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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part776【TSトレ】
≫11二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 09:54:30
ブラトレ「固定電話が使えなくなった話する?」
テイトレ「そういえば買いに行ってたね……」
ブラトレ「もとから受話器共用サイズ版を買っておけばよかったんだけどねえ、わざわざウマ娘が家に来る環境だとか思ったことなかったしなぁ」
テイトレ「……今は来客のほとんどがウマ娘というね」
ブラトレ「い、一応マヤトレボノトレとか先生とかいるし……」
※共用サイズ版は受話器の基部を伸縮して長さを調節できるもの
≫83☆ネイチャさんは語る22/06/11(土) 19:06:44
……アタシとトレーナーさんがいつも通りうだうだ過ごしてたらタイトレさんがやってきてね。
「タイシンの誕生日祝いなにがいいだろう? 元気になってほしいんだ!」
とかおっしゃるわけですよ。アタシ的にはタイシンさんとはスカイと一緒に猫だらけの無人島でプチ遭難した同士だし、そうだなー絶妙に枚数余ってるネコカフェの優待券あげよっかなーとか考えてたら、トレーナーさんがさ言うのよ。
「元気になってほしいなら、チア服で応援はどうですか」
……あの、まあ、ね? アタシも三輪車挑戦する弟相手にやったから文句は言えないけど。でもそのまま流れるようにアタシの応援団衣装褒めにいくのやめて?? ……散々聞いたけど改めて恥ずかしくなっちゃうからやめて! せめてもうちょい声量セーブせんかーい!!
「それだ!!! 元気を出すと言えば応援! 今年の応援団は団長のキングを筆頭にすごかったもんな!」
「そうでしょうそうでしょう! ……はっ。この際です、応援団服に限らず色んな衣装を着てみては!」
「おお!! まさか天才か!?」
いやノリノリか。というか、微妙に話もでかくなってませんか?
「服によっては少し恥ずかしいかもしれませんが、むしろ多くの服を着ることによって一つの服に関する恥じらいを減らすという効果も期待できる、かも!」
「な、なるほどなんか分かった! りすくまねじめんとって奴だな!」
「多分それです!」
本当かな〜〜〜?? 本当にそれリスクマネジメントなのかな〜〜〜???
「そういう事ならこれから色々掛け合ってみる! 借りれそうになかったら……ロブトレに相談するか! それじゃありがとなネイトレーーー!!」
「はーいがんばってくださいねーー!」
笑顔で去っていくタイトレさんをこれまた笑顔で見送るトレーナーさん。
……怒涛の展開にろくに口挟めずに終わったよ。ごめんタイシンさん。なんか、ごめん。
(終)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part777【TSトレ】
≫101二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:26:29
1.『夢の追憶(断片)』
『いッッッッぱいあるんですよ!私が勝たなければならないレースは、短距離以外にもッ!!』
『スプリンター、マイラー、ステイヤー、─その全てを兼ね備えてこそ模範!』
『それでこそ!学級委員長なのですッ!!』
───。
『先ほどからずっとそちらで私を見守っていらっしゃった貴方!!私に言いたいことがあるのではッ!?それとも…。もしや貴方も、“スプリンターとして”私をスカウトするおつもりでしたか?』
───。
『ここで迷いなく「NO」が出ないのならば、大変心苦しいのですが、お断り─』
『──。───』
『せねばなりませ…。んん?今、なんと?』
『───。───、─────。─、───。──、───』
それは、いつまでも色褪せない過ちの記録。
2.『虚像』
今日も悪夢から逃げるように目を覚ます。毎日のように同じ夢を見るようになったのは、つい最近になってからだ。
頬から伝わる冷たい感触が、徐々に意識を起こしていく。昨日の最後の記憶ははっきりとは思い出せない。ただ、今いる場所が浴室であること。その床と衣服の一部が赤黒く染まっていること。そして左腕の感覚が鈍いことを総合すれば、どんな状況だったのかは想像に難くない。手元に落ちているカッターナイフがそれを裏付けている。そのまま倒れ意識を失ったといったところだろうか。
「…掃除しないと」
何気なく発した独り言だったが、この瞬間全身を奇妙な感覚が巡った。自身が発したはずのその声にはまるで覚えがなく、俺以外の誰かが居るように感じたからだ。俺はゆっくりと身体を起こし、はっきりとしていく意識と視覚で鏡に映った自分の姿を見た。
─そこにはもう「俺」は居なかった。
傷つき道を見失っている一人の「ウマ娘」と。
ただ、諦念だけがそこにあった。
102二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:27:09
3.『抜け殻』
学園のトレーナー室の前で立ち止まる。扉の鍵を開け入ることは容易なはずなのに、何故か立ち入ることが許されていないように感じていた。
あの後、何度も自分の姿を見た。数十分以上、何をすることもなく。ただ鏡の前で立ち尽くして、視た。
左腕に刻まれた傷跡以外、「俺」である思える要素は一切なかった。まるで意識だけの存在になって、第三者と視界だけ共有しているような、そんな感覚。
だからだろうか。こんな事態になっても異常なほど落ち着いていた。自身の状況の解明、今後の身の振り方等、考えるべきこと、すべきことは山積みになっているはずなのに。全てがどうでもよくなってしまっていて、諦めの感情だけが自分を支配していた。
ならどうして、この場所に来てしまったのか。この一年間で刻まれた毎日のルーティンだと言えばそれ以上のものではないのかもしれない。でも。
「おはようございますッ!今日もいいバクシン日和ですね!トレーナーさ…」
「彼女」が来ることを。会えば、何かが起こることを。
「ちょわっ!?よく見たらトレーナーさんの格好をしたウマ娘さんでした!おはようございます!」
まだ心のどこかで、願っているのかもしれない。
4.『業と傷跡』
─スプリント路線からの刺客、距離の壁に阻まれる。
─やはり無謀か。日本ダービーでも結果変わらず。
─これで三度目。トレーナーの判断の真意が問われる。
『私たちとしても生徒たちの挑戦は応援したいところなのですが…。三連続での、明らかに適性が足りていないと思われる距離への出走。しかも最も格が高いクラシック三冠のレースの貴重な枠の一つを使っているとなれば、URA上層部や、観客の方から不信を買ってしまうのは避けられないことです。一時的な判断ミスではなく意図的なものとして捉えられてしまう。トレーナーさんにこうお伝えすることは非常に心苦しいことではあるのですが…。今後、サクラバクシンオーさんの中距離以上のレース出走は自粛するようにと警告がありました。それが何よりバクシンオーさん本人のためになる、と』
103二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:27:47
『皐月賞だけだったらまだ、ね。でもこう三回も見せられるとこっちも冷めるっていうか、サクラバクシンオーがかわいそうに思えるっていうか』
『ほんとそれ。無茶な距離を走らせてるトレーナー側に問題があるだろ。バクシンオーは短距離で結果を残せるって誰もが知ってるのに』
『これで故障でもしたら取り返しがつかないよな。今のバクシンオーのトレーナーは早く辞めるべき』
自分なりにやれることはやってきたつもりだった。
それ相応に手ごたえがあったこともまた、事実だった。
でも現実はそう甘くは無かった。ただ、それだけ。
菊花賞を過ぎたあたりで批判はかなり強まった。時には抗議の手紙が1日10通近く届くこともあった。そのどれもが、サクラバクシンオーのトレーナーを辞めるべきだというもの。サクラバクシンオーの才能を潰している、サクラバクシンオーがかわいそうだ、と。ネット上でも似たような意見が時々見られるようになった。
そんなの、俺自身が一番そう思っている。
バクシンオーは何も悪くない。悪いのは、この選択をしてしまった自分。バクシンオーを勝たせてあげることのできない自分だ。
俺は、サクラバクシンオーのトレーナーに相応しくない。
もっとやり方はあったはずなのに。無謀に近い挑戦なんてさせずにスプリント路線で活躍させる、そんな優しい嘘をつければ、きっとこんな未来にはならなかったはずなのに。
全て、俺なんかがトレーナーになってしまったことで狂ってしまった。
でも、一番悔しいのはバクシンオー本人のはずで。負けても勝者を称えこそすれば弱音をほとんど見せない彼女であっても、結果を残せないことを一番辛く思っているのは彼女自身のはずで。
そう思うと、ただただやり切れない思いだけが一方的に加速していくだけ。
痛くない、痛くないと言い聞かせ、割れそうになる心を誤魔化しながら自傷行為に及ぶようになったのは、秋になったあたりからだった。
104二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:28:16
5.『初めましてを、もう一度』
俺とは対照的に、普段と何にも変わらないサクラバクシンオーはそこに現れた。
どんな言葉を言えばいいか分からずにいる俺に構わず彼女は続ける。
「はじめまして、ですね!私はサクラバクシンオー!学級委員長ですッ!もしや、トレーナーさんに何か御用でしょうか?」
そう、何も変わらない。どうしようもなく変わってしまったのは俺だけ。
「…いや。バク…、委員長に用事があって」
何故か今のこの状態ではバクシンオーとは呼べなかった。
「おや、私でしたか!何でしょう?」
弱くあってはいけない。自分が始めてしまった以上、俺が先に折れてしまうことだけは絶対に許されない。そう心に言い聞かせてきた。…今までは。
「今、ちょっと自信が無くなってて。何処に行けばいいか、分からなくなってて。委員長は、どうすればいいと思う?」
「…??? むむ、むむむぅ…?」
今の俺は、何者でもない。トレーナーでも、ましてやウマ娘でもない。宙ぶらりんの状態。誰の物とも分からない迷いは、大きな抵抗もなく自制の壁を乗り越える。
バクシンオーは一瞬ぽかんとしていたが、頭を抱え一通り唸った後、俺の顔を覗き込んではまた悩み、こちらの姿を見ては考えることを何度か繰り返していた。
地に足付かない状態で発した気の迷いのせいで変な混乱を招いてしまったかもしれない。そもそも、この問いに求めている答えなどあるはずが無い。何でもないと言って去れば、これ以上変なことにはならないはず。これからのことを一人で考えるのは、きっとそれからでも遅くはない。そう思った矢先。
俺は、駆け出したバクシンオーに手を引っ張られていた。
「難しいことはよく分かりませんが!ですが貴方が何かに悩んでいて、私を頼ってくれたことは分かりましたッ!でしたらバクシンしましょう!バクシンすればたいていの悩みは吹き飛びます!さあッ!」
されるがままに俺は。俺たちは、走り出していた。
105二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:29:03
6.『青天の霹靂』
成すがままに。引かれるままに。ただ不器用に左右の脚を動かし続ける。それは確かに、無駄な思考の隙を与えない一つの方法だった。
バクシンオーは、最後まで俺の手を離すことはしなかった。
それが無意識のうちのものであったのか、それとも意図して繋ぎ続けていてくれたのかは分からない。ただ俺は戸惑いながら、驚きながら、付いていく事で精一杯だった。
トレセン学園を飛び出し、体力の限界まで走った俺たちは、やがて何処とも分からぬ少し開けた草むらの上に倒れ込んだ。
「ゼェ、ハァ、ゼェーッ、ハァ…」
「はぁ、はぁ…」
まるで初めて空の青さを知った子どものように。
その時の俺の心は、激しく高鳴って止まなかったように思う。
「ど、どうでしたかっ!…ゼェ、悩みは、無くなりましたかっ…?ハァ…」
息を切らしながら、バクシンオーは笑ってこちらを向く。その表情は、あの空と同じくらいに、俺には眩しく映った。
「…分からない」
そう。迷いが無くなったわけではない。ただ一時的に考える余裕が無かっただけ。根本的な解決には何もなっていない。でも。
「でも、…楽しかった」
それは、偽りのないはっきりとした心の底からの「俺」自身の言葉だった。
「…ハァ、でしたらこれからもバクシンしましょう!迷う方の道標となるのもまた、学級委員長としての務めッ!…ゼェ、私はいつでも力になりますので!」
そう言う彼女の眼はあまりにも真っ直ぐで、綺麗で。
「誰しも悩みの一つや二つはあるもの!皆で乗り越えていきましょうっ!かくいう学級委員長である私にも、流石に苦手なことはありましてただいま克服中なのですッ!
