★ [社説]中国は豪への威圧をやめよ 「日本経済新聞(2020年12月15日 19:00)」より
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中国がオーストラリアへの威圧行為をエスカレートさせている。豪州産品に次々と輸入制限を課しているほか、外交官が豪軍をからかう画像をSNS(交流サイト)に投稿し、豪側が抗議する騒ぎも起きた。両国関係はこのところ悪化しているが、不必要に緊張を高める挑発はやめるべきだ。

豪中関係は今年春以降、モリソン政権が新型コロナウイルスの発生源の独立調査を求めたことや、香港の高度な自治を保障した「一国二制度」を骨抜き...(※mono....以下は有料記事)


■ ポスト・コロナの豪中関係-オーストラリアは旗幟(きし)を鮮明にしたのか? 「
国際情報ネットワーク分析 IINA(2020/8/13)」より
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悪化する豪中関係

(※mono....略)
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 こうした中国の行為や、中国の関与が疑われる行為に対し、豪州は一層反発を強めている。6月11日には、モリソン首相が議会で中国による脅しや強要に豪州は「決して屈しない」との立場を表明した。さらに6月16日には、ペイン外相が豪国立大学での講演で「いくつかの国が、自由民主主義を脅かし、それらの国々のより権威主義的なモデルを促進するためにパンデミックを利用しようとしている」とした上で、人種差別を理由に豪州への渡航自粛を要請した中国政府の行為を「情報を歪める行為(disinformation)」として厳しく非難し、民主主義の分断を図る情報操作やフェイク・ニュースに立ち向かう姿勢を示した。

(※mono....略)
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***豪州はなぜWHOに独立調査を要求したのか?
豪州によるコロナウイルスの独立調査要求を、国際機関などで影響力を強める中国に対する広い意味での「プッシュバック(押し戻し)」の一環として捉えることは可能であろう。ペイン外相は独立調査要求を表明した際、中国への配慮から初期対応を誤ったとして世界保健機関(WHO)を強く非難した米国と「同様の懸念を共有」しており、中国政府の透明性をめぐる不安が現時点で「極めて高い水準にある」と話すなど、コロナウイルスへの対応をめぐる中国への不満を露骨に表明した[10]。豪州が当初WHOではなく、別の機関の枠組みで独立調査を要求したのも、そうしたWHOや中国に対する不信に根差したものであった。

 豪州による独立調査要求の裏に米国の影を見た中国は、官制メディアなどで豪州が「米国に追従」していることを繰り返し非難した。(※mono....略)
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今後の見通し

 豪中の関係は、今後も悪化の一途を辿るのだろうか。中国との対立が南シナ海や南太平洋における中国の影響力の拡大という構造的な要因に基づく以上、両国の関係が以前のような状況に戻ることは考えにくい。その一方で、豪州が米中「新冷戦」に全面的に参戦し、経済面での対中「デカップリング」に動く可能性も低い。そもそも、米国に比べ人口が圧倒的に少なく、国内の製造業も遥かに小規模な豪州が、全貿易量の4割を占める中国との貿易関係を断つことは自殺行為に近い。本年5月に英国のシンクタンクが出した報告書によれば、輸出のみならず輸入面においても、豪州の中国に対する「戦略的依存度」は「ファイブ・アイズ」(米、英、加、豪、NZ)の中でも群を抜いていた[19]。近年の政治関係の悪化にも関わらず、2018年に豪中間の貿易は前年比で17%も上昇していた。


★ 豪州の対中意識に変化-モリソン首相は報復恐れず中国に対抗へ 「Bloomberg(2020年7月17日 15:23 JST )」より
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中国の習近平国家主席は2014年11月、オーストラリア議会に招かれ行った演説で、「歴史問題に悩まされることもなく、根本的な利害衝突もない」豪中の関係はかつてないほど良好だとたたえた。そして中国と豪州は「良い時も悪い時も協力し合える隣人」になると誓った。

  5年後、悪い時が到来した。巨額の2国間貿易にもかかわらず、豪中間の溝は深まるばかりだ。4月に米国の同盟国である豪州が国際社会の中心となって新型コロナウイルスの発生源を巡る独立した調査を呼び掛けると、中国との関係は危機的状況になった。新型コロナの感染拡大が最初に始まったのは中国湖北省武漢だ。

  今や中国側は豪州の閣僚からの電話も拒否。キャンベラにある中国大使館と中国政府のプロパガンダ(宣伝工作)機関は、豪州が米国の傀儡(かいらい)であり、豪州にいる中国人学生・観光客への人種差別的攻撃を止める十分な措置を講じていないと主張している。

