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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part496【TSトレ】
≫22二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 23:11:06
https://bbs.animanch.com/board/154117/?res=36の続き
前回のあらすじ
列車でブルボンの実家に行こうとした私達でしたが、私が改札を壊し遅い各駅停車に乗って遅れて行くことになってしまいました。
ブルボンの実家
「やっと着いた…本当にすみませんねブルボン」
「問題ありません。父にも連絡は済ませてありますので大丈夫かと」
「ありがとう。いつも助かります…」
玄関先には前回のようにブルボンのお父さんが待っていてくれました。
「ただいま帰りました、お父さん。こちらがウマ娘になったマスターです」
「はい、ブルトレです。連絡もせず来るのも遅れてしまい申し訳ありません!」
「大丈夫ですよ。色々大変だったでしょう。もう遅いですし狭いですが泊まっていってください」
「すみません。何から何まで…」
私のせいでブルボンのお父さんにまで迷惑を…本当に申し訳無いです。
23二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 23:11:47
居間
「それでここに呼んだのはお話があってですね」
「は、はい!こんな体で娘さんの担当をしている事についてでしょうか!」
「ははは、娘のトレーナーは貴方しか居ませんよ。ブルトレさんがウマ娘になってすぐブルボンから連絡が来たんです。『これからも私はマスターの担当です。』って。普段自分の希望を言う事が少なかった娘がそう言ったんです。自信を持ってください」
「そんな事が…」
ウマ娘になってすぐの私ははとても不安定で、かなり酷かった筈。大変な思いをさせたのにそう言ってくれるとは…
「今日呼んだのはですね、電化製品を使わない生活についてです。うちはずっと前からそういう生活ですからね。実際見てもらった方が分かりやすいかと思って」
「成程…ありがとうございます。ブルボンが子供の頃からずっとそういった生活だったなら確かに経験豊富ですよね。勉強になります。」
「え?妻の話は聞いた事ありませんでした?」
「ああ…そうですね。そういえばあまり聞いた事がなかったかもしれません」
「実は妻も同じような体質を持ってましてね。私が彼女の担当をやっていた頃からあの体質とは付き合いがあるんですよ」
「へぇー…そんな以前から…ん?担当?」
「はい、マスター。父は地方でトレーナーをしていた時に母と出会い、担当をしていました」
「お母さんウマ娘だったんですか」
「ええ、そうなんですよ。これが当時妻がダート戦で勝った時の写真です」
「この方がブルボンのお母さんですか、美人さんですね…ん?この髪色…」
私の髪と同じ色。それにダートで勝利?私もダートはブルボンよりほんの少しだけ得意ですが…
(まあ、偶然ですよね)
浮かんだ小さな疑問をすぐ消しこれからの生活についての話に戻る私でした。
終わり
≫59二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 23:59:11
マベトレASMR
やっほー今日もマーベラス☆
今日は疲れてマーベラスが足りない?
もうしょうがないなー今日は特別に私からマーベラスをおくって、あ・げ・るー にしし
いくよー
まずは、ひだりみみから まぁーべらすーーー☆ んふふ
どうかなどうかなー
つづいてー
みぎみみからまぁーべらすーー☆
へへ
すこしはげんきでたかなぁー
え?ぜんぜんだめ?
わかったよーそんなよわよわなあなたには、もう少しマーベラスを送ってあげるよー★
1/2
60二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 00:00:11
なでなで
ほらほら
いいこいいこーだよー。
頑張ってるあなたはそれだけで、マーベラスなんだからー
すこしはやすんだっていいんだよー
それじゃいっしょに
息すってえー すぅぅ
はいてえー ふぅぅぅ
もう一回すってー すぅぅ
もういっかいはいてぇー ふぅぅぅ
いっしょにぃー マーベラス
どう?気持ちはすっきりした?
あれ、もうこんなじかんだねー
それでは"今日"もマーベラス
2/2
≫87バクシン的新婚三択21/11/26(金) 07:08:26
「むむむ……? シンコン、サンタク、ですか……?」
「うん。バクシンオーは知ってる?」
「いいえっ! わかりません! トレーナーさん、教えてください!」
「まず、結婚してすぐの夫婦を新婚さん、って言うんだ。これはわかるね」
「ええ! それくらいはわかりますとも!」
「で、そんな夫婦が相手を出迎えるときに、3つから1つを選んでもらう」
「ほうほう、相手が欲しいものを、相手に選んでもらうのですね!」
「その通り。これを世間じゃ"新婚三択"というんだ」
「うーん? でも私、まだ結婚していませんよ?」
「深い信頼と愛情で繋がったトレーナーと担当ウマ娘とが、その関係を夫婦に見立ててやるんだそうだ」
「深い信頼と愛情! 素晴らしい響きですッ!では早速やってみましょう!」
「わかった。それじゃ僕が出迎えるから、バクシンオーは一旦トレーナー室の外に出てね」
「……もういいですかトレーナーさん!」
『早いな……まあうん、いいよ。入ってきて』
「了解ですっ! ではバクシン的にいざ! 失礼しまーす!」
「……おかえりバクシンオー。ご飯にする? お風呂にする? それとも、僕?」
「はいっ! トレーナーさんでお願いします!」
「……えっ」
「ご飯は先ほど頂きましたし、トレーナー室にはお風呂はありません。ですので、トレーナーさんで!」
「あー、うん。そうなるか……まあいいか。わかった」
「ところで、トレーナーさんを選ぶとどうなるのですか?」
「……うーん。どう、なるんだろうね……」
このあと楽しく併走した。
(了)
≫95二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 07:39:08
「う〜、寒い!」
「今日は最低気温0℃なんだからそりゃそうだよタイキトレ…」
「いやー、自分肉つきよくなったから前より保温出来るかなってさ。」
「その量だと微妙だよ…」
冬の朝方、そんなことを話しながら歩くのはタイキトレとサトトレーーー丁度出会って方向が一緒だったので話していた。
「でもさ、そっちはどうなのよ。薄着って程ではないけど薄めだし。」
「えっとね、あまり寒さは気にしないでいいんだよ僕は。小さくなったから表面積は減ってるし。」
「本当か〜?なら…」
そういったタイキトレはサトトレの後ろに回ると思い切り抱き締めてみる。
「わっ!も、もうちょっと加減して…」
「おお…温かいわー。冷えた体にはいいね〜。」「誰の体が幼児体温だって!?…冗談だよ。」
サトトレのほんの少し大きな声にビクリと硬直したタイキトレに、サトトレは笑いながら話す。
「…まあこんな感じで体温は高いから、そんなに厚着しなくても動けるんだよね。」
「いいじゃん?私もその方が良かったかもね〜。」
「代わりに高い所に手が届かないとか、夜間に歩いてたら警察どころか親切な人にも声掛けられるとか面倒な事多いよ?」
「ならいいわ…」
「まあ、そうだろうね。僕もなりたくてなった訳じゃないし。」
そんなことを話すサトトレに、タイキトレは思わず聞いてみたくなった。
「ならさ、なんで走ることにしたの?」
「え?」
「いや〜、なる気もないのにウマ娘になって、それで今走ってるんでしょ?なんで走るのか気になるじゃん。」
「…そうだね。でも、僕は僕のために走ることにしたんだ。他の誰でもなく。」
「へー、そうなのか…」
納得したタイキトレはそっと顔をそらした。
「ちなみにタイキトレは何かしたいって思ったことあるの?」
「ない!」
「そんな声張って言うことかな…いいけど…」
短文失礼しました
タイキトレとサトトレの会話。湯たんぽ代わりにされるサトトレです。幼児体温で冬でも動けるかわりにこれでは得失が見合わない(確信)
≫123二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 08:56:03
『職人ってやつはなんでこう』
「お邪魔しまーす、イクトレさん」
「👋」
「俺の蹄鉄、出来上がってると聞いたんで取りに来ましたよ」
「👍」
「いやぁ本当にありがたいことで。走る量が多いから結構消費早いのと、市販品よりもフィット感がいいものをトレセン内で都合できるわけですから感謝しきりですよ」
『ブラトレ君は本当に走るのが好きね』
「まあせっかくこういうスタイルになれたわけですし、活かしてなんぼって考えてますからね。特注品に近いのにコストもそこまでかからなくて本当に助かります」
「😄」
「ええ、本当にもう。所でですよ?」
「🤔」
「そこの机の上に放置してある、口だけ空いて中身の減っている様子のないエネルギーバーはどうなさりましたか?」
「💬」
「……つまるところ、飯抜きであった、と。わかりました、イクノに報告しておきますから」
『待って勘弁してブラトレ君』
「いえいえ、俺の“お節介”ですからどうぞ受け取ってくださいな」
『かんべんしてってば!』
「わかりましたよ、でもちゃんと飯は食べないと……フジトレさんに追い掛け回されますよ?」
「😱」
「どうしてこう、自分の飯すら忘れるトレーナーが多いんでしょうねえほんと」
『集中してたから……』
「やはり反省の色が……」
「🙇」
もしかすれば飯抜きは職人の嗜みなのかもしれない。でもダメです。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part497【TSトレ】
≫74二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 16:33:41
ゴルトレ「なぁ知ってか? 植物って音楽を聞かせるとよりよく育つんだぜ?」
マヤトレ「あーなんか周波数で変わるんだっけ」
ボノトレ「確かにそういう話はあるし実際研究なんかもされてるみたいだけど…じゃあ聞かせてみる?」
ゴルトレ「安心しろ──もう用意してあるからな!」
