレ「タイシン!? 大丈夫か!?」
タイシン「結婚しよ……」
おばけ(こいつ……欲望が薄すぎるのか?)「体持ってくれよ! 欲望ビーム10倍ダァー!」
タイトレ「ぐぁぁぉ!」
タイシン「結婚したい!!」
タイトレ「タイシンの夫になる人は幸せ者だろうなぁ」
タイシン「結婚しよ!!!」
タイシンは結婚願望があるんだなぁきっといい人が見つかるとタイトレは思った。タイシンは卒業後「わかれ、バカ」した。
≫150二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 07:00:12
トレセンより少し離れたアパートにて
「…」
そう一人で悩んでいたのはファイトレ、彼女が悩んでいるのは…
「セイトレからもらったレシピ…どうしようか」
…セイトレから渡されたとあるレシピの事だった。彼女はつぶやく。
「あれはこう調理したら食べられるのか…そういえば」
彼女は冷蔵庫を開け、丁寧に袋の中に入っていたソレを取り出す。彼女は少し考えると
「…作るには量が足りないか。でも」
彼女はソレを置くと愛用のナイフを引き出しから取り出す。グリップの握り心地を確認しつつ、隣の部屋に迷わずに行くと
「…ふっ!」ミ゜ッ
そいつの頭にナイフを突き刺し仕留める、なるべく部屋を汚さないよう刃が完全に貫通しない程度の力で刺すと声を上げて動かなくなった。
「やはりいたか、予想通りだな。」
仕留めたそれを掴むと台所へ。もう一つのそれと合わせてまな板にのせると、包丁を取り出して切っていく。
一度解体した経験から、頭を切り落とし手早くガワを剥いだ後、中身を取り出して卵とパン粉につける。
そしてそのまま油を入れ、火をつけた鍋にそれをシュート
「超、エキサイティングだったけ?」
そんな事を思いつつ、冷蔵庫にあったナスを切って追加するファイトレ。
ジュワー…!
少し放っておくだけこんがりと揚がった。油を切ってから皿に揚げたてを移して机に。
「…いただきます」
揚げたてのそれを何もかけずに頂く。丁寧な所作で汚すことなく揚げ物を食べる彼女。
(…この独特な食感と味、唐揚げとは違う。だが酒のツマミには向きそうだ。ジンとかの度が高い酒と合わせるべきか…)
「…なるほど、悪くない。」
そんなことを思いながらも食べ進めるファイトレ。あっという間に食べ切った彼女は、
「…ごちそうさまでした」
皿を片付けながら思考する。
(味的にはアフリカで食べた蛇の丸焼きに近いのか…?あれも美味しいものだったが。しかし、これは流石に一人で食べるとしよう。)
ゲテモノも良いとこなそれに、ドベトレも食べていたな…っと呑気に考える彼女は、満足気な表情をしていたのだった。
≫166二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 07:40:21
怪異「欲望解放光線!!」
スズトレ「えっ。」
スズカ「トレーナーさん!?」
怪異「ふはは!!ではさらば!!!」
スズトレ(どうしようという顔)
スズカ「LINEのメッセージには会話はほぼ成立しないから筆談かLINE経由で……ってありますね。」
スズトレ(うーん……わけわかんないね……という顔)
スズカ「ですね……とりあえず紙とペン用意しましょうか?」
スズトレ(お願い。……一言だけ喋ってみてもいいかな?という顔)
スズカ「私は大丈夫ですよ。トレーナーさんが光線食らったのは目の前で見てるのでどんな内容が来ても驚きませんし。」
スズトレ(そっか、ありがとうという顔)
スズトレ「……たまにはスズカの髪を結んでみたい。」(こんな感じでどう?)
スズトレ「……!?!?」
スズカ「……なるほど、言われてみれば光線の名前……
……やります?」
スズトレ「……やる……」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part468【TSトレ】
≫16タキトレさんはむっつりすけべ21/11/19(金) 08:43:09
[タキトレさんはむっつりすけべ]
怪異「欲望解放ビーム‼」
タキトレ「えっ。いきなり今度は何ーー⁉」
タキオン「ットレーナー君⁉」
怪異「クハハハハハ!ではさらばだ!!!」
タキオン「大丈夫かいトレーナー君⁉外傷は……なさそうだね。ならあの不埒な怪人を追いかけようか。あのスピードなら2人でかかれば捕らえられるはずさ」
タキトレ「ああ、タキオンにお姫様抱っこされたいな」
タキオン「……は? この状況で何冗談を言っているんだいトレーナー君?」
タキトレ「違う!タキオンに首元にキスをしてほしい!」
タキオン「……もしかして、トレーナー君、ちょっと「私はアグネスタキオンが嫌いです」と言ってみてくれないか?」
(涙目になりながら首を横に振るタキトレ)
タキオン「すまない、謝るからそんな顔をしないでくれ。そうだね、じゃあ「これは林檎です」と言ってくれないか?これなら大丈夫だろう?」
タキトレ「うん、タキオンのほっぺを撫でまわしたい」
タキオン「なるほど、話す言葉が自動で別の物に置き換えられるのか。三女神以外もロクなのがいないねこの学園は!私も中々に狂人の自覚があったがまだマトモ側なんじゃないか?」
タキトレ(「えっそれは無いんじゃないかな?」という顔で首を傾げる)
タキオン「言わなくても顔でわかるよトレーナー君。最近は以前よりキミ以外に被害が行くことは少なくなったんだからそこら辺は評価してくれたって良いじゃないか。というか、キミの言いたいことは大体わかるから無理にしゃべらなくて良いよ」
17タキトレさんはむっつりすけべ21/11/19(金) 08:44:09
タキトレ「ありがとう、タキオンに朝から夜までお世話されたい」
タキオン「なるほど、「タキオンはいつも優しいね」か。以心伝心とはよく言ったものだね。ところで、あの怪人のことを信用するならさっきまで言っていた言葉は全部キミの欲望ということで良いのかな?」
タキトレ(……コクン)
タキオン「なるほどねぇ。ところで、キミが今してほしい欲望を思い浮かべながら言ってみてくれないかい?してほしい物と口から出る言葉が一緒になるか気になるんだ。ああ、勿論「元に戻りたい」なんて言っちゃダメだよ。話すのは君の欲望だけだ」
タキトレ「……(嫌そうな顔)」
タキオン「そんな嫌そうな顔をして躊躇ってないでさっさと言いたまえ」
タキトレ「……タキオンに、頭と尻尾を撫でて欲しいなぁって」
タキオン「! キミがそんなことを思い浮かべているなんてね。良いだろう。今からベッドの上で存分に撫でてあげようじゃないか。キミが「やめて」と言ったとしても私は自分が心行くまでキミを撫で続けるよ、いいね?」
タキトレ(顔を真っ赤にしておずおずと首を一回縦に振る)
了
※タキトレは耳と尻尾がとても弱い。タキオンにそこを攻められると、タキトレはタキオンに抵抗する気力を失くします。そして、タキトレは対タキオンでは生粋のМです。
読んでくださると幸いです
≫21二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 08:55:46
怪異「欲望解放光線!!」
ロブトレ「ひゃっ!」
ロブロイ「トレーナーさん!」
怪異「ふはは!!ではさらば!!!」
ロブトレ「(これは……他の方も受けているそうですから、恐らくそういうことでしょうね)」目で語り掛けながら
ロブロイ「他の方も自分の欲望しか口にできない……と言っていましたので、トレーナーさんも今は……」
ロブトレ「(では筆談で行きますね)」そう言いながら、いつも持ち歩いているデザイン用のスケッチブックを取り出す
ロブロイ「それなら大丈夫ですね……その、折角なので一言、言ってもいいんですよ」
ロブトレ「(ふふ、それなら、一言だけ)ロブロイと一緒にウェディングドレスを着て結婚式を挙げたい」(!!!)
