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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart91~95)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part331【TSトレ】
≫16二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 09:14:33
言うっちまうスレ5箇条!
一、挨拶はきちんと
一、なるべく曇らせない
一、なるべく争わない
一、悩んだら相談!
一、なせば大抵なんとかなる
一、胸を盛れ!尻を盛れ!己の性癖を自キャラに盛れ!
≫133二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 13:00:33
弓道練習
タイトレ「アイッタ」ベシッバインバイン
ルドトレ「イッタッ」ベシッバインバイン
ロブトレ「イッタァ」ベシッバインバイン
タマトレ「...」スカッ
ケツトレ「...」スカッ
マック「悪意を感じますわ...」スカッ
≫142二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 13:11:37
ロボ談義 テイロブドベタママル
「パシフィック・リムだって!最初の白スーツ装着シーンのワクワク感凄かっただろ!?」
「コードギアスシリーズです!悲しくも美しい世界で各々が目的を持ってナイトメアを駆ける…素晴らしいものですよ…」
「おうテイトレとロブトレ!何熱くなってんだ?」
「ドベトレ!今どのロボット作品がいいか話してるんだ…お前はどっちの方が好き?」
「一応どっちも見せてもらったし面白かったけどよ…これ優劣を決めてんのか?」
「いや別に?コードギアス最高じゃん。一期のワイヤー描写格好いいよなぁ…」
「タンカーを武器にする発想凄いですよね…流石はあの監督と言うべきでしょうか」
「あぁそういう…でもどっちも続編あるよな?えーっとアップライジングと復活の…」
「「その話はやめよう(ましょう)」」
「お…おお…なんだ、その、駄目だったのか?」
「いや駄目じゃなかった…けど…求めてたのはあれじゃなかったというか…なんで監督変更したのっていうか…」
「その…実はまだ勇気が出なくて見れておらず…感想が良かったと発狂してる人の二つしかなくて…」
「…そうか…すまん…」
「…どうした?三人暗い顔して」
「タマトレ!いいところに…今こういう話してて」
143二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 13:12:04
「なるほど…そうだな、パトレイバーはどうだ?世界観に上手くマッチしてるぞー自衛隊にもあんなのあったらなぁ」
「見たことないパトレイバー」
「私もです…気にはなってるんですけどね」
「うーんそうか…なかなか難しいなぁ」
「いろんな年代が見てるので言えばガンダムとかか?俺あんまり詳しくないけど」
「あー…世代によって意見が別れるやつだ…三年ずれるだけで見てたの変わるよな…俺あいつらと話して実感した…」
「私の年代なら…SEEDですかね?子供の頃なのであまり覚えていませんが…タ、タマトレさん?どうしました?」
「ガンダム…ガンダムは…敵!」
「急に目が怖くなったが…ガンダム嫌いなんか?」
「フル・フロンタル嫌い…あいつ…通常時全然来ないくせにRush入った瞬間にでしゃばりやがって…くそぉ…」
「パチンコになったんだっけそういえば」
「可能性に殺されてますね…」
「あれ面白かったぞ!気がついたらめっちゃ玉出てて…奢るから今度飯行こうぜ!」
「…タマトレがFXで有り金全部溶かした人の顔してるけどどうした?」
「あっマルトレ!ロボって言えばパシフィック・リムだよな!?」
「いえコードギアスですよね?」
「ロボット?…なるほど…」
「…?はっ!その構えは!」
「ブレストファイヤー!」
「「「「ウワーッ!!」」」」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part332【TSトレ】
≫16二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 15:34:59
「…………ねぇマヤトレお兄ちゃんと、ボノトレお兄ちゃん」
「なんだカレトレ、と言ってもさっきのことなんだろうが」
「SNSのコツを教えてほしい…って言われてもなぁ…。ボクらが使えないとは言わないけど、正直担当の娘達の方がよっぽどしっかりしてるし使い方も上手いと思うんだよね」
「それはまあそうだけど…、あんまりお姉ちゃんに教わってばかりもなぁ…って思って」
「その心意気は買うがなぁ…"あの"カレンチャンだぞ?」
「大人しくカレンチャンを頼ったら…ああ、そういう…?」
「そういうって何ボノトレお兄ちゃん。まあとにかく、なんでもいいから何か教えて?」
「一番困る奴来たな…」
「じゃあ、マヤトレお兄ちゃんからは炎上の対処法とか? ほら炎上とか厄介ファンの対処とか慣れてそうだし。お姉ちゃんはこういうところカワイイで解決しちゃうけど私は中々そうはいかないから」
「俺への認識に対しては色々思うところがあるがまあうん…、それなら力になれる…かなぁ…」
「ボノトレお兄ちゃんの方は…どうだろ、愛されるコツとか?」
「それこそカレンちゃんの土俵じゃない? あとボクもボーノの配信でそんなに意識してることは無いよ。普段通り食べてるだけだし。アケボノならまた違うだろうけど…」
「そっかぁ…うん、ありがと二人とも。じゃあとりあえずはマヤトレお兄ちゃんから炎上体験談聞こうかな」
「まず俺が炎上したことあるみたいな前提止めないかカレトレ」
「まあ炎上回数なら間違いなくこの3人…いや担当含めた6人でもトップの可能性あるよねマヤトレ」
「お姉ちゃんを超える可能性があるとしたら…きっとマヤトレお兄ちゃんだと思うよ♪」
「いらない。炎上回数でトップなんていらない」
「トップガンだけに? …ごめん、なんでもない。とにかく、じゃあまずマヤノお姉ちゃんがウェディングドレスでツーショ上げた時のお話から聞いて良い?」
「そういえばボクも燃えたのは知ってるけど、詳細な話は聞いて無かったね…よしじゃあキリキリ吐こうかマヤトレ」
「あれ待てなんか話の流れ変わってないか!?」
この後無事炎上のコツ◎のヒントを得たものの全く参考にはならなかった上、想定よりちょっとマジな感じの炎上やDM爆撃を食らってることを知ってちょっと引きつつイケメンも大変だなぁ…と思うボノトレとカレトレでしたとさ
うまぴょいうまぴょい
≫68ガンギマリ頭スズトレ21/10/28(木) 17:10:28
雲ひとつない青空のある日、皇帝は食堂で昼食を取っていた。
珍しい事だ。なぜなら皇帝は大抵の場合、生徒会室か伴侶の部屋で弁当を食すからである。
しかし今日、伴侶は出張でいない。ゆえにたまには、と食堂に足を運んでいた。
そんな皇帝に近寄る影が1つ。
「隣いい?ルドルフ。」
「スズトレさんか、どうぞ。私も誰かと食べたいと思っていたところです。」
スズトレ。逃亡者の相棒であり、未来に花咲く蕾。同時に、皇帝を支えた人物の一人でもある。
相棒は伴侶と同期であり、その中でも一際担当がつくまでの時間が長かった。
自由であった相棒は同期や先輩を、特に生徒会の仕事もある伴侶を手伝うことが多く、皇帝の記憶にも相棒に助けられた事は1度や2度ではないと残っている。
「調子はどう?ウマ娘化現象で大忙しだと思うけど。」
「水滴石穿、と言ったところでしょうか。少なくとも最初期と比べて発生の頻度は減っている上、対応も慣れてきましたから。
事態の解決、という面では進退両難ですが…」
「タキオンとかシャカトレとか、色んな人が調べてるけど全然だもんね。」
相棒がため息をつく。それは苦しんだ霜月を思い出してか、はたまた自身以外で苦しめられている友を想ってか。
少しの静寂の後、再び相棒が口を開く。
69ガンギマリ頭スズトレ21/10/28(木) 17:10:47
「そういえばトレーナーのトゥインクルシリーズ参入の件、ありがとう。ルドルフも動いてくれたって聞いたから。」
「いえ、どちらにしろいずれ協議せなければならなかった問題です。貴方の訴えはその議論を早め、結果として新たにトレーナーの身でトゥインクルシリーズを志す方々がスムーズに参入する事が出来ました。こちらこそ、感謝を。」
静かに、しかして威厳の篭った一言。その後も、互いの近況を混ぜた雑談と共に食事は進む。
そして両者食べ終わり、解散する間際。
「…スズトレさんは、私とトレーナー君の関係をどうお考えでしょうか。」
皇帝が相棒に問いかける。その目には、僅かな迷い。
「…過去に起こった事は変えられない。いい事も、悪い事も。だからこそ私たちは今をせいいっぱい生きるし、まだ見ぬ未来に思いを馳せるんだと思う。
ルドトレにとって、あなたといる以上の幸せはきっとないんじゃないかな。」
相棒が語る。その声は溢れんばかりの優しさに満ちており、皇帝の迷いを優しく祓う。
「…まあ、少しは抑えて欲しいとは思うけどね?ブラトレが可哀想だから。」
「…善処します。」
皇帝が苦笑いし、反して相棒は微笑む。
そして。
「では、私はこれで失礼します。」
「うん、久しぶりに結構話せて楽しかった。…私の友達を頼んだよ、ルドルフ。」
「言われるまでもないことです。…貴方といずれドリームシリーズで競える日を、心待ちにしています。」
過去と未来でそれぞれ伝説を残す二人の会話の1つは、これにて終わりを迎えるのだった。
≫78二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 17:40:08
タイトレと身体が入れ替わったグラトレ(独占力)
トレーナーサーン、ジカンデスヨ−……トレーナーサーン、ジカンデスヨ−……
「…………うっ、朝か……なんか身体が重……んっ! ……!?」
愛用の目覚まし(改造パカぷち人形verグラスワンダー)を止めようと身動ぎした瞬間に、胸に甘い痺れを感じて異常に気が付いた……
「な……なんか、また胸が大きく? ……それに腕も短い……?」
そして立ち上がると更に異常が追加される。
「ぬ、布が擦れるだけで……なんでこんなに敏感に……って、あれ? なんか……部屋が大きく?」
疑問に思いつつ身体の異様な敏感さに難儀しながら姿見まで行くと……
「タ……タ、タイトレ? えっ、なんで? というか普段こんな敏感なの!?」
同僚の身体の秘密を知ってしまいグラトレの性癖が壊トレーナーサーン?……踏み留まった
「と、取り敢えず着替えよう……」
……身長が下がった分胸にまわせるか?……ふぁっ ……胸元が広いのは許容しよう……んっ
……袖から手が出ない!? ……ひゃっ!
……裾が……引き上げて帯で無理矢理止めるしか……んっ
あっ、お尻は小さくなってるのか……ひあぁっ!
「…………と、いうより敏感過ぎるだろ!! ……ひゃんっ!」
79二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 17:40:25
一方タイトレ
「コ、コレはグラトレの身体? うおっ、滅茶苦茶身体が軽い!」
「細いけど良く鍛えられてるし、胸の重しが無いからかなり動かせるぞ!!」
「っと! いかん、いかん! 早く学園へ行ってグラトレと会わないとな!」
という事で早速着替えるのだが……
「シャツは入ったな……袖が足りないが」
シャツは身長が伸びたけれども胸の分の余裕が有るので、袖が短い以外に問題は殆ど無かった……
「……ズボンが……入らない」
問題はズボンの方だった、脚が伸びてる分裾が足りないのは兎も角デカくなった尻が入らない……
「仕方無い、助けを呼ぶか……」
プルルルルル…ガチャ
『……なによ、朝か『助けてくれ、タイシン!』
『はあ!? 何が有ったのよ!』
『尻が……尻がズボンに入らない!!』
『はあ!?』
結局助けに来たタイシンの性癖は壊れた。
≫148ブルトレさんinルドトレさん21/10/28(木) 18:28:55
(ルドトレさんの体......私より色々大きいです)
(もしかして......今なら機械に触れるのでは?)ボン!
(ダメでした......)ショボン
「まずは...パンチですか」
「えいっ」ペチ
(重心が安定しないせいで上手くいかないです......大きいのも大変なんですねえ)
(コンボは......やめておきましょう。彼女の体に何があったらいけません)
しばらく後
「よし後は.....ブルボンの勝負服を着れば終わりですね」
(対応したサイズの物が用意されてますが、この体でコレを着るのは色々まずいのでは?)
「マスター、いかがなさいましたか?...その体は?」
「ああブルボン。今学園でトレーナー間で体が入れ替わってるみたいなんです。このメモに書かれたリクエストを何個か達成すれば戻れるみたいなのでやってるんですよ」
「成程、理解致しました。私より少々身長が高くなったのですね、マスター。」
「ええ、そうですね。......なんですその残念そうな顔は?......え?撫でにくい?わかりましたよ。まあ撫でるくらいならいいですよ。ほら」
「感謝します、マスター」ナデ
「ひゃっ!?」
「!?大丈夫ですかマスター!」
「大丈夫、大丈夫です。でも撫でるのは元に戻ってからで。いいですね?」
この体は色々とまずい。そんな気がした私は急いで勝負服を着るのでした。
終わり
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part333【TSトレ】
≫17二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 19:00:13
『たらいまわしのその果てに~テイトレ相談ブラトレ編~』
「……で、結局はぐらかしてたけど何の話なんだ?」
「う、うーん……」
いつものようにジョギングしながら帰ろうとしたブラトレを呼び止めたトウカイテイオーのトレーナーは、奢るからという言葉一つでブラトレをよく行く個室のある小さめの居酒屋へと連れて行った。
だがいざ注文を終えて、というタイミングでもいまだにテイトレは口が重いままだった。
「……まさかとは思うがなテイトレ。お前の質問は色恋沙汰の話じゃねえだろうな」
「え、あ、いや、そういうつもりではあったけど別にそういうわけでもなくて……」
「なんか不明瞭だな……言っちゃアレだがお前のあの素振りで色ボケがバレてないとか思ってるとしたら、お前は俺より遥か高みにいるアホだからな。いや、低みか……?」
「んぐぇ……」
流石に3度目ともなると慣れたものではあるが、眼前のアホとよく呼ばれる「待てコラ、失礼なこと考えてるだろ」ブラトレよりもはるかにダメな存在であると言われてしまっては、テイトレも押し黙る他無し。
そうこうしているうちにお酒やおつまみが運ばれてきて、彼らは食事をしながら話すことにした。
「はー、つまるところあれか。お前がベッタベタに惚れ込んでるテイオーにどう対応すればいいかわかんなくなったから、マクトレフクトレと相談してて、最終的に俺のもとへ御鉢が回ってきたと」
「あははは……」
「まあアスリートとその指導者の関係で素晴らしい関係っていわれりゃ悪い気はしないがねぇ……いやフクトレにそんな口ぶりで褒められたってのは照れ臭くてかなわんね」
「まあそんな感じで。何かアドバイスでもー、と思ってね」
そう言われて、ブラトレは唸る。こいつは結局どこに落ち着きたいんだ?どこまで決めたいんだ?