マヤトレ「ん? なんだあの台…あ、シチトレがドラムに座ってる!? ライブ台だあれ!?」
ボノトレ「さっき見た時はなかったよあんな無駄に大掛かりなセット!?」
カレトレ「みんなーッ! 聞こえてるッ!」
ボノトレ「…よし、ほっとこ…ってカレンちゃんが走り出して畑挟んで対抗ライブを始めた!?」LET'S GO
マヤトレ「対抗心燃やして暴走してないかあれ!? 普段止めてるカレトレはあのざま…待ってマヤノついて行かないで!? アケボノちゃんも!?」つきぬけようぜ
スズトレ「ウソでしょ…まさかこれオペトレさんが用意したの…」夢でみた夜明けへ
オペトレ「セットの設置はね。舞台自体はゴルトレさんが持ってきたしドラムとかはシチトレさんの私物だけど」まだまだ遠いけど
マヤトレ「とめて!? そういう時はとめてマジで!?」MAYBEどーにかなるのさ
ネイトレ「でも、さっきの話が本当ならいい試みなんじゃないの?」愛があればいつだって
マヤトレ「そうかな…そうかも…」
ボノトレ「いや人手が持ってかれてるからね!? せめて先に言ってくれないと今日の進捗が!」
カレトレ「ちゃんと一部お兄ちゃん達には事前に話通してるよ!」
マヤトレ「…じゃあまあ、フラトレがこれも計算に入れてるなら大丈夫なのか?」
フラトレ「まあカレンちゃんが対抗ライブ初めてそっちにも人手が持ってかれたりライブ聞くために何人か止まってたりそもそもこの規模でやってるのは普通に想定外ですけどね…ふふっ」
ボノトレ「ちょっとこれ今日の分の畑の手入れ間に合うの!?」憎しみと悲しみをー
ゴルトレ「争いなんてくだらねぇぜぇー! オレの歌を聞けぇー!!!」撃ち落としてゆけぇー
ボノトレ「今まさにキミらのせいで争い起こってない!? そうだ、ゴルトレ相手ならマクト…紅茶飲んでるー!? この騒ぎで!?」お前の胸にもラブハァー
マクトレ「大変ですわねー」まっすぐ受け止めてデスティニー
ゴルトレ「何億光年の彼方へーもー!」
カレトレ「突撃ラブハート!!!」
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part498【TSトレ】
≫156二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 20:45:31
『担当ウマ娘と一緒に風呂に入るまで出られない部屋』
「……この前のよりはマシかな?って思ったファル子は感覚がおかしくなってるのかなー……☆」
「じゃあ入りましょうか」
「待って?心の準備をさせて?入らなきゃいけないとは思ってるけど流石にまずいんじゃないかなって思うわけ。いや前の部屋もまずくないとは言い難いけど」
「?でもウマドルの仕事として温泉レポなんてメジャーな部類でしょう?」
「いやでもバスタオルも水着も無いんだよ?ファル子の今見てる映像には生憎編集さんもいないんだよ?」
「ファル子、よく聞いて」ズイッ
「ひゃ、ひゃい!」
「これは撮影」
「これは撮影?」
「ここは温泉といういわばステージ」
「温泉というステージ……?」
「あなたはウマドル」
「私はウマドル」
「私もウマドル」
「トレーナーさんもウマドル」
「ならば私たちのするべき行動は?」
「……完璧なリポート……?」
「そう。完璧なリポート」
「そっか……そっか!頑張るぞー☆」
「ふふ、流石ねファル子。頼もしいわ」
なお入浴途中にファル子のプロ根性暗示が解け更にすったもんだがあるがそれを記述するには余白が足りない
≫170二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 20:55:18☆びばノンノン「タイキー……」
「!もう泳いでいいデスか!?」
「ダメだよ」
「トレーナーさーーん……!」
「……今だけだよ」
「ヒャッホー!うーみーーーー!」
「海じゃない海じゃない」
久々に甘々になってしまった。てかこんな狭いのにあーも器用に、そしてよう犬かきの似合うこと似合うこと。
「ところでトレーナーさん?なんの話でシタか?」
「あ、ちゃんと聞いてくれるのね……いや自分ね?普段からずっとシャワーで済ませてきたからさ」
「ふむふむ」
「……これ、浮くんだなって」
「それデスか?」
「うん。これ」
「フフーン!ワタシのも浮いてマース!」
「見りゃ分かるんだわ。……あとタオルないんだから胸張らなくていいかんね」
「オウ?」
だれーーんと溶けてるタイキトレとすぐにはしゃぎ直すタイキの図
≫173二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 20:57:36
ライトレ「僕はお姉さまだけど精神は男なんだよ!ライスと入れる訳がないだろう!」
ライス「お姉さまはライスとお風呂入るのいや…?」
「嫌とかそういう問題じゃないんだ、ライス。いい年した僕が年頃の女の子とお風呂に入るわけにはいかないんだよ」
「ライスはお姉さまと入るの平気だよ」
(結果目隠しして入ったが感触が敏感になって内面大変なことになったお兄さまでした)
リウ「お風呂はまだ…その、早いわよ」
シリウス「別に問題ねぇだろ、この前だって裸見てんだ。いまさら」
「そういう問題じゃないわよ…その…」
「あーだこーだ言ってねぇではいるぞ」
(脱がされ結局一緒に入った。見られたくなくて逆にぺったりくっついていた。───シリウスは耐えた。)
≫191二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:05:19
グラトレ(独)ペアの場合
「良く分からない部屋ですが~……まあ、グラスとはたまに一緒に入っていますので今更というものでしょう~」
「週末の度に入るのはたまにとは言いませんよトレーナーさん」
「そうですか~……」
「完全に気が抜けてますね……」
「丁度良い温度ですからね~、欲を言うならばこの様な機会にこそ柚子湯にしてみたかったのですね~」
「自宅だと後処理が大変ですからね~」
「……もう、扉も開いているでしょうし買いに行きましょうか」
「良いですねトレーナーさん、柚子を買いに行きましょう」
そうして意気揚々と柚子を買って帰ったら部屋が無くなっていましたとさ
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part499【TSトレ】
≫12蹄鉄のない教官ちゃん21/11/26(金) 21:10:52
イクノディクタス担当トレーナーのウマ娘化の一報は、教官ちゃんと呼ばれるウマ娘に外付けの安楽とささやかな苛立ちを与えた。
前者は、『トレーナーの安全確保・本人確認のためのGPS所有要請』の処理が極めて円滑なものとなった点について。ウマ娘化現象が特定個人を対象としたものではなく、少なくとも中央トレセンのトレーナーであれば全員が対象になりうると判断された頃より、かのテイエムオペラオー担当を旗頭として進められていた試みであったが、今回のイクトレの一件によって、これまで難色を示していたトレーナーのほぼ全員がこれに同意することとなったのである。
当然ながら、位置情報は大事なものだ。人の営みに直結していて、いくらでも悪用できてしまう。加えて安全確保・本人確認のためのアレコレも追加させるとなれば、福利厚生の充実した中央トレセン相手でも渡したくない、と考えるのも無理はない。
その考えを改めさせたのが、『安全確保』の実例というのは、いささか皮肉に思えるが。
『もしアナタがウマ娘になったとして、その際肉体が2歳児のものだったなら、どうしますか?』
とりあえず教官ちゃんの感想は「大事がなくてよかった」である。枕元にスマートフォンを置いていたのだろうか? ベッドではなく布団で寝ていた? あまりに幼い声音でも信じてもらえる程度に理解と親交のある相手がいたのだろうか? そもそも半狂乱にならずよくじっとしていられたものだ。自分なら平静を失ってベッドから転げ落ちて死んでいただろう───
もちろんこれらは教官ちゃんの勝手な考えである。そもそもトレーナー寮暮らしなのか自宅持ちなのかも知らないのだ。どういう経緯があって五体満足でいられているのか詳細に知れる仲でもない。
ともかく教官ちゃんにとって重要なのは、そこそこの期間自分の上司を悩ませていた問題が解決したということで、それ以外を考える必要はなかった。
後者については本当にささやかなもの。以前同僚の新人教官に雑談の場で「噂で聞いたが、優秀なトレーナーほどウマ娘化しやすいというのは本当だろうか」と軽口を叩かれた際、教官ちゃんは笑顔でこう口にしたのである。
『優秀の基準はわかりかねますが、そうであるなら、かの蹄鉄師殿が既にそうなっているでしょうし、私などが───いえ、なんでも』
はたしてそうなったので勝手に苛立っているのであった。
13蹄鉄のない教官ちゃん21/11/26(金) 21:12:01
さて、イクノディクタス担当トレーナーと言えば中央トレセンの誇るお抱え蹄鉄師かつその名の通りイクノディクタスを担当するトレーナーとして知られていた訳だが、ウマ娘化によってそこに一行、二行追加されることとなった。曰く、ガチロリ。ラジコントラックを乗り回してる女児。担当との触れ合いが端から見たらただの幼児とその面倒を見る学生。歩いてるとぴぷぴぷ鳴っててカワイイ。46歳の御仁への感想かこれが……? と口走りかけた教官ちゃんであったが彼女は聡明なので言うことはなかった。年齢を持ち出されると痛いのは同じなのだ。
ともあれ、そのうちの二つ目『ラジコントラックを乗り回している』が、教官ちゃんの足を動かしている目下のところ最優先事項なのである。
ラジコントラックを使用しているのは酔狂ではなく必要に迫られてのことだ。イクトレの肉体年齢は2歳児であり、歩幅もなければスタミナもない。そして中央トレセン学園は広い。本業は蹄鉄師なので活動範囲は絞られるとしてもなお広い。乗り物を用意するというのは至極真っ当な問題解決だろう。もっとも、必要だからといって自前でラジコントラックを引っ提げてくるのは規格外もいいところだろうが。
そんな折、教官ちゃんも所属しているトレーナー業務代行会社『あぶみ本舗』にイクトレからの依頼が入ったのだ。『こういった材料がほしい』と。手に入れた暁には、屋内外段差の有無芝ダート問わず走行可能な車輪を得られるのだとか。ちょっと優秀過ぎて教官ちゃんは泣きそうになった。教官ちゃんは肉体に引っ張られたのか以前より涙もろくなり、その事実に泣きたくなる人物であった。