………悩み続けるよりは、どんどん誰かを頼るべきです。一人では越えるのが難しい壁だって、あるのですから」
「…そうですよね?トレーナーさん」
106二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:29:54
7.『貴方が狂わせた』
「…諦めませんよね」
力強い意思で、バクシンオーは問いかける。
「姿が変わっても、絶対に間違えません。私のトレーナーは、貴方一人だけです。そして私は、貴方を信じています」
こんなバクシンオーの声を聞いたのは初めてだった。
「だから貴方も、私を信じてください。どれだけ強い向かい風が吹いていても、同じ場所を見て、同じ道を進んでください。越えるべき壁を乗り越える力を、私に貸してください」
「「憧れを、夢で終わらせないために」」
感情の蓋は既に決壊していた。
嗚咽交じりの号哭を、ただ感情に任せ上げ続ける。
そんな中でも、バクシンオーは黙って俺の左手を握り続けていてくれた。
107二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:30:38
8.『未だ、春を待つ』
どうして姿が変わった俺のことが分かったのか。どこまでバクシンオーは知っているのか。それとなく聞いてはみたが「一年以上一緒に居ればなんとなく分かります!」とだけしかバクシンオーは答えなかった。深く追及することでもないと思い、それに関する話は早々に切り上げられた。
「ブルボンさん式トレーニングのおかげで、スタミナはだいぶ付いてきた自信はあったんですけども!中距離以上を走るにはやはりもっともっとスタミナが必要ということでしょうか?」
バクシンオーはいつもの調子で言う。思ったよりもトレセン学園から離れた場所に来てしまっていた俺たちはスマホのナビに従いながら帰っている途中だ。
そして、そのことは俺もずっと疑問に思っていたことだった。
バクシンオーのスタミナはそれこそ他のウマ娘たちと比較しても遜色ないくらいには鍛え上げた。それでも、クラシック三冠のレースではいずれも大差で最下位に沈んだ。
何か他の要因があると考えるべきか。突破口を見つけ出さない限りは、おそらく次の挑戦も同じ結果に終わることは分かり切っている。トレーナー契約を続けることも難しくなるかもしれない。
無謀な挑戦はもう終わりにしなければ。
「しかし距離が2倍に伸びただけでこうも苦戦するとは!1200mだったら二本でも三本でも走れるのですが!!」
微妙に納得しかけそうになるが、1200+1200と1200×2は解こそ同じだが全くの別物だ。それを、言おうとした瞬間。
一つの可能性が、浮かび上がった。
「…分かった、かもしれない」
「どうかしましたかトレーナさん!」
…俺には、責任がある。
「しばらくレースは控えよう。試してみたいことがある」
サクラバクシンオーを「勝たせる」。この場所へ連れてきた者としての、果たすべき責任が。
「三月の高松宮記念。勝負はその次、四月の天皇賞春」
このままでは終われない。
「そこで証明する。もう絶対に、お前を『かわいそう』だなんて言わせない」
続く
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part778【TSトレ】
≫32二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:30:02
「Vになる話ねぇ……」
「どう思うよブラトレ」
「……言っちゃなんだけどなマルトレ、俺ら大体顔出し配信ばっかりだから割と今更感ある」
「それもそう……」
「でもVになったらどうなるかというのは確かにちょっと楽しそうではあるな」
「どんな感じにする?」
「んー、ロボとか」
「ロボ? どんなロボよ」
「……Z〇IDSみたいなの」
「あまりにも演技幅が少ない!」
「んーじゃあ獣人とか?」
「耳生えてるのに別の耳生やすとかだいぶ面白い光景になるな。まあアリなんじゃないか?」
「まあチームの名前的にも狼がいいな、それがいい」
「でもよブラトレ、黒にするのか?白にするのか?」
「……クソ悩むな!」
≫59二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:42:20
「君はああいったのはやらないのかい?」
タキオンは眼前の、パソコンのモニターを見つめながら黙々と手を動かす不タキの隣にやってきた。向こう側では養タキがくるくると回っており、モニターにはその動きを踏襲するアバターが浮かぶ。
「ええ。私はあくまでサポートですから。それこそタキオンさんがやってみては?」
「私はああいったものには無知に近くてねぇ。デジタル君がこの前興味深そうにしていたけどね」
「デジタルさんなら先程もデジトレさんと一緒に何やら話し込んでいましたね」
ふふ、と少しだけ笑みを浮かべて、再びパソコンへと向き直る不タキ。それを見たタキオンは疑問を口にする。
「君は、ああいったものはやらないのかい?」
「ええ。私はきっとやらないでしょうね」
トラッキングの調整をしながら不タキはそう言う。その声にはどこか、諦めのような、そんな意志を感じられて。
「何故だい?」
「私は、あくまでもタキオンさんと、養タキさんを支えて、その「先」へといってもらうことが役割です。汽車の石炭みたいなものですよ。おふたりが先へと進めるなら、私は何だってします。この体くらい惜しいものではありません」
どこか夢うつつな、心ここに在らずといった口調で語るその内容は、ひどく純粋で、歪んだようにも見える。
「あの日、あなたを見たその日から、私の目と心は、随分と狂わされてしまったんです。明るい光に、眩しいほどのあなたに、文字通り本当にこの命を捧げていいとさえ思えました」
タキオンを少し、嬉しそうな目で見る。
「それが、私の生きる意味です。こうやって生きるのも、私のエゴのために生きているのかもしれません。あなた方を自分が満足するまで支えて、その後はお好きになんて、身勝手な話です。ええ、十分わかっています。でも、あなたの目指す「先」には、私でなく彼の方がきっと、何十倍もふさわしい。そう思います」
椅子から立ち上がり、控えめな伸びをする。背中の方から大きな音が鳴った。
「…そんなこと」
「タキオンさん?」
「…そんなこと……言わないでおくれよ…」
悲しさをひどく滲ませた声でそう零し、不タキを強く抱きしめる。
「私は…私は、一時はそう思っていた。先に、そこにたどり着けるなら……私でさえ実験台にしてもいいと」
60二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:43:04
腕の中の、その小さな体はひどく細く、いっそ寒気がするほど生気が無くて。
「でも、分かったんだ。君たちと、沢山のウマ娘やそのトレーナー達と接してきて…。喪うことは、とても恐ろしいと」
縋りついて、どこにも行ってしまわないように抱きしめる。強く、強く。
「科学に、進歩に犠牲はつきものさ。でも…自ずとそれを差し出すのは、絶対に間違っている。だから……行かないでおくれ」
彼女に包まれる不タキは、その憧れを抱き返して言う。
「…申し訳、ありませんでした。あなたに、そんな心配をかけてしまって…」
優しく、詫びるように言う。
「タキオンさんの目指す先は、まだきっと遠い筈です。毎日一緒にいるからこそ分かります。ですから、まだ私は居なくなりませんよ」
「…だ」
「?」
ちょっとだけ不貞腐れたように、タキオンは言う。
「ダメだ。君も、彼も、誰も居なくなってはだめだ。そんな犠牲で得られた結果なんて、毛頭受け入れる気はない!」
「…では、私も少し気をつけなければいけませんね。それと、タキオンさん」
耳を絞り不機嫌をそのまま具現化したように尻尾を振る彼女の背中をポンポンしながら言う。
「苦しいです。折れてしまいます」
「君が悪いんだからな!」
「二人とも、何してるんだい?」
「聞いてくれたまえよトレーナー君。彼は全く困った奴で…」
その2人の温かな会話を聴きながら、30分くらいは、睡眠を増やそうかなと思う不タキであった。
その後彼も養タキと揃ってVの次元に足を踏み入れるのだが、それはまた別のお話。
≫76二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 23:17:51
さわさわ、モミモミ。
「〜〜〜ッッッ!!!」
「う〜ん、これは皆には見せられないよね」
ふるふると堪えるように震えてる人影、その尻尾を手で触りながら軽く揉み込んでいる小さなウマ娘の姿。
…サトトレは、キタトレの尻尾をトレーナー室…ではなく、彼の家で手入れしていた。勿論理由はある。
「…っと、相変わらず耳と尻尾は本当に弱いよねキタトレ。まだ揉むからもうちょっと耐えて」
「っ…」
耳と尻尾が大変敏感なせいで、耳カバーもつけられないキタトレ。その上で尻尾を梳くだけなら兎も角、付け根や裏をマッサージやらオイル塗りやらやれば今のようになるのだ。赤面しつつ震えて、軽く息を荒げて横になる姿は余りにも他人に見せられるものじゃない。
「んー、こんな所かな。後はオイルで整えるだけなんだけど…」
「はぁっ…」
荒げた息を整えようとして、肩を上下させるキタトレ。その大変扇情的な姿を見ながらサトトレは提案する。
「一旦お風呂に入ってからの方が良さそうだね。どうせ今日は外出することないんでしょ?」
「わ、分かったわ…ひゃっ!?」
「あっ、ごめん。尻尾の裏にゴミか毛くずっぽいのがついてたから…着替えは用意しておくから早く行くといいよ。」
「っぅ…」
浴室へと歩いていく親友の姿を尻目に、サトトレはオイルを机に置いて着替えを取りに行くことにした。
──⌚──
「あがってきたね、じゃあこっちに来て」
「いい湯だったわ…それと、手早く頼むわね」
あがってきたキタトレに寄ってもらうと、もう乾かしてきたのだろう尻尾にオイルを手に取り塗っていく。
「ん…」
「キタトレ、別に我慢しなくてもいいんだよ?わざわざ僕の前で取り繕わなくても…」
「ふふ、ちょっとしたプライドよ…」
「…えい」
裏側をつつっと触れてやれば、ビクンと跳ねるキタトレ。僅かに抜けた力の分ぐらつくのを片手…というか体を使って支えながら、サトトレはその尻尾を綺麗にすべくオイルを塗りこむのだった。…その後、悪戯した代わりに抱きまくらにされたのは別の話。
短文失礼しました
前スレのネタより耳と尻尾が弱点のキタトレでやるとこんな感じです。大変目に悪い姿なので流石にトレセンでは無理じゃ。
トレセンではやってもらう時はブラッシングのみくらいで、この姿が見れるのはサトトレのみだったり(サトトレも散々キタトレを見てるから耐性あるわけでなかったら駄目だけどな!)