ロブロイ「え、と、トレーナー、さん……」
ロブトレ「ロブロイに私が作ったウェディングドレスを着てほしい(いえ、違うんです、いや、違うわけではないのですが……)」
ロブロイ「……大丈夫ですよ、トレーナーさん……」
ロブトレ「二人で子供を作り……!」チュッ
ロブロイ「……ん、卒業したら、きっとその願い、叶えましょうね」
ロブトレ「……はい……私の英雄」顔を真っ赤にしながら
≫22二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 08:56:05
怪異「欲望解放光線!!」
プリトレ「っ!!」
プリンセス「トレーナーさん!?」
怪異「ふはは!!ではさらば!!!」
プリンセス「まちなさいですわ!!」
プリトレ「プリンセス、君だけの理想の姫を見つけてほしい(待て、プリンセス、無理に追わなくていいぞ)」
プリンセス「え、と、トレーナー、さん!」
プリトレ「多くの人にプリンセスのことを知ってほしい(これは、自分の願いが口に出てしまっているんだな……なんでさ)」
プリンセス「トレーナーさん、そのように思ってくれているのですのね。私、とっても嬉しいですわ!」
プリトレ「プリンセスの写真をたくさん取って写真集を作りたい(まあ、これくらいならいいかな……あ)」
プリンセス「私の写真集ですの?」
プリトレ「でもその写真集は誰にも見せたくない。俺とプリンセスだけのものにしたい(いや、待て、それは誤解で……なんでさ!なんで言葉に出ちゃうんだよ!)」
プリンセス「……その、トレーナーさんになら、私、良いですわよ。トレーナーさんになら、沢山、写真撮られたいです」
プリトレ「プリンセス……これからもたくさんのことを一緒に残そうな(プリンセス……ありがとうな)」
プリンセス「はい、トレーナーさん……」
≫333121/11/19(金) 09:35:37
「さあ、その欲望を解放しろ……!」ビーム
「えっ。ひゃああああああ!?」
「お兄ちゃん!? え、お兄ちゃん大丈夫!?」
「カレン、とりあえずぎゅっとして!(と、とりあえず体はなんとも……え?)」
「あ、うん。いきなりどうしたのお兄ちゃん」ギュー
「もっと強く!(待って違うカレン!)」ジタバタ
「ん~、こうかな? ……でも、カレンはこういうのに頼らず自分で言わせたいかなぁ」ギュー
「切実にモテたい(そういう問題じゃないだろうカレン!?)」
「お兄ちゃんにはカレンがいるぞー☆」ギュ「……んー! んーんー!(待って! 冷静に考えたらこれ割りとしゃれにならない!)」
「はーい♪」ギュー
「んーっ!?(はーい♪ じゃない!)」
「……ふふっ、お兄ちゃん、今なら何を言っても、あの怪異のせいだからね?」
「んーっ!(さっきの自分で言わせたいってのは!?)」
「それはそれ♪」
「…………」
「あ、静かになっちゃった。……でもいいのかなぁ♪」
「…………?」
「このままだとお兄ちゃんは──カレンのいたずらに何も出来ないぞー☆」ギュー
「…………!?」ジタバタジタバタ
「そーれーにー、そう抵抗されると言わせてみたくなるなぁ……!」
「行かないでくれカレン、俺から離れないで……(要らない所で勝負根性出さないでくれカレン! ある意味カレンらしいけど!)」
「…………もうお兄ちゃんから離れないぞー☆」ギュー
「カレンに釣り合う“私”に、“カレン”にトリプ……わひゃあ!?(待って離れて……ふぁ!? カレン!?)」ムギュ
「……うん。欲望を解放するのは──また今度ね、お兄ちゃん?」ギュムー
「俺が悪いんだ! 適性が無い、なんて、サクラ……んーっ!?(待って普通に潰れ……んーっ!?)」ジタバタ
この後無事効果が切れるまで抱き潰され、その間お兄ちゃんは──────耐えた。
うまぴょいうまぴょい
≫35フェストレと紅茶1/221/11/19(金) 09:37:23
「邪魔するぞ、トレーナー」
「お、いらっしゃい」
渡していた合鍵を使ってナカヤマフェスタが入って来た。手にはケーキと思われる小さな箱が入ったビニール袋がぶら下がっている。
「アンタがこのあいだ飲んでた紅茶がこのケーキに合うと思ってな、馳走になるついでにそっちの分も買って来たぞ」
やはりケーキだったか。
よく見れば箱のデザインも学園付近のケーキ店の物だ。
「悪いな。今紅茶作るから少しまっててくれ」
「じゃあその間に食器の準備しておくよ」
台所に移動し、棚から紅茶のパックを取りだす。一番最近フェスタと飲んだ紅茶となるとこの「ルフナ」だろう。スモーキーな香りとコクの深い甘みを感じられる一品だ。
背後ではフェスタが二人分の食器を用意してリビングに運んで行った。
「バスクチーズケーキか、フェスタがこういうのを食うのはめずらしいな」
「たまには甘い食い物も悪くないと思ってな」
三角形に切り分けられた、表面が焦げたチーズケーキが二つ。隣には、淹れたての紅茶から湯気が立ち上っている。
ケーキを口に運ぶと、焦げ目による苦さと舌の上で溶ける甘さを楽しむ。ルフナをゆっくりと口内に流し込み、温かい水流と甘みが喉を通り過ぎて行く。確かにこの組み合わせは良いな。
フェスタも心なしか表情が綻んでいる様に見える。
「こうして見るとフェスタも普通の女子なんだな」
「どうみてもだろ。それに女子っぽいのは今のアンタもだからな」
そう言うと、フォークを皿に置いてこちらに来るフェスタ。
怪我をしない程度の強さで押し倒され、覆いかぶさった彼女の指が頬をなぞる。そこには白いクリームが付いていた。
「こんな可愛いものを顔に付けて、「私を食べて」って誘ってるみたいだぜ?お嬢さん」
並のウマ娘であれば、見ただけで気を失ってしまいそうな凛々しい表情で見下ろすフェスタ。
その顔を見てついつい笑みを浮かべながら、彼女の背中に手を回して抱き寄せた。
「甘い香りに誘われ蝶が何を言ってるんだか。綺麗な花が食虫植物かもしれないぞ」
抱きしめながら、フェスタの首元で囁く。吐息がくすぐったかったのか、「んっ」と声を上げる。
首に鈍い痛みを感じる。フェスタが甘嚙みで反撃して来た。これは跡になるかな。
36フェストレと紅茶2/221/11/19(金) 09:38:11
なあフェスタ。お前、負けて来ただろ」
返事はせずに俺の首に着けていた口を離す。
いつもよりも攻め方が荒っぽい。これは勝負事に負けてたまに不機嫌になった時に見られる様子と似ている。
「敗北を紛らわす為に糖分を取ってたら、目の前に顔にクリームを着けた女の子がいたから奴当たり目的でからかいたくなったでいいか?」
抱きしめていたフェスタの身体が一瞬ピクリと反応した。これは図星か。
「……やっぱ一筋縄じゃ落とせないかアンタは」
「小娘の雑な攻めで折れる程軟なつもりはないからな」
「それでいいよ。難易度がキツイ程落とし甲斐あるからな」
「なんなら、このまま先に進んでも良いぞ?シチュエーションとしては悪くないし」
そう言ってフェスタを抱く腕に力が入る。彼女の両腕も俺の背に回り、抱きしめ合う二人。
視線が交差し、密着した胸の鼓動がお互いの感情を伝えて行く。
言葉は交わさずとも想いあっていることが分かる。
そして、俺達の顔は少しずつ近付き、ついには唇同士に…………ではなく俺はフェスタの首元、フェスタは俺の頬にキスを落とした。
「そろそろ止めとくか。紅茶が冷めちまう」
「だな。暖を取りに来たのも目的なのにすっかり忘れてたよ」
起き上がって、再びケーキと紅茶を楽しむ俺達。
キスをされた場所をそっと撫でる。なんだか顔に熱を感じるが、これはきっと紅茶が温かいからではないのだろう。
≫43鳥になったマルトレ21/11/19(金) 10:55:15
「トレーナーちゃーん! 午後のトレーニングにレッツラゴーしま……??」
トレーナー室、そこにいたのはでっかいペンギンであった。
クエオアエエエエッ(以下略)《マルゼンスキー、聞こえてるか? ダメかこれ?》
「と、トレーナーちゃん!?」
