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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part81【TSトレ】
≫19二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:27:48トレーナー寮の片隅。バチバチにパリピな見た目のギャルウマ娘が栗毛のウマ娘を見上げている。
これだけなら後者が何か目を付けられたのかと思われるが、何やらギャルウマ娘はバインダー片手にぴしっと背筋を伸ばし、片や栗毛の方は何やら目つきが悪く足も崩して壁に体重を預けている。
「確か明日はヘリオスはトレーニングなかったよな?ヘリオスを占ったフクキタルから聞いたんだが」
「ええはいっ、ですからあとは部屋に戻った後も特に何もしませんが……どうしたんですフクトレさん?」
軽く頭を掻いた後、栗毛のウマ娘……フクトレはため息交じりに溢す。
「7の13番室に行く予定だったんだが、急用ができてな。俺が行けない事伝えに行ってくれるか?」
「……?構いませんが」
「うっし頼んだ。じゃあ俺はこれで」
そう行ってフクトレはまさにそそくさと立ち去って行った
小首を傾げながら言われた部屋に向かうヘリサブトレ。哀れ生真面目な彼は未だトレーナー寮の7の13番室が何を意味しているのか知らなかったのだ。
部屋の前に到着し、何やら騒がしいなと思いながら扉を開けると───
「ゴクゴクですわ!ゴクゴクですわ!」
「ウエー空になっちゃったよー。追加どこー?」
「まだあったろ~?おいマクトレ~?お前に聞いてるんだぞ~?」
葦毛の渾沌が広がっていた。
≫23二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:28:08≫19
どうしてこうなった。
ヘリサブトレは缶ビールを片手に、両脇を酔っ払いに囲まれながら思考、もとい目の前の情報キャパを超えた光景から逃避していた。
部屋を開けてフリーズした私にブラトレさんが「どうしたんだ」と尋ねたところまでは正常だった。
私がフクトレさんが来れない旨を伝えたところマクトレが「つまりあの方が寄こした生贄ですわね!!」とおよそ酒宴の仲の言葉とは思えない宣告を行った。いや酒宴というのは古代においてはそういう側面もあったからあながち間違いではないかもしれない。ではこれは正しい酒宴なのか。しかし現代においてそんな酒宴があるか。
そう考察を循環参照させて外部の情報から脳を守っていると、マクトレがヘリサブトレの顔を覗き込む。酔っぱらって髪型が大分乱れているとはいえかのメジロ令嬢に似た顔つきはごまかせない。真面目なトレーナーは変な気は起こさないが有名ウマ娘(もどき)がガチ恋距離まで近づいたらそりゃびっくりする。あととんでもなく酒臭い。
「もしかして……お酒、苦手でした?」
「い、いえ。人並みには飲めるとは思いますがっ」
「んじゃーへーきですわね!!酒の席ですわよ!!!飲まなきゃ付いてこれませんわ!!!」
決して無理やり飲ませるような真似はしないが期待の眼差しが延々と突き刺さる。いやこれは無理やり飲ませている内に入るかもしれない。
逆に缶を傾けづらくなっていると、チューハイを呷っていたテイトレが「あ」と言葉を溢す。
「そーいえば。部屋に入ってきたときにバインダー持ってたけど。もしかして何かする予定だった?」
「あ、いえ。粗方情報の整理は終わっていたのでっ。ですからフクトレさんも声を掛けたのだと思いますが」
「見てもいいかー?」
「え、構いませんけどっ……」
「じゃあ俺もー」
酔っ払いどもが急接近してくる。あわあわしていると周りの顔つきがなんか真剣になった。
≫24二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:28:29≫23
「この配信トレーニングってなんだ?」
「あ、それはヘリオスが上位人気の時に本来の走りができなくなることがあるので、ならばまずは大勢の人に注目されながら走る経験を積んだ方がいいと思いまして配信をして登録者の皆さんに見てもらいながら練習をしようとっ。登録者の皆さんなら好意的な目線もおおいでしょうし慣れるのにも最適でしょうしっ。」
「ネット公開はレース相手がメタゲームにアクセスしやすくならないか?登録者の中にライバルがいないとも限らないだろう」
「そうですねっ。ですから行うトレーニングは基礎的なものに限定して、併走などの実践に近い練習は公開をしない予定ですっ。相手の出演許可も取らなければならなくなりますしっ。それに簡単にできるものであれば学園の広報としての役割もできてヘリオスのメディア露出も増えるかもしれませんしっ、ちょっと極論ですが学園内外問わずウマ娘のレベルアップにもつながるかもしれませんっ。」
「成程……マックイーンも注目を浴びることは多い。本人は慣れているだろうがそれでも場数を踏むのはいいな。しかしやはりチャンネルを持っていて尚且つ知名度、登録者も必要だしな……。それに学園でのトレーニングといえば平日の昼間だ。視聴者が集まるかどうかという問題もあるんじゃないか?肝なのはやっぱりライブ配信だろ?」
「あっ、じゃあ朝方の自主練で回すのはどうだ?定時式にしてさ、毎日やればウマ娘側にルーティーンもできる、視聴者にも習慣にしてもらえばPRとしてもつよいんじゃね?」
「定時式ならもしかしたら手の空いている他のウマ娘も出演できるかもしれないな。許可を取るという問題も参加するウマ娘側からのアプローチなら管理しやすい。言っちゃなんだがうちのテイオーのように周知度の高いウマ娘を出せればより耳目も集められる」
「参加側はチャンネルがないという問題を、やる側は衆人環視を増やすことで本来の目的の増幅ができるわけか。しかしその場合少し失礼だが人気の取り合いにならないか?」
「すごいっ……、みなさんすごいですっ!!」
≫25二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:28:49≫24
こうしてトレーニング談議に花を咲かせ、それを肴に酒を飲めば仲も深まる。
飲み会の終わりが見えてきたころには───
「テイトレさんっ!私の足を抱き枕にしないでください!うわ全然離さないっ!」
「ブラトレさんっ!お腹を出して寝ないでください!ウマ娘といえどお酒が入っている状態でそれは流石に健康に良くないですっ!」
「マクトレさんっ!さすがにそろそろ控えてくださいっ!すっかり楽しくなっているのは見て分かりますし結構ですが流石に明日に響くなんてレベルじゃないですよっ!?」
すっかり収拾役となったヘリサブトレがいた。
後日、この場で話しあわれた朝の参加型定時トレーニングが試しに行われたが、トレーナーが結構話題を集めてしまったのはまた別の話。
≫26二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:29:25≫25
おまけ
「───そんなこんなできちんと千尋の谷に突き落としてきましたが。本当にこれで大丈夫でした?先生」
「まじあざましじゃよ。あやつは少し柔軟性が足らんところがあるでな。ああいう実績のある、それでいて自由なトレーナーたちにもまれるのも必要なことじゃろうて。これでおぬしのような臨機応変P高めなツッコミも習得できたら万々歳じゃよ?しかし少しなえみな顔をしておるの?少し寂しいか?」
「御冗談を。丁度抱えていた面倒事を押し付けることもできて清々していますよ」
「素直じゃないのう……ちゃけてみぃ?」
「……」
「ホッホッホッ。めんごじゃよ。抑えているようじゃがお主に睨まれると若いころバチバチわずのウマ娘を思い出すんじゃ。もうちょっとオラついてきてもらってもええんじゃよ?」
「……勘弁してください。間に合ってますよそういう視線は。なんならあなたの愛弟子にバチつき方教えましょうか?」
「お主がかまちょされる理由が分かる気がするのぉ」
「そりゃ結構です」
以上
ちなみに全く関係ない話だがビューチフルカップ系とシラオキ系は例の時代あんまり絡みがない
≫44二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:42:53「……耳を?いったいなぜですか?」
「おぬしは耳がいい。よすぎる」
「だから耳の外見が気になると」
「もう一つ、とても若い」
「年を召してる扱いがおかしいんですよ。先生からも言ってやってください」
「老けていた状態から若くなっていると言っておる」
中々はぐらかせません。年の功という奴ですね、手厳しい。
「……儂はそうなる現象を一つ知っておる。髪で隠している部分を儂に見せてほしい」
かなりはっきりと、疑念の内容を口にされてしまいました。
「見せるつもりはありませんよ」
「なぜじゃ?」
「長らく人に見せていないので。……個人的には恥部なんですよ」
「恥ずかしがるようなもんじゃなかろう!?……はぁぁ」
先生が深い深いため息をついています。これ以上放っておくと襲われるかもしれません。
……観念して顔の横の髪をかき上げてみせます。
先生にはもうないそれを、よく見えるように。
「……あるではないか」
「人の耳がないと思っていましたか?それとも、こんなところにウマ娘のような耳がついていると」
「……何もないのではと疑っていた」
「琵琶は弾けますが、残念ながら怨霊にとられたこともありません」
「その耳、本物か」
「それだけ気になるのでしたら……触って確認したらどうでしょう」
「うむ?」
「ほら。ほーらほら。触っていいんですよ」
耳たぶを触ってパタパタしてみせます。
「だいぶ赤くなってるが」
それは知りたくない情報でした。
≫45二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:43:03「だから恥ずかしいと言ったじゃないですか」
「そんな痴態を勝手に晒された儂の立場はどうなる?」
「流してみせる男の気概を見せてくださいな」
「儂もう娘っこじゃし……じゃあ若くなったのは」
「……時代が進みましたし……? というか若いんですよ。わたしは」
「……済まぬ。余計な事を言った。儂は、帰る」
毒気を抜かれたのか、最後にもう一言だけ「済まぬ」と残して、
先生は部屋を出ていきました。
とぼとぼと廊下を音を立てて去っていく音が聞こえます。
もったいない……本当に久しぶりに話せたので、自傷を覚悟してつい揶揄いすぎてしましました。
目を閉じて今日の先生の姿を思い出します。
……あれは先生の古稀か傘寿の記念パーティーの時、似た姿の女性が先生の近くにいました。
もしあの人が先生の奥さんなら……ウマ娘化の運命というものは非常にハイセンスです。
少なくともわたしには理解しがたい。先生はあの身体を喜んでいたのでしょうか。
……いえ、先生の葬儀に参列する日が遠のいたのは喜ぶべきでした。
旅行中のピリオドにはもう60年ほど、観光に勤しんでもらいましょう──。
わたしはおもむろにベッドから立ち上がり、そこから一番近い窓を開けました。
「ちょまーーっ!!ち、……マジかぁ……」
もう日が陰ってきた空の下、病院の壁にさっきまで部屋にいた派手なウマ娘がへばりついていました。
≫46二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:43:12雨どいやら壁のわずかな突起を利用してここまできたというのでしょうか。
「ま、そこはぱるくーるとかいうやつじゃ。ちょい派手めな木登りと思えばやれるやれる」
リハビリぞいと嘯いてますが、やってることが猿です。ウマ娘なのに。
「ここ、五階ですよ」
「まー落ちたらさすがに痛いかもしれん」
「丈夫で結構です。……それで、何しにこんなところまで?」
「……」
壁の凹んだ箇所に指をひっかけ頬をポリポリかいてます。非常に心臓に悪い光景です。
