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「CRAZY TAXI 兄ギリギリ編」by373さん  投稿日2010/10/24


お兄ちゃんに関しては、同居時はギリギリ堪えてそうなのでギリギリverと、
皆さんの潜在的要望が高そうなリミッター解除verの二つ取り揃えてみました。
ご要望通りだと良いのですが。
本文中の『あの夜』とはこちら→見知らぬ人でなく



樫村が帰った後、洸至は遼子をベッドに寝かせた。
乱れたシャツを直してやり、スカートの裾を整えると、上から毛布をかける。
遼子が眠るベッドに腰掛け、しばらく妹の寝顔を見つめていた。
「…まったく、お前はどうしていつも相手を間違えるんだ」
妹の乱れた髪を梳いて整えてやる。
「そんなに遠山が好きなのか?」
頬に指を滑らす。

「酒に酔うと、誰でも遠山に見えて、誰かれ構わずキスしちまうのか」
洸至の指先が遼子の唇に触れた。

「だからつけ込まれるんだ」

樫村から遼子を受け取った時に微かに纏わりついていた雌の芳香。
それが意味するところは明らかだった。

「いいように、玩具にされて悔しくないのか」
遼子は安らかな寝息をたて眠っている。
お前が遠山と勘違いした相手でも、束の間でも愛されたとしたら満足なのか。

「男なんてなあ、浅ましい生き物だからな。出来ると思えばやっちまうんだぞ」
遼子の下唇の形を洸至の親指が愛おしげに辿る。
遼子の瞼がぴくりと動いた。驚いた洸至の指が止まる。

が、遼子の瞼は開かれることなく、また静かな寝息がつづいている。
…浅ましいのは自分も同じか。
遼子が眼を覚まそうとした今、あの夜のように、自分を遠山と勘違いして唇を求めてもらうことを洸至は一瞬期待した。
まだ部屋には遼子から漂う雌の香りが漂っている。
それに理性を絡め取られる前に、洸至は枕元を離れ、部屋を後にした。

洸至は己のベッドに潜り込んだが、躰の芯で出口を求めたぎる熱のせいですぐに眠れそうにない。
そんな時は、手製爆弾の回路図を頭の中で展開させる。
迷路のように絡まっているが、ひとつの純粋な目的の為に収れんされた美しい回路図を。
点火、発火、起爆の連鎖と、その爆発が建物を破壊するさまを想像する。
破壊行為を想像することはいつも洸至の心を落ち着かせた。

―――本当に壊したいのは自分の理性なのかもしれないな。

だがそれだけは壊せない。そうしたら兄妹ですらいられなくなる。
自分が振り切りたいものについて考えるより、社会をより良い方向へ導く計画をまた練り直そう。
新しいシナリオ、雑誌編集長の悲劇的な死を付け加えた計画を考えながら、洸至はようやく眠りについた。



別バージョンはこちら→CRAZY TAXI 兄リミッター解除ver.
最終更新:2010年11月09日 23:27