+ ニュースサーチ〔ACE2〕

+ 抜粋
コロナウイルスはエンベロープを細胞の受容体に結合させて、以前から知られている clathrin-mediated processes(クラスリン依存性プロセス)と呼ばれるやり方で細胞内に侵入する[2,3]。ACE2遺伝子は ACE2(アンジオテンシン変換変換酵素2)をエンコードする。この酵素は SARS コロナウイルスおよびヒト呼吸器コロナウイルス NL63 の標的受容体である。現在、ACE2が COVID-19 のホスト受容体であることが複数の研究で示唆されている[4,5]。ACE2 は、比較的最近に発見されたⅠ型膜貫通性メタロカルボキシペプチダーゼであり、すでに発見されている ACE 酵素と相同性を持ち、レニン・アンジオテンシン・システム(RAS)において、血管の緊張度とホルモン分泌を制御している[6]。ACE2はレニン・アンジオテンシン経路において、保護的および傷害的の両作用を持つようであるが、細胞に対する直接作用は十分明らかにされていない[7,8]。ACE2 受容体は、特に心臓、肺、腎臓、消化管に存在し、RAS シグナリングにおいて重要な仲介的役割を果たしている[9]。これらの臓器は COVID-19 の感染を受けやすいことが分かっている。糖尿病の治療に使われる ACE 阻害薬は ACE2受容体の発現を増加させる。糖尿病治療薬の thiazolidinediones(ピオグリタゾン®など)、イブプロフェン(ブルフェン®)も ACE2受容体を増加させる[10]。動物実験とヒトの臨床データで観察される COVID-19 感染による心不全、肺疾患、心腎メタボリック症候群などの臓器症状がレニン・アンジオテンシン系機能不全を基盤として発生する症状と一致することは偶然ではない[11-13]。

COVID-19 感染症の治療薬もワクチンもない現状では、感染しやすい者の早期発見と早期医療ケアが何よりも重要である。31 地域の 575 病院から報告された 1590 名の COVID-19 感染患者の臨床経過を分析した結果、喫煙が COVID-19 感染患者の重症度と死亡率に大きく影響することが明らかとなった[14]。年令と性を調整した死亡率と重症度は非喫煙者よりも現在および過去喫煙者で高かった。これらの知見は、死亡率や重症度が若者より高齢者に高いこと、女性よりも男性に高いこと理由を説明する一助になると思われる。中国の 30 地域の 552 病院から報告された 1099 名の患者の 58%は男性であり、COVID-19 感染が女性よりも男性に多い傾向があることが示唆された。これは、中国において、男性の喫煙者が女性よりもはるかに多い(2 億 8800 万人対 1260 万人) ことによるのではないかと思われる[15]。

喫煙関連疾患は心血管と肺に多く起こるが、これはニコチン受容体が心臓、肺、血管に多く分布しているからである[16-18]。季節性インフルエンザなどの感染症による死亡が喫煙によって増加することは周知の事実である[19,20]。ニコチンばく露、ニコチン受容体シグナリング、RAS 修飾の間に相互作用が存在することは明らかにされているが、そのメカニズムの研究はこれからである。しかし、ニコチン受容体が ACE2受容体蛋白の発現を制御するメカニズムが明らかになっており、COVID-19 感染症の成立と重症化をもたらす細胞学的機序に喫煙が直接関与していると考えられる[21-23]。喫煙は炎症サイトカインの活性化とアポトーシスを通じて肺にダメ

血管
ージをもたらし、T 細胞などの循環免疫細胞を直接傷害する[24]。特に興味深いことは、肺胞Ⅱ型上皮細胞がニコチンにさらされると、ACE2受容体蛋白の発現状態が変わることである。そうならば COVID-19 のスパイク蛋白が接合すると考えられている受容体の発現促進につながるわけだが、最近 RNA シークエンス解析と DNA マイクロアレイ解析により、喫煙が肺の ACE2受容体の発現を増加させる可能性があることが示された[25]。様々な形態の喫煙行為によって長期間ニコチンを体内に摂取すると、ウイルスに感染しやすくなり、ウイルス感染による呼吸器をはじめとした諸臓器の病状の重症化をもたらす可能性がある(図 1)。

(※mono....禁煙学会の言うことだ。まったく信用していない。別の角度からの知見を探す。)

■ ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)〔Wikipedia〕
ACE2 (アンジオテンシン変換酵素2) はACEと構造が類似しているものの別物であり、ACE2は主にアンジオテンシンIIからアンジオテンシン-(1-7)への変換を行って血圧上昇のレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制する[4]。ACE2には敗血症などによる肺損傷からの保護作用がある。
+ 続き
またACE2は小腸上皮においてB0AT1と結合し、トリプトファンを吸収する中性アミノ酸輸送体として動作し、これによって抗菌ペプチドが発現されると見られている。ACE2ノックアウトマウスは腸炎を引き起こすが、トリプトファンまたはニコチンアミドの摂取によってこの腸炎を軽減できる。