「儂、見舞いっぽいことしとらんな、と」
「……フフ」
律儀で不器用な先生のことです。
部屋を出ていった手前、またすぐ入り直すなんてかっこ悪いと思って、できなかったのでしょう。
「別にお土産なんていりませんよ」
「知っとる。あまりプレゼントは要らんとかぬかす奴じゃおぬしは」
「よくご存じで。……それで、わたしはどう映りましたか」
「……以前学園で見たよりずっと元気そうじゃ。精力に満ち満ちており……全盛期三歩手前と見える」
「今の先生もですね」
「儂は一歩手前じゃ」
「それは勝てませんね」
「儂もおぬしに勝てん」
≫47二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:43:21「……婆さんは逝った」
「……そうでしたか」
「同期もみんなじゃ」
「悲しいですね」
「ベテラン連中はまだまだいるが、反抗してくる気骨のある奴はおらぬ」
「『功名もまた罪』というやつですよ」
「……知らん格言だ。世界はまだ広い」
「……」
「……そんな中にあってこの身体じゃ!すごかろ?」
「ええ。人生二周目が始まりましたね」
「うむ……うむ、そうじゃ。しっくりくるのう。……儂のは、二周目だったんじゃな」
かみしめるように納得する表情を見ながら感じ取れるものがありました。
先生はきっとまだほんの少しだけ、なにか寂しいんでしょう。
「みんなに伝えておきます。あの大先生、
実はとっても人恋しくて、バチバチ喧嘩もしたい寂しがり屋だって」
「……ほ~~??それならおぬしの事、
とんだ人見知りだからそこんとこちゃーんと配慮しとかんかいって関係各所にばらまいちゃろ!」
「あら普通にうれしい」
益体もないやり取りに笑い、軽いため息とすこし長いまばたきをしたのが、間違いでした。
わたしと3メートルは離れていた彼は素早く窓枠に手をかけ、いきおいこちらに顔を近づけて
わたしの右耳を軽く引っ張りました。
「ふん。本物か」
面白くなさそうな、安堵したような、
でもすこし悲しそうな声でつぶやくと先生は器用に病院を壁伝いに滑り降りていきました。
≫48二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:43:33「……セクハラ―」
「触っていいっていったのはそっちじゃからな~~~!!!」
周りの迷惑も気にせず大声を出す彼に向かって言いました。
「さっきの格言? どんどん使ってやってくださいね。たった今できた新人さんなんですからー」
部屋の窓を閉め、カーテンも閉めます。やはりこの時期この時間は少しだけ寒かった……。
……先生につままれた耳を同じように引っ張ります。
しばらく引っ張っていましたが、だんだん痛くなってきたので止めました。当然耳は取れません。
何度やっても取れません。
────────────────────────────────
わたしは普通のハルウララトレ♀。
凪が去ったあとのざわめきが唯々不気味です。
またひとり、わたしを置いて仲間が遠くへ行ってしまいました。
だというのに、ここよりずっと下、外にいる人の声がこうも近くに聞こえてしまうのは、
きっと部屋の静けさのせいでしょう。
≫50二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 17:44:57おまけ
ぎゃぐはさまないとしぬえぬじーしーん1
「琵琶は弾けますが、残念ながら怨霊にとられたこともありません」
「……流そうとするには滅法珍しい話を聞かされたんじゃが」
「おや、ベッド脇になにやら琵琶が」
「ウソじゃウソじゃこんなのさっきなかったぞい!」
「……どこに行きたいですか?」
「移動手段じゃったの!?」
ぎゃぐはさまないとしぬえぬじーしーん2
「だから恥ずかしいと言ったじゃないですか」
「……ほーう?ほほーう??」
「……その、やめ、そんなに見て楽しいものじゃないでしょ……先生」
「ほっほっほっほ~~~~う???」
──トレセントレーナー間ではお互いを名前で呼び合うのが慣習となっている。
ゆえに、担当ウマ娘の名を指して呼ばれた場合、そこにはある種の緊張が走る。
ましてや、力ある者が怒気・失望といった感情を乗せて呼ぶとなおさらである。
「ダイタクヘリオス担当」
「マジめんご、いえごめんなさい。本当に申し訳なく思っております」
≫67二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 18:01:13こんにちは!新人トレーナーです!
昨日はトウカイテイオーのトレーナーさんに迷惑をかけてしまいました…しかも全くもって本題のスカウトが進んでいません…なにこれ…今日は頑張ろ…
そして10分ほど経った頃に周りをキョロキョロと確認している1人のウマ娘を見つけました
(どうしたんだろ…?人を探してるとかかな…?)スカウトする前にその事で助けになれたらいいなと思ったのですが…
(…あの子…色っぽいなぁ……それに比べて私は…)ペターン………いやいや何を不純な事を考えてるんだ私は!そんな事より困ってるウマ娘を助ける事を優先しなきゃ!
…よし、行こう!
≫68二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 18:01:55≫67
「えー…いきなりすみません…人を探してるんでしょうか…?」
「わぁビックリした!」タプン
「ヒュッ(落ち着け私…落ち着け…)……はい、私はこういう者でして…(名刺渡し)」
「なるほど!新人トレーナーさんなんですね!」
「あっはいそうなんです…それで困ってる事があれば何か力になれたらいいなって…」
「わ〜ありがとうございます♪実はルドルフとの待ち合わせ場所を間違えちゃったみたいで…」
「(シンボリルドルフを呼び捨て!?!?何者!?)……生徒会長さんならさっきここのエリアで見ましたよ(持って来た地図を指差し)」
「えーと、どこですか?」ムニュッ
「(か、顔が近い!!胸が当たってる!!!)……………ここです……(指差し)」
「あっなるほど勘違いしてたのは私か…本当にありがとうございます!助かりました!」(満面の笑み)
「(ヤバいヤバいヤバいこれ以上この人と話してると何かが壊れる気がする!!)おおお役に立てて良かったです!」
「はい!ところで…今日暑いですね〜」(スーツの前を開ける)(黒ブラが透けてる)(本人無自覚)
ビキッ(何かにヒビが入る音)「じゃじゃじゃあさようなら!!(コンセントレーション)」
「えぇ!?何かお礼を……あっ名刺渡し忘れちゃった」
なにあれなにあれなにあれ。トレセン学園こわいよぉ…スカウトどころじゃないよぉ…うぅ〜折角初めて本当のウマ娘に話しかけれたかもしれなかったのに〜…(トレーナーです)
もう無理…ラーメン食べて元気出そ……
明日は…明日はちゃんとスカウトしてみせる!
≫69二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 18:02:20「やぁトレーナー君」
「あっルドルフ!ごめんね私が集合場所を聞き間違えちゃったみたいで…」(涙目上目遣い)
ルドルフは——耐えた
「…いや、いいんだ。1回しか言わなかった私にも非がある。」
「優しい!ありがとうルドルフ〜!」(抱き着き)
ルドルフは——掛かった
〜完〜
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part82【TSトレ】
≫10二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:02:33ではどうぞ
紫煙
トレセン学園の屋上で欄干にもたれかかり夜空を眺める人影
彼女―――ファイトレはタバコケースを片手に佇む
「横へ失礼しますよ――――――――さん」
「よしてくれ、その名前は。ここはあの世界ではない」
「南坂トレーナー」
月光の照らす屋上で二人の男女が雑談に耽る
「そういえば、あなたが持っているそれ、珍しいやつですね」
「ああ、これか。なに、戦友の愛用品だよ」
ケースに視線を落とし、過去を思い返す。
―――戦場に身を入れたのはいつだったか
私は傭兵として世界中をめぐった
中東で、アフリカで、南米で、欧州で
テロリストを掃討し、正規軍を相手し、犯罪者を撃った
殺して、壊して、落として
国籍も性別も人種も関係なく平等にやった
戦車を壊し、航空機も落とし、船を沈め
気づけば私は恐怖の象徴になった
「ここが、この戦場が!私の魂の場所だ!!!」
きっと私は永遠に引きずられるのだろう、ウマ娘が走りたがるように
≫11二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:02:52―――そういえば
一度だけ・・・ファインに会ったことがある
雇われてアイルランドで警備をしたとき、小さなころの彼女に出会った
日差しの強い日に物珍しそうな顔で話しかけられた。
「おじさん、暑くないの?」「ああ、大丈夫だよ」
あいにくサングラスをかけており幼い頃も相まって彼女は覚えていなかった
だが私は―――あのきれいな瞳を覚えている
「・・・タバコ、吸わないんですか」
ふと現実に引き戻される、彼は珍しく首をかしげている。
もう一度ケースを見つめた後、過去を振り切るように
「ああ・・・
―――私は開いた箱を閉じて彼に向き合い微笑んだ
- タバコはやめた。体に悪いからな。」
≫56二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:24:22「マベトレの持ってる酒が七色に輝いているように見える……」
「ゴルトレがワイン樽を頭にかぶってるのが気になるんだが大丈夫なのか?」
「おいマルトレがまた悪魔調合してるぞだれか止めろ」
「オグトレ!!厨房を手伝いに行こうとするんじゃない!!」
「オペトレはなんで隅で固まってるんだよ!?」
「デジトレもその脇でプルプルするなぁ!!」
「カフェトレ(タバコ)!!室内禁煙だ外で吸え!!」
≫76二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:34:54≫56
「パクパクのグビグビですわ!今日も巨人が勝って気分がいいですわ!」
「マヤトレ!うまぴょいFullやります!」
「マーベラス!マーベラス!」
「タキトレさん!?お酒で薬飲むのは不味いですよ!」
「うららぁ、だめれす、このかんじゅめはあらしのえす」
「うっ、うっ、今日もトレーナーさんスカウトしゃいました...(´;ω;`)ウッ…」
「🕳」
≫69二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:32:05フクトレ「まずいマクトレが居ないと最大の問題児が消える代わりに全員が好き放題動いて収拾がつかんぞ」
じいじ「うぇーーーい!!ぱーりぃぴーぽーじゃ!」
≫77二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:35:27「おうおうカレトレよう!オレの酒が飲めないってか!」
「落ち着いてゴルシ…トレーナー。私、お酒はカワイくないから飲まないの!」
「なんだよ相変わらず真面目腐りやがって…? うんあれ…? …まあいいか!おら飲め飲め!」
「はぁ…あ、芦毛…ゴルシも黙ってれば美人なのになぁ…まああれはあれでカワイ…」
「おらぁ芦毛様の唐突なドロップキックじゃい! 喜んで受け取れ手前ゴラァ!」
「は! 私は何を!? カ、カレンチャンカワイイ!」
「…いや、それもどうかとおもうけどな、オレ」
≫90二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 19:42:32前回の反省を生かし独裁者を男二人に押し付けたトレーナーたち!
しかしその先に待っているのは秩序すら失われたカオスの世界だった!