そんなことを一寸の間考えたが、聞いたほうが早いなということで口を開くことにした。
「……結局さあ、テイトレって何がしたいの?」
「どういうこと?」
ブラトレは手元の枝豆を慣れた手つきで皮から取り外しながら口火を切った。
「先ず、今のお前はテイオーにとってのなんだ?トレーナーだろ?」
「う、うん……」
「お前はウマになった、男じゃなくなった、それ以前の話に、“トウカイテイオー担当トレーナー”だろう?」
「……」
恩師の口ぶりを借りて、ブラトレは話し始める。
18二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 19:00:20
「まずもって一つ。俺から言わせてもらうと、別にトレーナーとその担当ウマ娘が恋仲になること自体はおかしいことじゃないと思っている」
「あ、そうなの?」
「まあ、これは経験則ってのもある。これは本題じゃないから軽く流すがね」
くいっと猪口を傾けて喉を潤し、多少お酒の勢いを借りてブラトレは話を続ける。
「別段今からお前がトウカイテイオーのお嫁さんだかお婿さんだかになるのはどうだっていいんだがな、それで本当に互いが納得するのか?ってところが俺は聞きたいね」
「うーん……?」
「……いや、もうちょっと別の話し方のほうがいいかもしらんね。とりあえずウマ娘T.Tさんがいるとしよう」
「うん」
何故イニシャルをTにしたのかはとりあえず置いておき、テイトレは突発的授業を受けることにした。
「Tさんはトレーナーさんが大好きの大好きすぎて練習すらままならんレベルでどうしようもないとします」
「……前提条件もうちょっと何とかならんかったの?」
「知らん、とりあえず聞いてなさい。まあそんな色ボケになりつつあるTさんはついぞトレーナーに告白しちゃいます」
「大胆!」
「で、ものの見事に玉砕しましたとさ。まあこれが一般的な同年代との恋愛関係ってなら別にいいだろ?」
「まあ、そうだねえ。でもこの場合トレーナーと専属契約を結んでるウマ娘ってことでしょ?」
「ああ。その場合どうなる?明日から普通に会えるか?そもそもちゃんと練習できるか?自分をこっぴどくとまではいわんがお断りされた相手と契約を続けられるか?」
そこまで言い切ると、この手の話は苦手なんだってばと言わんばかりに、ブラトレは顔を赤くし、若干耳をへならせながら枝豆でごまかす。
「ま、そういうことだわな。稀代の告白なんぞしちまった日にはもう戻れない関係になる可能性のほうが高い。まあ、図太いあんにゃろめはいくらでもいるってのが相場だが、テイトレの場合そうでもなさそうだしな」
「うぐぅ」
そんなやられ声を口からもらし、テイトレは押し黙ってしまった。
テイオーとの関係を劇的に変化させること。もしそれが、彼女にとってマイナスになってしまったら?もしも、彼女の調子を崩してしまうようなことがあってしまっては?
支えるはずの存在を邪魔するような形になってしまったとき。自分は耐えられるのだろうか?
頭の中で疑問と疑念が渦巻いていく。
19二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 19:00:29
「あー、すまん。ぶっちゃけこれは極端な話だ。言ってしまえばテイオーはお前のその気持ちをぶつけられたら受け入れると思うぞ」
と、突然論調をころっと変え、ひらひらと手を振ってブラトレが謝ってきた。
「……えっ?ちょっと……今までの散々脅しつけてくるようなたとえ話は何だったの?」
若干怒ったような口調になるテイトレに、ブラトレはピタリと手のひらを向けて制止する。
「それだけ、関係が変わるってのは大きいことなんだよ」
「……ごめん、そうだった」
翻って考えてみれば、変わらないブラトレの周りは激烈な変化を起こした関係に包まれていた。
噂では婚約指輪を送ったといわれているエアグルーヴとそのトレーナー。
監禁などの様々な不祥事……もとい、若干歪んだ愛とともにあるシンボリルドルフとそのトレーナー。
あのメジロモドキとこの眼前のアホによって晴れて(?)ゴールインを決め込んでしまったナイスネイチャとそのトレーナー。
この3人以外でも、表面上では推し量れぬような場所で変化が起きたトレーナーとその担当ウマ娘の関係も多々あったであろう。
「関係性の変化を是とするか非とするかなんて俺には決めきれん。正直それぞれのトレーナーとウマ娘の関係に左右されるところのほうが大きい」
「……」
テイトレの口からは、答えは出ない。
「だが、本当に後悔するようなことにならないように、とだけ俺はアドバイスをしておこうかな」
「後悔……」
ブラトレは枝豆を口に放り込みながら沈黙した。
「……俺はどうしたいんだろうね。テイオーに求められたいのかな?それともテイオーを支えたいのかな?」
「それを決めるのは俺じゃあなくて、テイトレとテイオーだ。よそから口を挟めるもんじゃあないね」
「そうだね……」
テイトレもようやくつまみのチーズささみに手を伸ばす。
「ま、難しく考えなくてもいいと思うがね!きっとなるようになるさ」
「……うおーいちょっと!?さっきまでの真面目腐った空気どうすんの!?」
頑張って積み上げられたまじめな話という階段をぶち壊されて、テイトレはつい大声でツッコんでしまった。
20二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 19:00:40
「だってよぉ、今悩んでもどうしようもないことじゃあねえの。いずれ変化が来ることは確定だろうけど、それを今性急に考える必要はないってことよ。有り得ん話だが明日からテイオーが別のトレーナーのもとに行きます!って事ならそりゃ焦って答えを出す必要はあるだろうけどさ」
「そ、そんなことないもん!俺のテイオーはそんな……そんな!」
テイトレの瞳が涙に潤む。ありえないといっても、その可能性すら信じたくないという顔だ。
「ま、待った待った。そんな潤んだ目で見ないでくれ、例え話だからそんなこの世の終わりみたいな顔しないでくれ俺が死んじゃう」
ブラトレは罪悪感で死ぬかと思った。生きた。
テイトレが落ち着いてから、またブラトレは話し始める。
「まあ、長々と話しちまったがね?今は、今の関係を楽しむっていうのもアリだ」
「楽しむ……」
「テイトレだって、テイオーと何気ない日々を過ごすのは好きだろ?」
「……もちろん!」
「じゃあ、今はそれでいいんじゃあねえかな?」
そう言いながら、ブラトレは自らの愛バの顔を思い出す。あの子は、今を楽しめてるだろうか。
「そう……かもね」
「じゃ、食え食え。腹減ってると思考もまとまらないからな。このチキン南蛮はうまいぞ」
「知ってる、いつもブラトレ頼んでるもんね」
「人生変えるような決断なんだ、多少後に回すってのも別に悪いことじゃあないと思うぜ俺は」
「いずれ向き合うこととして?」
「ま、そういうことね。それまでにきっちり考えまとめて、いざその時が来た時にお前が迷うことない決断を下せたら、俺はそれでいいんじゃあないかなって思うよ」
そうして緩やかに飲み会は終わりを告げ、店を出た二人は月明かりに照らされた夜空を仰ぐ。
「参考になったかはわかんねえけど、なんか道は見えたか?」
「うん。きっとどんな道になったとしても、俺はテイオーとともに歩みたいから……それだけは、今決めた!」
「それでよし!」
隣り合っって歩いたまま、軽くこぶしを打ち付けあう。幾度となくやってきた、彼らの友情の形。
「また迷ったら、俺ら3人がいるんだから聞けばいいのさ。あんまり色ボケした質問は勘弁してほしいけどな」
「ブラトレはホント弱いからねえ!もっと強くなったほうがいいんじゃない?」
「うるへーい」
テイトレは改めて、自分の周りに相談することのできる相手がいることの幸運を感じた。
≫52二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 19:33:01
エンジェルナンバーという事で
オパーイ オパーイ オパーイ アー
スレに埋もれた 性癖の彼方
そうさ僕たちは 言うっちまうだった
スレの上から概念を 撒き散らして
このスレから 悲しみ消したかった
ねえ でかいオーパーイ
見上げてみると 性癖壊れないかい 今でも
トゥーマイフレンズ 頭サイゲ行方しれずだけど
まだ 不思議な力 残ってる
トゥーマイフレンズ ss書いて 夢を見ようよ
ほら 君のssで スレが掛かる
≫80ロブトレヒロイン概念21/10/28(木) 19:52:25
ロブトレ帰省SS 第一話
夕方の図書室。そこに二人のウマ娘の姿がありました。
図書室ではおなじみになった二人、ゼンノロブロイとそのトレーナー、二人の姿。
その二人が、一つの本、かつて二人が出会うきっかけになった本を見つめていた。
「本当に、いろんなことがありましたね……ロブロイ」
「はい、でもここまで走り抜けれたのも、トレーナーさんがいてくれたからです」
「ふふ、それは私の方こそ、ですよ。ロブロイが一緒だったから、私も頑張ることができました」
図書室で、二人でかつての出会いから今日までの物語を思いだす。
クラシックの途中で突然のウマ娘化。
善戦はするがなかなか勝てなかったクラシック期。
二人で悔し涙を流し、勝負服を濡らしたクラシックの有馬記念。
一緒に誓い合った正月。
二人で遂に勝ち取ったシニア天皇賞秋。
自信を持って望んだジャパンカップ。
一人になろうとする彼女に私の想いを吐き出したクリスマス。
そして、英雄へと至ったシニア有馬記念。
本当に、沢山の物語を紡いできた。
いろんな出来事があっても、二人だったから、ここまで書くことができたのだ。
ただ、ここまで振り返って思い出す。
ロブロイの両親にはご挨拶をした、それどころかロブロイのお母さんとは定期的に会って話したりしている。
だが、私の両親にはトレーナーになってから会えていない。
これからも一緒に物語を紡ぐのなら、今度は私の物語も知ってほしい……。
それに、ロブロイを、一緒に歩んできた、そしてこれからも一緒に物語を紡いでいくロブロイを両親に紹介したい……
「ロブロイ……」
「どうしました?トレーナーさん?」
「今度実家に帰省しようと思います。そこに一緒にきていただけませんか?私の両親に、あなたを紹介したいのです」
「え、と、トレーナーさん!あ、あの……はい、是非、ご一緒させてください」
「ええ、ありがとうございます」
81ロブトレヒロイン概念21/10/28(木) 19:54:02
そうして数日後、帰省のことを電話で確認すると……
「お父様……そろそろそちらに一旦顔を見せに行きたいと思っていますが」
『お前はだれだ、と言いたいが、分かっている。───だな。……分かった。なら日程は……だ。それで一人でくるのか』
「いえ、できれば……お父様やお母様に紹介したい子が……」
『なに?お前、彼女でも……いや、違うな。担当の子だな……やっぱりお前は俺の子だな。分かった、その子だけであれば構わない』
「!!本当ですか、お父様!」
『ああ、その子にもしっかり挨拶しておかないと思っていたからな』
「許可してくださりありがとうございます、お父様、ではその日に帰りますので」
『ああ、お前の帰りを待っている』
通話を切る。
トレーナーになってから戻っていなかった実家への帰省。
しかし、お父様はトレーナー業で忙しく、お母様も今の私の姿では難しい、そう思いながら電話をしたが、問題なく受け入れられた。
通話のやり取りはしていたが、それでもここまで早く受けいられるとは思ってもなかった。
「あの、トレーナーさん、もしかして、帰省してもいい、って言われたのですか?」
「ええ、ロブロイ、それにロブロイにも会いたい、とのことでしたよ」
「そうなんですね、よかったです。私もトレーナーさんの両親にぜひご挨拶したかったのでうれしいです……あ、あの、そういうこと、で良いのでしょうか?」
「?……あ!い、いえ、そういう意図ではありませんよ。まだロブロイは学生ですから、流石にそういう意図は……」
「そ、そうですよね……ナイスネイチャさんやネイトレさんの噂を聞いていたのでもしかして、と思っちゃいました」
「ああ……確かにあの話を聞いた後だとそう思っても仕方ありませんでしたね」
確かにあの言い方ではまるでお付き合いの挨拶をするかのようであった。
……正直、将来的にはそうなりたい思いはあるが、今はまだ先の話だ。
82ロブトレヒロイン概念21/10/28(木) 19:54:59
「それで、実は私の家は少し特殊でして、少し森の中を歩くことになりますが大丈夫ですか?」
「特殊なのですか?トレーナーさんのお父さんがあのハシバミの小鳥、と呼ばれているほどの有名なトレーナーさんであることは知っていますが……」
「ふふ、あまりその名前は呼ばないで上げてくださいね、お父様、昔と今では姿が変わり過ぎてその名は似合わない、と思っているので」
「その名前もとても素敵だと思いますよ。灰被りの姫にドレスを授けるハシバミの小鳥、なかなか勝てないウマ娘を勝たせることで有名な方にぴったりです」
「ええ、トレーナーとしても尊敬できる方ですよ。とはいえ、特殊なのは……そうですね、実際に行ってからのお楽しみにしましょうか」
「はいっ!トレーナーさんの実家、楽しみにしていますね」
────────────────
それから十数日後……
「あ、あの……トレーナーさん、本当に、こんな森の奥なのですか……」
「ええ、言ったでしょう?私の家は少し特殊ですので」
段々と陽が沈んできた夕方ごろ、とある山のふもと、その森の中を歩いています。
陽の光があまり差さない鬱蒼とした森の中はまるで悪い魔女が住まう森のようです。
でも、トレーナーさんは全く動じずに、すたすたと歩いていきます。
この森の中は自分の庭であるかのように……。
私の手を引いてくれているから問題ありませんが、私一人だったら遭難してしまったのではないでしょうか……。
「と、トレーナーさん、あの、小さい頃はここに住んでいたのですか?」
「いえ、ここに住んでいたわけではありません。都内で暮らしており、お母様はここで暮らしていました。1か月に3回ほど、お父様に連れられてきていましたね」
「……そうだったんですね……あの、何でトレーナーさんのお母さんはここに……」
