★■ コラム:キプロス「ゲーム」はまだ続く 「ロイター(2013.3.26)」より
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By Felix Salmon

ロシアの富豪たちにとって、先週末は心休まる日々ではなかっただろう。まず、新興財閥のボリス・ベレゾフスキー氏が英ロンドン郊外アスコットの自宅で死亡しているのが見つかった。そして、キプロス2大銀行では預金保険対象外の大口預金者(ロシアの富豪)に負担が課されることになった。この負担は、キプロス危機が表面化した時の想像をはるかに超えるものになりそうだ。

キプロスのアナスタシアディス大統領は当初、大口預金者(10万ユーロ以上)に10%以上の預金課税を課すことには断固反対する姿勢を示していた。しかし、わずかこの1週間で、状況は劇的に変化した。国内最大手バンク・オブ・キプロスの預金保険対象外の大口預金は約40%カットされる可能性があり、同2位キプロス・ポピュラー(ライキ)銀行の大口預金者なら全額を失うことになる。
+ 続き
キプロス政府が、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3者で構成するトロイカと合意した内容は、大胆かつ荒々しい地政学的権力闘争を映し出している。

公式声明には「ユーログループは、キプロスとロシアが金融支援で合意することを期待する」との言及があるかもしれない。しかし、ロシア人が意に反して数十億ユーロもの貢献を余儀なくされることを考えると、追加支援を喜んでするとは極めて考えにくい。

キプロス支援をめぐる欧州とロシアのポーカーゲームでは、欧州が最大限攻撃的な手を打った。それは基本的に、ロシア人預金者に最大限の貢献を強いるものだ。今回の合意で一件落着となるなら、ロシアにとっては明らかな負けとなり、EUにとっては勝ちとなる。

まず、資本規制が設けられないだろうことは良いことだ。バンク・オブ・キプロスの一部預金は凍結され、これは一種の資本規制と呼べるものだが、キプロス国内および国外へ移動するユーロの「引き出し制限」はない。金融市場も概ね平静を保っている。最大の打撃を被っているのがロシア人であることから、欧州株式ではパニックは起きていない。

さらに重要なのは、小口預金者への打撃やユーロ圏離脱といった大きな問題が避けられたことだ。そして、トロイカ的観点から最も重要なのは、全てが既存の銀行整理機関のもとで構築されており、キプロス議会の採決を必要としないため、ロシアの圧力で合意がひっくり返される心配がないことだ。

しかし、もちろんゲームはここで終わりではない。キプロス経済に与える影響はあまりに甚大で、もう1度か2度の大規模な債務支援なくしては、同国が長期的にユーロ圏にとどまることは極めて困難だからだ。

キプロス政府はかつてのアイスランドのように、国内の一部銀行を破綻させる。しかし、アイスランドには銀行以外にも産業があった。何よりも、アイスランドは自国通貨を安くすることで産業に競争力を与えることができた。

本当の意味でアイスランドのようになるには、キプロスは通貨を切り下げ、デフォルトする必要がある。それができなければ、キプロスは議会が反乱して緊縮策を無効にするまで、ユーロ圏のみならずEUから脱退するまで、外部から課された緊縮策に縛られて生きていくしかないだろう。

キプロス経済は向こう数年間、かなりの苦境を味わい、国民はそれを欧州のせいにするだろう。自国経済に見合わない過大評価された通貨を背負わされ、経済はマイナス成長しか展望できなければ、キプロスが自らユーロを離脱することは全く起こり得ることだ。こうした不満が表れ始めたとき、ロシアはもう一度キプロスに手を差し伸べるだろう。

(25日 ロイター)

本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


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★ キプロス支援策のベイルイン、危機解決モデルに=ユーログループ議長 「ロイター(2013.3.26)」より
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[ブリュッセル 25日 ロイター] ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)のダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は25日、キプロス支援の下での銀行のリストラ計画について、ユーロ圏銀行危機の解決に向けた新たなモデルになるとし、銀行部門を整理する必要のあるその他の国もリストラ実施を迫られる可能性があるとの考えを示した。

同議長は未明に合意された支援策について、「リスクを低下させる」と評価。銀行が自力で資本を増強できない場合、株主や債券保有者に負担を要請し、必要なら預金保険対象外の預金者にも協力を要請するとの立場を示した。
+ 続き
キプロス政府は欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)との12時間におよぶ協議を経て、銀行リストラ策を含む支援策で合意。

同リストラ策の下で、国内2位のキプロス・ポピュラー(ライキ)銀行CPBC.CYを閉鎖し、同行の小口預金(10万ユーロ未満)を国内最大手行のバンク・オブ・キプロスBOC.CYに移管する。また、預金保険関連規則の対象外となっているバンク・オブ・キプロスの大口預金(10万ユーロ超)は凍結され、債務問題の解決に充てられる。

