里香が、編集部のブラインドを調節し、西日が入らないようにした。
それから席に戻ると、退屈そうに携帯でメールを打ち始めた。
コーヒーメーカーの傍では、城之内と中原はテレビを見ながら雑談している。
編集長室では樫村が新しくついたスポンサーに電話していた。
樫村の声や表情が朗らかなのは売上が好調だからだろう。
アンタッチャブル編集部の締切間近なのに漂うゆるい空気。見慣れた光景だ。
鷹藤は芸能人の密会写真のチェックも終わり、ぼんやりと編集部を見ていた。
そのけだるい空気の中、鷹藤の相棒、鳴海遼子は一心不乱にキーボードを叩く。
これもアンタッチャブル編集部の見慣れた景色の一部と化している。
鷹藤の視線に気づくと、鷹藤を見て艶っぽく微笑んだ。
あの日はやりすぎたかと思ったけど…。
あの日、鷹藤の部屋でいつも通り熱い夜を過ごした後、泊っていくものだと思っていたら、遼子が帰ると言いだした。
――最近、朝帰りすると、お兄ちゃん機嫌悪いから。
確かそんなようなことを言って、遼子はすぐに服を着て帰り支度をしだした。
なぜ、自分はあの日はあんなことをしてしまったのだろう。
溶け合うように躰を重ねた余韻を手放したくなかったのと、きっと、遼子の兄への微かな嫉妬だろうか。
とにかく、遼子を帰したくなった。
その時、以前勤務していたバイト先の忘年会のビンゴ大会の景品を鷹藤は思い出した。
もらったときは悪趣味な冗談にしか思えず捨てようと思ったが、物がものだけに捨てるに捨てられず困っていたものだ。
景品はピンクローターだった。
クローゼットの中からそれを探し出すと、遼子の前に置く。ほんの悪戯のつもりだった。
――これ挿れたら帰っていいぜ。
遼子の顔が青くなり、それから赤くなった。だが、挑発した鷹藤に負けたくなかったらしい。
自分からそれを亀裂に沈め、腰を震わせながら遼子は帰っていった。
着替える時も這い上がる快感に、ブラをつけることも忘れブラウスのボタンもかけ違えていた。
それはかなり刺激的な光景で、送っていく車の中でなんども押し倒そうと思う程だった。
だが、意地になっている遼子は、そのまま帰ると言い張ってアパートへ入っていった。
鷹藤はその翌日、怒られることを覚悟して出勤したのだが、遼子は怒っている様子もなく逆に晴れやかな顔をして来た。
それ以来、以前と変わらず接している。
ただ一点、変わった点と言えば、遼子が鷹藤の部屋で躰を重ねたあと部屋に泊らずに帰るのと、その際ローター
を中に忍ばせるようになったことだった。
…変な癖つけちゃったかな…。
「おい、永倉栄一が政界進出断念するってさ」
テレビを見ながら雑談する、中原の声がひときわ高くなった。
「やめるんですかあ?」
里香が声を上げる。
「地球党の旗揚げ、失敗しましたからね。突然支持団体の統率がとれなくなって、組織票が流れちゃったみたい
なんですよ」
城ケ崎が里香にわかるように解説する。
「へえ。なんでまた。途中まで破竹の勢いだったじゃないの」
中原が意外そうに言った。
「新興宗教系の票がまとまらなくなったみたいで、大量の票を落したらしいんです」
「じゃあ、永倉さんも本業の方に専念するってことか」
「そうでしょうね」
テレビでは永倉ホールディングスの代表永倉栄一が無念そうにマイクを握り、新党設立がままならなかった
ことを謝罪し、政界進出から身を引くことを表明していた。
遼子と鷹藤もその画面を見る。
二人にとって永倉は杉の子育英基金で世話になった恩人にあたる。
その恩人の失脚を、鷹藤と遼子は残念そうに見ていた。
「鳴海君、原稿進んでるか~」
編集長室からご機嫌で出てきた樫村が、遼子に媚びるように肩をもむ。
「編集長、それ、セクハラですよぉ」
中原が笑いながらたしなめた。
「うちの編集部の稼ぎ頭だ。頑張ってもらおうと思って肩揉んだだけだって」
不思議なことに、遼子が入社すると同時に活発に送られていた、名無しの権兵衛のFAXは楠田とマーサの
一件以来止まっている。
ちょうど、遼子がローターを入れて家に帰ったあたりからFAXは送られてこなくなった。
名無しの権兵衛が絡んだ事件を記事にし、部数を伸ばしてきたアンタッチャブルにとって大きな痛手だったが、
その穴を遼子が埋めた。
持ち前の粘着質さを芸能スキャンダルの取材でも発揮し、数々のスクープをものにしていた。
一時は落ちたアンタッチャブルの部数もこのところまた伸びてきている。
「部数も好調だし、このままの調子で年を越せるように頑張ってくれよ!」
「はい!」
遼子がまたキーボードを叩き始めた。
「名無しの権兵衛が鳴りを潜めて一時はどうなるかと思ったが、鳴海君のおかげで部数が伸びてるからな」
ホワイトボードに貼ってある、右肩上がりのグラフを見て樫村が満足げに言った。
「しっかし、どうしたんでしょうね、名無しの権兵衛は」
マグカップ片手に中原が言う。
「陰謀なんかより愉しいことでも見つけたんですかねえ」
城之内もそれに関しては何も情報を掴んでいないらしく、不思議そうに首を傾げた。
平和だ…。
信じられないくらい穏やかで平凡な日常が続いている。
名無しの権兵衛が活発だった頃は、次々と事件が起きて、簡単に、あっけない位簡単に人が死んでいった。
FAXが途絶え、権兵衛の正体も意図も宙ぶらりんのままになったが、それはそれでいいのかもしれない。
目下のところ、鷹藤を悩ませる問題と言えば、遼子の
クリスマスプレゼントは何がいいか、だけだ。
―――まあ、まだ1カ月あるし。クリスマスぐらい泊まってくれりゃあいいんだけどな。
…クリスマスプレゼントに遼子から何かもらうとしたら、それがいいかもしれない。
それくらいいいだろ?
キーボードを叩く遼子の横顔に、鷹藤はそう投げかけた。
長い、長すぎる。すいません。
多少変態度が割増です。すいません。
鳴海兄弟にとっての前戯と化すという最高度に悲惨な寝取られをされながらも平和な鷹藤。
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変態お兄ちゃんと淫乱遼子ちゃん、堪能させていただきました!
GJ!!です!
妹を手に入れた途端に現れなくなる名無しの権兵衛w
お兄ちゃん、わかりやすすぎるww
でもそんなアンタッチャブルの世界も良いですね。
この世界での「メリークリスマス」には、鷹藤×遼子とお兄ちゃん×遼子で
どんな(エロ)ドラマが展開されるのか、妄想しちゃいますw
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GJ!!
そしてそして、来年1月からの金10ドラマに
お兄ちゃん出演決定のようです!
北川恵子さん主演で、お兄ちゃんはまた刑事役みたいですよ。
遼子の悪女ドラマもあるし、1月からが楽しみだ~
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第二の性感帯開発、GJ!!です。
ところで、そろそろ次スレとか考えた方が良いのでしょうか?
これからも、職人様の作品が読みたいので、2スレ目が欲しいで
最終更新:2010年11月09日 00:32