※ 前は白い部屋(遠山編)です



遼子の中から何かが引き抜かれる。ひとつ。ふたつ。
離れていく体温。
遼子はほっとしていた。
終わった。苦痛と恥辱の儀式がやっと…。
またこんな眼に遭うなんて…。

遼子は愕然とした。
また…。私は昔これに似た体験をしている。記憶にはないけれど、私は何かを憶えている。
それは電灯。揺れる天井。揺れる揺れる…。

「夢のことは忘れろ」
うっすらと目を開くと、兄が遼子を見ていた。隣には鷹藤もいる。
「お兄ちゃん…鷹藤君…助けて…」
兄に手を伸べる。
「もちろんだ」
その手を兄が掴んだ。
そしてそのまま引き寄せると、遼子を抱いた。
「助けてやる」
遼子の乳房に唇を寄せ、吸いついた。

「いやっ!お兄ちゃんまで!兄妹なのに」
何度も絶頂を迎えたせいで、躰に力が入らない。
遼子は兄の手から逃れようと軽く身をくねらせ、泣くことしかできないでいた。
「どうして、みんなどうしてなのよ…あっ」
洸至が指で遼子の乳首を弾いた。甘美な快楽が躰を貫く。

「編集長だって、片山さんだって、遠山さんだってあんたを助けに来たんだぜ」
鷹藤が遼子の太股を押し開くとに内腿に唇を落としながら言った。

「違うわ!あん…あっ!あんな酷いことして何から…助け…るの」
兄から執拗に乳房とその頂を責められ、息も絶え絶えになりながら遼子が掠れた声で言った。
「俺は何度も言ったろ。これ以上はお前を守りきれなくなるって。なのにどうして真実を求める」
洸至が首筋に唇を落とし、妹の耳たぶを口に含んだ。

「真実なんてどうでもいいだろ。忘れるんだ」
鷹藤が指を二本挿入する。男根で散々掻き乱され鋭敏になった遼子のやわ肉は、指だけでも簡単に火がつく。
鷹藤が遼子の胎内で指を鉤状に曲げた。そしてざらついた天井を擦る。
女体で最も感じる場所を的確に責め始めた。

「ひあっ…いっ…いい」
兄に抱きかかえられていたはずが、遼子は悦楽のあまり兄にしがみついていた。
胎内から片山の樹液が掻き出され、鷹藤の指を白く染める。
「ザーメンか本気汁かわかんねえな」
「ひゃっ。…あんっ、あ、あ」
言葉でいたぶられているのに、遼子は酷く感じていた。

「真実なんか忘れろ。おまえはずっとここに居ればいい」
遼子の顔についた精液を拭い、きれいになった頬に洸至が優しく口づける。
「知らなきゃいけないのよ。私のせいで何が起こったのか」

揺れるあかり。揺れる天井。殴られる兄。
暗転。
樫村の死体。片山の背中から流れる血。全てを失い頭を抱える遠山。兄を乗せたまま火を噴き東京湾に沈むパトカー。
それらの映像が脳裏にフラッシュバックする。


過去にも―――。こんな―――。

明かりが揺れる。天井が揺れる。

―――違う。揺れているのはわたし。

揺らしているのは―――遼子の上で汗を滴らせる父だった。

「…お父さん」
過去の陵辱―――父からの陵辱。
理性で蓋をされていた恐怖と苦痛の記憶が奥底から蘇る。


間近にある洸至の瞳に哀しみの影がよぎる。
「俺がおまえを真実から守ろうとしたのに、どうして…医者のところへなんか行った。
 真実は闇に埋めておけば良かったんだ…。光を当てることなどなかった」
「お兄ちゃんはだからお父さんを殺したの」

無言。
遼子を洸至が押し倒す。
兄がジャケットを脱ぎ、息が出来ないほど強く遼子と唇を重ねる。
それでもこれだけは言いたくて、遼子は唇を振りほどいた。
「お母さんがお父さんを止めなかったから、お母さんも殺したの」

間近にある兄の瞳が遼子を捉えていた。
瞳は深い哀しみに沈んでいた。闇の底を見た者だけが持つ静けさがそこにはあった。
―――それはどんな言葉よりも雄弁だった。

洸至が遼子の乳房に手を這わせる。つぼみに吸いつく。
「やっ…あああああっ」
鷹藤が遼子の脚を押し開き、本格的に責めはじめた。
膣内を責める指は更なる激しさで動き、舌が遼子の真珠を舐めまわした。

「だからお兄ちゃんが名無しの権兵衛になって…みんなが…私のせいでみんなが…やああああああ!」
押し寄せる真実の重みで溺れる前に、快楽が脳を浸食する。せき止める理性の声はもう聞こえない。
真実はあまりに苦く―――そして罪の意識が遼子の心を押しつぶしそうだ。

「やっああっ!今までの事件は全部…私のせい。お兄ちゃんが犯罪者になったのも私のせい…。
許されない…。許されていいはずがない。だったらおかしくして…お兄ちゃん、鷹藤君全部忘れさせて」
快楽に身悶えしながら、汗を浮かべ遼子が懇願した。