ライキ銀行の預金保険対象外の大口預金の凍結で、42億ユーロが捻出できる見通し。

今回の合意は、株主、債券保有者に続き預金保険対象外の預金者も銀行再編コストを負担させるベイルイン型で、これまで納税者が負担を負っていた状況からは大きな方針転換となる。

ダイセルブルーム議長は、政府、および納税者が負担を強いられる構造は変える必要があるとの考えを表明。「危機が後退した今、問題に対処するに当たり、より思い切る必要がある」と述べた。

ユーロ圏ではルクセンブルクやマルタなどで銀行部門のレバレッジが高くなっており、スロベニアなども銀行部門の問題を抱えているが、キプロス支援に採用された新たな手法がこうした国にどのような影響を及ぼすかとの質問に対し、銀行部門の縮小が必要になると述べた。

<ESMの銀行直接注入は掛け声倒れか>

ユーロ加盟国は債務危機に対応するため、7000億ユーロの融資能力を持つ欧州安定メカニズム(ESM)を設立。ユーロ圏の銀行監督権の欧州中央銀行(ECB)への完全移管後の2014年半ば以降、経営難に陥った銀行に対し直接資本注入を開始する予定となっている。

ESMによる直接資本注入の目的は、政府と銀行セクターとの負の連鎖を断ち切ることにあった。だがダイセルブルーム議長が危機解決にあたり、ベイルインがモデルになるとの考えを示したことで、ESMによる直接注入は掛け声倒れに終わる可能性が出てきた。

ダイセルブルーム議長は、「直接資本注入が必要になる状況を作り出さないことを目的とする必要がある」とし、ESMを利用する必要がないようにするべきとの考えを表明。

債券保有者に損失を負担させるベイルイン実施の手法がさらに増えれば、「直接資本注入の必要性は低下していく」とし、銀行は公的資金による救済を検討する前に自助努力を行う必要があるとの考えを示した。


ドイツ
■ キプロス問題はドイツの陰謀? 「国際戦略コラム(2013.03.23)」より
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ユーロの危機がまた、起こった。円安でドイツの製造業は苦しくなっている。日本の金融緩和にドイツ・メルケル首相は「国際秩序を乱す」と文句を言ったが、米国・英国なども金融緩和をしているので、日本を支持したことで、ドイツは支持を得られなかった。

何かするだろうと、見ていたら、キプロスが金融支援を要請してから8カ月後の3月16日、ユーロ圏の財務相たちは、同国のユーロ圏加盟維持を危うくする支援計画をまとめた。この裏にドイツの意向がある。
(※ 以下詳細は記事本文で。)

★ EU首脳、キプロス問題で訪日延期 EPA交渉に影響も 「朝日新聞(2013.3.23)」より
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 【ブリュッセル=野島淳】欧州連合(EU)は22日、ファンロンパイEU首脳会議常任議長と欧州委員会のバローゾ委員長の訪日を延期する、と発表した。EUからの金融支援を巡って混乱しているキプロス問題に対処するため。25日、東京で安倍晋三首相と会談し、日EU経済連携協定(EPA)の交渉開始で合意する予定だった。
 22日発表した声明で、「キプロスの金融問題を解決する努力が続いており、我々がブリュッセルにいる必要がある」と説明、「EUと日本の戦略的な関係は重要で、安倍首相のご理解に感謝する」と述べた。できるだけ早い時期に日程を再調整したい、としている。
 欧州委のデフフト委員(通商担当)は来日予定で、日本の当局者とEPAに関する話し合いをする見通し。首脳会議の延期で、4月にも始めるはずだったEPA交渉がずれ込む可能性がある。

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★ キプロス、大手行再編を計画 預金課税の代替策 「msn.産経ニュース(2013.3.22)」より
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 【ベルリン=宮下日出男】キプロス政府は21日、ユーロ圏による100億ユーロ(約1兆2千億円)の支援獲得に向け、条件である銀行預金課税の代替策などを国会に提案した。同国主要銀行の再編計画が含まれるほか、緊急時に国外への資金流出を防止する規制を実施する内容で、22日にも国会で審議される。
 再編の対象は、経営が悪化している国内2位のライキ銀行。不良資産を管理する「バッドバンク」と分割したうえ、残る部門を他の銀行と統合させる。同行の再編により、ユーロ圏が求める10万ユーロ以下の預金の保護が保証され、代替策で確保すべき資金を58億ユーロから圧縮できる見通しだ。
 資金調達のための債券発行の裏付けとなる新たな基金創設も審議される。基金には年金資金などのほか、地中海のガス田開発による将来の収入も活用される。
 ただ、代替策に高額預金への課税が含まれるか不明で、必要な58億ユーロが確保されるかも判然としない。
 一方、欧州中央銀行(ECB)は21日、支援策がまとまらない場合、26日以降の同国銀行に対する緊急の資金供給を停止すると通告した。

