不遇特性(ポケモン)

登録日:2018/03/10 Sat 21:35:00
更新日:2025/05/12 Mon 16:18:20
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ポケモンには特性という能力が設定されている。
本編・対戦共に特性の強さはそのポケモンの使い勝手を大きく左右する。
世代が進む毎により強力な特性が登場することも多く、種族値・タイプ・技以上に大きく強さを左右するとの声も。
事実、対戦環境上位のポケモンで「特性は貧弱だが他の部分は優秀」というものは殆どいない。
いたとしてもより強力な特性と比較しての相対的な評価であり、単体で見れば十分強力な特性であることが多い。
そもそも元々強いポケモンに強力な特性が与えられ、弱いポケモンはその逆…という調整も少なくなかったりする。
スキルスワップ」で相手の強力な特性と交換する手もあるが、それができるのもごく一部。


本項目ではポケモンが持つ特性のうち、様々な理由によって対戦環境であまり日の目を見ない特性を紹介する。
単純に効果が貧弱なものも多いが、効果自体はそこそこ有用でありながら他のより優秀な特性の影に隠れがちなものもある。

なお、明らかに対戦を度外視し本編攻略に特化した特性や、デメリット特性はここでは扱わない。
下記に挙げたデメリット特性は、強すぎるタイプ相性や能力にリミッターを掛けることを目的に専用特性の性質を持つものがあるほか、特定の技と組み合わせて使用すればそれなりに実用的なものとなりうるためである。
戦闘以外で有用な効果がある特性も基本的にここでは含めないが、第9世代にて一部特性のフィールド効果が削除された*1ことで不遇特性の仲間入りとなったものや、同じフィールド効果を持つ特性の中でも汎用性が低いものは例外として含めるものとする。

  • 効果がシナリオ内限定
    • たまひろい
    • にげあし
    • みつあつめ
  • デメリットを逆手に取った使い道がある特性
    • あとだし
    • ぶきよう
    • ききかいひ
  • 強い能力にリミットを掛けるデメリット特性
    • スロースタート
    • なまけ
    • よわき
    • きんしのちから
  • 世代によって対戦での評価が異なる特性
    • アイスボディ
    • あめうけざら
    • しめりけ
  • 戦闘以外で有用な特性
    上記の通り、第9世代で一部特性のフィールド効果が削除されている点には注意。
    • きんちょうかん - 仲間を呼ぶ確率上昇。
    • するどいめ - 自分よりレベルが低い野生のポケモンと遭遇しにくくなる。
    • プレッシャー - 仲間を呼ぶ確率上昇。
    • ものひろい - 戦闘後にレベルに応じてどうぐを拾ってくる。

(以下五十音順)

■あくしゅう(第9世代)


クサイハナベトベター系統ドガース系統スカンプー系統ヤブクロン系統が持つ特性。
第4世代までは「フィールドで野生のポケモンの出現率が半分になる」効果を持つ非戦闘用特性だったが、第五世代からは「攻撃時に10%の確率で相手をひるませる」効果も追加。
そして第9世代ではフィールド効果が削除されひるみ効果のみになるという、他に類を見ない変遷を辿った特性である。

特性版「おうじゃのしるし」といった性能だが、所有者は軒並み鈍速~中速な上にクサイハナ以外はまひ技を覚えず、ひるみ戦法との相性が良くない。
さらに所有者は他に有用な特性を持っており、消去法でも採用されないという微妙な立ち位置になってしまっている。

一応「いかさまダイス」を持たせて連続技(スカタンクの「みだれひっかき」、ダストダスの「ロックブラスト」等)を打たせれば確率は上がるが、そこまでするなら他にもっと適任がいるのが現状。
性能だけ見れば決して弱くはないのだが、所有者との相性が悉く悪い不運な特性と言える。


■オーラブレイク


フェアリーオーラとダークオーラの効果を「技の威力4/3(1.33)倍」から「3/4(0.75)倍」に変更する。
ジガルデの専用特性。
「フェアリーオーラ」はゼルネアス、「ダークオーラ」はイベルタルの専用特性であり、両者を監視するというジガルデの生態にマッチしている。

しかし、お察しの通り対象者がピンポイントすぎて実用性は壊滅的。
仮に2体と対面したとしても、イベルタルの主力技である「デスウイング」はひこう技なので「オーラブレイク」の対象外。
ゼルネアスも「パワフルハーブ」と「ジオコントロール」のコンボが主流であるため弱体化の影響が薄く、何よりジガルデ自身がフェアリー技で弱点を突かれる。
さらに、味方のフェアリー技とあく技も弱体化させてしまうため戦術が狭まってしまう。
ダブルですらこれなのでシングルだと対面しない限り特性が死ぬ