「……そのことも含めて、家で説明しますよ」
そうして二人で歩いていく。そうしていると、次第に光が見えてくる。
そこには……
「わあ……」
「ようこそ、ロブロイ。私の実家です」
「トレーナーさん……まるで、白雪姫の小人の家みたいで素敵です!」
83ロブトレヒロイン概念21/10/28(木) 19:55:17
森の開けた場所に、小さな真っ白い家がありました。
暗い夜の森の中なのに、ほのかな明かりがともっていて、白い壁の家がほのかに輝いているかのようです。
まるで童話の中に紛れ込んでしまったかのようで、私自身、すごく胸の中が高鳴ってきます。
そんなふうにワクワクしていると、家の扉が開きます。
そして現れたのは、一人はかつてのトレーナーさんによく似た男性の方。
トレーナーさんよりも年上なのにそれを感じさせないほど若く、そしてとても綺麗な、誰をも魅了するような顔、でもトレーナーさんと違って切れ長の目をした男性、”ハシバミの小鳥”と呼ばれる有名なトレーナーでもあるトレーナーさんのお父さん。
そして、もう一人が……
「え……」
「よく戻った、───」
「お帰りなさい、───……。よく、成長しましたね」
「ただいま帰りました。お父様、お母様」
トレーナーさんのお父さんに車いすを押されて現れた女性の方。真っ白な肌に青鹿毛のさらさらとした綺麗な髪がとてもよく映える。
柔らかな顔立ちで、その山椒色の瞳はどんな人をも受け入れる、優しい光がある。
そして、耳の上には大きなウマ耳が……。
そう、まるで、まるでその姿はウマ娘化したトレーナーさんが成長したかのような姿……。
「あ、あの、トレーナーさん……トレーナーさんのお母さんって……」
「あなたがロブロイちゃんね。初めまして、私は───の母親、─────────です。今日はゆっくりしていってね」
その名前は、トレーナーさんが学園でウマソウルを調べてもらったときに聞いた名前。
二つある因子のうち、私《ゼンノロブロイ》ではない方の因子、そのウマ娘と同じ名前でした。
この帰省は、ただの帰省にはならない、そう感じられました。
≫89二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:04:08
いるのか…なら数レス借りますね
ーーーそれは有り得たかもしれない一つの世界線。
よみへかへるものと黒色の魔女が生まれおちた世界で。
ーーー第11回トレーナー対抗が開かれようとしていた。第10回での記憶も新しいままに。
故にほとんどの人はオオハラエに注目し、他のトレーナーは余り目もくれなかった。…一人のトレーナーに。
…地下バ道ではとある二人が向かい合う。
マチカネオオハラエとタキトゥスブラック。人に言わせれば狂人とすら言われる二人。
「今回も私が…」
オオハラエが言おうとした所で、タキトゥスは沈黙を破る。
「…そうね、貴方が勝てるのなら。」
「…何故そう言えるの?」
「貴方は理解する必要はないわ…それでは。」
そう言い切ったタキトゥスは振り返ると歩きだす。興味もなさそうに。
「…そうですね。でも、私が…」
その言葉を気に留めることもなく歩き去る彼女の足音だけが響いた。
芝2400m、6頭立てのレース。
今回もまた観客は熱狂し、出走者達は変わらず感情を漲らせる。
…そんな光景を私はただひたすらに冷たい目で眺める。
前に一般部門で走り、そして彼女に負けた。
(先程の一般部門でのレース、あれが彼女の本気とは思えない。)
オオハラエと同じように特別出走権を手にした彼女は、不気味なまでの沈黙を保っている。
発バ機の中に渦巻く悲壮なまでの決意と、凪のように佇む恐怖。
(追いつくことの出来なかった私には分かる。)
ファンファーレは鳴る。全員が構える。
(彼女から感じたあの感覚は…『恐怖』だ。)
90二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:04:33
『今スタートしました!』
出遅れることなく6人は飛び出していく。歓声とともにレースは加速していく。
サイレンスアサヒが前に立ち、メジロフィナーレがマークし、アグネスデバイスが控え、シンボリマティリアルは最後尾につく。
そしてマチカネオオハラエは集団の中に控える。
(彼女は…!?)
タキトゥスブラックはサイレンスアサヒを抜き去り先頭に。大逃げでかっ飛んでいく。
(大逃げですりつぶす気か!?彼女ら相手に!?)
アサヒは先頭に立とうと加速するが、彼女もそれに合わせて競り合う。当然、他の人も加速していく。
レースは一瞬にして超ハイペースな展開へと移り変わっていく。そのレースの主導権を握るのは彼女だった。
全員の、特に昇る朝日を狂わせていく彼女は未だ表情も変わらずに走り続けている。
だが異物でもあるオオハラエは変わらずに走っている。
いくらハイペースといえど、メイクデビューした彼女達は流石に潰れることはない。だが、スタミナの消費は激しくなる。
そして長く緩やかなコーナーを過ぎても尚、この状況は変わらずに保たれていた。いや…
サイレンスアサヒの様子がおかしかった。消耗が激しい。まだ走れているがいつもの余裕が全くない。
…ハイペースなレースとコーナーの急な上り坂が要因だった。彼女は生粋のステイヤーで、アサヒはそうではない。
同じ逃げでもそのスタミナの差が今の余裕の差を作りあげた。
朝日の輝きを覆い隠すように闇が広がりだす。その闇は後ろにまで広がりながら全てを包みこんでいく。
だが、オオハラエだけは今もなお顔色を変えずに走っていた。
91二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:05:14
1600mを過ぎて、私は黑い彼女を見据える。
下り坂を過ぎて乗せた速度のままに追い上げる。
(追いつかないと…!)
オオハラエは加速して前に出ようとし始める。
前回と同じように、朝日に追いつこうとしながら駆け上がっていく。…その前方に異常があるが。
徐々に開いていく四枚の羽根。血の色のように真っ赤なそれは、暗闇の中でもくっきり見える。そして一筋の赤い光も。
533m地点、最後の直線に入る、鼓動をかき鳴らしながら追い上げる。朝日はなお輝こうとし、終末が近づき、機械が動く。
そしてオオハラエは追い付こうと食らいつく。
400m 視界が暗くなり、夜のように見えなくなる。今だ光は輝き、音は聞こえる。緋色の羽根と線はまだくっきりと見える。
300m 音が遠くなり始める。かき鳴らしているはずの鼓動が、機械の稼働音が分からなくなっていく。
92二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:06:04
200m 音が聞こえなくなる。沈黙に包まれる。
足元から少しずつ黒く沈んでいく。
100m 光も薄くなる。輝く陽光はほとんど見えなくなり、紅の羽根と一筋の線だけが見えている。
もう感覚がわからなくなる。完全に暗闇に沈み、もはや自分の境界すら区別できなくなる。
(私が感じているのは『恐怖』か…)
そうおもいながらわたしのかんかくはとけていった。
『追いつくかオオハラエ!後二分の一バ身!どんどん詰まっていく!だが間に合わない!』
『ゴールしたのはタキトゥスブラック!クビ差で捕まることなく逃げ切った!大番狂わせだ!!』
逃げ切ってゴールした彼女を見ながら、私はそっと熱狂する観客席を離れた。
歩いて去りゆく中で思う。
(あれではきっと駄目だ。彼女が勝ってはいけなかった。)
確かにオオハラエはこれで祓えるかもしれない、不確定だがそれは喜ばしいことだろう。
だが、あの黑洞はどうなる?勝った黑洞の行く末は?
「ははははは…」
私は思わず笑い声をあげながら呟いた。
「結局、何も変わらなかったよ。」
93二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:06:27
(私は…負けた…)
グチャグチャになった感情のままにへたり込んだ私に、近寄る一人の姿。
「私の言ったとおりだったわね、マチカネオオハラエ。」
黒色が近寄ってくる。私が返すことはない。
「はは…」
「さよなら、私が負かした53人目。私と同じ存在。」
それだけ言って彼女は立ち去っていく。
遠くから駆け寄ってくるフクキタルを見ながら、私はそっと涙を溢した。
私は担当である彼女の元に行った。
「戻ってきたわよ、A」
「勝ったんですね、お疲れ様です」
そんな彼女を見ながら私は呟く。
「…全ては幻想なのよ。この世界の全部は。」
「何か言いましたか?」
「関係ないわ、行くわよA。」
彼女を連れて歩きだす、感傷はなかった。
ーーー『mechanised memories -in the end-』
駄文長文失礼しました。
救われることのない世界線、ifのifです。
黑洞が黄泉を飲み込んでしまった終わりとも。
小ネタ集と解説は後であげます。
≫143二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:44:24
あくる日。
「あ、あっと……いや、この身体凄いメリハリで外歩くの恥ずかし……」
「……青いの。随分かわいらしい……いや、随分"ある"な……」
(元々は誰の体型だろそれ……)
「ちゃんと調べてあるけどルドトレと体型が交換されたらしい。因みに今はルドトレから借りた可愛い下着をつけさせられてる」
「なんで言っちゃうんすか……うぅ……」
そう恥ずかしがる姿すらもルドトレの体型故に破壊力五割増しなのが恐ろしい。いや、元々の破壊力がかなり高いため相対的に倍率低めに感じるが。
「……で、皇帝のは難儀してるだろ」
(確かに……あの身体じゃ一苦労でしょ)
「……そのあたりはルドルフとかオグトレあたりが手を回してるから大丈夫でしょ、多分」
「なら大丈夫……なのか?」
(わからん……が、少なくとも青いのの体型の皇帝のも見たら面白そうだとは思うが)
「好奇心……」
≫156二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:52:06
「入ってもいいですか」
「はい。どうぞ?」
「……失礼します。お見舞いに来ました」
「ああ……こんにちは。先生」
ここは僕、サトトレの病室。そこに入ってきたのは別病棟にて同様に入院している患者──ウラトレさんだった。
「先生なんて……貴方に何かしら教えを説いた覚えはありませんよ」
「ごめんなさい。周りの人が先生って呼んでて、それ聞いてたらこっちの方がしっくりくるようになっちゃって」
「もはや誰から呼ばれてもおかしくなくなりましたね……」
ひそめた眉の間を指で抑える姿に思わず笑みがこぼれる。レアケースに遭遇できた気分だ。
「……それでどうですか先生。この怪我、元通りになりますか?」
「主治医でもないんですよ?ですがそうですねぇ……明日には綺麗さっぱり治るでしょう」
無茶苦茶な診断に笑ってしまう。不謹慎なフリだったなと思うけど、意外とノリがいい。
「ごめんなさいね。同じ病院にいるとは思っていたけれど、すぐに向かうのは憚られて」
「そんな気を遣ってくれなくても……そういえば、先生はどうして入院しているんですか?」
「ただの貧血です、ではいい加減通らないでしょうね……。ここは一つ、血の病気としておきましょう。臓器の問題かもしれませんがその辺りは些細な事です」
「……そうなんですか」
口ぶりからしても多くは話してくれないようだった。血の病気かすら怪しい。これについてはあのキタトレでも詳しくはわからなかったらしい。
「……ただ、わたしは誰かに請われる以上に進んでここにいます。大事なのは、少しだけ長めのお休みを頂いているということです」
「つらくないんですか?」
「此処は良い病院ですよ。患者としては先輩なので、そこは保証しましょう」
それに少しだけ自由にさせてもらってますから、と続ける。少しどころじゃなく自由なのはたまの宴会で見かけたこともあるから僕も知ってる。
157二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 20:52:49
「逆に尋ねてみましょう。つらいですか?」
「……中々シビアな質問ですね」
「貴方が先にしたことです」
ピシャリと言葉を叩き込まれる。ぐうの音も出ない。……でもなんて答えよう。ここでただ何も考えずにつらいと答えるのはどこか不誠実な気がする。……だけど。……でも。
「……ふむ」
「ふあ?」
いきなり髪のベールを分けられて目と目が合う。翠の混じる黒い瞳にしばらく真正面から見据えられる。そして何か納得がいったように髪を戻された。
「……まあ、答えは聞かないでおきましょう」
「えええ?」
「すぐには答えられなかったので。悩む余地があったのでしょう?」
「…….はい」
「幸い時間はあります。こういう動けない、走れないときは思考の整理をするのがちょうどいいですよ。長く続けるなら……無駄な夢想を合間に挟むのがコツです」
「わざわざ無駄なことを考えるんですか?」
「ええ、その方が楽しく考えられますから」
「……慣れない事というか、すぐにネタ切れになっちゃいそうです」
「そういうことならわたしからいくつかインプット用の本をお貸ししましょう。……それはそれは、とっても立派な内容が盛り沢山の素敵な伝記です。ふふふ」
何かを思い出したんだろう、堪え切れない様子で笑っている。……なんでだろ。誰かが遠くで豪快なくしゃみをしているのが聞こえた。
「……いい時間ですかね。今は誰よりご近所さんなので、何かありましたらなんでもどうぞ」
「ありがとうございます。でもご心配なく」
「あら。フラれちゃいました?」
「え?……あ、いえ!そういうことじゃなくて!キタトレとか!」
「冗談ですよ。それではまたいつかね。ジャッジさん」
……部屋を出て行く前にウラトレさんが見せてくれたのは、いつもの慈しむような微笑みだった。
(終)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part334【TSトレ】
≫32侘助21/10/28(木) 21:38:14
俺の町には、『ヒーロー』がいた。
町を守り、人を守り、笑顔を守る、
『○○』が、そこにいた。
「おはようお兄ちゃん!!」
「おうガキンチョ共!!