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★ S&Pがキプロスを格下げ 「CCC」に 「msn.産経ニュース(2013.3.22)」より
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 【ワシントン=柿内公輔】米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、キプロスの長期信用格付けを、すでに投機的水準の「CCC(トリプルC)プラス」から「CCC」に引き下げたと発表した。銀行部門の悪化で「債務不履行(デフォルト)に陥るリスクが高まった」と警告している。
 見通しは「弱含み」で、さらなる格下げもあり得るとした。キプロスは関係の深いギリシャ経済の悪化もあり、銀行のギリシャ向け債権の損失が拡大。キプロスに対するユーロ圏の支援条件の銀行預金への課税を議会が否決したことで、金融不安が強まっている。
 S&Pは、今後、キプロスがユーロ圏との間で新たな支援策で合意しても、現在の景気悪化を考えると「支援の実施が見込めない可能性が高い」と指摘。結果として、デフォルトの恐れが強まったとしている。


ユーロ経済
■ キプロス議会が預金封鎖課税法案を否決 「東京kittyアンテナ(2013.3.21)」より
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キプロス議会が銀行預金封鎖課税法案を否決した様である(@w荒

EU終わりの始まりが加速したというところか(@wぷ
キプロスの場合は10%の課税を目的としているが、日本でもかつて1946年に新円切り替えの際に預金封鎖が行われたことがあった(@wぷ
これは1946年の国家公務員大卒初任給が540円であることから現在の貨幣価値に換算すると、世帯主が約12万円から15万円、世帯員が1人各4万弱まで新円で引き出せるという類の預金封鎖であった(@w荒
また昨今でも新型決済性預金や住民基本台帳制度導入やマイナンバー制度導入が預金封鎖の前兆ではないかと言われることもある(@w荒
2002年12月発売の「文藝春秋」では、1997年に当時の大蔵省内部で預金封鎖の検討があったとの記事が掲載された(@w荒

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■ アベノミクスの伏兵キプロスの選択 「人生いろいろ万華鏡(2013.3.21)」より
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EUの地雷であることには間違いない。この件でアベノミクスに対する悪影響は円高となり、日本政府内でも危機感があらわれている。
しかし先ほど、キプロスの議会は利息に対する、課税案を否決したというニュースが流れた。
アベノミクスにとって朗報と言えてもそれは一瞬である。混迷はより深く成る可能性を残した。
議会の否決と言う事は金融支援を断るという事である。これでは、EUの思惑は外れた事になり、EU全体の危機は脱したとはいえない。
キプロス議会はEUの足元を見て否決すれば、EU側が今より支援の代償をもっと緩やかで、国民が受入れ易い条件に変更してでも、支援はするだろうと読んでいるのかも知れないが、そう甘くは無い連中を相手にしているのだ。


★ 米国株:下落、キプロスの預金課税法案否決で欧州懸念強まる 「Bloomberg(2013.3.20)」より
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  3月19日(ブルームバーグ):19日の米国株 は下落。キプロス議会は銀行預金課税を実施する法案を否決した。

鉄鉱石生産会社クリフス・ナチュラル・リソーシズは6.6%下落。ゴールドマン・サックス・グループが鉄鉱石価格の見通しを引き下げたことが嫌気された。医薬品販売2位のカーディナル・ヘルスも安い。ドラッグストアチェーン大手ウォルグリーンとの契約は更新されないことが明らかになった。ウォルグリーンは5.4%上昇した。
(※ 中略)

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★ キプロス議会、預金課税を否決 EUからの支援に暗雲 「CNN.co.jp(2013.3.20)」より
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ロンドン(CNNMoney) キプロス議会は19日、欧州連合(EU)による金融支援の条件とされていた銀行預金への強制課税を否決した。これにより、支援策は見直しを迫られることになった。

EUの支援が実現しなければ、キプロスは金融システム崩壊や財政破たんの危機に直面する。

ユーロ圏諸国が16日に合意した最大100億ユーロ(約1兆2300億円)規模の支援に伴う財政再建案では、10万ユーロを超える預金に9.9%、10万ドル未満の預金には6.75%の税を課すとされた。これに対して預金者らが強く反発し、現金自動出入機(ATM)に殺到。政府は2万ユーロ以下の小口預金者を課税対象から外す修正を加えたが、議会の承認を得ることはできなかった。