「あーっ?お前芦毛なら誰でもいいのか?」
「違うのおおゴルし聞いてええ」
「ぎゃーっ!浴衣が!!」
「ちょっと暑い...ん...」
「一発芸やるぞ!!」
「ウェーイ!!最高の宴じゃ!!」
「ゴオオオオ」
「同僚よ......ギムレットはあるか......」
「どうすんだよこれ」
≫131二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:04:20『憧れの姿』
「んー?あれ?どこやったっけ…?」
「…どうかしたのか?」
廊下をカフェのトレーナーが歩いていると、隅のほうで物を探す身長150くらいのウマの少女…ブライアンのトレーナーがいた。
「おお?ああカフェトレさんか。ちょっと次の生徒会トレーナー陣での会議資料入れたUSBがどこだったっけなあと探してんのよ」
「はあ…もしかしてトレーナー室に置き忘れているとか?」
「…あーその可能性もあるなぁ…しゃーない戻るか」
「…せっかくなので同行しようか?」
「え?いいのか?」
「まあ、私もトレーナー室に用があるからね」
「じゃ、よろしく」
そういうと、二人のトレーナーはトレーナー室へと向かった。
「しかしなかなか関わることがなかったなあ俺たち」
「そうだな…いつもはタバコ勢くらいかな」
「タバコっていうとフクトレのやつも実は吸うんだろ?いや意外だったなあ。アイツ周りの目を結構気にしてる質だから吸わないもんだと」
「まあフクトレは頻繁に吸うことはないけど。私くらいなものだよ、毎日吸う人は」
「フーン…俺は20になったときによっしゃ試してやるぜーって試したらそれはもう…酷いことになったからな…」
「あらら…」
そうつぶやくとカフェトレはバッグの中から駄菓子を取り出す。
「ではこちらを一本どうぞ?」
「お、気が利くねえ。…子供のころはたばこの似合うカッコいー大人になってやるぜーとか思ってたのになあ」
そう言うとブラトレはココアシガレットを口にくわえる。やはり童顔150センチサイズのウマ娘ではそれっぽい姿には見えない。
≫133二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:04:50≫131
その後もたばこトークがちらほらと続く。方や吸えぬもの、方や吸うもの。たばこに対する印象は大きく違うが、話は弾んでいく。
「あとあれだなシャーロック・ホームズってよ、結構な頻度でタバコ吸ってたじゃん?」
「探偵といえばパイプタバコ、っていう象徴でもあるからね」
「ああいう姿にあこがれてたんだがなぁ…今じゃ150のちんちくりんだしな。もごもご」
「ふふふ、十分良い姿をしていると思うよ」
そう言うと、カフェトレは少し前に出会った新人のことを思い出した。
「んー?どういうこっちゃ?」
「いえ、別に?」
「…?まあいっか、そろそろ着くな。話し相手になってくれてありがとよ!今度は飲むのもいいかもしれねえ」
「ええ、是非とも。ではまた」
「じゃあなー!今度おすすめの居酒屋教えるからー!」
そういうとブラトレはぱたぱたと走って部屋の中に入ってしまった。
普段はそんなに長く話さないのだが、不思議と会話が弾んだ気がする。
「まあ…時には人と話し続けるのも悪くないね」
とひとりごつとカフェトレも自身の使うトレーナー室へと足を運んで行った。
その後、時たま飲み屋で酒を飲み交わす二人の姿がちらほらと見かけられるようになったとか。
≫167二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:22:04「ん、……暑い……」
「わかる暑い。水うまぁ」団扇パタパタ
「暑いなら……脱がないの」
「え?脱ぐほど?てかめっちゃはだけてんなブラ見えてんぞ……いや周り的に別に大丈夫か」
「大丈夫……脱げないなら脱がしてあげるルドルフ……」
「え?なんて?ちょい待ってルドトレって力強いな!?シャツのボタン外すのやめんか!?」
「大丈夫偶には私に任せて……」
「何を!?いや待ったいまどうやってブラホック外した!?まってはせめてマルゼンにあっベルト外さないで!!だ、誰かー!!やられる!犯られる!!あ゛あ゛あ゛!」
「やばいあの泥酔色魔次はマルトレのところ行ったぞ止めろーー!!フクトレ抑えろ!!」
ルドトレは監禁された。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part83【TSトレ】
≫8二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:40:55殺人者の酒場
とある酒場、静かにアルコールを呷る人影が二つ
「・・・二人だけですか」
「仕方ないさ、フクトレとブラトレは急用ができたそうだし」
「そうですね、楽しみましょうか」
ファイトレと(ケツ)カフェトレはしばらく雑談に耽っていった
酒も進み少し酔い始めたカフェトレはふと問うた
「そういえば、トレーナーになる前はなにをしていたので?」
「そうだな、軍に入っていたよ」
「そうですか・・・というとでも」
ファイトレに顔を向け、目を細める。彼女もまたこちらを睨む
冷たい空気が流れる。きれいな碧眼の中に
―――自分と同じ闇が見えた
瞬間彼女は微笑み、酒を飲み干す。そして語りだした
「ええ、あなたの言う通りよ。私は傭兵だとも」
「世界中を飛び回って殺し続けた。百人から先は覚えていない」
「どうしようもなく血に飢えた獣だよ」
「そう、あなたと同じね」
鼓動が早くなる、なぜ彼女は・・・
「不思議か?簡単だよ。あなたの瞳を見れば一発だとも」
「そう・・・貴方も人殺しでしょう」
「大丈夫、責めたりはしないわ。そんな資格もないし」
彼女は嗤う、だが俺は―――不思議と落ち着いていた
そして俺は彼女に話した、殺し屋であること。何人も殺したこと
―――そしてカフェが“彼女”に似ていること
彼女は微笑みながら聞いてくれた。“彼女”の話をしたときは興味深そうな眼をしていた
吐き出しきった後、彼女にシンパシーのようなものを感じた
「・・・気は晴れたかい」「ええ、晴れましたとも」
「せっかくの機会だ、もう少し付き合ってくれないかな」「・・かまいませんよ」
酒場にて、人殺したちの夜は更けていく 闇がおおうように
≫30二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:49:16こんばんは、新人トレーナーです!
今日は正直トウカイテイオーのトレーナーさんと会った昨日より疲れました…
ラーメン屋で偶然会ったタイトレさんと2人で居酒屋にハシゴです
「って事があったんですよ〜!」グビグビ
「うわぁ…そりゃ災難だなぁ…」
「あのウマ娘さん…美人だったけどルドルフ会長の事を呼び捨てにしてたしどんな立場なんだろう…?」グビグビ
「あー……うーん………実は彼女もウマ娘化したトレーナーで」
「」ガターン!!(新人ちゃんが椅子から転がり落ちる音)
「うおーい!?大丈夫かぁ!?!?」
「もうやらああああああ!!!みんなトレーナーじゃないですああああ!!!かわいい子ばっかなのにおかしいもん!!!私悪くないもん!!!!………うぅ…ほんとにわたちはごんらことばっがで……」グスッ
「泣くな泣くな!今の大変な状況のトレセン学園で諦めずにスカウトを頑張ってる時点でお前も立派なトレーナーだ!きっといつかスカウトも成功する事を俺が保証する!自信を持って明日もスカウト頑張れ!ずっと応援してるからな!」
「ダイドレ゛ざん…」
「落ち着いたか?よーし今日は俺が奢ってやるから飲め飲め!」(胸叩き)(揺れる胸)
「わぁぁぁぁんもうやだあああああ!!」
≫62ガンギマリ頭スズトレ21/09/29(水) 21:00:42「あ。」
「あっ。」
思わぬ遭遇に芦毛と白髪のウマ娘、両者から声が漏れる。
片方は私ことスズトレ。
そしてもう一方はモデルのような身体のクールビューティー、ネイトレ。
女性でありながら唯一ウマ娘化してしまった人だった。
「…ネイトレもこの店が目的で?」
「そうですね…ネイチャと今度来ようと思って下見に。も、ということはスズトレさんも?」
「ですね。人の少ない午前中を狙ってみたんですが…」
そう言いながらイチオシ!の言葉と共に写真が映る看板を見る。
スイーツショップ"雪国"、つい数日前にトレセン学園の近くにできたばっかのお店だ。
その名の通り雪そのものもや雪国特有のものをイメージしたメニューが多く、すでに結構な人気が出てるとか。
私もネイトレもトレーナー、担当ウマ娘ともにスイーツ好きなため見事に意図が被った、ということなんだろう。とんだ偶然だ。
「…せっかくだし、一緒に座っちゃいます?」
「何かの縁ですし、座りましょうか。」
ネイトレの提案を承諾し、2人で店内に入った。
────怖くないのだろうか?
「…美味しい…」
そう、目の前でアイスを幸せそうな顔をしているスズトレを見て思う。
しっかり者で落ち着いていた彼は、男性の頃から比較的話しやすい方の相手だった。
けれどそんな彼もウマ娘になってしまい、かつては見上げていたその姿を今は見下ろす事になっている。
オマケに、その変化は今なお続いているとも。
スイーツ好きの集まりや高身長組の茶会でスズトレが底知れないほどポジティブなのは知っている。
けれど、それでも。
────怖くは、ないのだろうか?
≫63ガンギマリ頭スズトレ21/09/29(水) 21:01:13≫62
「…ケーキ食べないの?ネイトレ。」
考え込む私を見て心配したのか、スズトレがそう聞いてくる。
「…あ、もしかして視線が気になる?店中の視線集まってるし。」
「あー、それもそうだけどそっちは流石に少し慣れてきたからへーき。美人2人が一緒にいれば私でもついつい見ちゃうと思うし。」
「え?」
「…スズトレも私に劣らず美人だからね??」
マジで?とスズトレが零す。その言葉そっくりそのまま返したい。儚げなオーラ出してる高身長の女性が美人じゃないわけないでしょうが。
っと、いけない。話が逸れた。
嫌だったら答えなくていいからね?と前置きし…
「…スズトレって、精神も徐々に変化してってるんでしょ?だから怖くないのかなって気になっちゃって。ほら、私ウマ娘化しただけでも結構まいっちゃってたし。」
「怖かったよ?」
「────」
「あくまで私が強いのってポジティブさだからなぁ。自分が自分でなくなるのは流石に怖かった。」
マクトレみたいにめちゃくちゃに意思が強ければ違うんだろうけどね、とスズトレは笑う。
マクトレは正直色々とズルいからほっとくけど…スズトレでも、辛いんだ。
友達への理解が深まったようで少し嬉しくなると共に、もし自分に同じことが起きたらと思うとゾッとする。
「…やだなぁ、これ以上変わるの。今度こそ折れちゃいそう。」
「…ネイトレは何かあったとしてネイチャより可愛いと感じるものできると思う?」
「それだけはない。」
「なら大丈夫だよ。」
ノータイムでスズトレが断言した。
≫64ガンギマリ頭スズトレ21/09/29(水) 21:01:32≫63
「多分、どんなに変わろうと変わらないものはある。私でいえばスズカとの絆とか。
だから大丈夫。ちょっとやそこらの変化で切れるほど、ネイチャとネイトレの絆は弱くないでしょ?」
「…そりゃ、伊達に20戦20勝してませんし?そちらに負けないくらいギュッとかたく結ばれてる自信ありますとも。
アドバイスありがと、スズトレ。」
「いえいえ、私のような想いは誰にもして欲しくないもん。仲良い人ならなおさら。」
そう言うスズトレの口調からは男性だった頃の影がほとんど感じられないけれど、頼りになるのは変わってない。
変わらないものはある、言ったそばから有言実行していく様は圧巻だ。
「さ、ひと段落ついたし、早く食べちゃお!あまり長居しても迷惑だし!」
「…うん、そうだね。奢るねスズトレ。」
「え、なんで?別にそんなことしなくても…」
思い出してみよう、私が頼んだのはケーキで、スズトレが頼んだのはアイス。
そして、スズトレが私を気にして食べるのをやめてから時計で5分は経った。
まあ、つまり…
「…アイス、溶けちゃってるから…」
「…あっ。」
自分も注目集めてるのに気づいてないことと言い、ちょっと抜けたとこもやっぱり変わってないなと実感する私、ネイトレであった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part84【TSトレ】
≫16二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 22:17:17ハンドクリーム グルトレ
いつも通りグルーヴに髪を編み込んでもらい、お礼を伝えるとグルーヴはバッグから未開封のチューブを取り出し、私に差し出した。
「なにこれ?」
「ハンドクリームだ」
