快楽は、理性で押さえつけていたころよりも遼子の躰を深く包み、思考を奪っていく。
それでよかった。この白い部屋同様、自分の脳髄の中も白く染めあげて何も考えたくなかった。
「いい!またいく!いっちゃう!」
快楽の中ですべてを忘れたい。
男の欲望で白く塗り込められたい。
兄の腰がさらなる激しさで遼子を責める。
にゅちゃ、にゅちゃ…!
ひどく淫らな音が心地いい。もっと、もっと。
鷹藤の男根を扱く手の動きも、この音に同調していた。
「やべえ、…すげえいやらしいよ、あんた」
自分だけでなく、鷹藤ももっと気持ちよくさせてあげたい。
だが、兄のもたらす快楽により遼子の手が止まった。
「もう…だめぇえ!」
絶叫とともに、遼子が達した。もう何回イったかわからない。
息を整える余裕もない中で、兄が遼子の中から自身を引き抜いた。
「お兄ちゃん…」
「まだ終わらないぞ。もっと良くしてやる。四つん這いになれ」
荒い息で洸至が囁く。言われるがまま、遼子が尻を突き出す。
今度は後ろから兄が突き入れてきた。
もっとも奥深いところまで洸至自身がぶち当たる。
胎内をかき乱し、快楽を掘り起こす。掘れども掘れども快楽の泉はつきることがない。
ただその深みにはまっていくだけだ。
猛りきった鷹藤自身が遼子の顔に寄せられた。
遼子から先走りと蜜に塗れたそれにむしゃぶりついていく。
「んっ…」
遼子は欲望に渇き、ただ眼の前の男たち全てが欲しくなっていた。
最初はあれ程おぞましかった男のそれが、今は愛おしくてたまらない。
麻薬と一緒だ。甘美な快楽は罪を忘れさせ―――それが為に離れられなくなる。
鷹藤の男根がまたも逞しさを増し、遼子の中で跳ねる。
ちゅぱ!しゅぱっ!じゅるるる!
凄まじい音を立て、鷹藤自身を吸い、ねぶり、啜りあげる。
遼子は男のものに吸いつき、秘裂からの快楽に煽られ狂奔する獣と化していた。
鈴口を舌で唆し、血管の浮く竿を口唇で愛撫する。
「すげえ、吸い方…駄目だ…またいっちまう…」
鷹藤は苦しげに呻くと腰を引こうとした。が、その尻を遼子の白い指が掴み抑えつけた。
「駄目だ…口に…!」
上目遣いで遼子が鷹藤を見る。その眼に光る女の欲望を見て鷹藤が息を飲み動きを止めた。
と、次の瞬間、音が出るほど激しく鷹藤は欲望を解き放った。
幾度も喉奥に打ちこまれる樹液で遼子は恍惚となる。
甘美なそれを遼子はごくりと音を立てて飲み込んだ。
「おい…し…い」
口の端に残った白濁液を遼子は舌で舐め上げ、鷹藤に微笑んだ。
「良い子だな、遼子は…。今度はこっちに集中しろ…」
遼子の尻を兄が掴む。尻の肉に兄の腰が音を立てて当たる。
「ひゃあ、あああ!あああっ!」
ひと突きされるたびに、遼子は啼いた。
膣の肉が喜びに震える。掻き乱される度に快楽が押し寄せる。
「いい!いいの。すごくいいの!全部忘れるわ…!やっ!ここで、ずっとこうして…!」
「遼子が望むなら、いつまでも…してやるよ」
兄の汗が遼子の腰に滴り落ちた。
にゅぶっ、じゅぼっ!にゅぷっ!
