「ねえ、あんたが風呂上がってから俺触ってもいないのに、なんでこんなに濡れてんの」
「んんっ」
「声、堪えるなって。ラブホだったらいくらでも出していいから」
立ったまま鷹藤の指が中を掻き立て、指の付け根がリズミカルに遼子のクリトリスを押しつぶす。
「きゃ、あ、あ、あ、ああんっ」
「すげえいやらしい声。鏡見てみろって。自分から片足上げてよがってる看護婦姿のあんたが映ってる」
遼子がドレッサーに目を遣り、また顔を赤らめた。
鏡の中には、ナース服を着たまま内奥に指を突きたてられ、紅潮し快感に眉をひそめながらこちらを見る
自分がいた。
「いやっ」
「こんなやらしい看護婦がいたら入院も楽しいかもな」
腰から這い上がる感覚に、遼子の膝の力が抜ける。だが戒められた両手が鷹藤の首に廻されており、鷹藤から
躰を離すことも敵わず、たた快楽に震えるしかない。
「や、ああ、ああん」
鷹藤が叩きつける指の音、潰れる様な水音。
「だめ、立ったまま、あんっ、いっちゃう」
「じゃ、いけって。俺の眼の前でいけって」
鷹藤が指を送りだす速度を上げる。水音のリズムが上がる。遼子の息が切れ切れになる。
「恥ずか…いや、きゃあ、あああ、ああんっ」
遼子の膝から力が完全に抜けるが、戒められた両手が支えとなり床の上に膝立ちなった。
鷹藤も床の上に座る。鷹藤自身を引き出すと、遼子の腰を抱え自分の腰の上に座らせた。
ゆっくりと遼子の中に突きいれる。
「あ、ああああんんっ」
指とは違う太さ、質量が遼子の中を埋めていく。遼子が痺れるような感覚に腰を逃がそうとする。
それはまた遼子に次の快楽を送りこむだけだった。
「ひゃああああんんっ」
その快楽のせいで遼子の膝から力が抜け、一気に根元まで受け入れてしまった。
激烈な快楽に遼子がのけぞった。
「んっ」
鷹藤も包まれた感覚にうめく。
「…看護婦さん、今度はあんたが動く番だろ」
「ん…気持ちいい…ですか?」
乱れつつ遼子が少し芝居っ気を出してきた。鷹藤がほくそ笑む。
「看護婦さん、俺、疲れて動けないみたいなんだ。あんたが動いて気持ち良くしてくれよ」
「は…はい…」
眉をひそめながら、遼子が鷹藤に腰をこすりつけ、リズミカルに動き始める。
「あんっ…」
「よがってばっかりいないで、もっと気持ち良くしてくれよ」
制服姿の遼子が必死に腰を振る。制帽からほつれた髪が額から垂れ、それも一緒に揺れる。
鷹藤が遼子の襟元のボタンを片手ではずしていく。
ボタンを外すと襟元から差し入れ、掌で押し包むと遼子の柔らかな肉を揉む。
「ふぅっ…」
「このままだといけないぜ、お互い」
もちろんそんなことはない。
鷹藤が激しく動かす時とは違う、まろやかな快楽が二人のつながった部分から拡がっている。
その快楽に呼応するように、鷹藤の精を呑み尽くそうと遼子の中が蠢いて、鷹藤を追い詰めていた。
「どう…ですか」
「もっと…もっとしてくれ…」
言葉で追い立てていた鷹藤にも余裕はなくなっていた。
「はい…」
遼子が激しく腰を振る。
「きゃあ、あ…あああ。いい、ああ…」
遼子も襲い来る快楽に悶え喘ぐだけになっている。
目を閉じ、快楽に耐えかね眉間に皺を浮かべながら、絶え間なく甘い吐息を漏らす遼子の顔を間近に見ていて、
鷹藤ももう律動を堪えることができなくなっていた。
下から遼子を激しく突き上げる。
「きゃあああああああんっ」
遼子の髪が乱れ、制帽から髪が幾筋もこぼれ落ちる。
のけぞり白い喉をさらす遼子の頭に手を添えると、鷹藤は深く口づけた。
