● 激動の欧州を語る ~EUの挑戦~ 今井佐緒里
フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出合い、EUが変えゆく世界観。社会・文化・国際関係などを中心に執筆。ソルボンヌ大学(Paris 3)大学院国際研究・ヨーロッパ研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。編著に「ニッポンの評判 世界17カ国最新レポート」(新潮社)、欧州の章編著に「世界が感嘆する日本人~海外メディアが報じた大震災後のニッポン」「世界で広がる脱原発」(宝島社)、連載「マリアンヌ時評」(フランス・ニュースダイジェスト)等。フランス政府組織で通訳。早稲田大学卒業。日本では出版社で編集者として勤務。 仏英語翻訳。



■ 新型コロナウイルスに医師が警告「市販薬は飲んではいけない」 「SmartFLASH(2020.03.08 11:00)」より
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感染者数が拡大の一途をたどる新型コロナウイルス。「もはや、明日にでも自分が感染するのではないか」と、不安な方も多いだろう。

そこで、“感染後” を見据え、新型コロナが重症化しないためのアドバイスを、免疫機能に詳しい、いしいじんぺい医師に聞いた。 ※mono注....リンクはTwitterへ

「新型コロナによる症状自体は、一般的な風邪とそれほど違いはなく、極度に恐れる必要はありません。もともと、“コロナウイルス” 自体が変異しやすいもので、毎シーズン “新型” が登場しています。

 いま流行している『COVID-19』は、致死率も決して高くはなく、感染しても発症しない人が多い。過度に危険視する必要がないんです」

 いしい医師が、“危険視” するのは、不必要な薬の服用による体への影響だ。

「そもそも、新型コロナが重症化した方は、『発症時に服用した薬に原因があるのではないか』と、私は考えています」

 どういうことなのか?

「多くの人が誤解していることですが、『病気は薬で治す』という考え自体が、本来は間違いなんです。基本は、人間の体が持つ免疫力で治すもの。

 確かに、多くの患者さんは “薬を使っても” 治ります。たとえば解熱剤。一時的には熱が下がって楽になりますし、風邪やインフルエンザで解熱剤を飲んでも、最終的には治るでしょう。

 でも、解熱剤を使用すると、治るまでの期間は長くなってしまうんです。インフルエンザの場合、解熱鎮痛剤を服用すると、服用しなかった場合と比べて、1.8日治るのが遅くなったという研究結果もあります。

 遅くなった原因は、体が体温を上げることで免疫力を上げようとしているのを、解熱剤が無理に止めてしまったからです」

 ほかにも、気軽に買える市販薬が、新型コロナを重症化させてしまう可能性は「十分ある」という。

「たとえば、咳止め薬です。体は、咳をすることで痰を出し、ウイルスが肺に入るのを防いでいるのです。それを無理やり止めると、肺炎になる可能性が高まります。

 しかも、効果の強い咳止め薬は、副交感神経をブロックしてしまいます。すると、ウイルスなどの異物と戦うためのリンパ球が、リンパ節から出られなくなる。当然、免疫力が落ちて、感染症が悪化する可能性が高まります」

 いしい医師は、『予幸医学のススメ』を執筆し、患者の幸福追求を重視する “予幸医学” を提唱している。

「私はよく、『薬はローンだ』と説明します。熱を下げて表面的な症状を抑えることは、借金の支払いを先延ばしにすること。しかし、いつかは支払わなければならない。薬には、『重症化のリスク』という高い利子がつくこともあるんです」

 では、新型コロナと似た症状が出た場合、どうするべきなのか。

「水分と塩分をしっかり摂って、家で寝ているのがベストです。味噌汁は、水分・塩分・善玉菌・アミノ酸が補給できて、免疫力を上げてくれます」

 ただし、「水が飲めない、息が苦しい、意識がおかしいなどの症状が4日以上改善しない場合は、病院で受診するべきだ」とのこと。

 一方、“コロナ予防対策” として、いしい医師が積極的にすすめるのがビタミンDの摂取だ。

「ビタミンDは、免疫力にとても重要です。『ビタミンDが低い人が肺炎になるリスクは、高い人の10倍以上』とも報告されています。

 おもに日光を浴びることで作られ、食事で十分に摂るのは難しい。まだ日光が弱いので、サプリでビタミンDを補給して、あえて外に出ることで、被害を最短最小にできます」

 次のページでは、いしい医師の監修のもと、「飲んでは行けない市販薬」と「注意すべき薬」を解説する。市販薬を買う際は、慎重に考えたい。

飲んではいけない市販薬
風邪薬
 一般的な風邪薬には、解熱鎮痛剤が配合されている。病気のとき熱が出るのは、免疫力を高めているため。それを薬によって下げることで、治癒が遅れる。そのため、脱水や肺炎、脳症などの合併症が増えるリスクがある。