《よかった聞こえてる……! マルゼンスキー、なんか俺ペンギンになった……!》
「それは見ればわかるんだけれど……」
《前もこんな事態あったし多分元には戻ると思うんだ。悪いけど今日のトレーニングはそこのタブレットを持って行ってそれの通りにやってくれ……なんでコウテイペンギンなんだ……なるならルドトレだろ》
「……皇帝はルドルフちゃんだからじゃない? それに問題ナッシングよトレーナーちゃん! それだけ大きければカラスにも襲われないしグラウンドで私の様子見てて!」
《マルゼンスキー……! わかった……! この姿でも指導できるかやってみるよ!》トテトテコテン
「さっ頑張りましょう!」モフン
《抱えないでくれぇ!》
「だってペンギンさん歩きにくそうじゃない、トレーナーちゃんツヤツヤで触り心地いいわね〜」
その後、グラウンドで走ってはコウテイペンギンに話しかけるマルゼンスキーの姿があったとか。
≫49二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 11:04:52
然程変わらないグルトレ
『欲望解放しろー!』
「きゃあー!」
「おい、大丈夫か!?…傷はなさそうだが」
グルトレは謎の存在の変な光にあてられてしまった!変な光を発した謎の存在は消えた。グルーヴはグルトレに駆け寄った。
「グルーヴ~」
特に外傷のなさそうなグルトレはグルーヴに抱き着いた。
「な、なんだ?どこか悪いところはないか?」
「うん、それより、トレーナー室行こ?」
「何言って…んっ」
話すグルーヴをお構いなしに唇を重ねるグルトレ。
「たわけが、誰かが見ていたら…」
「大丈夫だよ、誰もいないから。トレーナー室でもっと、しよ?」
このあとトレーナー室で滅茶苦茶いちゃいちゃした。
欲が薄そうですよねオグトレ
『欲望解放しろー!』
「うわー!」
「トレーナー!大丈夫か?」
オグトレは謎の存在の変な光にあてられてしまった!変な光を発した謎の存在は消えた。オグリはオグトレに駆け寄った。
「…ああ、特に問題はないが…」
「どうした?」
「オグリ!キッチンへ急ぐぞ!」
「え?」
「新しいメニューを試したくてたまらん…」
「新しいメニュー!それはいいな」
「善は急げ、オグリには試食をしてもらいたい。頼めるか?」
「もちろんだ!」
このあとキッチンで滅茶苦茶新メニューを試した。オグリは試食だけでお腹いっぱいになった。
50二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 11:05:07
限界お姉さまライトレ
『欲望解放しろー!』
「くっ……」
「お姉さま、大丈夫?」
ライトレは謎の存在の変な光にあてられてしまった!変な光を発した謎の存在は消えた。ライスちゃんはライトレに駆け寄った。
「大丈夫だよ、ライス。それより…」
「お姉さま?…きゃ…」
ライトレはライスちゃんを抱き締め、頭を撫でた。
「可愛い、可愛い僕のライス…ずっとこうしていたい」
「えへへ…ライスもお姉さまにこうされていたい」
「僕は幸せだ……」
このあと滅茶苦茶ライスちゃんを可愛いした。なおライトレが正気に戻ったあと穴に入りたくなったのは言うまでもないが、ライスちゃんはそんなお兄さまも可愛いと思った。
アルコール摂取時と変わらないリウトレ
『欲望解放しろー!』
「なんなのよー!」
「おい!大丈夫か?…なんだ、今のは。消えやがった……」
シリウスにお姫様抱っこされているリウトレは謎の存在の変な光にあてられてしまった!変な光を発した謎の存在は消えた。
「抱きかかえてるアンタだけに起用に当てやがった、うわっ…」
「シリウス」
リウトレは普段からお姫様抱っこはされているが、シリウスに抱き着くことはなかった。急にリウトレがシリウスの首に抱き着き少しバランスを崩しかけた。
「どうした?」
「ずっと『頼る』してたい」
「ウィスキーボンボンでも食ったのか?」
「食べてないわよ。ダメかしら?」
「ああ、いいぜ。ずっとだ、ずっと私を『頼る』していい」
このあとリウトレは素直にベタベタとシリウスにスキンシップをした。なおリウトレが正気に戻ったあと悶絶したのは言うまでもない。
───シリウスは耐えた。
≫54二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 11:49:44
◆ネイトレ、鳥になる
……もはや一連の流れは効率化されてきてる。ラグドール(猫)になったときと同様、特に大きくならなかったトレーナーさんを着ていた服にくるんでトレーナー室に急ぐ。真っ白モコモコの鳩っぽいトレーナーさんはやっぱりしょげている。……なんであたしは鳥の表情が分かるんだろうね?
(……悲しい。鳥になれたのに)
「もしかしてトレーナーさん、飛びたい願望あった?」
(誰だってあるんじゃないの? でも無理だぁ……空を飛んでる最中に誰かに上を向かれたら、もう一巻の終わりなんだぁ)
「あと、大空を飛んでる最中に元に戻ったら大惨事だよね」
(人生の終わりだぁ……!!)
「ところで今のトレーナーさんは何ものなんだろ」
鳩っぽいとは思ってるけど、それにしては毛がふっくらしすぎじゃないかね。すんごいモフモフだよこれ。
(ネイチャは分かんないよね……これは冬のライチョウだよ)
「……ライチョウ」
(漢字だとカミナリのトリ、で「雷鳥」って書く。あとあんまりモフらないでね?)
「へー……え、あのサンダーバード? 国際救助隊の!?」
(違う!! けど、安易に間違いとも言い切れない歴史が……!)
「……トレーナーさんには世のためトレセンのために困難に立ち向かってもらいますかー」
(だいぶ古いよね? なんで知ってるのネイチャ)
「多分リメイク版かな、N⚪︎Kでやってたから知ってる」
(なんでもやってるなあN⚪︎K……)
55二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 11:50:25
「……で、ほっとけば三度目の出番となるこの黒マント、からの裸マントでめでたしめでたしな訳ですが」
(恥ずかしいけど一番マシな展開かな……?)
「何か今のうちにやっておきたい希望はある? 鳥のエサを食べてみたいとか、トレーナー室の中でいいから飛んでみたいとか、マントよりエプロンの方がいいとか」
(……最後だけネイチャの願望だよね)
ぐっ。流石にバレるか。
「仕方ない……最後のは後々に取っておこっか」
(もしそんなことさせたら、ネイチャにも同じの着せるから)
「お蔵入りにします……」
(でもそっか……部屋の中でも飛べるもんね。うん。それがいいかも)
……結局、トレーナーさんは時間いっぱい自分の部屋を飛び回っていた。つまるところ裸で飛び回ってた訳だけど、情け深いあたしはなるべくその姿を見ないであげた。ただ、(いやっほー!)ってはしゃぐ心の声を録音できなかったことは残念だ。
トレーナーさんは、難儀な人だと思う。
自分の欲に気付いていても、それを抑えようとする理性が割と強固で、欲を否定する為の理屈をすぐに用意できてしまえる。律儀っていうと褒め言葉だけど、悪い方の生真面目さ、バカ真面目。だからこっちからちょうどいい妥協点を用意してやんなきゃいけない。うーんめんどくさい。
あたしも昔はそうだったかな。でも、たまーーにふざけながら本音をいう事を覚えた。……誰かのフリ抜きに自発的に言えるようになったんだから、これ相当な進歩だよ? そりゃまだムードがなきゃ言えないことはいっぱいあるけど。
……あたしがもっとまっすぐにイチャイチャしたいって言ったら、トレーナーさんは……どう諭すんだろうな。「ネイチャならいいよ」って言ってくれないんだろうな。
(ネ、ネイチャ! もう戻りそう! マント! 早くマント!!)
「はいはーい。……いや、部屋に鍵かけたんだしそんな焦らなくていいんじゃない?」
(嘘でしょ!?? ネイチャのバカァッ!!)
