秘密 by260さん  投稿日  2012/09/06(木)

今更ながら警視庁潜入ネタのエロバージョン。ですが何故か片山×遼子になってしまいました…。


エレベーターホールの壁に掲示されている案内板の前に、黒縁眼鏡をかけた婦人警官が立っていた。
ジャケットとスカートの標準的な制服姿だ。
目指す場所を見つけたのか、視線が止まる。それから、その婦人警官は上の階に行くボタンを押した。
ポンという間抜けな電子音とともにエレベーターの扉が開く。中から、制服警官やスーツ姿だが明らかに
普通のサラリーマンには見えない男たちが降りてくる。
ここは警視庁のエレベーターホールだ。
降りる男たちは制服姿の婦人警官に目を留めることなくホールから出て行った。
中に数人残っているが、降りる者がもういないようなので婦人警官がエレベーターに乗った。
それぞれの階でエレベーターの乗客が降りていく。
最後に残った黒縁眼鏡の婦人警官が、13階で降りた。エレベーターを降りて左側に廊下がまっすぐのびている。
廊下には誰もいなかった。
婦人警官は「文書保管庫」と表示してある部屋へ歩いていく。ドアの前に立ち、もう一度左右を見回した。
ドアノブに手をかけてから、大きく息を吸う。
扉を開けようとした時だった。
「そこ、鍵かかってますよ」
うしろから突然声をかけられ、驚いた婦人警官は小さな悲鳴を上げた。
音もなく誰かがそばに来ていた。
「このフロアに何の用です。遼子さん」
自分の名を告げられ、遼子が振り向いた。
そこには兄の相棒の刑事、片山がいた。


「驚きましたよ。遼子さんとこんなところで会えるなんて。たまたま非常階段から降りたら、遼子さんがいるんだから。
あ、そこ右曲がってください」
片山が遼子の後ろを歩いている。
遼子は片山が指示するままに歩かされていた。
いま二人は警視庁地下にある、倉庫が立ち並ぶフロアを歩いている。
倉庫のフロアだけあって、人の気配もなく寒々しい。
廊下にはホコリひとつ落ちていないが、ほのかにかび臭くしけった臭いがした。
「この部屋です。公安用の備品庫なんですけどね、鳴海さんとの打ち合わせに良く使うんですよ」
片山がドアをあけ、ロッカーが詰め込まれた狭い部屋の中へ遼子を促した。
「人に聞かれたくない話をするのに丁度いいんです」
片山が後ろ手にドアを閉めた。

「…じゃあ教えてもらおうかな。遼子さん、どうして制服姿でここに来たんですか?見つかったのが僕だったから
良かったようなものの、そうじゃなかったら逮捕されていますよ」
世間話でもするような感じで片山が切り出した。
「取材ですってば。片山さん。アンタッチャブルで制服を着たら警視庁にどこまで潜入できるかな、
みたいな企画をしていただけで…」
「苦しいなあ。警官でもない人間が変装して警視庁に入ったら軽犯罪法違反だし、建造物侵入までついちゃいますよ。
編集部でそこまでの無茶をするとは思えないんですよね。編集部の指示じゃなく、個人的に何か欲しいもの
でもあったんじゃないですか」
「…違いますって。片山さん」
遼子がぎこちなく微笑んだ。

「そうですよね。自分の欲しい情報を求めて警視庁に侵入するなんて聞いたことがありません。遼子さんが
そんなことするわけないか…」
「そうですって!出来心でやっただけなの…片山さんお願い、見逃してもらえない?」
遼子が上目遣いで片山を見る。

「もちろんですよ。遼子さんを捕まえるわけがないじゃないですか。ただ、ひとつだけ知りたいな。
どうしてここに侵入したのか。答えたくないなら、ぼくが推理しましょうか?警視庁で遼子さんが欲しく
なりそうなものといえば…。取材に使える何かの資料でしょうか。たとえば今遼子さんが追っている名無しの
権兵衛の…。新聞や雑誌の記事に当たっても、名無しの権兵衛の風聞ばかりで真の姿はつかめない。
だったら一次資料にあたるしかない。一次資料…そうだな。捜査の記録とか」
片山はにこにこと笑いながら遼子を見ている。だが遼子は片山に気圧されていた。
兄鳴海洸至の隣にいるときにはあまり感じなかった公安の刑事らしい冷徹さと威圧感が今の片山にはあった。

「そこまでして欲しいんですか。名無しの権兵衛の資料」
片山が遼子の周りをゆっくり歩く。
その中心で遼子はうつむいた。
「違います…」
「そうですか」
だが片山が信用していないのは声の調子からも明らかだった。

