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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part71【TSトレ】
≫9二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 18:59:03たておつしっぽSS
「あ、カレン!ちょうどよかった」
「ふふ…どうしたの?お兄ちゃん。カレンから離れてもう我慢できなくなっちゃった?」
「ごめんお姉ちゃん…ちょっと寂しくて…」
「もうしょうがないなぁお兄ちゃんは…って待って違うよね?たぶんそういう話じゃないよね?」
シームレスに妹と化すお兄ちゃん。そう、彼は経験則から妹化するとカレンチャンの攻めが緩まるのに気づいていた。
「うん…実はカレンに…その…プレゼントがあって…」
「へぇ~? なにかな? お兄ちゃん♡」
からかうような口調のまま渡された紙袋を開けるカレンチャン。そしてカレンチャンが袋の中身を確かめると──そこには小さなアクセサリーが入っていた。明らかに、葦毛で編まれたと思われるミサンガが。
瞬間、思考が完全に停止するカレンチャン。珍しく狼狽えているカレンチャンを見て、お兄ちゃんもなにかまずいことをしてしまったのではと不安になり声をかける。
「ど、どうかなカレン? その…ウマ娘は親しい仲だとこういうのを贈るって聞いたから、頑張って作ってみたんだけど…」
「…………うん、大丈夫、落ち着いた。カレン平気。はい平気。うん平気。分かってる分かってる。どうせ耐える」
「全然大丈夫じゃなさそうだよお姉ちゃん!」
シームレスに妹と化すお兄ちゃん(二度目)。彼は経験則から、妹化するとカレンチャンに姉としての自覚が芽生えて思考等が比較的落ち着いた感じになることに気づいていた。
カレンチャンは頭を抱えながらぶつぶつと何かを呟いた後、はぁと一息吐いて、お兄ちゃんに向き直り、ゆっくりと言い聞かせるように─お兄ちゃんに向けてか、はたまた自分に向けてか─話す。
「あのねお兄ちゃん…自分の尻尾の毛でアクセサリーを使って相手に贈るっていうのは…」
ひとしきり説明を聞いた後、お兄ちゃんも頭を抱えた。これでは自分から告白したようなものではないか。いかん負けた気がする。
だが──まあ知らないで渡したのならセーフで──
≫11二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 18:59:20「ねえお兄ちゃん、もしもの話なんだけどね?」
しかし、カレンチャンがそこで手を緩めるはずもなかった。
「もし、カレンがこのミサンガを付けてウマッターとかウマスタに写真をあげてたりなんかしたら…どうするつもりだったの?」
「え?」
「ふふ…お兄ちゃん、実は知らない振りをしてただけ?」
「いや…というか待ってくれカレン、今はこんな体だし…」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ。それにカレン思うの。今のお兄ちゃんは鏡を見るたびに私を見ているようなものでしょ、それって少し…ずるいんじゃないかなぁ?」
「いや待って意味が分からないよお姉ちゃん!」
シームレスに妹と化すお兄ちゃん(三度目)。二度あることは三度ある。
「それに、お兄ちゃんも知ってるでしょ?」
しかし、カワイイの顔も三度まで。カレンチャンは止まらず、お兄ちゃんを壁に押し付ける。
そしてお兄ちゃんの耳元でゆっくりと囁くように──
「カレンは欲しいものは絶対に手に入れるって♡」
そしてお兄ちゃんは──耐えた。
カレンチャンはキレた。
その後このミサンガについては、お兄ちゃんに聞かれたアドマイヤベガ曰く、カレンチャンが部屋で大事に保管しているが、たまに夜に取り出してぼーっと見つめていることがある、とのことである。
カレンチャンはキレた。
うまぴょいうまぴょい
≫34二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:09:14アウトプットとインサイド。
「最近トレーナーさん口調が変わってきてません?」
「へ?」
日課のティータイムでマックイーンは切り出した。
「結構な頻度で一人称わたくしになってますし、最近わたくしと同じような喋り方になっていますのよ?」
「そうなのですか?......確かにそうで......な...」
知らぬうちにマクトレは変化していた。甘いものを好み、令嬢の言葉遣いを嗜む、1人のお嬢様として完成されかけていた。
「なので少し心配なのですが......」
「あー、わかった。なにか思ったら伝えるよ。とにかく今日はトレーニングに行こうか」
マクトレは決意していた。何があろうとマックイーンを全力で支えると。その決意にゆらぎはなく、それが揺らぐ気もしていない。
だが、マックイーンに心配をかけてしまうことも良くない。自分とマックイーンの両方が折れずとも、その間の距離が変化すれば二人三脚は瓦解する。
マクトレは自分の変化を心に留めておいた。
十数分後。
「さ、トレーニングに行きましょうか」
「え、ええ」
2人は共にグラウンドへ向かう。今日のトレーニングは芝の上での走り。慣れるべき環境に慣れつつスピードを上げる訓練だ。
マクトレの頭の中に複数のビジョンが浮かぶ。
ただの走りではなく、臨機応変にルートを選択する訓練もしたらどうか。芝の上にほかのウマ娘を想定した障害物を置きそれを避けるルートを予め考える、インカムで司令して中心からの距離を柔軟に変更する、など。ウマ娘になって何度か走ってみて、今までになかった案が浮かんでいた。
≫35二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:10:04≫34
「なあマックイーン、提案があるんだ」
無意識に口が開き、そして気がついた。自分の口調について。
「なんでしょう?」
「インカムを使った訓練だ。俺が目の前に何人並んでいるのを想定しろと言ったら、その抜き方をそっちが考えて走る。いいと思わないか」
「あら、面白そうですわ。一度やって見ましょう」
とりあえず提案を先にして、続ける。今何に気がついたか。
「それともう1つ。さっき言いましたわね、わたくしの口調が不安だと」
「!え、はい。今も変わってますわよ」
「心配しないでくださいまし。気付きましたわ」
なにを、という顔のマックイーンにニヤリと笑ってみせる。
「お前のトレーニングについて、お前の勇姿について考えていると、俺はトレーナーとしての気持ちが昂ってくる。すると前の通りの口調になってる気がするんだ。──そして。そうでないときは少しづつ、あなたに寄ってきている気がするのです」
「なんですのその漫画のキャラクターみたいな設定は!?」
「そうですわね」
確かに、と思う。だが自分の身に起きていることは実際そうだった。そして、それは幸せな事だった。
「けど、だからこそ安心できるんだ。俺がトレーニング中に俺である限り、お前のために尽くせることに変わりはない。俺は俺であり続けてるって証明になるんだ。だから言っておく」
立ち止まり、親指を立てる。そして真っ直ぐ彼女を見つめる。心の底から大丈夫と。
「心配するなら、トレーニング中にお嬢様になってからだ。それまでは俺の重要な部分は全く変わってないことになるからな」
それを見て、マックイーンもまた凛々しい笑顔で返した。
「......なるほど。ええ、あなたがそう言うなら私もそう考えましょう。それにもしあなたがどこかへ行ってしまったら、私が連れ戻して差し上げますわ。二人三脚、ですものね」
「どこにも行かないさ。さあ、さっき言ったトレーニング、やってみるか!」
≫61二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:25:54これはスレ50行った頃から書いてました
見分け方は、ブラトレはヤンキーっぽい方、テイトレはガキっぽい方、フラトレは少年っぽい方、フクトレは成人男性っぽい方、あとマクトレですですわ
フラトレのエミュが下手です 許して
あと尊い系じゃなくてほんとただのわちゃわちゃです 許して
あと私は山梨県民じゃないです 行け(豹変)
3200温泉旅行 1節 レイルウェイ
夕日も沈んだ頃の冬の立川駅。
トレーナーウマ娘化騒動が始まってかなり時間が経った頃。
ブラトレ、テイトレ、マクトレ、フクトレ、ルドトレ、フラトレの間には親交が生まれていた。理不尽の極みとも言える3200mトレーナーレースにて激戦を繰り広げた6人だ。そして6人で集まって話をしたりしていた中で、温泉にでも行かないかと言う話になった。しかしルドトレは担当に拘束されてしまい5人で行くことになった。
「点呼ぉ!1着!」
「2着!」
「3着」
「4着」
「飛ばして6着」
「よし!」
ちなみにこの順番は、以前点呼で迷った際、何をどうしてもうちの担当はすごいからな理論になるため、3200mの順位で決定した。これなら担当じゃなくて自分たちの走りだからええやんと。
≫62二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:26:20≫61
「ブラトレが迷わず駅まで来れるなんて思いませんでした」
マクトレが笑ってブラトレをからかう。クトレはあまりにマックイーンに似過ぎているため、お嬢様言葉になって勘違いされないよう、しかし崩しすぎて風評被害を生まないよう、最近人目のあるところでの言葉遣いにかなり気を使っている。
「いくら何でもバカにしすぎだろ、社会人だぞ社会人」
ブラトレはこの中で一番小さい上に自覚のあるアホと呼ばれている。そのためジョークで標的にされる頻度が高い。
「でもアホだからなー」
テイオーによく似た口調でテイトレが追撃する。心が復活して以降テイオーと過ごす時間が増えたらしく、声も相まってテイオーに似てきている。
「背もそこそこちっちゃいからね」
フラトレがさらに追撃する。この中で一番背が高くお姉さんのような風貌をしているが、実はネコであることは周知の事実である。
「背は関係ないだろ!?」
「関係あるだろ。子供っぽいし」
止めはフクトレ。ウマ娘化したトレーナーがメス落ちしたりクソボケだったり覚悟完了だったりする中まともな精神を持つ類まれなトレーナーである。
≫63二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:26:43≫62
「で、これからどうすんだ?」
「かいじに乗ります。山梨市まで」
「切符は?」
「俺が持ってます」
今日向かうのは山梨のある温泉。一泊してからその温泉に徒歩で向かい、日の出をそこから見ないかと言うマクトレの提案である。
「6枚あるじゃん」
「払戻するか迷ったんですけど、誰か入っても迷惑かけるしやめときました」