乾燥する時期になるから使えとグルーヴはチューブを私に手渡す。感謝を伝えると私の隣りに立つのだから指先までしっかり気を遣えと言われた。確かにその通りかもしれない。私は早速チューブからハンドクリームを出すと、手のひらに500円玉程度に白いクリームが出てきた。
「たわけ、出し過ぎだ」
「え?」
困惑する私にグルーヴは手をマッサージするようにハンドクリームを伸ばしてみろと言ったので、その通りに手にハンドクリームを伸ばしていく。伸ばしているはずが、全体的に白っぽさが残りベタついてしまった。何かベタベタすると手を見せながら彼女の方を見ると、出し過ぎるとこうなる。このタイプのハンドクリームは人差し指の第一関節程度でいいと彼女の人差し指が、私の人差し指を撫でた。胸の奥がどきりとなるのを感じた。彼女の指が、私の指を撫でただけだ。それだけなのに、彼女にもっと触れていたい。私の中の何かが疼いていく。
「ねぇグルーヴ、こういう時はどうしたらいい?」
≫17二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 22:17:40≫16
無意識に口が開いた。彼女は少し考えた様子をした後、私は貴様相手ならこうすると言って彼女は私の両手に両手を、指を絡める。また私の中で何かが疼く。彼女の指が私の手のひらや手の甲を撫でる。付きすぎたハンドクリームは私と彼女の肌の間を滑る。もっと絡めたいと身体を寄せて胸を重ねる。彼女は少し頬を赤らめた。もっと、しよと疼く何かが、私は自分の指を彼女の指へと合わせるように絡めさせていく。ドキドキする胸が、彼女にも聞えればいい。もっと彼女の顔を近くで、少しだけ背伸びして顔を近付ける。ドキドキする、呼吸が浅くなる。また一段と頬を赤らめた彼女の指が止まれど、私は絡めるのをやめようとしない。
「グルーヴも指もっと絡めよう?」
私はおかしくなってしまったのだろうか。指も、口も背伸びする足も。どうかしている。彼女の唇がすごく甘くて美味しそうに見える。目もだめになった。この甘くて美味しそうな果実に―――私は本当におかしくなってしまった。赤らめた頬が彼女のアイラインと同じくらいになって鮮やかで、可愛らしくて見つめてしまう。
「……もう少しだけだ」
「うん」
伸び切ったハンドクリームが私と彼女の手に溶け合う。友情のそれとも言い難いこのスキンシップは癖になりそうだ。彼女への何かが疼いて、それは大きくなっていく。私はそれに気づいていないフリをした。
≫56二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:00:58≫55
草木も眠る丑三つ時。などと言えばベタな表現ですが、この時間においてトレセン学園、しかも特別教室の集まる第三校舎には確かに草葉の揺れる音すら響きません。
そんな静寂の中では、普段の日常であるはずの革靴達の輪唱は却って異物でしかありませんでした。
「……で、今回のウワサとやらは何処だって?」
「三階の三番部室。上がって奥から三番目だね。」
「ふんににに~!出ましたッ!今日の運勢は大凶です!そうと決まれば帰りましょう!」
「駄目です……第三木曜の午後三時なんて厭に細かい時間指定があるんですから……今回を逃すと一か月先ですよ……」
私、マンハッタンカフェと私のトレーナーさんは生徒たちから寄せられる怪談の調査を頼まれることがあります。
何処からの依頼なのかは大体ぼかされていますが、おそらく生徒会からでしょう。まあそうする理由なんていくらでも思いつきます。
噂なんてバ鹿バ鹿しいものに対して生徒会が対応するのは問題がある、そもそもそういう風に生徒会が動くと生徒の不安を煽ってしまう……まあ真意なんて分かりませんが、こうした調査依頼が私たちに舞い込んでくるには十分な事実があります。
≫57二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:01:18≫56
そう。この手の怪談。たまに"ホンモノ"の可能性があるのです。大抵は根も葉もない噂だったり、変に脚色された話だったりしますが、ほんの一部には実際に一般で言う幽霊やら物の怪やら……私たちが「怪異」と呼んでいるモノの存在が裏にあります。
私はその「怪異」を視ることができ、私のトレーナーさんは「怪異」を診ることができます……といってもトレーナーさんが使うのは私のような霊能力めいたものではなく、過去の膨大なデータから得られた「どうしてそんなことを起こすのか」の分析です。
そんなこんなでこの2つを用いれば怪異たちの事件を解決できるかもしれないということで、私たちはこんな役回りをさせられています。
そして、その調査でこれまた欠かせないのが今回も同行いただいているフクキタルさんとそのトレーナーさんです。
フクキタルのトレーナーさんは私ほどではないですが霊感があります。あと、私にはできなかった「怪異」に「触れる」こともできます。大抵したがらないので最後の手段になりますが。
フクキタルさんは霊感皆無、推理もそんなに……ですが彼女の「占い」は時として事態を動かすこともあります。結局理由はあるけど理屈ではないものを相手にするのですから、神頼みも役立つ場面がある、ということでしょうか。あと霊感ゼロなせいなのか、
あ、ちなみに、私のトレーナーさんもフクキタルさんのトレーナーさんもウマ娘です。いえ、元々はどちらも男性のトレーナーさんだったのですが校内で流行り出した「トレーナーさんがウマ娘になってしまう事象」の煽りを受けた形でこうなってしまいました。……先にこっちを調査すべきだとは思うのですがそんな依頼は一向に来ませんし、私のトレーナーさんは「まあこっちのほうがこういう時にも便利だから」ということで特に問題にしていません。
さて、今回の依頼は人呼んで「第三校舎三階第三部室の怪」。
この時は、まだよくある骨折り損の一つだろうと思っていました。……実は先程の大凶でその予測も既に結構揺らいでしまっていましたが。
≫58二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:02:00≫57
階段を上り、三階へ。一階部分と代わり映えはせず、暗闇の廊下が続きます。窓は締め切られ、じっとりとした空気に満ちています。学校側で電源が切られているこの時間。推定生徒会依頼とはいえこんな怪しい活動に特別措置が許されるわけもなく、私たちの行く手を照らすのは各々が持つ懐中電灯の頼りない明りだけです。それを辿るように先頭を私、その後ろを私のトレーナーさん、マチカネフクキタルさん、そして最後尾にフクキタルさんのトレーナーさんという順番で進んでいきます。
「えーと。今回のはどんなウワサなんでしたっけ。」
「第三木曜午後三時、第三校舎三階の第三部室に四人でいくと幽霊が出るそうだよ」
「そこまでなら何の捻りもない噂話って感じだな。にしても一か月に一度とは難儀な幽霊だこと」
「肝試しで入った生徒が数名いたようで……特に何もなかったそうですよ……?……いや、これは三人で出向いたときの話でした。もちろん後でこっぴどく叱られたそうですが……」
「条件がある……執着の対象が明確なのか……。いずれにせよとりあえず存在を確認しないことには無駄な推論だね」
「ん。なんもありませんでした、が一番楽な展開だしな」
「ですからぁ!今日は大凶なんですってぇ!特に……」
そんな会話をしている内に目的の部屋の前へたどり着きました。人差し指を口元に立て、会話を制止します。扉は閉じられています。今の時間なら当然施錠されていますが、私たちは鍵だけは借用が許可されています。それが無ければ流石に何もできませんし。私はポケットから鍵を取り出し、努めて静かに開錠し、ゆっくりとドアを開けます。音に反応するタイプや刺激に影響されるタイプの怪異もいるので注意するに越したことはありません。
隙間から見えた教室内は大分荒れた部室用の部屋です。無数の小さな穴の開いたパーテーション。チョークでぐちゃぐちゃに塗りつぶされた、一部室には少し大仰な気もする上下式黒板。床には埃のような何かがうっすらと堆積しています。まあここまでは先客やウワサを流した張本人が雰囲気作りのいたずらで荒らしたケースもあります。判断するのは早計でしょう。振り向き、微かに頷きます。フクキタルさんは怯え切った表情で、私のトレーナーさんは真剣な表情で、フクキタルさんのトレーナーさんは興味なさげな、ふりをしつつも周囲を警戒しながらそれぞれ頷き返します。教室の、中へ。
≫59二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:02:23≫58
黒板のラックにはいくつものすり減った白のチョーク。よくみると壁の上にカーテンレールのようなものがあります。しかしそこに窓もなく、カーテンを下げるには聊か低い気もします。しかしそれだけでは判断のしようがありません。別の壁に設けられた窓の外にはベランダが広がっていて、
見回しても、目的の幽霊は影も形もありません。
「ハズレでしたか……」
「まあそんなものだろうね。帰るとしよう」
「おかしいですね……そんなはずは……」
「大凶が当たってほしいのか?」
がぁあん!
真後ろで大きな音が。後ろを振り返ると、黒板の上下が入れ替わっています。
「……劣化で黒板が落ちただけか?」
「び、びっくりしましたぁ……」
改めて周囲を確認しても。それらしき影は見えず、新たな音も立ちません。
「……一旦出ましょう……。」
警戒しながらも部屋を出ます。一息つくフクキタルさんと未だ周囲を警戒するフクキタルさんのトレーナーさん。
そこで私は気づきます。
「私のトレーナーさんは?」
フクキタルさんとフクキタルさんのトレーナーさんは目を見開き、顔を見合わせた後、フクキタルさんのトレーナーさんが口を開きます。
≫60二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:02:40≫59
「お前……トレーナー付いてないだろ?」
「今回の依頼、私たち三人だけで来ましたよね?」
≫61二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:03:02≫60
私は振り向き部屋の扉を開けようとします。どんなに力を入れてみても音すら立ちません。鍵が入りません。後ろでフクキタルのトレーナーさんに名前を呼ばれます。呼ばれたような気がします。ベランダは?隣の部屋からなら渡れるかもしれません。そのとき。視えました。小さな何かが隣の部屋へ入っていくのを。駆け出し、隣の教室の扉を開けようとして───そうだ鍵がない。借りているのは目的の教室だけ。ならば。
扉から少し後ずさる。上体を捻って。倒して。思いっきり後ろに蹴り出す。
扉が外れる。
無事でいてくださいトレーナーさん……!
「カフェ!おい、カフェっ!!……くそっ!聞こえてないのか!!おいフク、追うぞ!!!」
「……追うって誰をです?」
「なっ……!」
「今回は私とトレーナーさんだけで来て……あれ?でも、今回は、あれ?」
「……そういうことか……。どうする……いや、まずは追うべきだな……いや、そうだ。おい、フク、行くぞ」
「へ?行くって……?」
「いいから行くぞ。あとお前に一つ占ってほしいことがある」
≫62二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:04:02≫61
ここはどこだ?
頭に靄がかかっている。コツ、コツ、コツ、コツ。確か部屋に入って。何もなくて。大きな音がして。コツ、コツ、コツ、コツ。どうやら座り込んでしまっているようだ。暗闇に目が慣れてきた。足元を見る。
無数の虫が這い回っていた。
虫が手に上がってくる。手袋の上なのに、直接肌を蠢かれる感覚。コツ、コツ、コツ、コツ。不思議と不快感はない。
手袋ごと手に穴を開けられる。痛みはない。血も出ない。コツ、コツ、コツ、コツ。虫が潜り込む。
周囲を見る。無数の木製のマネキンが私と同じような姿勢でうなだれていた。
指先から感覚が失われる。コツ、コツ、コツ、コツ。見ていると、一つのマネキンの首が落ちた。断面から木くずがあふれ出る。ああ、成程。床の粉末はあれか。私もああなるのか。
コツ、コツ、コツ、コツ。腕の感覚がなくなる。私も消えるのか。
いや。───────。そもそも私は既に消えていたのかもしれない。こんな得体のしれない体になって。コツ、コツ、コツ、コツ。
誰が私を求めるんだ。誰が私を覚えているんだ。───────。いないのと、同義じゃないか。
コツ、コツ、コツ、コツ。ならば。───────。こんな空っぽの身体など。コツ、コツ、コツ、コツ。
───────。
誰かが誰かを呼んでいる。コツ、コツ、コツ、コツ。
─────さ─。
私?そんなわけない。コツ、コツ、コツ、コツ。
─レ──ー──。
私を待っている人なんて。コツ、コツ、コツ、コツ。
───トレーナーさん!
