本項では「マイケッシャ」こと『Strictly Business』がDDRシリーズに収録されなくなった原因に関する噂について調査した結果を記す。
削除理由に関する噂について
まず、前提としてどのような噂があるのかを記すと「メンバー(ボーカル)がマネージャーによって射殺された」というものである。
この噂については「Strictly Business 削除理由」や「マイケッシャ 削除理由」などで検索すると確認することができる。
噂の疑問点
ただ、よく考えてみるとこれは削除理由としてはおかしくないだろうか。
マネージャーなんて楽曲には関係ない人物である。
マネージャーが犯罪を起こしたとして楽曲を削除する理由にはならない気がしないだろうか。
仮にマネージャーに射殺されてしまうようなメンバーが居て、その人柄がハチャメチャにクソだったとしても、犯罪行為に手を染めていないのなら「曲に罪はない」とはならないだろうか。
(この記事は2024年06月06日にBEMANIシリーズから『ツユ』の楽曲が削除された際に、アーティスト側の問題行動が理由で削除された曲としてマイケッシャが多く挙げられたことを理由に執筆しています。
メンバーの一人が犯罪行為をしましたが、ユーザからは「曲に罪はないから残してほしい」という意見が散見されました)
EMPDのメンバーとMantronixが存命かどうかの確認
噂が「メンバーが射殺されたので削除された」というものなのだから、削除されてしまった当時に楽曲にかかわった人物が存命であるなら削除理由として間違っていることの証明になるだろう。
そこで、楽曲をリリースしたEMPDと、リミックスを行ったMantronixのメンバーが存命かを確認する。
Strictly Businessが最初に未収録となったのは『Dance Dance Revolution 2nd MIX Dreamcast Edition』で、この作品のリリース日は2000年02月17日。
アーケード版として最初に未収録となったのは2000年06月21日の3rd MIX PLUSであった。
よって、2000年以降に存命であれば噂を否定することができる。
2006年10月に8年振りのライブを行ない、以降は断続的ではあるがEPMDとして活動している。
次にMantronixで調べたいところであるが、Mantronixは1991年に解散済みのグループである。
リミックスを行ったのはカーティス・マントロニックなのだが、何故かかつて所属していたMantronixで登録したようである。
そこで
英語のWikipediaのKurtis Mantronikのページを調べると以下の記載があるため、こちらも間違いなく当時もご存命である。
Mantronik was most recently signed to London-based record label Street DNA, a sister label of the StreetSounds label, which released his newest studio album, Journey to Utopia, in late 2014.
よって「メンバーが射殺」という部分から既に間違っていることが判明した。
「メンバーが射殺」はどこから来たか
Twitter(現X)で話題にしたところ次のような情報が得られた。
- RUN DMCはメンバーが射殺されている
- EPMDとコラボした事があるロジャー・トラウトマンは兄に射殺されている
それぞれをWikipediaで調べると、確かに射殺されていることが分かる。
2002年10月30日、ジャム・マスター・ジェイがレコーディング・スタジオで射殺され、グループは活動休止を余儀なくされた。
ただし、ジャム・マスター・ジェイはMCではなくラッパーなので、ボーカルと言ってよいかは微妙なところである。
これとごっちゃになっている可能性は否定できないが、楽曲等の関係は全くない。
ロジャー・トラウトマン(Roger Troutman, 1951年11月29日 - 1999年4月25日)
1999年に射殺体で発見される。享年47歳。メディアによれば、兄弟のラリー・トラウトマンによって殺害されたと伝えられている(ラリーは現場から数ブロック先に停めてあった車の車内で死亡しているのが発見された。ロジャー殺害後に自殺を図ったと見られている)。
確かに射殺されてしまっているようである。
仮に噂が正しく、誰かの射殺が理由による削除であるとするのであれば、3rd MIXの稼働は1999年10月30日であるため情報の伝達が遅くてコナミの削除が間に合わなかったが次回作で対応したという見方が出来なくもない。
ロジャー・トラウトマンはStrictly Businessと関係があるのか
EPMDとコラボをしたことがあってもStrictly Businessとは関係がないのではないか。
そう思われるかもしれないが、EPMDについてのWikipediaのページを確認すると以下の記載がある。
2人ともロジャー・トラウトマンとザップの大ファンで、彼らの曲をラップのバック・トラックにも使用していた。
これではStrictly Businessがロジャー・トラウトマンの曲をサンプリングして使用している可能性が浮かび上がってくる。
実際のところ、1988年にリリースされたアルバム『Strictly Business』ではロジャー・トラウトマンの名前が記載されているようだ。
よって、Strictly Businessにはロジャー・トラウトマンの曲が使用されていないことを確認していく。
まず、88年リリースのアルバムにはDDRerの思う『Strictly Business』は収録されていない。
実際には『Strictly Business (Mantronik MBA Formula)』が正しいようである。
こちらのリリース時にはロジャー・トラウトマンの名前は記載されていない。
更に、サンプリングの親子関係を調べることができるWebサービス『Who Sampled』で
原曲および
Mantronik MBA Formulaについて調べたところ、いずれもサンプリング元にロジャー・トラウトマンの曲は含まれていなかった。
よって、ロジャー・トラウトマンはStrictly Businessとは関係がないと言える。
まとめ
「Strictly Businessがメンバーが射殺されたから収録されなくなった」というのは高い確率で勘違いだと思われる。
3rd PLUSでの削除はコナミが勘違いしたという可能性も全くないわけではないが、それならそれでEXTREMEやX3の再収録できそうなタイミングで事実関係を確認していそうなものである。
普通にRemyWikiにもあるようにライセンス料の問題ではなかろうか。
補足
噂については以前から疑問視されており、Twitterでは
2011年に言及している人も居るし、ニコニコ大百科の掲示板でも>>15で海外で全く話題になってないことが触れられている。
当wikiが間違いを暴いた第一発見者だとかそういうのを主張する目的はなく、当記事はほぼ間違いなく誤情報な情報がまことしやかに語り続けられるのを防ぐことを目的として書かれていることをご理解いただきたい。
最終更新:(2024/06/11)
最終更新:2024年06月11日 11:57