「後で割り勘しよっか?」
「するか」
「そうですね、お願いします」
各々に切符が配られ、一行は構内に入る。府中や本町とは比べ物にならない大きなエキナカを歩く。
「コンビニでなんか買いたい人いる?」
「いなーい」
フラトレの確認の後改札へ。予定の特急までは20分ほど。乗車位置の近くのベンチで時間を潰すことにした。
「こっから河口湖って一本でいけるんだね」
「河口湖って何あるの?」
「富士山じゃね」
「富士急アイランドとか」
「あ〜」
小旅行の前は心がどこか浮き立ち、めちゃくちゃにどうでもいい話題ですら有効的な時間活用になってしまうもの。
≫64二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:27:08≫63
この後もどうでもいい話を繰り返した後、数分後ある程度意味のある話が発生した。
「ところで今日の上着の下の服ってどう選んできた?」
フラトレの発言がきっかけだった。
「適当」
ナイロンの上着の下にシャツにGパンのブラトレは一瞬で答えた。
しかしそれ以外のトレーナーはすぐには口を開かなかった。
なぜならブラトレ以外の全員がそこそこわかりやすくレディースを身に付けていたからである。
誰から話し始めるか、と互いに見合って、最初に口を開いたのはテイトレだった。
「俺はテイオーと選んだやつばっかりあるからその一つだけど…」
他の4人は何となく納得した。厚手のタイツとショートパンツに無難なTシャツ、時折見るテイオーの形容し難い私服の形容し難い部分を引いた、ボーイッシュと少女らしさの合わさったスタイルだったからである。
「僕もフラッシュが選んだやつを…」
「だろうねえ…」
フラトレの私服もどこかフラッシュのものと似ていた。4人はフラトレがネコであることを知っていたので、それがフラッシュの支配下での現象だと何となく察した。おそらく着ているコートも。
「マクトレもそうでしょ?」
「いや、俺のは自分で選んだやつです」
「まじで?」
≫65二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:27:28≫64
スキニーのパンツとお嬢様の着ていそうなワンピースの組み合わせからおそらく同じような動機だろうと思っていた2人は目を丸くした。
「あんまりマックイーンに寄せると勘違いされて、離れすぎるとマックイーンに謎のイメージがつきそうで怖いんですよね…」
「そっくりすぎるとそんな問題が起きるんだな…オペラオーとかカレンのとこは変装で『寄せる』だけどお前は素でそれだもんな」
「そういうフクトレは?」
「自分で選んだ無難なやつにあいつにもらったグッズつけてる」
フクトレもまた色々と苦難していることがあると4人は知っている。フクキタルは亡き姉とフクトレを重ねているような目線を送ることがあるらしく、しかし担当のお願いも無下にできないフクトレがその結論に至るのは十分に理解できることだった。
『まもなくかいじ〇〇号、竜王行きが参ります』
「きましたね」
ちょうど変な空気になったところで特急のアナウンスがあった。5人は、この話題はとりあえずやめておこうという暗黙の了解を共有し並ぶ。
「竜王って強そうだよなー」
「何でそうアホっぽい発言がすらっと出てくんの?」
「小学生男子がいいそうだよな」
「うるせえ!人の心には誰だって小学生が住んでんだよ!」
「否定はしませんけど」
席は車両の恥の片側6席。テイトレとマクトレが隣、向かい合ってテイトレとブラトレ、向こうの席から顔を出すのがフラトレ。ぼっちが生まれないように背の高い1人に膝立ちしてもらい、耳が煩わしくないようにその下は背の低い2人が座るフォーメーションである。フラトレの隣の本来ルドトレがいるはずだった席は荷物置き場だ。
≫66二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:29:03≫65
「どれくらいで着くんだっけー?」
「一時間です」
「意外と短いんだね」
夜になり始めた時間の下りの特急、退勤には早く観光には遅い時間ゆえに、指定席はほとんど埋まっていなかったため5人は悠々自適な環境で過ごすことができた。
特に大月を過ぎると一両には一行以外誰もいなくなったため、声のボリュームが一段上がった。
「さっきウノって言ってないだろブラトレ」
「言ったが?」
「チッ」
「そういうの俺良くないと思うよフクトレ、罰として18枚追加ね!」
「せめて2枚くらいににしてくれ」
「はい4枚僕たちからのプレゼントだよ受け取ってね」
「おい」
「はい上がりですわ俺の勝ちですわ」
「えっ嘘でしょ…」
「ウノッテイッテナイ!」
「フクトレ、テイトレに山から18枚を送りなさい」
「了解」
「せめて4枚にしてよ!」
年甲斐もなくカードで騒ぐのもまた旅行の楽しみである。特に今5人はウマ娘。外から見れば少女たちがはしゃいでいるようにしか見えないため躊躇う必要もないのだ。
『まもなく勝沼ぶどう郷です』
「ん…」
「おう」
「ぶどう…」
もちろん駅に着いたら一瞬静かになるが。
そんなこんなで一時間紙をしばいたところで、間も無く目的地。一時間しかいなかったため、テイトレとブラトレ以外の荷物はほとんど出ていなかった。
「むしろ何であなたたちそんなに物が出ているんですか?」
「わからん」
出ているものを片付け、しまうのが面倒なものは一旦ビニール袋に入れた。
≫69二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:33:17「……ルドルフ、行っちゃダメ?」
「ルナ、トレーナーの裸他の人に見せたくないもん」
「……同僚だよ?」
「同僚でもやだー!」
そう抱きつくルドルフに、そもそも監禁されてるため抵抗も出来ずそのまま従う。
「……温泉、行きたかったなぁ」
ルドトレは口をこぼした。
≫81グラトレ担当?21/09/28(火) 19:36:51「頼みたい事ですか?」
ある日トレーナーさんの所へ向かうと、頼み事が有ると言われましたので聞いてみると……
「うん、聞いた話なんだけどウマ娘は自身の尻尾の毛をアクセサリーとして親しい人に渡す事が有るってさ」
「…………ええ、そうですね」
……もしかしてトレーナーさんは知らないんでしょうか? 自身の尻尾の毛を使ったアクセサリーを渡すのは情愛の意味もある事を……
「それでさ、グラスに贈りたいから尻尾の毛を切るのを手伝ってくれないかな?」
「………………え〜っと?」
「ごめんね? 自分じゃ切辛くて……」
……大変な事になりました……トレーナーさんの様子では本気で意味が分かっていません
結局私は、自身に贈られる情愛の意味を持つアクセサリーを作る為に、贈り主の尻尾の毛を切るという羞恥プレイをさせられるのでした……
毛を切る為にお尻を大きく突き出したトレーナーさんに我慢が出来なかったのは……また別のお話です……
完
≫99二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:51:00夜。校門の前。既に校門は閉められ、朝の喧騒は幻だったかのように静まり返っている。
その脇の石積みの柱に背を預けていると、校門脇の小さな格子扉が開く音がした。
「よ。今日も今日とてお疲れさん。」
「お?珍しいなフクトレ」
ブラトレはウマ娘になってから毎日欠かさず夜にジョギングをしている。それに付き合ってみたいと言ったら快く了承してくれた。
ただしこちらはウマ娘になってからまともな運動はしていない身。担当にあちこち連れまわされているとはいえ、歩くのと軽くでも走るのではこの身体であればわけが違う。
ちょっとしたレクチャーを受けてから、じゃあまずは軽く流してみるかと言われいよいよ走り出す。夜なのに重めに走る場合もあるのかコイツ。
「んで、どういう風の吹き回しだ?」
「体なまらせるってのも不健康極まりないだろ?錆びついた体から抜け出せたんなら折角だし使ってみたいと思ってな」
「ははーん、今までよりフクキタルに無茶させられるかもと思って対応できなきゃなと思ったわけか」
やっぱ妙なところで鋭いなコイツは。思わず小突きそうになるが生憎まだ力加減には自信はない。静止している担当ならともかく走ってる途中に手出しができるような器用さは取り戻せていないため、睨むだけで勘弁してやる。おー怖と冷やかされたが。
≫100二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:51:15≫99
「やっぱ風が気持ちいいな。昼から今日はアタリじゃないかって踏んでたんだ」
「昼も走ってたのにか?」
「昼と夜とじゃまた違うんだよ」
確かに澄み渡った夜空の元で走りながら涼しさに髪を流されるのは心地がいい。目を閉じれば、コンクリートジャングルから抜け出し、果ての無い草原を駆け回るような、そんな自分には到底似合わないような、そして前の自分なら決して思い浮かびもしなかったような夢想をしてしまう。
「……走るのが怖いか?」
「っ」
本当にコイツの鋭さにはうんざりする。ただ、本当に危ないものには触れない判断もできるヤツというのも知っているから、そいつがこれは触れてもいいんだと判断したことに少し救われた気がする。
「……そうだな。」
観念した。漏れ出すように、吐き出すように。
「……自分が、自分じゃなくなるんだ。」
「俺という存在が、何かで塗りつぶされる。今は何とか抵抗できているが、本気で走ったらどうなるか分からない」
「なのに、とても優しいんだ。そいつが。どうしてそんなことをするのか見当もつかないぐらいに。」
「そして、俺も嫌いたくはないんだ。きっと、フクの大切な人だから。かけがえのない。」
「でも結局、俺は俺でいたい。自惚れているだけかもしれないが、フクが運命の人と言ってくれた俺も失くしたくないんだ。」
「きっと、俺がいなくなっても、俺の中の人がいなくなっても、フクは悲しむ」
「怖いんだ……走るのが。怯えてるんだよ、一歩に」
赤信号が灯る。ペースは速くなかったのに、汗が止まらない。思わず膝に手をつく。肩で息をする。
じっとりと、夜風が体に纏わりついてくる。
≫101二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 19:51:30≫100
「……なあ、明日も走ろうぜ」
「……え?」
「そうだ、やっぱお前も習慣にすべきだな、うん」
「でも」
「走ろうぜ。お前のペースで。合わせるから。」
「……!」
「そうだな、俺が用事ある時は誰に頼もうかな。きっと誰でも一緒に走ってくれるぞ。お前となら」
「本当はフクキタルと隣で一緒に走れって言いたいけどそれはまだハードル高いだろ?」
「だから、走ろうぜ。お前のペースで一緒に。」
いつのまにか、風は止まっていた。震えもない。