またACE2で生成されるアンジオテンシン-(1-7)は心筋梗塞モデルラットでの実験において心臓の保護作用があることが確認されている。ただしアンジオテンシン-(1-7)の投与は左室収縮能が悪化していた(なお左室機能低下の急性冠症候群 (ACS)にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB)が有効とされる)。

ACE2は十二指腸、小腸、胆嚢、腎臓、精巣に高く発現しており、副腎、結腸、直腸、精嚢に低く発現している。

ACE2はアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)によって抑制されない。ACE2活性化剤としてはオルメサルタンが存在する。

肺炎などを引き起こすSARSコロナウイルスおよび2019新型コロナウイルスはACE2を宿主細胞受容体として利用する。増殖したSARSコロナウイルスはACE2の発現を低下させ、急性肺不全など重大な症状を引き起こす。そのためSARSに対するリコンビナント(組み換え)ACE2の投与がマウスにおいて研究されており、また発見された大量生産しやすいバクテリア由来ACE2様酵素も症状への効果が期待されている
煙草のニコチンは短期的にはACEの発現か活性を増加させ、一方でACE2の発現か活性を減少させ、血圧を上昇させる。しかし、喫煙者及び元喫煙者はACE2の発現が増えているとする査読前論文が存在する。また、喫煙者及び元喫煙者は上腕収縮期血圧が普通なものの、中心収縮期血圧が高いとの報告もある





Dr Ishiguro
2020/04/10 に公開
新型コロナウイルスはACE2という細胞膜の受容体を介して細胞内に侵入します。日本人が多く使用している降圧剤がこのACE2に変化を与えます。日本人の高血圧患者はは新型コロナウイルスで重症化しやすいのか?


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■ 【新型コロナウイルス】降圧薬の服用でCOVID-19は重症化しない 欧州と米国の高血圧学会が声明を発表 「糖尿病リソースガイド(2020年04月02日)」より
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高血圧患者がCOVID-19に感染しやすいとは言えない
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と高血圧症について、「高血圧症のある患者はCOVID-19を発症しやすくなるのではないか?」、「高血圧症の治療に一般的に使われているアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)がCOVID-19の予後を悪化させるのではないか?」という懸念があり、一部のメディアが過剰に反応している。
 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が人体に感染するには、細胞の表面に存在する受容体タンパク質(ACE2受容体)に結合したのち、ウイルス外膜と細胞膜の融合を起こすことが重要となる。
 ACE阻害薬とARBはACE2の発現を上昇させることが動物モデルで示されており、これらの薬剤を使用している高血圧患者はSARS-CoV-2に感染しやすく重症化しやすいのではないかという懸念があった。
 これに対して、欧州高血圧学会(ESH)、国際高血圧学会(ISH)、欧州心臓病学会(ESC)は、「COVID-19を発症した患者がACE阻害薬およびARBの使用を中止すべきであることを示した臨床的・科学的なデータは現時点では全くない。患者はこれらの薬剤の使用を継続するべきだ」とする声明を発表した。
 ただし、心疾患などの併存症がある人は、ACE阻害薬やARBの使用の有無にかかわらず、COVID-19罹患後には重症化リスクが高まるとしている。
 ISHは次の4つの重要なポイントを強調している――。
(1)現在のところ、高血圧患者が正常血圧患者に比べて新型コロナウイルスに感染しやすいとは言えない。60歳以上の高齢者は新型コロナウイルスに感染しやすく、高齢者では高血圧患者が多いために、そのように見えるが、高血圧が原因となっているわけではない。
(2)新型コロナウイルスについては、ACE阻害剤あるいはARBは、感染に対する感受性を改善あるいは悪化させることも、感染した患者の結果に影響を与えることを示す臨床データはない。
(3)現状では、ACE阻害剤あるいはARBについて否定的、あるいは肯定的になるような十分なデータは示されていない。そのためISHは、高血圧症患者を治療する際に、ACE阻害剤あるいはARBについては通常通り適応に応じて使用を継続することを強く推奨する。新型コロナウイルス感染に関する懸念に影響されて処方を変更すべきではない。
(4)将来的には、新型コロナウイルス感染に対して降圧治療が影響を与えることが明らかになり、治療指針を変更する必要が生じてくる可能性もあるが、現在のところは、そうした研究結果は発表されておらず、現状の高血圧診療ガイドラインを変更する必要はない。
治療レジメンを変更する際には患者個々の必要性を考慮
 米国心臓協会(AHA)、米国心臓病学会(ACC)、米国心不全学会(HFSA)も、合同で同様のメッセージを発表した。
 「心血管疾患の持病がある患者は、COVID-19に罹患すると重症化しやすく、死亡リスクも高いため、懸念があることは理解できる。しかし、最新のデータを確認した結果、ACE阻害薬やARBの使用中止を支持するエビデンスは見つけられなかった。そのため、治療レジメンを変更する際には、患者個々の必要性を考慮することを強く推奨する。治療の変更は最新の科学的エビデンスに基づき行うべきであり、医師と医療チームが共同で意思決定を行うべきだ」と、AHA会長で米スタンフォード大学医学部長のRobert Harrington氏は述べている。
 「COVID-19と診断された心血管疾患患者に最適な治療を継続的に提供することが最優されるが、ACE阻害薬やARBについては、有益あるいは有害な結果を示す実験データや臨床データは今のところ存在しない。心血管疾患を有しCOVID-19を発症した可能性のある世界中の数百万人の患者に最適なケアを提供するために、緊急の追加研究が必要だ」と、ACC会長で米インディアナ大学心臓病学教授のRichard Kovacs氏は述べている。
欧州高血圧学会のステートメント
Position Statement of the ESC Council on Hypertension on ACE-Inhibitors and Angiotensin Receptor Blockers(欧州心臓病学会)
Patients taking ACE-i and ARBs who contract COVID-19 should continue treatment, unless otherwise advised by their physician(米国心臓協会)
HFSA/ACC/AHA Statement Addresses Concerns Re: Using RAAS Antagonists in COVID-19(米国心臓病学会)
Patients taking ACE-i and ARBs who contract COVID-19 should continue treatment, unless otherwise advised by their physician(米国心不全学会)