愛液と男たちの精液が絡みあい、二人の躰の間で音を立てる。
遼子の全身の毛が逆立ち、眼が眩む。
「頂戴…お兄ちゃんのいっぱい頂戴」
「ああ」
洸至が男根で遼子を深く抉り、胎内深くで動きを止める。
兄自身が胎内で跳ねまわり樹液を注ぎこむ。
「あ、あああああ!いく…いっちゃううう!」
子宮の奥に放出された瞬間、とてつもない快楽が遼子を包む。洸至の射精に合わせて遼子の躰が震えた。
そして洸至が達するのと同時に、遼子もベッドの上に崩れ落ちた。
窓が薄く開けられ、カーテンが風でそよいでいた。
白い部屋を柔らかな陽光が照らしている。
「眠っているのと同じような状態です」
寝癖頭の医師がそう言った。口調はそっけないが、重い口調で鷹藤を心配させすぎないようにとの配慮も感じさせた。
ベッドの上には眠る遼子。
そのまわりには輸液スタンドが一本置いてある。そこから栄養剤が点滴されていた。
「同じような、というと」
ベッド横の丸椅子に座る鷹藤が医師に尋ねた。
「常に昏睡ほどの深い眠りにいる訳ではないんですよ。脳波をとってみると鳴海さんは浅い夢を絶え間なく見て、
それからまた深い眠りに落ちるというサイクルを繰り返しているようです。それだけなら普通の睡眠と変わり
ません。ただ…鳴海さんはそこから覚醒することがない」
「何でだよ…」
鷹藤は遼子の寝顔に問いかけた。
遼子は眠り続けていた。もう5日になる。
編集部に来ない遼子を心配した鷹藤が遼子の部屋に行くと、パジャマ姿で眠る遼子がいた。
だが、何をやっても目を覚まさない。
鷹藤が救急車を呼び、遼子は救急病院に搬入され検査をしたが躰には全く異常が見られなかった。
脳神経外科的に見ても異常が見られないことから、今度は同じ病院内の精神科医が遼子を診察していた。
「これは仮定ですが」
医師が静かに切り出した。
「鳴海さんはかつて今泉医師の診察を受けていたそうですね。伝手を頼って警察が押収したカルテのコピーを見せてもらいました。
どうやら彼女は診察の際に退行催眠を受けていたようです。今泉医師が行う退行催眠はPTSD治療の為にそのトラウマとなった
出来事を復元し患者に直視させるのを目的としたものです。しかしこれは危険きわまりない治療としか言いようがない。
事件の忘却とは精神の健全さを保つ自浄作用である場合も多いのです」
医師が言葉を切る。
今泉―――遼子を診察していた精神科医だった。
鷹藤との結婚が決まって、遼子が何故かその医師の元へ足繁く通うようになった。兄と自分が持つ幼少期の記憶のずれに
苦しんでの結果だった。
しかし、その今泉医師は今、拘置所の中だ。連続快楽殺人犯レディーキラーとして、警察に逮捕されたのだ。
医師が続ける。
「しかし、治療は何故か中途半端な形で中断されました。退行催眠後のフォローがなくなった結果、抑圧され
ていたはずの過去の記憶が一気に蘇ったとすれば…。想像するに相当辛く、恐ろしい記憶なのでしょう。
そこから逃れる為に、今は一時的に眠りについているのかもしれません。もしかしたら何か罪の意識に
苦しんでいるのかもしれない。恐怖の記憶も人を責めさいなみますが、罪悪感は緩慢ですが確実に人を
追いつめます。私はこうなった状態の鳴海さんしか見ていないので、彼女が何に苦しんでいるかはカルテから
推察するしかありません。鍵は幼少期の記憶のようですが…」
鷹藤が遼子の寝顔を見つめた。
そこに苦悩の影はなかった。しかし、閉じられた瞼の奥で遼子の魂は苦しんでいるのだろうか。
「じゃあ、目覚めるとしたら…」
「彼女が自分に目覚めることを許せば、きっと目を覚ますでしょう。また明日診察します」
医師は部屋を出ていった。
白一色の病室の中で、遼子は穏やかに眠っている。
