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現場のラブホテルが見下ろせる高台に止めた洸至の車の前に3人はいた。
洸至の爆弾で吹き飛ばされた車とホテルから火の手が上がり、周囲に火の粉を舞わせていた。
遼子と鷹藤はそれぞれ毛布にくるまれ、車の前に座ってそれを見ていた。
鷹藤は解放された安心感からか、男たちに殴られた痛みがどっと押し寄せ、動くのも辛い状態になっていた。
だが、今は痛みよりも遼子を守れなかったふがいなさに打ちのめされていた。
―――結局いつもこうだ。遼子を守ろうと思いながら遼子を守れたためしなどない。

「ずいぶん派手にやったからな。すぐに警察も消防もやってくる。連絡してやるからここで待っているんだ」
「お兄ちゃん、もう行っちゃうの?」
「犯罪者の俺が、お前たちといられるわけがないだろ。それとも、お前達が俺と来るか?」
洸至が鷹藤を見た。
鷹藤を見る目に険しさはなかった。
「できるわけねえだろ…」
「そうだな。もう住む世界が違う」
洸至はどこか寂しそうに言った。

「ずっと…私のこと見守っていてくれたの」
「たった一人の肉親だ。当たり前だろ。俺は結局…こういう方法でしかお前を守れないんだよ」
かすかに聞こえたサイレンの音に気づいた洸至が、自分の車へと歩き出した。
「お兄ちゃん!」
洸至の背中に駆け寄ろうとして遼子が立ち上がりかけたが、力が入らずよろけてバランスを崩した。
鷹藤がその遼子の肩を抱きとめた。
「なあ…どうして俺も助けたんだよ。あんたを敵と思うおれがいなくなった方が都合がいいんじゃないのか」
洸至が足を止める。
「おまえは遼子の相棒だし、いい奴だからだ。それじゃ駄目か?」
洸至らしからぬ言葉に鷹藤は戸惑った。
「いい奴って何だよ」
「自分が生きるか死ぬかの瞬間に、目の前の相手を抱きしめて守ろうとする奴が悪い奴か?俺が部屋に入ったとき、
お前は遼子を抱きしめていたよな」

鷹藤へ銃口が向けられたあの瞬間がフラッシュバックした。
極限の恐怖の中で、自由になった鷹藤の手は遼子を抱きしめていた。
遼子が頭を撃ち抜かれる自分の姿を目にしないように。
それだけのために―――。

「お前はすごいよ。俺にはできないことだ」
洸至が鷹藤を見て微笑んだ。
「お兄ちゃん!」
遼子のその声に洸至は軽く手を上げると車に乗り、スキッド音を立てながらUターンするとスピードを出し走り去った。
車のテールランプがあっという間に遠のいていく。
「お兄ちゃん…」
遼子の震える肩を鷹藤が抱いた。

「鷹藤君の前でこんなこと言っちゃいけないのはわかってるの。お兄ちゃんはひどいことをした人よ。だけど…」
「いいんだ。あんたにとってたった一人の兄さんだ」
遼子から離れたくなかったのは洸至もきっと一緒だろう。
だから、ここから離れられなくなる前に走り去ったのだ。そんな気がした。
「あんたの兄さんの代わりに…これから俺がずっとあんたのそばにいる」
サイレンの音が近づいてきた。
「ありがとう…」
鷹藤の胸に顔を埋めた遼子が鷹藤の背に手を廻して強く抱きしめた。
その温もりを感じながら、鷹藤は救急車と警察の到着を待った。





超長かったですね。すいません。
お兄ちゃんカッコ良く走り去りましたが、車にはちゃっかりあの時のビデオカメラが…。


おぉぉぉ!素敵な新作が投下されてる~!!
極限状態での鷹藤×遼子、GJです!!

いやはや、兄の拳銃を撃つ姿は本当にたまりませんよね~!

そしてどんどん増えていく兄の素晴らしき「遼子コレクション」ww
最終更新:2012年06月17日 23:05