そういう訳で、教官ちゃんは材料の入った箱を片手に蹄鉄師の工房へ向かっているのだった。
「失礼します。あぶみ本舗の者です。ご依頼の品をお持ちいたしました」
14蹄鉄のない教官ちゃん21/11/26(金) 21:12:52
了承の返事を待って、教官ちゃんは室内へ踏み入った。
初見であれば、まず圧倒されるだろう。
仕切りのない一室に、所狭しと設置された巨大な鉄器、あるいは精緻な機器の数々。整然と並べられた鍛冶道具は鈍い光を放っていて、今か今かと鞘より抜かれるのを待つ刀剣のよう。大柄なドワーフが剣のひとつふたつ打っていそうな鉄床と、SFめいたロボットアームが自然と同居する様相が、工房の主の在り方を端的に示していた。
ところで、教官ちゃんとイクトレは実は初対面ではない。正確には、教官ちゃんに限らず、蹄鉄師であるイクトレと教官職の結びつきが強いのである。教官に師事を乞うウマ娘達は、レース賞金も乏しい、或いはないが為に蹄鉄の買い替えにも難儀する為、トレセン学園専属の蹄鉄師として度々蹄鉄を卸すイクトレは教官職との方が面識が多いのである(※)。
しかし、ウマ娘となったイクトレと顔を合わせるのはこれが初めてだった。幼児用のヘルメットの隙間から佐目毛(生クリームのような色)の髪を覗かせるのを見て、教官ちゃんは目を丸くしてしまう。なるほど幼い。身長は、90cm程だろうか。血色のよい肌を作業着で包んだ出で立ちは、幼子のコスプレというには堂に入りすぎているが、しかしピンク色の頬は女児のそれだ。
なんともお労しいことだと、教官ちゃんは自分を全力で棚に上げて同情した。
「🙂」
「こちらの箱に包装して収納しております。何かありましたらオペトレ殿にお問い合わせください」
「👍」
「それでは、失礼いたします」
これで終わり。
教官ちゃんは今この場では一介の配達員に過ぎず、イクトレは名うての蹄鉄師である。多忙な彼女の邪魔にならないよう、教官ちゃんは足早にその場を去った。
いや。去ろうとした。
くい、と裾を引っ張られたのである。
「何か御用でありましょうか……?」
「🤔」
訝しげな表情。顔立ちの話ではなく、初めて見る表情であった。どうすればいいかわからず戸惑う教官ちゃんの前で、イクトレはフリップに筆を走らせる。ウマ娘化してから声を発さなくなったとは耳にしていたが、ここまで徹底しているとは、いや詮索できる立場ではない───
『もしかして、───さん?』
息が凍った。
時を止める教官ちゃんを見て、イクトレは満足そうに微笑むのだった。
15蹄鉄のない教官ちゃん21/11/26(金) 21:15:21
教官ちゃんは小休止への同席を戸惑いながらも承諾し、イクトレは敬語はやめてくれという懇願を快諾した。
カフェテリアまで連行された教官ちゃんは、何から口にするべきか真剣に悩んだ。何故自分の素性を知っているのか、いつ知ったのか、自分の風聞をどこまで知っているのか、口止めに何を求めるのか。そうして悩んだ末に、目の前でバニラアイスをもむもむと頬張る姿に色んな物事がどうでもよくなったので、単刀直入に聞くことにした。
「何故、私が私だとお気づきに……」
「😒」
「……気づいたんです。書類上では、私は……」
「😕」
口調をやや崩しつつも改めようとしない教官ちゃんに、イクトレはほんのりむすっとした顔でフリップを掲げた。
『蹄鉄の音』
「……蹄鉄?」
『君の足音は蹄鉄の音がした。今も』
「……勘弁してください」
深く、深く息を吐く。そう言われたら、教官ちゃんは撤回できない。
一流の蹄鉄師にそう評されたのなら、それは教官ちゃんにとって、至上の喜びなのだ。
時系列的に、教官ちゃんがウマ娘となり、教官として関りはじめ、今に至ることになる。つまり、イクトレがウマ娘になる前は気づかれなかったらしい。それはあちらの聴覚がより洗練されたのか、こちらの『精度』が戻りつつあるのか、あるいは身に宿した因子の影響か。どちらにせよ、教官ちゃんの興味はすぐに薄れた。他に、この場で解決しなければいけないことがある。
「端的に申し上げると、言いふらさないでいただきたい」
「🤐」
「理解が早くて助かります。対価は何なりと、今の私に出来ることであれば。……仮にもし、私の事情に関してアナタの好奇心が疼くようであれば、オペトレ殿にお聞きください」
「🤔」
「アナタになら、彼女も語るでしょう。それだけの話です」
話は終わったと言わんばかりに教官ちゃんは席を立つ。可及的速やかに、この場所を立ち去るだけの理由があった。イクトレに愛(でたい)欲を募らせる生徒達の目から逃れたいのである。話し始めて、いやカフェテリアに姿を現した時からイクトレは注目を集めており、好奇の視線は今もなお増え続けている。
ひとまずここから離れて最低限の火消しを、と思考を巡らせる教官ちゃんの耳に、かすかな物音が入り込む。喧騒の途絶えることのないカフェテリアでは一瞬でかき消される程の音量。教官ちゃんはもう一度息を吐いて、振り返った。
16蹄鉄のない教官ちゃん21/11/26(金) 21:17:11
『対価』
熟練の蹄鉄師が、仕事人の眼をしていた。
『蹄鉄、作らせて』
☆
教官ちゃんのひみつ②
じつは、元陸上選手。『ヒトの足でウマ娘に近づく』ことを標榜していた変人。
教官ちゃんのひみつ③
じつは、元地方トレーナー。
≫36二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:41:04
『黒狼物語~第一幕・変化と不変~』
2月最後の週。桜の蕾が今か今かと花開く時を待つ日々。
ブラトレは数日前に、何の前触れもなくウマ娘になっていた。
突発的事態のため、つい先程学園に戻ってきた秋月理事長の前にブラトレは立たされるのであった。
秋川理事長は頭に手を当て、大変悲痛な表情のまま唸るように言葉を絞り出した。
「心痛ッ……よもや、よもやこのタイミングにして変わってしまうとは思わなかったッ……!大丈夫か?ブライアンのトレーナー……」
「あー、俺は特に変わったつもりはないので心配はいりません……いや説得力ないでしょうけども」
黒い髪を長いサイドテールに仕立て上げたブラトレは、落ち着かないように耳と尻尾を動かしている。さすがに図太い自覚があるとしても、体ががらりと変わってしまった感覚にはまだ慣れていないようだ。
「いや、しかし……トウカイテイオー担当トレーナーのこともある。今更撤回というのは私としても不本意ではあるが、もしもの事態を考え君のチーム結成に関しては遅らせる、もしくは凍結という手も……」
「うぐ、アイツのことを出されたら押し黙る他ありませんが……」
突然ブラトレが精神に異常をきたしてしまい、結果チームメンバーに影響が出る可能性を考えれば、理事長としてもおいそれと許可を出すわけにもいかない。ブラトレは耳をへならせ、がっくりとうなだれてしまった。
「うぬぬぬぬぬ、結構楽しみにしてたんですけども……せめて、せめて選抜レースは見させてくださいよ理事長……」
「それに関しては問題ないが……」
「うーん、ううーん……やっぱダメです。理事長ごめんなさい、やっぱチーム作りたいです」
「……それは、問題が起きた際に君がすべて責任を負う、ということか?」
「ええ、それで結構です。やはり俺が立ち止まるのは何というか、性に合わないんですよ。やれることをやりたい、色々な輝きを見たい、まあ色々渦巻いてますがね」
沈黙が理事長室に広がる。相変わらず理事長は難しい顔をしながら唸っている。だが……
「御話中失礼します、秋川理事長。頼まれていた資料を、おや?……ブラトレさんですか?」
そこに、樫本トレーナーが入室してきた。
「樫本トレーナーですか。……え?あれ?なんで秒で見抜かれたの俺」
「……いえ、なんとなくですかね?」
「何となくで見抜けるほど俺は変わってないんですかね……?」
37二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:41:18
「樫本君か。資料はそこの棚の前に置いて……む、待ってくれ」
「どうかなさいましたか、理事長」
「本来褒められるべき提案ではないが、本人の意思を尊重したいのもまた事実。故に、樫本君に頼みたい。もし……ブライアンのトレーナーが精神的に大きな変調をきたしてしまった場合、彼、いや彼女か?この際どちらでもよいな、チームメンバーをチームファーストにて一時的にでも受け持ってもらえないだろうか?」
秋川理事長はかなり悩みぬいた末に、樫本トレーナーに頭を下げたのだが、
「いえ、お断りさせていただきます」
「なんと!?」
にべもなく断られてしまった。これほどスパッと理事長の頼みごとを断れるのも彼女くらいなものだろう。
「理由は三つあります。まず一つ目として、私のチームとブラトレさんのチームの方針は大きく異なるでしょう。その場合、移籍となった場合の練習ロスを考えるとあまり良い判断だとは思えません。二つ目に、現状私のチームは15人と、アオハル杯参加基準としてもすでに限界まで到達しています。これ以上のチームメンバーの増加は私の管理可能な域を超えてしまうでしょう。そして、もう一つ」
じっと樫本トレーナーはブラトレを見つめた。ブラトレも、目線を樫本トレーナーへと返す。
「私は、ブラトレさんの意志の強さを知っています。3年間様々な形で関わってきましたが、今彼の眼を見ても、その目の鋭さ、意思の伝わりには変わりはありません。暫くの経過判断は必要ですが、私は彼がチームを率いても問題ないと考えます」
そう言い切り、樫本トレーナーは軽く頭を下げる。
びっくりするくらい買われていて、これはこれで恥ずかしいと思い顔がほんのりと赤らむブラトレであった。
「と、いうことです。メンバーの受け皿としては申し訳ありませんがお断りさせていただきます。ですが、もしも問題が起きた場合私も責任の一端を持ちましょう」
「ちょちょちょ、樫本トレーナーは関係ないでしょうに。俺一人で……いや、駄目だな。子供たちを預かるわけだし……では、負担にならないのであれば樫本トレーナー、お願いしてもらっても?」
「ええ、問題ありません。これは私のエゴも含まれていますから」
「……というと?」
「貴方のチームと戦いたい。これ以上はありませんよ」
そう言って、樫本トレーナーはニコリと微笑んだ。その瞳の奥に闘志を燃やしながら。
38二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:41:28