だから、このくらいのイジワルは許してほしいなって。
(終)
≫85なんで怪異まだ暴れてるの?21/11/19(金) 12:33:03
怪異「隙ありっ!!欲望解放光線!!」
黒カフェ「うぉっ!?」
怪異「ふははは!!一矢報いてやったぞ!!サラバだ!!」
黒カフェ「くそ……油断した、次見つけたら…」
カフェ「……トレーナーさん?」
黒カフェ「!?」
カフェ「……こんばんは、トレーナーさん。奇遇ですね」
黒カフェ「…………」
カフェ「……どうかされましたか?」
黒カフェ「…………」
カフェ「……???」
黒カフェ「頭撫でてほしい!!ずっと撫でてほしい!!(いや、違うんですカフェ。これは)」
黒カフェ「あっ」
カフェ「……トレーナー……さん?」
黒カフェ「…………」
カフェ「あの……私でよければいつでも撫でてあげますが……」
黒カフェ「本当!?嬉しい!!(いや違うんですって)」
黒カフェ「……ッ」プルプル
怪異「くくく……いいぞ、もっと言え……特にお前は本音を出すことが少ないからな」
黒カフェ「タバコさんと義さんとカフェの4人で暮らしたい!!(あっ待ちやがれコノヤロウ!!)」ダッ
カフェ「……行ってしまいました、何だったのでしょう……?」
カフェ「……ふふっ、今度会ったらいっぱい撫でてあげましょうか」
≫91二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 12:43:54
ーーー起きたらワタリガラスになっていた。
(…またか)
そう諦めつつとりあえず翼を確認しているのはファイトレ。濡羽色のその体には傷跡がちらりと見える。
(とりあえずファインは…)
私がいたであろう空間に寄り添いながらまだ眠っていた。ウトウトしながら私が着ていた服を掴んでいる。
(さてどうするべきか。流石にこの体ではあまり出来ることがない。ファインは…休日だし起こさなくても良さそうかな…)
気が利くのか何なのか分からない首謀者に、なんとも言えない感覚を抱きつつベッドから降りる。この体ではいつもより高く感じた。
この室内では飛ぶには狭いし羽根を撒き散らす訳にはいかないので、トコトコと歩いてリビングへ向かう。
することもなくただ机の上で立ち尽くす。いい素材で出来た机に爪をたてないよう気を使う。
窓の外には快晴の空と、飛び去っていく鳥の群れが見えた。
「…メカ?」
ふと振り向くといつも食べている珍獣の姿が。
こちらに気づいたのかそいつも視線を向ける。
「「…」」
ーーー私はそいつを追い払うことにした。窓に軽く飛ぶとロックを外し、少し開く。
「カア」
出ていくように指示してみるが、案の定聞く気はないらしい。私は鋭い視線を向ける。
「ナンダメカ…?」
不思議そうにするそいつに狙いを絞ると、窓の枠から飛び降り、速度を乗せたクチバシの一撃を叩きこんだ。そいつはふらつく。
そのまま足で抑え、只管に突きまくる。そいつは抵抗しようともがくが遠慮なくつつく。翼と合わせてロックしようとして…
「ガア!」
片方の翼を噛まれた。即座に目元をつつき反撃する。たまらず口を離したそいつに追撃を入れる。
「メカ…!」
流石に堪えきれなかったのか開けた窓からそいつは出ていった。翼を広げ、来るなとばかりに威嚇する。
(…これでどうにかなったな。しかしこの体も存外面白いな…。)
93二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 12:44:07
「…トレーナー?」
…そこには起きてきたであろうファインの姿が。先の争いは見られてないはずだと思いつつ、ファインの元に近寄る。
「わぁ…!」
未知の現象にワクワクしてるのか、目を輝かせて私を抱き上げてくる。あまり烏に触れるのは良いことではないが…
「〜!」
私の体に頬をすり付け、幸せそうにする彼女にそんなことを言う気は失せた。
「…カア(ファイン)」
体を動かしファインの腕に乗ると、ファインはにっこりとした顔で頷いてくる。
(鷹匠とか憧れてたみたいだし、渡り烏だけど叶ったからね…)
「えへへ、今日はこうしていようねトレーナー!」
「…カア(分かったよ)!」
…その日、綺麗な烏を乗せた少女が見られたのであった。
短文失礼しました。
鳥といえばうちはやはりファイトレですね。なので早速なってもらいました。メカ邪竜との争いもあるよ!
ファインはファイトレが変化するのは何回もあったので慣れてきています。ファイトレ本人も諦めつくくらいにはあれだったり。
≫127二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 13:25:42
朝のトレーナー室、俺はダチョウになっていた。
前回はチーターだった。つまり、神はタイマンを望んでいるわけだな。
「トレ公いるかい?」
扉が開く。
「……トレ公はダチョウになったと」
「理解が早くて助かるよ。そういうわけでタイマンだ!」
「待ちな!前回も同じ事やって、外で裸になるはめになったろ!」
「でも、せっかくだし走りたいし……」
「……被せられるように布持っていこうか」
「やったー!」
「スタミナが尽きない……!?うおおぉぉ!」
「トレ公!?どこまで行くんだい!?」
「やばっ、もとに戻る!?」
ヒシトレさんは無事回収されました。回収されるまでは……
≫138二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 14:23:14
往古来今、トレセン学園はよく騒ぎが起きる。
本日はどうやら、トレーナーが鳥になる騒ぎが起きているようだが……
「トレーナー君?」
軽くトレーナー室の戸を叩けど、反応はない。
ということで、中に入ってみると……
立派な鷲がいた。
《あ、ルドルフ!鷲になったみたい!》
「……そうか……」
もはやこの程度では驚かなくなってきた己が怖いと思いながらも、鷲になった彼女の話を聞く。
《でさー、とりあえず飛んでみようって思ったんだけど、部屋が狭くて……》
「まあ……今の君ならそうなるだろうな……これも一期一会だろうし、外で飛ぶ、という手もあるが……しかし、急に戻ると……」
《ルドルフならちゃんと守ってくれるでしょ?》
「ああ」
《なら、外出よっか!》
────こうして、鷲になったトレーナー君は少しの間トレセン学園の空を飛び回った後私の元に戻ってきた瞬間元の姿に戻ったため、裸で抱きつかれることになった。
────ルドトレは監禁された。
≫144二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 14:49:01
「……どうしましょう?」
「キィィ……(どうしよう……)」
前略。トレーナーさんがフクロウになった。それも律儀に止まり木と腕に乗せる時につける用の手袋付きで。
「キィィィ。(親切の使い所絶対間違えてると思うなぁ。)」
「そこはもう、いつも通りということで……トレーナーさんは……なんのフクロウなんでしょう?顔全体真っ白ですけど……」
「キィィィィ。(多分メンフクロウかな。)」
「メンフクロウですか?」
「キィ。キィィィィ?キィィ。(うん。演劇とかで使われるお面みたいでしょ?だから"メン"フクロウ。)」
「……言われてみればそうですね。」
「キィィィ。キィィィィィ、キィィ。(あと耳も良かったはずだからそこ繋がりもあるかも。とりあえず前の時と同じなら夜になる前には戻るし、気楽に行こっか。)」
「はい。トレーナーさんは何かやりたい事ありますか?せっかくですし。」
「キィィ……キィ、キィィィ?(うーん…スズカ、飛び回ってみてもいい?)」
「もちろんです。いざという時はすぐクッションを床に置けるように構えておくので落ちる心配もしなくていいですよ。」
「キィィ!キィ、キィィィ!!(ありがとう!じゃあ、飛ぶよ!!)」
この後トレーナーさんの飛ぶ姿を眺めたり、撫でさせてもらったり、寝顔を堪能したりしていたら戻りました。
……モフモフアイテム、買ってみるべきでしょうか……?