「いっそのこと全員連れてきたっていいけど?あんまり大所帯だとお前恥ずかしがって出てこないだろ?」
手始めに、露骨に乗るのも癪な煽りが飛んできた。
だから、おもくそ頭を撫でまわしてやる。
「ウワーッ!なんだよ!あんまり髪崩すとブライアンにみっともないって言われるんだぞ!」
「すっかり妹扱いじゃねぇか。というかお前すごく撫でやすい大きさになったな?」
「くそー!普段気にしてないのにお前に言われるとムカつくなこれなんだ!」
信号が青になる。
コースは既に学園への帰り道になっているはず。少しずつ覚えていこう。
笑って夜風を浴びながら進むのは、癖になりそうだった。
≫123二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 20:05:44タマトレ精神汚染ルートとか考えてたけどBADENDしか思い付かなかったから派生
※実際のタマモクロスとはキャラが異なります、ご了承ください
https://bbs.animanch.com/board/72032/?res=123
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part72【TSトレ】
≫57しっとりマルゼンスキー21/09/28(火) 20:47:10「あーマルゼンスキーだ〜しゅき〜」
「酔いすぎですわ!!!それはそうとマルゼンスキーさん。迎えにきてくださってありがとうございましてよ」
「わー、まるぜんすきーあったかーい」
「トレーナーちゃんベロベロね〜いっぱい飲んじゃったの?」
「店の酒を全部ちゃんぽんすればそうもなりますわ!最初は見ていたんですが大丈夫そうと目を離した隙にやらかしやがりましたわ!」
「あらあら、介抱ありがとうねマクトレちゃん!」
「酒の場で酔い潰れたのがいたら介抱するのは当然ですわ!」
「ふふ、まだどこかいく予定なの?」
「この後はテイトレさんとカフェトレ(タバコ)さんと宅飲みですわ。ストロングゼロをキメるのがシメに良いですわ」
「あんまり飲みすぎると体に悪いから気をつけてね、それじゃバイビー!」
「安全運転で帰ってくださいまし!!って流石に普通に帰るみたいですわね。さあいきますわよ二人とも!宅飲みですわ!……そのあとマックイーンのトレーニングメニューも組まないとな。ん……?そういえばマルトレさん、今日は電車で帰るつもりと言っていたような?まあマルトレさんの事ですしマルゼンスキーさんに迎えにきてもらうの忘れてたんでしょう」
≫58しっとりマルゼンスキー21/09/28(火) 20:47:33≫57
いつもの道を走る。綺麗に空の星々を隠すのはトレンディを取り入れた様々な看板や広告の、安全の為の街頭の光。
「トレーナーちゃん。調子はどう?」
「まるぜんしゅきーがいるから……とってもいい」
「ふふ、ありがと。……そういえば、トレーナーちゃんは送り狼って知ってる?」
「しってる……まるぜんしゅきーはきれーだから気をつけて……ん……」
「トレーナーちゃん?」
「………」
「眠っちゃったか。……ねえトレーナーちゃん。トレーナーちゃんは私のことを赤ずきんだと思ってるのかもしれないけれど……私の中にもオオカミさんは居るのよ?」
眠るトレーナーちゃんの頭を撫でる。右耳につけられた"特注"された私のと同じデザインのリボンには、私しか知らない秘密が編み込まれている。他意はないけれど、トレーナーちゃんには、尻尾の毛を使ったアクセサリーは深い親愛を意味していると言ってある。家族ほどの間柄でもなければ軽々しく聞くべきことで無いと。意味を知らずにマルゼンスキーのものが欲しいと言った為、諭せばションボリされたのは愛らしかった。しかしそもそも、トレーナーちゃんはもうずっと持っているのだから。ある意味無駄なお願いだったわね。
≫59しっとりマルゼンスキー21/09/28(火) 20:47:58≫58
トレーナーちゃんの家に着く。鍵を開けて、電気をつけて、トレーナーちゃんをベットまで運ぶ。
「……ん」
「ほらトレーナーちゃん。上着とズボンは脱いじゃいましょうね。ワイシャツは良いけどそっちはシワになっちゃうと大変よ」
「んー」
私の指示を聞いてトレーナーちゃんは半ば無意識で動いて、脱げていないので脱がせてあげた。細くて艶やかな太ももが赤いカッターシャツの下で主張をしている。ウマ娘化してから愛用しているという金属グラスに水を注いで。ベット端で座ったままフラフラしているトレーナーちゃんに持っていく。
「トレーナーちゃん。はいお水飲んで。明日の朝辛くなっちゃうわよ」
「ん……ゲホッ!」
途中まで飲んでいたのだが咳き込んでシャツをびしょびしょにしてしまった。
「……湿ってると風邪ひいちゃうからね。はいバンザーイ、脱いじゃいましょう」
「ん……」
カッターシャツのボタンを一個一個外す事にゾクゾクと、私の中のケダモノが涎を垂らしている。堪えて。シャツを脱がせ湿ったブラも取る。
「……トレーナーちゃん。口開けて?」
「んあ……」
小さな、でも大きく開けられた口に私は左手の薬指を差し込んだ。
「トレーナーちゃん。閉じて」
ガリッ。寝ぼけているとは言ってもトレーナーちゃんもウマ娘。その噛む力は、簡単に私の薬指の皮膚を突き破って血を流した。
「んあ……」
「ふふ、結婚指輪みたいで、トレンディねきっと」
痛みが私の中のケダモノをどこか遠くへと追いやった。
「さっトレーナーちゃん。これ着てグッナイしましょうね!明日はお休みだけど、昼からどこかに遊びにいきましょう!」
パーカーを着せて布団に寝転がらせてあげて、布団をかけてあげる。元々ほぼ寝ていたようなものなので、そのままトレーナーちゃんは眠りに落ちた。電気を消して、戸締りをして、タッちゃんに乗り込んだ。
トレーナーちゃんの事は大好きだけれど。私はそれ以上にトレーナーちゃんの理想でいたい。トレーナーちゃんが最強と信じるスーパーカー・マルゼンスキー。それが私。だからこの事は、誰にも秘密。トレーナーちゃんであっても。
タッちゃんを走らせながら、左手の薬指。トレーナーちゃんの唾液と私の血が混ざったものを、舌で舐め取った
≫60しっとりマルゼンスキー21/09/28(火) 20:48:33≫59
「おっはよー!トレーナーちゃん!どうしたのお口もごもごして」
「いや、起きたら口の中が鉄っぽくてさ、どっか噛んだんだと思うんだけど場所がわからなくって、どこにできるかわからない口内炎が今から怖い」
「……ダイジョーブイ!そういう時はハチミツを舐めると殺菌されて口内炎をおさえられるのよ!テイオーちゃんがよく飲むはちみー屋さんに寄りましょう、口内炎もなんじゃらほいよ!」
「そうなんだ知らなかった……そうだ、昨日はありがとうな」
「ん?」
「ほら、多分マルゼンスキーが家に送ってくれたんだろ?忠告無視してる飲みすぎたのは悪かったけどマクトレが送ってくれたんじゃスーツをかけて部屋着に着替えて寝れてないと思うんだ。全く覚えてないけど。カシス系全制覇して次何飲もうとしてたのまでは覚えてるんだけど」
「大変だったのよ?水飲ませようとしたら吹き出しちゃうし」
「本当にごめん。次から気をつけるよ」
「ううん、トレーナーちゃんが飲みたいだけ飲んで良いのよ?私が必ず迎えにレッツラゴーするからね」
「頼もしい。でもだからマルゼンスキーにはあんまり醜態をその、見られると恥ずかしんだ」
「ふふ、恥ずかしいことなんて誰だってあるわよ……いっけない、呑気に喋ってたら遅れちゃうわ、ぶっ飛ばしていきましょう!」
「わかった!……ん?マルゼンスキー、指怪我したのか?」
「気にしないで包丁で切っちゃっただけだから!さっブットビー!」
私はアクセルを踏み込んだ。
完
≫61しっとりマルゼンスキー21/09/28(火) 20:49:12≫60
おまけ
マクトレが介抱してた場合。
「マルトレさん住所はどこですの!!」ペシペシ
「んー」
「ダメですわこれ!どこかわかりませんわ!仕方ないので宅飲みの裏に転がしておきますわ!」
「ストゼロ山盛り買ってきたよ〜」
「映画借りてきたぞ」
「ナイスですわ!テイトレさんカフェトレさん(タバコ)!」
「zzz」
「なんで借りてきた映画のチョイスがサメ映画かクソ映画かホラー映画なんですの!?」「酒飲みながら見るなら鉄板だろ」「ホラーやだなぁ」
「zzz」
「ひょあー馬鹿みたいに怖かったですわ!ストゼロで中和ですわ!」「タバコ吸って良い?」「ベランダで吸ってくださいませ、てよくあれ見たあとベランダ行けますわね!?」「……(気絶)」
「zzz」
「なぜ前後が両方頭に?どうやっておよいでるんですの?」「サメ映画に理屈を求めるな」「フカヒレ……」
「zzz」
「あっはっはwww見ました!?合成わかりやすすぎですわwww」「ああwww今のは傑作だwww」「テイオーにも見せたいなwww」
「zzz」
「zzz」「zzz」「zzz」
チュンチュン
「……え?頭痛った……どこここ」
おしまい
≫152二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 21:29:45クラシック期クリスマス・勝負服への想い
「ええ、これで今日のトレーニングは終わりですね、お疲れさまです」
「は、はい、トレーナーさん、ありがとうございました」
11月になり、寒くなり始めた日のこと。
次のレースを有馬記念に定め、それに向けた調整を行っていた。
ダービー、菊花賞とG1という大舞台ではなかなか勝つことができず、この有馬記念は絶対に勝ちたい、と彼女は言っていた。
彼女の勝負服を思いだす。
彼女は自分が物語の主役として、英雄としての在り方を込めて勝負服をお願いしたといっていた。
その時の彼女の顔はとてもキラキラしていて、それだけ勝負服に対しての思いが強く、彼女にとって勝負服を身にまとう姿こそが人々に見せる自分自身の英雄の姿だ、と思っている。
だけど、ここまででまだ勝負服の姿で彼女は勝利できていない。
その事実がどれだけ彼女自身を苛んでいるか、とても伝わっている。
英雄として立ちたい、自身が思いを込めた勝負服の姿で英雄のように勝利を……。
それでも、彼女はいまだに勝てていない。
トレーニングは人一倍しており、物語にある主人公が食べていたラーメンを同じ方法で食べたりなど願掛けなどもしている。レース時にはベストな状態にしている、だが……。
「G1……勝負服……願掛け……そうですね、なら……」
そう決意すると同時にすぐに取り掛かる。クリスマスの日に向けて……
≫153二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 21:30:12≫152
クリスマス当日
事前にロブロイにはトレーニング後にクリスマスでパーティをする約束を取り付けることができていた。トレーニングも無事に終わり、今はトレーナー室で二人だけのクリスマスパーティを楽しんでいる。
