「叶わぬ願い」by252さん 投稿日2010/09/24
薬のせいで遼子がイケイケになります。お待たせしました、お兄ちゃん編です。
兄妹エロありです。
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Forget me not
水族館の水槽のように壁一面にそびえる窓の前で、遼子が笑いながら洸至に口づけた。
窓の外にはなだらかに拡がる光の海。
夜ともなれば東京の薄汚れた部分は全て闇に隠され、光の点描で美しく浮かびあがる。
洸至が遼子の為にとった部屋だった。
東京でも屈指の高級ホテルの高層階だ。夜景は美しく、シンプルだが贅沢さの漂う調度品が
置かれた部屋に二人はいた。
遼子はその眺めに目を移すこともなく洸至の唇を貪っている。
その遼子の細い躰を抱き寄せると、洸至が遼子をベッドへと誘った。
ふたりで横になるには余りある程の大きなベッドの上に、遼子の髪が波のように拡がる。
洸至は遼子を自分の下に組み敷くと、遼子の頬から首筋へとキスを降らせていた。
くすぐったそうに子供のような笑い声をたてながら遼子が洸至のシャツのボタンをはずしていく。
無邪気に見えるのは、子供のように自分の欲望を隠さずにいるからかもしれない。
洸至のシャツのボタンを全て外すと、遼子が洸至の胸に指を這わせる。
愛撫しているようにも品定めしているようにも感じられる動きだった。
これが遼子なのか。
眠らせるつもりで酒に仕込んだ薬で遼子が乱れた夜があった。
あの時、その恩恵にあずかったのは鷹藤だった。
「天然由来の薬だからね。体には害はないはずだけどさ、体質によってはちょっとおかしな
作用も出るのかもしれないね」
闇で商売する薬屋はそう言って洸至にまたその薬を渡した。
「話からすると、その人、この薬に耐性がついてきたんじゃないの。だとしたらこの
薬で意識飛ばせるのは最後かもしれないよ」
受け取った薬を、またいつものバーテンに頼んで遼子の酒へと落した。
鷹藤の酒には強力な睡眠薬。
朝まで夢を見ることなく眠り続けるだろう。
遼子の指先が洸至の肌の上を滑る。
胸から首へ、首から胸へ。背へと回された手で洸至を抱き寄せると、遼子から口づけて来た。
唇を重ねると、すぐに洸至の全てを味わおうと舌を滑り込ませる。
渇望し続けた遼子の唇。
夢にまで見た妹との夜。
だが、さざ波のように違和感と戸惑いが洸至の中に拡がる。
俺が求めてるのはこれなんだろうか。
こんなことを求めていたのか。
…違う。こんな遼子を俺は抱きたいのじゃない。
妹から身をひきはがすと、遼子の両手を抑えつけた。
その様子を見て妹が蟲誘的にクスリと笑った。
「どうして止めるの?」
「遼子、すまない。違う…違うんだ」
「違ってもいいじゃない。愉しくないの?」
遼子が洸至の唇を求めて身を起すが、洸至はその唇を避けようとする。
「私のことが嫌い?」
「違う」
「じゃ、抱いて」
遼子が腰から下をくねらせ、洸至の太ももに擦りつける。
「…駄目だ」
「寂しくないの?」
「…」
「自分の前から大事な人がいなくなったことない?私は寂しいの。そのせいですごく寂しいのよ」
追い詰められたように遼子は言った。
遼子の目から涙が溢れ出て、シーツの上へこぼれ落ちた。
「誰に抱かれるのかわかってるのか」
「お兄ちゃん、に似た人…。お兄ちゃんは死んじゃったのよ。わたしを置いて」
酔いと薬で甘くなった認識には、今起きていることは夢の中の景色のように見えているようだ。
そんな中でも、兄の死だけはしっかりと自覚しているようだった。
「それにお兄ちゃんは、わたしにこんなことしないもの」
胸を突かれたように洸至が押し黙る。
遼子は続けた。
「あなたが誰が知らないけど…お願い。今だけでもひとりにしないで」
涙でぼかされたようになった瞳で洸至を見る。
薬が解放したのは遼子の欲望ではなく、心の奥底にしまっていた遼子の想いだったのか。
たったひとりの肉親を亡くしても、寂しいとも会いたいともいえずにずっと胸にしまってきたのだろう。
それもそうだ。
俺は遼子の両親を殺害し、遼子の上司も殺した。関係のない人間の命もたくさん奪った。
その上罪のない子供まで殺そうとした。
そんな罪人の死を悲しむ言葉など言えるはずもない。
その想いに蓋をし、殺人犯の妹として謗られながら、素知らぬ顔をして毎日を送ってきた遼子の
心の内を垣間見て洸至の胸が痛んだ。
指の背で洸至が遼子の涙を拭いた。
「…全部俺のせいなんだよな」
遼子が洸至の言っていることがわからないようで、首を傾け訝しげに見上げている。
…せめてもの罪滅ぼしに、今だけ寂しさを忘れさせよう。
今更純情ぶって何になる。
薬なんて姑息な手を使ってまで俺だって遼子に会いたかったのだから。
そして抱きたかったのだから。
自嘲気味に洸至は笑うと、酒の香りがする遼子の息を胸に吸い込みながら、酔ったように深く口づけた。
溶け合う程に深く。
妹の吐息の甘さに脳髄まで痺れそうだ。
舌の柔らかさと、絡みあう動きの艶めかしさが洸至を誘う。
遼子の首筋に置いた手を、下へ動かし乳房を掴む。
遼子の体が軽く跳ねた。服の上からでも十分感じているようだった。
貪る様にキスをしながら、お互いの体を探り合っていた。
幼いころから知っている遼子の胸を、くびれたその細い腰を、 指で手で洸至はその形を確かめていた。
最終更新:2010年11月08日 21:57