トドメと言わんばかりに、ジガルデがSMから「スワームチェンジ」という強力な専用特性を習得した上、剣盾から過去作の「オーラブレイク」の個体も全て「スワームチェンジ」に変わるようになったため、完全にお役御免になってしまった。


■くさのけがわ


グラスフィールド」状態のとき、防御が1.5倍になる。
メェークル系統専用特性

所有者・条件・効果のすべてが微妙。
しかも隠れ特性で、パルデア地方ではテラレイドバトルに隠れ特性持ちの個体が出る場合もあるが、第8世代以前はXYの「フレンドサファリ」限定と、妙にハードルが高い。
実際には沢山のフレンドコードからゴーゴートがいるくさタイプのサファリを引き当てなければならず、そこからさらにそのFCを持ったプレイヤーがXYを殿堂入りした状態で、同ソフトを自分と同時にネットで繋がないと隠れ特性個体すら出て来ないと、今から始めるには絶望的な方法である。
同じくここでしか手に入らない『へんげんじざい』ゲッコウガと違い、対戦人気の無さからGTSでほとんど出回っていないのでこちらでの入手も難しい。

第6世代当時はゴーゴートが肝心の「グラスフィールド」を覚えずにお話にならなかったが、USUMで習得したため希望が見えてきた。それでも普通に『そうしょく』(通常特性)の方が強いためか、やはり人気は低い。


■シンクロ(第9世代)


自身がどく(もうどく)やけどまひ状態異常になった時、相手も同じ状態異常にする。
また、第8世代まではこの特性を持つポケモンと同じ性格の野生ポケモンとエンカウントしやすくなる効果があり、一部の作品では伝説のポケモン等固定シンボルに対しても有効だった。
フーディンネイティオサーナイトなどのエスパータイプが主だが、例外的にあくタイプのブラッキーもこの特性を持つ。

効果に穴がありねむりこんらんは対象外。また相手が特殊アタッカーやサポーターだった場合やけどを返してもあまり意味がない、と言った具合で実戦的な用途は速攻アタッカーに対するまひや耐久型に対するどくどくを牽制すると言ったものになる。
しかしあくまでも牽制にとどまり状態異常そのものは通してしまう事、またこの特性を持つポケモンは他に有用な特性を持つことが多く対戦でこの特性が選ばれる機会は多くなかった。

それでもフィールド効果が優秀だったがために不遇扱いされるような特性ではなかったのだが、第9世代ではあくしゅうなどと共にその効果が削除された。
世代が進むうちにタイプ相性で特定の状態異常が無効化されるようになり(でんきタイプは麻痺しない等)、どくどくは習得者が激減する等現在では特性の効果自体が通りにくくなっている。
またこの世代での習得者が他に有用な特性を持つ事も相変わらず。片方の特性がダブル専用のテレパシーであるベラカスをシングルで運用する際に消去法で選ぶぐらいとなってしまった。


すなのちから


天候が砂嵐の時、じめんいわはがねタイプの技の威力が1.3倍になる。
砂パでの運用が前提となる特性。

ディグダ(アローラディグダ)系統ヒポポタス系統ランドロス(けしんフォルム) などがこの特性を持つ。
またハガネールガブリアスメガシンカでこの特性を獲得する。

この項目で紹介している中では明確なメリットを受けやすく比較的強力な特性である。
しかし、この特性の持ち主はいずれも他により強力な特性を持つため日の目を見ない。
詳細は上記リンク先を参照。

剣盾ではダイマックスして「ダイロック」を使い、攻撃しながら発動できるようになったがそれでも上記の問題点は抱えている。


■ダルマモード(ヒヒダルマ 原種)


HPが半分以下になると、ダルマモードにフォルムチェンジする。
ヒヒダルマの隠れ特性、かつ専用特性。
素早さが大きく下がり、攻撃と特攻が入れ替わって高速物理アタッカーから鈍足特殊アタッカーに変貌する。

種族値等は上記記事に任せるとして、この特性の問題は素早さが大幅低下する点だけではない。回復すると元に戻る。発動するのはターン終了時のみ。HP半分以下で繰り出したときは普通のヒヒダルマ……等々盛り沢山。

ちなみにダルマモード状態(無振り)でのHPは90だが、このまま戦うのはHP種族値15のポケモンが戦うのと同じである。(ツボツボは20)