EUとの交渉をまとめたアナスタシアディス大統領が率いる与党、民主運動党の議員らは採決を棄権した。

ドイツのショイブレ財務相は国内テレビ局とのインタビューで、預金課税の否決を「遺憾」とし、肥大化した銀行を抱えるキプロスのビジネスモデルは持続不可能だとの見解を示した。

キプロスの銀行と株式市場は閉鎖され、開催は21日以降になる見通しだ。


キプロス
■ キプロス預金封鎖、ロシア人に大打撃 ⇒ プーチンが激怒「不公平!危険!プロ失格!」 ⇒ 10万ユーロ以下の預金者は対象外へ、ロシアマネー強奪の意図がモロバレに 2ch「あーあ怒らしちゃったww」「ロスチャイルド怖すぎる」 「News U.S.(2013.3.19)」より
(※ 前後略)
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1 :FinalFinanceφ ★ [sage] :2013/03/18(月) 21:35:42.83 0
ロシアのプーチン大統領は、欧州連合(EU)がキプロス救済の一環として求めた同国の銀行預金への課税計画を批判した。
同大統領は18日、政府の会合で「そのような決定が採用されれば、それは不公平でプロとして失格であり、危険だ」と語った。大統領府がウェブサイトに掲載した。
また、国営のロシア通信(RIA)によると、シルアノフ財務相はロシアがキプロス救済における自国の役割を再考する可能性があると発言した。
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによれば、ロシア企業と個人はキプロスに310億ドル(約2兆9400億円)相当の預金を持つ。キプロス籍の企業向け融資を含めると、ロシアのエクスポージャーは約600億ドルだとムーディーズは見積もっている。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJUNYR6K50YA01.html

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★ ドイツが口つぐむ真実、キプロスに40%預金税要求か-禁忌破る 「Bloomberg(2013.3.19)」より
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 3月19日(ブルームバーグ):フランスの高級リゾート地ドービルで2010年10月に行われた独仏首脳会談の妖怪が戻ってきた。ドービルでは、ソブリン債務の減免を債務危機対応のツールキットに盛り込むことで独仏が合意したが、欧州のキプロス救済パッケージによって、その忌まわしい記憶が再びよみがえった。債権者への損失の強制について、結局それほど良いアイデアではないと欧州の指導者らが確信するのは、わずか1年2カ月後のことだ。
 ドイツは今回、キプロスの救済資金100億ユーロ(約1兆2400億円)を賄うために銀行預金への課税を強制し、新たなタブーを犯した。市場は即座にドービルと同じように反応し、キプロスはユーロ圏の安定にとって新たな脅威となった。
 国際通貨基金(IMF)の元当局者で、現在は研究グループ「リスボン・カウンシル」(ブリュッセル)のチーフエコノミストを務めるアレッサンドロ・ライポルト氏は「とてもプロとはいえない、中途半端で急ごしらえの仕事に見える。どのようなシグナルを送ることになるか深く考えもせず、暗闇を手探りで進んでいるかのようだ。危機管理のやり方としては無謀だ」と警告する。
 ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領(当時)がドービルの海辺を歩きながら言葉を交わした10年の首脳会談の後と同様、キプロス救済策の発表を受けて、欧州と各国の当局者が自分の功績を誇示する一方、合意そのものから距離を置き、罪をなすり合う応酬が始まった。
 ドイツの強引な手法
 ドイツのショイブレ財務相は17日のARDテレビとのインタビューで、「われわれとしてはもちろん、10万ユーロまでの預金を保護する預金保険を尊重したいところだが、『ベイルイン』に反対したキプロス政府と欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)が今回の解決策を決定した。キプロス国民に説明する責任は彼らにある」と語った。
 しかし、キプロスの銀行システム を崩壊させてユーロ離脱に追い込み、さらに大きな市場の混乱を引き起こしかねない一段と過激な「ベイルイン」をドイツが支持していた経緯について、ショイブレ財務相は口をつぐんでいる。キプロス側はその強引な手法を批判し、ショイブレ氏が40%の預金課税をある時点で要求していたことも、キプロスの当局者が匿名を条件に明らかにした。
 ブルームバーグがショイブレ財務相の側近の1人にこの件で取材を試みたが、これまでのところ返答はない。



★■ コラム:キプロス問題は欧州経済の一触即発状況示す=サマーズ氏 「ロイター(2013.3.18)」より / 記事保護
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ローレンス・H・サマーズ(2013年3月18日)
欧州経済の状況は、半年や1年、あるいは1年半前に比べればすっと心配の度合いは小さいと考えられている。欧州の政策担当者は、金融安定や成長について論じるよりもはるかに、米国を貿易や投資の協定に関する交渉のテーブルに乗せる仕事に取り組みたいと思っている。
しかし根拠のない自信は、それが必要な政策調整の圧力を弱めるとすれば、危険な要素になりかねない。
(※ 以下サイト本文で。)