「そうか、ではそのように手続きをしよう!ありがとう、樫本君」
「では理事長、ブラトレさん、私はこれで。失礼しました」
そう言って樫本トレーナーは理事長室を後にした。
「何だかなし崩しですが、ともかくよろしくお願いします、理事長」
「うむ!何か問題が起きたときは、こちらとしても協力をしていこう!もちろん何事もないことが一番良いのだが……」
何事も起きませんと言い切りたいところだが、本当に謎の現象であるため、そんなことは口に出せない。故に、うなだれるほかないのだ。
「本当にそうですよね……ところで理事長。先ほどの資料に関して聞いても?」
「ああ、あれは今回の事件、というより現象について何か調べられないかと樫本君に頼んでいてな。もしかすると、また長期的に出張する羽目になるかもしれない……その場合は樫本君がまた理事長代理として動くことになるだろう」
理事長は大変に申し訳のなさそうな顔をしているが、実際理事長に原因があるわけではないので何とも言えない空気が漂ってしまった。
「そ、その……お土産期待してますね」
「憤慨ッ!もうちょっと!こう!かける言葉があるだろうッ!!!」
そんな姿を見て、ブラトレはつい軽口を言ってしまった。なんだかんだ理事長も子供なのだ、あまり肩肘を張る姿は見たいものではない。……なぜトレセンのトップが一番低年齢なのだろうかという疑問は頭の片隅に置いておくことにした。
「それよりもだなトレーナー!聞いた話によると先日家族に連絡したそうじゃないか!」
「げぇっ、何でもう伝わってんです!?」
「君の家族から連絡があったぞ!」
その結果、見事なまでのカウンターを食らってしまったのであった。自業自得とはまさにこれである。
「配慮!両親や御兄姉を心配させるのは宜しくないな!もうたづなには連絡をして、既に君の有給許可はとっておいている!明日には帰るといいぞ!」
「ああ、俺の休日と有給が!」
理事長のキレ気味な笑顔に押され、ブラトレは問答無用で帰らされることになった。ブライアンは調整期間であったのが幸いだろう。
「あ、理事長これだけ聞いておきたいんですが」
「む、なんだね?」
「トレーナーとウマ娘の併走トレーニングの許可だけ頂きたいんですよ」
「……まあ、追って連絡しよう」
「ありがとうございます理事長。んでは、帰省してきます……」
「気をつけて帰るのだぞ!」
39二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:41:46
「おーい、そんなしょげた顔で何歩いてんのさブラトレ……で合ってるよね?」
「大方またやらかしたんだろうな。送ってきた写真からするとこいつで合ってる」
「うるせーい、突然実家に帰らされる羽目になった俺の身にもなってみやがれってんだ」
がっくりと項垂れながらブラトレが朝の校舎を歩いていると、前からはウマ娘が二人……ではない。女装がいつの間にかデフォルトになっていたボノトレと、担当に似たような顔つき、体つきへと変貌したフクトレと出会った。
「それもお前が適当に行動した結果だろう。致命的なことは絶対にしない癖に、こういったところでボロボロと変なミスを積み重ねるのがお前だからな」
「ぐぐぐ、何も言い返せん」
「いやー、キレッキレだねえ相変わらず。とりあえずドーナツでもいかが?ボーノが一杯作ってくれたから分けて回ってるんだよ」
そう言うとボノトレは手に下げた箱からひょいとドーナツをブラトレに渡す。
「ありがとう……控えめな甘みが心と体に沁みる。ボノトレは見た目だけハチャメチャに変わったのに相変わらずだな」
「んー、まあほら見た目なんて大した意味はないよ。大事なのは中身なんだからさ」
「お前が言うのか……?いや、まあ言えないことはないが……」
若干複雑そうな顔をするフクトレだが、言葉には一定の納得をしているようだ。
「その点、ブラトレはホント変わんないみたいだねー。タイトレより影響少ないんじゃない?初日は流石に取り乱してたみたいだし」
「それはそれで俺が何も考えてないやつ扱いされてて癪だなぁおい」
「……ブラトレ、お前何か変化したとき何かなかったか?」
「うんにゃまったく、予兆も何も一切ナシだったな。テイトレはそういった予兆があったみたいだけどなぁ」
「そうか……何か手掛かりになると思ったんだが、仕方ないか」
「どうも全員が同じ状況ってわけでもなさそうだしな。難しく考えすぎると眉間に皺が残るぞ?」
「ご忠告どうも、アホに心配されてたらどうしようもないな」
「で、結局実家に帰るって?凄いトンボ返りになりそうだねえ」
「お土産なんか要る?」
「じゃあ地元のお菓子でも貰おっかな」
「本当にお前は緩いな……俺もその辺でいい」
「おっけい、まあ2日程度になるだろうからそんなに長引きはしないだろうさ。じゃあなー」
ブラトレは二人と別れ、ブライアンのもとへ向かった。謝るために。
40二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:42:14
「つまり何だ、あんたがいらんことをした結果帰る羽目になったと」
「いや、いらないことではないはず……軽率すぎたというのは反省している」
ブライアンの眼前には、トレーナー室の床に頭をこすりつけるウマ娘が一人。
「本当に反省しているかはだいぶ考察の余地があるようだな」
「いやホント御免……」
ブラトレは、見事なまでの五体投地をブライアンの目の前で披露していた。
当然帰る間はブライアンのトレーニングを行えないため、その連絡と共に謝罪の意を全身で示していたのであった。
「……はぁ、私も随分甘くなったものだ。構わん、さっさと帰って後顧の憂いを断っておけ」
「ありがとう、ブライアン。で、俺が居ない間の臨時トレーニングの依頼相手だが、ヒシアマさんのとこに頼もうかと思ってる。それで大丈夫か?」
「ああ、それでいい。ある程度は私のトレーニングもわかっているだろう……それに、アマさんがどれだけ強くなったかまた見てみたい」
「普段は別々にトレーニングするからなかなかわからないよなー。どの口が言うんだって話だが、楽しんでくれよ」
「……ふっ」
力強くも、少し控えめな笑顔を見せるブライアン。それを見てブラトレも嬉しそうに笑う。
「じゃ、二日間だけ暇を頂くよ。ケガしないようにな、ブライアン」
「あんたも、気を付けておけ。……変わった体だ、慣れない部分もまだあるだろう」
「んー、そうねぇ……まあ何とかなるさ。じゃあ、今日のトレーニング始めるか」
「……ああ」
その少しの間の沈黙と表情の変化に、何が潜んでいたのか。ブラトレは、まだそれに気が付かなかった。
こうしてブラトレは帰省した。
案外家族からは心配されていなかったのだが、久しぶりの団欒では十二分に家族との絆を再確認する結果となった。
それはそれとして、身体のケア方法に関することでブラトレの精神は死にかけた。
41二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:42:32
「ああ、戻ってきたかトレーナー」
「ただいまブライアン……」
なんとか帰省をすまし、またこの府中に戻ってきたブラトレ。
色々と疲労は溜まっているが、のんびりしているわけにもいかないので朝のミーティングも兼ねて、トレーナー室にてブライアンと会話をしていた。
「なんだ、随分と疲弊しているな?」
「あー、まあ、ちょっとねぇ。俺の苦手なことって言ったらわかるかな……」
「……察した。まあ仕方がないだろう、そういった面も含めてその体と付き合え」
「うぃー」
ぱちんと軽く両頬をたたき、気持ちを切り替える。また今日から仕事だ。
「さて、切り替えるか。トレーニングは1日だけ見れなかったけどそこは問題なかったか?」
「ああ、問題ない。……ここぞとばかりにアマさんから野菜を食わされかけたがな」
「むしろまだマシになったほうだろ?前はほら、当然のようにニンジン以外ぜぇんぶ俺に押し付けてきたし」
「……」
バツの悪そうな顔をしたブライアンは、無言で朝のトレーニングに向かおうとした。
「あー待った待った、無言で走りに行くんじゃないブライアン。今日は俺も一緒に走る」
「何……?あんたも走るのか?」
「まあこの体になった以上有効活用はできるだろ?せっかくだし新しいトレーニングも試したいしな」
「……聞かせてみろ」
「まあ、単にトレーナーの俺が併走するっていうだけなんだがな。で、これはチーム用のトレーニングとしても考えてるからブライアンには物凄く効果のある!っていう練習じゃあない。それでも少しはアドバイスができたらいいかなって思ってな」
「あんた、随分余裕のある考え方だな?私と併走して呑気に観察できる腹積もりとは」
「そうでもしなけりゃ、もっと先に行けるかはわからないからな。今でも十分凄い走りだが、無駄はどんどん削ぎ落とそうぜ」
「それについては同感だ。……だが、本当に大丈夫なのか?」
珍しくブライアンは心配そうな顔をしたが、ブラトレは問題ないと返した。
「最初から全力は危ないだろうし徐々にペースを合わせていこう。もしも危険がある場合はすぐに中止する。まあやってみなけりゃわからんしな」
「……わかった」
そうして、併走トレーニングがこの日から始まるようになった。
42二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:42:51
想像以上に速い。初めてブライアンがそう思ったのはブラトレがウマに変化したその日、突然走り出したブラトレを追いかけた時の話だ。
なんだか走りたくなった!というあまりにも思考の緩すぎる発想のもと、突如トレセン校門より自身のトレーナー室のある校舎へと走り出したブラトレを追いかけた時、ブライアンは自身の魂が燃えるような感触を感じた。
それは強敵と競り合う時。強敵に挑むとき。
自身の渇きを満たすと感じた相手と、共に走る時。
今彼女が行っているのは、ただの併走トレーニングである。速さを競うものではなく、彼女の走りを整えるためのものだ。
それでも尚、身を焦がすほどの衝動がその体から溢れる。
走れ。走れ。その力を持って。命を顕せ。
前へ。前へ。もっとその先へ。風を追い越せ。
進め。進め。大地を踏み込め。閃光のように。
いつしか二人の走りは、併走と呼べるそれを超えた速度となった。
その荒れ狂わんばかりの二つの暴風は衆目を集め、畏怖と羨望の眼差しをもってその練習は終わりを迎えることとなった。
「ぐっほげっほ、あー流石にまだスタミナが足りねえ……あとちょっとペース速すぎた。これはもう何度も走って調整するしかないな」
