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774号室の客  by475さん  投稿日2010/11/28

鷹藤くんがスーツに着替えたら。のエロありバカップル。



長かった夏が終わり、秋が駆け抜け一足とびに冬が来ようとしていた。
その木枯らしの吹く中を遼子と鷹藤が並んで歩いている。
取材を終え、鷹藤お気に入りのラーメン屋で夕食を済ませた後の帰り道だった。
会社帰りの二人が辿るいつも通りのデートコースだ。

だが、ただ一つ違う点がある。
寒そうに首をすくめ歩く鷹藤は、いつもと違い黒のスーツを着ていた。

大物芸能人の結婚会見というどうでもいい取材だったが、華やかさを演出しようということか、記者会見
に出席する報道関係者にもドレスコードを設定しそれに準じないと入場させないとのことだった。
そう言う訳で、鷹藤も何年かぶりにスーツの袖に手を通したのだ。
そして四苦八苦しながらなんとかネクタイを締め出勤した。

スーツになると普段のラフな格好の時より色黒で精悍な風貌と、細身で引き締まった体型が際立ち、雑誌
カメラマンと言うよりはモデルと言っても通用しそうだった。
実際、アンタッチャブル編集部にこの姿で出勤した時、里香は素直に感嘆と称賛を、美鈴は冷ややかな視線の
奥にある驚きを隠さなかった。

その鷹藤の姿を、こちらもスーツ姿の遼子がチラチラと見ていた。

遼子がめかしこむときは、いつもあの白のレースがついたどう見ても流行遅れのドレスだった。
しかし、結婚会見の取材に白はNGだろうということで、取材当日に遼子は急遽美鈴に見立てもらったスーツに変更となった。
美鈴の見立てはさすがというか見事というか、スーツのシックな色は引き締めつつも躰のラインの
優美さを印象付け、程良い丈のスカートは脚の長さを際立たせていた。
それに合わせて髪を夜会巻きにセットしたので、肌理の細かさと肌の白さが殊更に強調され、
うなじには艶めかしさすら漂っていた。

「なんだよ、人のことジロジロ見て」
「そんな風に観てないわよ。べ、別に鷹藤くんなんかに見惚れてなんかいないんだから」
その言葉に鷹藤の足が止まる。
遼子は足を止めることもなくスタスタと歩み続けているが、後ろからでも遼子の耳から首筋が真っ赤に
なっているのが見えていた。

「へえ…俺に見惚れてたんだ」
隣に鷹藤がいないことに気付いて、遼子が歩みを止め振り返ると、スーツ姿の鷹藤が小首を傾げて遼子を
見ていた。
その鷹藤の姿を見て、誰と重ね合わせたのか一瞬遼子が戸惑ったように見えた。
「あんたはあれか、スーツ着て、ちゃんとした格好した男に弱いんだ。…あんたの兄さんもそうだったな」
その鷹藤の声で意識を引き戻されたのか、顔を赤らめながら遼子が言った。
「そ、そんなことないわよ」
「そういや遠山さんも、高そうなスーツ着てたしな」
「何よ、やきもち妬いてるの?男の嫉妬は見苦しいわよ」
「俺は別に気にしてないけど。ねえ、スーツ着てる男が好きってことはさあ…」
鷹藤が遼子の元へ早足でやってきた。そして遼子の耳元で囁く。

「どうやって脱がせるか考えたりしたんじゃねえの」

「た、鷹藤くんじゃないんだから、そんなこと考えたりしないわよ。鷹藤くんこそ、ちょっといい女を
見たら、この女の服をどうやって脱がせるかとか考えてるんでしょ。いやらしいんだから」
「そりゃ考えるよ」
鷹藤があっさりと認める。
「スーツ姿のあんたもいいよ。それも髪をこうしてアップにしてると、うなじがきれいに見えて…。
逆にいやらしく見えるかもな」
遼子の首筋を指で愛おしげに辿る。
「そんな冷たい手で…」
恥じらいつつ、身をすくめた遼子に目を細め、鷹藤がネクタイを緩める。
「そういや、こういう恰好してるあんたも初めてだし…。都合のいい事に」
鷹藤が言葉を切って、視線を横に送った。
遼子もその方向を観る。
駅前の繁華街からひとつそれた路地裏に、ライトアップされた建物があった。入り口横の「空室」ランプに
灯りがともっている。

「ラ、ラブホテル…ってまさか」
遼子が上目遣いに鷹藤の眼を見る。
鷹藤が微笑んで遼子の眼を覗きこむ。と、遼子の腕を取った。
「いいじゃん。俺らラブホ行ったことないもんな。それに明日は休みだし」
「ちょ、ちょっと鷹藤くん~!!」
そして遼子は鷹藤に引きずられるようにしてラブホテルの門をくぐった。


「お風呂おっきいのねえ~!すごく広いわよ~」
入るときには嫌がったそぶりを見せてはいたが、部屋に入った途端、初めての経験に生来の好奇心
旺盛な部分が刺激されたのか、遼子は延々部屋の探検を続けていた。
「鷹藤くん、お風呂一緒に…」
鷹藤の方へ遼子が目を向けると、スーツ姿のまま、鷹藤がベッドに腰掛け不貞腐れたような顔をして
遼子を見ていた。
「あれ?どうかした?」
「入って30分も探検する程の部屋かよ」
「だって、ラブホテルって初めてだし、いろんなボタンあるし、TVも大きいし…」
「子供じゃあるまいし。ま、初めてだからしょうがないか。でもさ、カラオケとかいろんなもの
 あるけど、ここに入ったらみんなアレしかしないんだぜ」
「あ、アレね」
遼子があっさりと聞き流す。
今度はソファーに座り、カラオケのリモコンを手に遼子が遊びはじめた。
「あんた、わかってやってるだろ…」
ベッドから鷹藤がゆらりと立ち上がると、遼子の後ろから覆いかぶさるようにして抱きしめた。

「た、鷹藤くん…」
「ねえあんた、年下の男焦らして遊んでるの?」
「違うわよ…」
鷹藤が遼子の耳たぶに息がかかる程近くで囁く。

「別に初めてじゃないだろ、…こんなところで何されるかと思うと怖いの?」
「怖くなんて…」
「それとも、どんなことされるかと思って期待してるの?」
「…違うってば」
「ふぅん」
鷹藤が意地悪く微笑んだ。
「今ちょっと間があったけど…。怖さよりも期待の方が大きいんだ」
遼子の耳が紅に染まる。その耳を鷹藤が舐めあげる。
「ひゃっ」
「じゃあ、期待にこたえてやらないとな」

最終更新:2010年12月03日 19:51