「ああ」
兄が遼子と唇を重ねる。他人の精液まみれの妹の唇をいとおしげに吸った。
洸至の舌が遼子の中へ入ってきた。その舌を遼子の舌が歓待する。
「あんたは指なんかより、こっちだろ」
鷹藤がデニムを下げ、男根を引き出した。反り返ったそれに遼子は手を伸ばし、掌で包み込んだ。
「…っ」
親指と人差し指で輪をつくり、男根を優しくしごく。
遼子の愛撫を受け、鷹藤の息が荒くなっていく。
亀頭を親指でくすぐってやると、雄の匂いと共に先走りがにじみ出てきた。
血管が浮かび、欲望に猛り狂うそれを遼子は自らの秘所へ導いた。
「いっぱい頂戴…おかしくなりたいの」
唇をはずし、遼子は微笑んだ。

「忘れちまえよ、全部」
鷹藤が遼子の太股を抱え、腰を繰り出した。ぐちゅっと音を立てて亀頭が遼子の秘裂に飲み込まれた。
「あっあああああ!」
鷹藤のものが遼子の中へ入っていく。奥に到達すると鷹藤は、若さと荒々しさにあふれた動きで遼子を蹂躙し始めた。
「遼子の中に、鷹藤君のが入ってるぞ。嬉しそうに絡みついている…赤く色づいて綺麗だよ、遼子のここは」
挿入される様を洸至が耳元で実況する。興奮と羞恥で遼子の耳が熱くなる。その耳を洸至の舌が舐めまわした。
「あっ…いやっ言わないで」
「鷹藤君が動くたびに遼子の中からたっぷりの愛液と精液が出てくる…いやらしくて刺激的な光景だ」
「お兄ちゃん、もうやめて…」
遼子が洸至の顎を掴んで引き寄せた。今度は自分から唇を重ね、兄の言葉を封じる。
「ん…んっ…」

遼子が必死に舌を繰り出しても、兄に簡単にあしらわれた。逆に兄の舌の動きが遼子を翻弄する。
遼子の舌を絡め取り、いやらしい唾液の音を立てながら深く口づけてくる。口づけだけで力が抜けそうなのに、
乳房の頂に洸至の指が意地悪な振動を送り、遼子の動きを更に封じた。
しかも鷹藤のものが遼子の膣道の中で暴れ回っている。
舌すら動かせなくなっていた。ただ、洸至のなすがままに舌を吸われ、口内を犯されていた。
遼子の脳の処理の限界を超える快楽に、頭の中が白く霞んでいく。
「舌がお留守だぞ。遼子」
洸至が唇をはずし、汗で光る遼子の首筋にキスを落とす。
「いきそうなのか」
鷹藤が遼子の太股を抱えなおした。更に深くつながり、それだけで遼子は大きな嬌声をあげてしまう。
「すごく…あっ…気持ちいいの…」
「じゃあ鷹藤君に突いてもらって、いっぱいいかせてもらうといい」

鷹藤が浅いストロークで小刻みにつき始めた。
「あっあっああああああっ!いい・・・!」
「いい声だ」
洸至が乳房を揉みながら蕾に吸いつく。
「やっ!ああっ!おっぱいと両方されたらいっちゃう…」
「怖がるなよ。だったら俺と一緒に行こうぜ」
鷹藤が子宮を貫くほど深く差し入れてきた。鷹藤の亀頭がぶつかるたびに子宮口で快楽が爆ぜる。
それが遼子を飲み込む。
「やっ!ああああ!もうだめ!いく!いく!いっちゃう!」
ベッドの上で首を打ち振り遼子は泣いた。
「こっちもだ」
遼子の躰がずり上がるほど深くえぐりながら、鷹藤の息も荒くなっていく。
「中に…中に頂戴!」
「ああ…いくぞ」
鷹藤が腰と腰がぶつかるほど深く自身を入れると、遼子の胎内に欲望を吐き出した。

「イった後にすぐ挿れられたらどうなるんだろうな」
絶頂の後、動けないでいる遼子に洸至が囁いた。
「…お兄ちゃん?」
鷹藤自身が引き抜かれた直後、更に固くたくましいものが遼子の中に押し入ってきた。
絶頂に達したばかりの躰は、まだその火照りから抜けていなかった。
官能の炎にさらなる油を注がれ、敏感さを増した躰は情欲の虜となる。
「ひゃああああああああ!」
涎を口の端から流しながら遼子がのけぞった。
「感じすぎておかしくなりそうか?遼子」
「ひぃっ!すごいの!」
快楽を貪欲に求める遼子の膣の肉が、悦びにヒクつきながら兄自身を迎え入れた。
「いいっ!お兄ちゃんの気持ちいい…!おかしくして…もっと頭の中を真っ白にして…!」
兄が腰を送るたびに目の奥に火花が散る。
自分の奥から愛液があふれ出るのを感じる。
「すげえ姿だな」
精を吐き出したばかりの鷹藤自身が、またも鎌首をもたげ始めた。
遼子は兄に貫かれながら、手を伸ばしそれを扱く。

最終更新:2012年03月29日 21:03