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■ シミュレーション仮説と『Matrix』 「蛭川研究室(2024-01-03)」より
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物質と精神の関係において、近現代科学は唯物論(物質が精神に先立つ)または実証主義(物質と精神のどちらが先立つかの判断を保留する)の立場をとる。唯心論(精神が物質に先立つ)は過去の思索の遺物として顧みられないように思われる。「月は、見ていないときには存在するのか?」といった、形而上的で無意味だとされる問いが、別の意味で現実的な問いかけになってくる。

コンピュータ技術の発展により、ヴァーチャルリアリティ(virtual reality: VR 仮想現実)が「現実」化しつつある。ハードウエアは物質だが、それが生み出す仮想世界には物質的実体はない。しかし、いったん精巧な仮想世界に没入してしまったとすると、すべては仮想世界だという主観的体験は反証できなくなる。すでにこの世界がコンピューター・シミュレーションだという、シミュレーション仮説は、2003年にボストロムによって唱えられた。もしこれを真面目に受け取るなら、それを実験的に反証するのは難しい。

このことは、脳は物質だが、夢には物質的実体はなく、しかし、いま目の前に展開している世界が夢かもしれないという可能性を反証できないのと同じである。夢の場合、「これは夢だ」と気づくこと(明晰夢)によって、夢が現実ではないことを知ることができるが、同じように、この世界がシミュレーションだということに気づくことは可能だろうか。

(※ 以下略、詳細はサイト記事で)










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最終更新:2024年08月27日 16:42