兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件で、殺人容疑などで再逮捕された角田(すみだ)美代子容疑者(64)の自殺によって、兵庫県警は今後、共犯者の供述を軸に一連の事件の立証を進める方針だ。だが、主犯を失った事件の捜査が困難を極めるのは必至。動機など本人にしか分からない事実が今後語られることはなく、真相が闇に葬られる危険性もある。

 橋本次郎さんへの殺人・死体遺棄事件について、美代子容疑者はこれまで、自身の関与を大筋で認めるような供述をする一方、細かい事実関係については言及せず、供述調書もほとんど作成されていなかった。

 死因が不明で物証も乏しい中、県警は共犯者の供述を積み重ねるとともに、橋本さん監禁の実態を実験で再現するなどして、「死んでも構わない」という未必の殺意を立証してきた。

 すでに発見されているほかの遺体についても、いずれも死亡・遺棄された時期が古く、殺意の立証は困難とみられるが、捜査幹部は「供述だけに頼る捜査は想定していない」と強調。客観的事実で供述を補強していく考えだ。 

 ただ、美代子容疑者の自供が、捜査の最重要ポイントの1つだったことは間違いない。特に、これだけの被害者を生んだ動機は何なのか。本人の口から真相を語らせることは、全容解明には不可欠との見方もあった。

 ある捜査幹部は「美代子容疑者の自殺はまったくの想定外。事件への影響は否定できない」とし、「事件の全容解明に全力を尽くすのみだ」と話した。







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最終更新:2012年12月13日 21:01