しかし「はらだいこ」「こらえる」「ニトロチャージ」など、なんだかこんな特性でも生かせそうな補助技を覚えるのが罪なところで、検索するとネタポケモンマスター達の育成論が結構出てくる。
特攻自体は高いこともあり、ダルマモードを使いこなした猛者のヒヒダルマは脅威となりうるが、並のトレーナーが気軽に使ってもその真価を発揮することはできない。早い話が上級者向け

さらにヒヒダルマの通常特性は「ちからずく」なので火傷を付与する炎物理技、
「フレアドライブ」を1.3倍でぶちかます戦法がシンプルかつ強力。
結果的にはダルマモードの使用率はめちゃくちゃ低い。

SMから似た特性のお仲間が入った影響か、「いえき」や「スキルスワップ」を受け付けなくなった。それまで特性を消された場合、ダルマから通常形態に戻される仕様だった。今後の強化にも期待。

剣盾ではリージョンフォームとしてガラルヒヒダルマが登場。
こちらは隠れ特性に同じく『ダルマモード』を持つが、こちらは素早さと攻撃が大きく上昇する上にほのおタイプ付随、さらに通常特性と違い技の選択も縛られないと普通にいいとこずくめな強化となる。


■ちどりあし


こんらん状態の時、回避率が2倍になる。(=相手から受ける技の命中率が半分になる。)
ポッポ系統ドードー系統パッチールペラップがこの特性を持つ。

この特性があってもこんらん状態が治るわけではなく、自傷も普通に起こる。こんらんが治ると回避率は元に戻る。そもそも自分からこんらん状態にならない為、相手に依存してしまう。
またSM以降は混乱時の自傷率が1/2から1/3に低下、「いばる」の命中率も低下と混乱自体が逆風気味。
結果的にこの特性が活きる機会もかなり減っている。

特性が『するどいめ』『ちどりあし』『はとむね』とどれも貧弱なピジョットなら採用することもあり得る。
ドードリオも『にげあし』『はやおき』『ちどりあし』と貧弱だが、どちらかと言えば『はやおき』の方が優先順位は高いか。

第7世代ではZワザ、剣盾ではダイマックスわざに対して回避率上昇が無意味というのも地味にきつい。


■とうそうしん


相手と性別が一致していると技の威力が1.25倍、不一致だと0.75倍になる。どちらかが性別不明の場合は変化なし。
ニドラン系統コリンク系統キバゴ系統 などが所持している。

相手と性別が一致した場合は技が強化されるが、完全に相手依存かつ性別が一致しなかった場合は弱くなるというデメリットがあまりに大きい。
一応「メロメロ」で対策することはできなくもないが、相手より素早くないと余計な攻撃を受ける上にメロメロ状態にしても完全に運任せなので全く安定しない。
また伝説のポケモンなど性別不明の相手に対しては特性と技枠1つ分が無駄になる。

それどころか、この特性の所有者は他に有用な特性を持っているため採用されることはほぼない。
しかし、この特性を隠れ特性に持つアゲハントは他の特性が差別化に使えない『むしのしらせ』しかなく、その『むしのしらせ』も有用な特性とは言えないがために消去法で採用されることもある。
また、ポケモンの中には特定の性別しかいない、あるいは特定の性別が多いものもいるため、それらのポケモンが環境の中心にいる場合はピンポイントメタとして採用されることもある。

ポケダンシリーズでは性別の概念がハブられていることもあり、その際には「相手が自分と同じタイプの場合、与えるダメージが増える」というデメリット無しの効果に強化されている。


■どくのトゲ


接触技を受けると30%の確率で相手をどく状態にする。
所有者は殆どどくタイプだが、図鑑説明からかシードラもこの特性を持つ。

『ほのおのからだ』や『せいでんき』と類似しているが、どく状態にはやけどまひと違い、相手の能力を下げる効果が無いため発動したときのアドバンテージで劣っている。
それでも相手のHPを着実に削れるし、どくタイプのポケモンは耐性が優秀故に相手の接触技を受けに行く場面もよくあるので、活躍機会自体が無いわけではない。
…のだが他のいくつかの不遇特性と同じで、所有者がどれも他に非常に有用な特性を持つため選ばれることがまず無い。

ハリーマンの『いかく』、ペンドラーの『かそく』、ドラミドロの『てきおうりょく』等々、そのポケモンの採用理由に直結するような強特性がライバルに並んでしまっており「他の特性も弱いからどれでもいい」というポケモンさえいない。