≫63二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:04:55≫62
意識を取り戻した感覚があった。肩口から先に痛みが走る。喪った、痛み。物理的なものではない。甘く束縛するような痛覚を振り払い、改めて思考し始める。
足元に群がる米粒大の虫を見る。
───シバンムシ、か。
シバンムシ。死人の枕頭に集って息を殺している静寂の中で、雌雄が建材に己の頭を打ち付け交信を行う音が聞こえるということから、「臨終を看取る虫」、だから「死番虫」。
そしてこの状況において特筆すべき生態は、極めて厄介な建材害虫である、ということだろう。木材に穿孔し、そこから中を食害する。外観からでは表面の穿孔しか分からず、気づいた時には薄皮と特に固い部分のみを残し内部は細かな食い滓のみ、ということがまあある。
先程の思考の傾向から類推するに、“存在意義を喰う”、といったところだろうか。自分が忘れ去られる感覚。きっと今も私の中で進んでいるんだろう。ではなぜ。結局は起こす理由が分からなければ、既に怪異に囚われている現状は打破できない。
入ったときとは様変わりした、しかし不快な湿気は変わらない教室を見回す。カーテンレール。そこにかかった一枚の木製掛名札。念のため床を見回す。木粉で分かりづらいが同様の、しかし朽ちてボロボロになったような掛名札が落ちている。一、二、三枚。損傷の進み方からも順番がある。
怪異のそばに未だに過去の元凶と思われるものがあるなら、怪異の性質は十中八九「執着」。部室の怪と言われていて、現に部室に入るまでカフェが存在に触れなかったなら存在類型は「空間型」だろう。そして他の三人がこの空間にいないということは私だけが囚われ、影響下にある、ということ。誘い込み型か。空間に誘引し、もっとも与しやすい者を捕らえ消化し、文字通り“虚ろな木偶の坊”にする。元々四人だった関係が失われ、三人になれば、あとは瓦解するのは一瞬だ。一人存在を忘れ去られれば、きっと他の2人を忘れることに痛みはなくなる。三に執着しているのは、最初のひとりを忘れ去ってしまっている反動だろう。そこまでやっても、思い出せないのだ。
ここまで推論できれば。あとはやることは明確。間違っても既に掛かっている掛名札を落とす真似はしてはいけない。それは怪異の否定。その場しのぎにはなっても再び同じ事を繰り返すだろう。彼らが真に何を望んでいるのか。これ以上犠牲者を出さないためには、それを再現してやる必要がある。
≫64二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:05:14≫63
腕は動かない。だから何だ。必要とされない?違う。私はカフェのトレーナーだ。カフェを支えなければならない。たとえ私の姿形が変わろうとも。たとえ彼女が私を忘れても。私が彼女を支えたいのだから。支えるのだから。
芋虫のように這う。眼前には蟲。気にするものか。どうせ怪異だ。フクキタルのトレーナーでもなければこちらからは触れられやしない。それにこの格好もお前たちとは違うということが実感できて悪くはない。
口に三つ。木札を咥える。普段から咥えているんだ。三つに増えたところで苦でもない。ああでも、これが終わったら一度燻らせなければ気が済まないな。
足に力を込める。彼女を支えるために。私は立たなければいけない。助かった。木札が口で掛けられる位置で。それもそうか。普通は手で掛けるから。だから最初に手を蝕む。痛みと悼みは不要だから。忘れるのだから。残念だったな。私はそうではない。
一つ。二つ。
三つ目を掛けようとしたところで、足が崩れ落ちる。
まずい。この木札は最後に掛ける、即ち最初に無くなった木札。損傷が激しい。このまま落としたら───。
≫65二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:05:38≫64
「っらああああ!!!」
窓が割れた。風が入ってくる。足の痛みが和らぐ。空間の一部を壊されたからだろうね。既に二枚掛けた時点で空間の効力が、彼が干渉できるぐらいには弱まっていたということか。倒れそうになるのを、済んでのところで膝立ちになる。
「トレーナーさん!」
私を呼んでくれた声が聞こえる。君のおかげで私は私を失わずに済んだ。
横目に見遣るとフクキタルのトレーナーが部屋に入ろうと一歩踏み出した瞬間一瞬苦い顔をして止まった。ああ、そうか。君は踏みつぶせちゃうもんな。トレーナーが急に止まったものだから後ろについていたフクキタルもピタリと止まる。その内にカフェが駆け寄ってくる。私が咥えているものに気付いたので、視線でカーテンラックを示してやれば、すぐに察して私の口から掛札を受け取り、既に掛けた三枚の横に並べる。
その直後、部屋の虫が全て消える。マネキンも消え去り。何もなかったかのように全てが外から入った直後の部室に戻った。
腕が動く。念のため手袋を外して手を見ても、どこにも穴はない。
「お二人とも大丈夫ですか!?」
フクキタルが申し訳なさそうに見つめてくる。怪異が消えたからきっといままで私を忘れていたのを思い出したのだろう。
「……悪い。一瞬でもお前のことを忘れたことが恥ずかしいを通り越して怒りまで湧いてくるわ」
「構わないよ。私が一番最初に連れ去られた、ということはそもそも私自身が君たちに対して自信がなかったんだろうね、すまない」
「……トレーナーさん……」
カフェがひしと抱き着いてくる。
「ありがとうカフェ。君のおかげで、私は私でいられた」
「忘れるわけ、ないじゃないですか。私のトレーナーさんなんですから」
その言葉に感極まって、思わず抱きしめ返す。ああ、やっぱり。君のためなら私は。
≫66二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:06:04≫65
「……じゃあ今度こそ帰るか」
「ふう……今回は“アタリ”でしたね」
「うう……こんなの時々で……イヤ時々でもダメです~!」
「全くだね。こんな思いは懲り懲りだよ。今もちゃんと歩けるか怪しいよ」
カフェに肩を貸してもらいながら、教室を出た。
「今後は君たちとも───」
コツ。
音がした。
コツ。
あの悪夢のような体験の中で、散々聞いた音が。
コツ。
皆が振り返る。
コツ。
巨大なシバンムシの成虫が、天井に張り付き頭を叩きつけていた。
≫67二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:06:24≫66
「……走れ!!!!」
誰が叫んだか。フクキタルのトレーナーはフクキタルの手を引き、カフェは私を咄嗟に抱きかかえて走り出した。
なぜだ?怪異は満足させたはずだ。再び現れるようなことがあるか?いや違う。あの怪異は空間型なんかじゃなかった。あれがおそらく“怪異本体”だ。思えば部屋の天井はまともに見てなかった。聞こえる音が1個だった時点で、あの大量のシバンムシのほかに何かがいると考えるのが自然だったはず。ではどうすればいい?考えられることはあの部屋で完結したはずだ。
「おい!」
その時、フクキタルのトレーナーに声をかけられた。丁度階段を駆け下りていたところに。
「フクに占わせた!出口!北口だ!!」
ああ、なるほど。全て合点が行った。
「───あっ」
その瞬間、フクキタルが階段の最終段を踏み外し、転んだ。
「フク!!!」
フクキタルのトレーナーの意識がそちらへ向く。ケガはないだろう。だがあの怪異は追いつく。
「カフェ!!私を北口へ投げろ!!」
「!?そんなこと……!」
「いいから!!私は君を信じている!だから君も私を信じてくれ!!」
「っ!……わかりました!!!」
最大限の注意を払いカフェが私を北口へ放り投げる。だが目測50m。この身体でもただでは済まないだろう。まったく。今日は体を張ってばっかりだ。だがさっきはカフェのためだし今回はカフェがしたのだからまあ悪くはないか。
受け身を取る。それでも殺し切れない衝撃に全身が悲鳴を上げる。気合で立ち上がり、北口へ気力で走り、取っ手を掴み。
出ていくのではなく、開放する。
≫68二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:06:45≫67
刹那。強風が吹き荒れました。虫の外骨格が、ボロボロになっていきます。それでも、虫は進んでいきます。フクキタルさんを通り過ぎ、フクキタルさんのトレーナーさんを通り過ぎ、西口、北口、東口への分かれ道である三叉路の中央で立ち止まります。西口から、同じようにボロボロの虫が現れました。東口からも。三匹が集まったのち、風の吹き荒れる北口から人型の霊が現れます。人型の霊が、虫に駆け寄ると。虫の外骨格が剥がれ、同じように人型の霊になります。四人は抱き合い、互いを慰めるようにしながら、光の粒子となって消えていきました。
風が、そののちに止みました。
≫69二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:07:05≫68
後日。私は病院を訪れました。無茶に無茶を重ねたトレーナーさんのお見舞いです。幸い致命的なものはなく、ウマ娘の身体もあって明後日には退院できるようです。日頃の不摂生が無ければ一日で戻れましたが。
「やあ、カフェ」
「トレーナーさん……具合の方は、いかがで……?」
「大丈夫さ。既に病院の中なら移動が許されているよ」
「一回許されないほどに……無茶をした、ということですよ……?」
じろりと睨む。困ったようにトレーナーさんは笑う。その顔を見てしまうともう強く出られない。
「今朝……あの部屋で、マネキンが1つ砕けているのが見つかったそうです……」
「……そうかい」
結局学園側に聞いてみても、あの部室が何に使われていたのかはわかりませんでした。トレーナーさんによれば、離別への拒絶。その執着が暴走し、皮肉にも離別の概念そのものとなってしまった怪異ということですが……。
「……トレーナーさんは、どこにも行きませんよね……?」
前とは姿の変わってしまったトレーナーさん。少し不安を覚えてしまう。
「……当たり前だ。君を置いてなんていくわけがない。私は君のトレーナーでありたい。いや、君のトレーナーでい続けるよ」
「……ふふ」
少しの間見つめ合う。トレーナーさんの瞳は覚悟に満ちています。それがたとえ他の人から病的だと言われようと、私を捉えて離さない、変わらないその目を見ると安心します。
「では、きちんとした生活を送るべきですね……」
「うぐっ」
「病院食の方がまとも、というのはいささか人、いやウマ娘としてどうでしょう……ほら、噂をすれば」
言われて耳を澄ますとトレーナーさんは少し厄介そうな顔をする。ふふ。押しが強いあの二人に、何とか頑張ってもらいましょうかね。きっと今日のお見舞いは豪勢でしょう。
「あっ、ここですよトレーナーさぁん!」
「うし、この機会だ。きっちり果物摂ってもらおうじゃねぇか」
部屋の名札を読み上げ、二人が入ってくる。窓を開けた病室には、心地よい風が吹いていた。
終
≫80二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:16:19めじろ。
ジリリリリ、とアナログな目覚まし時計の音が鳴りました。安らかな眠りの時間が終わりました。
「んん…」
メジロ家の豪勢なベッド、起き上がるのは令嬢、メジロマックイーンです。
「お嬢様」
起きてすぐ、そこにはメイドたちが待っています。彼女の身の周りの世話をするのは彼女たちです。
「おはようございます」
「ええ、おはよう」
メジロマックイーンの朝はジョギングから始まります。今日はメジロ家近くの河川敷を一周します。朝の鍛錬はメジロ家の令嬢として欠かせない日課です。
「おう、おはよーさん、マックイーン」
「あら、おはようございます」