≫88二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 07:26:56
「それでは皆さん。今日はおしるこを作っていきます」
「その前に一つ……蒼ファルはどうして作業着を着ているの?あと後ろから聞こえるエンジン音なんなの?」
「料理の動画を撮るって聞いたからスズトレと一緒にみんなのエプロン買ってきたんだけど使わんの?ほいブルトレには手袋も」
「ありがとうございます。おしるこなら私でも出来ることいっぱいあると思いますが……」
「おしることいえばおもち、つまり餅つきね!杵ならお姉さんに任せなさい!」
「皆さんのやる気十分ですね。ではこちらへ来てください」
トラクター〈やあ
田植え機〈こんにちは
コンバイン〈ウッス
「みんなでおしるこを餅米から作る企画になってます!」
「嘘でしょ……」
「免許持ってるけど運転したことないんだけど……?」
「私は手植えですか……?」
「成る程材料も大切ですね!……加減しろ!」
≫104二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 08:15:15
「ということで、今回は誰でも出来る簡単なブランデー入り紅茶の作り方を教えましてよ」
「おおー!」
「まず、こちらにメジロ家の執事の淹れた紅茶と、魔ルドの持ってきたアルメニアブランデーを用意しましてよ」
「兄貴?」
「次に、紅茶を半分飲みますわ!ゴクゴクですわ!」
「……待て待て待て待て!!!」
「……また、腕を上げましたわね……」
「紅茶の味の感想いる……?」
「そして、ブランデーの封を開けて……」
「あ、本筋に戻った」
「それを飲みますわ!ゴクゴクですわ!」
「はぁ!?ブランデー入り紅茶は!?」
「……侘助」
「……おう」
「アルメニアブランデーが勿体無いじゃありませんの!!!」
「企画の趣旨全否定してるんじゃねぇよ!!!」
≫159二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 23:15:12
「……先生。」
「どうかしたかしらスズトレ。あとブルトレもマルトレも首かしげて。」
「いや、その……それは一体?」
「手回し式カラクリ餅つき装置。」
「なんて?」
「手回し式カラクリ餅つき装置、よ。確かこのハンドルをグルグル回すだけで規則的に餅をつけるのだったわよね?」
「その通り、流石ファルトレ。」
「なるほど、すごい……とはならないからね?いやすごいのは間違いないけれどなんでそれを餅つくためだけに作ったの???」
「だって杵任せなさいって言ったじゃない。」
「それは説明になってないような……まさか餅つきするだけでも見た目ダメになっちゃうんですか?」
「あー……そういえばドベトレがそんなこと言ってた気がする……」
「やっぱ苦手ってより呪いだろそれ。」
「ちなみに完全アナログだけど安全性と衛生面を考慮してイクトレさんの監修も入ってるから安心していいわ。」
「安心というか……なんというか……」
「純粋に理解がまだ追いつかなくてですね……」
「まあつまるところアレよ。考えるな、感じろってやつよ。」
「それが出来たら苦労しないんだよなぁ……」
≫166二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 23:54:21
「大学生になったけど、君は相変わらずだねファイン。」
「ふふん、私は日本で働くのが仕事…使命だからねー」
…休日、トレーナー用の寮でも生徒用の寮でもなく、アパートの一角にて。二人はだらだらと過ごしていた。
冷房はまだつけていないが、開いた窓から入り込む風のお陰で適温が維持されて居心地は良い。
「ファイトレ(女)、そろそろ帰ってくる頃合いかな?」
「買い出しを任せたのは悪かったかな…ん?」
着信音にウマホを確認し、LI○Eを開く。丁度話題にしていた彼女からの連絡。
『今から帰る。それと、例のものはきっちり買ってある』
『分かった』
「トレーナー、新しいカップラーメン買ってきてくれたんだ!どんな味なのかな…」
「その情熱も変わんないなぁ」
まあ彼女のことだ、この距離なら5分で帰ってくるだろう。そう思いながらもつけていたテレビに視線をやると突然視界が遮られる。
「ちょっ、ファイン?」
「ねぇねぇ、少し昼寝しようと思うのだけど…一緒に寝てもらってもいいよね?」
「確かに何もないけど…」
「駄目?」
その瞳で見つめられたら断われはしない。そもそも、我儘を覚えさせた方が悪いのだ、よって責任はファイトレにある(暴論)。
目を抑えられたまま二人して横になる。その白い手を離されると、抱き枕にするかのようにお腹へとファインは手を回す。
「ふふ、こうしてるのもいいね…」
「…ファイン、ならせめてこうさせて」
向かい合う形に体を回転させ、ファイトレ(男)も腕を伸ばす。抱き合う形で目を閉じた二人を、少しして帰ってきた彼女は見つけた。
「…ふふ、いい寝顔だ……っ!?」
「zzz」
伸びてきた手に引かれ、二人に覆いかぶさるような姿勢になるファイトレ(女)。引き寄せるその手を仕方なく振りほどこうとして…辞めた。纏めて二人を抱きとめて目を閉じる。三人分の熱と程良い温度は、それぞれを眠りの森へと運ぶのだった。
短文失礼しました
だらだらしてから昼寝する人達。多分ここらへんは大学生になってようが相変わらずこんな感じだと思う。
でももうちょっと3人とも積極的になってそう。特にファイ女は二人相手なら多少は昔みたいな反応を剥き出しにするかもね。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part779【TSトレ】
≫20二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 19:06:31
「トレーナー、これは?」
「これはねぇ……人類をだめにするやつよ」
「……ごくり」
(ウマ娘もダメになるやつですよねこれ)
「さぁ……沈みましょうか……」
「あっ……ふわふわ……」
「あっこれ駄目だわこれ……駄目だわ……!」
(ああっお姉ちゃんもトレーナーさんもあっという間に睡眠体制に……)
「……んんっ、これは駄目だわ。今日の練習ができなくなってしまう……トレーナー、起きなさい。トレーナー?トレーナー!」
「んごごご……駄目よベガ、そっちはモフモフが多すぎて沈んでしまうわ……」
「くっ、羨ましい……いや変な夢を見て……というか寝入りが早すぎるわ……!」
≫28二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 19:41:10
●PEPPER MINT●
「トレーナー、これ食べてみて」
「あらベイ、これは?」
「いいからいいから」
外はすっかり暗くなり、カウチでオベイとオベトレは並んで座っていた。テレビからは二のトレの田植えが流れている。時折指を絡めあったり足をいじったりしている。
そんな中差し出されたオベイの手の上には白と緑の模様の飴があった。丁度今朝売店で見たそれは、何だったろう。
「じゃあ、もらうわね……っっ!!」
パクリとそれを食べたオベトレは少し経って全身の毛を逆立て、目に涙を浮かべてけほけほとそれを吐き出した。
「から、か、けほっ」
「Water?」
「う、ん、ぴりぴりする」
手を空に掻きながら飲み物をねだるオベトレにペットボトル入りのオレンジジュースを渡す。500mmを一本空にして、ようやく下をだしながら少し落ち着く。
「ペッパーミントだったのね…匂いから薄々気づいてはいたけれど」
「さっき…えっと何だったかなのorangeの水晶の…」
「ああ、フクキタルちゃん」
「そう!そも娘が運試しです!って3つくれてね。それ、ハズレみたいね」
からから、と笑ったオベイはオベトレを見る。彼女は耳をふるふる絞っていた。
「トレーナー、怒ってる?」
「怒ってないわ」
「怒ってるの?」
「怒ってないわ。辛すぎただけよ」
つーんとかそんな擬音が似合いそうな顔でむくれる。
「なんで若干気がついてたのに食べようとしたの?」
「向こうで…違うわね。ヒトだった頃には大丈夫だったから。やっぱり私の中の因子の影響が大きいのかしら」
ぽんぽんと胸の辺りを叩いてみるオベトレ。
「…じゃあ、色々変わっているかもね。Japanの人はお酒が飲めないらしいし、トレーナーももしかしたらダメかもね」
「それは嫌ね〜。やっぱりビールは飲みたいわ」
よいしょ、とテレビを消してオベトレは立ち上がる。
29二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 19:42:00
「寝るの?」
「一人で寝るわ。今日はベイも一人で寝て」
「What……?」
困惑した顔でオベイが見てくる。
「私をハメたお仕置きよ。ベイは一人でベッドで。私はカウチで寝るの」
「…OK ……」
耳をへなへなにして寝室へ向かおうとするオベイ。それを見たオベトレは彼女の肩を叩く。
そして振り向いたところを思い切り抱きしめ、カウチにダイブする。
するとまるでオベイがオベトレを押し倒したような体勢になった。
「トレーナー…?」
「ちょっとした冗談よ。ごめんなさい。私だって一人じゃ寝れないわ」
その言葉に一気に耳が元気を取り戻す。
「こーら。そんなに耳を振らない。素を出しすぎたらエンターテイナーらしくないわよ?」
「…ここは安心できる場所だし、トレーナーしかいないからいいの」
「そ。それならいいわよ。あとベッドで寝ましょ。ここじゃ腰が痛くなるし、ベイの体にも悪いわ」
カウチから起き上がり、ベッドに二人で潜り込む。互いに向き合って脚を絡ませて、二人の尻尾を巻き合う。
「Goon night trainer」
「おやすみ、ベイ」
小さくキスをして、そのまま相手の暖かさに意識を任せる。
翌日にはオベイがチョコミントアイスをもらったとか。
おしまい
≫41二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 20:35:09
『アルコールの嗜み方』
ここはトレセン学園の近くにあるバー。度々トレーナーが飲みにくる有名な店であり、愚痴にくる人も多い。
ウマ娘化してるトレーナーたちの事情にも詳しく、少女の姿になってしまい世間体からお酒を購入したり飲んだりできにくいウマ娘化トレーナーの御用達店でもある。
今宵も一人のトレーナーがアルコールを嗜んでいた。
サクラローレル担当トレーナー、彼の姿は少女を通り越し、もはや幼女といったほうが早く。薄暗いバーの中でも山吹色に輝く巻いた栗毛はどこかの令嬢かと思わせる雰囲気を醸し出していた。
そこへ一人の男性トレーナーが来店してきた。
「すまない遅くなった。ロレトレ少し立て込んでしまってな」
「いいですことよマヤトレ様。マスター、この方にもわたくしと同じカクテルをお願いしますわ」
ロレトレはマヤトレの遅刻は気にしないとのジェスチャーをする。マヤトレはその気遣いを受け取りロレトレの隣の席に座ると辺りを見渡した。
「そういえばマベトレはどうした? ロレトレと先に一緒に来たはずでは?」
「マベトレ様ならそちらに……」
ロレトレが指差す方向を見るとテーブル席で酔い潰れ、すやすやと寝息を立てているマベトレがいた。
「お酒が弱くなったってのにもう飲んじゃったのか」
「えぇ……そうですわね……。マベトレ様が開口一番に『ロレトレもその姿じゃあお酒よわよわだよねー★』とおっしゃったので、『……では勝負してくださるかしら』とわたくしと飲み比べをしましたの。結果あのざまですわ」
「いつもの自業自得ってやつか……」
マヤトレは出されたカクテルを飲みながらロレトレの話を聞く。今のマベトレらしいといえば、マベトレらしいところだなと思いながら、その話を聞きふと疑問に思ったことを口にする。
「ロレトレは今の姿になってお酒とか平気そうだが大丈夫なのか?」と。
42二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 20:35:27
マヤトレの疑問にロレトレは少し考え、聞き返す。
「その言葉の真意はなんですの?」
「ふと疑問に思っただけさ。ほら少なからずウマ娘になってしまったトレーナーは、アルコール類が苦手になったり飲めなくなったトレーナーが多いだろ、特にロレトレやマベトレみたいなちっちゃくなった組は特に」
