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「ずいぶん気合いがはいったフェラだな。舌も使ってやったらどうだ」

男たちが周りを囲み辱める言葉ではやし立てても遼子はもう躊躇うことはなかった。
言われるがまま男根から唇をあげると、今度は横笛を吹くようにして鷹藤の裏筋を舐めた。
「あんた…やめろって…もう…」
遼子に自分の見ている前でこれ以上の辱めを受けさせたくなかった。
だが鷹藤の制止など耳に入らぬように遼子は夢中で舌を動かし続けている。
薬がもたらした熱なのか、この状況下でも遼子の唇は美しく色づいていた。
桃色の唇がうっすらと開き、そこから赤い舌がチロチロと出ていた。

「いいの…いまだけでも…私の好きにさせて」
鷹藤を見上げた遼子の瞳が潤んでいた。
「見つめあうのはそれくらいにして、まずは口で抜いてやれよ」
遼子は顔をおろすと、鷹藤自身への愛撫を再開した。
じゅるっ…。
音を立てて先端をすする。柔らかな口腔内に鷹藤自身を導き入れ、濡れた舌で男根を舐めた。
そうしながら、すぼめた唇で男根全体を包み込み、首を上下させしごく。

つたないテクニックだった。
だからこそ逆に遼子の優しさと思いが伝わってくる。
いつ生命を絶たれるかわからない鷹藤のために、そして永久に離される前に自分の思いを込めてできうる限りの
ことを鷹藤にしてやりたいと―――そう感じるのは鷹藤の願望なのかもしれないが―――思っての行為に感じられた。
殴られた傷は脈打つ度に痛み、呼吸する度に胸にひきつるような痛みが走る。
苦痛の中だからこそ、遼子がもたらす快楽は鮮明に感じられた。

男たちにさらわれた時に乱れた髪が、色白の顔の上にいく筋か垂れていた。
鷹藤と離された後に散々泣いたせいで目元は潤み、ほんのり赤くなっている。
鷹藤をいたわりながら奉仕する遼子は天使のように美しかった。

遼子をきつく抱きしめたかった。
そしてずっといえなかった言葉を言いたかった。
「ごめんな…俺、あんたのこと…守れなかった…」
しかし鷹藤の口をついて出たのは、こんな謝罪の言葉だった。
遼子のことを守りきれなかった情けなさが、鷹藤にそれを言わせなかった。

「いいの…ごめんね…わたしがこの事件に鷹藤君を引きずりこまなかったら、こんなことにならなかったの…だから」
遼子が鷹藤の腰を抱いて、そこに顔を埋めた。
「いまだけ気持ちよくなって…。いまだけ…私のこと恋人にして…」
腰を抱いた遼子の手が、後ろ手に回され結束バンドで戒められた鷹藤の手のひらを包んだ。
遼子の手を鷹藤も握り返す。
そのとき、鈍い痛みが手の中に走った。

鷹藤が驚いて遼子を見る。鷹藤の腰から顔を上げた遼子の眼の中に光を見る。
遼子はまだ諦めていない。
鷹藤の手の中にあるのはガラスの欠片だ。
こんなガラス一枚で逃げきれる可能性など零に等しい。

だが、諦めなければ。
もしかしたら―――。

「観客が飽きちまうぞ。早く続きをしろ」
チンピラ風の男がカメラを構えながら遼子たちへ怒鳴る。
その言葉で遼子がまた鷹藤自身を口に含んだ。
遼子ののど奥の熱い吐息を男根に吐きかけられ、鷹藤は快楽にふるえた。
ふたりの計画が男たちに気取られぬように、遼子は美しい漆黒の髪を振り乱し頭を上下させ熱の入った愛撫を施す。
鷹藤は結束バンドを切ることに意識を集中させたいが、股間から脊髄を突き抜ける悦楽が邪魔をする。
遼子の唾液が潤滑液となり、遼子の唇と舌がなめらかに動いた。
最初はぎこちなかった口唇での愛撫が熱を帯び、計画を気取られぬための偽装ではない行為に変わっていく。

「んっ…ふぅっ…」
誰に触られている訳でもないのに、遼子がのど奥で声を上げながら頭を上下させる。
じゅっ…じゅっ…。
男たちがはやし立てる声を止めた。
広い部屋に遼子が鷹藤自身を吸う音と、鷹藤の荒い吐息、それを見つめるカメラの動作音だけが響いていた。

「口に出させろ…そして全部飲むんだ」
遼子が首を振りながら鷹藤自身に吸い付き、赤く色づいた唇でそれをしごく。
煌々とライトに照らされ、あまつさえ撮影されていても本能が揺り起こされた今、鷹藤もまた躰が求めるままに
遼子の施す愛撫に応えようとしていた。
背筋を射精の予感が走る。
遼子が首を振るリズムに合わせて、鷹藤の腰も動きはじめた。

「だめだ…放せっ…じゃないと」
遼子が眼を閉じた。
すべてを受け入れる慈母のような表情をして、のど奥まで鷹藤自身を飲み込んだ。
「…出るっ」
鷹藤は己の欲望を遼子ののど奥に解き放った。
男たちの前でみっともなく射精しているにもかかわらず、壮絶な快感が鷹藤を貫く。
脳髄が燃えるほどの快感だった。男たちがいなければ、あられもない声を出して達していただろう。

薬のせいなのか。
命の限りを感じているせいなのか。
それとも、最も愛するものの手で達せられたせいなのだろうか。
わからなかった。
ただ腰をふるわせ遼子の口内に何度も精液を打ち込みながら、鷹藤は泣いていた。
腫れて血がにじむ目尻に涙が滲みた。