鷹藤は
布団の中に手を入れた。遼子の腕を掌でさする。
まだこの躰に魂があることを示すように温かい。
鷹藤が遼子の手を取り、両手で包むと自分の額に当てた。
「いつまで寝てるんだよ」
『いつまで寝てるんだよ』
遼子はその声で目を醒ました。
鷹藤はそばにいなかった。今は兄がまた躰をまさぐっている。
乳房を弄られ、くすぐったさに笑い声をあげながら兄の頭を抱いた。
白一面のこの部屋で、すべてを忘れるべく遼子が兄と口づけを交わしたときだった。
誰かが遼子の手を掴んだ。
掴まれた方の手を見るが、そこには誰もいない。ただ、誰かの温かな手の感触があった。
『帰ってきてくれ』
声の方向には誰もいない。
「聞くな。おまえはここにいた方が幸せだ。俺が―――俺で足りなければ他の男だっている。ここだったらすべてを
忘れられる」
兄が遼子の細い腰を抱きよせる。硬度を増した兄自身が遼子の太股に当たった。
「忘れるんだ…全部。俺と一緒にいよう」
「あんたが昔どれだけ辛い思いしたか俺は知らない。何に苦しんでるかも全部はさ…。
でも、そこに居る限り、哀しみは終わらないんじゃないか。あんたからどんな話を聞いても、俺は離れない。
あんたが自分を許せる時まで傍に居る。本気で待ってる人間がここにひとりいるんだぜ」
鷹藤が遼子の髪をいとおしげに撫でる。
「…苦しみも全部わけてくれよ。お願いだ。帰ってきてくれ。俺にはあんたが必要だ。家族が誰もいない
俺達だからこそ、良い家族になれるんじゃないか。糞みたいな世界でも、あんたが…遼子がいるだけで違うんだ。
だから帰ってきてくれ。遼子。頼む」
そのとき、遼子の眦から涙が一筋流れ落ちた。
「お兄ちゃん、やっぱり私…忘れられない」
ぽたぽたとこぼれ落ちる遼子の涙がマットレスの上に灰色の跡を作る。
「遼子。それでいいのか。この部屋を出たらきっと傷つくぞ」
遼子が兄の腕の中から離れ、歩き出した。
「わかってる…。でも行かなきゃ。待ってる人がいる…こんな私を必要としてくれる人が」
「…出口はお前が知っている。お前が望めば、ここから出られる」
遼子が眼を閉じる。
次に開いた時、白い壁に扉が現れた。ドアノブに手をかける。
遼子は俯いた。
「甘えてばかりでごめんね。それと…ありがとう、お兄ちゃん」
「いいさ。俺はずっとここにいる。辛くなったらまた帰ってくればいい」
遼子は兄の顔を見た。穏やかな笑顔をこちらに向けていた。
遼子は兄に小さくうなずくと、ドアノブを回し扉を開けた。
遼子ぶっかけ祭りでした。長くてごめんなさい。
こんなに長いのにお付き合いくださった皆さま、ありがとうございます。
ううーん、要望通りのものかというと。ううーーーん。これが精一杯です。すいません。
ちなみに、片山さんが比較的良い思いしているのは、お兄ちゃんに尽くして尽くして挙句
ボロ雑巾のように捨てられたので、せめてSSでは良い思いをしてほしくてこうなりましたw
ぶっかけ祭り完結、お待ちしておりました!!!
今回は、この祭りをものすごく堪能させていただきました、
ありがとうございます!!!
別にそのまま兄とずーっといちゃいちゃしていればいいのn…ry
遼子陵辱話ということで、今回の話の元になっている遼子と父親の
エピソードは、お待ちしていてもよろしいのでしょうか?
(というか、ものすごく読みたいだけなんですがww)
ぶっかけ祭り、ほんっっっとぉおおに、ありがとうございました
とってもハァハァしながら読ませてもらいましたヨー
しかしやっぱりお兄ちゃんはあんな鬼畜極まりない抱き方してても
結局は遼子ちゃんのことをとても大切にしてるんだなーとしみじみ…
片山さん、美味しい思いしてヨカッタねw
最終更新:2012年03月29日 21:05