「ふふっ、まさかトレーナーさんとクリスマスを過ごすなんて思ってもいませんでした」
「私もロブロイが受けてくれてうれしいですよ、ありがとう」
料理はお店で買ったものではあるがどれも絶品であり、ウマ娘になったこの身体であればいくらでも食べれるほどであった。
その後は一緒に映画観賞をしてその後に感想を語り合い、夜も遅くなってきた。
最後のイベントとしてプレゼント交換である。
「はい、トレーナーさん、私からはこちらです。私の好きな物語をトレーナーさんにも知っていてほしいので。この物語はトレーナーさんが好きそうなものですよ」
「ええ、ありがとう、ロブロイ。ロブロイが選んだ本ならきっと間違いないね、読み終わったらまた語り合いましょう」
「ええ、楽しみにしていますね」
ロブロイが用意したクリスマスプレゼントは本であった。彼女らしいプレゼントでとてもほっこりとしてくる。
それに、この物語の後に行う感想を話し合うもとても楽しみである。きっと彼女のキラキラとした顔が見られることだろう。
「それで、私からのプレゼントですが……その、ロブロイ、少し、待っていてくれませんか?」
「は、はい、わかりました」
そう言って彼女を残して一旦トレーナー室から出る。
それからしばらくして、再び彼女がいるトレーナー室の扉を開けた。
≫154二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 21:30:54≫153
「あ、トレーナーさん、遅かったですが、どうか……え?」
「ロブロイ、どうでしょうか、似合って、いますか?」
ロブロイの前にそっと歩み寄る。私の姿は、一つのドレスを身にまとっていた。
膨らんだ袖の真っ白なブラウスに、ロブロイの髪の色のような黒のビロードのベスト(しかし私の胸が大きすぎることもあって、どうしても谷間が見えてしまっている)
そして足首まであるギャザーの入った緑を基調にして黄色でアクセントを加えたスカート。
そう、いわゆるスコットランドの民族衣装であるアボインドレスである。
なおこれはすべて自作です。さすがに勝負服を依頼することはできませんので。そのため手痛い出費になってしまいましたが……
「え、あ、あの、その服、は?」
「ロブロイ、私からのプレゼントはこの勝負服を着た私です」
「え?」
ロブロイは眼をぱちくりさせている。まあ、それは当然だ、突然こんなこと言われても困惑してしまうだろう。
「ロブロイ、貴女は勝負服に英雄足る自分自身の理想を込めて依頼した、と言っていましたよね」
「……はい、私はそう願って勝負服を依頼、しましたね……」
「そして、私もこの服を作るうえで私はロブロイに寄り添うもの、支えるもの、としての思いを込めて作りました」
「あ……」
そう、これは願掛けです。
彼女が戦うG1という大舞台。そこで彼女は自分の理想とする勝負服を身にまとっています。
なら、彼女を支える私も、寄り添うものとして勝負服を身にまといましょう。
そう思いいたり、11月から準備を続けていたのである。
「ロブロイ、私もこの勝負服にあなたと同じように思いを込めて作り、そして今後のG1という大舞台でもこの姿で立ちます。ロブロイ、貴女と想いを同じくしたいのです」
「と、トレーナー、さん……」
「だから、私からのプレゼントは、勝負服を身にまとった私自身です……すみません、やはり、変でしたよね」
「いえ、そんなこと、ありません。一緒に勝負服を纏って寄り添ってくれるなんて、まるで物語のお姫様のようでとっても素敵です」
≫155二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 21:31:21≫154
自分のしてしまったことを反省しそうになったところをロブロイがキラキラした目で語ってくれる。
ああ、最近はその顔があまり見えなくなっていた。G1のことになると思いつめたような顔をしていたのに、今はこんなにも輝いている。
「!あ、あの、トレーナーさん、少し待っていてくださいね」
「ええ、分かりました」
ロブロイも閃いたようにトレーナー室から飛び出す。そして戻ってくるとそこには英雄としての姿、勝負服を身にまとったロブロイの姿があった。
「トレーナーさん、貴女の気持ち、とてもうれしかったです。だから私も英雄として、きっとあなたに勝利を掴みます」
「ええ、ええ、きっと、次の有馬記念、勝ちましょう。ロブロイ」
そうしてクリスマスの一夜、お互いが勝負服を身にまとって過ごすのであった。
お互いに勝負服への思いを語りながら。
そして、有馬記念当日。
レースの観客席にはドレスを身にまとって周りから注目を集めながらロブロイの走りを見守るトレーナーの姿があった。
そして、レース後には二人で悔しい気持ちで抱き合う小さな二つの影があった。
その勝負服に相応しい結果は出せず、今だに英雄には至れない。
それでも、彼女らは望む、英雄になることを……。
≫174この娘の情緒はもうグチャグチャ21/09/28(火) 21:46:51「そうそう、フラッシュ、僕、結婚することになったんだ」
「初耳、ですが」
「うん。フラッシュに一番最初に言おうと思って」
「え、なんで、そんな」
「じゃあ、結婚式には来てね」
「待ってください、待って、お願いだから……」
ベッドから跳ね起きる。いつの間にか、私の体は寝汗でベタベタだった
夢。そう夢。そうでなくては。寝る前にあんなに一緒に溶け合ったのだから
そうしてふと、布団の隣を見る。そこには、いつも通りに綺麗な人が一糸まとわぬままに静かに眠っていた
大丈夫、この人は隣にいてくれてる。少なくとも、今は、寝息が証明してくれてる
そうして、落ち着きを取り戻し、時計を見る。時間は夜の3時……どう考えても就寝時間ではない
だめだ。この人にはいつも計画が意味を為さない。今だってそうだ。悪夢で跳ね起きることなんてまずないのに
理由は分かっている。昨日、レース場で、旧知の仲だと言う、美人と名高い女優さんが言った言葉
「ウマ娘になっても、貴方のトレーナーさんはやっぱり素敵ね」
それは、私にしか分からない獣の様な微笑で、簡単に私の心をかき乱した
いや、こんなことを考えていてはだめだ。とりあえず水でも飲んで寝なおそう、そう思い
「……フラッシュ、目が覚めちゃった?」
むくり、と貴方が体を起こす
≫176この娘の情緒はもうグチャグチャ21/09/28(火) 21:46:59「……起きてたんですか?」「ううん。今起きたの」
くぁ、とあくびをするトレーナーさん。なんでこんなにいつもタイミングがいいのですか
「……なにか不安でもあるの?聞くよ?」
表情に出てただろうか。この人は私の何もかもを見透かしてるような錯覚さえしてしまう。
もう私は耐えきれなくなって、衝動そのままに抱き着いてしまう
「あなたが、いなくなってしまう夢を見ました」
そう言うと。貴方は少し驚いた後、私の背を叩いて、
「大丈夫、言ったでしょ。僕は君のモノだって」
と私を宥める。涙が止まらない。
「でも、どうしても不安なんです私より麗しい人が出てきたら、速い人が出てきたら、そう思うと」
有り得ない、と理性が分かっていてもどうしようもないくらい心が叫ぶ。
「君より素敵な人なんていないよ、僕には」「でも、私みたいな一介のウマ娘が貴方に出来ることなんて」
「大丈夫、君のお陰で色々なことが出来てるから」「でも、あまりに素敵な貴方に釣り合うか、心配で」
「フラッシュ」
そういうと、貴方は抱擁を解いて、
私にキスをする
「大丈夫」
そう言ってニコリと笑う。……まれに、発作のように不安になってしまう私にも、貴方は優しい。
「今日は、抱きしめて寝てもいいですか」「勿論」
いつも、不安からあなたを塗りつぶしてしまう。でも、それで不安が消え切らないことも知っている
でも今は、私の腕の中、ほのかで確かな温度が安心をくれる。誰のモノかを教えてくれる
そうして、私はようやく安心して眠りに落ちていった
≫193いやフラトレ相当ワルイ男やなー21/09/28(火) 21:56:52≫176
朝が来た。
パチリと目が覚めて、時計を見る
午前5時。いつもフラッシュが起きる時間だ
でも隣のフラッシュを見ると、いまだにすうすうと寝息を立てている。予想以上にかなり参っていたようだ
さてはあの女相当余計なことを言ったな?そう察することが出来て思わず舌打ちが出る
フラッシュの珍しい姿を見せてくれたことには多少感謝はするけども。いくらなんでも帳尻が合わないだろう本当
昔から、自分がええカッコしいなのは自覚がある
悪く思われると気分が悪いし、褒められるとやはり嬉しい
自分はやっぱり素敵な自分でいたい、ウマ娘になっても
そうすれば、皆が褒めてくれるし、何より、
フラッシュ、君が執着してくれるから
ワガママで子供っぽい素の自分に、自信があるわけではないから。
だから、当分は君を振り回すけど、それは許してほしいな、なんて身勝手なことを考えながら
「とはいえ、フラッシュにあそこまでグチャグチャになってほしいわけじゃないんだよなあ」
とりあえず、あの女にはどう落とし前つけてくれよう
そう考えながら、僕は二度寝することにした
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part73【TSトレ】
≫40二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:10:32『誰がために鍋は或る』
「おや、スペシャルウィークさんのトレーナーさんか。どうかしたのか?」
「ああ、ちょっとオグリのトレーナーさんに用事があってな」
3月の中旬、寒さが薄れてきたがまだまだ冷え込むときもある夕暮れ時。
オグリがトレーニング終了時のクールダウンを行っている際、スペトレがやってきた。
スぺのトレーナーはいつの間にかスぺと似たような見た目になっている。
「トレーナーなら今トレーナー室の22号室のほうに行ってるいるぞ。料理の話か?」
「さすがオグリ、鼻が利くな…これは内緒の話なんだがな?」
「おお、内緒の話。内緒にするから聞かせてくれ」
「まだ気は早いんだがスペの誕生日なんだけどな、何をすれば喜んでもらえるか考えてたが、俺が料理をふるまってみようと思ってな?それでオグリのトレーナーさんに聞いてみようと思ったんだ」
「なるほど…うん、それは内緒にしないといけないな。私は内緒にしておくぞ」
「ありがとうオグリ、じゃあまた!」
そういうとスペトレは走って去っていった。
「そうか…誕生日の料理。私もそろそろ誕生日だし何か食べたいものを考えておかないとな」
オグリはそうつぶやくと、ちょっとだけ笑みがこぼれた。
「失礼しまーす、オグトレさーん?あれ?」
22号室に入ると、誰もいなかった。一応明かりはついていたので誰かいたはずなのだが、離席しているのだろうか?