■ キプロスショックの戻し圧巻でした。 「株日記と赤ちゃんと猫と家庭菜園のぶろぐ(2013.3.19)」より
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今日の戻しは圧巻でした。
わけわからんつよさでした。
手持ちの三井住友トラストは劇的にあげています。

まあふえているので、文句なしですが。

昨日押し目買いで
仕込んだ方、おめでとうございます。

空売り仕込んだ方、残念です。
(※ 以下ブログ本文で。)


ユーロ経済
★■ コラム:キプロスの預金課税が正しい理由 「ロイター(2013.3.19 18:39)」より
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By Peter Gumbel

欧州連合(EU)がまとめたキプロス支援案に対する反応は、当初の「ショック」が落ち着き、ありきたりとも言える「非難」に変わった。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は論説で「欧州が支援策でまた失敗」の見出しを掲げたほか、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストを務める米経済学者ポール・クルーグマン氏は、「まるでギリシャ語やイタリア語で『預金を下ろしておこう』と書かれたネオンサインを掲げているようだ」とブログに綴った。
広く報道されているように、今回の支援策には重要な増税要素がある。キプロスに銀行口座を持つ人は、キプロス人であろうとなかろうと、預金に1回限り最大約10%の税金が課されるというものだ。徴収税額は58億ユーロ(約7200億円)に上るとみられる。
+ 続き
欧州全土で銀行の取り付け騒ぎが起こるという物騒なシナリオもあり得なくはないが、EU当局者がキプロスへの措置は例外的だと強調したことで、欧州の市場は18日午後までに落ち着きを取り戻した。

EUがこうした措置に踏み切ったのには、やむにやまれぬ事情が2つある。1つは、キプロスが1990年代にロシア人にとってのオフショア金融センターとして生まれ変わり、不透明なタックスヘイブン(租税回避地)の世界リストで上位に入っていたことが挙げられる。国際的な圧力が増す中、キプロスは2004年にEUに加盟するため、オフショア課税の枠組みを廃止したが、同国の銀行への疑念はぬぐえていない。

独シュピーゲル誌によれば、ドイツの外事情報当局は昨年11月、EUのキプロス救済基金はロシアの富豪の懐を潤すだけにすぎないと警告した。同情報当局は、キプロスの銀行にあるロシアマネーを260億ドル(訂正)と試算しており、これは今回のEU支援策のたっぷり2倍以上にあたる金額だ。ロシアの富豪ドミトリー・リボロフレフ氏は、国内最大手キプロス銀行の株式約10%を保有している。キプロスは、国際水準を満たすと約束しながらも潔白とはみなされていない国の1つとして、経済協力開発機構(OECD)のリストでは「グレー」な国家とされている。

このような状況で、厳しい条件なしにキプロスに国内総生産(GDP)の半分以上に当たる支援の小切手を切ることは、政治的な矛盾を生む。フランスとドイツは長年、タックスヘイブンの危険性を非難しており、不正を取り締まるため、G8やG20などの場でも他国に協力を呼び掛けてきた。キプロス国民自身に痛みを求めないとなると、独仏のこれまでの厳しい態度とは矛盾が生じることになる。

人気のあるタックスヘイブンでさえ100%安全ではないと示した点で、EUは国際金融全体にとって良い仕事をしたと言えるかもしれない。

今回のEUの支援策を支持する第2の理由は、モラルの観点というより経済的な打撃といった観点だ。2008年当時のアイルランド人やスペイン人、ギリシャ人に尋ねてみればいい。1回限りの家計への非常に厳しい影響か、5年にわたる経済低迷のどちらがいいかと。はっきり答えられる人は少ないだろう。

こんな選択は誰もしたくないし、キプロス国民には選択肢が与えられているわけでもない。しかし、こうした短期型の厳しいショック療法には前例がある。アイスランドだ。

アイスランドでは2008年、銀行が経営破たんに陥り、オンライン口座にあった英国人やオランダ人の預金も消滅してしまった。アイルランドやギリシャとは違い、アイスランドは政府の資金を投入して銀行を救済する道を選ばなかった。

同国のグリムソン大統領は、フランスのインターネット新聞とのインタビューで「われわれは今回の危機が、単なる経済や金融に関するものではないことに気づいた。これは政治、民主主義、そして法律に関わる根深い危機なのだ」と語った。アイスランドでは、銀行の従業員や政治家が犯罪捜査の対象となったほか、なぜそもそも国家がこうした状況に陥ったのかを調査する特別検察官を設置することなどを含め、多くの法的措置が行われた。