「んっ、んんっ」
背筋に射精の予感が駈ける。
「中に…出すぞ」
「あああああんっ」
押しつけるように何度か強く突き上げると、鷹藤は遼子の中に精を放った。
「おい…」
意識を手放した遼子の頬をぺちぺちと鷹藤が叩く。
「ん…」
結局床の上でまた躰を重ねてしまった。遼子は猫足のドレッサーの足元にしどけなく横たわっていた。
「せっかくでっかいベッドあるのに、2度も床の上でやっちまったな」
片肘をつき、遼子の傍らに添い寝しながら鷹藤が苦笑した。
「鷹藤くんが2回もするから、動けない…」
遼子の手首を縛るネクタイもそのままだった。それを鷹藤が外してやる。
「あんたも頑張ったもんな」
鷹藤が遼子を抱き上げ、ベッドに運ぼうとした。
「ちょ、ちょっと待って鷹藤くん!」
遼子が何かを見たのか、ドレッサーの下に眼を遣ったまま、鷹藤の腕の中で暴れた。
「なんだよ、いきなり。別にベッドですぐにもう一回やろうってわけじゃ…」
「そうじゃないの、わたしのこと降ろして。ドレッサーの引き出しの下に何かあるのよ」
「動けないんじゃなかったのかよ」
さっきまでの蕩け切った声ではなく、仕事中の相棒の顔になっていた。その勢いに押され、鷹藤が遼子を降ろす。
遼子の眼が、猫足のドレッサーに据えられた。白の何の変哲もないドレッサーだ。
中央に抽斗がひとつ、右側に3段の引き出しがある。
猫足のドレッサーの中央の抽斗の下に遼子が頭を入れ、見上げた。
「鷹藤くん…これ」
テープをはがす音が聞こえた。
抽斗の裏に何かがテープで留められていたらしい。遼子の手の中に、鍵があった。
「鍵…。コインロッカーの鍵だな、これ」
駅のコインロッカーによくある、黄色いプラスチックの楕円型のキーホルダーがついた鍵だ。
ふたりでキーホルダーの文字を読む。
「新・東口・356」
遼子の眼に記者としての光が宿る。
「あんた、何かやる気だろ…。ほっとけって」
「ねえ鷹藤くん、事件の匂いよ!開けて普通のものだったら警察に届ければいいし」
「ラブホのドレッサーの下に貼りつけてあった鍵でロッカーを勝手に開けましたって言うのかよ」
「そんなの編集部に垂れこみがあったことにすればいいじゃない」
遼子はもう、このいわくありげな鍵に夢中になっているようだ。
「待てよ、じゃ、シャワーだけでも浴びてから行こうぜ」
「早くしてね」
遼子がナース服を脱ごうとボタンに手をかけた時。
控えめにドアをノックする音が響いた。二人が顔を見合わせる。
「何かしら…」
鷹藤がドアへ脇に立ち、ドアの向こうの相手に声をかけた。
「誰だ」
「フロントです。入室時のサービスドリンクの提供を忘れてまして、いまお持ちしたのですが」
「いや、ドリンクはいいよ。もう出るから」
「そうですか」
鍵穴の中を何かが這いまわる音がした。
次の瞬間、猛烈な勢いでドアが開き、鷹藤は額を強かに打った。
「な…」
どう見てもカタギには見えない男が3人押し入ってきた。
スキンヘッドとニット帽の男はレスラーのように大きな躰と太い腕を誇示するように胸を張り先を歩き、
その後ろを細身で短髪の男が歩いてくる。
スキンヘッドの男が叫び声を上げようとした遼子の口を押さえつける。
その手を遼子がすかさず噛んだ。男は舌うちをすると躊躇なく遼子を撲り、腹に当て身をくらわせると肩に
担ぎあげた。
鷹藤が叫び声を上げようとした時。
後頭部を殴られ、視界が暗転した。
最終更新:2010年12月24日 00:43