一言で言えば、遼子は焦っていた。
遼子がアンタッチャブルに就職すると同時に両親の仇である名無しの権兵衛が再び動き出し、そして何人もの人が死んだ。
いま止めなければ悲劇はまだまだ続くだろう。
遼子と洸至が味わわされたような悲劇が。
遼子は兄にも過去の資料を再びあたって事件の分析をするべきだと訴えたが、兄は部が違う、刑事部の管轄に
は口出しはできないと言って取り合わなかった。
兄のにべもない口調に打ちひしがれながら遼子は決意した。
だったら、自分が名無しの権兵衛を止めるしかない。
だが、名無しの権兵衛は光さえ届かぬ闇の中にいるようで、まったく正体がつかめない。
資料を探し続けたが、万策尽きた遼子は、やがてとんでもない手を思いついた。
兄の手を借りず、自分の手で名無しの権兵衛の資料を探し出し警視庁から持ち出す。
自分でも愚かな行為だと重々承知していた。
しかし愚かな行為とわかっていてもやらずにはいられなかった。

「理由はどうあれ、このことはお兄さんには報告しないと。僕もこんなことはしたくないんですが」
「…片山さん。お兄ちゃんには言わないで。私がこんなことしてまで警視庁に入ったって知ったら…」
「悲しむでしょうね。親代わりになって必死に育ててきたあなたが、思いつめたあまりこんなことをしでかす
ような記者になったと知ったら」
遼子はますますうつむいた。
自分の軽率な行為で、兄の刑事としてもプライドも、親代わりとして見守ってきた兄の心をも踏みにじって
しまうことになる。
「―――でも僕も鬼じゃありません。遼子さんさえ協力してくれたら、黙っていてもいいですよ」
「片山さん…」
片山が口元を緩め、やわらかく微笑む。
「二人だけの秘密を作れば、お互いその秘密を守らないといけなくなる。そうでしょ?」
「秘密…?」
いつの間にか、片山が遼子のすぐそばに立っていた。距離があまりに近いので片山の気を悪くしないよう
にゆっくりと遼子が後ずさる。

「片山さん…秘密って…」

「似合ってますよ、その制服姿」
片山の眼に獣じみた昏い光をみて遼子は片山に背を向けた。足を踏み出し、ドアに手を伸ばす。
が、ドアに触れる前にその腕はとられた。
「お兄さんに教えてもいいんですか。鳴海さんは今日研修で本庁から出ていますが、電話すればすぐに連絡はつきますよ」
片山が手を遼子の腰に回し後ろから引き寄せる。二人の体が密着した。
「遼子さんがこんなことをしたなんて報告を僕にさせたいんですか」
「しないで…」
片山の両手が遼子の躰の線を辿りながら、腰から上に上っていく。

「だったら二人で秘密を作りましょうよ。誰にもいえない秘密を…」
手が胸に触れる。
制服の上から遼子の胸の豊かさを確かめていた。
「やっ…」
逃れようとしても、後ろから強く抱かれ遼子は身動きを取れないでいた。
「見た目より大きいですね…」
乳房の下から上へ、円を描くように片山の手が動く。遼子の耳たぶに片山の唇が触れた。
「こういう秘密、嫌ですか」
耳に片山の熱い吐息がかかる。今度は制服のブレザーのボタンを外し始めていた。
「…お願い。やめて…」
羞恥と拒絶から、遼子の耳が燃えそうなくらいの熱を持っていた。
「遼子さんにそういう風にお願いされると弱いなあ。残念です。じゃあお兄さんに伝えないと。
遼子さんから報告しますか」
遼子は答えられなかった。うつむき無言になったのを返事とうけとめたのか、片山の動きが大胆さを増す。
ボタンを全て外し、ブレザーの前を開く。次に片山の手が遼子のワイシャツのすそを引っ張り出し、その下に
手を這わせた。

「やわらかい肌だ…」
指が上へ上がっていく―――レースのフリルのついたブラジャーに触れた。その中に手を滑り込ませ、遼子の
乳房を直に揉み始める。
「くっ…」
柔らかな感触を愉しんだあと、片山の指が遼子の乳首を集中して責め始めた。
指先を細かく震動させ、乳首に絶え間なく刺激を与える。
体の芯に熱をつけるポイントを片山は知り尽くしているようだった。

恥ずかしさと情けなさで顔が燃えるように熱い。
しかし、兄に知られてはならない秘密を共有することで、犯した行為を覆い隠せるのなら―――。

「遼子さん、わかります?乳首の先がすごく硬くなってますよ。おいしそうにコリコリしてます」
「んっ…」
自分の過ちのせいで追いこまれ、いいようにされようとしている。
それなのに、喉奥からは甘い吐息と声がもれ出ていた。
声を堪えようにも、片山の指の動きは的確で、遼子が一度甘い声を漏らした箇所はしつこく責め続ける。
遼子の理性は片山の指の動きと快楽を求める己の本能に征服されようとしていた。

「はぁっ…」
「遼子さん乳首弱いんですね。ここ弄っただけで、腰が揺れてますよ」
「嘘よ…そんな」
「いやらしく、くねくねさせて…下も触って欲しいって言ってるようなもんですよ」
片山が遼子のスカートを腰までたくしあげ、ストッキングにつつまれた下半身を露出させた。


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最終更新:2012年10月20日 23:06