あえて挙げるなら、殆ど攻撃をせずに補助技で立ち回るタイプのニドクインなら『ちからずく』より優先される可能性がある程度だろうか。


■ノーマルスキン


自分の使う技のタイプが「めざめるパワー」を除いて全てノーマルタイプに変化する。第7世代からは変化した技の威力を1.2倍にする。

エネコロロの専用特性。
このポケモン自身がノーマルタイプなので実質的に全ての攻撃技がタイプ一致になり、更に個別の威力補正が乗ってより強力な攻撃になる
…と言えば聞こえはいいが、使える攻撃技がノーマル技しかなくなるのが大問題であり、はがねゴーストいわにほぼ完全に無抵抗になってしまう。
特に前2タイプは凄まじい強性能のポケモンが昨今続々登場しており、世代を経る度にこの欠点が致命的なものになっている。
前述の通り「めざめるパワー」のみは特性の影響を受けないので最低限のサブウェポンは確保されていたのだが、第8世代作品以降この技は実質的なリストラ状態にあるので…

変化技のタイプもノーマルになるので「でんじは」が本来無効になるじめんに通るようになるメリットもあるが、今度はゴーストに電磁波が無効化されるというジレンマが発生する。どちらにしても「へびにらみ」の完全下位互換

そもそも所持者のエネコロロ自体が(一度強化が入ったにもかかわらず)全く対戦に向いてない性能をしており、ノーマルスキン以外の特性とより相性が悪いため、どうしても使うなら少なくとも独自性だけはあるこの特性に頼らざるを得なくなっているのが悲しいところである。


■はっこう(第9世代)


『あくしゅう』や『シンクロ』と同じく、効果が変更され後から不遇特性に変えられてしまった例。

第8世代までは「フィールドで野生のポケモンの出現率が2倍になる」と言う効果であり、戦闘での効果は何もないフィールド専用効果だった。
乱数の都合により特定のレアポケモンの出現確率が微妙に上がる……といった用途で使えたため、戦闘では一切役に立たない点を含めても使いどころはあった。

しかし、第9世代における特性のフィールド効果総撤廃を受けて、戦闘用の効果を持たない「はっこう」にも新たな効果が設定される事になった。
その効果は「命中率を下げられない&相手の回避率上昇を無視できる」と言うもの。要するに名前の変わった「するどいめ」である。

最終進化に限定すると、持ち主はスターミーランターンバルビートミルホッグマシェード
なんとなく察した人も多いだろうが、「藍の円盤」まで配信された現在では内定しているのはバルビートとランターンのみ
バルビートについて強力な「いたずらごころ」持ちである事は抜きにしても、命中率で困るようなポケモンではないためはっきり言っていまいち腐っている。
ランターンに関しては他の特性がよりにもよって「ちくでん」「ちょすい」と特定のタイプを無効にする強力なものしかなく、「はっこう」が入り込む余地は全くない。
ならば他のメンツはと言うと、「あめうけざら」と選択になるマシェードはとにかく、スターミーは無難に「しぜんかいふく」が使いやすく、ミルホッグに至っては効果が全く同じ「するどいめ」を通常特性に持つ為、フィールド効果が返って来なければ特性が3つあるのに実質2択しかないと言う事になってしまう。デリバードが嬉しそうにこちらを見ている
役に立たないならスターミーあたりに「スキルスワップ」を使わせれば…と思うかもしれないが、相手の戦略を狂わせるという意味では別に他の特性でも問題なくことが多く、スキスワ使用時以外での汎用性が上がる分まだマシ。

そもそも命中絡みに関する戦法は特にTOD狙いの多かった第1世代と第5世代が原因で下火中の下火*2なので、これがあって何かしら有利になるかと言うと……。

ちなみに、ポケダンでは「敵味方関係無くはっこう持ちが攻撃を受けると敵が一匹追加される」という強烈な効果だったことがある。
レアなポケモンの出現を促進する使い方があるものの、レベル1ダンジョンにおいては立ち回り方を身につけないと増援に押しつぶされるという不遇を遥かに超える悪夢の特性だった。
現在では「光に関する技を引き付ける」というスポットライトの変種みたいな特性になっており、地味なところに落ち着いている。


■はとむね


相手に防御を下げられなくなる。
上述のポケモン以外ではマメパト系統コアルヒー系統バルチャイ系統がこの特性を持つ。

防御を下げられる機会自体が少ないのが大きな問題点。
攻撃技「アクアブレイク」「かみくだく」「アイアンテール」などの追加効果で発生する可能性。
変化技ではせいぜい「いやなおと」や「くすぐる」程度しかなく、どちらも使用率は極めて低い。