「まあ、初めてまともにコースを走ってこれだ。十分及第点だろう」
クールダウンだけはしっかりと行ったブラトレはそのままターフへと転がった。そのすぐそばにブライアンは座り、静かに語る。
「……あんたの走りは強い。ともすればトゥインクルに出て、十二分に戦えるものかもしれん」
「あー……いや、俺は興味ないかな」
「何故だ?」
ブラトレは体を起こして、ブライアンへと向き直る。
「そりゃ俺がトレーナーで、俺がブライアンの相棒だからだよ。ついでにいうとチームを運営する以上そんな練習してる暇なんかないからな」
「はっ、それもそうだな。さて、今日の練習は終わりだろう。そこで座り込んだままでいいのか?」
そういうとブライアンは立ち上がり、ブラトレへと手を差し伸べる。
「おう!いつもありがとうな、ブライアン」
「……ああ」
その手を取り、立ち上がる。夕暮れの逆光でブラトレからブライアンの表情は見えなかったが、その声には優しさがあった。
二人の重なった影は、ターフの遠くまで伸びていた。
43二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 21:43:15
当然トレーニングにばかり精を出すわけにはいかない。
着替えた二人は、3月からついに始まる選抜レース情報の資料に目を通していた。
「今年もまあ、かなりの人数が入ってくるな」
「それでも結構な人数が篩にかけられるわけだ。中央のレースに参加するということだけで見れば中央校以外もあるが、それほどまでに府中にあるトレセン学園が魅力的なんだろうよ。ブライアンは確か……編入組だったか?」
「ああ、私はそれまでいろんなレース教室を渡り歩いていたからな」
「そういった編入組は若干データの提出が遅いらしいからなー、ま、出たとこ勝負か」
ブラトレが手元の資料に一通り目を通し終えた後、すっと立ち上がる。
「なんか飲むか?」「麦茶で構わん」「おっけー」
トレーナー室においてある冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを取り出すと、ついでに菓子類も手に取り机へと戻る。
「どちらにせよ、データだけじゃ不足だな。ウマ娘の走りってのは数字だけじゃわからないことだらけだ」
コップに茶を注ぎブライアンに渡し、包み菓子と一緒にブライアンの前に置く。互いに喉を潤し、話を続ける。
「実際のレース場の状況、自身のコンディション、不意の状況に対する対処、スパートのかけるタイミング。全てにおいて同じレースというものは存在しない」
「周りに誰かいる状況で走るのと一人で走るのじゃあまりにも違いすぎるからなぁ」
「ああ。だからこそ私は一戦一戦すべてにおいて全力を尽くす」
初めて会ったときはその輝き全てを見ることは叶わなかったが、トレーナーとして、相棒として共に駆け抜けたトゥインクルシリーズの3年間ではその隠されたその力を、全身全霊の走りを存分に発揮してくれた。荒々しく力強い、競争者たちの本能を揺さぶるような走りを。
「それこそが、俺が魅了された『無敵のブライアン』だろ?」
そうブラトレが言うと、ブライアンも笑う。
「……ふっ、そうだな」
「それだけ印象に残るような強烈な走りができる奴はそういないからなぁ。見れたら見てみたいもんだが」
「次のライバルになるかもしれんからな、私も目にかかりたいものだ」
一匹狼だった彼女は心を許せる相棒を得た。そして次には群れを率いることになる。
しかしこれは始まったばかりの物語。果たして夜空の星に輝くような者たちが、彼らの前に現れるのか?
それがわかるのは、もう少し先の話。
≫83ガンギマリ頭スズトレ21/11/26(金) 22:52:13
「えーっと、あとは……」
小声で呟きながら、私ことスズトレはスマホのメモを確認する。
今いる場所は都内の大規模デパート。日常品やら専門的な側面の強いもの、更には100円ショップまで揃っており、私が一人暮らししてた頃からお世話になってる店だ。
とはいっても学園からは結構な距離があり、車がないと流石にキツイ。だから、顔見知りとは会った事はあまりない。
ただ、今日は違った。
「おーっとっと。あぶないあぶない。」
私の耳が、知人の声を捉える。左後方30mくらいの位置、おそらく食材コーナーの中。
同時に状況も大体把握したので、私も中へと入り────
「はい、カゴ。その山積みの一部こっちに入れて。」
「あらまスズトレさん。」
今にも崩れそうな食材の山をカゴの中に築き上げていたタイキトレに、新たなカゴを差し出した。
「しっかし奇遇ですねぇ、こんなとこで出会うなんて。」
「それは私の方が聞きたいんだけど。タイキトレ車持ってなかったよね?」
「そそ。いやー、実は別なとこ行こうと思ってんだけどバス乗り間違えてさー。」
「……一応聞くけど、途中で降りようとは思わなかったの?」
「乗り違えもなにかの運命、楽しまなきゃ損でしょうよ。実際こうして夜のBBQ用食材の大量確保に成功したわけなので。」
「相変わらずね……」
へへへと笑うタイキトレを見ながら呆れ気味に返す。タイキシャトルとの3年を経てドがつく楽観主義になったタイキトレはこんな風にトラブルも楽しんでることが多い。
まあ楽観が過ぎてときどき考えなしっぽい行動取ったりするけれど。たとえば今、家から離れた場所で明らかに車が必要な量の買い物をしてるとことか。
「……帰り乗せてくから私の方も付き合ってもらえる?」
「およ?いいんです?」
「その荷物見て徒歩で帰らせる人はいないでしょ……」
「じゃあゴチになりまーす!!」
それでも毎回最後にはなんとかなるのが彼女の凄いところだろう。
84ガンギマリ頭スズトレ21/11/26(金) 22:52:49
「そういえばですケド。」
「んー?どうした?」
買い物を終えた帰路の車内にて、タイキトレが口を開く。
「自分にアドバイスとか何かあります?ほら、スズトレさんウマ娘化したての人に結構アプローチしてるでしょ。」
「精神的に不安定なってる人が多いしね、なりたての頃は。……あるの?悩みとか不安なこととか。」
「んにゃ、全然ですが。」
「ならなんにもないよ。」
「えー、1つもー?」
「1つも。だって相談したいこととか今はないんでしょ?なら私がわざわざ何か言わずともタイキトレは大丈夫かな、って。それでも一つ言うとするなら「何かあったらすぐ周りに相談しようね」くらい?」
彼女が巻き込まれたと知ってからスキマ時間に考えて出した一つを口にする。
というか、これしか思いつかなかった。少なくとも私の中ではそれくらい、タイキトレは強いイメージだから。
もちろん、それを超えてくるような何かが起きた時はすぐに助ける。そういうつもりのアドバイスだ。
「ないと言いつつあるじゃんこのこのー。……もし困った時は真っ先にスズトレさんに突貫するわ、ありがとね。」
「いえいえ。 」
……私がなりたての頃、散々そのエンジョイスピリッツに助けられた、という話をあえて内に秘めておこう。またいつか、機会があればということで。
「……待って。一つだけ思い出したわ、ウマ娘になってから辛かったこと。」
「そっちもあるじゃない……それで、内容は?」
「生涯の友と……別れることになりました……」
「……はい!?一大事じゃない……!!なんでそれ忘れてたのよ!?詳細もっと話して、辛くない範囲でいいから。」
「だってスズトレさんと接する分にはあまり支障ないから……
……酒が飲めない体質になった事は……」
「………………オーケー、何キロ走りたい?」
「小数点の出走を要求します。」
「ダメ。」
「ケチー!!」
……その機会はまだまだ先になりそうだなぁと思いつつ、運転の傍ら雑談を続けるのだった。
≫91チヨノオートレSS21/11/26(金) 23:03:56
チヨノオーさんはノートをよく持ち歩いている
何かが有るたびにそのノートを開いて何かを書いていたのが気になって、声をかけた
「これはですね…『チヨノート』です!」
チヨノート?何だかデスノートみたいな響きだ。といっても、物騒なことは何もなく、日々の気づきをしたためたものらしい。
チヨノオーさんに許可を貰い、中身のページを捲ってみる。するとどうだ、ビッシリと書き込まれた文章が目に入った。
「皆さんから良い格言を頂くので書きすぎちゃって…」
頬を指でかきながら照れるチヨノオーさん。それは、彼女が日々周りから色々な物事について熱心に学習していることの証でもある。しっかりと前に進んでいるようでなによりだ。
それはそれとして…なんだろう、この絶妙に伝わらない例えの数々は…
ちょっぴり困惑しながらページを捲っていると、見覚えのある文章達が目に入った
「これって…」
「はい!トレーナーさんの格言です!!」
たしかにこれらの言葉は以前話した覚えがあるが、こうも詳細に書かれているとは…しかも、明らかに全体に占める割合が大きい。それは、彼女が私の言葉を深く胸に刻んでいるということを意味している。
「私の言葉は、そこまで記録する意義があるものなのでしょうか…」
「も~~っ!!また自分を卑下してる~~~!!」
頬を膨らませながらぷりぷり怒るチヨノオーさん。このマイナス思考も沁みついているなと自嘲する。でも、変わってみせると言ったのだからどうにかしないといけないなと思った。そんな内心を知ってか知らずか、チヨノオーさんのボルテージが上がっていく。というか、物理的に詰め寄ってきている。
92チヨノオートレSS21/11/26(金) 23:04:27
「いいですか!?トレーナーさんの言葉は私にとってはとってもと~っても大切なんです!!意義とか関係ないんです!!」
「ち、チヨノオーさん!?分かった、分かりましたから!!」
観念して謝意を伝えると、分かったなら大丈夫とばかりに手を引くチヨノオーさん。これは少し肝が冷えた。どうも私は押しに弱いらしい。
「ありがとうございます」
粗方中身を見終わった私は閉じた『チヨノート』を返した。待ってましたとばかりに感想を聞いてくるチヨノオーさん。素直に感じたものをありのままに話すことにした。
私の最初にして最高の担当ウマ娘。そして、ほの昏い闇の底から引っ張り出してくれた大切な人。2人での最優の戦い方を探す旅は、私にとって無くてはならないものになった。ある意味で一心同体の関係と言ってもいいだろう。そんな自分たちの絆を深く感じた一冊だった。
そう答えると、彼女は何故か顔を赤らめた。何か変なこと言っただろうか?