★■ アジア人は新型コロナウイルスに弱い?専門家らの見解 「Sputnik(2020年03月12日 23:48(アップデート 2020年03月13日 01:14))」より
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日本のタブロイド紙「日刊ゲンダイ」が10日に掲載した記事が、ネットユーザーなどの関心を呼んだ。記事には、アジア人は新型コロナウイルスに感染しやすいという中国の研究者たちの研究結果が書かれている。通信社スプートニクは、このような結論にどれほどの根拠があるのか、専門家たちに尋ねた。

アジア人は感染しやすいという理由

現時点では、人の肺胞細胞に存在するタンパク質のレセプター(受容体)ACE2が新型コロナウイルスの「侵入口」であることがわかっている。SARS及びMERSでも同じだった。

中国の研究者らは、アフリカ系米国人5人、白人2人、アジア人1人を調べた。その結果、55歳のアジア人の体にACE2受容体が特に多いことがわかった。このことから研究者らは、アジア人は新型コロナウイルスに感染するリスクが最も高いと結論付けた。なお、ハーバード大学院卒で医学博士の左門新氏は、日刊ゲンダイの記事の中で、「人間の体にはACE2の割合に関連する6種類の遺伝子があります。この遺伝子の比率が高いほど、体内におけるACE2の割合も高まる。つまり新型コロナウイルスが入りやすいことになります」と語っている。

疑念を抱かせるもの

研究結果が発表されたのは1月末。通常、学術雑誌に掲載されるためには少なくとも他の研究者たちによる追試が必要であり、数か月かかる可能性がある。新型コロナウイルスの問題が文字通り1月から拡大し始めたとことを考慮すると、これはおそらく、しかるべき評価や検証の済んでいないプレプリントであると結論付けることができる。そして最も重要なのは、この結論は、過去の診療が不明なたった1人のアジア人から採取した細胞の調査に基づいていることだ。これは実際に重要なことだ。その理由は以下の通り。

3月10日、ロシアの医師、エフゲニー・コマロフスキー氏は、YouTubeチャンネルに動画を公開し、コロナウイルスに関する最新情報を共有した。同氏によると、先ず現在、ACE2の活動は人の年齢と密接に関連していることがわかった。つまり、年齢が高くなるほど、ウイルスがACE2に「付着」しやすくなる。2つ目に、高血圧の薬を服用している人はリスクが高いことが判明した。高血圧の薬はACE2に影響を与えるため、服用者はコロナウイルスにより弱くなるという。
コマロフスキー氏は「これはコロナウイルスによって大人、特に高齢者や高血圧の治療薬を常時服用している人たちが他の人たちよりも重症化することのわかりやすい理由の一つだ」と説明している。

スプートニクは、大阪大学大学院の森下竜一教授(医学系研究科臨床遺伝子治療学)にも、中国の研究者らの研究結果についてお話を伺った。森下教授は次のような見解を示した-

「サンプル数が少ないので、何とも言えません。ただ、イランやイタリアでの流行を見ると、中国人、日本人が、感染しやすいとは思えません。しかし、感染者数は、見るべき指標ではありません。基本的に死者数が正しい比較の数字です。」

東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻の片山浩之教授(水処理分野におけるウイルスに関する専門家)にもお話を伺った-

記事にある遺伝子型の偏りはあってもおかしくないと思いますが、ニュースバリューがあるとは思えないです。(なぜかと言いますと、)感染実験の結果でないので根拠が薄い、現在の流行の記述としては意味が少ない、などです。日本では検査数がおそらく相対的に少ないが、死者数は実際に少ない、というあたりが疫学的には注目点と思います。ただ、これは私の専門外なので個人的感想です。」
アジア人は体内におけるACE2の割合が高いと主張するには、より多くのさまざまな年齢層の健康な中国人のサンプルで再度、調べる必要がある。また、それらの人々は、中国のさまざまな地域の出身者であり、有害な環境に置かれておらず、薬による治療を受けていないことも重要だ。

スプートニクは新型コロナウイルスに関するその他の疑問と回答について別記事でご紹介している。こちらの記事およびこちらの記事をお読み下さい。













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最終更新:2020年04月18日 15:24