さらにこの特性の持ち主は耐久力が低いものが大半というのが不遇具合に拍車を掛ける。
耐久力がなさ過ぎて追加効果以前にダメージを等倍で受けてしまうだけで危険ゾーンに突入する。
変化技についてもわざわざ撃つ相手はまずいないであろう。

例外的にバルジーナは耐久型として優秀な能力を持ち、剣盾なら「ダイホロウ」の追加効果を無効化できる。
ただ粉技による妨害や天候ダメージを避けられる『ぼうじん』の汎用性には及ばない。
剣盾環境ではドラパルトガラルサンダーが流行っていた頃に採用されたケースが見られる。

ピジョットナイト持ちのピジョットにとっては唯一メガシンカ前に恩恵が受けられる可能性のある特性である。
おそらくこれが最も有効な使い方だろう。


■はやおき


ねむり状態から本来の半分のターンで回復できる。
ネイティ系統キマワリデルビル系統 などがこの特性を持つ。

催眠使いとの戦闘で役立つ。
それだけだと『ふみん/やるき』の劣化だが、こちらはさらに「ねむる」を回復技として使いやすくなる。
しかしどちらの用途でも安定性に欠けるのと、やはり他に有用な特性を持つポケモンが大半なのでマイナー。
本編攻略の際には十分役立つ部類ではあるのだが。

ガルーラは耐久力の高さや弱点がかくとうタイプのみという点から相性は悪くないが、『きもったま』が優秀なのでまず使われない。

ドードリオにとっては『ちどりあし』よりも役立つかもしれない。
現環境での使用率が催眠>混乱な上、タイムラグ付きとはいえ治癒が早まるのは有用。
またタイプ的にも催眠技の使用率が高いくさタイプやむしタイプに対して有利である。

レディアンも明らかにアタッカーに不向きなのに他の特性が『むしのしらせ』と『てつのこぶし』なので、これが一番マシである。


■ふくつのこころ


相手の技や特性の効果でひるむと素早さが1段階上昇する。
この特性を持つのはワンリキー系統ストライクリオル系統 など。
禁止級のメガミュウツーXもこの特性を持つ。
心身共に鍛えられているためか、この特性の所持者はかくとうタイプが大半を占める。
ルカリオエルレイド、メガミュウツーXなどといった、どこか特別感漂う人気ポケモン達も含まれている。

素早さが上がるのは良いが、そのタイミングは相手の出方や確率等に左右される。
そもそも怯み対策なら妨害されずに行動できる上に『いかく』も効かない『せいしんりょく』の方が使いやすい。『かたやぶり』で無効化されるか否かで差別化はされるが…
他に有用かつ能動的に使える特性があるため、そちらが優先される事になる。
「ひるんで技が出せない!」のメッセージが出ないと発動しないため、例えば「ねこだまし」をしてくる相手に後出ししたときも発動しない。

何よりこの特性の一番残念なポイントは名前負け感が凄いことだろう。
上記の通り人気ポケモンが持っていることや不屈の心という名前の響きが格好良い分、がっかり感も強い。他の能力も上がるか、2段階上がるのであれば良かったのだが…

特にメガミュウツーXはせっかくのメガシンカなのに獲得した特性がこれなせいで評価は渋め。
後にホウエン禁伝が特性を始めとしてやりすぎなレベルで強化されているので尚更である。

比較的使用率が高いのはもう一方の隠れ特性『せいぎのこころ』が相手のあく技依存であるため厳選のしやすさで適当に採用されるエルレイド。
またルガルガンの形態の中で最も素早い『まひるのすがた』を砂パ以外で使いたい場合等だろうか。
しかしエルレイドはSVで強特性の『きれあじ』を新たに獲得したため、ふくつのこころが採用されることは無くなった。
なお、こういう特性を持つポケモンはバトル施設、特にダブルやマルチで出会うと厄介なことこの上ない。


■プラス/マイナス


自分以外の特性『プラス』か『マイナス』を持つポケモンが味方の場にいるとき、とくこうが1.5倍される。
プラスル/マイナンの専用特性。第5世代でどちらもギアル系統の通常特性になり、「プラス」はデンリュウデデンネの隠れ特性に、「マイナス」はラクライ系統の隠れ特性になった。
第8世代では新顔のストリンダーもこの特性を保持。ハイなすがたの場合は『プラス』、ローなすがたの場合は『マイナス』が通常特性。