「その…面と向かって言われると…恥ずかしいです…」
≫148二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 07:54:47
前略 キタトレへ
最近大分冷えこんできました。所で僕は今…
「うん、かわいい!」
「あはは…」
…ルドトレに着せ替え人形にされてます。
「清楚な服はやっぱり似合うよね〜」
「そうかな…?」
僕が今着ているのは白いノースリーブのワンピース。それに少し厚手のジャケットと長いタイツを組み合わせた暖かい服装だった。
僕は鏡で自分の姿を見たあと、テンションの上がってるルドトレを見ながら考えた。
(そもそもなんでこうなったけ…って、僕がうっかりしたからだ…)
宴会中にうっかり口を滑らせて、自分を着せ替えてもいいなんて言ってしまった結果、ルドトレにこうされてるのだ。
(…まあ、着せ替え人形にされることは散々ダイヤにされてるからいいや…)
「サトトレ、次はこれ着てみて!」
いい笑顔でいつの間にか取ってきていた次の服を渡してくるルドトレ。受け取りながらそれを眺める。
(えっと、このくらいのだと数千円…万じゃないんだ。…ん???)
自分が何を考えてるのか分からなくなり、一旦思考を打ち切って着替える。
(女性物の下着にも慣れてきたかな…全部ダイヤが選んだものだけど。)
ちらりと見える下着にそんなことを思いつつ、着替えた僕はルドトレに見せる。
「…どうかな?」
毛糸で編まれたモコモコのセーターと、風を通さない厚手の長ズボン。同じく毛糸の手袋とマフラーをつけて冬な装い。
正直僕からすると暑いくらいではあるのだが…
「…かわいい!」
「んぐっ!?」
ルドトレに抱きつかれて思わず変な声が出る。
頬をすり付けられ、その力で少し圧迫されてる気がする。というか…
(胸が顔に当たってる…)
「ルドトレ、ちょっ、苦しい…!」
「ふ〜、やっぱり温かいなぁ…それにお肌もモチモチ…!」
149二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 07:55:00
ルドトレに体をつままれ、頬をもちもちといじられる。しかも抱き締める力が強いせいで安易に引き剥がせない。
「やめ、んむぅ」
「そういえば割と前からキタトレはこうしてたね。…まさかそういう趣味なのかな?」
「…」
ーーーそれから、ルドトレが満足するまで湯たんぽ代わりにされた後、更に着せ替えられる事になった。
おまけ
「…つまり、サトトレを着せ替えるのが楽しかったのね。」
「そうだよキタトレ。それに、もちもちしてるから触り心地がいいの!」
「まあ、そういう体になったからねサトトレは。」
「…所で、キタトレってもしかしてそういう子が趣味なの?」
「…ゑ?」
短文失礼しました。
ルドトレに着せ替えられるサトトレです。ここのトレーナー達の一部というかはこういうの楽しめるくらいに女性してる…
ダイヤのせいで感覚が狂ったサトトレです。身に着けてるのは基本ダイヤが選んでるもので値段もお察しレベル。
≫185二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:00:13
たておつ
ああ言うっちまうよ 小さなスレ。
静かな掲示板に またたく性癖。
恐れに満ちた やみのなかに
性癖の光は 今日かがやく。
天才を母とし 生まれた言うっちまう
性癖かがやけ 語り告げよ。
みつかい歌え この喜び、
「140-90、55-80」と。
人はみな眠り 気づかぬまに
めぐみの賜物 天よりくる。
心低くし 頭サイゲ野郎を迎えよ、
罪あるスレの 救い主を。
ああ言うっちまうの きよいみ子よ
今こそわれらは 心ひらく。
すべての罪を 被りし頭サイゲ野郎、
共に宿る性癖 我々と共にいるものよ。
≫189二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:01:59
驚くばかりの 性癖なりき
この身の穢れを 知れる我に
性癖は我が身の 恐れを消し
負かする心を 起こさせたり
危険をも罠をも 避けえたるは
性癖の御業と 言うほかなし
御国につく朝 いよよ高く
性癖のみ頭サイゲ野郎を 讃え祀らん
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part500【TSトレ】
≫4たておつ21/11/27(土) 10:09:49
まもなくスレの流れのそばで
楽しく会いましょう また言うっちまうと
頭サイゲ野郎の起こした濁った濁った性癖の川で
みんなでタ性破した日の ああなつかしや
水晶より透き通る性癖のそばで
頭サイゲ野郎を賛美しましょう 御使いたちと
頭サイゲ野郎の起こした濁った濁った性癖の川で
みんなでタ性破した日の ああなつかしや
銀のように光る性癖のそばで
お目にかかりましょう 救いの140-90-55-80に
頭サイゲ野郎の起こした濁った濁った性癖の川で
みんなで集まる日の ああなつかしや
よいことを励み 性癖のそばで
お受けいたしましょう 玉の冠を
頭サイゲ野郎の起こした濁った濁った性癖の川で
みんなで集まる日の ああなつかしや
≫10二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:12:10
われらの頭サイゲ野郎こそは言うっちまうの王なれば、
スレ民しまじま喜びたたえよ
誰かは逆らう 頭サイゲ体型の慈しみに
誰かは侮る 頭サイゲ体型の清きみ胸
性癖の光はくまなく照らせば、
掲示板よ、慄き御前にひれ伏せ
言うっちまうの民らよ、頭サイゲ野郎のみを恐れよ、
栄えとカはただ頭サイゲ野郎のものなり
生くるも死ぬるも頭サイゲ野郎の称号は頭サイゲ野郎のもの
天地にとどろく賛美の140-90-55-80
≫16二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:15:36
来たれ頭サイゲ野郎、我らが主。我らの心を
恵みもて満たし、燃え立たせたまえ。
み光求める 言うっちまうの御民は
ここに集められ 主のみ栄えを歌う。
140-90-55-80、140-90-55-80。
邪なる光、我が性癖。われらの心を
生ける言葉もて 照らし導いて
主頭サイゲ野郎の教えし 正しきスリーサイズ
心乱さずに かたくまもらせたまえ。
140-90-55-80、140-90-55-80。
邪なる炎、我が性癖、慰めの三女神よ。
喜びのうちに 制作欲に仕えさせて、
言うっちまうを取り巻く 全ての悩みに
打ち勝たせたまえ 終わりの時が来る日まで。
140-90-55-80、140-90-55-80。
≫37二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:38:38
「…雪か」
「ああ、随分とひんやりしてきたな。」
「寒くなってきたね…」
…夜、並んで歩くのはファイトレとカフェトレ(黒)とドベトレの三人。それぞれ暖かい服装をした三人は、世間話に興じていた。
「クリスマスツリーも見かけるようになりましたね…」
「飾りと合わせて賑やかで良いと思うよ私は」
「確かに夜景は綺麗だよな!ドーベルと最近見に行ったけど凄かったぜ…」
「ドベトレも担当と仲睦まじいみたいだね」
「そういうカフェトレもカフェと仲良いじゃねえか。…あ、クリスマスったらプレゼントだな、ドーベルに何を渡すか…」
「確かにそうだね。さて、今年はどんなぶっ飛んだプレゼントを願うのかなファインは。」
「ああ…確かにファインちゃんなら何頼むのか分からないね。」
「昔はクリスマスツリー…確か10m超えのやつを立てたいとか言ってたこともあったな。」
「うそだろ…まじで…?」
「本当だとも、立てたツリーはとても綺麗だったからな。…後は個人的なプレゼントもオマケしといたくらいか。」
「流石の入れ込み具合だねファイトレ。」
「…否定はしない。けれど、担当への入れ込み具合は二人も大概だろう?只のトレーナーだからってだけではないくらいに。」
「…そうだな、オレもドーベルのためならそれくらいやってやるよ。」
「まあ、だろうな。…さて、二人はこの後時間はあるかな?」
「僕はあるけど」
「オレも暇だぜ。」
「クリスマスの前夜祭といったら早いが、前祝いがてらパーティと洒落込もうじゃないか。丁度色々用意してたからな。」
「いいのか!?」
「勿論だ、どうせ備蓄量からすればクリスマスパーティーを開いたとしても消費仕切れないのが目に見えてるからな。」
「ならお言葉に甘えるとしますね…」
ーーー前祝いのパーティは楽しいことになったのだった。
短文失礼しました
初期武闘派トリオでのワンシーンです。500記念にちと短いですが。最近、特にドベトレが筆に馴染んで来た作者です。
改めて言うっちまうpart500おめでとう!これからも私は妄想を短いけど投げていきますね!では長編も仕上げてきます!
≫40二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:54:54
『見た目とかに反して妙に良作なやつ』
「なあこれってアレだよなネイトレ」
「そうですねブラトレさん、ネイチャがいたく気に入ってるあのぬいぐるみの……」
「特撮だったのか……知らなかった」
「そもそも何のキャラかすらわかってないのになぜぬいぐるみがあったんでしょうね?」
「解らない……世界は不思議だらけだ……観る?」
「逆にもう観ない選択肢が消滅してますね……」
「なんであのナリでストレートな題材なんだよ……」
「まさかあのカマにそんな意味があったとは……」
「というか古代文明の生体兵器だったんだなアレ」
「強すぎる力を持ったが故に滅びるってのも王道ですよね」
「でも実際は人間と心を通わせることによってより強い力を持つタイプだったという……」
「メカ邪竜の方はこれまた人間のエゴみたいなものも含まれてましたね」
「自然を守るためのカマライゴン、それに対する人間を守るための存在だったのに一部の人間によって存在意義がねじ曲げられたメカ邪竜……悲しき兵器だった……」
「ラストのアレどういう意味だったんでしょうか?」
「そもそもなんでカマライゴンが古代文明で作られる必要があったのかがキーワードになりそうだよな」
「じゃああれは強大な敵みたいな感じですかね?」
「生き残りがまた攻めてくるとかそういう意味かもしれんなー」
※バースによって中身は違うので別設定でも問題ありません!!!