明日の運動会はぜってー勝てよな!!」
「坊主!!野菜持ってけ野菜!!」
「今から学校だって分かんねえのかよ!?
夕方までとっといてくれ!!」
「タイヤが……」
「バアさんどうした!?
オレのチャリ貸してやるよ!!」
彼が眩しかった。
手を伸ばそうと、届きそうもない、
俺の一番の『アコガレ』だった。
「○○は、やっぱすごいや」
本当に彼と同い年なのかと不思議に思う。
なんの取り柄もない、俺なんかの凡人とは
違う、『輝けるヒト』
あまりに眩しいその光は
凡庸な瞳を焼くようで。
「今日も……見えないや」
34侘助21/10/28(木) 21:38:43
「よっ」
「あ、おはよう……」
俺と彼は朝の挨拶を交わす程度でしかない。
本当に、それだけの仲。
俺の人見知りは、どうにも時間で
解決出来るものではなかったらしく、
高校生に上がる頃には
立派な臆病者が完成していた。
(アイツが来やがった)
(話しかけたら殴られるぞ)
教室の『除け者』は俺と彼の二人。
彼は『ヤンキー』として、
俺は『地味な奴』として、
爪弾きにされていた。
同じ『除け者』でも俺と彼とじゃ
雲泥の差があった。
全てを照らす強すぎる光。
思春期の俺に、その存在はまるで劇薬のようで。
今思えば、その時の俺は
彼のように、なりたかったのだろうか。
弱い自分を、変えたかったのだろうか。
36侘助21/10/28(木) 21:39:07
ある夏の夜のこと。ジジジと鳴く油蝉の数々。
夜だというのにやかましいったらありゃしない。
額の汗を拭い、再びペダルをぐいっと押し込む。
「あああああづうううういいいい!!!!」
都内ともなれば、夜だってクソ暑い。
さっき買った麦茶のボトルは
今やバッグを圧迫するゴミでしかない。
「待ってろよ高級アイス!!
クーラーでガンガンに冷やして
風呂上がりに食ってやるんだ!!!」
恥も外聞もなく、俺は夜空に吠える。
一人の夜は、本当の自分が出せるから好きだ。
(やべ……誰かいる……今の聞かれたあああ!?)
背筋が凍り、急激に顔が赤くなる。
夜中に奇声を上げながら走る人間など
場合によっては通報モノだ。
恐る恐る前のヒトを見ると、
それは俺がよく知るアイツの顔───────
「あ、お疲れ。君も部活帰…………えっ」
───────ではなかった。
いつもの彼と変わらない服装。
変わらない髪型。そのハズなのに。
本能が『逃げろ』と警鐘を鳴らす。
「はっ……はぁっ……はぁっ……!!!」
訳も分からず、身体の震えが止まらない。
呼吸が荒くなっていく。
何故、なんで、どうして。
37侘助21/10/28(木) 21:39:33
気づけば、自転車を全力で漕いでいた。
あの場所から全速力で逃げ出した。
それほどまでの恐怖だった。
命の危険がそこにあった。
「あれが……○○……?そんな訳……」
否定したくても、することができない。
心が拒否しても、脳は拒めない。
去り際に見た『彼』は血まみれで
普通なら、救急車を呼ぶハズで。
それなのに、できなかった。
助けるコトよりも、助かるコトを
選んでしまった。
なぜ。そう聞かれれば答えは一つしかなかった。
なぜなら、去り際の彼の瞳には───────
真っ暗な『死神』が、映っていたのだから。
≫50二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 21:45:57
黄金櫃の封印が今開かれる...
注意:パラレル世界です、本編とは一切関係ありません
だから叩かないで!石を投げないでください!辞めて!痛い!痛い!痛いって言ってんだろうが!?
マルロクマルマル、目を覚ますと知らない部屋にいた
身体が重い...何だ?...ここは何処だ?クソっ!胸が苦しいと思ったらブラなんてしてやが...ウオデッカ...
取り敢えずブラを脱いで...スッゴ
何だ...この身体...?敏感すぎるだろ...
いかんいかん...
心の教官《不測の事態に陥った時はまず現状の確認だ!》
教官...!貴方の教えを今実践します
取り敢えず鏡は...
タマトレ「な...なんじゃこりゃー!?ルドトレ!?ルドトレに成ってる!?何で!?え?教官!?こう言う時の対処法は?」
教官《しらん...なにそれ?こわ!?》
「落ち着け...落ち着くんだ俺...考えろ...原因を究明するんだ...何だ?パラシンか?タキオンか?三女神か?クソっ!全部心当たりがある」
ルドルフ「トレーナーくん!?大丈夫かい!?凄い声が聞こえた...」
タマトレinルドトレ
パンツ&はだけたパジャマ(勿論ノーブラ)
「あっ!ルドルフ会長丁度いいところに!実は」
ルドルフ「トレーナーくん...それは誘ってるって事で良いんだよね?」
タマトレ「へっ?ルドルフ会長?一体何を言ってるんですか!?」
ルドルフ「いつもと違う口調も中々乙なもんじゃ無いか...」
タマトレ「生徒会長!違う俺はルドトレじゃ無くて...」
ルドルフ「今日は休みだし何時もの部屋に...」
51二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 21:46:16
ルドトレ「ルドルフ!タマトレ!起きてる!?大変な事に!」
半裸のルドトレ(タマトレ)とルドルフが絡んでる図
ルドトレ「...ふたりとも何やってるの??」
ルドルフ「えっ?本当にそっちがトレーナーくん?」
タマトレ「何度もそう言ってるんだが」
ルドトレ「...タマトレさん?貴方もなんて格好してるんですか?」
タマトレ「えっ...あっ...いや...違っ...」
ルドルフ「そうだ!君がそんな格好してるから悪いんだ!ルナは悪くないもん!」
ルドトレ「ふたりとも...ちょっと地下室行こうか?逃げてもいいよ?この身体ならルドルフにも追いつけるから...」
ルドルフとタマトレは元に戻るまで3日間監禁された
うまぴょいうまぴょい
≫60二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 21:53:28
フクトレ『今日のザザッちょっと待ってザザッキ────ン すまんな急にマイクの調子が悪くて。三人にはエイ◯ックスで一位を取るまで帰れませんをやってもらう!』
スズトレ「マイク不調……」
マルトレ「なんでこっちをみるんだよ」
カフェトレ「今日はよろしくお願いします。僕はレイスで行きますね」
スズトレ「私はオクタンで」
マルトレ「俺はこの一般おじさんで」
カフェトレ「最近は強いらしいですよ一般おじさん」
マルトレ「マジで!?」
スズトレ「……?」
マルトレ「どした?」
スズトレ「なんだか肩が重くて……」
マルトレ「もう十戦以上してるもんなすまねえ足引っ張ってる」
カフェトレ「……大丈夫ですよ頑張りましょう!」
マルトレ「なんだそのポーズ」
カフェトレ「応援のポーズです」
スズトレ「首がもげそうだけど!?」
マルトレ「あああ! ごめんやられた!」
スズトレ「相手シールド割れてるあと一人!」
カフェトレ「よしここなら!」
4人「やった勝ったぁぁぁ!!」
フクトレ『よくやった3人よぉ……今日はこれでやっと帰れるぞぉ』
3人「みんなお疲れ様!」
≫78二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:04:06
「いらっしゃ~い」
「良かったのか、ヒシトレ」
「そりゃ、寒い中震えてるドベトレを外に放っておくわけにはいかないでしょ。ほら上がって、上がって」
「お邪魔します」
「思いの外、片付いてる……!」
「うそでしょ……、どんな印象持たれてるの俺」
「いつもヒシアマゾンに叱られている人」
「即答!?……何も言い返せねぇ!
実際、昨日ヒシアマが来たから片付いてるわけだし」
「あと、本棚多くないか?よく本読むのか?」
「実は小中高と読書家だったからな。料理始めたのは、そのせいだし」
「へぇ……」
「まぁ、そんなことは良いから、風呂入ってきちゃいな」
「家主より入るわけには「その間に夕飯作っちゃうから、さっさと入っちゃいな」……はい」
79二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:04:42
風呂を済ませると、エプロン姿のヒシトレが出迎えた。
「お!出たか。あとは盛るだけだから、少し待ってな」
夕食がテーブルに並ぶ。……なぜか、同じ煮物が2つ盛られている。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます。なぁ、ヒシトレ。なんで2つ並んでるんだ?」
「とりあえず、それぞれ食べてみて」
「わかった。……うまいな」
「どっちがより美味しい?」
向かいに座るヒシトレの雰囲気ががらりと変わる。どっちだ……?どっちと答えるのが正解だ……!?
「……あえて選ぶなら、こっち」
「そっちか……。やっぱり、同じ品だと敵わないな。タイマンするなら違うのじゃないとダメか」
空気が元に戻る。
「……ちなみに何の違いが?」
「こっちが昨日ヒシアマが作ったので、もう一方が今俺が作ったやつ。ありがとね、比べてくれて。褒美に珈琲ゼリーをくれてやろう」
何か分かんないけど、選択肢合ってたっぽい……
無事に食事を終え、ヒシトレは風呂に入った。
家主のいない部屋を見渡す。やはり気になるのは本棚だ。
レースのための本。料理関係の本。小説。きれいに並んでいる。
「……」
「何見てるの~?気になる本でもあった?」
「うわぁ、ヒシトレ!?」
「1人暮らしするんだし、初心者向けの料理本あげようか?」
いつの間にか、ヒシトレは風呂から出ていた。
「というか、なんでバスタオル1枚なの!?風邪ひくぞ!」
「着替え持ってくの忘れてて……」
80二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:04:58
「さて、布団とベッドどっちが良い?」
「布団で。家主からベッドは奪えないだろ」
「気にしなくても良いのに……。ベッドで寝させても気を使わせるか。じゃあ、おやすみ~」
「おはよう」
「朝ごはんはできてるよ。さっさと食べないと遅れるよ」
ヒシトレは台所に立っていた。
「何作ってんだ?」
「ヒシアマのお弁当。最近、互いの作ったお弁当を渡すようになったんだ」
「……2人は姉貴たちみたいな関係なのか?」
「姉貴って……ネイトレ?