≫152ペンギンマルトレ21/11/19(金) 14:58:54
クエエェウエエェエエエ(以下略)《いや悪い家まで送ってもらっちゃって》
「大丈夫よトレーナー、それでどうしてお風呂に氷水を?」
《いや、暑くて暑くて……》
「たしかにそうよね〜南極でフィーバーしてるペンギンだもの。はい、入れてあげるわね〜」
……チャプ。マルトレペンギンの半分くらいまでが氷水に浸かった。
「どう?トレーナーちゃん?」
《心地いいなぁ〜なんだろう水温低めの温水プールに浸かってる感────》ボフン
バッシャン。
「んぐわっは!?」
「トレーナーちゃん!? 大変!!」
慌てて氷水風呂から引き上げられて毛布に包まれてガタガタ震える羽目になるマルトレだった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part469【TSトレ】
≫40二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 16:26:39
「ククク…俺は怪異・欲望しか喋れなくなるオバケ…さっき資料室で会ったウマ娘に欲望ビームを撃ってやったぜ!それではさらば!」
「何か変な音が聞こえたが、大丈夫かトレーナー!」
「ああ、大丈夫だ。俺はマーチにぬいぐるみを買ってあげたい。…え?」
「…どうしたんだトレーナー?」
「いや、なんだこれ!?俺はマーチの為にもっと料理を上手く出来るようになりたい!…じゃなくて!」
「そうか、だからトレーナーの料理の腕がどんどん上がっていたのだな。」
「そ、そうじゃなくて…俺は、マーチの笑顔がもっとみたいんだよ…って、これも違っ!?…うぅ…」
トレーナーの顔がみるみる赤くなっていく。
そして何か思い付いた素振りをみせると、メモ帳を取り出し筆談を始めた。
『なんかいきなり出て来た変なやつにやられた。』
「噂になってる怪異っというやつか?確か自分の担当やトレーナーへの欲望しか喋れなくなると聞いたが…」
『見苦しいものを見せた。すまない。』
「そんな事はない。気にするな。…でも、そうか。それがトレーナーの…」
『マーチ?』
「…ふふ。トレーナー、いつもありがとうな。」
それを聞いたトレーナーは、さらに顔を赤くして俯いてしまったのだった。
≫131DK4CHTRPG⑤1/921/11/19(金) 18:42:34
「では第2ピリオドです」
「えーと、俺とフクトレペアで混乱の鎮静で、マクトレとブラトレペアがどっか別の場所だっけ?」
「どこ行く?装置修繕と物資配給があるけど」
「思うにこれからリーダーが大演説するのに緊急用の物資配るのはどうかと思うんですのよね」
「あー確かに」
「だったら俺らも防衛装置を修繕して戦う意思を見せた方がいいってか」
「まあ多分修繕してる様子には一般には見えないとは思いますが演説の後ろでティッシュ配ってるよりはマシですわ」
「うし、じゃあそうしようか」
「順番は?」
「そりゃ大見得なんだからお前がトリに決まってんだろ」
「あ、なっ、ハードルがすごく上がってくよオ~!?」
「まあ世界観的にも就任後初のリーダーの発破ですわ。そりゃ責任重大ですわよ」
「この騒動初日で起きてんだよな」
「TRPGゆえ致し方なし」
「じゃあ私たちのイベント処理をお願いしますわ」
132DK4CHTRPG⑤1/921/11/19(金) 18:43:01
「ではマクトレさんとブラトレさんは、ベースの迎撃兵器を修繕・調整するために兵装室を訪れます。設備や兵器の整備・クラフトを専門に行うハンターが、忙しなくあちらこちらで作業をしています。貴方達が入ると、ある一角で作業していたハンターが気づき、声を掛けてきます」
「『丁度良かった、あんたらコロッサルハンターだろ!最終調整としてあんたらの意見が聞きたい』」
「『おう、いいぜ。へへへ、コロッサルハンターか。いよいよって感じだな』」
「『呑気ですのね。奮い立つのはいいですけれど能天気ではいないでくださいませ』」
「では、[復興/機械]での判定をお願いします」
「じゃあ私がやりますわよ。[復興/醸造]で」
「どういう理屈だよ」
「『<あーあー、御姉様。演説準備中に悪いんですけれども対コロッサル用の防衛装置についての意見をお聞きしたいですわ>』」
「『<演説なんてそんな大それたものじゃないけどね。……そうだな、威力も大事だけど簡略な動作手順も大事じゃないかな>』こんな感じで間接支援とレンタル[復興/治安]飛ばすね」
「『<なるほど、ありがとうございます>さて、ブラトレ、やりますわよ』といって酒を取り出しますわ」
「『いいけど……なんでそれ取り出した?』」
「『グリス代わりですわ。大丈夫、何とかなりますわよ。酒は万能なんですわ』」
「『いやそんなわけないだろ』」
「『まあ見てなさいな』修正値は専門能力+2、支援+3で+5ですわね」コロコロ
[4][3][6] → 13 + 5 = 18 / クリティカル
「えぇ……」
「ドボボボボボ。ぷすこんぷすこん。『ふふん、流石ですわね。命の水とはよく言ったものですわ。<上手くできましたわ。ありがとうございます御姉様>』」
「『<ああ、うん……参考になったならね……うん>』」
「ドン引きじゃねぇか」
133DK4CHTRPG⑤3/921/11/19(金) 18:43:21
「『<さて、じゃあ御姉様も頑張ってくださいませ。陰乍らお見守りいたしますわ>』」
「『<うん、ありがとう>』」
「『…意外だな。直接見守らないどころか助言もなしか』」
「『御姉様が、そしてこのベースのリーダーがこれしきのことでへこたれていては困りますわ。腕っぷしだけで成り上がるのは確かにこのご時世楽ですけれども、己が意思で民草を導いてこそ今の世に必要な君ですわ』」
「『はぇー。もっとべったりかと思ってたけど意外と厳しいのな』」
「『究極的には自分で生き残ってもらわなければなりませんもの。もちろん最大限私はサポートしますけれども。今は必要ないと思いまして。……あなたは元ベース一般職員としてどう思ってますの?』」
「『ん-。結局コロッサルへの対処には1か0しかないからなー。対処できてマテリアルも手に入って万々歳か、無理でベースが滅ぶか。一般人は1と0を冷静に冷酷に見極めなけりゃいけない。だったら職員側であれコロッサルハンターであれ1の方をひたすら目指して、喧伝して、引っ張って。そして実力で1取ってくるしかないだろ』」
「『あら、意外とドライなんですのね。もっと愛着がどうのとか言うと思いましたわ』」
「『復興を目指している以上現実に根差さにゃならんからな。勿論義理人情で動く世界だってベースの中には確かにあるけど、やっぱり夢見せて夢持ってこれる能力がなきゃいけないわけで。それさえできれば宝の山なんだし』」
「『簡単に言いますのね』」
「『できなきゃ終わりだからな……ま、なんだかんだあいつなら何とかなるなる』シーン切るぞー」
「……GM、どうかしたか?」
「いえ。PCを呼んだモブにそこら辺の話を投げさせようと思ってたんですけどやってくれたのでいいかと。お分かりかと思いますがそうでもしないとRP(ロール・プレイ)要素が本当にないので」
「あー」
「ですから皆さんは進んで描写なりRPしてくれるので本当にありがたいですね。こっちからアプローチかけないで、かつPL(プレイヤー)がそういうの得意じゃなかったりするとこの準備フェイズ今の1/3の時間で無味乾燥のまま終わりますから。そういうのバンバンください。ともかく支援効果30獲得です。戦闘中に任意のタイミングで30点飛ばせます」
「まだ価値があんまりわからんなー」
134DK4CHTRPG⑤4/921/11/19(金) 18:43:40
「いよいよ準備フェイズラスト。テイトレさんとフクトレさんのイベントですね」
「はー……PC1ってやっぱ緊張するなぁ……」
「上手くできればドーパミン出まくるから頑張れ」
「さて、ベースの住人は続々と広場に集まってきます。ここは元々学校の校庭だった場所で、有事の際の避難開始場所となっております。いざとなったら、集められたなけなしの自動車やらで避難……もとい復興の中心地“ホーム”への後退を行わなければなりません」
「あ、そうか。ベースは復興の最前線であってもっと繁栄してる場所は他にあるのか」
「その通りです。しかし住民の避難完了とは即ちベースの完全放棄を意味します。そうならないよう、ベースに近づくコロッサルはベースに常駐するコロッサルハンターが処理をする必要がありますが……残念ながら貴方達の実力は疑問視されています」