この効果になったのは第5世代からで、第3~4世代では「自分と違う特性(プラスならマイナス、マイナスならプラス)」のみ対象であり、「敵の場」にいるときも発動した。
第5世代以降は「自分と同じ特性」も対象になったが、それが「味方の場」にいる場合のみ発動する。つまり完全にダブルバトル以上に絞った効果になっている。
同時にプラスもマイナスも全く同じ効果になり、個性は無くなったが……。

問題は所有者がでんきタイプに偏っている点。
ギギギアルははがねタイプだが、それでもじめん(というか「じしん」)が一貫していることには変わりないため、パーティ構築に支障が出る。
デンリュウとライボルトはメガシンカすると特性が変わるため、それなら後出し時の『せいでんき』の方が発動機会に恵まれる。
ストリンダーの場合、ダブルバトルでハイ&ローを出したいという拘りがあるならプラス・マイナスで火力が出るがじしん4倍なのでお察しもう片方の通常特性かつ専用特性である『パンクロック』が優秀なので、ほぼ『パンクロック』一択となっている。

ちなみに特性『プラス/マイナス』のみに効果がある技として「じばそうさ(ぼうぎょ・とくぼう+1)」「アシストギア(こうげき・とくこう+1)」なんて技もある。
これは使用者にも効果があり、対象の「まもる」「みがわり」も貫通する。両方覚えるポケモンはギギギアルのみで、デンリュウは「じばそうさ」のみ覚える。これらの効果や使用者ももう一声欲しいところか。


ヘヴィメタル/ライトメタル


『ヘヴィメタル』はポケモンの体重を倍にし、『ライトメタル』は半減させる。
これにより自分の「ヘビーボンバー」や相手の「けたぐり」等、体重依存の技の威力が変わる。

その名の通りココドラ系統ハッサムなど、はがねタイプのポケモンのみがこれらの特性を持つ。
ジュラルドンはどちらも通常特性として所持している。
ポケモンによっては役立つこともあるが、それでも他の特性の方が有用なため採用率は低い。
唯一ジュラルドンは隠れ特性がダブル向きなのでシングルではこちら(ライトメタル)が採用される…が、SVで進化系が追加された上にあちらは特性が二つとも優秀なものになったため、「ジュラルドンの採用率は」大きく低下した。
詳細は上記リンク先を参照。


■へんしょく


自分のタイプが受けた攻撃技のタイプに変わる。変化技に対しては発動しない。特性『ちからずく』の効果を受けた技に対しても発動しない。
カクレオンの専用特性。

技を受けた後に変わるため、耐性を得てダメージが減るわけではない。
むしろカクレオンは「スキルスワップ」でこの特性を相手に押し付け、「かげうち」「シャドークロー」を連打するなどの戦法に生かされることが多かった。
テンプレ型とはいえ、有用な使い方が考察されている分だけやや救いはあるか。

第6世代から発動時にその技のタイプに変わる『へんげんじざい』が登場し、カクレオン自身も獲得した。
『へんしょく』が受動的なら『へんげんじざい』は能動的という違いがあるが、後者に第9世代で場に出て1回限りというハンデが付けられてもなお人気は圧倒的。カクレオン自身は喜ばしいかもしれないが、『へんしょく』は一層見劣り感が増すことに……。


■マグマのよろい


こおり」状態にならなくなる。フィールドでは卵の孵化にかかる歩数が半分になる。
マグカルゴ系統とバクーダがこの特性を持つ。

そもそも「こおり」状態自体が一部の攻撃技の追加効果で低確率で発生するという滅多に見られない状態異常で、加えて「フレアドライブ」などの一部の技で自ら解除できるため、特性の枠を割いてまで対策する必要がない。
そしてマグカルゴ系統は物理アタッカーに有効な『ほのおのからだ』を持ち、バクーダも第4世代で抜群技を軽減してくれる『ハードロック』を獲得したため消去法でも選択肢になることはほぼ無い。

それでもフィールド効果は優秀なのだが、問題は『ほのおのからだ』も同じ効果を持つこと。
第5世代で『ほのおのからだ』と「そらをとぶ」要員を両立できるウルガモスが登場したことで、フィールド特性としての価値すらも危機的な状況になってしまった。
第6世代ではさらに序盤鳥のファイアローが参戦。ヒノヤコマの時点で両立できるため、もはや入手難度の差すらも危うい状態に。
第7世代以降はフィールド移動が「そらをとぶ」に依存しなくなったが、習得者の素早さが低すぎるが故に、高レベルの野生ポケモンから逃げる際に逃走失敗となるケースも多く、「この一匹を連れていればいい(=タマゴの枠を多く確保できる)」とは言いにくいため、根本的な優先度が低いという問題は解決していない。


