「里香の調査によると付き合い始めたのは今年の3月あたりですね」
里香が表紙にお菓子のイラストがたくさん描かれたかわいらしい手帖を見ながら言った。
「里、里香ちゃんなんでそれ知ってんだよ」
里香が手帖のページをめくる。
「二人の距離が近づいたのが昨年のクリスマスイブで、初詣も二人で行ってます。バレンタインデーに
鳴海さんが手作りの力作チョコレートを鷹藤さんにあげて、それで鷹藤さんがお腹を壊して寝込んだ時に
鳴海さんが泊って看病したときはさすがに何もなかったようですけど、全快後にようやくお泊りまでいったようです」
「なんで知ってるんだよ!」
「里香も記者のはしくれですから」
手帖を閉じると、里香が鷹藤を見てにっこりと笑った。鷹藤にはそれが悪魔の頬笑みに見えた。
「それなのに、まだ「あんた」呼ばわりなの」
腕を組んで、仁王立ちの美鈴が冷たく突き放すように言った。
「だってそれは、言いにくいだろ」
「まだ照れてるの?」
鷹藤が言葉に詰まると、その様子を見て、美鈴がため息を吐いた。
「どうして男ってのは、変なところばっかり気にするのかしら。いい、鷹藤くんが考えるべきは鳴海さんの
ことだけよ。俺がお前を守ってやるって勢いで「遼子」って呼んであげなさいよ。女はそういうのを言葉に
出さなくても待ってるんだから。あなたたち見てると、こっちがじれったくなるわ」
「は…はい」
鷹藤はその勢いに気圧されて、思わず返事をしてしまった。
「じゃあ、練習ね。私に続けて。りょうこ」
美鈴の言葉に、鷹藤は眼を点にしていた。
「は?」
「照れないで名前呼ぶ為の練習よ。はい、りょうこ」
「いいってば、出してくれよ」
ドアの前には手帖を抱くようにして持ちながら、里香が立っていた。
「言えたら出してあげます」
後ろの美鈴も、ドアの前の里香もそうしない限り、出す気はなさそうだった。
諦めたように肩を落とした後、鷹藤が小さな声で言った。
「りょ、りょうこ」
「もっと大きな声で」
「そうですよ、それじゃ鳴海さんに聞えませんよ」
「りょうこ」
「まだまだね」
美鈴の低い声が飛ぶ。
「りょうこ!…いいだろ、出してくれよ」
「もっと大きな声で!」
「りょうこ!!!」
「いいじゃない。もう一度」
「遼子~!!!」
ほとんどやけだった。
「言えるじゃない、鷹藤くん」
美鈴が首を傾げて、勝ち誇った笑みを浮かべている。
「やったんだから、いい加減出してくれないか」
鷹藤はぐったりした様子で、ため息交じりに言った。
その少し前、アンタッチャブル編集室。
コーヒーカップ片手に中原が部屋を見回していた。
「鷹藤くんどこいったのかな?」
「あれ?」
一心不乱に記事を書いていた遼子が、顔を上げる。
ソファーを見ると鷹藤の姿がない。
「里香ちゃんと台車を押して倉庫に行ったようですけど、遅いですね」
城之内も不思議顔だ。
その時だった。
「りょうこ」
部屋に残っていた3人が顔を見合わせる。
「何だ今の」
「何でしょう」
3人が首を傾げていると、
「りょうこ!」
もう一度聞えて来た。その声で遼子が立ちあがった。
「鷹藤くんの声じゃないですか」
中原と城之内の視線が遼子に集中する。
「りょうこ!!!」
「ラブラブだねえ、鳴海さん」
にやけた中原にからかわれ、顔を真っ赤にして遼子が俯いた。
「ぜったいに名前で呼ばせてあげないんだから…」
遼子の握りしめた拳がぷるぷる震えている。
「遼子~!!!!!」
「あんな大声で、何考えてるのよ!」
遼子が編集室を飛び出した。倉庫へ向ったようだ。
「まだ下の名前で呼んでなかったんですね」
城之内が開いたままのドアを見ながら言った。
「あの二人だからね。俺はそんな気してたけど」
「僕もです」
倉庫の方から遼子と鷹藤の口論する声が聞こえてきた。
「下の名前で呼ぶようになるには、まだまだかかりそうですね」
その声を聞きながら、城之内が席についた。
「そうみたいだねえ」
二人の中年編集部員はパソコンに向かうと、何事もなかったかのように仕事を再開した。
エロなしお目汚しごめんなさい。
これから訪れるお兄ちゃん祭りまでもほんのつなぎになれば…。
49
44-47
GJです!!
2人の交際履歴を把握している里香ちゃんすげえww
是非とも今度はベッドの中で「遼子」とちゃんと
呼んでいるのを聞きたいですね!
相棒を観て、八重樫さんのシチュエーションをお兄ちゃんに置き換えて
ものすごく書きたいのですが、公開前はネタバレになっちゃいますよね。
公開後の投下目指して、もう一度アンタDVDみて萌えて来ますw
74
27を書いたものですが、44さんGJです!
左手固定された鷹藤を色んな意味でお世話
しちゃうりょうこさんを妄想してしまいました。鷹藤全快後は二人でご無沙汰期間をうめたのでしょう。
しばらくラブホはイケなさそうですな。
最終更新:2010年12月24日 07:13