■ 日本海軍の誇り、佐久間勉艇長 「ねずさんの ひとりごと(2010.4.21)」より
  • 実はこの事故より先に、イタリア海軍で似たような事故がありました。

 このときイタリア潜水艇では、乗組員が脱出用のハッチ(昇降口扉)に折り重なり、他人より先に脱出しようとして乱闘をしたまま死んでいました。

  • 当時はまだ潜水艇の造船技術が低く、世界各地でこうした悼【いた】ましい事故が起こっていました。
そして、直近のイタリア海軍の事故の模様は、全世界に知られていた。

  • 乗員十四名のうち十二名は、艇長は司令塔に、機関中尉は電動機の側に、機関兵曹【へいそう】はガソリン機関の前に、舵手【だしゅ】は舵席に、空気手は圧搾管【あっさくかん】の前にと、それぞれ全員、持ち場に就いたままの姿で亡くなっていました。
  • ところが、二名がいません。

「どこだっ!」

二人は、本来の部署にはいませんでした。
二人がいたところは、ガソリンパイプの破損場所でした。

彼ら二人は、最後の最後まで、懸命に破損の修理に尽力したのです。
そして、その姿のままで亡くなっていた。

  • イギリスの新聞グローブ紙は、

「この事件で分かることは、日本人は体力上勇敢であるばかりか、道徳上、精神上も、また勇敢であるということを証明している。
今も昔もこのようなことは前例がない」

と賛辞の声を惜しみませんでした。

以下、そのメモを口語訳して掲載します。
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■私の不注意によって陛下の艇を沈め、部下を殺すこと、誠に申し訳ありません。

■乗員一同、死に至るまで、皆よくその職を守り、沈着に事を処置しました。

■私たちは、国家のため職に倒れ、死にます。
しかし、ただただ、私たちが遺憾とするところは、私たちのこの誤りが、将来、天下の士の潜水艇の発展に打撃をあたえはしないだろうか、にあります。

■願わくば諸君、益々勉励もってこの誤解なく、将来潜水艇の発展研究に全力を尽くされん事を。
■さすれば我れら、ひとつも遺憾とするところはありません。

(中略)

■浸水のため、乗員たちの衣が濡れ、寒冷を感じた。

■私は、「常に潜水艇員は、沈着細心の注意を要する。
大胆に行動せざれば、その発展を望むべからず。細心の余り畏縮するな」と戒めた。

■世の中の人は、この失敗をあるいは嘲笑するかもしれない。しかし、私は前言の誤りのないことを確信しています。

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最終更新:2012年09月23日 20:22