そう思いながらスペトレはふと机の上のものを見た。
トレーニング帳の隣に、ちょっとした料理本が置いてある。
「…これオグトレさんのかな。ちょっと読んでみよう…」
ぺらりぺらりとページをめくる。家庭料理の本のようだ。
いろんな種類の料理が乗っているが、ふと目に留まったのはハンバーグ。
「ハンバーグかぁ…」
そう呟きながらページをまじまじと読んでいると…
「わああああああー!」
「びゃあああああああー!?」
「あっはっはっはっは!そこまでビビらなくてもいいじゃありませんか!あっはっは!」
後ろから突然オグトレが叫んできた。
≫42二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:11:04≫40
「ひぃいひぃい…い、いきなり叫ぶのは反則でしょうよ!」
耳がキーンとなってしまったスペトレが若干涙目になりながら振り返る。
「いやあすみませんね、いつの間にか誰かいるな?って思ったらスペトレさんで、料理本をやたらと集中して読んでいたのだから…つい魔が差して!」
くくくっといたずらっ子のような笑い方をするオグトレ。芦毛の髪が美しく揺らめいている。
「ま、まあ勝手に人の本を読み漁る俺も悪いですけどね…」
「何か用事があってきたのでしょう?コーヒーを出しますよ」
というと、ささっと冷蔵庫からコーヒーを取り出してきた。
「ありがとうございます。用事というのはですね、もう少ししたらスペの誕生日なんですが、そのときに料理でもふるまおうと思いましてね…」
「ほう、それは素晴らしいですね。私の友人のブラトレさんもよく料理を担当のブライアンさんにふるまっているそうですよ」
「へぇ…意外ですね。それで、どんな料理が喜ばれるかな…と料理の得意なオグトレさんに聞きに来た次第です」
「フーム、そうですねえ。料理はそれなりにできますか?」
「ま、まあ人並みには?一応一人暮らしで作れるくらいにはなっています」
「で、あれば…好きなように作るのがよいと思います」
と、ニコリと突き放されてしまった。
「え?いや、どんな料理が良い…ってそういうわけではなく?」
「まあこれは私の持論ですがね。例えばだれか料理を食べてもらいたい人がいるとしましょう。その人に対してどんな料理が良いか?ということを考えるのも確かに大事です。ですが、思いのこもった料理を作ってもらえるだけでも、案外嬉しいものだと思いますよ?」
「そういうものなんですかね…?」
「まあ、当然味の好みに合致してるという前提があってこそですがね!それを考えるとブライアンさんが苦手な野菜をあれこれ試して食べられるようにしているブラトレさんは相当な努力家ですよ」
「なるほど…」
そう考えると、スペトレの脳裏に浮かぶのはスぺの喜ぶ顔。
どんな料理を作るかと考えれば、先ほどちらりと見たハンバーグ。
「…ありがとうございます。アドバイス、ためになりました」
「いえいえ、私こそ原点に立ち返られる良い機会となりました。料理、頑張ってくださいね」
「いろいろと練習頑張ってみます!ではまた!」
そう言うとスペトレはぺこりと頭を下げて部屋を出て行った。
≫43二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:11:13≫42
入れ違いざまに、オグリがトレーナー室へと入ってきた。
「ああ、トレーナー。スペトレにアドバイスはやったのか?」
「オグリ、お疲れさま。そうですね、私も良い学びを得られたと思います」
「そうか。…トレーナー…」
「どうしました?」
「その…誕生日には…ケーキを作ってくれないか?」
オグリはちょっと照れ臭そうに言った。
「ええ、もちろんです。オグリが食べたいものを食べていいんですよ」
「本当か!ありがとうトレーナー、大好きだ!」
「私もオグリが大好きですよ。さて、帰りましょうか」
「ああ、今日の夜ご飯も楽しみだ…」
トレーナー室の照明が落とされる。
夕焼けのトレセンを二人で歩く。日が沈んでも、オグリとオグトレの会話は止まらなかった。
≫72二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:34:45『なるんだ、なるんだ!なるんだなるんだ、なるんだぁ!』
『この有馬記念で、1番キラキラなウマ娘に。
私なんかって落ち込まない、強いウマ娘に!』
俺とドトウが目指してきた有馬記念。今その場所に俺たちは立っている。
ジャパンカップから、ドトウはまたすさまじい努力と成長をしてみせた。
それは確かに、オペラオーを、そして過去の自分を超えようとする意思の表れだった。
ドトウの頑張りに比べ、俺はウマ娘になって約二か月が経つというのに、今でもこの姿には慣れない。
ドトウの前では耳や尻尾を隠さないようにはしているが、それでもまだ恥ずかしさが少し残る。
生活も以前とは全く変わって、ドトウや先輩トレーナーたちには何度も迷惑をかけた。
俺は本当にドトウのトレーナーにふさわしいのだろうか。そんなことを考えそうになっていると、
「トレーナーさんっ!」
隣のドトウの声でふと我に返る。
一見普通に見えたドトウだが、緊張と不安からか彼女もまた少し震えている。
そうだ。今一番不安なのはドトウのはずなのに。
俺はその不安を取り除いて信じて背中を押してあげる立場にいるのに。
自分のことを考えている時間なんてありはしないのだ。そんなことすら見失いそうになるなんて。
「私…勝てるんでしょうか?」
ドトウはこっちを見つめながらゆっくりと口をひらく。
「私だって、ボロボロになるまで走る気です!でも今日は…今までとは違います…。オペラオーさんも、スペシャルウィークさんも、グラスワンダーさんも。みんな自分にしかない強さを持っていて。じゃあ私にしかないものってなんだろう…って」
ドトウの問いに対して答えるべき言葉はすぐにわかった。
ウマ娘になる前の俺ならきっと迷いなく言えた言葉。
今の俺にこれを口にする資格があるのかはわからない。でも言わなくては。
≫73二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:36:39≫72
「…そのままでいいんだよ、ドトウ。不安があって、自信なんか持てなくたって。だってそれがドトウの強さだから。いつだって、その不安を取り除くために頑張ってきたんだ。自信が無いから、足りないって思うから、諦めずに努力し続けてきたんだ。確かに他のウマ娘たちはドトウが持っていない強さをたくさん持っているかもしれない。でもドトウが今まで積み重ねてきたものもまた、他のウマ娘では絶対に手にできない『強さ』だ。そしてその『強さ』は、絶対に、他の誰にも負けない。…だから大丈夫。今のドトウなら、絶対に勝てる」
これは嘘偽りない心からの言葉。そして、俺自身が何よりも求めている言葉。
答えはすぐ側にあるのだ。わかっていても、俺は一歩が踏み出せずにいる。
ドトウは俺の言葉を静かに聞いていた。そして力強く決意するように答えた。
「…はい!トレーナーさん、私にもありました!私にしかない宝物!」
その様子を見て俺は安心する。もうドトウは大丈夫だ。あとはただ信じ続けるだけ。
いっておいで、そう言おうとしたその時、ドトウの意外な言葉は続いた。
≫74二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:37:41≫73
「すみません、最後に、少しだけトレーナーさんにお願いがあるんですけど…いいですか?」
「…?俺にできることなら何でもするよ」
ドトウがこんなことを言うのは珍しい。でも願いというのなら応えてから送り出すべきだ。
俺はドトウの言葉を待つ。
「あの…顔を近づけてもらえますか…?」
…?
「…こう?」
「えっとぉ、もう少しだけ近く…。そんな感じですぅ…。えっと…失礼しますぅぅぅ!」
そうドトウは叫ぶや否や、俺がウマ娘になってから生えた耳を思いっきり触ってきた。
今まで誰にも触られたことのなかったウマ娘の体。突然のことに顔は瞬時に真っ赤に染まり、
自分でも驚くくらい変な声が漏れる。
「ひゃっ…!?ド、ドトウ…?急にどうしたの…?」
消え入りそうな声でそう言う。恥ずかしさのあまり口調までなんだか怪しくなり始めた。
ドトウは微笑みながら小さく答える。
「トレーナーさんの耳、前から気になっていたんです。意外と大きくて、いつか触ってみたいなぁって」
また顔が熱くなる。
「笑ってください、トレーナーさん。笑って、私を応援してください!」
「キラキラな光を、持ち帰ってきますから!」
あぁ、反則だ。その言葉は今の俺にはあまりにもまぶしすぎる。
涙でぐちゃぐちゃになりながら、俺は必死に笑顔を作る。
「行っておいで、ドトウ!」
≫75二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:38:10≫74
『たとえどん底にいても』
『自分が好きになれなくても』
『自信なんか、ぜんぜん、ぜんぜん、ぜんぜんぜんぜん、なくても』
『救いはあります』
歓声が中山に響き渡る。
その言葉はきっと、多くの人に勇気を与える。
その走りはきっと、多くの人の光になる。
メイショウドトウ。俺の救世主。
その日、確かに、名将は頂点に立った。
≫76二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:38:48≫75
エピローグ
「あのっ!トレーナーさんも、走ってみませんか…?」
ある日トレーニングを終えた後、ドトウは俺にそう言った。
「俺が、走る…?」
「は、はいぃ。今なら周りにほとんど誰も残ってないですしぃ…
私もっ!一緒にいますから!」
走る。それはウマ娘にとって切り離せないもの。
実際に走ってみたいと、思ったことが無いといえば嘘になる。
でもそれは、ウマ娘になったということを受け入れてしまうことになるのではないか。
変わった自分を認めてしまうのではないか。そんなつまらないことが怖くて、意図して避けていた。
拒否して逃げるのは簡単だった。ドトウなら無理強いはしないだろう。でも…
少しの間を空け、俺は答える。
「わかった。少し準備をするから待ってて」
ドトウの顔が明るくなる。
「は、はいぃ!」
もう逃げるのはやめにする。前を向いてドトウの信頼に応えられるように努力する。
自分に自信を持てるように、そう二人で誓ったのだから。
≫77二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:40:03≫76
トレーニング用のジャージに着替え、俺はコースに立つ。
初めてみる景色は、まるで違う世界に来たようだった。
ドトウたちウマ娘はいつもこんな景色を見ているのだろうか。
晒された耳と尻尾が自分の制御を超えて忙しなく動く。
この二つの部位は特に感情と連動しやすいらしく、やっぱり恥ずかしい。
隣に立ったドトウがこちらを見る。
「初めてなので、焦らず、ゆっくりスタートしましょう」
「うん、分かった」
俺はうなずく。ドトウのスタートの声と共に、俺はこの脚で力強く、大地を蹴った。
体が前に跳ぶ。冬の冷たい空気の中を全身が駆け抜ける。
人間の時に走った感覚とは何かが違う感覚。悪くない、むしろ気持ちいい。そう思ったのも束の間、
「あっ」
俺の体はバランスを崩し、盛大に芝の上に転んだ。200mも走っていないうちの出来事だった。
≫78二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:40:42≫77
ドトウが俺の様子に気づき慌てて近づいてくる。
「トレーナーさん!?だ、大丈夫ですかぁぁ!ってきゃぁ!」
ドトウも何かに躓いて体勢を崩し、俺の真横に倒れこんできた。
夕日の中、ターフの上に転がる二人のウマ娘。わずかに無言の時間が流れる。
「…ははっ」
「ふふっ」
笑い声が空に響く。恥ずかしくて、楽しくて、嬉しくて、愛おしくて。そんな奇妙な感情に胸がいっぱいになる。
「俺たちってもしかして」
「似ているのかも…しれませんね」
俺たちはすぐに起き上がろうとはせず、仰向けのまま、お互いの顔を見つめあう。
「私、今の自分がちょっとだけ好きです。トレーナーさんが私のいいところを見つけてくれて、ずっと支えてくれて、ここまで応援してくれたから…。
だから、次は私が応援する番です!私がトレーナーさんのいいところを見つけて、トレーナーさんが自分を好きになれるように」
「…ありがとう、ドトウ」
触れ合う手は、温かく心地良い。
「それに…」
「?」
「トレーナーさんはよく恥ずかしがってますけど…、私は今のウマ娘のトレーナーさんも、
い、いいと思いますよっ!可愛くて!」
「…ドトウの方が、か、可愛い、から」
お互い恥ずかしさに顔を背ける。でも…
ドトウにそう言われる分には悪くないのかも…そう思ってしまう自分もどこかにいたのだった。
終
≫80はちみーリクが膨らみすぎた21/09/28(火) 22:42:23祝!トレーナーが車いすを卒業しましたー!と、いうことで杖フォームにチェンジしたトレーナーのお祝い代わりに!