アイスランドの約3倍の人口を抱えるキプロスだが、銀行預金に関する騒ぎが一旦落ちつけば、国民はアイスランド国民と同じように、なぜ危機が起きたのかをつぶさに調べようとするかもしれない。

キプロス国民にとっての大きな問題は、なぜ銀行はロシアなどからGDPを軽く超える資金を引きつけておきながら、国全体を窮地に追いやるほどの状態になってしまったのかということだ。おそらく教訓は、タックスヘイブンであることに大した価値はないということだろう。そしてキプロスの場合にもこれが当てはまるのなら、EUの措置はこうしたことに気づかせた点で極めて有益だと言えるだろう。

  • 6段落目の260億ユーロを260億ドルに訂正します。

  • 本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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★ キプロスや同国に預金している人々は責任を負うべき=独財務相 「ロイター(2013.3.19 20:01)」より
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[ベルリン 19日 ロイター] ドイツのショイブレ財務相は19日、キプロスの政府と議会、同国に預金している人々はキプロス債務問題で責任を負わなくてはならないと述べた。
財務相はドイツのラジオ局に対し、「責任はドイツ政府にもその他の欧州メンバー各国にもなく、それはキプロスが決定したことだ」と指摘。ドイツと国際通貨基金(IMF)は長期間にわたり、キプロス向け国際支援は個人の預金者が参加するものでなくてはならないと考えてきた、と述べた。
また、財務相は「キプロスの政府と議会はそれ(債務問題の解決策)をきょう決めなくてはならない」と指摘した。

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★ キプロスの銀行預金への課税、預金流出につながる=中銀総裁 「ロイター(2013.3.19 19:23)」より
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[ニコシア 19日 ロイター] キプロス中央銀行のデメトリアデス総裁は19日、銀行預金への課税が実施された場合、キプロスの銀行は数日中に預金の10%以上を失うことになると警告した。

同総裁は、議会の財政委員会で「法案の草案が通過した場合、数日以内に預金の10%、あるいはそれ以上が流出するだろう」と述べた。
また、キプロス中銀と欧州中央銀行(ECB)は10万ユーロ以下の預金への課税をすべて取りやめる案を支持していると加えた。これは18日夜にユーロ圏財務相が示した姿勢と一致する。

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★ キプロス銀行預金法案、2万ユーロ以下は課税せず 「ロイター(2013.3.19 19:20)」より
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[ニコシア 19日 ロイター] キプロス政府が19日議会に提出した法案の草案によると、2万ユーロ(2万5920ドル)を下回る預金には課税しない内容となっている。
ロイターが把握した草案によると、2万─10万ユーロまでの預金への課税は6.75%、10万ユーロ超の預金への課税は9.9%となっている。この変更によりユーロ圏が求めていた課税による58億ユーロの資金が調達できるかどうかには触れていない。
ユーロ圏財務相は当初の16日の合意では、預金高10万ユーロ以下には6.75%、それ以上には9.9%の税率を課していた。キプロス国内外で反発がでたことから、18日には10万ユーロ以下には課税せず、それ以上には15.6%を課す内容に変更していた。

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★ キプロス議会、銀行課税案を否決の見通し 「ロイター(2013.3.19 17:11)」より
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[ニコシア 19日 ロイター] キプロスの議会は19日の採決で、預金への課税案を否決する可能性が高い。課税案が議会を通過しなければ、同国はデフォルト(債務不履行)と銀行セクターの崩壊へ近づく可能性がある。
キプロス議会は1600GMT(日本時間20日午前1時)に開会する予定だが、どの政党も過半数を確保していない議会で、課税案が可決される可能性は低い。
政府の報道官は国営ラジオで「課税案は議会を通過しないようだ」と述べた。
議会での採決は当初17日に予定されていたが、これまで既に2度延期されている。
また、報道官は、アナスタシアディス大統領がドイツのメルケル首相やレーン欧州委員と18日夜に協議したことを明らかにした。大統領は先週のユーロ圏財務相会合での合意を順守する意向を示し、欧州連合(EU)のパートナーによる支援を求めたという。19日にもメルケル首相と協議する可能性が高いという。さらに、ロシアのプーチン大統領とも19日に協議する可能性があるという。

■ キプロス預金封鎖の裏側 「MU(ムー)のブログ(2013.3.18)」より
(※ 前後略)
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キプロスの預金税措置の前に、「日本や世界や宇宙の動向さん」で上記の記事がありました。
日本人にはなじみが薄いキプロスという国ですが、地政学的に非常に重要な国だそうです。