■マジシャン/わるいてぐせ


『マジシャン』は攻撃技を当てると同時に相手の道具を盗む特性。
フォッコ系統クレッフィフーパがこの特性を持つ。
『わるいてぐせ』は接触技を当てられると同時に相手の道具を盗む特性。倒されたときは発動しない。特性『ちからずく』の効果を受けた技に対しても発動しない。
タネボー系統ニューラ系統カメテテ系統ベロバー系統がこの特性を持つ。
どちらも自分がすでに道具を持ってる場合は発動しない。メガストーンZクリスタルなど一部の道具は盗めない。

効果を聞くだけなら、『わるいてぐせ』の方が見劣りする。『マジシャン』は直接・間接問わずに、また相手を倒したときも盗めるので、確かに発動機会は『マジシャン』の方が多いだろう。
『マジシャン』持ちがパワフルハーブを持たせてソーラービームを使えば、1ターンで撃てる上に道具を奪える。

道具に依存する型のポケモンから道具を盗まれれば思うような立ち回りができなくなるため、使われる側からすれば厄介なことこの上ない。
とはいえ実際はどちらも五十歩百歩なマイナー特性。
発動させるには自分が先に道具を消費するか、最初から何も持たないかだが、この時点で構成が縛られる。
例えば『いのちのたま』など消費しない道具を持たせるなら別の特性でいいし、『きあいのタスキ』は消耗品だが発動しなければ消費されない=特性も発動しないため安定性に欠ける。
やっとこさ奪ってきた『こだわりハチマキ』や相手の『かるわざ』なんかで逆にこっちが不利になることも起こり得る。
道具を使用させたくないなら「はたきおとす」の方が手軽で事故も起こりにくい。

最もメジャー、且つ最も盗みたい道具筆頭たるメガストーン・Zクリスタルに効かない点も環境に合っていない。時代を間違えたか。
ちなみにZクリスタルは消耗品ではない(Zワザを使ってもクリスタルを消費するわけではない)ため、『マジシャン/わるいてぐせ』のポケモン自身にとっても相性が最悪。
第8世代ではこれらの道具が無くなったため実質強化されたが、前述のデメリットの影響で使われる事は極稀。


■ミラクルスキン


変化技を受けるとき、その命中率が半分になる。
必中技に対しては効果が無い。
コンパン系統・エネコ系統・シンボラーハギギシリがこの特性を持つ。
強力な変化技を持つポケモンとの戦闘で有利になるが、それでも回避率は5割なのでやはり安定性に欠ける。
また上記のポケモン達は他に『いろめがね』『マジックガード』『がんじょうあご』『ビビッドボディ』などの優れた特性を持つため使用率は低い。

エネコロロもゴーストタイプに極端に弱くなるものの、専用特性『ノーマルスキン』による独自の動きが存在意義の大半を占めるため、他の特性を使うメリットは少ない。
ゴーストやはがねタイプで止まりたくないがために特性を『ノーマルスキン』を使わない、かつ相手の性別に期待しない場合に消去法で採用されるくらいか。


■メロメロボディ(第9世代)


自分と異なる性別の相手から直接攻撃によるダメージを受けたとき、相手を30%の確率でメロメロ状態にする。
ピクシー系統、エネコロロ系統、ニンフィアなどがこの特性を持つ。
第8世代までは「特性持ちと異なる性別のポケモンと遭遇しやすくなる」というフィールド効果も持っており、イーブイやミツハニーやヤトウモリの♀などを探すのに重宝されていた。
しかし、『あくしゅう』や『シンクロ』等と同様に第9世代でこれらの効果が削除され不遇特性に仲間入り。

自分より素早い異性をメロメロにできるという利点はあるものの、メロメロ自体安定性に欠ける上、所有者が軒並み他に有用な特性を持っているため採用される機会がほぼ無い。
さらに根本的な問題として、持久戦向きの特性にも拘らず耐久力が足りていない所有者が多く、活用できそうなミロカロスやニンフィアですら前者はより耐久に特化した「ふしぎなうろこ」、後者は火力を補強する「フェアリースキン」という相性の良い特性を持っている。
強いて挙げるのであれば、ミミロップの「なかまづくり」で相手に押し付けるという戦術があるが、それはそれで道具を使えなくする「ぶきよう」がライバルとして立ちはだかる。
エネコロロに関しては二度述べられている通りである。持っている特性が全部この項目に記載されているエネコロロェ…


■よちむ


場に出たときに、相手の持つ技で最も威力が高い技を1つ読み取る。変化技などは威力0とする。一撃必殺技は150とする。
スリープ系統ムチュール系統ムンナ系統がこの特性を持つ。