頭痛薬
 解熱鎮痛剤は、「アスピリン喘息」という病名があるほど、喘息の発作を引き起こすことが多い。特にウイルス感染時には、症状が顕著に現われる。
 より強い解熱鎮痛剤になると、脱水症状になりやすくなる。最悪の場合、ショック症状、肝障害、腎不全を起こすこともある。

咳止め薬
 人が咳をするのは、体によくないものを排出しようとするため。それを止めてしまうと、肺炎のリスクが高くなる。強いものになると、副交感神経をブロックし、免疫細胞がリンパ節から出るのを止めてしまうことで免疫力が低下する。
 また、胃腸の動きを止めることで便秘の原因になる。

胃腸薬
「解熱鎮痛剤が胃の負担になるという理屈で、解熱鎮痛剤と一緒に処方されたり、みずからドラッグストアで購入することが多いが、「効果は、ほぼない」といわれている。胃酸を抑えることによる、体へのメリットはない。

花粉症薬
 副交感神経をブロックする作用がある。鼻や口の中が渇き、痰や鼻水で有害なものを、体の外に排出しにくくなる。そのため、免疫力低下に繋がる。

注意すべき薬
抗脂質薬
 コレステロール・中性脂肪を下げる薬も、注意が必要。免疫を高めるビタミンDや、ストレスと戦うホルモンの原料は、コレステロール。
「コレステロールが高い人ほど、死亡リスクが低い」という研究結果もあり、海外では、薬で無理やり下げることはなくなってきている。

睡眠薬
 筋力を低下させ、副交感神経をブロックするため、免疫力が低下する。同様に、病院で処方されるコレミナールなどの精神安定薬も、副交感神経に悪影響を与え、免疫力を下げてしまう。

※薬の解説はすべて、いしいじんぺい氏監修
(週刊FLASH 2020年3月17日号)


(※mono....当サイト内ページ【COVID-19の病態】にアスピリンを飲んだ方がいいという記事の紹介。果たしてどっとなんだろうか?両方をチェックして自己責任で。)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療
■ 2続報】コロナウイルスで飲んではいけない薬:フランスのイブプロフェンとアセトアミノフェン使用の指針 「Yahoo!news(今井佐緒里 | 欧州研究者・物書き・編集者 2020/3/19(木) 9:41)」より
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WHO(世界保健機関)が、「『イブプロフェン』をみずからの判断で服用しないでほしい」としたうえで、代わりに解熱鎮痛薬の「アセトアミノフェン(別名:パラセタモール)」を使うよう呼びかけた。


フランスのヴェラン厚生大臣のツイッターの発言について、定例記者会見で、リンドマイヤー報道官が記者の質問に答えたのだという。

全身の力が抜ける思いがした。覚悟を決めて記事を発表したつもりだったが、この3日間、自分で思っていたよりも緊張していたのだろう。不思議なことに、18日朝にWHOの記事をみつけて、安心した夜になって、なんだか体調が悪くなってきた。

記事を発表した後の反響で、一番「これは大変だ」と重い責任を感じたのは、今何かの病気をもっていて、医者の指示でイブプロフェンを定期的に服用している人が、「恐くて飲めない」と言っているものだった。

すぐに医者に行って聞いてくれればいいのだけど、外出の自粛ムードで家にいるかもしれない・・・。そう思い、助言を与えてくれる情報を探した結果が、【1続報】で紹介した、『ル・フィガロ』の記事であった。

フランス語の情報で上位に来ていたということは、フランス人もあのヴェラン厚生大臣のツイッターを見て、不安になった人が多かったのだろう。それを解決するのに、よくまとまった記事だったのだと思う。