「まず前提として、ウマ娘が毒やアルコールに強い種族だとは知っておりまして」
「ああ、医学の初歩で習う事柄だな。濃度が異なるのでヒト用とは分けて扱うべしと」
「ではなぜ"ウマ娘になったトレーナーは自身がアルコールに弱くなった。そう思いこんでしまうのか?" わたくしもこの身で経験するまでは確証は持てませんでしたわ。でも、タキオンさんやタキトレ様あたりは知っていても不思議でもありませんですけど」
「待てロレトレ、思い込む? 弱くなったのではなく?」
ロレトレが言った『思いこんでしまう』という言葉にマヤトレは反応する。その説明ではまるで体質的には問題がないのに本人の精神が限界を決めつけているかのよう。
「マヤトレ様あなたの考えてるまさしくそのとおりですわ。ソウルの欠損やわたくしのこの口調みたくアルコールが受け入れられないようになる呪いといった例外を除けば、体質的にはヒトよりお酒に強いはずなのですわ。なら残るのは?」
「ウマ娘になってしまったと言う精神的なショックというわけか」
「ええ、そういうことですの。マヤトレ様、精神が肉体に引っ張られるという定説はご存知あげて?」
「そこで、すやすや気持ちよさそうに寝てるマベトレがいい例だな。まあソウルからの干渉もあったらしいが」
マヤトレは精神が大きく変わった代表例の1つであるマベトレの方向を見ながら言った。
「そのとおりですわ。マベトレ様は内側からの干渉もあって精神性そのものが変わったようですけど。特に以前とのギャップが大きいトレーナーほどその傾向も大きくなりやすいですわね」
「なるほどな、ロレトレはそこまでわかってたから精神が引っ張られなかった。だからこうして平気に飲めると」
疑問が解けたかのようなマヤトレに対しロレトレは首を横にふり否定する。そして指で髪をいじりながら言う。それは以前の彼ならば見られない仕草であった。
43二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 20:35:49
「いえ、わたくしも悔しいですけど少しばかり引っ張られてるですのよ。ウマ娘になった当初は全然お酒なんか飲めませんでしたし、今この時もこうして引っ張られて口調や外見に似合った仕草をしてしまいますもの」
「じゃあ、何をしたらこんなに飲めるようになったんだ?」
「慣らしと後は……自己暗示や催眠療法でなんとかなりましたわ。意外とKIAIでいけるものですわね」
マヤトレの心配を他所に解決法を意外と明るく言うロレトレ。そしてあっさりでてきた脳筋ワードにマヤトレは混乱する。
「あれ? なにげにすごいことをしてないかってか催眠療法ってなんだ?」
「あら、マヤトレ様もいつかウマ娘になった場合、必須テクだと思われますわよ。その時はわたくしが手とり足取り教えて差し上げますわ」
「ウマ娘になることが確定みたいな言い方をするなよ、第一ウマ娘になったとしてロレトレのような小さい子になるとも限らないし」
「わたくしだってなってしまったですのよ。しかも口調改変やドリルヘアー付きで、覚えといて損はないことですわよ?。わたくしの見立てではマヤトレ様はマヤノさんに似た双子がいいと思いますわね」
口に手を当て優雅に笑う素振りを見せるロレトレにマヤトレはため息を漏らし
「やめてくれよ……」
と言うのであった。
かくしてマヤトレは飲酒のコツ○を手に入れた。そして後ほど出したロレトレの飲酒のススメ本は飲めなくなったトレーナーに好評だったとか。
≫48二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 20:59:00
「重い…」
…バランスを取るのに苦労しながら歩くサトトレ。その体はいつもみたいな全部ちっこい…ではなく、大変豊満な胸を持っていた。
まあだいたいいつものアレではあるが、Bサイズの反転が理由である。朝起きたら立派な双丘が出来ていたのだ。
「ダイヤから下着借りる羽目になった…でもなんかノリノリなんだけど…」
最初に会ってすぐは流石に驚かれたものの、適応したのかつける下着ですと着せてきた。相変わらずグイグイ来てる。
と、そんな事を思っていれば、突如後ろから回された腕にホールドされるサトトレ。若干胸も持ち上げられる。
「いやぁ、この姿になる前のサイズだと密着出来て温かいわー。それと、そっちは大きなものもついているみたいだね」
「…タイキトレ、その…抱き上げるのはいいけどもうちょっと下で抱えてくれない?」
一応トレセン内だが人目のある場所であり、その持ち上げ方では当然そのπも強調される。ダイヤと同等のが、である。
──タイキトレの腕によって自己主張する胸は、頭サイゲなサトトレの姿と相まって凄くエッな代物だった。
「めんごめんご、とはいえ抱き心地は変わらないねぇ…いつもよりちょっと重量感があるけどさ」
「僕の身長とこのサイズだと十分重りになるのかぁ…」
そうして堪能されていること数十分、タイキトレに離してもらって周りを見れば、似たような事に陥ってる人達がちらほら。
「ここは相変わらずカオスだねぇ…」
「そんなものじゃない?…所で、僕を持ち上げてどうするつもり?」
「や、タイキがなんか抱いてみたいとか連絡してきたから連れてこうかと」
「…まあいいけど、程々にね?」
──その後、タイキとタイキトレの二人でサトトレを抱いてる姿が見られたとかなんとか。
短文失礼しました
前スレよりBサイズ反転ネタ。あまりにもトンチキが起きまくっててそろそろ皆慣れてそう。(ウマ娘化からしてそうだけどさ)
タイキ、犬を抱き上げるイベがあった筈だしトレーナーがこんなことしてると聞いたら自分もしようとしそう。
≫90二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:41:37
『ヒーローの条件』
背丈も見た目もバラバラな、四人のウマ娘が街を行く。楽しそうに話す姿には、そのあたりの通行人の目をちらちらと引き寄せていた。尤も、白く輝く白亜の仮面をつけたウマ娘のせいかもしれないが。
「いやぁ、今日はしてやられたというわけだな! 見事な差しきりだったぞ、バントレさん」
「乾坤一擲の策……という程では御座いませんが、新たな戦法を試させていただきました。それでも猶鼻差の決着です。まだまだ磨きをあげませんと、すぐに追いつかれてしまいましょう」
「悔しかったけどいい勝負だった! 次は負けないぞバンブー先輩!」
「お互いもっと早くなって、またいい勝負にするっスよ!」
とある重賞レースに参加した二人のウマ娘、ビコーペガサスとバンブーメモリー、そしてそのトレーナー二人のビコトレとバントレ。彼女たちはレース後に息抜きということで開催地の町を散策していた。
「それにしても夕飯はどうしようか? ぜひご一緒にと誘ったはいいが」
「気分で決めるというのもよろしいかと……おや? どこからか音が聞こえますね」
ふとバントレが耳を澄ますと、風に乗って太鼓と笛の音が流れてくる。ほかの3人もそれに気が付いたようで、ビコーはそれに気が付くと耳をピンと立たせてそわそわしだした。
「なんだろ、ちょっと見てくる!」
「あ、猛ダッシュは危ないっスよ!」
たまらず駆け出して行ったビコーを追いかけるようにバンブーが走り、その二人の後姿を見て苦笑しながら大人の二人もゆっくりと追いかけていく。
「祭りか、この近くであるなら見てみようじゃないか」
「えぇ、折角ですからそこで出店の物を買って夕食とするのも乙なものですね」
近づけば近づくほど祭囃子は鮮明に聞こえてきて、夕闇に提灯の明かりがぽつぽつと現れだす。
町の人たちが歩いていたのはこの祭りのためだったようで、大人から子供までたくさんの人でにぎわっている。
「うおーっ! お祭り!」
「ト、トレーナーさん……買い食いは……?」
二人の学生は年相応に目を輝かせ、一方は今にも駆けだしそうになり、もう一方はそわそわとバントレのほうを窺っている。
「こういう時は場に合わせるものです。存分に楽しんでくださいね、バンブーさん」
「よし、焼きそば買いに行くっスよビコー!」
「いっぱい食べるぞ!」
そうして二人のウマ娘は出店のほうへと駆け出していくのであった。
91二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:41:47
「はっはっは、楽しそうで何よりだな!」
「えぇ、子供が喜ぶ姿というのはいつ見ても良いものです。……私たちは大人の味わいと行きましょうか」
「ふむ……まあ、程々に楽しもうではないか。私たちは引率なのだからな!」
「おや、齟齬を感じますね? ……あちらですよあちら」
そういってバントレが指さした先には、火を噴く唐辛子とフランクフルトのイラストの描かれた看板……所謂激辛料理の出店があった。
「……成程! それは失敬、確かにあれも大人の味わいというものだ」
「ああいう出店の、常軌を逸した辛みを追求した物もたまに味わいたくなるものです……」
「うーん、ワタシは流石に最大級の辛さはやめておこうかな! ……しかしそうなってくると、ドリンクは先に確保しておいたほうがいいかもしれないね」
「そうですね、少しあたりを回ってみましょう」
地域のお祭り、といっても規模は様々。この町のお祭りでは市民運動場一帯全てを祭りの会場にしていたため、遠目から見えたものよりも多くの出店が立ち並んでいた。その中にはサイダー専門の出店や軒先に氷水で冷やされた缶ジュースを売るような、出店ならではの光景が広がっている。
「あぁ、昔を思い起こさせる光景ですねえ。子供の頃は祭りに遊びに行ってはよく小銭を数えながら遊んでいたものです」
「限られたお金をどう使うのか? というのはいつの世も子供にとっての難題だろうね」
「ですが、お祭りにおけるお金の使い方は大人になってからも案外悩むものでした。御覧なさい、あの勝負服に負けず劣らずな色取り取りの清涼飲料水。どれもお祭りだからか大変美味しそうですね」
「それも確かに!」
ワイワイと話しながら夕飯にチョイスする飲み物を選ぶ二人だが、ふとビコトレが何かに気が付いたのか周囲を見渡す。
「……どうしました、ビコトレさん?」
「子供のすすり泣く声……のようなものが聞こえないか、バントレさん?」
「……ふむ、確かに。少し遠めのようですね」
「行こう、いろいろと考えるに迷子だろう」
そうして二人は踵を返し、迷子と思われるすすり泣きの音のする方向へと向かった。
92二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:42:01
「ん……ぐすっ、まま……ぱぱ……」
「むぅ、本当に迷子だったとは」
「取り合えず、運営へと連絡するのが先決でしょうか」
たどり着いた場所は出店エリアを少し離れ、明かりの届きにくく少々薄暗い場所。そこに小学校低学年かそれより年下くらいの少女が蹲っていた。
「そうだな、ここは……駄目だ、ワタシが行くとワタシ自身が迷子扱いされてしまう!」
自信満々に走ろうとし始め、自分で自分の体長にツッコミを入れて立ち止まるビコトレ。知り合いにも苦労している人が何人かいることを知っているバントレは、苦笑を浮かべてしまった。
「それも……そうですね。では私が行きましょう。ですが放送席にたどり着くまで少々時間はかかってしまうでしょうから……おや」
そうしてバントレは少女の身に着けているバッグの端に、とあるキーホルダーがついていることに気が付いた。
「ビコトレさん、もしもこの子を元気づけるのであれば、これが必要になるでしょう」
そういうとバントレはバッグの中から一つのお面を取り出した。
「こ、これは! ……これをいつも携帯しているのかい?」
「ええ、極稀に役に立つことが……冗談ですよ、先ほど見かけたついでに買っておいたのです」
「先の先まで考える、素晴らしい判断力……いやそういう問題ではないな。ありがとうバントレさん! 二人で必ずや、この少女に笑顔を取り戻して見せよう」
「勿論です。では、後ほど」
走り去るバントレを軽く見送り、ビコトレは手渡されたお面を顔に装着させる。
(そうだ、泣いた子を元気づけるのもヒーローの証。ビコーに誇れる自分であろう)
そして気が付く。
(……待った! このバージョンの時のはどんな口調が正しいんだ!?)