「そらベテランがいなくなった後釜のペーペーリーダーの就任初日だからなぁ」
「それにこのベースは復興が進んでいたこともあり、ホームから交易やらで一時的に滞在していた住人も多くいます。そうした住人が声高に避難を呼びかけている、という状況ですね。今日日大型コロッサルを見る機会はベースの人間でさえ少ないんです。ましてやホームの人間の動揺といえばそれはもう。『若造がリーダーのベースになんて滞在したら死ぬぞ』『未確認のコロッサルを新任リーダーが対処できるわけがない』といった感じで。勿論当人たちは善意のつもりでしょうが、他の住人の不安を益々煽っているのは事実です」
「じゃあ学校の屋上で佇もう。『……やっぱりこうなる、か』」
「屋上入口の壁に寄っかかってるか。『ま、これもリーダーとしての試練ってやつだろ。お目付け役として見守っててやるから精々頑張れ』」
「『助言は無しか、手厳しいな』」
「『借り物の言葉じゃ結局この手合いには響かねぇよ。まずはお手並み拝見って所だ』」
「『失敗したら終わりの小手調べは初めてだなぁ』」
「『これからそういう死地に赴くんだぞ』」
「『違いないね』」
「判定はどうします?」
「男とPC1は黙ってRP後でしょ。ウマ娘か」
「ツッコミにくいんだよな」
「PC1はウマ耳とウマ尻尾の生えた女性体のハンターであってウマ娘ではありません。いいですね?」
「アッハイ」
135DK4CHTRPG⑤5/921/11/19(金) 18:43:59
「左足に武装をクラフトして、試すように地面に踏みつけるね。勿論音は大きく立つように」
「では集まった住人たちが一斉に貴方に注目します。猜疑、好奇、困惑……様々な感情を乗せた視線が貴方を貫きます」
「臆せずに言葉を発するね。『皆、聞いてほしい。このベースのリーダーに新しく就任したテイトレだ』」
「その声を聞くと『本当に若造じゃないか……』『あんなのがコロッサルを倒せるのか……?』といった声が聴衆から漏れてきます」
「気にせず続けるよ。『初めましての挨拶はもうちょっと落ち着いた場で出来ればな、とも思ったけれども……これは、ピンチじゃなくて、チャンスだ。俺にとっても、そして君たちにとっても』」
「…貴方の言葉を理解できないといった風に、明瞭な声こそ減ったものの、騒めきは大きくなっていきます」
「『ふふ、そうだな。新たにアサマヤマで目覚めた大型コロッサルがベースに向かってきているんだ。通してしまったらここは一瞬で壊滅だろう』」
「…一際大きなどよめきが漏れます。声を上げようとする人もいるでしょう」
「遮るね。『けれど。倒したならば?コロッサルから得たマテリアルによってこのベースは益々発展し、あのZOWの危険は取り除かれ採取もより容易になる。そして、俺たちが負けることは万に一つもあり得ないことだ。なぜなら……』そうだ、一般人にも伝わる大型コロッサルっている?」
「ああ、アトラス型という、コロッサルの代表格がいます。ルールブックの表紙にも描かれていますし。岩でできた巨人……そうですね、そのまま大きなゴーレムを想像していただければ大体合っていますよ」
「じゃあちょうど人間ぐらいの大きさのそいつの石像を目の前にクラフトするよ。クラフターだし出来るでしょ」
「ふむ。世界観を考えてもNM(ノーマル・マテリアル)で1m四方のものが作れて、かつNMは勝手にハンターの体内で作られるらしいので大丈夫でしょう。まあ聴衆はその石像が指すものを理解した様子ですね」
「で、出来たそいつを───回し蹴りで蹴り壊す。そして毅然とした態度で言うね。『俺たちは、コロッサルハンターだからだ。約束しよう。俺はリーダーとして、コロッサルハンターとして、このベースに更なる安寧と繁栄を齎す。あのコロッサルを倒すことが、俺の自己紹介、ってとこだ』」
136DK4CHTRPG⑤6/921/11/19(金) 18:44:18
「…素晴らしいですね。ですがそれが民衆に響いたかは判定を行う必要があります。他のTPRGなら判定なしでも許可したかもしれませんが、如何せんこのTRPGだとここ無視すると色々問題があるので」
「うぇー……だよね……」
「これで失敗することが往々にしてありますのよね」
「ヤメテヨー!!」
「じゃあ俺とブラトレが支援飛ばせばHL完成か。両方専門能力もレンタルさせられるしな」
「うーし。やっちめー」
「うぅ……緊張してきたぁ……えーと、直接と間接支援で+3,レンタルで+2かぁ……」
「そうですね……RPボーナスで+1あげましょう」
「神GMか?」
「でも出目5以下ならファンブルなんですのよね」
「やめなよ」
「てぇい!」コロコロ
[4][4][1] → 9 + 6 = 15
「……うん!いいじゃねぇか!」
「……成功だぞ!よかったな!」
「……そうですわね!ゲーム上は何も問題ありませんわよ!」
「慰めが痛い!!」
「…どうします?人間性1点消費で振りなおせますよ?人間性が減少しているならその分目標値も上昇しますが……クリティカル狙いなら些細な問題ですよ?」
「うぅ……別にここで復興ポイント増えても意味無さそうだし……人間性は多分戦闘で一気に使うし……結構です……」
「未練たらたらなんだよな」
「まあこういうリーダーなんだなって感じよな」
「ゲーム進行上は本当に何の問題もないのが涙を誘いますわね」
「クァー」
137DK4CHTRPG⑤7/921/11/19(金) 18:44:38
「……では、貴方の宣言にしばしの沈黙はありましたが、ぽつぽつと声が出始めます。『…避難はもう少し待てるもんな』『…そうだ!やっちまえリーダー!』『顔覚えたからな!帰ってこなかったら承知しねぇぞ!』まだ不安の音はあれど、大多数が期待からの声援です」
「なんだろうな、嬉しい展開のはずなのに蟠りを感じるんだよな」
「なぜか慰めに聞こえるんですのよね。ゲーム内だけなら全くそんな事ないのですけれど」
「リーダーの仕事としては十分な筈なんだけどな」
「……」
「あっしょげてますわ!大丈夫ですわよ御姉様!ええそれはそれは立派でしたとも!」
「なんで振りかぶってもっかい刺しにいってんの?」
「マジで責められる要素一つもねぇんだけどな。『ヒュー。及第点ってとこか』」
「……『……まだまだこれからだよ。意志を示したからには、行動でも示さなきゃならない』」
「『ま、そう気張るなよ。戦闘なら俺もいるし他の2人だっているんだ。それに偉そうに後ろに突っ立ってたがこの仕事は間違いなく俺じゃあ出来ねぇ類のモンだ』」
「『…ありがとう、フクトレ。じゃ、行こうか』う゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!フ゛ク゛ト゛レ゛ェ゛~゛!!」ヒシッ
「おーよしよし。辛かったな、頑張ったな。実際PC1としての役割をきっちり果たしたんだ、気に病むこたねぇぞー」ナデナデ
「…シーン切っていいですか?」
「……」コクン
「なんでこんなかわいそうなことになってんの?」
「なんか達成できそうな位置にあって若干価値が下がっているような気もするクリティカルが全部悪いですわ。多分」
138DK4CHTRPG⑤8/921/11/19(金) 18:44:54
「ではプレシャス『フチュウベース』をキャラシに追加してください。皆さんプレシャスが2個になったと思いますので最大人間性+1です。あとは復興ポイントが3貯まったので、シナリオマップに書いてある特典から1つ選んでください」
「2つ手に入るごとに+1かぁ。これって増やす機会他にあるのか?」
「実は各イベント終了時にRPに合わせてプレシャスの取得をGMに宣告することができます。今回は初めてですし採用しませんでしたが」
「……まあ俺たちのRPでベース以外に手に入るようなプレシャスなかったもんな……」
「大分譲ってブラトレが先行隊の皆さんとるぐらいでしたものね」
「そうだ、人間性って戦闘中は何に使うんだ?」
「判定の振りなおし、ダメージの軽減と回復、あとは攻撃威力+5……ですが最後は忘れてもらって構いません。一応色んな調整に使う機会はあるんですが初めてでそんなことはないでしょう。あとは敵の攻撃の中には人間性を減少させるものもあります」
「ふーむ。あ、復興ポイントの得点、SR+1はセッション開始時にって書いてあるけど今ここで生えるんだよな?」