キプロスはロシアと太いパイプがあり、これまでロシアより多くの支援を受けています。
よって、キプロスの銀行へはロシアの大量の資金が入っているということです。
つまり、今回の預金封鎖というのは、国民の預金というよりはロシア・マネーの追い出しです。

また、キプロスはユーロ圏に加盟していますが、EUにとってその先に位置するトルコ、シリアなどの中東ににらみを利かす意味があるので、財政支援をしたということです。
しかし、EUがキプロスの銀行を救済するということは、結果的にEUの資金でロシア富裕層の預金を救済するということになるからです。このことをEUは嫌ったものと思います。
今すぐにということではありませんが、中東での戦争が益々懸念されることになりました、


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■ 二羽のブラック・スワン 「MU(ムー)のブログ(2013.3.17)」より
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日本国内では「TPP嵐」が吹き荒れている中、ユーロ圏では意外な措置が顔を出しました。
地中海の小さな国「キプロス」で、財政支援と引き換えに預金への課税を決定し、預金封鎖を開始しました。もちろん、事前に何も知らされていない国民にとっては「取り付け騒ぎ」が起きてくるでしょう。18日が休日なので、19日に銀行の窓口が開きます。
こういった休日狙いは政府がよく使う手です。
このキプロスの預金封鎖、取り付け騒ぎは、イタリア、スペイン、ポルトガルに波及するのではないか?と考えるのが常識です。ヨーグルトで有名なブルガリアでは先日、緊縮財政に抗議する国民の焼身自殺が相次いでいます。ブラック・スワンはユーロから?
ブルガリアで抗議の焼身自殺相次ぐ、2月から4人目
ブラック・スワンは欧州だけではありません。
実は韓国がいわゆる≪徳政令≫を発表しました。
6ヵ月以上延滞者の借金の一部を帳消し (韓国・東亜日報)
(※ 以下略。)


★ キプロス預金封鎖 ロシア人預金者の損失は約15億ユーロ 「The Voice of Russia(2013.3.17)」より
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欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合がキプロスへの財政支援と引き換えに、10万ユーロまでの銀行預金へは6,75%、それ以上の預金へは9,9%の課税を決めたが、この措置はキプロスに大きな動揺を呼び起こした。人々は特に、もし議会がそれを承認すれば、月曜日にもすでに合意が効力を発する事に大きな怒りを感じている。土日には預金者が、お金を十分引き出す事ができないからだ
 土曜日は銀行が休みのため、人々は未明から現金自動預払機(ATM)の前に集まり始め、それは長い行列となった。その後まもなく、預金者達は、ATMのあるものは働いでおらず、別のものは600ユーロ以上引き出せない事を知った。さらに土曜日、オンライン・サービスも凍結された。
 キプロスの銀行口座保有者の半数近くはロシア人と見られているが、その損失額は、およそ15億ユーロになる見込みだ。
 新しい税金は、EU及びIMFによるキプロスへの財政支援プログラムの一部で、口座保有者から約58億ユーロの資金を強制徴収する事により、EUとIMFはキプロスに対する自分達の財政支援額を100億ユーロ程度縮小する事ができた。

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★ キプロスが支援合意の修正急ぐ、議会採決延期・預金者に動揺広がる 「ロイター(2013.3.18)」より
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[ニコシア 17日 ロイター] 関係筋によると、キプロス政府が週末のユーロ圏財務相会合で決まった金融支援策の修正を急いでいる。
支援策では、銀行預金者に負担を求めるという一連のユーロ圏加盟国支援策としては前例のない措置を決定。100億ユーロ(130億ドル)を支援する代わりに、10万ユーロ超の預金に預金額の9.9%、それ以下の預金に6.7%の課徴金を課す内容となっている。
支援策が16日に発表されると、キプロス国内には衝撃が走り、現金自動預払機(ATM)から預金を引き出す動きが広がった。ATM内の現金は数時間で枯渇したケースが多く、電子送金は停止された。
関係筋が匿名を条件にロイターに明らかにしたところによると、キプロス政府は少額預金者の負担軽減を交渉中。
+ 続き
10万ユーロ以下の預金の課徴金を預金額の3.0%に引き下げ、10万ユーロ超の課徴金を同12.5%に引き上げる案が協議されている。
関係筋は、支援合意の修正について、欧州委員会・国際通貨基金(IMF)・欧州中央銀行(ECB)の「賛意」を得ていると指摘。
レーン欧州委員(経済・通貨問題)のスポークスマンは、協議がまだ続いていることを認めた上で「キプロス政府が少額預金者に配慮し、課徴金の累進性を高めることで合意すれば、金融市場への影響に変化がない限り、合意を支持する用意がある」と述べた。
支援策の議会採決は18日に延期された。議会では過半数を占める政党がなく、アナスタシアディス大統領は、議会が批准を拒否すれば、国内2大銀行が破綻すると警告している。
大手行のキプロス・ポピュラー銀行CPBC.CYは、3月21日までに欧州中央銀行(ECB)からの緊急流動性支援(ELA)が断たれる恐れがある。
キプロスでデフォルトが発生すれば、ユーロ圏に対する投資家の信認が揺らぎかねない。
議会は17日に審議を開始する予定だったが、関係者によると、事前協議のための時間が必要との理由で審議は翌日に延期された。
18日は銀行休業日で、課徴金は19日に発効する予定。