直近のものはビコーに勧められて観た事がある、しかし過去作品はどうだろう。新作品ばかりが広告に出て昔のシリーズはなかなか表舞台に上がらなくなるのはテレビにおける常。
そう、少女のキーホルダーであり、バントレが渡し、今まさにビコトレが装着しているのは……現行キャロットマンの、ひとつ前のシリーズのものだった。
(ええい、ままよ! とりあえずなんでもやってみろ!)
ピンチにビビってはヒーローになれない。ならばピンチを力に変えて見せよとビコトレは奮起した。
「……やあ君! こんなところでどうしたんだい?」
かくして、(当人にとって)大変大いなる意義を含んだ戦いが始まった。
93二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:42:12
「む、あの後ろ姿。バンブーさん! ビコーさん!」
走るついでにビコーとバンブーを見かけたバントレは、その背中へと声をかける。
「あ、トレーナーさん! この焼きそばめっちゃウマそう……ってどうしたっスかそんな全速力で!?」
「あれ、トレーナーは別行動なのか?」
「ええ、今緊急事態が起きていまして。迷子を見つけたので私は放送席を探し、ビコトレさんは子供を元気づけています」
「ええっ、それは大変だ! トレーナーとその迷子はどこに!?」
「あちらの奥です。ビコーさん、トレーナーさんを手伝ってあげてください。バンブーさん、放送席の場所はわかりますか?」
「あ、それならさっきチラッと見かけたっス! すぐに案内できるっスよ!」
「ありがとうございます、すぐに向かいましょう!」
「じゃ、後で!」
「よろしく頼むっす、ビコー!」
二手に分かれて、それぞれやるべきことをやる。適切に動くことが、事態の早期解決につながる。
放送席にたどり着いたバントレとバンブーは的確に少女の容姿を伝え、放送席からは迷子のお知らせが祭りの会場中に放送される。そうすると汗を滝のように流している少女の両親がすぐに現れ、程なくして少女もビコトレとビコーに連れられ放送席のもとへとたどり着いた。
かくして迷子は親と再会することができたのであった。
「ありがとうございました! 私たちがほんの少し手を放してしまったせいで、この子には怖い思いをさせてしまって……」
「無事に再会できてよかったです。御旅行でしたか?」
「ええ、レースを見に来たついでに……ついで……ああっ、バンブーさんにビコーさん!?」
「お姉ちゃんたちが助けてくれたんだ!」
「……本当にありがとうございました! ファンとして、そして親としてももっと精進していきたいと思います」
「お姉ちゃんたちありがとー!」
そうして親子と別れた四人は、ようやく当初の目的である夕飯を食べることができたのであった。
94二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:42:23
「いやー、あの時のトレーナーカッコよかったよ! クルクルッシュタッて感じのポーズを難なく決めたんだ!」
「それは後でぜひとも見せていただきたいものですね」
「アクロバティックな動きは難しいっスからねぇ……あれ、どうしたっスかビコーのトレーナーさん?」
ニコニコと笑うビコーと対照的に、難しい顔で唸り続けるビコトレ。辛い物が多少原因の一つでもあるようだが、それよりももっと大きな問題があったようだ。
「……いやなに、勉強不足を恥じ入るところだよ……」
「え、一体何があったのですか?」
「……ほら、バントレさんが渡してくれたお面があっただろう?」
「ありましたね、あのお面は役に立ちましたでしょう?」
「うん、間違いなく切り札だったよ。ただ……あれ、現行シリーズの一つ前の作品でね……本当にチョイスは完ぺきだったんだ、ただちょうど知らない作品だったがゆえに口調が正しくない、と少女に指摘されてしまってね……」
「……あぁー」
どうも、一般的な変身ヒーローのような堂々とした口調よりもちょっとキザっぽい口調が特徴のキャラだったらしく、そこを指摘されてしまったようだ。指摘していくうちに少女も気分を取り戻していったため、結果的には良かったようなのだが。
「そっか、トレーナーにはまだ見せてなかったね……」
「ヒーローになる、というのは案外難しいものなのだなと実感するところだね」
ふぅ、と苦笑いを浮かべるビコトレ。それに対して、バントレは静かに首を振るう。
「いえいえ、古今当来誰かの笑顔のために力を発揮できる人は英雄たり得るという言葉もあります。今回ビコトレさんは口調の不一致はともかくとして、今まで会ったこともない少女の笑顔のために奮起し、そして笑顔を取り戻せたのです。それを英雄として何の差支えがるでしょうか?」
「そうだよトレーナー、自信もって!」
「結果的に元気にできたんだから万々歳っスよ!」
「うーむむむ、仮面の同士であるバントレさんと二人に言われてしまえばそう認めざるを得ないか……それでも、もっと良いヒーローになっていきたいものだね」
「なら、アタシともっとヒーローになるためのトレーニングをしていこう!」
「ああ、その通りだな!頑張ろう、ビコー!」
その手で硬い握手を交わすビコーとビコトレ。そんな姿に、バンブーとバントレも笑顔になる。
95二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:42:37
「やっぱり真っすぐな志というものは良いものです」
「だからウマ娘が頑張る姿が好きなんっスよね、トレーナーさんは」
「そうですね。夢を追いかけ、それを叶える姿は素晴らしい物ですから。その一助となるために、私たち指導者たちも日々努力をしているのです……たぶん」
「たぶんっスか」
最後に付け加えられた一言で梯子をずらされ姿勢を崩してしまうバンブー、そしてそれを見て笑うバントレ。
「まあ人それぞれ色々ありますからね。さあさあ、お喋りだけでなく食事も楽しみましょう」
「……それにしても、その真っ赤通り越してマグマみたいな色したフランクフルトをなぜ平然と食べられてるのか、今はそれが一番気になるっスねアタシとしては……」
「食べてみます? 案外バンブーさんにとっても美味しいかもしれませんよ」
「いえ、遠慮しとくっス」
祭囃子が鳴り響く中、食事と会話を楽しむ四人。
思いはそれぞれ、夢もそれぞれ。今日の疲れを癒したら、また明日から走り出す。
そんなウマ娘たちの一幕。
おまけ
「やあやあ、そこにいるお嬢さん……こんなところで涙してどうしたんだい?」
「もっと、もうちょっと声を上げ下げして……」
「むむむ! やぁあやぁあ!」
「ぷぷっ、そこじゃない」
「むむーっ! ヒーロー道とはなんと難しいものなのだろう!」
「あ、すごい! そのセリフはぴったり!」
「ちょ、ちょっとだけ彼女のことが分かったかもしれない……もう一度! やあやあ!そこにいるお嬢さん!」
キザなキャラは難しいと思いつつも、なんとなくシンパシーを感じるビコトレがそこにいた。
≫98二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 01:33:14
9.『在り得ざる歩みの始まり』
一度躓いた者は視線が下へ向きやすくなり、さらなる悪循環を招く。
困難な壁と誹謗中傷。さらには自分の身体を失うという事故に立て続けに直面した自分の精神は限界を迎えていた。一歩間違えればどのようなことになっていたのかもわからない。
また、全く余裕がなかったこともありスルーしかけていたことだが、自分の身体が女性のそれになっているというのはやはり奇妙だ。すぐに受け入れられるわけはなく、この肉体と精神の乖離した感覚にはいつまで付き合っていけばいいのだろう。原因も、そもそも戻れるのかどうかさえ全く分からない。
だが幸いにも俺の交友関係は広くはない。トレーナーになってからは頻繁に顔を合わせるような知人もほぼゼロに近かった。驚くべきことに、唯一の懸念だったバクシンオーはなぜか俺であることをすぐに見抜いてみせた。であれば、解決法の分からない自分の問題よりも優先すべき事項は、俺が一番に考えるべき問題は別にある。
次で結果を残せなければおそらく俺にはもう何も残されない。正真正銘のラストチャンス。何よりバクシンオーを勝たせるために。痛みと責任の全てを背負って。
もう十分、傷つくだけ傷ついたのだから。
「おはようございます、トレーナーさんッ!うんうん、私が差し上げたジャージも似合ってますね!」
ウマ娘という体の構造上、これまでの衣服と同じものをというのは少し困難だ。かといって新調するのも、すぐに戻る可能性が無いとは言い切れない以上その気にはならなかった。だから恥を覚悟で、トレセン学園のジャージを数着貸してはもらえないかとバクシンオーに頼み込むことにした。彼女にはこの所助けられてばかりいる。
「こんな形にはなったが、その…変わらず今まで通りにしてくれると、助かる」
「勿論ですッ!私たちは歩みを止めるわけにはいきませんから!!バクシーン!!!!」
「…そうだな」
99二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 01:34:05
少し間を空けて、本題に入る。
「少しだけ分かったことがある。今までは、お前が中距離以上を走れないのはスタミナ不足によるものだと考えてたが、多分少し違った。もう基礎体力は十分すぎるほど付いている。それは間違いない」
「では、どうしてなのでしょうか?」
「一つの仮説はある。ただ、今お前にこれを話してしまうと効果が出ない可能性がある。だからしばらくは話せない。…信じてもらうしかない」
その言葉に反応して、一瞬だけ、バクシンオーの表情と口調が変わる。
「…二度は言いません。それに関してはすでに答えを申し上げましたので」
「…ああ、そうだったな」
もう、言葉はいらなかった。
「始めるぞ。勝つために」
「はいッ!!!」
10.『夢の追想(剪定)』
『いッッッッぱいあるんですよ!私が勝たなければならないレースは、短距離以外にもッ!!』
何を変なことを言っているんだと、初めはそう思った。
『スプリンター、マイラー、ステイヤー、─その全てを兼ね備えてこそ模範!』
『それでこそ!学級委員長なのですッ!!』
どう見つもっても勝ち目のない適正外の距離に臨もうとする姿勢。逆に、デビュー前にも関わらず短距離ではもう自分に敵はいないかのような傲慢な態度。かけられた『スプリンター』としてのスカウトを一蹴する行為。
サクラバクシンオー。彼女の言動の何もかもが、俺にとっては理解しがたいものだった。
『先ほどからずっとそちらで私を見守っていらっしゃった貴方!!私に言いたいことがあるのではッ!?それとも…。もしや貴方も、“スプリンターとして”私をスカウトするおつもりでしたか?』
─その気が全くなかったと言えば嘘になる。でも、それ以上に。
『ここで迷いなく「NO」が出ないのならば、大変心苦しいのですが、お断り─』
『分かった。やろう』
まるで自分にも言い聞かせるかのように、気づけばそう答えていた。
『せねばなりませ…。んん?今、なんと?』
『俺を、トレーナーにしてほしい。俺が、絶対に、お前を望むレースに走らせて、勝たせて見せるから』
無茶苦茶だ。意味不明だ。理解不能だ。そう頭で思ってはいても。
思えばこの時から、俺はあいつの走りとスピードに、どうしようもなく惚れていたのかもしれない。
この時。決定的に、何かが変わった。
100二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 01:35:07
11.『望まれなかった奇跡が二つ』
「…緊張してんのか?」
「そ、そんなことありませんよッ!?見てくださいこの溢れんばかりの学級委員長オーラを!レースが始まる瞬間を今か今かと待ちわびて─」
「んなオーラ見えねぇし分かんねぇよ…」