ヒシアマとは一般的なウマ娘とトレーナーの関係だと思うけど」
「……」
「どうした?」
「いや……さーてトレセン行くか!」
≫94二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:14:17
リャイトレ「アルトレェ!」
アルトレ「どうしたんですか?」
リャイトレ「お前もまたメジロマッスル!」
アルトレ「?????」
リャイトレ「なんか元気のないドベトレに俺たちで元気を分けに行くぞ!」
マクトレ「いつの間にかこうなってましたわ」
アルトレ「あ、そういう事なら手伝います!」
ドベトレ「……」
リャイトレ「ドベトレェ!」
ドベトレ「あ、リャイトレ兄貴どうし────」
リャイマクアル「「「勇気のラットスプレッドバック!!!」」」
ドベトレ「?????????」
95二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:16:27
リャイマクアルドベ「「「「メジロ・アドミナブル・アンド・サイ!!!」」」」
〜完〜
≫101二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:21:01
「…ん」
一際強い風が、俺の白く長い髪をたなびかせながら吹き抜けていく。
三人に相談してから幾日が立った。テイオーと普段通りに関わりながら、日常を過ごしながら色んなことを考えた。
俺が脚を折った日、私になって壊れた時に支えてもらった日々、おもちゃの指輪と尻尾のリングを渡したあの日、ドレスを着てこの醜い傷跡を見せようと覚悟した日、共に海に行った日、何度も何度も遊び笑い合った日、帝王の名を世に知らしめた日。
その全てを色鮮やかに思い返しながら。
タイトレ達の陽気を、ルドトレ達の情愛を、ボノトレ達の快活を、グラトレ達の愛惜を、フラトレ達の寵愛を…色んな関係を見た。スズトレ達の互いを信じ駆け抜ける姿を、ロブトレ達の英雄となるべく支え合う姿を、ネイトレ達の気持ちを伝え合った姿を、マベトレ達の不思議ながらも心の通じ合っている姿を、チヨトレ達の共に心的外傷を乗り越えようとする姿を、マーチトレ達のすれ違っても諦めない姿を、思い出しながら。
だけど、答えは見つからなかった。
変わることもテイオーと二人で考えていけばいいと教えてもらった。変わることを、変わらないことを焦る必要はないと諭してもらった。今の関係を楽しめばいいと背中を押してもらった。
テイオーの事が好きかと問われれば胸を張って好きだと答える。信頼しているかと問われれば何が起きても信じ抜くと答える。
愛しているかと問われれば、分からない。
この感情が、親愛か、敬愛か、情愛か、分からない。
「…テイオー」
右手に持った荷物を置いて胸に手を当てる。
とくん、とくんと静かに早まった鼓動が指先を揺らす。身体を蝕むそれとは違う、心地よくて暖かくて、深く甘酸っぱい感覚。赤くなった頬に冷たい風が撫でる。
俺が私になるか、このままなのかは分からない。でもきっと、それでいいんだと思う。大切な、大好きな友人達がそう教えてくれたから。
不恰好で、不完全で、失敗を繰り返して、テイオーと二人で歩いて行けばいいんだから。
そうして、俺達だけの、私達だけの答えを探していけばいいんだから。
102二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:21:26
杖を握り直して地面に置いた荷物を見る。相談に乗ってもらったお礼にちょっといいお菓子を買ってきたし、これをお茶請けにしてあいつらとお茶でもしようとそう思って、こちらに駆け寄ってくる三人の足音に目を向けた。
そこには、いつにない位慌てた、今考えていた三人が走っていた。
「おーみんな。丁度よかっ」
「テイトレ!丁度良いところに!」
「はいこれ持って下さいまし!」
ポンと押し付けるように渡されたのは、無惨に割れた高そうな湯呑み。
「…ん?あの、お礼にお菓子…」
「すまん後でな!聞かれたらあっちに行ったって言ってくれ…!」
バタバタと止める間もなく走り去った三人。遠くから「だから室内野球はやめましょうと言いましたのに!」「嘘つけ!お前が一番乗り気だったろ!」「そもそもブラトレが大暴球しなければこんなことに…!」と叫び声が聞こえた。
「…うーん?」
渡された湯呑みをパズルのように組み立てようとしていると、同じように慌てた足音が二人分。
「はぁ…はぁっ…あっテイトレ!あの…いつもの三人がどこに行ったか知ってるっすか!?」
「おぉ?リャイトレとウオトレ…えっと、あっち行ったけど…」
「助かる!よし行くぞウオトレー!」
「はいっす!」
「あのー…何が…」
また止める間も無く走り去ったトレーナー達を見て首を傾げていると、背後から冷や汗が噴き出る程の圧を感じた。
103二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:21:56
「…っ!この恐ろしい攻撃的な小宇宙は…!不死鳥の一輝!」
「違いますよ…どなたですかフェニックス一輝」
「わぁ先生…どうしたんですか?」
ゆっくりと歩いてきたのはみんなの先生ウラトレ。いつもの微笑みは崩していないが、瞳は真っ直ぐ俺を…というか手に持った湯呑みを見ていた。
「…あの、聞きたくないんですけど…あいつらが?」
「ええ、ええ。以前と同じように室内野球を行ったようで。私の湯呑みがパリンと」
「あぁ…それでリャイトレとウオトレが確保役に…お疲れ様です」
「罰として届いた着物を着て貰おうかと思ったんですけどね…逃げ足と判断は早いようで」
「は…はは…それじゃあ俺はこの辺で…」
ゆっくりとすり足で背を向けて逃げようとし、襟を掴まれる。
「貴方の監督不足でもあります。五人組というものを知っていますね?」
「…えっ」
「連帯責任です。貴方も付き合いなさい」
「やだぁ…」
ずりずりと引きずられる途中、ふと先生が口を開いた。
「テイトレ…いい友に恵まれましたね…ゆっくり、貴方のペースで進みなさい」
「…はい、ありがとうございます…先生」
……本当に、ありがとう、マクトレ、フクトレ、ブラトレ。
───
「あの先生?ここは離してもらえる展開じゃ…そんなに怒ってるんですか?」
「いえ、実のところ捨てようと思ってた物なので気にしていません…良い着物を譲って頂いたので貴方方に着て欲しいというのが正直な気持ちです」
「えっ」
「テイトレによく似合いそうな淡い色味の小紋がありますからね…ふふ、どんな髪型にしましょうか」
「あっあっ…くっ…くたばれアホ共ー!お前らなんて嫌いだー!」
「口が悪いですよ」
≫132二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:39:16
『無銘改め』
名前とは何か?それはその事象を区別するためのもの。では、名前がなければその事象は存在しないというのか?
いや、それは違うだろう。誰も定義をしなかったからと言って風が吹かないわけもなく、光が天から降り注がないことはあり得ない。水は形を変えて存在するし、炎に実体はない。
では、人の名前とは何だろう?
名前がなければその人は生きていないのか?名前がなければその人は存在しないのか?
もちろんそんなことは有り得ない。名前だけがその人の存在を定義するのであれば、記録が消え去ったときにその人間は歴史から完全に抹消されることとなる。
結果的に歴史に残らなかっただけで、その人物は、確かに生まれたことに違いはない。
原初の人間に名前はあったのか?アダムとイブは、真に彼らの名前だったのか?
それもまた違うだろう。後の世から名をつけられて、定義された存在というのもまた存在するに違いあるまい。
要は名前を付けるという行為は、『その魂が世界に認識される』ことなのだ。
「しかし、メイクデビュー戦とはいえよく無名のままの出走を許してくれたな?」
「なんかねー、シンボリルドルフ会長がいろいろ手をまわしてくれたんだとさ」
「……たまには会長も仕事をするのだな」
「うっへえ酷い言われようだぜ!」
彼女は愛バであるブライアンと雑談しながらレース場へと到着した。
「本当にその名前でいいのか?」
「ああ、これしかないと言ってきかなくてね」
彼女の愛バが聞いてくる。彼女もちょっとあきらめたように返答する。
「俺は何度も何度も夢の中でばばピと確認したさ。まあ許してくれるじゃろーって話だし」
「……その、ばばピ?なる存在はいったい誰なんだ」
「まあまあ、気まぐれ起こしたらきっとブライアンのところにも来るから」
「わからん……」
133二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:39:35
今日は彼女のメイクデビュー戦。彼女の直観ではあるが、普通に歩いてきた道からだいぶ離れたところにいると思っている。なんでかはわからない。ただ、こういった道もあったのかもしれない、という道に彼女が今歩いているだけだろう。
「なーんでまた俺はここにいるんだろうなー」
「また言ってますね……そんなに不思議ですか?」
彼女のデビューの手伝いをしてくれたスズトレ……いや、サイレンスアサヒが服装の最終チェックを行っている。メイクデビュー戦なので一般的な体操服による出走となるが、一応チェックしてくれている。
「なんだろうなー。完全に直観なんだけど、たぶんあり得なかった未来の一つ?なんだろうな」
「うううううん……?でも、今貴方はここにいるんでしょう?」
「うん、それは間違いない。だけどなんかそんな気がする」
「眼がいいとそんなことになるんですか?」
「うーん、どうなんだろうな?」
「まあ、今日ここで走ることで意味を見つけられるかもしれませんね」
「ま、それもそうだな」
彼女がぐるりと肩を回す。足を軽く踏み鳴らして体のリズムを整える。手首のスナップを利かせる。
そして、胸を軽くたたく。炎が少し吹き上がる。
「きっと、大丈夫ですよ。────────」
「なるようになるさ。俺はいつでも、楽しんで走るだけだよ」
白狼は体をしならせ、その身体の隅に至るまで伸ばしきる。
サイレンスアサヒは、その体に一瞬だけ太陽を幻視した。
134二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:39:51
芝コース2000M右回り、それが今回のメイクデビュー戦のコース。それぞれパドックに入り始めた今年デビューするために集まったウマ娘たちは、今日をメイクデビューに選んだことをさっそく後悔することとなった。
なぜなら、あからさまにオーラの違う芦毛の少女が、のんびりと歩いていたからである。
「まさかあの薄水色って……」
「うそでしょー、よりによって今日この日に出るなんて聞いてない!」
「でもやるしかない、やるしかないんだよ……」
もはや恐怖されているといっても過言ではないレベルの遠巻きの目線である。周囲からひそひそと話し声が聞こえるが、彼女は何も気にしない、どこ吹く風といった面持ちで立っていた。
「あー、なるほどこういう感じだったんだなあブライアンって」
つい口に出た言葉に、周囲は委縮する。やはり、この少女は!
そんな周囲の気配を感じ取ったか、彼女は周りに言い放つ。
「お前ら、今日は何のために出たんだ?」
「えっ?」
「負けたいか?」
「……そんなわけないじゃない!」
「じゃ、ガチで来い。全力でやってこそ、レースってのは楽しいもんだろ?」
「……そんなの傲慢よ。強い人の言い分だわ」
「まあそりゃそうだ。誰もが強いわけじゃない。今この瞬間にも負ける奴は出て、勝つ奴がいる」
だが、と切り返す。
「最初からあきらめてるやつがここにいるわけないだろ?」
「……いいわ、その自信に満ちた表情に一発くれてやるわよ!」
周囲にいる中の一人、黒鹿毛の少女が、啖呵を切る。
「いいねぇ、闘志のあるやつが俺は好きだぜ。負けるつもりはさらさらないけどな!」
少女たちが見たのは、その自信に満ちた表情の裏側に燃え盛る、白い炎であった。
135二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:40:11
そしてゲートは開かれた。
まずもって彼女たちを迎えたのは、するりとバ群を抜けていく白狼の姿。
先行のポジションで最も良い位置を捉えると、すぐさまその位置に白狼は位置取る。
しかし、それだけではなかった。
視られている。
彼女たちが走りを行っている際も、常に視線が張り巡らされていると感じた。
遠くからみられている?それは当然だが、メイクデビュー戦なのだから多くの観客が集まっているとはいえこのような張り詰めたものではない。
近くからみられている?いや、それも違う。まだまだ新人ばかりのこの空間、そこまで周囲に気を配れるやつはいない。
では、答えは一つ。
眼前に走る芦毛の少女が、常に私たちを見張っている。
足の動かし方。重心の移動。視線の先。息の調子。
スタミナの減り。いつ仕掛けるかのタイミングの見計らい。
すべて、すべて、すべて。
視られている。
最前列から最後尾まで7~9バ身ほどの細かめの動き方とはいえ、その全てに眼を見張らせているというのか?この少女の把握能力はどうなっているのか?
(どうなってるのよこいつ!)
黒鹿毛の少女はそう心の中で吐き捨てた。
自分の走りをすべて見抜かれているようで、怖気が走る。
いつ仕掛けても、そのすべてに対処されかねないという恐怖が心に満ち満ちてくる。
目の前、2バ身も離れていない場所に白狼はいる。
だが、その2バ身程度が詰められない。
136二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:40:27
抜こうとしても、そのコースの先には常に彼女がいる。スパートを早めにかけても、彼女は動じず対応する。走る際の重心移動が、これほどまでに分かりやすくみられているというのは驚きだった。
(落ち着け、無駄を無くせ……私のできることをやるんだ……)
残り800M、勝負所が近づいてくる。
黒鹿毛の少女は、なぜか不思議な気持ちに満たされていた。
(こんなに意味不明な強さなのに、なんで私はあきらめないんだろう)
当然彼女もバカではない。いずれ、自分の前には太刀打ちできないほどの強力な相手が出ることも分かっていた。その時、心折れずに走ることができるのか?そのことに関して、答えを出せずにいた。
(心の底から強い相手と戦うことが……楽しい?)
自分でもわからないくらいに走りが洗練されていく。研ぎ澄まされた刃のように、足の動きはキレを増していく。私の走りが、アイツにみられることで最適化されていく?
それは周囲のウマ娘全員がそうだったようだ。
そして思考の端に、彼女についてのかすかな記憶を思い出した。
(そうだ、アイツは、ブライアンのトレーナーたるウマ娘で、そしてチームトレーナーだった!)
鍛え上げられた肉体以上に、その眼による異常なレベルの洞察力を持ったと言われている、黒狼の指揮者。
その洞察眼は、このレース全員に注がれているのだ。
(アイツは……お天道様だとでも言いたいのかしら)
全てを把握するレベルに近い洞察眼をレース中の相手に向ける。お天道様は全部見ているとでもいうように。
(でも、負けられない。私にだって意地はある!)