「ええ。戦闘中、SRMはコロッサルの部位破壊時に手に入ります。そこまで困ることはないとは思いますが、1SRMはいつでも3RMに変換でき、RMもダメージ軽減やダメージ回復に使うのであって困ることはありません。コロッサルの攻撃の中にはM消費を要求してくるものもありますからね」
「悩むな……けどテイトレが使いたがってるし人間性でいいんじゃねぇの?」
「いいの?」
「私たちも振りなおしの機会が増えるなら大歓迎ですし。それに回復可能量が増えるなら多少無茶な動きもできますわ」
「うーし、じゃあ人間性+1にするか」
「了解です。では準備フェイズはこれにて終了、いよいよコロッサルハンターの本番にして最大の見どころ、決戦フェイズに入っていきます」
「いよいよかー」
139DK4CHTRPG⑤9/921/11/19(金) 18:45:14
「貴方達は諸々の準備を終え、コロッサルの現在位置と予測されるポイントに向かっています。山道を走っていると、樹の裂ける音、そして何より巨大なコアノイズの発生源が近づいているのが分かります」
「『……もうすぐだな』」
「『うーん、いよいよかぁ』」
「『あら、今更怖気づきましたの?』」
「『武者震いってやつだよ。ベースに迷惑かけるやつは痛い目見せてやんなきゃな』」
「『本音は?』」
「『5000兆マテリアル欲しい!』」
「『うーん、ベース職員としては正しい、のか?』」
「そんな会話をしていると、前の木々の間から閃光が漏れ、同時に爆発音が聞こえてきます」
「フクトレ?」
「いやちげぇよ。なんでいきなり向こう側に爆発物大遠投してるんだよ」
「いや索敵かなって……」
「やがて、前の木々がこちら側に軋み始め裂けていき、そこから巨体が露わになります。カンブリア紀の海洋節足動物を思わせる、甲殻に包まれた胴体。そこから透き通った鰭が2対ずつ緩やかに動きながら空を浮遊しています。胴体と頭部の間からは蟷螂のような前肢が、ギチギチと音を立てながら獲物を探すように蠢いています。しかし頭部は胴体と不釣り合いな人に似た歯列が並んでいます」
「……イ○ガー?」
「鎌あるからモール○ッドじゃね?」
「…両方がモチーフですね。シナリオを作っていた時に読み返していたのが原因で…」
「GMあるあるじゃん、ちょうどハマってたものに影響を受ける」
「さて、コロッサルは貴方達の存在を認めると、歯列を開き、眼のような形をした3つのコアをむき出しに、強烈なコアノイズを叩きつけてきます」
「『さて、始めようか』」
「『ええ、初仕事。完璧に終わらせますわよ?』」
「『うーし、素材狩りの時間だ』」
「『大人しく吹っ飛ばされな』」
続く
≫154二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 19:29:34
今度は鳥になったグラトレ(独)
「トレーナーさん……!」
トレセン学園で今、鳥になるトレーナーが続出しているらしいのです。
恐らくは、私のトレーナーさんも……
そう思いトレーナーさんが居るであろうトレーナー室へと私は足早に向かいました。
「トレーナーさん!!」
漸く着いたトレーナー室、急いで扉を開けたその先には……
「カカカカカ……コー!」(誰でしょうか? ……グラス!)
着物を着たタンチョウが居ました……
「……トレーナーさん……ですよね、その着物は……」
「コー」(そうですよ~)
前回の黒猫に比べると身長……体長? 差が小さいからか、今回トレーナーさんは着物に詰まる事は無く寧ろ着物を着ています。
「ココー……ココ、コー」(着物を着ては飛べませんが……まあ仕方無いでしょう、空を飛んでいる時に元に戻られても敵いませんので)
「猫の時は、私が喉を撫でている時でしたからね~」
「コココ、コー」(なので、今回はトレーナー室で大人しくしていますので~)
「しかし、鳥の翼と嘴では何も出来ないのでは?」
「コー、コー」(タンチョウの様に求愛の舞でも練習していましょうか~)
「求愛の舞……ですか……?」
「コココー……コー、コー」(タンチョウは一生を同じつがいで添い遂げる鳥……私もグラスとそうなりたいものです)
「……素敵なお言葉です…………見た目がタンチョウでさえ無かったら……」
「コー……」(ですよねぇ……)
結局、求愛の舞の実演中にトレーナーさんは元に戻りましたが、着物を着ていた為特にハプニングイベントは発生しませんでした……
了
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part470【TSトレ】
≫84二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:34:33
☆お察しください
「トレーナーさん……」
「どうしたのタイキ。何か変な連絡でもあったの」
「ドーベル……トレーナーさんが、トレーナーさんがウェスタンドリームのせいで今日はトレセンに来れないって……!」
「……ウェスタンドリーム?」
「ドーベルゥ!ワタシ寂しいデース!」
「きゃあ!タックルハグはやめ、引っ付かないで……!っていうか本当にウェスタンなんとかって言ったの!?」
「ウェル、セイカクには『撃った勝ったの夢を見ていたんだ……』と」
「……もしかして、泡沫(うたかた)の夢?」
「オゥ、たしかにそれデース。バット、意味がわかりまセーン」
「ええと、『美しくも儚いものが自分の手からこぼれ落ちていった』、ってところかな……」
「つまり……どういうことデスカ?」
「さぁ……」
なお、午後になって元に戻って以降、元気に仕事しにきたタイキトレだった。
- 終わり -
……タイキの機転(?)の利かせ方が凄まじかったよね、侘助さん
≫118二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:06:08
ーーーどこかの海辺にて
「きれいだね、トレーナー…」
「…そうだね、ファイン」
…二人は赤銅色の月を眺めていた。今日は皆既月食が見られるとのことで、暗くて観測しやすいここに見に来ていたのだ。
さざ波の音だけが聞こえる真っ暗な砂浜で、空を二人は並んで見上げる。手を繋ぎ、離さないように。
…ふとファイトレは、ファインが握る力を強めたのを感じ取った。顔を向けてファインと視線を合わせる。
「…」
ファインからの無言のお願いに頷く彼女は、そっと靴を脱ぎ、裸足になった。同じようにファインも素足を見せる。
「ファイン、しっかり抱き締めて。」
その一言だけを言った彼女は、ファインを両腕でお姫様抱っこする。ファインは彼女の首元に手を回し、離さないように結ぶ。
…ファイトレは海のほうに歩きだす。打ち寄せる波で足裏に海水が浸かり、やがて足首まで届く。それでもお構いなしに進む。
ある程度体が浸かったところで歩みを止めたファイトレは、ファインと同じように暗い海面から赤銅色の月を眺める。
「「…」」
少しだけ近づいたように感じる月に、目を輝かせるファイン。ファイトレもやんわりとした顔で笑みを浮かべる。
「…トレーナー」
「どうしたのファイン…?」
「ーーーーーーーーーーーーー」
ファインはそっと小声で囁く。波に掻き消されるくらい小さな声で、でもしっかりとファイトレは聞き取っていた。
…それを聞いたファイトレはコクリと首を振ると、ファインを抱き抱えたまま…
ザプンッ
120二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:06:24
…背中から倒れて、海面に浮かぶ。離さないように抱き締めたまま、暗い波間に漂う。
その黒い海水は少しひんやりとして、でもどこか暖かさも感じる。
ふとファインが体を捻ると、上からキスを落としてくる。暗闇ではっきりとは見えないが、
ーーー彼女の笑顔の輪郭が見える。
ファイトレも見えているか分からないが、笑顔とキスを返した。
音のほぼ無い、暗くてほんのりと冷たい二人きりの世界。
(いいな…)
…そう思ったのはどちらだろうか。
ファインを後ろから抱きかかえるように、ファイトレは彼女を上に乗せて月を見上げる。
…まだ赤銅色に輝く月は二人を照らす。ただ漂うだけの二人を優しく揺蕩うように波はゆったりとうちつける。
ーーー天に浮かぶ赤い月が白く変わるまで、二人だけのセカイは続く。泡沫の夢の如く。
短文失礼しました。
皆既月食でファインとファイトレです。幻想的ではない、しかしうつくしい光景を意識したものになってます。(描写できてるか…?)