きっとお互い不安で仕方がないのだろう。やれるだけのことをやってきて、お互いどれだけ信じ合っていても。癒えない過去はまだ側にあるのだから。
でも、後ろばかりは見ていられない。俺たちは前に進む。そのために、ここに来た。
「難しいことは考えなくていい。思うままに走ってこい。それが必ず最善に繋がる」
「…も、もちろんですッ!!大バクシンをみせてやりますとも!!!」
「ああ、行ってこい」
何を言っても正解かどうかが分からなくて、結局言えたのはそれだけだった。
拭いきれない不安と恐怖は必死に押し込めて。
信じて信じて信じ続けて。力が少しでも届くようにと、ただ、それだけを思い続ける。
メジロマックイーンの三連覇。この年の天皇賞(春)は一つの大きな期待とともにあった。そしてそれをライスシャワーが阻んだことは、また大きな話題を呼んだ。
だがその影で、もう一つの奇跡が起きていたことを知る者は多く無い。
「ハァッ…ハァ…ハァ、ハァ…」
息を切らし限界を迎えても、その勇姿は立って上を見上げ続けていた。
「…お疲れ」
やっとのことで辿り着いた迷路の終着点は、俺たちの目指す場所の入り口に過ぎない。
それでも。不安と恐怖と絶望の中で俺たちは確かに希望を掴み取った。
「なぜ…トレーナーさんが泣いているのですか?」
こちらへ振り返った彼女はそう静かに言った。
「…お前の泣き顔があまりにも似合わな過ぎてるからだよ」
何かを誤魔化すように。照れ隠しのようにそう言って無理矢理笑って見せる。
「あはは…なんですか、それ…。まるで、私が、泣いているみたい…じゃないですか…」
初めて見せたサクラバクシンオーの表情。それが持つ意味の大きさを、俺は受け止めないといけない。
天皇賞(春)、5着。
不器用でも、大きな一歩を俺たちはこの日、踏み出した。
101二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 01:36:05
12.『君の夢に境界はいらない』
『短距離であれば勝つ』
これは自他ともに認める、サクラバクシンオーの持つ実力に裏付けされた事実。
だが裏を返せば、それは『短距離でないと勝てない』という意味をも孕んでいる。事実その壁は、クラシック期の俺たちを強く阻んだ。
課題は『距離』。それを考えた時、どうしても気になることがあった。
それは、そもそも『短距離』とはどの距離を指すのか?という問題。
俺が昔にやった学校でのヒトの短距離走なんて50mや100mが精々で、1000mを超えてくればもう長いと、そんなふうに感じていたと思う。でもそれはウマ娘のレースにおいては『短距離』に区分される距離だ。前提が違うと言われればそうなのだが、結局、短いや長いといった概念はその範囲内での相対的なものでしかないということだ。
そんな当たり前のことに気づいた時、一つの可能性に辿り着いた。
それは、『短距離でしか勝てないのならば、全てを短距離にしてしまえばいい』という考え。
1200×2が2400ならば、4800は2400×2。1200×3が3600ならば10800は3600×3だ。
要は中・長距離を『短い』とバクシンオーが認識さえすればいい。そのために、レースでは決して走ることのないほどの長い距離をただひたすら一緒に走り続け、距離の概念の境界を曖昧にする。ほぼ毎日、それを繰り返した。
バクシンオーの単純さは彼女の美徳だ。彼女がそう思い込めば絶対に走り切れる。賭けでもあったが確信でもあった。必要な基礎能力はすでに足り過ぎている。
彼女の理想の実現には、距離という概念そのものが邪魔だった。
ずいぶんと遠回りをしてしまった。時間もかけてしまった。歯痒い思いもさせてしまった。
もう、障害は無い。
─あとは、驀進するだけだ。
102二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 01:37:25
13.『信じてる。信じてます』
「はー、美味しかったです!やはり桜餅はココが一番!トレーナーさんもぜひお一つどうぞ!!」
「どうぞもなにも俺の金で買ったんだが…」
とある日の昼下がり。息抜きに訪れた神社で休みながらそう答える。
「はぁーっ、結局俺の身体は戻んねぇままか…」
「いいじゃないですか!どんな見た目でもトレーナーさんはトレーナーさんですよ!!」
「そう簡単にお前は言うけどさぁ…」
一年以上時間が経っても元の男の身体に戻ることはなかった。突然姿が何もかも変わり、原因も分からず戻る気配もないというのはホラーなことこの上ないが、ウマ娘としての生活にも微妙に慣れてきてしまっているあたり、ヒトの適応能力を侮っていたのかもしれない。戻りたいという気持ちはあるが、別にもうどうでもいいやという投げやりな気持ちになっていたりもする。
そんなふうに今の俺がいられるのは、きっと。
「傷は、治りましたか?」
となりにいるこいつのおかげなのかもしれない。
「…ああ、おかげさまで」
「それはよかった!体は大切にしないといけませんからね!!学級委員長的にもNGですから!!!」
そう何気なく言ってみせては、また夢中で追加の桜餅を頬張っている。
本当に、分からない。俺がウマ娘になったあの日のことも。いや、そのずっと前から。彼女の目には何が見えて、そしてどこまで見えているのだろうか。
「そういえば、ずっと気になっていたことがあるのですが!」
「?」
「どうしてトレーナーさんは、あの時私をスカウトしてくれたのですか!?」
本当に、分からないけれど。
彼女のトレーナーになれたことは、感謝してもしきれないほどの幸運だった。
「…ほっとけなかったんだよ。あの時のお前があまりにもアホなことして、滅茶苦茶なこと言ってるから」
「むっ、聞き捨てなりません!学級委員長である私のことを今アホと言いましたか!?」
「言った言った。なんなら今もまだアホのままだ」
「なんですとー!」
こんな日常も、全然悪くないと思える。
「全生徒の模範になる。理想の学級委員長にはなれたか?」
「まだまだ、終わってませんッ!…これからも、着いてきてくれますか?」
「当たり前だろ。俺はお前のトレーナーなんだから」
バクシンロードは、これからも続く。
≫114IP規制の巻き込まれががが…22/06/15(水) 07:36:05
「えへへ、こうやって寝るのもいつ以来かな…」
「さて、いつだったかしらねキタ。」
夜更け、キタトレの家にて。彼が使う部屋に置かれたベッドの上でキタサンとキタトレの二人は密着していた。
大きめではあるが元々一人用だというベッドは、二人…それも片や178cm、片や162cmの巨乳な二人ではやや狭い。
「わざわざここに入らなくてもいいのよ…と言っても野暮でしょうけど。私は別に構わないし」
「…トレーナーさんとこうして寝るといつもより寝やすい気がするんです。多分他の娘も同じことを言うんじゃないかなぁ」
「うふふ、私に安眠効果でもあるのかしら。」
「でも、本当にあるのかも…」
仰向けで肩同士触れ合う状態、勿論これでも互いの熱は感じるがこれだけでは足りないとキタトレは腕を伸ばす。
「…!」
「やっぱり、こうするのはいいわね。…あんまり出来る相手はいないのだけど」
体を横に向け、伸ばした腕を縮めて抱き抱えるようにキタサンを引き寄せればその温かさがじんわりと感じられる。
逆に密着させられたキタサンからすれば、顔を…というか全身を包みこんでくるキタトレの体温が眠りへと誘おうとする。
「トレーナーさん、もしかして抱きまくらとかって使ったりしてるんですか?」
「いいえ、あんまり使わないわよ。私が求めるのはどちらかといえばこうやって隣で寝てくれる人かしら。」
「じゃあ、一人だと寂しかったりとか…」
「そうね、別に一人でも構わないといえばそうなのだけど、でも人の温かみを感じれる方がいいわね。」
眠気がぼんやりと頭の回転を阻害し始める。キタサンも対応するかのようにキタトレに腕を回して抱きしめた所で、キタトレは鼻唄を歌い出す。落ち着いた曲調と静かな音色が、張り付くような距離じゃないと顔をはっきり見えない暗い空間を満たしてくれる。
キタトレは彼女の背中をさすり、手放さないように抱く。キタサンは彼の胸元に頭を押し付けて眠る。
──温かい空間の完成形だった。
短文失礼しました
添い寝、いわゆるママ組は近くで寝ると寝やすいのかもしれないし、人肌は結構安眠には効果がありますよね。
キタトレも一人よりか誰か近くにいる方が好きなタイプです。こうやって直接感じられるくらいだと尚更。
≫120二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 08:32:33
「……これが、彼の重み……」
本来はない二色の流星、本来はない大きな胸。
私は今、魔ルド──彼の身体になっていた。
そして、明らかに重量感伴うそれを眺め、驚き、そして触ろうと軽く上からなぞるだけでその身体はこちらに感覚を返してくる。
なんなら、下から持ち上げるだけで既に怖くなる。
そんなところを話しかけてくるのは……
「トレーナー君?」
私の身体のルドルフが、こちらを伺ってくる。
ある意味、彼に使われなくてよかったとも思う。
──きっと、己の身体のことを自分より理解してしまうのではないかとも思ってしまったから。
「ああ、ルドルフ……」
「……それにしても。なんだか、いつもより避けられる気が……」
そう言う彼女の雰囲気はいつもと変わらないが、ややキツい印象の私の目と合わさり若干の圧を感じる。
……彼なら、それを上回る愛嬌で覆い尽くしてしまうのだろうが。
「気のせいだと思うが……」
「そうか……そうだと、いいな」
「……ところで、彼は?」
「ああ。『他の人と"そういう"ことをしなければ何をしてもいい』とだけ伝えて、チームトレーニングに向かったよ。多分今頃私としてトレーニングに励んでいるだろうな」
「……人に休めと言っておいて自分は自分なりに働く。ワガママというか、矛盾と言うか……」
「だが、それに助けられているのも事実だからな……」
「ああ……」
121二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 08:34:10
二人して色々と彼について語らう。外では、チームがトレーニングに励む声が聞こえる。もしかしたら、彼のチームなのかもしれない。
と、考えていると、ルドルフはこんなことを言い出す。
「ところで、だ。少し椅子に座ってくれないか?」
「……?ああ、大丈夫だが……」
そうルドルフに頼まれ、そっと椅子に腰かける。
そうすると、ルドルフはすとん、とこちらの膝に乗ってくる。
なんとなく彼の胸の圧迫感と自らの身体の体重、そして体温と──少し不思議な匂いを感じる。
そうして、微笑んだルドルフが、こう言ってくる。
「……たまには。こういった体験も良いだろう?」
「……ああ。ありがとう、ルドルフ」
「感謝するなら彼だ。これも、彼の言い出したことだからな」
「……あの人は、何を考えてるのやら……」
結局、二人揃ってうとうとしてしまうまで時間はかからないのであった……
≫137二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 16:55:55
前スレの200の担当と寝るssです。
ある日、シンコウウインディの寮のルームメイトがいない日があった。ウインディはルームメイトがいないと寝付けないため、シントレに一緒に寝たいと駄々をこねるように頼んできた。シントレはウインディならいいかなと思いその要求に応えることにした。
そしてその日の夜。
「トレーナー!そろそろ寝るのだ!」
シントレ宅のベッドに入りながらウインディは元気よくそう言った。
「寝る準備…万端ですね…。」
「当たり前なのだ!わかったらベッドに入って来い!早く寝るのだ!」