最終コーナー前、黒鹿毛の少女はスパートをかけた。過去最高レベルに研ぎ澄まされたその足の動かしは、今出せる自分の力をすべて発揮した全身全霊の輝き。
ついに彼女は白狼に追いついた。そして……
白狼は、全身より炎を噴出した。
137二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:40:47
彼女にとっての太陽とは、ちょっぴり孤独な存在だと思っている。
一人だけ周りと違う。一人だけ燃え盛っている。一人だけ、周りに光を届ける。
しかし、その一人がいるからこそ、周囲には様々な環境が生まれていく。
ならば、自分が照らすことによって新しい物が生まれるのであれば、その光を届ける先をもっと広げるのも悪くはないかもしれない。
そこなのだ。元の世界の彼女と違いとは。
暖かなる団欒の炎が彼女の元の世界であるとすれば、今の彼女はターフに降り注ぐ太陽そのもの。
時に渇きをもたらすこともあれば、実りをもたらす恵みの光。
白き炎が燃え盛り、太陽がターフに輝く。
全身をまとうように炎は駆け巡り、足と、腕と、尻尾と、頭と。
その全てを輝かせて、一気に加速して、ブッちぎる。
黒鹿毛の少女……否、それだけではない。このレースを見た人々は、白狼に太陽を幻視した。
しかし、自身も負けてはいられない。体にほとばしる力を、足に込めてターフを踏み抜くように駆ける。
ああ、しかし。基礎的な身体能力の差が命運を分けてしまった。
138二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 22:41:07
結論から言えば、黒鹿毛の少女は2着であった。
太陽と相対して翼を焼かれずに飛びきった彼女は、惜しみない拍手を受けた。
そして、負けてしまった彼女たちは、その全員が瞳に闘志を燃やしていた。
まだ、私たちの知らない力が自らに眠っていることを感じたからだ。
「完敗だわ……でも、私自身内に秘めた力を自覚できた。私はもっと強くなれる」
「お、そりゃ結構!やっぱりレースってのは楽しく走ってなんぼだよ」
「……ところで、どうしてレース中に名前を提示してなかったのかしら?結果『名無しの馬』として記録されちゃったけど」
「うーん、実のところ俺って内に秘める名前がないんだよ」
「……そんなことってあるのかしら?」
「ま、そういうことがあっちゃったんだから仕方ないだろ」
「ふぅーん。ま、とりあえず自己紹介しておくわね。アクィラよ」
「よろしくアクィラ。俺の名前は……そうだな。ナリタアマテラスとでも」
「……すごい名前ね」
「いやー、うん。自分でもこんな名前つけていいの?って思わんでもないが……知り合いがよいよいと言ってきたからこの名前で行く」
「また逢う日は来るかしら?」
「きっと走り続けていれば」
「じゃあ、その時まで私も羽を鍛えておくわね。あなたに焼かれちゃたまらないわ」
「おう!楽しみにしてるよ」
名が体を表すとすれば、名前のない少女を宿した白狼には『名無し』であるままに表すのが最適であろう。だがそれを良しとしなかった少女が、神さまから名前をお借りした。その結果としてのこれなのだ。
最初の一戦にて名前を提出しなかったことが許されたのは、『名無しの少女』がターフを駆け抜けたことを記録するためである。こうすれば、『ターフをかけた唯一人の名無しのウマ娘』を表すことができるから。
これからは、太陽を背負った白狼が、トゥインクルシリーズを照らし始めるだろう。
だが、これは主題から離れた物語。昇る太陽は二つに在らず。
彼女はこれからも楽しみをもって走り続けるだけで、この物語は人知れず続いていくのみなのだ。
『Ifストーリー~無銘改め天照~』 完
≫158別概念ファルトレ第0話1/321/10/28(木) 22:57:20
“subito. オープニングアクト。”
必死に頑張って。全てを出し尽くして。
それでも足りない。そんな経験を何回もした。
習っていたピアノも。幼い頃に先生に褒められた歌も。世間からすれば砂礫の中のちょっときれいな一粒でしかなくて。
何度も打ちのめされた。才能に嫉妬して心を焦がしたことも数えきれない。なまじ2位には居座れる程度の実力があったから。
やがて夢を目指すことに疲れて。輝きを磨くことに嫌気がさして。努力の結果が届かない事に恐れを抱いて。
それでも捨て去ることが出来なくて。目指したものの残骸に縋ってたどり着いたのがこの職業なのだから因果というものはわからない。
そんな道を歩んできたからだろうか。あの夕暮れ、河川敷で彼女を見て足を止めたのは。真っ直ぐに夢を目指し、夢を他者に与える。あの日俺が出来なかったことの、その先を、諦めずに見据えて。
次々浮かんでは移り変わる彼女との光景の中、声が聞こえた気がした。
159別概念ファルトレ第0話2/321/10/28(木) 22:58:01
朝日が眩しい。今日は休み。けれど次のイベントのフライヤーの出来上がりをチェックする予定があったはず。頭が重い。昨日も夜遅くまで資料作成をしていたからか。起き上がって額に手をやって。視界の端から何かが垂れる。朝日に輝いて───髪?
フリーズした思考を何とか再開して、一つの可能性に思い至る。ベッドから立ち上がり、鏡の前に立って、仮説の正しさを確認するとともに別の頭痛が襲ってきた。
ともかく。ひとまずは担当と学園への連絡か。
インターホンが鳴る。おそらく俺の担当はアスファルトの上でもやっぱり健脚らしい。モニターを確認してみれば、心配そうなスマートファルコンの顔。
「トレーナーさん!」
鍵を開ければ間髪入れずにまあるい顔が。ただでさえ丸くてキュートな目がさらに丸くなっていく。
「あー。とりあえず部屋に入ってくれないか?」
玄関でいつまでも硬直しているわけにもいかないので、部屋に入るよう促すと、ちょっとビクっとして、それでもおじゃましますの挨拶と完璧な角度のお辞儀をして、何やら畏まった様子で床の書類と楽譜の隙間を縫いながら奥に進んでいった。……ん?今までファル子を部屋に入れたことってないよな?ウマドルのファンとしていかがなものか。
考えないことにした。今は最優先事項がある。なぜか正座をしているファル子に、なぜか正座で相対し、どうせ3行足らずで済むような事の顛末を話し始めた。
160別概念ファルトレ第0話3/321/10/28(木) 22:59:03
「……というわけでこうなってしまった、というわけだ」
むむむ~んといつになく難しい顔をしているファル子。普段ならかわいいと思っていただろうが、状況が状況なだけにもしかすると拒絶されるかもしれないという心配が先に立つ。いややっぱかわいい。
「……チャンスなのかな。チャンスだよね。チャンス。うん」
「え?」
「よし☆トレーナーさん!一緒にウマドル、やろ!!!」
本日二回目の思考停止。いや、こうなるかもしれないとは思っていた。思っていたが思考の端に捨てていた。
「だって!こんなに可愛いんだよ!?こんな原石を放っておくなんてウマドル界の一大損失だよ!!……ちょっと勿体ない気もするけど」
「最後の方何か言った?」
「なんにも☆……じゃなくて!なので早速ですがこれを着てもらいまーす☆」
そうしてやけに大きな荷物から出てきたのは、ウマ娘のウイニングライブ衣装。
「なっ……それどうしたんだ!?」
「連絡聞いてもしかしたらって一通りサイズ借りてきたの☆今見てるのはファル子だけだしちょっとだけ!お願い☆」
「いやまだ気持ちの整理もついてないのにうわあ力強い!流石!!」
あれよあれよしゃいしゃいしゃいっという間に砂嵐は過ぎ去り、姿見の前に誘導される。見ると、本来の衣装の華やかさを落ち着いた印象に変えながら完全に自分のものとした、流れるような栗毛の長髪を揺らすウマ娘がいた。
羞恥よりも、困惑が勝った。本当にこれは俺なのか?
幸い表情には出なかった俺の逡巡には気付かずにニコニコしているファル子にかける言葉を探している内に、インターホンが鳴った。
「!きっと学園支給のジャージだ!ちょっと出てくれないか?」
「う、うん」
救いの音色にも聞こえた。自前で測って学園に連絡しておいて助かった。着替えるために衣装のボタンに手を掛け、脱ぎ始める。胸に微かに湧いた感情には無視をして。
部屋の隅の電子ピアノに置いてあった楽譜が、1枚落ちた。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part335【TSトレ】
≫9二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 23:46:40
「トレーナー!体はもう大丈夫?」
「ええ。心配をかけましたね、ウララ」
「えへへー、これでまた一緒に遊べるね!」
「そうですね。…あ、一つだけ行かなくてはいけない所を思い出しました。付いてきてくれますか?ウララ」
「いいよー!どこ行くの?」
「それはですね…」
「諸事情によりドトトレさんたちが来られなかったため、今回は私が判定係を務めます。ヤエノムテキです。今回で二回目となりました私たちの挑戦。ナリタタイシンさんたちに続き来ていただいたのは、ハルウララさんと、そのトレーナーさんです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いしますね。学園のトレーナーたちに果し状とは、面白いことを考える方々がいたものです。ですが一つだけ疑問が。確かレース勝負とお聞きしていますが、それではヤエノムテキさんがここにいるのはどういうことなのでしょうか…?」
「あの人…私のトレーナーの希望です。ダートで、貴女たちと勝負したいと」
「…それはまた、面白いことを考えましたね。ですが」
「ハルウララさんが芝も走ることができるのは私たちも承知しています。それでもあの人は、ダートで挑みたいと言って譲りませんでした。私がこの場にいるのは、ダートに不慣れな私が無理に走って怪我をすることを心配されたからです。…貴女が言おうとしていることは、あの人も多少は分かっていると思います。本来ならトレーナーが担当であるウマ娘を差し置いて我を通すのは好ましくない。ですがどうか、今回だけは、あの人のわがままに付き合っていただけませんか。これはあの人の願いでもあり、私の願いでもあるのです」
「分かりました。そこまで言われては、受けないわけにはいきません。お二人の期待に応えられるだけのものを提供できるか分かりませんが、全力は尽くさせていただきます」
「…感謝します」
そうしてハルウララのトレーナーは、ウォームアップをしている二人、ヤエノムテキのトレーナーとハルウララのもとへ歩んでいく。
10二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 23:47:19
「おねえちゃんが、今日一緒に走ってくれるの?」
「ああ!よろしくな、ハルウララ!」
「うんっ!よろしくー!」
「お邪魔します、ヤエトレさん。ウララ。」
「あっ、トレーナー!」
「ウラトレさん、今日は来ていただいてありがとうございます。入院されていたとお聞きしましたが、お身体は大丈夫ですか?」
「ええ、もうほとんど回復しています」
「それはよかったです。すいません、私のわがままに…」
「だいたいのことはヤエノムテキさんからお聞きしました。意志は本物だと受け取りましたので、私たちも全力でお応えさせていただきます」
「恐縮です。どうか未熟な後輩に、ご教授をお願いします」
11二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 23:47:44
ヤエノムテキの掛け声に合わせて、人知れずにレースは始まる。
レースにおいて脚質は欠かせない要素だ。逃げ、先行、差し、追い込み、大きく4つに分類される位置取りは、レースでの作戦において大きく影響するものになる。
ヤエノムテキのトレーナーは先行、ハルウララは差しを得意とする。これを踏まえるならヤエノムテキのトレーナーをハルウララが追うという展開になるのが普通だが、こと今回の一対一のような特殊なケースでは脚質がほとんど意味をなさないというのもまた事実であった。実際、開始と同時に前に出たのはハルウララの方であり、ヤエノムテキのトレーナーはそのすぐ後ろで付く形で始まった。
これには明確な意図がある。一つはハルウララの走行の様子を見て学ぶため。前回と違って今回は勝負というよりは勉強の場という側面が強い。わざわざ後方の確認が困難な前に立つよりも、後ろから追従したほうが得られるものが大きいのは明らかである。ハルウララのトレーナーもそれを理解していたからこそ、ハルウララは前に立った。
二つ目はただ単純に、少人数レースにおいて後方に付いた方が有利と考えたためである。人数が増えれば増えるほど、ブロックされる可能性が増え、追い抜く力が必要とされることは当たり前だが、少なければそれらは無くなる。逆に前回ナリタタイシンが二人のふいをついたように、仕掛ける側は自分の戦略に相手を巻き込むこともできる。
すなわち、レースはヤエノムテキのトレーナーに有利な状況で始まったと言える。
唯一想定を上回っていたのは、前を走る少女の力だった。
12二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 23:48:11
すでにコースは終わりが近い。
必死に、持てる力の全て振り絞って追いすがる。
それでも、どれだけ前を目指そうとスパートをかけても差が縮まらない。
とらえられる範囲にその少女はいる。いるだけで、決して追い抜くことはできない。
開いている差以上に、超えられない壁があるのが分かる。
これが伝説と呼ばれたトレーナーとその担当の努力の極地。
その実力を目の当たりにして、今、俺は、何ができる?
「生憎、諦めの悪さだけは誰にも負けない自信があるんでね」
「今の俺じゃ及ばない。それでも、超えられなくとも触れてみせる」
手を伸ばせ。足を動かせ。もがけ。あがけ。前を目指せ。追いつけ。追い越せ。
ありとあらゆる感情を、前へ。
ヤエノムテキのトレーナーの本質、それは「挑戦し続けること」にある。
その意志に比例して、彼、彼女は成長し続ける。
刹那ではあった。が、間違いではない。
限界を超え、二つの影が並んだ瞬間が、確かにあった。
13二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 23:48:36
「トレーナー、レース楽しかったね!」
「お疲れさまでした、ウララ。頑張りましたね」
「うん!すっごくあのおねえちゃん速かった!」
「ええ、私も驚きました。…もう、背中を示す立場になりつつあるのですね」
「ん?どうしたのトレーナー?」
「いいえ、なんでもありませんよ。そうですね、頑張ったご褒美に、おいしいものでも食べに行きましょうか」
「いいの!?行く行く!」
「全く貴方はという人は…無茶をしすぎです!」
「悪かったって。でも全治二週間くらいで済んでよかったじゃ「よくありません!あれだけ私の怪我を心配しておいた本人が怪我をするなんて!ウララさんのトレーナーさんにもっときつく叱ってもらった方がよかったのでは…」
「いや、だから本当に申し訳ないと思ってるって…」
「これだけ迷惑をかけたんですから、あとで私の頼みもちゃんと聞いてくださいね!」
「分かった、分かったから…」
「はぁ…。それで、視えましたか?」
「ああ、何かが掴めた気はする。足に負担がかかることも同時に判明したけど。でもこれがものにできれば、もっと進めると思う」
「それなら、よかったです。でもとりあえず、あと二週間は絶対安静にしてください。私が側にいますから」
「…ありがとな、ヤエ」
戦績:2戦0勝2敗
第二幕 終
≫33チヨノオートレSS21/10/29(金) 00:08:58
東京優駿――日本ダービー
数多くのレースがある中で、このレースは特別な意味を持っている
G1の中でも最も歴史と伝統の詰まった、一生に一度の大舞台
毎年数千人のウマ娘がレースの道に進む中で、出走できるのは僅か数十人
そんな場所に私が立てるというのも、実に光栄なことだ
一重にこれまでの努力と、トレーナーの指導によるものだろう
ドクン―――ドクン―――
まだレース前だというのに、私の心臓は早鐘を打っている
ダービーという場の雰囲気に吞まれている?