一緒にデートにやって来たぞー!!車椅子だと来るのを躊躇うスカイツリーだ!
「楽しそうだな、テイオー」
そういってトレーナーは穏やかに笑う。
「だってそうでしょ、楽しいに決まってるじゃん!」
キミが快復して、一緒にこんな素敵なところ来れたんだから
横一面ガラス張りで。本来は平日の真昼間だから(ボクたちは振替休日というやつです)この絶景ほとんど独り占め!
これでテンション上がらなかったら、無礼討ちされちゃうよボク。
「よ、っと。……でも、せっかくの日なのに歩くの遅くてゴメンな」
なのにキミはまた謝る。俯いてて申し訳なさそう。必要以上に責任感じるのはキミの悪い癖だよ。もう何回目かわかんないや
「気にしないでよーこうやって一緒に歩調合せるのだって楽しくて仕方ないんだから!」
それにもし元通りになってもキミにスピードで負けるつもりはないよボク。キミのためにも
「そっか」
そういうと、キミはやっと笑顔になる。そうそう、その顔が見たかったの!
「あ」
そうそう、思い出した。怪訝な顔をするキミを横目にボクはゴソゴソ懐を漁る。……ウン、あるね
≫81はちみーリクが膨らみすぎた21/09/28(火) 22:42:30「よし!!」
ようやくいいの見つけて用意したんだ。あの日のオモチャじゃなくて、ちゃんとした、ダイヤの奴ね!アレマヤノからの貰い物でもあったし、ちゃんとしたもの用意したくて。
「じゃん!」
そういって懐から箱を出して、中身を見せる。
でも、アレ?なんだかキミは嬉しくなさそう
「……、いや、コレ、代用品だったんだろ?」
そういって君は薬指を見せる。そこにはあの日のオモチャの指輪が、安っぽくもしっかり輝いてた
「コレ、結構気に入っちゃってさ。見るたび、あの日のこと思い出せるから……幸せだなあ、って思えて」
なんて、そう、キミはふにゃりと笑う。
ああもう、ずるいよそれは。そんなこと言われたらソレ貰い物だから、とか言えなくなっちゃうじゃんか
「じゃあさ、ソレもつけてよ、一緒に」
そう言って、ボクは本命の方を同じ指に通す。二つの指輪が、キミの薬指に並んだ
あまりにもそれは幸せな光景すぎて、ボクらはお互いの顔を見合わせると笑ってしまった
「一緒に、幸せになろうよ」「……ああ」
そうしてスカイツリーの真ん中あたりで、ボクらは唇を重ねる
今日というこの日を、多分忘れはしないだろう
……なんだけど、アレ?見間違いかな?キミ青筋たってない?
「お前……勝手にはちみー飲んだな?ハチミツの味するぞ」
あ、ヤバい。待ち合わせの時こっそり飲んでたんだったアレ!!
「帰ったら、トレーニングだからな。テイオー」
「ソンナー!!!!」
と、なんとも締まらないデートになってしまいましたとさ、トホホ
≫91二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:47:24染められる?グルトレ
『俺』はもう『私』になっていた。グルーヴが用意してくれた下着、服、シャンプー、トリートメント、ボディーソープはとても落ち着くようないい香りがして好きだ。男物が溢れかえっていたはずの部屋も少しずつ女物が増えてきた。クローゼット等にあった男物の服は一部除き衣装ケースにしまい、奥に追いやられていた。今日は定期的にしている掃除の日。彼女が私の家に来て、この片付いていない部屋を掃除しに来る。
―――ピンポン
インターホンが鳴り響く、彼女が来たようだ。自然と笑みが溢れる。最近は特に彼女と居ると楽しい。毎朝してくれる編み込みも、トレーニングの時間も、他愛のない話も、一緒にする食事も。時々抱き締められる事もあるが、彼女に抱き締められているとあたたかくて優しいから好きだ。ドアを開けて彼女を迎え入れる。
「相変わらず…貴様はしっかりしてるのかずぼらなのかわからん…」
とっ散らかる部屋を見ながら彼女はぼやいた。トレーニングのメニューはじめ私に関することは完璧にこなせるのに、なぜ自分の事はできなくなるんだというのが、私に対する彼女の評価だ。自分よりもグルーヴが大事だから、グルーヴの事ばかり考えてしまう。仕方ない事だと思う。それに―――
「今日もよろしくお願いします」
「たわけ、少しは片付ける努力をしろ」
私の額を小突いて彼女は掃除を始めた。彼女は手慣れた手つきで、ゴミを分別し、散乱としていた本は綺麗に本棚に収まる。掃除機をかけ、洗濯を終え乾燥し取り込んで放置されている服は綺麗に畳まれ、箪笥へと仕舞われた。部屋はみるみるうちに彼女が来る前とは別部屋のようになっていた。
≫92二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:47:51≫91
「ありがとう、グルーヴ」
「全く……」
掃除を終えた彼女はやりきった、どこかスッキリとした顔でソファーにかけ、リラックスする。彼女にお茶とお菓子を出して、彼女の隣りに座る。
「また散らかす気か?」
「そうじゃない、気持ち。そう気持ち!」
感謝の気持ちと彼女にまだ帰って欲しくない気持ち。彼女と居られる時間が好きだ。以前よりもずっと好きなのは何故だろうか。『俺』だった頃には無かったものだ。『私』にしか無いものなのだろう。この答えはいつか見つけられたら良い。
「なんだ…?」
「あーん?」
無意識に私はポッキーを手に隣りに座る彼女の口元へと運んでいた。彼女は少し頬を赤らめ、これだけだからなと私の手にしたポッキーを口にした。彼女の年相応らしい表情や仕草を見ると胸がきゅーっとなる。もっと見たいなと思ったが、これだけと言ったのにやろうとしたら彼女の機嫌を損ねてしまうと手が止まった。すると、彼女がポッキーを手にし、先程私がしたように口元へと運んでいた。先程よりも更に少しだけ頬を赤らめた彼女。
「……私もやったんだ、貴様もやれ」
胸がまたきゅーっとなった。自然と頬が緩みあたたかい気持ちでいっぱいになる。だらしのない顔をするな、ささっと食べろと彼女が急かすので口にした。甘くて美味しい。このお菓子、こんなに美味しかったかなとそう思った。
私が自分よりもグルーヴを優先させて、グルーヴの事ばかり考えてしまうのは私が彼女のトレーナーだから、仕方のない事だと思う。それに、私がちゃらんぽらんにしてると彼女が私の事を見てくれて一緒にいてくれるから彼女との時間が増えて嬉しいんだと思う。
≫108二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:57:41縁での話、内側の話。
ウマ娘化したトレーナーたちへの励ましとして企画された一泊二日の温泉旅行。皆で温泉に入り、そして宴会でどんちゃん騒ぎした後のこと。
「フクトレ」
「ん」
縁側に座り一服していたフクトレのところに来客があった。ビニール袋に缶を入れたマクトレである。
「お隣、よろしいでしょうか」
「ああ」
マクトレは人二人分ほどの距離を置いて座り、最近トレードマークとなりつつあるストロングゼロを取り出した。
「相変わらず好きだな」
「こうなる前から夜はこれだと決まってますの」
しかしその飲み方は宴会で見せたガーっとやってゴクリではなく、まるでお猪口の日本酒でも飲むかのようなスピードだった。
しばらく沈黙が続く。夜の気持ちのいい風と、揺れる木の葉の音だけがそこにある。
「…東京にいるとなかなかないよなこういう音」
「そうですね。車の音も聞こえない。夜の散歩もこれくらい静かだといいのですが」
二人はしばらく自然の夜の音を満喫した。
そしてフクトレが一本吸い終わり、マクトレが一本呑み干した頃。
「……フクトレはわたくしのこと、どう思っていますか?」
「ん?」
マクトレの突然の質問にフクトレは疑問符を浮かべる。
「んー……酒飲みで担当に本気なやつ」
「酒飲みが最初…いえ、そうではなく」
マクトレは、少し俯いて続けた。
「俺が因子に呑まれてるのを、お前がどう思ってるかって話だ」
≫109二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:58:00≫108
「…へえ」
マクトレは、確実にメジロマックイーンへとなりつつある。少なくとも周りにはそう見えていた。もちろん根本にある強固な意思と経験は全く変わらない。噂に聞く覚悟は何も変わっていない。だが、表層はもはや担当のそれであった。
一方、フクトレはそうなることを意図的に避けていた。フクキタルの姉の因子、それを表に出すことのないように、慎重に過ごしていた。走るのも、誰かを呼ぶのも、確固たる自分がしていることだと認識しながらの行動としていた。
「言葉、トレーニングの話じゃなくても戻せるんだな」
「ああ。これは根底の俺が話すべきことだ。全力で気を引き締めれば、これくらい」
「そうか。そうだな…」
少しだけ言葉を詰まらせて。
「…正直、羨ましいとは思ってるよ」
「…そうか」
ブラトレとの競い合いで、全力で戦うマクトレ。担当と一緒になって、お菓子を貪るマクトレ。マックイーンのレースを、何よりも真剣にトレーナーとして見届けるマクトレ。皆から見て、その姿勢はきっとトレーナーたちの中でもトップクラスに、自由に、上手く宿業を乗りこなしているように見えていた。
一方のマクトレは、それはフクトレに失礼なのではと思っていた。フクトレのような縛り、それのない自分の姿を見せていいものか悩んでいた。
≫110二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 22:58:38≫109
「けど、それだけだ。捕まった星のもとの違いだ。俺が因子に縛られようが、お前が縛られなかろうが関係ない、俺はそう思っている」
「そっか。それは…ありがとう」
マクトレはもう一本の缶を開け、フクトレはもう一本のタバコを取り出す。
「…お前のおかげでひとつもやが晴れた。お礼としてこれ、と、一言」
ストゼロを一缶差し出し、言った。
「お前は因子に縛られてるんじゃない。自分を担当のために縛ってるんだと思う。それは俺でも持ってない、とんでもなく強い種類の意志だ。誇っとけ」
横顔は笑っていた。フクトレもまた、笑って返した。
「はは、そうか。ありがとな。お前はこっち、いるか?」
「タバコはやってませんの」
フクトレもまたストゼロのプルタブを開ける。鼻腔の下にアルコールの香りが漂う。
「…お前この匂いの下で風情語ってたのか」
「嗅ぎ分けてこそのものですわ、澄んだ空というのは」
夜が更けて行く。満月は天頂に近い場所にある。二人はこの後しばらく、涼しげな空と風の音を楽しんだ。
終わり
フクトレ解釈違いあったら申し訳ない🙏
