「鷹藤くんはかなりドキドキしてたみたいだけど、私はこんなことくらい平気なんだから。
スクープの為なら、この程度のことなら出来るのよ」
「平気なんだ」
「平気よ」
「じゃあ、あいつらがまた来たら見せつけてやるか」
「ま、待ってよ」
「平気なんだろ。何とも思ってないんだろ。スクープの為ならこんなこと屁でもねえんだろうが。
だったらいいだろ」
「何ムキになってるのよ」
おかしなものだ。
あの偽りのキスのせいで、鷹藤は自分に嘘が吐けなくなっていた。
「あんたがあんなことするからだろ」
「わ、私だけじゃないわよ。鷹藤くんだってあんな風にするから」
隣の相方も、鷹藤と同じように嘘が吐けなくなったらしい。
いつものまわりくどい言い回しも、今は鳴りを潜めている。
「当たり前だろ。演技できないだろうが、本当にそう思ってる相手とだったら」
鷹藤はフロントガラス越しにマンションの灯りを見ながら言った。
顔に遼子の視線を感じているが、見返す勇気がなかった。
そんな鷹藤の肩に、遼子が頭を載せた。
「私も」
消え入るような小さな声。
サイドレバーの辺りにあった遼子の右手に鷹藤は自分の手を重ねる。
指を絡ませると、お互いに強く握りあう。
「さっきあんた、俺に唇借りるって言ったよな。じゃあ、いつか返してくれるんだ」
「あ・・・」
自分が言った子供みたいな言いがかりに呆れながら、鷹藤は遼子へ体を近づけ囁いた。
「俺は今でもいいんだけど」
相方が潤んだ瞳をこちらに向けた。
いままで遼子の中に見たことがなかった、色気のようなものが漂っていて、鷹藤の鼓動が早くなる。
またキスをした。
今度はすぐに深い口づけへと変わる。
鷹藤は鼓動が重なるほど強く遼子を抱きしめた。
せつなげな吐息。絡まる舌と舌が出す湿った音が心地よく鷹藤の耳を打つ。
求め合い、絡まりあう今度のキスに偽りは無い。
マンションからターゲットが出てくる写真が撮れるだろうか。
カメラマンとしての意識が頭をもたげる。
だが、もし奴が出てきてもこの唇の感触を、腕の中のぬくもりを手放せそうにない。
そんなことも唇の感触に酔いしれているうちに、鷹藤はいつしか忘れていた。
おまけ
翌日、仕事から帰り、遼子が普段着に着替えようとしたとき、
ジャージ姿の洸至が部屋に入ってきた。
「遼子、昨日遅かったみたいだな」
「う、うん。張り込みしてたから」
「外でか」
遼子の部屋に落ちていた雑誌を手にとり、パラパラと中を見ながら言った。
「ううん、車の中で」
「その車、蚊でもいたのか」
「蚊?」
「首筋に赤いのがついてるぞ」
洸至の視線に少し険しさがあるのは、気のせいだろうか。
「ええっと、これは」
まさか本当のことなど言えない。
遼子は適当な言い訳を考えようとするが、その度に鷹藤が昨日どうやって自分に触れたかを
つい思い出してしまい、言葉が浮かんでこなくない。
「おかしいな、蚊にしちゃ腫れてない。もしかして、ぶつけたのか」
いつの間にか、洸至が遼子の傍に立ち、首筋を見つめていた。
「そ、そうよ!ぶつけて赤くなっちゃったの」
洸至が束ねた遼子の髪をそっと手で流し、首筋を露わにした。
兄が首に顔を近づけているのか、その息が首筋に触れ、遼子の肌をくすぐる。
「首筋に2つもできてるぞ。…他にもぶつけてないか、見てやるよ」
「お、お兄ちゃん!」
遼子のブラウスのボタンに兄の手がかかる。
「恥ずかしくないだろ、兄妹なんだから」
まるで邪気の無い兄の笑顔に、何故か遼子の背筋が冷たくなった。
「ま、待って!」
「他の男に見せれて、俺に見せられないってことはないよなあ、遼子」
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色々投下されてて嬉しい!
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続きwktkして待ってます~
鷹藤よくやった!しかし首筋のキスマークは死亡フラグだ!!
オマケの続きもお願いします。
最終更新:2010年11月09日 09:10