それから、日頃から頭痛や生理痛、発熱などで、イブプロフェンの薬をよく服用している人たちが「恐くて飲めない」と言っているのも気になった。

ただこちらのほうは、仏厚生大臣は、「パラセタモール(アセトアミノフェン)を服用して下さい」と別の方法を言っているので、重圧度は胃が痛くなるほどではなかった。

それでも「言いっぱなしは良くない」という思いが残っていた。そのために、この【2続編】を書いている。

フランスにおける薬剤師へのアドバイス
(※mono....以下抜粋文の前後は大幅に略しています。詳細はサイト記事で。)
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しかし、たとえ新型コロナウイルスの情報がまだの段階であっても、世界に先駆けて「イブプロフェンの服用を避けろ」と公に大声で叫んで、WHOにも認めさせたフランスの知見は、参考に値すると思う。

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■ 【1続報】コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランス発の詳細な説明 「Yahoo!news(今井佐緒里 | 欧州研究者・物書き・編集者 2020/3/17(火) 8:24)」より
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(※mono....記事冒頭は略)
奇妙な沈黙――これが、筆者が前回の記事を発表してからの、感想である。

なぜこれほど静かなのだろう。ネット上では、もっと識者や関係者から反論が起こると思っていた。この奇妙な沈黙は何なのだろうか。

前回の記事には、発表の1日後に追記を書いた。

(※mono....中略)
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人間は動物なので、人種によって多少なりとも違いはあるかもしれないとは筆者は思っている。でも、日本のしかるべき機関は、このような具体的なメッセージを、この非常時に国民全員に届くように努力をして発信してくれない。以下の記事は、少なくとも参考にはなるはずだ(最終的な判断は、読者の信用する医師の判断にゆだねます)。


タイトルは「コロナウイルス:イブプロフェンとその他の非ステロイド系抗炎症薬に対する警告」

非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)とは、イブプロフェンやアセチルサリチル酸(アスピリン・バファリンは商品名)などが有名である。他にもロキソプロフェン(ロキソニン)、ケトプロフェン、ジクロフェナクなどがある。
+ 続き
これらの成分は、市販薬に含まれている。ネットで、これらの成分と「市販薬」という語を一緒に検索すると情報が出てくる(信用できるサイトを見て、薬の箱や説明書で確認してください)。

正直言って、筆者は今大きなショックを受けている。

フランスでは、新型コロナウイルスの問題が起きるずっと前から、国の機関が、非ステロイド系抗炎症薬が感染症を悪化させる役割について調査をしていたのだ。

そして、2019年の4月に調査結果を発表。同庁は「リスクがある薬を、一般市民が自由に買えないようにするべきである。薬局でカウンターの後ろにおいて販売するべきだ」と望んでいた。そして今年の1月から実現している。日本と何という違いだろう。

読みにくいところがあると思うが、ご容赦頂きたい。以下、記事翻訳です(見出しは筆者)。

アセトアミノフェンは1日3グラムを超えてはいけない
噂は、まず医者の間で流れ、次にソーシャルメディアで広まりました。その後、保健当局(複数)、厚生大臣、保健長官によって警告がなされました。

3月14日土曜日、オリヴィエ・ヴェラン厚生大臣はツイッターで呼びかけました。「抗炎症薬(イブプロフェン、コルチゾン・・・)の服用は、感染症を悪化させる要因となる可能性がある」「熱があるときにはパラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用するように」と求めています。

「非ステロイド系抗炎症薬の使用に関連していて、重篤で望ましくない事例が、新型コロナウイルスの可能性がある患者、または確認された患者で報告されています」と、ジェローム・サロモン(Jerome Salomon)が、Linkedinで追加説明しました。

(訳注:サロモン氏は、フランス厚生省の長官で、伝染病の専門家。WHO/世界保健機関では定期的にフランス代表をつとめる)。

「新型コロナウイルス、またはその他のウイルス性呼吸器感染症について、副作用に耐えうる度合い(忍容性)が低い発熱または痛みの治療には、パラセタモール(アセトアミノフェン)が使われています。60 mg / kg /日、および1日あたり3 gの投薬を超えることはありません」(成人向け/フィガロ編集者注)と述べた。

そして「自己判断によるすべての投薬を避けてください」と付け加えた。

(訳注:忍容性に関する説明は、こちらをクリックー日本薬学会)