注、プライベートビーチかつファイトレがアンカーを打ち込んでいるので海に漂っているのであり、絶対に真似してはいけません。
≫138二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:30:11
「…分かりました。とりあえずフラッシュに確認してみてからまた折り返します。はい、それではまた」
「どうかしましたか、トレーナーさん」
「うん、ちょっと珍しい依頼が来てね。フラッシュにお願いしたいことがあるみたい」
「私に、ですか?」
「そう。お菓子作りを教えてほしいって」
139二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:30:41
「ヤエノさん、かき混ぜるときはもう少しゆっくり優しく…」
「それでは焼きすぎです!早く裏返してください!」
「…苦戦してるね。君の担当は」
「まあ、器用なやつではないですから…」
「そこのトレーナーさん方!話していないで手を動かしてください!」
トレセン学園の調理室。そこでは今、エイシンフラッシュによるミニ料理教室とでも言えるかもしれない何かが行われていた。
なぜこのような状況になったのか。それには深いわけがあるわけではなく、ただ単純にヤエトレがそう彼女らに申し込んだからである。いつものレース勝負だと思い込んでいたヤエノムテキは突如始まったエイシンフラッシュによる料理指導に困惑し、またかなり苦戦していた。
「トレーナー、説明してください!これはいったいどういう状況ですかっ!」
一通りの工程を終え、後は出来上がりを待つだけになると、ヤエノムテキはトレーナーに詰め寄る。
「ああ、俺がフラトレさんたちに頼んだんだよ。おいしいスイーツの作り方を教えてくださいって」
「急に何故!?というか、事前に教えておいてくれてもいいじゃないですか!」
「たまには休むことも必要だって。結局ヤエはこの前シンボリルドルフ会長とたくさん戦ったわけだし。まあ、俺がヤエの驚く顔を見たかっただけなんだけど」
「~っ!あなたって人は~!」
そんなやりとりをしていると出来上がりの時間を迎えた。今回作っていたのはミルクレープ。ただヤエトレが好きというだけの理由で選ばれた。
「「「「これは…」」」」
四者四様の出来がそこにはあった。
エイシンフラッシュの作ったものは綺麗な形で、盛り付けまでおしゃれにしてある。フラトレの作ったものは丁寧で整った出来だ。ヤエトレの作ったものは少し崩れてはいるが、初めてにしてはこんなものだろうというような感じ。そしてヤエノムテキの作ったものは…ミルクレープというよりもクリームの塊そのものだった。
「完全な敗北です…まさかここまで難しいものだとは…」
「ヤエノさん、リベンジしましょう。今日はもう材料がないので無理ですが、次はもっとしっかりと教えて見せます」
「おお、フラッシュが活き活きとしてる」
「あはは…とりあえず無事完成、ですかね」
140二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:31:16
「今日はありがとう」
「いえ、こちらこそ。というか頼んだのはこっちですし」
作ったミルクレープを完食するとフラトレがお礼をしてきた。エイシンフラッシュとヤエノムテキは少し離れた場所で料理について話している。
「フラッシュが楽しそうな顔をしてたから、そのお礼。僕としても新鮮で楽しいお誘いだった」
「そう言っていただけるとありがたいです」
「…お礼は、レースでお返しすればいいのかな?」
「えっ?」
「果たし状の件、一度は断ってしまって悪かったね。あの時はすぐに時間が作れそうになくて。でも今はもう時間に余裕もあるし、それにここまでしてもらったし、ね」
フラトレはそう言って妖艶に微笑む。先日会ったルドトレもそうだったが、とてもではないが元男性というのが信じられないぐらい今の姿が様になっている、とヤエトレは思った。
「いえ、ほんとにそんなつもりはなかったんですけど…。いいんですか?」
「もちろん。フラッシュも了承してくれているしね」
いつの間にそこまで話を進めていたのか、油断のならない人だとヤエトレは思う。しかし、フラトレの言っていることはヤエトレたちにとって嬉しい誤算というのもまた事実だった。
「では、お言葉に甘えさせていただきます。ヤエに声をかけてきますね」
少しずつ日が傾き始めている。周囲から人の気配が消えつつある中、ターフに立つ影は二つ。エイシンフラッシュとヤエノムテキだった。
「君も走るというふうに聞いていたのだけど、いいのかい?」
「参加したい気持ちはあるんですけど、まだ怪我が治り切っていないですし。それに、コースの中では見えないものもあるので」
「そっか。これが君たちにとっていい学びの場になると僕も嬉しいな」
「本気でいいんですね?」
「はい、もちろんです」
「それでは」
「「お相手、よろしくお願いします」」
閃光が、煌めく。
141二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:31:45
『いいかヤエ、今回俺は走らない。だから3つだけ、伝えることがある』
『今回はエイシンフラッシュの隣について走れ。前でも後ろでもなく、横に並ぶんだ。その分スタミナ面では不利だが、ヤエならやれる。俺が信じてる。これがまず1つ』
『2つ目は早めにスパートをかけること。2000mの半分の地点を過ぎたあたりから少しずつ加速して、最終コーナーには最高速度にもっていくことが理想だが、そこはヤエの無理し過ぎない範囲で。とにかく、先にヤエが仕掛けること。走りの主導権を相手に取られないことが重要だ』
『そして3つ目。これは気持ちの問題なんだが…。ヤエは「勝とう」としなくていい』
エイシンフラッシュの横の位置を崩さずに常に外側を走り続けるというのは、想像以上に大変なことだった。これだけでも必死なのに、あの人はさらに加速していけ、こっちから仕掛けろ、と言う。自分がどれだけ無茶な要求をしているのか分かっているのだろうか。レース前のトレーナーの言葉を思い出しながら、ヤエノムテキはそう思っていた。あの人は、私を「信じすぎている」。
でも、それを重荷に感じたことは不思議と一度も無かった。
『身もふたもないことを言えば、これは別に公式のレースでもなんでもない。勝ち負けで何かが決まるわけでもないんだ。もちろん挑むからには何事も全力が俺たちのモットーだけど、でもそれ以上に、ヤエには走ることを楽しんでほしい。いろんな先輩たちと走って、勝って、負けて、勉強して、楽しんでほしい。だから…』
142二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:32:15
コースは1000mを過ぎた。エイシンフラッシュのペースは乱れない。正確にレースを運び、いつ切り込むか機を窺がっている。それを横目で見ながら、ヤエノムテキは覚悟を決めた。
『「敗けたくない」って思って走るんだ』
私も信じています。―。いえ、私のトレーナー。
「異国の黒き騎士…いざ、尋常に…勝負ッ!」
ヤエノムテキの咆哮と同時に加速が始まる。それはエイシンフラッシュの虚を確かについた。しかし、歴戦の猛者は冷静に対応して見せたのもまた、事実だった。
「流石です。ではその覚悟に、私も応えさせていただきます!」
前に出始めたヤエノムテキをエイシンフラッシュがぴったりと追従する。二人の加速量は等しくなり、一瞬開きかけた差はそれ以上開くことが無いどころか、たちまちに埋まってしまう。
全力を出してなお開くことのない差、限界を迎えるスタミナ、普通なら折れてしまってもおかしくない状況において、それでもヤエノムテキの闘志は、消えるどころかさらに勢いを増していた。
「私は、私たちは、負けないッ!」
「想像以上です…!ですがっ!」
ヤエノムテキが前に出ればエイシンフラッシュが差し返す。それにヤエノムテキが食い下がりまた差し返す。二人はそれを繰り返す。それはゴールの直前まで続き、そして―。
143二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:32:49
「限界です、トレーナー。もう動けません」
芝の上に仰向けに寝そべったヤエノムテキは、近づいてきたヤエトレに息を切らしながらそれだけ言った。
「ナイスファイト、相棒。よく頑張った」
「…信じてますから」
すぐに、フラトレとエイシンフラッシュもやってくる。
「お疲れ様。素晴らしい勝負だった」
「はい、本当に。改めてフラトレさん、エイシンフラッシュさん、今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとう。また機会があったら、今度は一緒にスイーツ巡りでも」
「いいですね、それ。楽しみにしてます」
そうして二人は礼をして去っていく。まるでおとぎ話の王子と姫を彷彿とさせるような、絵になる二人だった。
「さてと、動けない相棒を運ばないとな」
ヤエトレはヤエノムテキの方へとまた振り返る。
「さて、ヤエ。抱っこと背負うのどっちがいい?」
―終