≫130二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:14:56駄文失礼します。
「じゃあ、行こっか。」「おけ。」
ウマ娘になってから今日で三日目。大分身体に慣れてきたところで、今日の試みはドラムの演奏だ。
「今日はちょっと遠い所まで行くよ。」「近場は?」
「ダメ。めんどくさくなりそうだし。」「分かった・・。」
私たちは東京から離れて電車で揺られる。
長い電車旅に辟易しながら、私は色んな事を考えた。
これからのこと、シチーのこと、そして、私自身のこと。
不可解で、喉に小骨が引っかかる“俺”のこと。
しばらくして、埼玉某所にたどり着いた。
そこからちょっと歩いたところに、小さな楽器店がある。
そこは、学生時代によく使っていた場所。
小難しいおっさんが細々とやっているこの店は“俺”の音楽の原点である。…正直不安だった。何故かは分からないけど前のようには叩けない。そんな確信めいた懸念をよぎるも、そんなことないと自分に言い聞かせて、私はドアを開けた。
≫131二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:16:18トレーナーが手続きをしてる間、アタシはトレーナーに初めて演奏を見せてもらった事を思い出した。素人目のアタシから見ても、技術の蓄積を思わせる腕前だったことを覚えてる。
だけど、どの映像のトレーナーも怒ってるような、辛いような顔をしていた。何故かそのことを、よく覚えている。あれは一体、何だったんだろうか…
そんなことを思い出しているうちに準備が終わったトレーナーが、ドラムスティックを持って話しかけてきた。
「じゃ、そろそろ始めるよ。」
叩き始めて1時間、未だに違和感の正体を掴めない。幾ら叩いても叩いても…
8割どころか、4割も出来ない。俺が覚えている技術は、ある程度は苦もなく再現出来ている。けど…その先にどうしてもいけない。幾ら方法を変えても、どう頭を捻っても手応えすらない。
始まってから2時間たった。ますますトレーナーの顔が険しくなる。どうやら思い通りの演奏が出来なくて焦っているようだ。
「…ごめん、シチー。ちょっと部屋出ててもらってもいい?」
「…わかった。」いつものトレーナーらしくない口調に、少し驚いたが、それ以上に印象に残ったのは、虚しさと焦りを含んだトレーナーの瞳だった。
私が出てから、更に2時間経った。
先程ようやく音が止んだので、様子を見ようと覗いてみると、
椅子から倒れたトレーナーの姿があった。
≫132二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:17:09「トレーナー!!!」
「…ごめん、ちょっと…目眩がして…」
「良いから。地べただけど、座れる?」「…うん。」
そうやって支えたトレーナーの背中は震えていて、不安そうだった。まるで、寄る辺を失った、鳥のようで。
「…で、何があったの?」
「…けなくなってる…」
「えっ?」
「前…みたいに…叩けなく…なってる……」
もう、どうしようもなく、空っぽだった。
以上です。ありがとうございました。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part74【TSトレ】
≫75二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 00:17:32「…………なあボノトレ」
「何マヤトレ?今宴会芸の準備しているとこなんだけど」
「なんで俺たち宴会場から追い出されたんだっけか」
「仕方ないでしょ…酔っぱらったタイトレが『野球拳やるぞおおおお』とか意味不明なこと言い出したんだから…」
「ああ、それでさっきタイシンがこっちに運び出されてたんだな…」
「まあ壊れるよね。というかマヤトレはなんで把握してないのさ」
「心の中で何かこう…セーフティが働いて情報シャットアウトしてたから…気が付いたらここにいた感じがある」
「…うん、正しい判断かもね」
「個人的にはお前も連れ出されたことに驚きだがな。皆ちゃんと覚えてたんだなって」
「いやごめん、自分から出てきただけだよボク」
「そっかぁ…そっかぁ……」
オイマタシンボリイロボケライオンガルドトレヲツレサッタゾ!
モウホットケ!
「で、結局宴会芸って何やるんだお前」
「利きビールだけど? といってもまあ出す側だけど」
「…まあお前が飲むのはビジュアル的にやばいもんな」
「いや別に普通に飲むよ? ただ今回はみんなが楽しく酔っぱらってるのみたいだけで」
「…なんか…担当に似てきたな、お前も」
「ウマ娘化してないのにね…まあそんなもんじゃない? 誰だって長く付き合ってればなんとなく似てくるもんだよ」
「そんなものかねぇ…」
「そんなものだよ、きっと。マヤトレだって同じさ」
「…………」
このあと無事どこかしんみりとした雰囲気のまま、二人で飲みながら利きビールの準備をしたマヤトレとボノトレであったとさ
うまぴょいうまぴょい
≫86二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 00:19:29妹ラプソディー 黒ライトレ
僕はライスシャワーのトレーナー。ひょんなことからウマ娘になってしまった。ライスと同じようにはねた髪や耳と尾、以前と変わらない背丈、男から女になった事への戸惑いも少しずつ落ち着くようになった。ライスへの絵本の読み聞かせ終えた僕は、用意していた紅茶と手作りの特製アップルパイを切り分けて絵本の世界の余韻に浸っている彼女の前へひっそりと置く。なんて可愛いのだろうか、じーっと彼女の様子を見ていると目があった。
「お姉さま?」
首を傾げてこちらを見つめる。なんて可愛い僕の可愛い担当ウマ娘、そして可愛い僕の妹。
「なんでもないよ、ライス」
さぁ、アップルパイを食べよう。そう声をかけると、ライス、お姉さまの作ったアップルパイ好きだから嬉しいと柔らかな可愛らしい笑みを浮かべた。世界を救う笑顔はここにある。最高だ、僕の妹は最高だ。心の中でライスの可愛さに狂喜乱舞しつつ、紅茶を口にする。
「やっぱり、お姉さまの作るアップルパイは美味しい」
「ライスも手伝ってくれたじゃないか、だからもっと美味しくなったんだ」
「でも…」
僕としたことがライスにこんな悲しい顔をさせてしまった。最低だ、お兄さまもといお姉さま失格だ。ライスは作る過程が、手間が増えた事を自分のせいだと思ったようだ。
「違うんだ。良いか、ライス」
「お姉さま…」
「僕はライスとゆっくりと、このアップルパイを作りたかったんだ」
「そうだったの?」
「そうだとも、ライスとお菓子作りするのはひとりの時より楽しいし、なにより美味しくなってくれる」
ライスの可愛らしい顔立ちに笑顔が戻る。砂漠にもオアシスが溢れたような気持ちだ。なんて可愛いのだろうか。はったりではなく、これは紛れもない事実だ。僕だけではこの美味しいアップルパイはできない。ライスと作るからできるアップルパイだ。
「ありがとう、お姉さま」
「なんでお礼なんて言うんだ?」
「ライス、凄く嬉しかったから…言いたくなっちゃった」
抑えろ、抑えるんだ僕。この可愛らしい天使のような、世界を救えるような妹の前ではちゃんとお姉さまでいるんだ。心の中の草原で叫ぼう、妹最高ー!よし、スッキリした。
「僕こそ、ありがとうライス。さぁ紅茶が冷めないうちに食べよう」
心の底からのありがとう。ライスとの出会いは僕にとって世界を変えた。ライスへの愛おしいこの気持ちは僕の動力源だ。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part75【TSトレ】
≫76二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:02:28
- 受け入れし奇跡(マーベラス)
巨大なポニテを携えた1人のウマ娘が廊下をるんるんと鼻歌を歌いながら歩いていく
「マーベラスっ!マーベラスっ!」
彼女は近年この学園で発生してるトレーナーがウマ娘になる謎の異常事態の被害者の一人マベトレだ
その被害者になったものは姿形だけではなく、ウマソウルなるもので大なり小なり精神にも影響を受け以前とは全く変わってしまうとされている。
中には全く変わらないものもいるらしいが、
彼女、マベトレは当初多大な影響を受け大波乱を起こした。そして紆余曲折あり、一応おとなしく(?)なり現在へ至る。だが有り様は様変わりしていた。
私は、彼女が今でも彼の意識を残しているか確かめてるために接触をした。
「あのマベトレさん少し話があります。」
「あ、○○トレ今日もマーベラスっ!なんのようだいー」
「率直に聞きます。あの日のことと今のことあなたがあなたであるか全部教えて下さい」
「んーー」
彼女は少し考える仕草をしてこういった
「そんなのマーベラスだよっ!!。」
こう返されると思った、だが現実は違った。
「少し待っててねー。ここで立ち話はなんだから空いてる部屋で話をしようかー。」
その目はいつものキラキラしたものではなかった。
1/2
≫77二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:03:58≫76
ーーとある部屋
彼女はすっかり小さくなった体に対して大きい椅子に座りこう言い始めた
「はてさてどこから話しましょう。ここは私が担当との関係に悩んでいたとこにしましょうか。」
いつもの幼い口調ではなかった。
曰く、マベトレは担当との関係構築に悩み、なかなかうまいコーティングができなかったこと
曰く、近所の神社や三女神に通い詰めていたこと
曰く、その後に起きたこと
その彼女の言うことに彼だった面影を感じた。
「でもなんで例のことがあってまた自らそういう風になるような行動をするんです。」
私は一番の疑問をぶつけた。
「あなたがそう思うのは当然のことです。
ええ、ええ、いろいろな人がいます。抗うもの、馴染もうとするもの、飲まれたもの・・・
様々な混乱がありましたが、私はこの現象に本当に感謝しています。
いえいえ、担当との仲だけではありません。」
「そして私は、このことを受け入れようと思いました。別に導きを得たとか洗脳されたとかではなくです。
くよくよして自分のことで悩んでる暇があったら、担当ちゃんの事で悩むそれがトレーナーでしょうー
過ぎ去ってどうにもできないことを考えるのはマーベラスじゃないっ!、いまあるマーベラスを存分に活かす!