芦毛のウマ娘が声をかけてきました。ジョギング中によく会うウマ娘です。
「今日もなかなか気持ちの良い朝ですわね」
「そーだな、昨日はあんなにジメジメしてたのに今日は爽やかな気分だ。そんな時は」
「ええ、いつものように」
芦毛のウマ娘とメジロマックイーンは笑いました。
「「あそこの橋まで競争!」」
そして芦毛のウマ娘とメジロマックイーンは走りました。そこそこ広い河川敷ではデッドヒートが繰り広げられ、結局同着となり、二人はそこで別れました。
≫81二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:16:38≫80
メジロマックイーンは折り返し地点のベンチで一休みします。休息もまた鍛錬に必要なものです。
「お、今日もいるな、マックイーン」
そこに、栗毛のウマ娘が訪ねてきました。彼女もまた、メジロマックイーンと親密なウマ娘です。どうやら同じようにジョギング中です。
「ええもちろん」
「良いな、毎日変わらなくて。サボりは滑落の一歩目だ、そのまんま行けよ」
「ええ、あなたこそ」
そう長い時間休んでいるわけにもいきません。メジロマックイーンはベンチを後にしました。
メジロマックイーンは帰宅しました。
そこには3人のメイドが待っています。
「お帰りなさいませ、マックイーンお嬢様。毎日の鍛錬お疲れ様でございます。こちらタオルです」
「ありがとう」
廊下を歩きながら、洗い立てのふわふわのタオルでメジロマックイーンは汗を拭きます。ふと右を見ると、朝のメジロが鳴いていました。そして、窓にはメジロマックイーンが映っていました。
メジロマックイーンはタオルをメイドに返しました。
「今日もいい乾き加減でしたわ」
「お褒めに預かり光栄でございます」
メイドたちはタオルを受け取り、整列しました。
「我らメイド一同、あなたさまの天皇賞への走り、今日も応援させていただきます」
「ええ。メジロマックイーンは、メジロ家の悲願たる天皇賞、制して見せますわ」
メジロマックイーンはにこやかに笑いました。
≫83二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:17:39≫81
そして。
「…けど」
手を振りかざして。
「これは些か悪趣味だな」
右手の窓を、叩き割りました。ガラスは音もなくどこかへ散って行きました。風が "その" 髪をはためかせました。
「ああ。メジロマックイーンは天皇賞を獲る。俺が保証してやる。だから黙ってみてろよ誰かさん」
"それ" は不敵な笑いを浮かべます。令嬢に似合わない野蛮で、何かを嘲笑する憎たらしい笑顔です。
「その程度で何かできると思ったか?俺がどうなろうと変わらず接してくるやつ、俺がどう見えようと俺を知ってくれてるやつ。そして、俺がどう変わろうと引き戻してくれるあいつと、絶対に変わらないと決めた俺。少し役不足だったな、俺の幸運と意志にとっては」
それはあまりにも硬い意志と信用の顕れ。ああ、なんと憎たらしいことでしょう。わたしはこれを幸福に導いてやろうと言うのに。なんと愚かなことでしょう、それを頑なに拒絶するなんて。
「ええ、そう。なら、楽しみにしていてくださいな。それらが力不足になるその時を」
「トレーナーさん?」
「んあ」
マクトレは起きた。トレセンの一角にあるベンチで寝ていたようだった。
「あら、おはようございますマックイーンさん。少し寝ていましたわ」
「あの、これは…」
マックイーンの指差す方向を見ると、壁に少しヒビが入っていた。まるで、マクトレの右腕がそこに思い切り叩きつけられたかのように。
「…気にしないでくださいまし。少なくともわたくしは壁を殴った記憶などございません」
「この状況でそんなこと言うんですの!?」
マクトレは笑ってごまかした。
二人はティータイムへ、そしてトレーニングへと向かう。変わることのない、熱く硬い意志をその胸に宿しながら。
≫94やっぱり妄想して文で(ry21/09/29(水) 23:25:37今、私の前には猫がいる。
「おや、子猫ちゃん。きみはどこから来たのかな?」
そう私が問いかけるとその子はなーお、と答えてくれた
もちろん、何をいっているかは分からない。
だから……、一先ずはこちらで預からねばならない
≫95やっぱり妄想して文で(ry21/09/29(水) 23:26:00「と、いうことで預かってくれないか、ヒシアマ。一時的なものなら寮長権限でどうにかなるだろう?」
寮の中。私は両手で猫ちゃんを抱える。それを見たヒシアマが怪訝な声を上げる
「いや、そういうのは普通自分でやるもんじゃないかい?」
ああうん。まあそうなんだよね。そうしたいのはやまやまなんだけど
「その点に関しては、私は問題ないんだ。私は」
「あー……そういえばそうだったな。スマン。野暮なことを聞いた」
問題なのは、私のトレーナーさんである。
重度の喘息持ちで、動物の毛が全般OUTなんだ。猫ちゃんに触った場合、しっかりシャワーをして服も洗濯しないとそれだけで彼を苦しめることにならない。
「ホント難儀な体してるよなぁ、お前のトレーナー」
「ホントだよねえ」
動物の毛がアウトなだけでも厄介なのに、彼の体はそれ以外にも厄介な面が多すぎる
まず彼の喘息は本当に重度で、動物の毛のみならず、排気ガスや煙も軒並みアウト。運動ができないのは当然どころか、普通に生活しているだけでも地雷が多すぎる
次に消化器が十分に働いていない。なので大抵のものは十分に食べられない。許容外のものや許容量以上のものを食べると腹痛と下痢がひどくなるし時には嘔吐してしまう。だから食事はいつもウィダーやカロリーメイトドリンクとサプリメントで済ましている。
甘やかし上手な彼についつい甘えてしまうことは多いけど、
「……いっそのこと、ウマ娘になっちゃわないかなあ」
そうすれば、完全な健康体になるのではないだろうか。
「まあ、ああいう奴を一番にするべきだよなぁ。……こういうのも何だけどさ、何考えてるんだろな、女神様ってのは」
本当に。テイオーがトレーナーがウマ娘になってから四苦八苦右往左往するのを見て、私もそう思わざるを得なかった。何で苦難があるところにばかり着て
「……と、話題がそれちまったが……スマン。今日一日は預かってくれないか?ちょっとアタシも野暮用があってさ……」
「ああ、いいよ」
この後トレーナーさんと用事はない。明日ヒシアマに渡してからシャワー等を浴びれば多分問題はないハズだ
「一日ぐらいなら、どうとでもなるさ」
≫96やっぱり妄想して文で(ry21/09/29(水) 23:27:44と、思ったんだけど御猫様というのはなかなかに厄介者で
「あ、ちょっと、そっちの壁で爪とぎしちゃダメだって!!」
トイレ、爪とぎ、食事とあれやこれやで手間をかけさせられている。今も、一応仮組で用意した爪とぎ用の板じゃなくて普通の壁で気儘に爪とぎをしてしまっている。修繕をどうしようか考えると頭が痛い
多分誰かが秘密裡に飼ってるであろう猫だ。あまり大事にはしたくないから自分で預かって裏で聞いているんだけど……。未だにヒットはしていない。……ネコ用グッズを買っておくようにヒシアマに連絡しておかないと
そんななかスマホが着信メロディを流す。誰かと思って確認すると、画面には「トレーナーさん」の文字
「もしもし?」
小さいが高めかつ落ち着いた声。聞きなれたあの声だ。
「もしもし。聞こえているよ?トレーナーさん」
「うん、また例の、なんだけど。ヘリオスのトレーナーさん……爺様がウマ娘化したってさ。まあヘリオスとあの人なら大丈夫だと思うけど、一応連絡をね」
内容は、最近増えてきたウマ娘化の連絡だ。テイオーの例も考えると、トレーナーがそうなってしまった娘達のサポートが必須だろう、ベテランであることと世話焼きな性格からトレーナー達をサポートする役目に自然となった彼から、私やヒシアマにウマ娘化の連絡をすることが最早お決まりとなった。
「うん、ありがとうトレーナーさん、いつも助かるよ」
「どういたしまして。ただサポートもいいけど、他の娘達のことばかり考えて無茶しないようにね。そういうことに関しては、フジに信頼はあまりないから」
スマートフォンのスピーカーから耳が痛い一言が流れてくる。うん、それは確かにその通りなんだけど
「あはは、トレーナーさんにだけはあまり言われたくないかな」
なにせ、態々私生活が等閑な人に手料理作って届けちゃったりするような貴方にはね
「まあ、君が幸せなだけで私は幸せだから心配しないで。特に笑顔なら疲れなんてないも同じさ」
はぁ、と声が聞こえる。最初のころはこれぐらいでも照れ切っちゃって可愛かったのだけれど、今は彼も慣れてしまったらしい。最も、だから彼の魅力を損なうことはないのだけど
≫97やっぱり妄想して文で(ry21/09/29(水) 23:28:33「毎度思うけどソレ33歳のおじさんに対していうセリフ?」
「年齢で君の魅力は変わらないよ。10年後にも全く同じセリフを言っていると確信してる」
言葉が止まる。今度は流石に照れてしまったらしい、やはり貴方は可愛らしい人だ
と、思ったところで、真後ろから物音がする。恐る恐る振り返ると、例のネコ様がテーブルで飲みっぱなしにしたペットボトルを叩き落として零しているのが目に入る
「あ!コラッ!!」
卓上にスピーカーモードにしたスマホを置き、片手で猫を抱えて急いで雑巾を持ってきて床を拭く。
「?どうしたの?」
どうやらこちらの様子が伝わってなかったようで、トレーナーさんは不思議そうな声を挙げている。私は急いでふき取り終えると片手でネコちゃんを抱えたままスピーカーを解除したスマホを耳に当てる
「ああいや、恐らくポニーちゃん達の誰かが内緒で飼ってるであろうネコちゃんを預かっててさ。あんまり大っぴらに言うとまずいから、今ちょっと預かってるんだ。もちろん了承は取っているよ?」
「そっか……」
私の返事を聞いてトレーナーさんは表現しがたい声を上げる。それは感慨。それは悲哀。それは思慕。そのどれもが複雑に混じったような声色だった。
「やっぱり……飼ってみたかった?」
「大丈夫」
そう貴方は言うけれど。ほんの少し、私にだけわかるくらいに声が震えている。それにね、
動物番組をトレーナーさんがよく見ていることは知っている。その度に、貴方が眩しいような目をすることも、貴方が動物園にも行けない体であることも知っているんだよ、私は
「いつも私を甘やかしておいて、自分のことは心のうちに秘めておく、というのはやめてほしいな。わたしたちの前に隠し事も遠慮もいらない、そうだろう?」
「……それ、最初に言ったのは僕、だったよね?」
そうは言ってるものの、トレーナーさんの声が少し和らいだのを感じる。
「やっぱりさ、体が健康だったらな、って思ったことは一度や二度じゃないからね」
諦観と悲しみが電話越しでも響いてくる。どんな表情をしているのか、目で見ないでも手に取る用に分かった
「……ウマ娘化すれば健康体になれるのかな」
かける言葉が出てこない。それでも、無言だけは嫌いなんだ
「……そうだね」
そうして、言葉を絞りだす
「貴方が健康体になるなら、私もこれ以上の幸せはないよ」
≫98やっぱり妄想して文で(ry21/09/29(水) 23:29:22その日の夜。コンコン、とドアを叩く音で起きる。
寝起きの頭を文字通りに奮い起こして、部屋のドアを開けた。
「あ、すいません、フジ先輩」
そこに立っていたのは、暗めの栗毛を持ったウマ娘の少女だった
それを見て、床で寝ていたネコちゃんが跳ね起きて彼女へ駆け寄って行く。
「私の親友を、ありがとうございました。何とお礼を言ったらいいか……」
駆け寄ってきた猫を抱えて、彼女はニッコリと笑う
「ああ、それはかまわないよ……それより」
彼女の姿をしっかりと見る
「君は、何者だい?」
やはり、見覚えがない。
うちの寮どころか、美浦の方も、スタッフにすら、こんなウマ娘はいなかった。自慢じゃないけど、全員の顔をしっかり覚えているから、間違いない