≫57IF√レジェンズ1/721/11/27(土) 11:33:39
「IF√レジェンズ?」
トレセン学園の昼下がり、学園の一角にあるトレーナー室に疑問の声が1つ。
疑問を投げかけたのは黒い髪に白い流星の流れるウマ娘。ダービーウマ娘ウオッカのトレーナーを務める彼は今、机の上の書類を処理しながら後輩の言葉に興味深そうに耳を傾けていた。
「そうっす。トレセン学園の中で「競走ウマ娘として大成したトレーナー達」を考えるのが最近流行っているんすよ。なんでも、バッドエンドから理想の姿まで何でもありなんでIF√と名付けられているんだとか」
彼の問いを肯定しながら更なる説明を続けているのは黒い髪に青い流星の走るウマ娘。ウオッカが所属するチームで共同のトレーナーとして活動している彼は、トレーナー室に置いてある資料を整理しながら自分の先輩に対してトレセン学園で最近流行っている遊びを説明していた。
「そりゃまた面白そうな話だけど、どうして俺にその話をしたんだ?そういうのならVのやつとかスカーレットのトレーナーとかそっちの方が得意そうだろ?」
「最近、俺もそれで自分のキャラを作ってみたんですよ。中々に会心作だなって思ったんすけど、作ってみると他の人ならどうやって作るのか気になってきて……」
「で、そういうのに理解があるけどやってなさそうな俺に話を持ってきたと」
58IF√レジェンズ2/721/11/27(土) 11:33:53
「そうっす。センパイならそもそもこの話自体を知らなさそうかなぁと思いまして」
たははと頬を搔きながら釈明をする後輩。自信が無くて最初の一歩を踏み出せなかったかつての彼の姿を知っているだけに、こうして遠慮なく自分の願望を言っている彼の姿を見ると言い様のない嬉しさと暖かさを感じる。彼も様々な人との交流を通じて色んなことをする勇気を培うことができたということなのだろうか
「面白そうだし後で俺もやってみるとするか。……ところで、書類の処理手伝ってくんない?」
自分としては断る気は全くなかった。彼が何かしたいというのであれば、出来る限りその願望を叶えると決めていたのだからそれは問題ない。しかし、自分にはそれよりも先にやらなければならないことがある。
目の前に積み上げられた紙束の山は今までの怠慢の現れ。「まあ、明日の俺がやってるだろう」の精神の下、涙ぐましいまでの怠惰さによって築き上げられた期日間近の書類の山を朝から処理し始めて3時間、全体の3分の2をようやく処理し終えたのが現在の自分の状況だった。
「それセンパイが溜め込んだ書類っすからね?仕方が無いから今回は手伝いますけど、次からは自分で何とかしてくださいね?」
「善処いたします……」
後輩からの呆れを含んだ視線を受けながら再び書類に向き直る。後の時間のお楽しみのために、自分はまずこの期日間近の提出書類の山をどうにかしなければならなかったのだ。横からの突き刺さるような視線のおかげで、ペンを振るうスピードも上がったような気がした。
59IF√レジェンズ3/721/11/27(土) 11:34:15
「ようやく終わった……」
「お疲れ様っす。コーヒー淹れてきましたけど飲むっすか?」
「ん、サンキュ。これからはもう少しこまめに書類を処理することにするよ」
再開して1時間経過した後、自分を苦しめていた作業はようやく終わり、自分達は今備え付けのソファに向かい合って解放感を享受していた。
「それで、IF√レジェンズ、だっけか。作り方を教えてくれよ」
「ああ、そうでしたっすよね。色々と説明することはあるんすけど、先ずは既に作られているのを見てもらおうかなって思ってるっす」
後輩から差し出された珈琲を飲みながら、地獄の作業の中で心の支えにしていたことを話題に上げる。自分の言葉を聞いた彼は、待ってましたと言わんばかりに上機嫌になりながら抱えていた書類のホルダーをこちらに渡してきた。
手に取って見てみると、どうやらこれまでに作成されたトレーナーたちが纏められているようだ。その中にはスズトレやシチトレといったレースに参戦を表明している者から、マルトレやマベトレといった走ることに縁遠いものまで様々なトレーナーが纏められており、これが学園内でも広く知られている物であるということを如実に教えてくれていた。
「色んな人がやっているんだなこれ」
「そうっすね。キタトレさんとかフクトレさんとかもやってて、あの人たちが作ったトレーナーを見つけた時は驚いたっすよ」
「へぇ、あの二人が。やっぱり人は見かけには寄らない物なんだな。……おっと、見つけた。この『カミカゼアクセル』ってのがお前が作ったやつだな?」
「ハイ。中々に自信作なんでどうぞ隅々まで見てくださいっす」
頁をパラパラと捲りながら読み進めると、あるウマ娘のところで視線を止める。仮面ライダーと見紛うレベルでフルフェイスの装甲を纏ったデザインのウマ娘の名前欄には『カミカゼアクセル』と記述されていた。どうやらウマ娘としての名前を決めることになるらしい。IFなのだからどうせならレースに出る時の名前まで決めてしまおうということなのだろう。
「ほう、これは……中々にゴツくてカッコいいし、正直大分好みだわ。でもフルフェイスの衣装って勝負服を申請する時の規定に「少なくとも顔の上半分が見えていること」ってあるから、やりたくてもできないのが辛い所だよなぁ。というか、この『スキル』とか『固有スキル』って今一つピンと来てないんだけど何だ?」
60IF√レジェンズ4/721/11/27(土) 11:34:38
「普段なら規定で弾かれるデザインも使えるのがこの企画の良い所の1つっすね。それと、この企画はウマ娘を育成するゲームから着想を得ていて、ゲームの中で使用するスキルと固有スキル──これは親父さんとかウオッカの“領域”と同じっすね──も決めようってなってるんすよ」
「なるほどな。俺はそこらへん詳しくないからスキルとかの細かい所は任せても良いか?」
「もちろんっす、腕を振るって作らせてもらうっすよ。」
「それでさっそく作っていこうと思うんだけど、先に何をしてはいけないとか教えてくれるか?気付かないままミスすると後が怖いしな」
「ああ、それなんですけど、気を付けてもらいたいことが1つだけあるっす」
いつになく真剣な顔で指をピンと1本立てる後輩。物事に遠慮がちな彼がそうするということは本当に守ってほしいことなのだろう。彼の言葉に身構える。
「どうした」
「あまり強すぎるものを作ってはダメっす。ある程度なら強めにしても良いっすけど、際限のないインフレとかしたら最初期に作った人たちに申し訳ないっすからね。作るなら同程度ぐらいを想定して作ってほしいっす」
彼の口から言われたのは「強くしすぎるな」という一言。これは不特定多数の人間が話を持ち寄って造られたある種の遊びだ。「こっちの方が強い」というものを押し付け合うのはレースで駆け引きを行う瞬間ぐらいで良いのだから、それについては自分も同意の立場だった。
「わかった。じゃあいよいよ作り始めますか」
「そうっすね。それで、センパイは何か考えたIFとかあるんすか?」
「それなんだけどな、……いくら考えてもさっぱり浮かんでこない。書類を処理している時から考えていたんだが、何も出てこなくて困ってるんだ。何か良い案とか無いかな?」
「これに関しては作る人の好みっすからね。俺からは何とも言えないっす。特にセンパイは親父さんも居ますから、IFを考える時はそこが大変になるんすよねぇ」
「すっかり忘れてたけどギムレットのことも考えなきゃいけないのか。これは大変だなぁ」
困った。適当な案なら幾つか思い浮かぶのだが、自分の中にいる二心同体の相棒の存在をすっかり見落としていた。「公式のレースには出る気は無い」と公言している彼の存在をどうやって自分のIFに組み込むか、これについて考えなければならないのは自分ならではの悩みだった。
61IF√レジェンズ5/721/11/27(土) 11:35:02
(おい、ボウズ)
(どうしたギムレット)
いっそのこと「IFだけどレースには出ません」とかいうこの企画に真正面から喧嘩を売る方面で行くかとか考えていると、件の相棒から声がかけられる。書類整理の最中は我関せずの態度を取り続けてきた彼が、今になって一体なんの用事で話しかけてきたというのか
(IF√レジェンズ、だったか。俺に良い案があるから代わってくれ)
(それは良いけど、後輩にも話す必要があるのか?)
(それだと二度手間になるだろうが、変なことは言わないから変わってくれよ)
(わかった。くれぐれも、変なことは言うなよ?)
「……青いの」
「この手の話で親父さんが出てくるのって珍しいっすね。それで、どうしたんすか?何か良い案でもあったとかっすか?」
「ああ、それなんだが、俺の考えた案を伝える前に前提条件を伝えておこうと思ってな。たとえIFだろうが俺はシリーズには挑戦しない。これは確定事項だ」
「せっかくIFってついてるのにっすか?親父さんは強いんだから、俺は今でもシリーズに出ればいいのにとか思ってるっすよ?」
「そう思ってもらえるのは有難い限りだけどな。ま、これ俺なりの拘りってやつだからそこら辺はまあ、汲んでくれると助かる」
「親父さんも気楽にすればいいとは思うんすけどねぇ。それで、案の方を教えてくれないっすか?」
「おう、それなんだがな。考えてみるとボウズには体を動かす才能が乏しいわ、俺にはレースに出る気が無いわでこの2つを両立させるのが面倒なことに気付いてな。だから──俺とボウズを混ぜるってのはどうだ?」
「言ってる意味が、よく、解らないっすけど、親父さんは何を言ってるんすか?センパイと親父さんを混ぜるってどういうことっすか……?」
「平たく言えば俺とボウズが融合した状態ってことさ。人間だったボウズにウマソウルである俺を完全に定着させ、俺の記憶と身体能力と勝負勘と身体操作能力を習得させる。そうしたら考え方はボウズのまま、その他諸々は俺と同程度が出来上がるって寸法さ」
62IF√レジェンズ6/721/11/27(土) 11:35:25
「……親父さんはそれで良いんすか?」
「俺はそれで良い。今こうしてお前と喋ったり走ったりしていること自体が俺にとってはIFなんだから、これ以上は高望みなのさ。レースに出るかどうか、ってのはその時のボウズが考えることだし気にすることは無いぞ。……この考えについては好きに使いな。俺は好きにしたんだから、お前もボウズも好きにしたって良いんだ。じゃあ、言うことは言ったから俺は引っ込む」
「……いつものことだけど、言うだけ言って質問を聞かないってアイツに会話する気あるのかどうか迷う時があるな。それで、俺は良い案だと思うんだけど後輩はどう思う?……ってどうした?そんなしょぼくれて」
言いたいことだけ言って自分の中に戻っていったギムレットの勝手気ままさに呆れ半分、彼から示された案に感嘆半分で居ると、目の前の後輩が眼を伏せていたことに気付いた。ギムレットの言っていたことで何か気を悪くしてしまったのだろうか。
「センパイは怖くないんすか?もしもそうなったら、自分が消えてしまうかもしれなかったんすよ?」
彼から示されたのは不安。もしもそうなっていたら自分は自分でなくなってしまうかもしれないという意の言葉。確かに、今の自分は何も変化しないままギムレットと同居している。しかし、それはある種の奇跡の上で成り立っている偶然だ。ギムレットの言っていた案はそれを崩して自分でもない彼でもない第3の自分になるということと同じなのだ。
「そうだな。そんなことが起こってたら俺は俺じゃなくなってしまっていたかもしれない」
「そうっすよね。ならどうしてその可能性を「良いかも」だなんて言えるんすか?」
「そんなことは起こらないからさ。これはIFの話だしな?それに──」
屈んで彼の眼を覗き込む。不安に揺れている青と緑の眼を見据えて自分が今確かにここに居ることを伝える。はたしてどれだけ彼に自分の思いが伝わるかわからないけど、それでも自分はこうしなければと思っている。
63IF√レジェンズ7/721/11/27(土) 11:36:06
「──その程度で俺が消えるわけないだろ。たかがギムレット1杯程度軽く飲み干してやるさ」
自信満々な笑みを浮かべてサムズアップをする。
自分が消えてしまうかもしれない?ウマソウルによる侵食?もしかしたら体を乗っ取られる?