全国のトゥインクルシリーズファンからの視線が刺さる?
ああ、でもそれ以上に
私とトレーナーの積み上げたものを全て発揮できるのか?
それが出来ないのが何よりも恐ろしい
「チヨノオーさん」
トレーナーの声がする
いつもの優しい声がする
レース前の最後の会話であり最後の打ち合わせ
会話の節々で声が上ずってしまう
「大丈夫です。」
そんな私の手を取り、トレーナーはほほ笑んだ
かつて私がトラウマに震えるトレーナーの手を握ったように
不思議と気持ちが落ち着き、鼓動もゆっくりになっていた
そうだ、今までの努力を疑うな。自分を信じるんだ。トレーナーを信じるんだ
そう決意して、レースに望んだ
34チヨノオートレSS21/10/29(金) 00:09:46
トレーナー曰く、日本ダービーのコースはタフな構造だ
2000メートル近く走った後に坂を上り、そこからさらに加速する必要がある
スタミナとスピード、コース取りの技術などが要求される総合力のレース
その為に、私は体を作ってきた
そして、データ面の予習もした
このレースはペースがそこまで早くならず、最後の直線が勝負になる
しかし、後ろにいてもバ群に埋もれやすくなるから、ここの位置取りは決まっていた
私は先頭から三番手の位置を追走する
内側に切り込みすぎないように、かといって外側に寄りすぎないように
スタートも良い、位置取りも良い
あとは、最後まで走りきるだけだ
四コーナーを回り、最後の直線に入る
私はこの時点で先頭に立っていた
でも、気を抜くことは論外だ
後ろから迫りくるヤエノさん、アルダンさん、同期の皆さん
私の足が少しでも止まればたちまち追いつかれる
でも、負けたくない
踏ん張るんだ
だってこのレースは、『日本ダービー』なんだ
夢にまで見た大舞台なんだ
いや、それだけじゃない
「頑張れ――――!!」
ゴール前で声を張り上げる彼女の為に
彼女の築き上げてきたものが…積み上げてきたものが無駄ではないと
伝統と格式のあるこのレースで、誰も文句が言えないように
完膚なきまでに証明する為に――――!!
35チヨノオートレSS21/10/29(金) 00:10:25
「絶対に勝つんだからッ!!!!」
脚の回転を止めるな、大地を力の限り蹴り上げろ
パキン―――――
私の中で、何かが割れる音がする
いや、今はどうでもいい
『残り200m!チヨノオー先頭!後続をどんどん突き放す!!』
ただ前へを目指すんだ
この一瞬にすべてを賭けろ
走れ、走れ!
『ゴォオオオォォォール!!ダービーを制したのはサクラチヨノオー!!』
会場の歓声で我に返る
掲示板の一番上には、私の枠番と赤いレコードの文字
「――勝った?」
日本ダービーを勝てたのだと実感するのに、少しばかり時間がかかった
その時の光景は、一生忘れることはないだろう
36チヨノオートレSS21/10/29(金) 00:11:37
ウィナーズサークルに戻ってくると、トレーナーが駆け寄ってきた
「チヨノオーさん!!足は平気ですか!!?」
彼女に指摘されて、右足が震えていることに気づく。若干ジンジンとした痛みもある
少し無理をしてしまったようだ
「どうしてこんな無茶を…!」
私の脚を触りながら絞り出すような声で呟くトレーナー
怖いのか体が震えている
私のせいでこの人を悲しませてしまっている
「ごめんなさい。でも、証明したかったんです」
トレーナーの手腕を証明するために走ったことに後悔はない
この足が致命的な状態になったとしても、私は全身全霊をこのレースに込めただろう
それに、私が彼女の前から消えることはない
「大丈夫です、私はトレーナーさんの傍にいます」
どのような形でも良い
トレーナーと一緒に乗り越えると決めたのだから
「貴女は本当に…大馬鹿者です…ッ!!」
そう言って、トレーナーが私に抱き着く
両の目には大量の涙を浮かべていた
私はその場から動くこともなく、彼女が泣き止むまでずっと抱きしめていた
≫44二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 00:22:23
『ありえたかもしれない何か』
何時ものように生徒会長として仕事を進めていく私。そうしていると、二つのマグカップを持った彼が歩きながら話しかけてくる。
「ルドルフ」
「トレーナー君、何か?」
「んー、なんでもない」
そう言いながら"長い髪を後ろでまとめた彼"がマグカップを手渡してくる。
「とりあえず淹れてきたから飲もうか。ルドルフ」
「だな。君が淹れてくれたことだし、一旦休憩としよう」
そう言いながら、彼の淹れてくれたコーヒーを飲む。
「いくら私が八面六臂の活躍が出来るとはいえ、君の体調管理がなければ私は早晩倒れていた……いや、感謝祭の時のあれがその兆候だったのか?」
「まあ、今のルドルフがこうして適度に力を抜ける程度に仕事も減って良かった良かった……って、それを成したのも君だ」
「ふふっ、しかしそのきっかけは君だ」
「……こうなると"また"互いを誉めあうことになるからやめよう、ルドルフ」
「……だな」
そう言いながら、そっと彼の方に寄りかかる私。
彼は優しくそれを受け入れ、そのままにしてくれる。それが、彼の優しさに甘える形であっても。
「……トレーナー君」
「……どうした、ルドルフ」
「……なんでもない」
────今はまだ、この恋心と欲は秘めておこう。いずれ、私のものに出来るのだから。
シンボリルドルフ担当トレーナー、その男性精神体、ルドルフが耐え続けた世界の姿。
3サイズは88-60-88のまま、敏感体質もかなりマシ、チョーカーもなく長い髪を後ろでまとめたスタイルの髪型と優しい顔立ち含め人気がある。
一人称は僕、親しい人は呼び捨て、それ以外はさん付け。
オグトレ、スズトレとの関係も勿論良好。
ルドルフとの関係は固い絆と互いの淡い恋心で結ばれている。
メス堕ちしたルドトレよりウマソウルの出力では劣っているため、この世界のルドトレは3200mにおいてフラトレに1バ身差で負けている。そのことをルドトレは気にしているがルドルフは「皆の要望のために無茶苦茶な走りをさせて申し訳ない」と思っている。あと、この世界の《プラエトリアニ》は良い意味で普通のチームとなっている。
ぶっちゃけ、こっちの方がなにもかも平和に進んでいる、ありえたかもしれない理想郷。
≫53次元好きの匿名さん21/10/29(金) 00:34:18
それは、何もかもがうまくいかなかった末に生まれるイフの存在。
彼女は全てを守ろうとした。全てを支えようとしていた。自分ならそれくらいできる、それくらいできなければならないと思っていた。
過ぎた決意は傲慢であったことを彼女は知った。
相手はそれほどに強く、悪辣であった。彼女の守りたかったものは全て崩れ落ちた。心に穴が開いていくたび、彼女はそれを使命で埋めた。
彼女の心に穴が開かなくなったとき、彼女の心をこれ以上埋めるものもなくなっていた。彼女は、心の中の使命というガソリンを燃やして突き進まねばならなくなった。
誰も彼女の隣に立つことはない。誰も彼女を支えることはできない。誰も、彼女にとって失いたくないものになることは許されない。
54二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 00:34:38
今日も彼女はゲートに向かう。両手に収まらない使命を胸に抱き、自分の含まれない虚ろな心をそれで満たして、身も心も燃やし尽くすまで走り続ける。
その名はアトラストラタ。
何もかも支えようとして取りこぼし、大地に落ちた使命を抱いて埋もれた、元メジロマックイーンのトレーナーである。
≫89別概念ファルトレ第1話1/421/10/29(金) 01:36:30
“glissando. 暗転中板付転換。”
様々な手続の為に学園へ出向く。予定はメールでキャンセル。電話や直接出向いての連絡もこの姿と声音では方々を混乱させるだけ。その辺の身分証明なんかの為にも学園の支援を得るのは急務だった。
と、意気込んだものの拍子抜けするほどにスムーズに手続きやら説明は終わり、午後には解放された。多くの先人に思いを馳せるのは不謹慎だろうかと考えつつ歩いていると、ファル子が向こうから走ってきた。
「トレーナーさん、もう終わったの?」
「ああ。ただ即日給付の書類を受け取るために夕方もう一回上に行く必要はあるけど。まあほぼほぼ終了だな」
「うーんと……じゃあね……」
嫌な予感がした。俺は今朝の猛襲で既に学習していた。学園支給の都合上丁度ジャージを着ていたというのも拍車をかけていただが予感がしていたからと言って何とかなるものでもなかった。おそらく断る理由も無いしむしろ一度経験した方がいいことだし。
「運動場、行こ☆」
90別概念ファルトレ第1話2/421/10/29(金) 01:36:57
休日の運動場は閑散としているわけでもなく、様々なスペースで前もって申請をしていた生徒がトレーナーないし教官の目の届く範囲で自主的な練習をしていた。ファル子は俺が手続をしている間にぱぱっと空いている場所の使用許可を取ったらしい。こういう時の手際はやはり素直に感心する。知らぬ間に巻き込まれているのもいつものことだ。
ただ俺がトレーナーとして見ているならともかく、否定はしたいがこの口振りからして間違いなく俺も走らされる。そうなると監督者がいなくなってしまう。その辺の申請はどうやったのかと気になったが、運動場に答えが待っていた。
「あっ、スズカちゃん!スズトレさん!お~いっ☆!」
「トレーナーさん、2人が来ましたよ」
「ファルトレだね。手続はどうだった?」
「ええ、何とか。けれど成程、お2人ですか……」
トレーナーが監督できないならば別の監督者がいればよい。至極単純な理論だ。そしてファル子にとっては運よく、そして2人にとってはひょっとすると運悪くか、その役を任し承諾したということだ。だが。
「すみません……この時間にいるということはそちらの練習もあったでしょうに……」
「大丈夫。ウマ娘化したトレーナーのサポートも役割の一つだし。ファル子ちゃんには色々スズカもお世話になってるし」
そうはいっても人の練習時間を外ならぬ自分の都合で食っているというのは申し訳なさがある。なんかスズカさんもすごい複雑な表情してるし。
「まあ、ウマ娘の身体の使い方に慣れるには結局走るのが一番。もしもの事が無いように私もスズカも見ているから、一度走ってみるのもいいかもよ?」
「……一周だけですよ」
91別概念ファルトレ第1話3/421/10/29(金) 01:37:16
(*1))
撃沈。芝の上には哀れな仔ウマが一頭。傍目から見れば畦道の脇に轢かれたカエルのようにも見える悲惨っぷり。
ファルトレの走りは絶望的だった。絵に描いたようなドタバタ走り。足は無駄に芝を蹴り、推進力は左右上下に逃げまくり。むしろよくガス欠を起こさずに1800を走り切ったな、という有様であった。
ただし。ファル子とスズトレは一つの可能性を試作していた。前者はその道の競技者として。後者はウマ娘に精通するトレーナーとして。ファルトレは気づいていない。おそらく今は息を整えるのに必死だしそもそも初めての走りであれこれ考えられるトレーナーの方が少数派だ。トレーナーが走っているという文言に疑問を抱いてはいけない。それにスマートファルコンのトレーナーである彼がこの可能性に至れなかった、ということからも如何にウマ娘化が溢れようとそれが異常事態であることが分かるだろう。ちなみに異次元の逃亡者たるスズカにこの問題に対して考察しろ、というのは少々酷な話でもある。言い換えればまだトレーナーとしての勉強が足りていない、というべきか。
何はともあれ。スズトレはその可能性を試すことにした。
「ねえ、ファルトレ。」
ダートを、走ってみない?
93別概念ファルトレ第1話4/421/10/29(金) 01:37:36
結論から言うと。先程とは打って変わって、ファルトレの走りは目を見張るものだった。力強く砂を蹴り上げ、砂塵の軌跡を残しながら、一直線に駆けてゆく。ダートのウマ娘を手掛けた経験のあるトレーナーなら思わずスカウトに走り出す。そんあ走りが休日の午後に、トレーナーの手によって為されてしまった。
スズカは己が目を疑った。自身がダートを試した経験はありつつも、外からバ場適性の明確な違いを目の当たりにするのは初めての経験であった。
スズトレは安堵と不安を覚えた。この才能が、スズカと同じバ場をはすることが無いことに。そして、ここまで才を見せつけられるということは、ウマソウルが自我を蝕むほどに強力であることが己が経験と周囲の事例上分かってしまったことに。
そして。スマートファルコンは。様々な思考の末に、どうしても抑えられぬ衝動が溢れ出てしまった。
スマートファルコンが、先程よりも息の乱れていないファルトレに近づく。スズトレは止めることができなかった。果たして、同様の走りが芝において、またはトレーナーでないウマ娘が行ったなら。トレーナーとしての性はそれを抑えることができただろうか。スマートファルコンは、トレーナーでないにしろ誰よりもダートの興隆に意識を向けているウマ娘である。そんなウマ娘が、砂上で素晴らしい走りを、ましてや自身のトレーナーによって繰り広げられて我慢が効くだろうか。
トレーナーの傍に駆け寄って。言葉を掛ける、
「トレーナーさん」
「ファル子と一緒に走ってみない?」
≫101二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 02:36:01
どうしてこうなった
僕、俺、私は暑さでどうにかなりそうな頭で振り返る
その日、トレーニングの準備のため早めにトレセンにやってくるとグラウンドの方で走り込みをしている子が二人いた。
グラウンドが使用できる時間はまだなはずだ。
注意しようと近づくと僕は目を疑った。
双子のようにそっくりでそして、カフェと瓜二つだった。
こちらに気づくと二人は学校側へ走っていく
カフェのいうお友達なのかと追いかけていく
こちらを振り切らないように調節しているのだろうある場所へと導かれた
三女神像の前に
102二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 03:02:17
追いかけてクタクタになった足を止めてあたりお見渡す
確かにこっちに行ったはずだ
僕の前に現れたのは何か理由があるのかと思ったが聞いてみるとカフェのそばから離れることも偶にあるみたいだし、単に遊びに来ただけだったのだろうか?