慢性疾患の場合は勝手に服用をやめないこと
ただし、特定の慢性の病気では、これらの製品の服用を停止するのは注意してください。服用が必須である可能性があるからです。

もしあなたのかかりつけ医師が、非ステロイド系抗炎症薬、またはコルチゾンを処方している場合は、別の指示が出ない限りは、やめないでください。

良いメッセージとは、自己判断で服薬するのはやめること、発熱や呼吸器に関する兆候がない限り、これらの慢性病の治療を突然中止しないことです」と、リール大学病院センターの救急緊急部長のパトリック・グロドスタインは、ツイッターで警告しました。


さらに、パラセタモール(アセトアミノフェン)の過剰摂取には注意してください。

処方箋がない場合、推奨される最大の用量は、1日あたり3グラムです(よく信じられがちな4グラムではありません)。6時間あけて服用してください。

原因の解明の難しさ
(※mono....中略)
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これらの薬(下記リスト参照)は、発熱や痛みに対してとても効果的であるため、自己判断で頻繁に使用されています(イブプロフェンは、毎年約5千万箱販売されると言われる)。しかし、感染病では潜在的な危険があることが知られています。

パラセタモール(アセトアミノフェン)よりも効果的ですが、同時にリスクも高くなる可能性があります。

炎症を薬でとめる大きなリスク
どういう意味か説明します。

炎症は、感染に対する身体の正常な反応であり、警告のサインです。

したがって、抗炎症薬を服用すると、免疫システムの反応を弱め、病原体の侵入に対する身体の反応が妨害されるだけではなく、何よりもどのくらい深刻かを示すサインが隠されてしまい、診断と治療が遅れてしまいます。

同じプロセスがコルチゾンでも観察されており、副腎皮質ステロイド療法を受けている患者は、感染のリスクが高いことが知られています。

非ステロイド系抗炎症薬の中には、「バクテリア(細菌)の肥料」になる可能性があるものもあります。

このことは最近、弊誌(Le Figaro)で、Annie Pierre Jonville Bera博士によって報告されました。彼女はトゥールの医薬品安全対策地方センターの責任者です。

「動物実験では、抗生物質があっても、イブプロフェンが特定の細菌の増殖を促進することを示しています。おそらく、接着(adhesion)、ゆえに増殖に関与するタンパク質であるビメンチンを、イブプロフェンが変形させるためと思われます」。

医師には知られている事実
自己判断で広く使用されている非ステロイド系抗炎症薬(アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナクなど)は、すでにフランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)からの警告の対象となっています。

昨年2019年4月、同庁は、最も使用されている2つの薬(イブプロフェンとケトプロフェン)の、医薬品安全対策調査を発表しました。

結論は「感染症の際、これらの非ステロイド系抗炎症薬が、病状を悪化させる役割を示唆している」。

したがって、同庁は今年1月に、薬局でこれらの薬を自由に買える方式を廃止しました。

(※mono....以下数行略)

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■ コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表 「Yahoo!news(今井佐緒里 | 欧州研究者・物書き・編集者 2020/3/15(日) 9:30)」より
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フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、コロナウイルスに関して、イブプロフェンを服用しないほうがよいと推奨した。

イブプロフェンとは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)に属する。これは、炎症や痛みなどを抑え、熱を下げるために使われるものだ。しかしこの薬は、既にかかっている感染症を悪化させ、合併症を伴わせる可能性があるのだという。(筆者注:イブプロフェンは市販の薬に使われている)


厚生大臣は、自身のツイッターで、「コロナウイルス:感染者が(イブプロフェンやコルチゾンなどの)抗炎症薬を服用することは、感染を悪化させる要因になる可能性があります。発熱がある場合は、パラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用してください」「すでに抗炎症薬を服用している場合、または疑わしい場合は、あなたの医師に助言を求めてください」とメッセージを送った。

複数の医者が、発熱のためにイブプロフェンを服用した後、併存疾患がないのにもかかわらず、重篤な状態に陥ったコロナウイルスの若い患者の例を挙げているという。

このためフランスでは、非ステロイド性抗炎症薬は、「薬と健康製品の安全性に関する国家機関(ANSM)」からの警告の後、1月15日以降は薬局では自由に買うことができなくなっている。

同じことは、パラセタモールを含む医薬品にも当てはまる。

パラセタモールはあまりにも多く服用すると、重大な肝臓障害を引き起こす可能性があるもので、時には致命症になりかねないという。

上記の情報は、AFP通信が報じた記事を、ル・モンドが掲載したものである。

(※mono....以下筆者のコメントは略)



最終更新:2022年12月21日 15:51