  オーストラリア国立大学のダレン・リム上級講師(国際関係・アジア)は中国の「継続的な威圧は自国の利益に反する豪州の将来的な行動や第三者の関与阻止を狙ったものだ」と指摘する。

  モリソン豪首相が試みるのは、同首相が「志を同じくする」民主主義国家と呼ぶ、例えば日本やインド、欧州諸国などを中国の膨張に対抗し得る多国間グループに束ねることだ。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


★ 豪中関係、急速な悪化 - 豪で規制法案、中国反発「貿易面の影響も」 「日本経済新聞(2018年5月22日 17:57)」より
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【シドニー=松本史、北京=永井央紀】オーストラリアと中国の関係悪化が深刻だ。豪州にとって中国は最大の貿易相手国だが、野党議員のスキャンダルなどをきっかけに反中感情が噴出。ターンブル政権は投資や政治献金を通じて影響力を広げる中国の動きを抑え込む対策を打ち出す。中国側は反発しており、経済的な報復措置に訴える懸念が出ている。21日の外相会談でも沈静化の兆しは見えなかった。
+ 続き
中国外務省によると王毅外相はアルゼンチンで開かれた20カ国・地域外相会合に合わせてビショップ豪外相と会談。「豪州側の原因によって両国関係は困難に直面している。関係改善したいなら色眼鏡を外して中国の発展を見てほしい」と指摘した。

豪メディアによるとビショップ氏は南シナ海で中国が進める軍事拠点化を批判した。ビショップ氏はツイッターに仏頂面の王毅氏と笑顔の自分のツーショット写真を掲載した。

豪州は6月末までに中国の影響力排除を念頭にした「重要インフラ保安法」を施行する。港湾やガス、電力への海外からの投資について「安全保障上のリスクがある」とみなせば、担当相がリスク軽減措置命令を出せるとの内容だ。3月末の法案審議はわずか45分で、野党も目立った反対意見を出さなかった。

昨年末には外国団体からの政治献金を禁止する改正選挙法案や、公職経験者が海外の団体に雇用された場合に公表を義務づける「外国影響力透明化法案」を議会に提出した。いずれも豪州での中国の影響力拡大を抑える意図が色濃い。

当初は親中派と見られていたターンブル首相が態度を変えたのは2017年後半だ。野党議員が中国人から資金援助をうけ、南シナ海問題で中国寄りの発言をしていたことが判明した。「中国による内政干渉」と豪州世論が猛反発したのがきっかけとなった。ターンブル氏は「中国人民は立ち上がった」という毛沢東の言葉をもじり「オーストラリア人民は立ち上がった」とまで発言。1年以内にある総選挙をにらみ国内世論への配慮もにじむ。

一方、中国の成競業・駐豪大使は4月、豪メディアの取材で「昨年後半から中国に無責任かつ否定的な発言が目立つようになった」とターンブル政権を批判。「(貿易で)望ましくない影響が出るかもしれない」と豪州産品への輸入規制を示唆した。関連は不明だが豪ワイン最大手のトレジャリー・ワイン・エステーツは5月、中国向け輸出の一部に手続きの遅れが出ていると発表した。

オーストラリアの対中警戒は長年くすぶり続けている問題である。16年には米軍が巡回駐留する北部の要衝、ダーウィンの港を長期賃借する中国企業「嵐橋集団」の顧問に豪元閣僚が就いたことが発覚。中国からの投資マネーが豪州の近年の住宅価格高騰の一因ともされ、世論の硬化に拍車をかける。

ただ豪産業界からは緊張緩和を求める声が出ている。豪鉄鉱石大手、フォーテスキュー・メタルズ・グループのアンドリュー・フォレスト会長は「分断や狂信を招き、尊敬を失う行為」と政府を批判した。5月中旬には貿易関係への悪影響回避をめぐり、ターンブル氏が年内に中国を訪問するとの報道も出た。

豪州は米国との関係もギクシャクしたままだ。ターンブル氏は17年初め、最初の電話協議でトランプ米大統領と決裂。5月の首脳会談でトランプ氏は「(決裂は)偽ニュース」と良好な関係を演出したが、会談に大幅に遅刻し「豪州を冷遇」との報道も出た。中国との摩擦に加え、米国との間に吹くすきま風も懸念となっている。









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最終更新:2021年03月05日 21:41