そして、マーベラスが足りない人たちにマーベラスを届ける!そうしようと思いました。」
「さて、辛気臭い話はこれでおしまいっ!そんなのマーベラスじゃないでしょう!。」
マベトレは普段の喋り方に変わっていった。そして椅子から立ち上がりこちらに振り向くと
「じゃあね、それとこの話は此処だけだよー。」
人差し指を唇にかけてそういった
その後、すぐにウマ娘で有ろう影にかけて行く
「タイトレだー!!今日もマーベラス☆っ!」
そういう彼女の姿は気高(marvelous)かった。2/2
≫86ロブトレヒロイン概念21/09/29(水) 01:07:59「あ、し、失礼します。あの、トレーナーさんが酔いつぶれた、と聞いて……」
「zzz……」
「ふふ、よく眠っていますね。では、失礼しました」
「ロブロイ……ごめんね……ずっと、一緒にいて……」
「……トレーナーさん、大丈夫ですよ。ずっと、ずっと一緒ですからね」
≫87二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:08:08オホン 歌うぜ
ウマ娘はウマ娘化担当トレーナーに対し掛かり気味になれ高校校歌
作詞・作曲 三女神の守り人(自称)
ああ ウマ娘はウマ娘化担当トレーナーに対し掛かり気味になれ高校
トレーナーのふとした仕草で
掛かり気味になれ
人間の時は考えられなかったあんなことこんなことで
掛かり気味になれ
レースでの掛かりはマズいけど
ここでの掛かりは大丈夫だ
押し殺していた感情欲望を
心のままに解放せよ
我ら ウマ娘はウマ娘化担当トレーナーに対し掛かり気味になれ高校
(セリフ:そして四六時中全力で掛かってるウマ娘、そうお前だよお前、は少しは落ち着け)
≫101二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:11:00駄文失礼します。
今日はウマ娘化したトレーナーたちで、宴会を開いていた。
一時間を超え、場も温まった頃に誰かが言い出した。
「王様ゲームしよう。」
突飛だが、こんな事を言い出した日にはもう止まらない。
即席の箸くじ引きはドンドンなくなって、全員が引ききってしまった。
そうして、合唱が聞こえた。
「王様だーれだ!」
もう何回目かの宣言で、手にしたのは、マンハッタンカフェのトレーナーさんだった。
普段は着けていない黒い革手袋を引っ張って、彼女の取った箸には王冠が描かれていた。
(・・・・誰かからの贈り物だろうか・・・・)
そんな益体もないことを考えながら、命令内容は何かとボーッと聞いていると彼女の困っているような、楽しんでいるような口が開いた。
「・・・・じゃあ、3番と13番がキスをする、で。」
- 自分の箸に書かれた13の数字に思わずハイボールを吹き出した。
「・・・・お手柔らかに、お願いします・・・・」
可哀想に、酔っ払いに巻き込まれてこんな目に合って・・・・
山葵色の綺麗な瞳は、涙に濡れ、頬はアルコールが入っているからか赤くほてっている。
「大丈夫、軽くで済ませるからさ・・・・」
- まぁ、ここまで涙を浮かべられると少し悲しくもなる。
彼女にとっては、担当に操を立てたいのかもしれないが、
幾ら風貌が怖いからって私もそれなりに・・・・
そんなことを考えながら、彼女を少し見ていると
(でもかわいい・・・・)とか思ってしまった。
だから、少しだけ、
魔が差した。
≫102二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:12:02と言ったって、ガチなのは私もしたくない。それはシチーだけのものだ。
だから、私は少し悪い笑みを浮かべながらこう語りかけた。
「家に帰って、貴女のヒーローさんに、慰めてもらうと良いよ。」
ゴールドシチーさんのトレーナーさんは、私にそう囁くと、おもむろに唇を重ねてきました。
初めは、優しいフレンチキスで何回か口づけをして、その後に彼女は唇をより深く重ねてきました。でも、絶対に・・・・その・・入れてこなくて、甘噛みするようなキスをされました。
だんだんと引っ込みがつかなくなるんじゃないかという私の大きくなる不安は、その曖昧なキスに塗りつぶされて・・・・
どうやら、周りのトレーナーさんから後で聞いた話だと数回のキスの後、頭が一杯の私を彼女が、自分のコートを丸めた枕で寝かしてくれたそうです・・・・
その後に、迎えに来てくれたロブロイに謝りながら、
「余計なお世話かもだけど、今日は彼女を塗りつぶしてあげてね。」
と言ったそうです・・・・
えっ!?その後!!? それは・・ちょっと・・・・言えないです。
解釈違いだとすいません。
≫113二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:16:42「…………なあボノトレ」
「何腐れロリコン野郎? いっとくけどボクはロリじゃないからね?」
「寝言は寝て言え女装野郎。いやそうじゃなくてさ…結局このビールの山どうするよって」
「ああうん…そうだね…もうそういう雰囲気でもなくなっちゃもんね。というかこれ無くてもみんな酔いつぶれちゃったし」
「仕方ない俺たちで飲んどくか…うん美味しい。これは…ビールだな!」
「何バカなこといってるの。それは…ビールだよ」
「まてや銘柄は?」
「さあ…覚えてない…」
「利きビールの意味なんだよ!いや俺も真面目に答えなかったけども!」
「お酒なんて楽しく飲めればそれでいいんじゃないかなってたまに思うんだよね、ボク。でも、やっぱり美味しいお酒の方がもっと楽しく飲める」
「…………」
「どうしたの? マヤトレ」
「見た目だけは子供に見える女装野郎が酒飲みながら真面目に語ってると違和感しかないなって」
「しばき倒すよロリコン」
「ハイハイ…それじゃそろそろ酔いつぶれたアホどもを回収しにいきますか。明日には大人に戻らなきゃならん」
「ウマ娘がいくらアルコールに強いって言っても限度はあると思うんだよねボク。そこで飲んでるマクトレとか」
「こんなとこ見られたらまた飛ばし記事書かれそうだなぁ…じゃ、ボノトレ先に言ってくれ。俺が下手に入るとうっかり殺されかねん」
「まあね…ちょっとオグトレー! 今どんな感じー!」
ゴメンマダツヅキソウー!
「…飲むか」
「ウマ娘ならともかくボクらがこれ以上飲むと明日に響きそうだなぁ…ザルだけどさぁ…」
そうして、大人たちが子供に戻った夜は、無事更けていくのでありましたとさ
うまぴょいうまぴょい
≫140尻尾アクセ(クリトレ編)(1)21/09/29(水) 01:32:38「ねえ、クリーク。お願いがあるんだけど」
「まあまあ……どうしたんですかトレーナーさん。どこか具合でも?」
「ううん、大丈夫。お願いっていうのは、その……」
「何でもおっしゃってくださいね。張り切ってお世話しちゃいますから」
「えっと……クリークの尻尾の毛を、少し分けてほしいな、って」
「……え~っと……?」
「つまり、2人の尻尾の毛を編んで、アクセサリーを作りたい……んですか?」
「うん。あ、もちろん、嫌ならいいんだ」
「いいえ~、嫌だなんてとても。ただ……」
「ん?」
「尻尾の毛で装身具を作る。トレーナーさんは、その意味をご存じなんですか?」
「……うん。先輩方が嬉しそうに着けてて、こっそり調べたから」
「……ありがとう、クリーク。大切に使わせてもらうね」
「……トレーナーさん、私にも、トレーナーさんの尻尾の毛をくれませんか」
「うん。わかった、一緒に作ろうか」
「はい!うふふ、何だか楽しくなってきちゃいました~」
≫142尻尾アクセ(クリトレ編)(2)21/09/29(水) 01:33:19静かな部屋に会話もなく、ソファに並んで毛を編んでいく。
毛色の似通う二人が紡ぐ、一目でわかるのはただ二人だけ。
自分の毛、相手の毛。重ねて、交わして、束ねて、編んで。
暫く経って出来たのは、大小2つ揃いのリング。
大きなリングは大きな影へ。小さなリングは小さな影へ。
銀の鎖にそれを通して、互いの首にかけてあげる。
「いつだったっけ。恋人、夫婦、義理、本命、そんな話をしたよね」
「ええ。そういえば、タマちゃんにバカップル、なんて言われたりもしましたね~」
「確かに言われたね、覚えてる……でも、これまでも、これからも、変わらないことがある」
「……はい。ずっと、ずうっと。変わらないことがあります」
たった一度の出会いは、やがて、ずっと続いてゆく道になる。
涸れんばかりの一滴は、やがて、溢れんばかりの大河になる。
二人並んで歩む道のり、一体誰が阻めようか。
恋なき愛が偽りなどと、一体誰が言えようか。
穏やかな日も、激情の日も、健やかな日も、病める日さえも。
甘え合い、支え合い、頼み合い、寄り添い合って。
二人誓うは静かな部屋で。見届け人はお星様だけ。
二人笑うは小さな部屋で。月の見えない夜のお話。
(了)
≫150二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 01:50:33「…………なあボノトレ」
「何ザル野郎。というか酒強くない? ボクもそれなりに自信あったんだけど」
「マヤノパパによく飲みにいこうぜって言われるから…酔ったら死ぬなこれって思うと自然に強くなってた」
「酒への耐性って後天的につくものだっけかなぁ…」
「まあそれよりボノトレ、そろそろ流石に皆酔い潰れた頃だろ」
「そうだね…じゃあとりあえず状況確認してきて。ボクは無事な面子集めて死体回収の準備するから」
「分かった…っていやまてや! 俺が入ったらワンチャンといわずそれなりの確率でぶっ殺されるわ!」
「ああうんそうだね…まずいな…ちょっと飲み過ぎたかも……」
「……年か」
「キレるよ? 流石にそんな年じゃないよまだ。マヤトレと違って」
「俺もまだ若えよ! というかそういえばお前何歳…」
「自分を若いって言い出すのは年老いた証だそうだよマヤトレ。まあ言われても気にしなくなってからがやばいって聞くけどね。それより、ちゃっちゃっと死体集めに励もうか」
「そうだな…じゃあとりあえず無事そうなオグトレ辺りに声かけて…いやまずそこのメジロの恥からか。おーいマクトレ!」
「はーなんですのーマックイーンが一番ですわー次のレースもマックイーンが勝ちですわー」
「は? うちのマヤノの方が強いが?」
「あ゛!? やんのか手前ごらぁ!?」
「よし起きたな…はい立った立った。トレーナーに戻る時間だぞーっと」
「ううっくっそ頭いてえですわ…飲み過ぎですわ…阪神の負けですわ…」
この後無事二日酔いになったマクトレでしたとさ
うまぴょいうまぴょい
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