遼子が顔を上げた。唇から一筋こぼれ落ちた樹液を、己の人差し指でふいた。
「すまねえ…。あんたの口の中に…」
「いいの。おいしかったよ…」
どう考えても男性経験の少なそうな遼子に、男の精液など飲んだ経験などあるわけがない。
初めての経験だったにも関わらず、遼子は苦みのある樹液を吐き出すことなく飲み込んだ上で、鷹藤にほほえみを見せた。
「無理…すんなよ」
その微笑みが鷹藤の胸を締めつける。

「いい感じじゃないか、なあ」
罪悪感にうなだれる鷹藤をよそに、黒いコートの男が周りの男たちに同意を求めた。
男たちが鼻で笑う。鷹藤たちは悪くない見せ物だった、そういう意味での嘲笑だろう。

「さあ、これからは文字通りの本番だ。気合い入れてやれよ。立ち上がって、脱げ。下だけでいい」
黒いコートの男の声に、遼子が一瞬躊躇した。
カチリ。
静寂の中、金属音が響く。
「今の音何かわかるか?拳銃の安全装置を外した音だ。引き金さえ引けば弾が出る。この兄さんで試してみるか?」
黒いコートの男が、大ぶりのハンドガンを手にしていた。
遼子が唾を飲む音が鷹藤にまで聞こえた。
一瞬の静止のあと、鷹藤を見つめながら遼子がスカートのホックを外す。するりとスカートが足下に落ちた。
埃まみれの薄汚れた部屋の中で、遼子の肌は光を放つほど際だって白く見えていた。
下着はこの部屋にそぐわない、清らかな淡いピンク色だった。
形のよいヒップから流れる曲線はなだらかで美しい。
躊躇いを示すように、ゆっくりと下着に手がかけられる。
そろそろと下着が下ろされ遼子の叢が衆人の前に晒された。遼子の叢から、透明な蜜が糸を引き下着との間に橋を作る。

「そんなに男のナニが欲しいのか。ま、このあんちゃんだってさっき出したばっかりなのにもう勃ってるしな。
好き者同士いいコンビだ。早く跨がりな」
カメラを持つ男がはやし立てる。

お互いに躰がこんな風になっているのは薬せい―――-。
そう思えたら良かった。
しかし鷹藤の意識は、脱出の手がかりとなる手中のガラスの欠片ではなく、遼子の半裸の姿にひきよせられていた。
薬のせいだけではない熱が、腰に集まっていくのがわかる。
鷹藤は遼子に心の底から欲情していた。

「鷹藤君…」
遼子が鷹藤に向き合った。せつなげにすがめられた眼が潤んでいた。
「まずはキスだ。恋人同士らしく見えるように頼むよ」
黒コートの男は、まるで映画監督気取りだ。だが男が演出するのは死。
この恋人芝居の後、鷹藤と遼子には死が待っている。

遼子が男の方を見た。
「お願い、口ゆすがせて…」
「駄目だ。口移しで残ったザーメンを飲ませてやれ」
遼子は悲しげに眼を伏せ、それから鷹藤を見つめる。
「ごめんね…」
そう言って、鷹藤の顎に手を添えると唇を重ねた。

いつか、重ねあえる日がくればと願っていた遼子の唇だった。
思った通り柔らかくあたたかい。死に瀕して叶った願い。
その口づけは苦くせつなかった。

遼子が何度も鷹藤の唇に軽い口づけを落とした後、舌を差し込んできた。
むせかえるような雄の匂い。薬臭い味。
己の精液の味だった。
口づける前は、己の精液など飲ませられたら吐くかもしれないと思ったが、今はそのひどい味や匂いよりも遼子
の舌の感触に夢中になっていた。
鷹藤の方からも貪るように舌を出す。
重ね合わせた唇と唇の間で二人の舌が絡み合う。

「ノってきたじゃないか。じゃ、本番始めろ」
遼子が腰を屈めると、鷹藤自身に手を添えた。鷹藤の耳元に口を寄せ囁く。

「これをするのは…脅されたからだけじゃないの…」
熟れた果実のように柔らかい遼子のとば口に鷹藤の亀頭があたった。
「ずっと好きだったのよ…鷹藤君のこと」
遼子が鷹藤の首を抱きながら腰を落としていく。
「あっ…んんんっ…いいっ」

「俺もあんたが…好きだ…本当に。…好きだ」
薬と、異常な興奮のせいではちきれんばかりに膨らんだ鷹藤自身が、ゆっくりと遼子の中に呑み込まれていった。
「うれしい…」
遼子は哀しげに―――だが可憐にほほえんだ。
薬で敏感にさせられた遼子の躰が待ちわびた男根を迎え入れた瞬間、熱を持った。
熱くうるむ肉壁が蠕動し鷹藤を押し包む。遼子の口内で射精していなかったら、すぐに達していた。
まるで、鷹藤と一つになるためにしつらえられたような躰。鳥肌が立つほどの快楽が鷹藤を包んでいた。
鷹藤を迎え入れた遼子も相当に感じているのだろう。
つなぎ目からあふれた遼子の蜜がこぼれ落ち、鷹藤の陰嚢までしとどに濡らしていた。

「すごい…いいっ」
腰を落としきり、躰を密着させた遼子が感嘆の声を漏らす。
周りを男たちに取り囲まれながら、鷹藤と遼子は互いが運命の相手だったことを改めて感じていた。


最終更新:2012年06月17日 22:59