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 福島県は12日、新型コロナ対策本部員会議を開き、医療への負荷が増大しているとして県版の「BA・5対策強化宣言」を発出した。31日までの期間中、新型コロナ対応改正特別措置法に基づき、医療機関の適正利用や基本的な感染対策の徹底などを県民に求める。急速な感染拡大が続き、必要な医療が受けられなくなる事態が迫っているとして初の「県医療非常事態宣言」も出した。

 対策強化宣言は、「感染拡大警報」の強化版として打ち出した。緊急時以外の救急外来の受診や、コロナの検査を目的とした医療機関の受診を控えるよう求める。子どもと高齢者については混雑する場所への外出などを控えるよう呼びかける。夏休みやお盆で普段会わない人と会う機会が増えるため、基本的な感染対策を一層徹底する。

 県は11日現在の新型コロナの入院者数が過去最多の467人に上り、県の確保病床の使用率は62・3%(前日比3・4ポイント増)に達したと12日発表。受け入れ可能な病床が減り、入院調整が困難な状況になっている。病床が逼迫(ひっぱく)し、救急車の到着後も搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」も増加し、8月1週(1~7日)は前年同期比269%の78件に上った。

 医療従事者が感染者や濃厚接触者となり、医療現場の人員不足が顕在化。8月1週にコロナ関連で休んだ医療従事者は前月同期比897%の1032人となり、入院や手術、救急医療に支障が生じている。県は「医療体制の危機」と捉え、対策強化宣言や非常事態宣言に踏み切った。

 内堀雅雄知事は本部員会議で「医療の現場が限界に近づきつつある。命と健康を守るため、一人一人が強い危機意識を持って対策を徹底してほしい」と述べた。

 対策強化宣言は政府が新設した制度で、都道府県が自主判断で出せる。内容は地域の実情に応じて設定できるが、まん延防止等重点措置のように強制力はない。「病床使用率がおおむね50%超」などが発出の目安となる。

 政府は12日、福島県と秋田、鳥取両県を「BA・5対策強化地域」に指定。同地域は計24都道府県となった。



【福島県版のBA・5対策強化宣言のポイント】

●1基本的な感染対策の再点検と徹底

→喉の痛みやせき、発熱などの症状がある場合は外出を控える

→会食は黙食で、会話時はマスク着用。人と人との距離を十分確保し、短時間にする

●2感染した場合の備え

→高齢者や基礎疾患がある人を感染から守るため、家庭内の生活動線の分け方を事前に相談しておく

●3速やかなワクチン接種

→ワクチン未接種者は接種を検討する

●4検査のさらなる活用

→無料検査を積極的に活用する

●5効果的な換気

→十分な換気量を確保する

●6移動時の注意喚起

→夏休みやお盆の時期は普段会わない人と会う機会が多くなるため、基本的な感染対策をより徹底する

●7子どもと高齢者の感染対策

→特に、高齢者や基礎疾患のある人、その周囲の人は感染リスクの高い行動を控える

●8事業所での感染対策

→在宅勤務など、人と人との接触を減らす取り組みを推進する

→従業員が休みやすい環境づくりや、休んでも事業を継続できる取り組みを推進する

●9医療を守る対策の強化

→医療従事者に感染を広げない行動を徹底する

→緊急時を除き、救急外来の診療は避ける。感染を調べる検査のためだけの受診も控える
































最終更新:2022年10月30日 19:59