「ならそろそろ寝るとしましょうか。」
シントレは部屋を暗くするとウインディと同じベッドに入った。
「大丈夫ですかウインディ?狭くないですか?」
「全然平気なのだ!」
シントレが聞くとウインディは笑顔で答えた。
「…それにしても、誰かと寝るなんて久々ですよ。」
「そうなのか?」
「まあ…ずっと一人で暮らしてたので…。」
「寂しいと思ったりはしないのだ?」
「寂しくはないですが…。でも、こう誰かと寝るのも…やはりいいですね。」
シントレはほんの少しだけ微笑みながらそう言った。
「なら、今度またウインディちゃんが一緒に寝てやるのだ!」
ウインディも笑みを浮かべていた。
しばらくするとベッドの中も温まり、眠気が押し寄せてくる。すると先にウインディが穏やかな寝息を立てながら寝始めた。その様子をシントレは見ている。
(また…一緒に寝るのもいいかもね…ウインディ…。おやすみ)
心の中でそう思いながらウインディの頭を軽く撫でるとシントレもゆっくり眠りについた。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part780【TSトレ】
≫12二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 21:31:36
『😠🤬💢』
「いやいやいやいや。いくらなんでも清酒はダメでしょぉ?」
『のまのま?』
「いぇい! じゃないんじゃよ。若い子わからんじゃろソレ」
『飲み会で酒が飲めないとは何事かー!』
「とりあえず鮭とば食べぅ?」
「たべぅ」あぐー
「いやそれもしょっぱいからやめ……こ、此奴、まるで離さんッッ」
「オペトレさん、なんですかアレ」
「アレはねダストレくん。中年トレーナー飲み会名物イクトレさん一本釣りだよ」
「愉快な飲み方してんなァ……」
うまぴょいうまぴょい
≫36二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 23:10:41
『お酒ください、出来ればきついの。』
「やらないぞイクトレ、まずその体が耐えられないだろう。」
「イクトレさん…僕達がお酒を渡すわけないですよ」
「流石に駄目だよイクトレ」
ボードを手に酒を貰いにきたイクトレ、それを止めるのはファイトレ(女)、フジトレ、ニシトレの3人。奇しくも一人を除いて全員が30超えな中年トレーナー達だった(年齢不明のファイトレ?こいつ散々昔のこと引きずってる中年女性じゃn【放送規制】)
「はあ…で、酒は駄目だからおつまみをってする訳ない…って待てニシトレ、渡すんじゃない」
「いや…スルメを取ったらかぶりつかれて…」
「あんな瞳されたら僕達もちょっと…」
「👍」
美味しそうに食べる姿に、一瞬強引にでも離そうかと思ったファイトレ(女)はその思考を放棄して切り替える。
ちなみに今ここにいる中でフジトレとニシトレはアルコールが思考は出来る程度に入っており、他二人は素面である。
「お酒注いでおきますね」
「ありがとうフジトレ、ファイトレ(女)は…って何故イクトレを抱き上げてるんだい?」
「下手に放置するより寧ろ私が確保しておいた方が良さそうだと判断したんだ。簡単には抜け出せないさ」
「ぅぐぅ…」
力こそ小さいがウマ娘仕様のイクトレ、しかしホールドしてるのはあのファイトレ(女)である。きっちり確保されていた。
…まあ、3人から定期的に適度な量供給されるスルメ等のおつまみによって大人しくなったので結果オーライだろう。
「それと、貴方はまた我慢してるのかい」
「…気にするなフジトレ、私はそこまでヤワになった覚えはない。それにポーカーフェイスならフジトレと同じくらいに出来るとも」
「俺もウラトレから聞きましたよ、あの件の一部始終。」
「…」
二人に隣から肩を叩かれ、ため息を一つついたファイトレはぐっとビールを煽る。空になったジョッキを置くと二人に笑いかける。
「ああ、大丈夫だとも。私は潰れたりはしないさ。それよりも二人ともまだ飲めるだろう?気分をリセットするには丁度良い」
『なら私にも』
「「「駄目だ(です)」」」「(頬を膨らませる)」
────その後3人で相当飲んだとか。
短文失礼しました
中年(?)トレーナー達の集まり、フジトレやニシトレの同年代の人に対する対応が合ってるのか自信がないです。
酒貰いに行って駄目と言われるイクトレ。ファイ女も例の件はね…
≫39二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 23:45:51
「実際お酒の知識ってどうなんですか、ブラトレさん」
「正直詳しくないんだよなー。まあ飲めりゃいいな楽しめりゃいいな程度だからな」
「意外とそういうものなんですねえ」
「これでもウマ娘になってからちょっと強くはなったんだぞ? ……レベル50が平均値として、レベル25から3~40あたりに増加した程度だけど」
「だから飲みすぎると記憶が飛ぶんだな」
「……まあそんな感じだな。一応ぎりぎり何とかなる範囲だけは把握しきってるからよっぽどのことがない限りは記憶の消失は起きない、うん」
「つまり私が御呼ばれした時のあれは……」
「……テンションが高くなりすぎた」
「男の頃でもほぼそんなことなかったのにな……生徒会で飲むときも気分が良いくらいどまりだったろうに」
「まああれよ黒ルド、お酒で気分良くなってた時にルドトレとマクトレに上手いこと乗せられたわけだ」
「……そんなに煽りに弱かったか、お前……?」
「わからん……全然わからん……勢いって怖いなとだけ……」
≫43二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 06:23:24
「ストゼロごくごくですわ。侘助おかわりを持ってきてください!」
「兄貴そろそろやめたほうが……」
「あら?言うようになりましたわね。あのときは……」
「今すぐ持ってまいります!」
「マクトレ様には負けませんことよ。マヤトレ様次をお願い致しますわ!」
「ロレトレ急に倒られても困るぞ」
「きちんと許容量は理解してるつもりですわ。それにあの名門メジロの至宝・マックイーン様……そのトレーナー様と戦えるなんて……とまた口調の脚色が過ぎましてよ!?」
「ロレトレが大丈夫っていうなら」
「「「おいおいすげーぞあのエセお嬢様二人でここの酒全部を飲み尽くす勢いだ」」」
「「エセとはなんですの!!」」
≫58二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 17:54:31
グラ「お酒の席という事で〜、おツマミを作りましたよ~」
スペ「おっ、助かる」
エル「コレは……揚げ物の盛り合わせかな?」
グラ「そうですよ~、天ぷらと唐揚げそしてフライですね~」
セイ「美味しそう! ……だけど、ちょっと油がキツイかも……」
グラ「大丈夫ですよ〜、セイトレさん用に塩茹でも作ってますので~」
キン「流石、気が利……待て」
グラ「どうかされましたでしょうか~」
キン「いや、この塩茹でってザリガニ……」
グラ「……実は〜、天ぷらもですよ~」
エル「ええっ!? もう食べたよ!?」
セイ「味は?」
エル「……美味しかった」
グラ「フランスではザリガニも高級食材ですからね~、ちなみに唐揚げがウシガエルでフライはブルーギルですよ~」
スペ「ウシガエル!? ……通りで妙に唐揚げにしてはさっぱりとした味だと……」
セイ「いや〜、グラトレに連絡して正解だったよ」
キン「共犯者!?」
セイ「スカイと池に釣りに行ったら沢山釣れたんだよね、外来種だからそのまま放流するのもなーって」
グラ「という訳で調理してみましたよ~」
エル「なんて調理技術の無駄遣い……」
スペ「でも、思っていたより美味しいなコレ」
グラ「元はどれも食用として持ち込まれた物ですからね~、泥臭さをどうにかしたら美味しく食べれますよ~」
スペ「まあ、実際美味しいしな……簡単なら調理方法教えてくれない?」
グラ「別に構いませんよ~」
キン「えっ……気に入ったの?」
スペ「いや、金欠の時の非常食として……」
スペトレ以外「「「「スペトレ……」」」」
うまぴょいうまぴょい
≫83二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 21:00:57
●後ろ髪●
「忘れ物はないかしら?」
「うん。何回もチェックしたでしょ?」
「そうね…うん、そう」
ガラス張りの窓からは夏の陽気が燦々と差しこんでいる。
成田国際空港、国際線ターミナル南口。多くの飛行機がここに一時着陸し、手の届かない場所へと飛び発って行く。オベトレはそこでオベイユアマスターと共に、彼女のサンディエゴ行きの飛行機の待ち時間を潰していた。
「懐かしいわね…ここ。パパラッチが沢山居ると思って、飛行機の中で散々一緒に確認したのに」
「だーれも居ない、ルナシーに皆ひかれててね…。懐かしいね、あの頃」
ジャパンカップをまさかの伏兵が、しかも連覇ときた。加えて、ドリームトロフィーリーグでも異国情緒溢れるエンターテイナーとして観客を熱狂させ、そんな中の引退。栄光と歓喜だけではなかったにせよ、その引退は、彼女にとって異国である日本だけでなく海を渡ってアメリカでも大きな話題を呼んだ。
それでも、いつかは来ると分かっていた。今日みたいな、互いに袂を分かって、それぞれの道を歩み出す時が来ることを。その日を迎える覚悟も、出会った時から決めていた。
それでもやっぱり、悲しいものは悲しい。
「…忘れ物、して欲しかったなんて言うのは…ひどいわがままね」
天井を仰いで、ため息を一つついてオベトレが言う。
「向こうではどうするの?」
「ンー…変わっちゃった向こうをきちんと見て、それからのことは未来の私に任せる。どれだけ情報を調べても、実際見ないことにはわからないし」
「百聞は一見にしかず、だったわね。やっぱりタマモクロスちゃんのおかげ?」
「Yes.学べたことも多かったし、それに何より、楽しかった」
84二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 21:01:25
「…もう、仮面を被るのはやめたのね」
「今の私は、もうあの頃の私と違うしね。自分を偽る必要もなくなった。それに…恥ずかしい」
顔を少し赤らめるオベイ。最初はとてもビックリしたわ、と笑うオベトレをこつんと小突く。
「もうベイも大学生ね…あっという間だったわ。本当に」
「それ、何度目?」
「何度でも言うわよ」
再びの、沈黙。雑踏の音だけが場を満たす。
「…飛行機、来ちゃったみたいね」
「本当だ。……もう、来たんだ」
アナウンスの放送がその沈黙を破った。二人のこれからの分かれ道の分岐点。
「おいで、ベイ」
両腕を広げて彼女を抱きしめる。強く、ちょっと苦しいくらいの力で。
「これまで、ありがとう。あなたと一緒だから、私はトレーナーとしてここまで来れたわ。あなたと、オベイユアマスターと出会って、オベイユアマスターと歩みを一緒にして。ずっと、ずっとこの時間が続いてほしいとさえ思ったわ」
目に涙を浮かべて、その星を濡らす。
「でも、あなたはあなたのままでいてほしいから。あなたは、私のじゃないから。泣かないで見送りたかったけど…こんな、ダメダメなトレーナーで、ごめんね」
腕の中のオベイはその胸に顔を埋めて、オベトレを抱き返した。
「私も、トレーナーがいたから、走り続けれた。脚のことだって、トレーナーが命をかけてくれたから、ここまで私は輝けた。ただただ…あなたに感謝を。ありがとう、マイトレーナー。私の、愛しの人」
涙を浮かべた、その目には、もう星はない。けれど、それは目の前のトレーナーの中で、輝き続けている。
その匂いを。腕のあたたかさを。心臓の鼓動を。流れる血潮の懐かしさを。二人で過ごしたこれまでの日々を。泣いたことを。笑い合ったことを。慰めてもらったことを。全部ひっくるめて、全身に焼き付ける。