こんなウマ娘は、トレセン学園にいない。
涼しげな顔を今私は出来ているだろうか。冷や汗が頬を伝うのが、嫌に分かる
私の心中を知ってか知らずか、彼女は穏やかに、聖母の様に笑う
「大丈夫、危害は加えないわ。この子が勝手に走って行ってしまっただけ」
彼女の撫でる手に反応して、猫がみゃおみゃおと鳴くのに合わせて、彼女は、そう、そう、と感慨深そうに頷いていた
「お礼はちゃんとするわ。あのお三方に任せるとロクなことにならなさそうだから、私と……セレちゃんの手でやるけど。心配しないで」
そう言いながら、彼女の姿は少しずつ透けていった
「トレーナーさんと、仲良くね?私と同じ様に、結婚するかもしれないのでしょう?」
んみゃーお
猫の声が聞こえたかと思うと、彼女の姿はもう消えていた。
よく見ると、壁のひっかき傷もなくなっている
猫、栗毛、トレーナーと結婚……
「いや、まさか、ね」
ヒシアマにどう説明しよう。そんなことを考えながら、私は床に就いた
次の日の朝、トレーナーさんから感動の電話を受け取ることになるのは、また別の話
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part85【TSトレ】
≫14二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 01:22:36寝相はごく普通だが、「そういうところがあるからキャラ薄いとか言われるんじゃない?」と言われ寝相の試行錯誤を繰り返すカレトレ
助言役を買って出たカレンチャンの前に様々な寝相を試す元お兄ちゃん(パジャマ一枚胸元ちらり)が襲い掛かる──
そしてカレンチャンは──耐えた。
お兄ちゃんの寝相は結局普通だった。
うまぴょいうまぴょい
≫48グラトレ担当?21/09/30(木) 05:25:54太陽が正中へと至る頃、私とトレーナーさんは校庭で木製の薙刀を構え斬り結んでいました
「打ち合えるというのは中々に楽しいなグラス!」
「以前の様な戦い方も好きでしたよ? トレーナーさん!」
そんな風に語り合いながら、脛を狙う薙を迎撃します
幾度と行われてきた模擬戦はトレーナーさんのウマ娘化で更に熾烈なものとなりました
以前のトレーナーさんは膂力で勝る私との打ち合いを避けて攻めて来ていましたが、ウマ娘化で膂力が並んだ今では打ち合いにも挑める程です
そして、以前からの技術もしっかりと持ち合わせている訳で……
「はっ……!」
「……ふん!!」
上段の構えから一気に振り下ろしますが受け流されます
……打ち合いを避ける技術も依然変わらず持ち合わせているのは厄介この上無いです
幾度と斬り結んでいると徐々に打ち合った時の重さが増えている事に気が付きました
…………罠ですね、ある程度力ませてから受け流すつもりとみました……
そう判断して弾く為に強めに振りますが……
「……あっ」
見事に合わせられました……流石トレーナーさんです……小さな動きまで良く見てます……
「貰った!」
体勢を崩した私をトレーナーさんの突きが狙います
膂力で勝る私との打ち合いを避ける為に研鑽し、ウマ娘化で神速へと至った正確無比な突き……
「甘いですよ、トレーナーさん!」
それを間一髪で避け、突きを放ったが故にガラ空きのトレーナーさんの胴に一本入れるのでした
「トレーナーさん、今日は私の勝ちですね」
「…………負けた……」
「約束は覚えてますか?」
「……はい、今日は俺の番だね」
そうして今晩の夕食担当が決まるのでした……
≫82二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 06:41:48理性と本能
グラウンドにて走らずに立ちながら話す二人のウマ娘
杖をさすテイトレとファイトレは雑談に興じていた
話の最中、ふと気になったことをテイトレは彼女に問うた
「そういえば、貴方はウマ娘の本能ってどうしてるんですか」
「うん?ああ、ひたすら理性で抑え込んでいるとも」
「そうなのか…」テイトレは彼女をまじまじと眺める。
かつて自分は足を折るくらいに追い詰められた本能を
理性だけでねじ伏せる彼女に不思議な気分が湧いた
「走ったりとかは」「してない。というかできない」
「そういえばそうだったな・・・」返事からあの事案を思い返す
経緯から彼女の体に興味がわきアグネスタキオンがデータを取ろうとし
そこで走ったファイトレが吐血、失神しかけたことがあったのだ。
これ以降学園から直々に走るなとの処分が下っており
また本人もさすがにきついということであまり走っていなかった
だがそうなれば本当に理性のみで本能を抑えているということになり
―――彼女がいつか俺と同じようなことをしないだろうか
ふと不安になり顔を向ける、彼女は瞳を向けてきた
不思議な静寂、それを破ったのは―――彼女のほうだった。
「君、もしかして私のことを心配しているのかい?」
「・・・なんでわかるんだ」
「顔を見ればわかるさ、経験だとも」
「・・・大丈夫だ。君の思うようなことにはならない」
「あいにく私は鋼の理性持ちだよ、本能に負けることはなかろうさ」
彼女の優しい笑顔をみて、俺は感じていた不安が消えたことに気付いた
「さーて、心配をかけたし今日は私が奢るぞ。何食べたい?」
「ならテイオーも連れてっていいか?」「かまわないとも」
二人は歩き出す、不安を置き去りにするように
「・・・そう、大丈夫だとも。私はずっと引かれていたからね」
「何か言ったか?」「・・・気のせいだろう。フフッ」
≫87二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 06:48:49勉強でわからないところがあって……という口実を元にトレーナーとの接触を図ろうとするナイスネイチャさんはいると思います……いました。見てみましょう
「トレーナーさーんいるー?」
ときは昼休み。声をかけてもトレーナー室から返事はありません。入室状況を示す札掛けを見るにいるはずなのですが
「失礼しまーす……」
おそるおそる部屋に入るとそこにはソファで横になり、眠りこけてるネイトレがいました
「おーおーまた寝てる。勤務時間中も寝てたりしてないかねこの人は」
仮眠とは分かっていてもちょっとオカンが顔を出すネイチャ
ネイトレがまだ人間の頃、ネイチャは同じように寝姿をみたことがありました。仰向けで両手を上に伸ばし片腕を自分の頭に寄せる、見る人が見れば「抱き枕のイラスト……?」と思われそうな格好でした
ヒトデのポーズの変形ですが、当時のネイチャはこれはこれでセクシーと思っていました
ところが今のネイトレは横向きになり、やや足を曲げて小さくなる胎児のポーズでした。胸が邪魔で仰向けが厳しいだろうことは想像にかたくありません
……張りのあるワガママおっぱいめ、揉めば小さくならないものか。あわよくば自分に吸収されたりしないものか。……あっでも吸い取るって、胸を吸うって……
誰もみてないところで慌てふためき奇妙な舞に興じるネイチャ。大丈夫?本当に誰もみてない?
演舞が終わったところでネイトレの顔に目が止まりました。あいも変わらず顔面偏差値だけなら1,2を争える美麗さですが、今は昔と同じように薄く口を開けて寝ています
──ちょっとだけ幼く見える顔、無防備な唇。今この瞬間だけはみんなのものじゃない、私だけのトレーナーさん
床に膝をついたネイチャは長い時間迷った挙句、彼女の手に自分の指を絡ませました。しばらくして握り返されるネイチャの指
ネイトレは眠りについたまま顔をほころばせ、ニヘ、と笑いました
昼休みはもうすぐ終わりそうです
(終)
参考文献: あなたはどのタイプ? 寝相でわかる、本当の性格
https://www.mylohas.net/2014/08/039991sleeping_positions.html
≫95二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 07:06:58超絶短編シリーズ4
フクキレル
「フクトレって何着ても似合いそうですわね」
「お前そんな話するタイプの人間だったか?」
「昨日たまたま見つけた古着屋の虹色のジャージがわたくし似合わなすぎてその時思ったんですの」
「そうか。ま、色々似合うフクキタルに似てるから似合うのかもな」
「マックイーンは服を選ぶビジュアルだって?」
「お前が今そう言ったんだろ」
「その通りですわフクトレ、あなたの言っていることはそこそこ正しいですわ。というかあなたとフクキタルさんの何でも着れそう感がヤバいだけですわ」
「それは褒めなのか?」
「勿論。そこであなたにプレゼントがあるのですが......」
「買ったの?虹色のジャージ?本気で?」
≫106デジトレSS121/09/30(木) 07:35:16デジトレSS
(また、やってしまった)
俺は、ウマ娘化した自分の顔を鏡で見ながら、昨日の出来事を思い出していた。
ウマ娘化して以来精神に異常をきたした俺は、急に泣き出したり不注意になったりと、以前よりも人格が幼くなってしまっていた。
特に、担当ウマ娘のアグネスデジタルと二人きりの時は完全に幼女の精神になってしまい、デジタルに甘えきっていた。
デジタルは、ウマ娘になってからずっと俺を助けてくれた。
自分から見ても危なかっしくなった俺の事を注意深く見てくれている様で、後ろから猛スピードで自転車が突っ込んで来た時は、咄嗟に身体を引き寄せて守ってくれて、見知らぬ男性に言い寄られた時は、間に入ってくれた。
デジタルがいなかったら危なかった場面が沢山ある。
俺は、そんな彼女に対して後ろめたさを感じていた。
何で俺が助けられているんだ、と。
≫107デジトレSS221/09/30(木) 07:35:54ウマ娘化してから、他のウマ娘達に興奮しているデジタルの姿に嫉妬するようになってしまった俺は、また幼児退行を起こしてしまい、泣きながらデジタルを問い詰めてしまった。
「デジタルにとって自分は取るに足らない存在なのか」と。
デジタルは、そんな俺を抱きしめて、「俺の事が何よりも大切だから汚したくなかった」と言ってくれた。
そして、誰にも渡したくないと俺に、首輪を着けてくれた。
嬉しかった、デジタルの___ご主人様の物になれた事が、ご主人様の、特別になれた事が。
だが、もう一人の幼い俺はそんなご主人様にとんでもない事を言った。
暴力行為を要求したのだ。
ご主人様は初めは躊躇し、やめないかと何度も聞いてきたが最終的には折れて、痛めつけてくれるようになった。
これは、所謂SMとは少し違う。
どちらかと言えば、自傷行為に近い。
ご主人様に迷惑ばかりかける自分が許せなくて、俺を痛め付ければ、ご主人様の心も少しは晴れるんじゃないかと思って。
勿論、それは大きな間違いだと分かってる。
言にご主人様は俺を殴るのを楽しむどころか、殴られてる俺以上に苦しそうな顔をしていた。
早く止めないといけないのに、もう一人の俺は止まってくれない。
俺がご主人様を……デジタルを支えないといけないのに。
「ふえぇ……うええぇ……」
考え続けていると、また不安定になり泣き出してしまった。
無理やり溢れ出る涙を拭い、日加のジョギングをする為に外に出る。
≫108デジトレSS321/09/30(木) 07:37:25ウマ娘化してから、俺の中で「走りたい」と言う衝動が沸き上がってくる。
これは俺だけではなく、他のウマ娘化したトレーナー達にもあるようだ。
以前俺は衝動を抑えられず間違った走り方をしてしまい、それを見たデジタルに本気で怒られた。いつもと違う様子の彼女を見てパニックを起こしてしまい、それが今の精神疾患の発見に繋がった。
その後はデジタルに正しい走り方の指導をして貰い、こうして問題なく走れる様になっていた。
「おや?今日はデジタル君と一緒じゃないようだね」
後ろから聞こえた声に振り向くとヤバい方のアグネスことアグネスタキオンが学園指定の赤ジャージ姿で立っていた。