見失ってしまったし、諦めてグラウンドに戻ろうとすると三女神像が輝いた。
あまりの眩しさに目を瞑る。
ドクンと何かが胸の中へと入り込む。
ソレはドクン、ドクンと体の奥深くへと流れ込む
トレセンで最近起こっているウマ娘化
頭によぎる予感は的中した
時間をかけて起こるか、朝起きたらなってたというそれは僕の場合は違って発現した
とにかく、暑い
顔が紅潮していくのがわかる
そして、痺れ
全身を余すことなく走る痺れ
思わずあげた声は聞き慣れない艶やかなもので
「私」は口を押さえる
いや、「私」?「オレ」は「オレ」で…違う僕だ
あれ?いや
息を荒くしながら、熱で浮かされる混乱する中、僕は必死に意識を持とうとする
コレに流されたらもう戻れないそんな予感がある
体は少しづつ縮み、服が体に合わなくなるが生まれた。
その隙間を埋めるように今度は膨らみ出す
ゾクゾクとした何かが頭へと昇り髪が顔にかかる
「トレーナー!?」
誰かが駆け寄る気配を感じながら、僕は意識を手放した
≫110二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 04:05:42
グラトレ(独占力)とグラスワンダーと身長差
……12cm……確か口づけをするのに丁度良い身長差と聞きました……よく分かりませんが。
……今の姿のトレーナーさんと私の身長差は僅か2cm、ですが気軽に唇を合わせられる良い身長差だと私は思います。
そして、ウマ娘になる前のトレーナーさんとの身長差は20cm強……お互いに私が卒業するまでは……と自制していたのも有り、確かめる機会は有りませんでしたが……確かに口づけをするには少々高過ぎます……
……何故この様な話をするのかと言いますと、12cm……とはいきませんが、私より低い位置に居るトレーナーさんの顔に口づけを落としている最中だからですね。
胡座をかいたトレーナーさんに向かい合う様に座らせて貰ったのが先程の事。
トレーナーさんの肩に手を置き、上を向いたトレーナーさんに上から口づけを落としていきます。
見上げるしか無かったウマ娘化前のトレーナーさんでは、同様の事をしても私が口づけを落とすというのは無理だったでしょうから……少し珍しい体験が出来ているという事ですね。
コレが珍しい体験だと噛み締めながら口づけを続けている内に、やがて口づけは舌を使う深いモノへと変わり、トレーナーさんは私の服を少しずつ捲り上げ始めます。
111二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 04:05:54
充分に捲り上げたと判断したのでしょう、トレーナーさんは唇を離し顔を下へと持って行きます……と、同時にお尻も鷲掴されました。
甘い感触を胸の方から感じお尻を鷲掴にされる中で、トレーナーさんの頭をそっと軽く抱きしめます。
……この体制、私が出来る事が少ないですね……
そんな事を考えた矢先にふと、コチラに向いたトレーナーさんのウマ耳が目に映りました。
そして片手でトレーナーさんの耳を捕まえ内側を舐めてみると……
……うひゃぁ!?
と言うなんとも情け無い声と共にお尻をギュッと掴まれてしまい、私も甘い声を上げる事になってしまいました……最近トレーナーさんにお尻を掴まれるのがとても気持ち良くなって来てしまっているのですが、この人はどう責任を取ってくれるのでしょう?
……どうやら耳を舐められるのはトレーナーさんが思っていた以上の刺激だったのでしょう、少し涙目のトレーナーさんが恨みがましい眼を向けてきます……しかし、私の方が上に居る今の体制では涙目で上目遣いしている様にしか見えませんね……
そんな煽情的な眼を私に向けてくれるトレーナーさんに口づけを落とし、私は続きを所望するのでした……
了
≫147二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 07:46:30
お昼時、生徒たちで混雑する時間より前の学園の授業中の食堂でお昼を食べようとしているリウトレの所へマルトレが通りかかった。
「リウトレ、なんかみんなに相談して回ってるらしいな」
なんか得意げなマルトレを見てからリウトレはため息を吐いた。
「あっ、マルトレ先輩……無しですね」
「なんで? 俺これでも人生経験結構豊富だよ?」
「マルゼンスキーと契約組むまでスカウトやる気無しでサブトレに適当に付いてフラフラしてる昼行灯扱いだったじゃない! どこに先輩要素と人生経験豊富要素を見出せっていうのよ!」
「事実だから言い返せねぇ」
マルトレの耳が垂れる。
「いや言いすぎましたそんなにしょんぼりしないで罪悪感がなんだかすごいですから。……じゃあ、その、シリウスからのアプローチが大変なのを耐えるのにどうすればいいと思います?」
「答える前に聞きたいんだけど、リウトレはシリウスシンボリのことが嫌いなのか?」
そんなまさかと言いたげにリウトレは首を横に振った。
「じゃあ受け入れちゃえばいいんじゃない?」
「ほら出たやっぱりそうなる。雑なのよマルトレ先輩」
「待って! 俺なりの考えはあるんだよ!」
「……その考えとは?」
「そもそもウマ娘化する前からアプローチはあった訳だろ?」
「まぁそうね」
「で、ウマ娘化したら過激になった」
「ハイ」
「そもそもシリウスシンボリなら学園内での話題はだいたい収集してるから、ウマ娘化でメンタル不調を起こすトレーナーの話も全部聞いてると思うんだ。で、不調を乗り越える時はそこに担当ウマ娘の助力があったっていうのも当然聞いてるはず。想像が入るけど露骨に体型が変わったリウトレがシリウスは心配なんじゃないか?」
パクリと何故ワサビの塊を食って咳き込むマルトレを尻目にリウトレが考え込む。
148二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 07:47:51
「シリウスが私を気遣ってくれてるとは思ってたけど……」
「シリウスは何かあった時にリウトレの側にいられる存在になりないんじゃないかなって。だから受け入れちゃえばアプローチは止まるんじゃない? リウトレも変に耐えようとしてるから辛いわけで」
「変にじゃない! しっかり風紀を守ろうとですね! 受け入れちゃったらどこまで行くかわからないじゃないですか!」
はーはーと息を荒げるのをリウトレは一旦水を飲んで落ち着く。
「別にシリウスだって学生の間にリウトレとおっぱじめたらリウトレが社会的にヤバイことを説明すればしてこないんじゃないか? それともそれ聞けないくらい性欲魔神なのか?」
「言い方。馬鹿にしないでシリウスはそんなんじゃない」
「じゃあいいじゃん」
「……が、学生とそういうのを前提にするのは……ダメぇ! ネイトレが居る! 前例がいる!」
リウトレは否定しようとして同じ白毛の恋愛強強伝説愛愛ウマ娘にやられてしまった先輩を思い出して頭を抱えた。
「受け入れた上で正式なお付き合いは卒業後、それまでにネイチャみたいに両親を説得してくれってお願いすればまぁ学生期間中はシリウスの猛攻も止んで耐えられるんじゃない?」
「それそもそも陥落してる! 耐えてないじゃない! マルトレ先輩なんかシリウスから握らされたりしたの!?」
「いやなんももらってないけどリウトレがシリウスの事嫌いじゃないって言うし……」
「そういうマルトレ先輩はどうなの!? マルゼンスキーからのアプローチが大変だとか無いの?」
「マルゼンスキーは走るのが楽しんでそれを俺がサポートしてるだけだから信頼関係はあるけど恋愛ごとは無いよ」
「車で送迎してもらってるのに?」
「なんか急に情けなくなるからやめて?」
そんな言い合いをする柱の影、授業を終えて食堂に来て二人の話を聞いていたシリウスシンボリとマルゼンスキーが固く握手をしていたそうな。
完
≫156二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 07:56:51
ヨシ!分かった!
昼下り、学園から少し離れた一軒家で
「あ、月9の予約かけとかねえと」
「後で僕がやっておくよ」
「おっ、サンキューサトトレ。」
「…最近頼みすぎではドベトレ?」
「いいんじゃないかしらマクトレ。気にしてないでしょ、サトトレ。」
「うん、むしろ嬉しいかな。」
『私に頼ってもいいよ?』
「…そうだな、また必要なら言うよ。」
「やっぱりCは変わらないね、何時でも。」
『あの時、私はただ手を伸ばしただけだよ。』
「最後まで諦めずに差し伸べてくれたのは貴方だけよ?」
「そうだぜ、だからオレたちは今こうしていられるんだ。」
『ふふ、そうだね。』
そう言うと私はソファに腰掛ける。
5人で住むことを見越して買った大きめなサイズのソファは、一人が座っても全然余裕があった。
157二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 07:58:09
するとサトトレはそっと前から近づき、抱き締めるように私にしがみつく。そして顔をあげて言ってくる。
「…ボロボロで、空っぽだった僕達を丁寧に埋めてくれたのは貴方だから。」
「だから僕達はずっとそばにいたいんだ。」「いつまでも貴方についていきたいんだ。」
『…うん、何処まででも行こうか。』
そっと言いながらサトトレの頭に手をのばす。
マクトレとドベトレも私の横に座ると、ゆっくりともたれかかっててきた。
「「俺(オレ)もだよ。」」
最後にキタトレは後ろに回ると寄りかかってくる。私の前に手を回し、後ろから抱き締めるように。
「私もよ、C。貴方は私達の光なのだから。」
『ありがとう、皆。…この姿勢はつらくない?』
四人とも動かない。これでいいと言っているみたいだ。
私は体の力を抜いてソファに沈みこむ。
(暖かいなぁ…)
そして音もなく目を閉じる。
ーーー陽光が照らす中で、私達はそっと幸せな一時を過ごした。
駄文失礼しました
四天王√のトゥルー後のワンシーンです。
仮称C、天性の人たらしにしてスパダリ。
≫170二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 08:21:04
「ゆゆゆシリーズです!!勇んで人の為になる事を進んでやる勇者部達の日常とちょっとした戦いを描いた作品です!ちょっとだけ暗い話も有りますが…素晴らしいものですよ…」
「いーや、シンフォギアだね!独特な言葉回し!濃厚なアクション!何より歌がいいよね!」
「おうテイトレとロブトレ!何熱くなってんだ?」
「ドベトレ!今どの変身ヒロイン作品がいいか話してるんだ…お前はどっちの方が好き?」
「前も似たような話して無かった?」
「気のせいじゃない?シンフォギア最高じゃん。絶唱格好いいよなぁ…」
「こっちの満開も負けないぐらいかっこいいですよ!」
「変身ヒロインねぇ、魔法少女特殊戦あすかとか?」
「それは辞めよう(ましょう)」
「駄目だったか?」
「いや駄目じゃなかった…けど…ちょっとグロいというか…鬱要素が…」
「その…ナイフとかワイヤーとか妙に生々しくて…」
「…そうか…すまん…」
「…どうした?三人暗い顔して」
「タマトレ!いいところに…今こういう話してて」
171二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 08:21:46
「なるほど…そうだな、セーラームーンはどうだ?昔姉貴と一緒に見てたが中々面白かったぞ?原作の方はかなり鬱だったが」
「見たことないなセーラームーン」
「私もです…気にはなってるんですけどね」
「うーんそうか…なかなか難しいなぁ」
「因みにタマトレさんはシンフォギアとゆゆゆはどう思いま…タ、タマトレさん?どうしました?」
「パト牛鬼…手紙…うっ...頭が!」
「急に目が怖くなったが…その…嫌いなんか?」
「キャロル嫌い…あいつ…何で響3人で負けるんだよ……スロットの方は論外だしでも打つけど…新作は期待してる」
「ゆゆゆはそもそも設置台数が少ないんじゃい!そんでもってどこも釘締めやがってよ!どうして諭吉で30回転しかしないんだよぉぉぉぉぉ」
「パチンコになったんだっけそういえば」
「これはかなり絞られてますね…」
「シンフォギアは面白かったぞ!気がついたらめっちゃ玉出てて…すまん」
「いや、まだだ!まだ終わらんよ!」
「何やってますの?」
「あっマクトレ!変身ヒロインって言えばシンフォギアだよな!?」
「いえゆゆゆですよね?」
「変身ヒロイン?…魔法少女まどかマギカでしょうか…」
「まどか?...30連スルー...あババババババババ」
「うわぁー!?タマトレが泡吹いて倒れた!?誰か!!救急車!!タマモクロスも呼んで!」
おわり
一日座って一回もラッシュ入れなかったのは許さへんからな
パチンコスロットは節度を持って遊ぼうね!俺は生涯収支△3桁だからもうあとに引けないけど
パチンカスタマはもっと流行らせろ