これに似た特性に、相手が自分の弱点技や一撃必殺技を持つことが分かる特性『きけんよち』、相手の持ち物を読み取る特性『おみとおし』がある。

ダブル、トリプルバトル等では、『よちむ』は場にいる相手全員の技の中から最も威力が高い技をそれぞれ1つずつ読み取ることができる。相手のポケモンが持つ最も威力の高い技が同値で複数ある場合は、その内の一つをランダムで表示する。

効果だけ見ると決して悪くないのだが『よちむ』の発動は相手にも伝わるため、こちらの特性が『よちむ』である事が相手に知られてしまうのが問題。
それにより「このスリーパー『ふみん』じゃない」とか、「ルージュラ『かんそうはだ』じゃないなみず技一貫してるな」というように、特性がわからない状態では牽制出来ている技を相手にノーリスクで使われてしまうというデメリットがある。

ポケダンでは「つねに回避率を得る」「寝ている時にみとおしメガネと同じ効果」といった上記からは想像もできない効果を引っ提げている。
ポケダン名物「当時不遇気味の要素が本気を出す」という要素はこんなところにも表れていた。


■りんぷん


相手の技を受けたとき、その追加効果を受けない。
ねこだましで怯んだり、かえんだまやどくどくだまの投げつけるで状態異常にならなくなる。
追加効果に分類されるもののみを防ぐため、ダイマックスわざやはたきおとすなど、追加効果とは見なされない効果は普通に受ける。

はっきり言ってかなり優秀な効果なのだが、問題は持ち主でありなんと約半数が幼虫鱗粉は成虫が持つものなのだが
最終形態に限定するとモルフォンドクケイルビビヨンアブリボンモスノウの5種。
モルフォン・ビビヨン・モスノウは他の特性のほうが優秀である為わざわざ使われる事は少ない。
「スイートベール」との選択になるアブリボンはともかく、他に技のせいでいつ活かせるかわからない「ふくがん」しかないドクケイルはほぼこれ一択。
それでドクケイルが活躍できるかというと……
上記の『すなのちから』と似たようなパターンで不遇入りしてしまったといえる。

第9世代では、水テラスタルのモスノウがキョジオーンのしおづけを警戒して選ぶという択もなくはない。
また同じ効果の持ち物アイテム「おんみつマント」が登場したことにより、ちょっとだけ再評価された…かもしれない。
{え?こおりのりんぷん持ちにおんみつマントやら持たせれば済む?おっしゃる通りで……


■リーフガード


天候が晴れの時、こんらん以外の状態異常や「あくび」による「ねむけ」状態にならなくなる(回復はしない)。
その名の通りリーフィアモンジャラ系統ハネッコ系統アマカジ系統ザルードなど、くさタイプのポケモンのみがこの特性を持つ。

晴れパ要員の中でも居座りを前提とする耐久型向きで、「あさのひざし」や「こうごうせい」と併用するとさらに強固になる。
しかし弱点であるほのお技の危険が増す上、同じ晴れをトリガーとする『ようりょくそ』をはじめ、他により強力な特性を持つポケモンが殆どなので陽の目を見ない。
しかも第6世代以降はくさタイプに対して「こな」系や「ほうし」系の技や特性が無効となり、『リーフガード』とは無関係に多くの状態異常に耐性を得られるようになっただけでなく、特性「ひでり」が永続→5ターンまでに弱体化する始末。
さらに第7世代になると場に出ただけで発動する上に他の味方にも効果のある「エレキフィールド」「ミストフィールド」の登場で効果自体の価値も大きく低下した。

どうしてもというのなら、比較的相性が良いのはメガニウムや『しんかのきせき』持ちのロゼリアクルマユ辺りだろうか。



追記・修正はこれらの特性を使いこなせる人にお願いします。

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最終更新:2025年05月12日 16:18

*1 主に野生ポケモンとのエンカウントに関わるもの。『ほのおのからだ』・『マグマのよろい』・『じょうききかん』、『みつあつめ』、『ものひろい』以外の特性のフィールド効果が総撤廃されている。

*2 第7世代の「Zワザ」と第8世代の「ダイマックスわざ」の必中効果+大ダメージの影響が大きいのもそうだが、ラッキーやピクシーからは「ちいさくなる」が没収されており、回避戦法を取るポケモンは総じてマイナー。そして、第8世代から引き続き「かけぶんしん」なども技マシンの対象から外れた為、第9世代時点でそれらの技を覚えるポケモンに出会う方が難しい。