85二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 21:01:51
「…私、きちんと恩返しできた?」
「ええ。お釣りが足りないくらいに」
永遠を誓うように、互いの存在を忘れないように、抱き合って。
最後に、キスをひとつだけ。ここからは、もう会えないかもしれないけれど。
「Have a super funny life! My lover!」
その金色を靡かせる従者は、自身の主人にさよならを誓い。
「I couldn’t be a perfect without you…I’ll standing with you forever!!」
その人生を捧げた友は、執事を一生思うことを誓った。
その、すこし寂しそうな背中には、もう彼は必要ない。彼女はもう、一人じゃない。
長いようで短かった、その数奇な運命を大切に仕舞い込むように、ゲートを通る半身を見送ると、踵を返す。
見送りはしない。もう、彼女は彼女だけで生きられるから。
「……さようなら。どうか、元気でね」
86二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 21:02:38
『🎬』
「…終わったかしら?」
『👍』
「ベイは…あ、いたいた。終わったわよ!」
ぱちんとカチンコを切ったイクトレの前で、足早に駆けてきたオベイはオベトレに飛びつく。そのままくるくるいくらか回ると彼女を下ろした。
『とても素晴らしい演技だった』
「演技…演技ねえ」
カメラマンや音響がデータのチェックをする中、二人は渡された水を飲む。
実は今日は映画の撮影。それもURA直直の依頼だ。曰く、トレーナーとウマ娘の別れの話を作ってくれと。
なぜこんな依頼が舞い込んできたのかわからないが、そこで指名されたがオベトレとオベイだった。(実際ネイトレとネイチャが指名されかけたらしいが、噂だ)
「OKです!」
チェックが終わったらしく、スタッフの間で一気に弛緩が広がった。
『🙋♂️』
「あら、イクトレさんどうしたの?」
『君の演技は、まるで演技ではなかった。理由はあるのか?』
「理由…ね」
椅子に座らせたオベイの髪を直しながらオベトレは言う。
「はじめて出会った時から、きちんとそのことは決めているのよ。ベイは、私の中で一番大事だから」
母のような雰囲気で髪をすく彼女は本当に家族のようだ。
「もちろん私の出会いはぜんぶ大切よ?それでもベイとのはとびきりなの。だからこそ、きちんとお別れの時はわかっておくの。別れを分かっているからこそ、それまでをいっとう大切にしよう、って思える」
「トレーナーとはずっと一緒よ?」
「それでもよ。終わりがあるからこそ美しくあれる。誰の言葉だったかしら…?」
「I don’t know…それよりも今は楽しみましょ!」
「そうね。パーティーも終わりとなると悲しいものね」
現場の方から「次のカット撮りまーす!」との掛け声があった。確か再び出会ってのキスシーンだったろう。
「ベイ、大丈夫かしら?」
「Of course!ばっちり私たちの愛を見せつけてあげましょ!」
そうして2人で手を繋いで、現場へと戻るのだった。
ちなみにその映画は大好評で、オベトレとオベイに入ったお金で(もちろん貯金分きちんと取っている)今回撮影に関わったトレーナーと飲みに行くのはまた、別のお話。
その席には、ネイトレ(最初の主演疑惑)、イクトレ(技術提供)、ロブトレ(衣装、台詞監修)が参加したとか。
≫118二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 22:46:03
──酒宴、誰も彼もがどんちゃん騒ぎに走るそれは、いつでもどこでも用意さえすれば開かれると言っていい。
DK4もまた例外ではなく、ブースターたるアルコールが全員に行き渡りだした頃、そこに近づく小さな人影が。
「?」
「あれ、サトトレと黒ルドトレか?しかもなんか酔ってる…」
「すげぇポワポワしてるなぁ…」
「で、どうするんだ」
「…おっとですわ」
ふと寄ってきて倒れ込む黒ルドトレをキャッチしたマクトレは、膝上にのせたままおつまみをパクパクしだした。
「重くないのかマクトレ?」
「重量感はありますが…まあ問題ありませんわ。」
「でもなんか心地良さそうだよなフクトレ…」
「…んぁ」「!」
こちらもふらつくサトトレを引き寄せると、ほっとくのも不味いと思い膝上でホールドする。体温が凄く温かい。
…思わず目を閉じ顎をそのふわふわの頭にのせるフクトレ。抱き締めると感じる熱が火照った体を芯から温めてくれる。
「…」
「フクトレ?おーい?」
一方、膝上に重みを感じながら飲食するマクトレの隙をついてブラトレは黒ルドトレを引き取ると揉む。
ムニムニ、モミモミとほっぺたとかを揉むブラトレ。ついでにわしわしと片手で頭を撫でる。余り抵抗しないのが更に拍車を掛けた
「テイトレ、お前も揉んで…って寝てる…」
「zzz…」
いつの間にかフクトレの膝上からテイトレの腕の中に移ったサトトレと、それを手放さないよう抱きしめて眠るテイトレ。
その顔は酒の影響もあるのだろうが、結構緩んで心地良さそうな顔で寝ており、抱き枕代わりのサトトレもスヤスヤ眠っている。
「寝てしまったか…」
「まあ後で部屋にでも送ってやればいいですわ。それよりブラトレは黒ルドトレを早く返してくださいまし」
「俺はまだ揉んでたいんだ!」
…いつもならあまり見れない光景だった。
短文失礼しました
酒ネタなので以前のスレのネタをサルベージして一つ。ちっトレは早く皆にワシャワシャされるんだ!
酔った時の行動がいまいち把握出来てないのでエミュがガバいかもしれない。ですので腹を切ります。
≫133二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 03:51:01
炎に連なる種族がサラマンダーならば、風に連なる種族はシルフ、そして水に連なる種族がウンディーネであれば、土に連なる種族はノームである。
大地創生とともに生まれたとされ、最も地のマナに親しんでいるのが彼らであり、地下のことなら彼らに聞くのが一番だ。彼らは荒野や山に現れ、鉱石掘って暮らしてる。
炭鉱の奥から歌が聞こえりゃ、そこはノームの酒盛り場。洞窟の奥からいびきが聞こえりゃ、そこはノームの休憩所。鶴嘴ふるってガッツンガツン、銅掘れ鉄掘れ金を掘れ。掘ったら溶かして新しい得物、更なる穴を掘り進め。
そんなノームの一人がここ、大陸中央の活火山へとたどり着いた。金髪で他のノームよりも一回り小さく、そして突飛なレベルの迷い癖持ち。
「……おかしいな?僕はただ街へ買い物に行ったはずなんだけどなあ」
「それでなんで、サラマンダーの住処までたどり着いてるんですか?」
「何でだろうねえ、神様の恨みでも買ったんじゃないの?」
「その結果が方向音痴ならなんと陰湿な神様……」
オッドアイのサラマンダーが迷い込んだノームを見かけたとき、大層焦ったのは言うまでもない。サラマンダーの住処である活火山はどこの洞窟も高温で、場所によっては溶岩が噴き出すような超危険地帯。並みの冒険者ではあっという間に真っ黒な灰になって教会送り、その後は無事復活するように詠唱をささやいたり祈りをしたり念じたりしていたりするレベルなのだから。
「じゃあ僕はお土産でも掘ってから帰るかな」
「え、本気ですか?」
「……何が?」
「いや、このレベルで迷うのに案内もなしに火山洞窟に突撃する、と?」
「案外何とかなるもんだよ」
「……そんなもんですかねぇ」
その後、うっかり火竜のねぐらに入り込んでしまったり、大土竜の頭を鶴橋でぶったたいて追い掛け回されたりもしたが、無事に帰り着いたらしい。
……その後どこで迷ったかというのは情報としてサラマンダーの耳には入っていないので、無事ということにしておいた。
≫148二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 08:35:27
「zzz…」
「やはり寝ていますか」
ベッドにもなるタイプのソファに身を預け、夢の世界へと旅立っているファイトレ(男)の元に来たSP隊長。
ファインそっくりな見た目で、似たような振る舞いすらしてみせる彼をそっと起こさぬよう抱き上げる。
(まあ、そこにあるお茶に仕込んで眠らせたのは私達ですが…許してください、殿下からの頼みなのです。)
「トレーナー殿を確保した、そちらの準備は?」
『後5分で終わります隊長』
「了解した、私は彼を連れて向かう。オーバー」
ドアを閉め、トレセン内を歩く。周りからの視線は怪しむようなものではなく、特に気にするそぶりもない。
それでも長時間衆目に晒すのはアレなので手早く目的の建物に辿り着くと気配を薄くして入っていく。
『準備出来ました隊長。殿下も隣にいます。』
「こちらはもうすぐ着く、寝かせたら開始する。」
目的の部屋に辿り着く、扉を開けて入ると部屋に二つ置かれたベッドの片方に起こさないよう慎重に寝かせる。そして退出。
「モニタリング開始」
合図を送り、建物から出て隣にある使用中の空き部屋に入る。撮影機材等が置かれた中にはSP達やファインの姿が。
「…何も知らぬは彼だけですか。」
「ああ、殿下の思いつきに巻き込んだ形になるが…」
「ドッキリに協力してくれてありがとう皆!勿論フジ寮長とグルーヴさんにも協力してもらってるから大丈夫だね!」
「はい、根回しは済ましてあります」
…起きたら担当の部屋で寝ていたというドッキリ、企画者は無論ファインで必要な根回しは全て済ましてある。
ちなみに話を持ち掛けられ最終的に協力したエアグルーヴは、ファイトレ(男)に若干哀れみの視線を向けていたとか。
「!、起きてきました」
「ふっふーん、キミはどんな反応をしてくれるのかな?」
──ネタバラシするまでの彼の反応に、ファインは満足したとか。
短文失礼しました
ドッキリに巻き込まれるファイトレ(男)、何も知らなかったのは彼だけです。若干かわい…そうですな。
この手のドッキリ、やるならキチンとやりそうな殿下。協力したフジもグルーヴも若干引いてそう…いやどうだ…?
≫152二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 09:12:03
野を越え山を越え、或いは川を越え。
時に愉快な魔物達の協力を得ながら、魔術師とその弟子は旅を続けていた。
そんなある日、二人は野営をすることとしたのであった。
「さて、タンホイザ。今日はこのあたりで休もう。ある程度開けていて、少し離れた低いところに川がある。つまり水浴びも出来る、というわけだ」
「山の天気は変わりやすい。だからこそある程度高い場所を選ぶ、ですね!」
「ああ、そうだ。といっても、雨が降ればテントに雨粒が当たる音で目が覚めるかもしれないが……」
そんな話をしながら乾いた枝やなんかを集め、焚き火を作る二人。
当然ながら、そうしていると"何か"が寄ってくる。
「……なんか明るいと思ったら……火?」
「……おや?」
「師匠、また何か見つけたんですか?」
「あれは……スライムだ」
そう、木の影から二人を伺うのは薄灰、或いは芦毛──毛はないが──そんな色の、硝子のようなスライム。
「……スライム?」
「ああ。スライムとは不定形の魔物で、その組成はは──おっと。私は悪い人間ではないよ」
「その台詞俺のものな気がするけど……まあいいや。といってもあんま近付きすぎると水分が逃げるからここで……」
「ああ、成程。それがいいだろうね」
「……スライムの組成って、つまり……」
「主に水分、次に魔力だ」
「成程ー……」
そうして、なんやかんやスライムと魔術師師弟の合流が始まるのであった……