● 射撃管制装置
射撃管制装置(Fire control system、FCS、射撃統制装置、火器管制装置、射撃指揮装置)は、兵器が目標物を正確に射撃するために火器を制御するための、計算機・測的器を主体とする機械装置である。





■ 日米の射撃指揮装置(GFCS)の決定的な能力の差 「毎日のできごとの反省(2012.9.8)」より
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元自衛官の是本信義氏が。海軍の失敗という著書で、日米の射撃指揮装置の能力の差について説明している。日米最高の戦艦の大和とアイオワが戦ったらどちらが勝つか、という設問である。氏は明快にアイオワの完勝である。と断ずる。アイオワの場合、距離の誤差の小修正と方向の小修正を最初の弾着でおこなうので、夾叉弾を得るのに試射1回、3分45sかかる。大和は、試射3回、8分15sを要すると言うのだ。この時間が短ければ先に命中するばかりでなく、艦の進路の変更などの影響が少ないから有利である。
(※ 以下略。)


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ベストアンサーに選ばれた回答 tsune00さん

<>方向性と正確な距離がわかれば使えるとは思うのですが、オシロスコープや真空管などの部品がダメだったんでしょうか。

まさにその通りです。部品の精度が悪く、また信頼性も十分ではなかったため、性能が不安定でした。昭和19年ごろには、必死の改良によりかなり安定し、昭和19年11月のレイテ沖海戦では、対水上用捜索用として開発され、(日本軍のレーダーの中では)観測誤差が比較的少なかった2号2型電探(22号電探)を、射撃レーダーとして使用し、戦艦「大和」「金剛」「榛名」などがレーダー射撃を実施しています。
ただ、評価はバラつきがあり、有効な砲戦が可能という所見を報告した「金剛」や、光学測距以上の精度を記録した「大和」の例がある反面、「電波干渉が多く使い勝手が悪い」と報告した「榛名」の例もあり、やはり機器としての安定性は解決するには至っていなかったようです。

なお、第二次大戦中の射撃管制装置は、日本もアメリカも機械式計算機です。レーダー射撃と言っても、レーダーの観測した目標の方位と距離を、観測員から砲術要員に伝達、方位盤射撃指揮装置に手作業で入力していました。
光学測距の場合も、測距儀で観測したデータを同様に方位盤に入力して照準しますので、レーダー射撃と光学射撃の違いは、単に方位と距離の測定に使用する道具が違うというだけで、あとは基本的に同じです。
電子装置によって、レーダーで観測したデータを電気的に伝達・処理する射撃指揮装置が登場するのは、1950年代になってからとなります。

また、米軍のレーダー射撃については、一般に言われているほどには優秀でなく、精度自体は光学照準に対して優越したものではなかったという指摘もあります。
その証拠例としてよく挙げられる、昭和19年11月のスリガオ海峡海戦を紹介すると、日本の戦艦「扶桑」「山城」を中心とする艦隊に対して、レーダー装備の米戦艦6隻を中心とする米艦隊が攻撃を仕掛け、一方的に砲撃できるような状況でありながら、戦艦「ミシシッピ」 はレーダーで目標の識別ができず一斉射で攻撃終了、戦艦「ペンシルベニア」も同様に目標の識別ができず射撃不能。戦艦「メリーランド 」もレーダー上のゴーストに対して射撃してしまい命中弾ゼロ、戦艦「ウエストバージニア」はレーダーが故障・・・戦力の優勢から海戦自体は勝利するものの、艦隊全体で砲撃の命中率は1%にも満たないという惨憺たる結果を示してします。

対空見張りや潜水艦の対水上見張りとしては、米軍のレーダーは非常に有効で、レーダーの優秀性を示す実例も多いのですが、戦艦や巡洋艦の射撃管制レーダーとなると、米軍のレーダーが高精度だったということを示す、ハッキリした実例はありません。




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最終更新:2013年02月09日 08:59