「……タキオンこそ、いつもの実験はどうしたの?」
「勿論やっているよ。ただ新しいアイデアが浮かばなくってね、気分転換にジョギングをしていた所さ」
「身体を動かすと逆に頭が冴える事も多いからね」と言いながら腕や肩を伸ばすタキオン。
そんな彼女を見て、俺はある事を思い付いた。
タキオンの薬を使えば、俺の幼児退行もどうにかなるかもしれない。
「私の薬で解決するのはお勧め出来ないね」
「っ!?」
そんな俺の浅はかな考えを見透かしていたかの様に彼女は話を続ける。
「確かに、私の薬を使えば君の精神疾患を治す事は可能かもしれえない。しかしそれは一時的な話だ。薬の効果が切れれば、また元に戻ってしまうだろう」
「……」
「それに、これは君自信にしか解決出来ない問題だからね。他の誰か、勿論デジタル君でもない。彼らに出来るのはあくまで手助けしかできないよ」
なにも、言い返せなかった。
俺はただ楽な道を選ぼうとしたにすぎない。
自分と向き合うのが怖くて、早くなんとかしてデジタルの役に立ちたかったから。
………だが俺は、どうすればいいのだろうか。
また、心が不安定になって来た。涙が溢れてくる。
≫109デジトレSS421/09/30(木) 07:37:56「ふぅ~ん……」
そんな俺の様子を観察していたタキオンが顎を指で撫でながら口を開く。
「迷っているなら、一度全部染まってみるのはどうだい?」
突然の提案に思わず顔を上げて彼女の顔を凝視する。
彼女の目には涙に濡れた自分の顔が映っているだろうが、今はそれを気にする余裕はなかった。
タキオンは、気にせずに話を続ける。
「今の君は人間としての精神とウマ娘としての精神。相反する二つの心がぶつかり合う事でお互いに拒絶反応を起こしている。拒絶……否定する事で悪影響を及ぼしているなら、いっそ受け入れるのも一つの手だよ」
もう一人の、ウマ娘としての自分を受け入れる。
考えた事なかった。拒絶しなければ、壊れてしまうと思ったから。
自分の心も、デジタルとの関係も。
違う。もう、壊れている。壊れてなければ、デジタルに自分を痛め付けてくれなんて要求しない。
「トレーナーなら今度やるデビュー前のウマ娘達の模擬レースの話は知っているだろ」
タキオンの言いたい事は直ぐに分かった。
レースに出ろ。ウマ娘としての本能に従い、走れと。
断れない。レースと言うたった三文字の言葉が俺の心を沸き立たせていた。
「……でも、何で君が俺にアドバイスを?」
「……君の為ではないよ。デジタル君にはいつも実験に協力してくれて借りがあるからね。あ、分かっているとは思うけど本人には言わないでくれよ?私はこれでも照れ屋なんだよ」
本気とも冗談とも取れる口調で肩をすくめながら話すタキオン。
「言わないよ。どうなるかは目に見えてるから」
タキオンの感謝の意を知ったデジタルが狂喜乱舞する姿を想像して、思わず笑みが零れてしまった。
≫110デジトレSS521/09/30(木) 07:38:34タキオンと別れた俺はデジタルが待つグラウンドに来ていた。
「模擬レースですか……」
「うん。一度でいいから、思いっきり走ってみたいんだ」
そう提案された彼女の顔はハッキリ言って乗り気には見えなかった。
「……レースに出るのはいいんです。ただ、あのレースは事情を知らない学園外の人も見に来ます。万が一みんなが見ている中で発作を起こしたら、トレーナーさんがなんて言われるか……」
デジタルは、ウマ娘になって以来ずっと俺の事を守ってくれていた。
何よりも大切で誰にも渡したくないと。俺に首輪を着ける程に。
だから、俺が傷つくかもしれないレースに出る事を快く了承出来ないのだろう。
「デジタルは、俺を推してくれないのか?」
「え?」
「デジタルはウマ娘の意思を尊重して応援するのがモットーだろ?じゃあ俺もウマ娘だから対象じゃないか」
「いやあ~、それはその通りなんですが……」
俺の心の中では、レースに出られないかもしれないと言う不安で、また幼い感情が出てきてしまっている。けど今は、その感情を利用する事にした。
「お願い、ご主人様。俺を貴女の推しにしてください」
二人きりの時の様に、甘えた犬のような態度でおねだりした。
それを見たデジタルは大きく息を吸いながら空を見上げる。
数秒立った後、吸った息を吐きだしながら真っ直ぐ俺を見る。
「分かりました。アタシが徹底的に育成してあげますよ」
決意を込めた表情で答えるデジタル。
そんな彼女を俺も真っ直ぐ見つめ返す。
そこから、俺とデジタルの特訓の日々が始まった。
≫111デジトレSS621/09/30(木) 07:40:14______それから暫く経って。
俺は、レース場のゲートの中に居る。
芝2000m。
枠順は7番。
俺はここで、自分との決着を付けるつもりだ。
周りを見ると、自分の脚に自信があるのか力強い笑みを浮かべるウマ娘や、顔を青くしてうつむいているウマ娘等、一人一人が様々な思いのこもった顔をしている。
そろそろゲートが開く。
靴の状態を確認して、呼吸を整える。
開いた。
一斉にゲートから飛び出す。
スタートの出来は良好。焦らず前半は温存する。
俺の脳内には、レースに至るまでの日々が浮かんでいた。
『トレーナーさんの脚質は差しですね。前半はなるべく温存しましょう』
デジタルに言われて通り、後半は抑える。
だが、幼い俺がまた出てこようとしている。
もっと前に、早く前に出たいと。俺の身体を揺さぶって来る。
脚がもつれそうになると、再びデジタルの声が脳内に響き渡る。
『力みすぎはダメです。無駄な力はかえってスピードを遅くさせますから。大切なのは軽く強く走る事です』
脚の動きの感覚は頭に叩きこんだ。
踏み込みのリズムも、力加減も、腕の振りも。
全身の筋肉に神経を張り巡らせる。
ゲートで見た力強い笑みを浮かべるウマ娘が先頭を逃げている。
まだスタミナに余裕がありそうだ。
これは、スパートのタイミングを間違えたら勝てないだろう。
最終コーナーが近い。
先頭との距離が想像より離されている。
もうすぐ、俺の全てを開放する時だ。
≫112デジトレSS721/09/30(木) 07:40:56(ごめんね、たくさん待たせて。一緒に行こう)
ずっと否定し続けていた幼い俺にそう告げると、脚の筋肉に全神経を集中させ、一気に踏み込んだ。
____その瞬間、誰かに背中を押されたような感覚がして、身体が軽くなった。
「おおっとここで7番!!大外から突っ込んで来た!!!」
バ群を抜け大外を回って先頭目指して突き抜ける。
前を走るウマ娘達を一人、二人と追い抜いて行く。
けれど、先頭を走るウマ娘まではまだ遠い。
「……せ……」
ふと、声が聞こえた。
先程のトレーニングしていた頃の記憶……じゃない。
その頃には聞かなかった言葉。
「差せっ……差せっ……」
トレーナーなら必ず聞くし、言うであろうあの言葉。
俺が、デジタルのレースで何度も叫んだ言葉。
重賞程ではないにしろ、決して少なくはない観客達の中で、デジタルの声がハッキリと聞こえる。
「差せえええええええっ!!」
「ああああああああっ!」
その声に応える様に脚に力を入れて、もう一度スパートに入る。
先頭との距離がどんどん縮まる。
並んだ。
相手の脚色は衰えない。
絶対に抜く。差し切る。
あと少し。あと少し…………あと____________
≫113デジトレSS821/09/30(木) 07:42:18ふらついた足取りで彼女の、デジタルの元へと向う。
呆然とした顔で俺を待っていたデジタル。
俺は、汗にまみれた顔で笑みを浮かべる。
「…………勝ったよ、デジタル」
それを聞いて、デジタルの顔が歪む。
拳を強く握り、身体を震わせ、歯を食いしばる。
そして、泣き出した。一目もはばからず。大きな声で。
「……幼い、子供みたいだな」
「あなたが言うな、あなたがそれを言うなあああああっ」
「どうだった?俺の……君の推しの走りは」
「とうといよおおおおおっ!!尊すぎてしにそうだよおおおおっ!」
「……デジタル。もう、死んでるよ」
「うえええええええっ………え?」
目には俺の顔を見たと同時に白目を剥いて倒れたデジタルと倒れた身体から出て来た半透明のデジタル。二人のアグネスデジタルが映っていた。
≫114デジトレSS921/09/30(木) 07:42:49「ねえ、デジタル。お願いがあるんだ」
倒れていたデジタルの身体を抱き起しながら言う。
「殴ったり痛めつけて欲しいなんて言わない。ただ、一緒に歩ませて欲しい。デジタルの特別になりたいんだ」
ウマ娘になってから、密かにあったデジタルに対する想いが強くなっていた。
男だった頃は気付かなかった感情を、この身体になってからハッキリ自覚した。
俺は……いや、あたしはこの感情を受け入れる事にした。
ウマ娘としての自分を受け入れた様に。
「んぅ……」
魂が入ったのか、白目を剝いていたデジタルが目を覚ました。
何度か瞬きをした後、口を開く。
「勿論特別ですよ。だって、トレーナーさんは相棒ですからね!」
そう言って、いつもウマ娘達を見る様な朗らかな笑顔を浮かべた。
(あーこれ伝わってないな)
デジタルはかなりの鈍感だ。
あたしがおかしくなっていた時に伝えた想いも、精神が不安定になった故に口走ってしまった本心ではない言葉だと思っているのだろう。
彼女が言った「ペットになって欲しい」も、照れ隠しの冗談が混ざっているのは何処か感じていた。
(まあ……デジタルがあたしを想ってくれてるのは確かなんだし、これからゆっくりと自覚させれば良いか)
そんな事を考えながら、立ち上がってデジタルと共にレース場から立ち去る。
歓声が、小さくなった俺の背に降り注いで来た。
≫159二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 08:31:13トレセンの防犯訓練
トレセン学園は定期的に防犯訓練を行っている。
学園の警備員や警察と連携して生徒並びにトレーナーは訓練しているのだ。
「なあマクトレ」「なんですのアホ・・・じゃなくブラトレ」
「・・・今回の防犯訓練どうだった」「・・・割りと本気でビビりましたわ」
そう、この学園だが訓練がリアルすぎるのだ。もともとは犯人役は警察の
方に任していたがトレーナーからも有志を募ったのが運の尽き
下手な犯罪者よりも怖い代物になってしまった。
「なあ、犯人役ってもしかしなくともあいつらだよな」
「ええ、わざわざ声のトーンを変えて喋ってましたけどあれはファイトレとカフェトレですわ」
「・・・突っ込んでいいか?」「ご自由に」
「なんであいつらそんなにエミュがうまいんだよ!ガチでテロリストかと思ったじゃないか!あれか、実際にやったことでもあるのか!」
「落ち着いてくださいまし、とはいえ思い返すと今でも鳥肌がたちますわ。服装は愚か会話すら外国語でこなしてるのは正気の沙汰ではありませんでしてよ」
「しかもモデルガンとはいえ実銃の発砲音を入れたものを持ち出してくるとか普通考えないんだが、おかげで発砲音がいまだに耳に残ってる気がする・・・」
二人して思い返す。
―――「動くな、少しでも叫んでみろ、校舎を吹き飛ばすぞ」
『警察はどうしている?』『こちらを遠巻きに囲んでいます』
『見ておけ、動いたら知らせろ』『了解しました。』
「いいか、逆らうんじゃねえぞ。もし逆らったら・・・
バァンッ!
- こうなるぞ。生きてたいなら動くなよ」
―――思い出すだけでも恐怖心が芽生える
今回恐怖で泣いたのが生徒だけでなくトレーナーの方からも出たが無理もない
この学園、その手の役が妙にうまいトレーナーが何人もいるが今回は特にリアルだった。
また理事長も遠慮なくしてくれと容認してるので毎年の訓練は怖がられているのだ
この後恐怖を追い払うためにストゼロを決めた二人であった
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