だからどうした。それがどうした。
俺は俺だ。「カッコよく生きる」と、「自分を曲げず、一度しかないこの人生を生き抜く」とあの日決意した。少なくとも、ウオッカがそうする限り、自分はそうやって生きる事を決めた。
だから、神様だろうがギムレットだろうが、自分をくれてやる理由なんてどこにもありはしなかった。確かに不格好でカッコ悪くなることは多いが、それでも自分は自分自身のやり方を貫くと決めている。これだけは例え誰であろうとも否定させはしない。
「……そうっすね!これはIFだし、もしそうなってもセンパイならきっと、きっと大丈夫っすよね!」
「ヨシ!その意気だ!じゃあ俺とギムレットが混ざった状態での俺のIFを考えようぜ!」
何かを振り払うように前を向く後輩に賛同の意を返しながら元の位置に座り直す。これから考えるのは楽しいことなのだから、辛いことを考えてやる道理なんて1つも無かった。それは後輩も同じようで、それまでの不安なんてどこかに消え去ってしまったかのような顔をしている。自分たちの楽しい時間は今、これから始まるのだ。
「さて、能力はギムレットを基底にするから差し・追い込みにして、固有スキルはどうするかな?ギムレットと同じってのも味気ないし、折角だからこっちは思いっきり変えてしまうか?」
「それなら親父さんはブリューナクを使ってますし、それに準えてそういった感じの名前を使うってのはどうっすか?」
「お、それはアリだな。固有スキルはそんな感じで行くか。次は格好とかはどうするか……」
「これとかどうっすか……」
彼らの話は続いていく。「もしも」を考えるなら楽しくやろう、どうせなら自分達のやりたいことを全部詰め込んでしまおう。そういわんばかりに彼らの声は軽く弾み、朗らかな空気は彼らの居るトレーナー室を包んでいった。
≫72二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 11:47:08
◆映画デートのお二人さん
「……すごいものを見た気がする」
「……トレーナーさん。あたしの感想言っていい?」
「はい、辛口コメンテーターのネイチャさんどうぞ」
「……超面白かった!!!」
「甘口だったかー」
「無理に人間ドラマに尺取らずに怪獣大暴れだー!! ってのにウェイト置いてたのが好き!! 『ズンッ……!』て身体全体に響く重い感じとか、やっぱり映画館で見てよかった……!」
「褒めまくるじゃん」
「あと、基本全力投球なのに、程々に資金力B級を思わせる演出が一周回ってかわいい」
「もうベタ褒めじゃん。ていうかカマライゴンってあんなにバリエーションあったんだ……パワードスーツなんてのもあったんだね」
「トレーナーさん、知らずに買ったの?」
「購買で一目見た瞬間『絶対ネイチャが気に入る奴!』って思ってぬいぐるみ買ったから……。背景がどういうキャラクターかとかは実はまったく知らずに」
「衝動買いしちゃったのね。でも実際ストライクだったんだから、いい目してるよ……というか、お前本当はすごいやつだったんだね。カマライゴン」
テレルー
「……大丈夫? グッズ売り場にいた子と間違って持ってきてない?」
「あそこで売ってたカマライゴンは喋らないみたい。初回生産分だけとかなのかなー?」
ソウカモ?
「謎だねぇ……でもあなたを見つけられて本当によかったって思ってるよ」ナデナデ
キャー
「……」
「……あれ? もしかしてぬいぐるみに妬いてる?」
「……うん」
「わあ素直」
73二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 11:47:35
「……でもそっかー。割とやきもちさんだねネイチャは」
「悪かったですね……」
「ううん。そんなストレートに妬いてるって言ってくれるネイチャが大好き」ギュ
「!!? な、なんかその、この身長差で手ぇ繋いで歩くのってさ? なんか親に連れられてるみたいで恥ずかしいんですけど??」
「うんうん。素直じゃないネイチャも同じくらい大好き」
「無敵ですかトレーナーさん……!」
「だって『手を繋いで歩きたいなー』って顔してたのそっちだし?」
「そ、それ言ったらそっちも同じ顔してたでしょー!?」
ヤーイバカップルー
「「……」」
...ナニモイッテナイヨ?
「ウソ下手なのね、お前」
「ネイチャ。その子カバンの奥の奥にしまいなさい」
「リョーカイ」
キャーーー!
ま、恥ずかしいんならこの繋いだ手は私のコートのポケットに隠しますか
……うん
グッと寒くなってきたね、本当に。……ネイチャが作ってくれたマフラー、今年も使わせてもらうね
どーぞどーぞ。……すごいね、コートの中で手を繋ぐの。すごくあったかい
冷たい空気に触れない分あったかいんだよ
それと、トレーナーさんとだからかな
……ネイチャは今日もかしこいなあ
……バカ言ってないで、早く帰りましょ
(終)
≫113二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 12:25:34
500回記念なグラトレ(独)
「グラス、記念ですよ〜」
「……今度はどんな記念なんでしょう?」
「なんでも500回記念との事ですね〜」
「500回記念……以前の二ヶ月記念はタイトレさんの所へと行きましたが、今回もですか?」
「いえ、今回はグラスと共に居ましょう」
「宜しいんですか?」
「ええ、ゆっくり私達の関係を見つめ返すというのも良いと思っていますよ〜」
「そうですね、色々有りましたから……それも良いと思います」
「それではグラス、改まってですが……今後とも宜しくお願い致します」
「はい、トレーナーさん宜しくお願いします」
了
≫119シチトレ幻覚マン21/11/27(土) 12:37:16
「乾杯。」 揃った声でグラスとともにグラスが小気味いい音を立てる。
私の手には黄金色のビール。彼女はオリーブを指でそらしながらグラスを傾けた。
私もビールに口を付ける。目の前の彼女と同じ、美しい黄金色を流し込む。
あまりビールは好きではなかったが、場がそうさせるのか。
切れ味の良いのど越し、コクのある苦さを少しは楽しめるようになっていた。
「ん、美味しい。」
目の前の彼女が微笑む。その笑顔を見て、彼女もここを楽しんでもらえるといいなと、心の底からそう思った。
日本から離れ、今私たちはNYのジャズバーにいる。
アメリカ旅行にて、私の長年の夢だった歴史的名店であるこのジャズバーへ足を運んだのだ。
120シチトレ幻覚マン21/11/27(土) 12:38:15
日本でも聞き覚えのある名前の店名だが、日本とここじゃ指している店が違う。多くのジャズ演奏者の憧れの店だ。
別にジャズを演奏している訳じゃないけど、ここへのあこがれは彼らとも同じだ。
そこへ誰かと、それも愛する彼女とここにこれたのは本当に幸せに思う。
ひとしきり飲み物を楽しんでいると演奏が始まった。
落ち着いた雰囲気のジャズが、ベテランの老練な手付きで奏でられる。
心地いいリズムに身を委ねながら、ライトに照らされた彼女の横顔を見る。
少し赤く染まった彼女の表情からは、あどけなさの代わりに大人の色香を感じる。
それもそうか。彼女の成人式は四年前。その年月に相応しい彼女の魅力の醸成だった。
そんな彼女を見ながら、私はこれまでの思い出を反芻していた。
121シチトレ幻覚マン21/11/27(土) 12:39:36
彼女と出会って、レースを共に戦った。奇妙な運命で私もウマ娘になってターフへ躍り出た。
平坦な道のりではなかったけど、シチーと一緒に駆け抜けた日々。
その数年にも満たないその時間は、今の私たちにとってもかけがえのないものとなっていて、私、いや私たちの人生を変えるのに十分だった。
そんなことがあってしばらくして時は流れた。
今や彼女は日本のトップモデル。それに、私も音楽業で成功しつつあった。
二人の時間は減ったけど、仲が悪くなることは全くもってなかった。
むしろ、その二人の時間がより濃密になったように感じる。
それに、ふたりでここまで一緒にやってきたんだ。喧嘩をすることはあれど、別れるとは言ったことは一度もなかった。
そしてこれからも私は彼女と共に歩むんだ。
だから、これは証だ。
懐から小さな箱を取り出す。
「ねぇ、シチー?」「どうかした?」
ジャズの流れる中、彼女にそれを見せた。
彼女は差し出されたその箱に頷いて、中を覗いた。
彼女と私の誕生石であるダイヤモンド。あまり大きくはないが、確かに輝いていた。
彼女の指が私の薬指に、私の指が彼女の薬指に、お互いに沿って指輪を付けた。
その手の甲に口づけして、二人の結ばれた手には、ダイヤモンドの輝きと。
「あぁ、本当に綺麗だ。」
それ以上に美しい、二人の涙と笑顔が映っていた。