ふたりの木陰  by189さん  投稿日2011/02/07(月)

[リハビリ]に出てきた議員のせいで、鷹藤が嫉妬する話です。



郊外での取材を終え、遼子を乗せた鷹藤の車が都心への道を急いでいた。
落ちかけた陽が、助手席の遼子を照らす。その表情は心なしか硬い。
「間に合う?」
「誰が運転してると思うんだよ。楽勝だって」
「だったらいいけど」
「やたら気にするんだな。そんなに大事か?あの坊ちゃん議員」
二世議員の緋山にインタビューしてから、彼に気に入られた遼子はそれから何度か意見交換と称しての食事会
に呼ばれていた。もちろん、そのたびに政界や彼自身の小さいが記事にするには充分なネタを流してもらっている。
いいネタ元を掴んだと遼子も内心ほくそ笑んではいるのだが、美鈴の言うとおり、彼は記者としてだけで はなく、
それ以上の存在として遼子を見ているように思える時があった。

「だって、いいネタ提供してくれるし…」
遼子も女として見られるくすぐったさを感じない訳ではない。だが遼子にとって緋山は純粋にネタ元でしかない。
鷹藤もそれをわかっていると思ったのだが。
「特別な相手ってことか。家柄もいいし、顔もいいしな」
今日の鷹藤はやけにつっかかる。
「何よ。取材だって言ってるじゃない」
「ただの取材相手の為に、パックして、高い入浴剤入れた風呂入って普段つけない香水までつけるのかよ。
やりすぎだろ。気がありますって言ってるようなもんじゃねえか」
「気に入ってもらってもっと記事につながるネタをもらうために、相手に気持ち良く話してもらいたいから
いろいろ気を遣ってるだけよ」
「他のインタビューの時こんなことしなかったよな」

鷹藤が、車通りもまばらな側道に車を入れた。
点在する工場の脇をしばらく走ると、人通りの無い工場脇の小道で車を止めた。
工場の無機質さを打ち消す為にか、工場の塀の周りには楡が植えてある。
しかし黄色い葉も落ち裸になった枝を晒し、寒々しく整然と楡の木が並ぶ姿はその通りの寂しさを
強調するだけだった。
そのせいか、その道に人が通る気配など全くない。

「鷹藤くん…どういうつもり」
運転席から鷹藤が遼子を睨む。
「昨日の夜から、ずっとこの男の話ばっかりだぜ、あんた。そんなに楽しみなのか、あの男に会うのが」
「違うわよ、緋山さんと話すといい記事かけることが多いから。それで嬉しくって」
「それだけかよ」
「当たり前でしょ」
「そうか」

鷹藤がエンジンを停めてキーを抜くと、車を降りて歩き出した。
薄暮の中、鷹藤の姿が闇に紛れようとしていた。
「待ってよ!どうしたのよ。早く車に乗って」
鷹藤の元へ走り寄ると遼子が腕を掴んだ。
「ねえ、聞いてるの」
鷹藤が足を止め振り返ると、遼子を抱き寄せいきなり唇を重ねた。
「…鷹藤くん!」

逃れようとする遼子の首の後ろを抑えつけ強引に舌を入れる。
「ん…」
鷹藤が遼子のコートの前をかき分け、その下にあるスカートの裾をまくりあげる。
たくしあげられた裾から冷気と共に鷹藤の手が遼子の太ももを這う。
「どうしたのよいきなり!こんなところで」
「ここじゃいやか」
鷹藤は楡の木に遼子の躰を押しつけた。手の動きは止むことなく、ストッキングの上から遼子の太ももを
撫でまわしている。

「…当たり前じゃない。いつ人が通るかわからないし…これから取材なのよ」
「取材に間に合うように送るよ。だからあんたを抱かせて。ここで」
「…何言ってるのよ」
遼子が眉をひそめて鷹藤を見上げた。
「俺が焼かないとでも思ってたのかよ。嬉しそうな顔して、躰の手入れをして会いに行くあんたを見ててさ」
鷹藤にふざけた素振りなどなかった。ひどく真面目な顔をして遼子の眼を見つめている。
「鷹藤くん、私、浮気なんてしないから…」
「あんたはそんなタイプじゃない。だけど心配なんだよ。莫迦みたいだろ」

鷹藤の唇が、遼子の額を、こめかみを、頬を愛撫する。
「…浮気なんかしないから…んっ」
首筋に唇を落とされた時、遼子の声の質が甘えを帯びたものに変わった。
鷹藤の舌先が遼子の首筋を撫でる。
「大丈夫。人通らないから」
コートの中に鷹藤の冷たい手が入りこんできた。
厚いコートの上からは見えないはずの乳首のありかを、鷹藤の指は正確に憶えているようだった。
セーターの下に手を入れブラの上から過たず乳首を唆す。遼子の発火点を知り尽くした指の動きで翻弄する。
屋外で、しかもこれから仕事だというのに、こんなことをしていて良いわけが無い。
だから太ももを堅く閉じ、鷹藤を拒絶しなければと遼子は思うのだが、意に反してそこから力が抜けていく。

「駄目…恥ずかしい」
自分の口から洩れたのが、拒否の言葉ではなく、行為を受け入れての羞恥の言葉だということにも気付かぬ
程、遼子の意識は淫らに溶けはじめていた。
守りを解いた遼子の太ももの間に鷹藤が掌を入れた。
鷹藤の手がストッキングの上から太ももを撫でる。指先が触れるか触れないかの愛撫。太ももの中ほどで
往復する鷹藤の指がもどかしくて、愛撫を求めるように遼子は自ら脚を開き鷹藤の腰に絡めていた。
「すぐ欲しいの?」
ストッキングの下に鷹藤が手を入れた。
遼子の下着の上から茂みを撫でる。中指が下着のクロッチに触れた。
「湿ってる…」

鷹藤の指が下着の中に入りこんだ。茂みの奥に指が触れる。
「きゃっ」
「早く終わらせて、あの男に会いたいんだ」
「違う…」
「じゃあ外でこういうことされるのが嬉しくって濡れてんの」
「…そんなわけないじゃない」
「あっそ」
鷹藤の口調が冷たくて、遼子は思わず泣きそうになった。

「鷹藤君だから。鷹藤君が好きだから…だからこんなところでもできるの」
唇を震わせ、遼子が切なげに鷹藤を見上げた。

「わかる…?ここで、こんなことされてもいいくらい好きなの…浮気なんてできるわけないじゃない」
遼子を見つめ返す鷹藤の瞳が揺れた。
「ごめん…。俺も…あんたが好きだ…。本当にごめん」

遼子の眼の端に盛り上がった涙を鷹藤が唇で受ける。
それから恋人に唇を重ねる。温かな舌が、満足げに遼子の口内を蠢きまわる。
愛しさを乗せて、二人は舌を絡め合わせた。
舌を絡ませながら、鷹藤が指二本を遼子の中に差し込む。
「あっ…」
待ちかねた感触に遼子が思わず声を漏らす。
「声出すとさすがに誰か通った時気付かれるから。声出さないで」
遼子を犯すように指を下から突き上げる。

最終更新:2011年02月10日 19:19