<スペイン、預金流出の兆しなし>
ユーロ圏当局者は、預金者に負担を求めたことについて、キプロスの金融部門は国内総生産(GDP)の8倍に達しており、預金者に負担を求めるしか方法がなかったと説明。前例をつくるものではないとしている。
金融支援を申請する可能性が指摘されているスペイン政府は、キプロスは特殊なケースだと主張。スペイン中銀の広報担当は預金流出の兆しはないとしている。
ギリシャの国営通信社ANAによると、同国の主要野党・急進左派連合(SYRIZA)のアレクシス・ツィプラス党首はドイツのメルケル首相を批判した。
キプロスのアナスタシアディス大統領は3週間前の選挙で選出されたばかり。預金者への補償措置として、銀行株を割り当てると表明、将来の天然ガス収入を補償措置の担保とする考えも示した。
キプロスは海底ガス田の試掘を行っており、年内に大量の天然ガス資源の存在が確認されるとみられている。
大統領はテレビ演説で「われわれが望む解決策ではないが、現状では最も痛みの少ない解決策だ」と国民に理解を求めた。
キプロスのGDPはユーロ圏全体の0.2%に満たない。同国は昨年6月に金融支援を申請したが、協議は複雑で難航していた。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、支援策を支持すると表明、IMF理事会に支援参加を求める考えを示した。

<議会の法案通過は不透明>
支援策関連の法案によると、課徴金を払わない預金者には禁固3年もしくは5万ユーロの罰金が適用される。
キプロスに預金があるロシアの富裕層や、退職後にキプロスに移住した預金者も対象になる。
オズボーン英財務相は17日、BBCに対し、キプロスに駐留する軍関係者3500人に補償措置を適用する方針を示した。
キプロス議会の議員は56人。アナスタシアディス大統領の民主運動党は20議席で、法案通過には他の政党の支援が必要。連立相手の民主党が法案を全面支持するかは不透明。
左派の労働人民進歩党(AKEL)は支援策に反対票を投じる見通し。社会民主運動党(EDEK)も支援策は「論外」としている。

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★ 〔焦点〕キプロス支援、預金者負担は「危険な前例」に 「ロイター(2013.3.18)」より
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◎銀行預金に課徴金、ユーロ圏への懸念再燃
◎キプロス議会、支援策承認の行方は不透明
◎市場関係者から批判の声
◎当局は一回限りの措置と強調

 [ロンドン 17日 ロイター] ユーロ圏財務相会合がまとめたキプロス金融支援策に、銀行預金への課徴金という異例の措置が盛り込まれたことについて、市場関係者の間では「危険な前例」になりかねないとの懸念が浮上している。
+ 続き
 ユーロ圏財務相会合は15日夕方からの徹夜の協議の末、100億ユーロ(130億ドル)のキプロス支援策を決定。預金者から最大約10%の課徴金を徴収する。

 欧州中央銀行(ECB)は、必要な場合無制限の国債買い入れを実施する意向を示しているが、市場では、将来別の加盟国の支援が必要になった場合、再び預金者が負担を強いられるのではないかとの懸念が浮上。
 キプロスは金融支援がなければ、デフォルトするとみられ、ユーロ圏に対する投資家の信認が再び揺らぎかねない事態となっている。 

 ニューエッジ・ストラテジーのアンナリーザ・ピアッツァ氏は「前例のない極端な措置だ。ユーロ圏周辺国が多少パニックに陥るだろう。資本流出の可能性も否定できない」と指摘。
 「目先、周辺国の(国債利回り)スプレッドに一定の影響が出る。ユーロ安進行の可能性も否定できない」と述べた。

 <議会審議の行方は不透明>
 金融支援策の発表を受け、キプロスでは現金自動預払機(ATM)から預金を引き出す動きが広がり、ATMの資金は多くのケースで数時間で枯渇した
 大半の預金者は16日午前以降、預金を引き出せない状態で、今後混乱が広がる可能性もある。
 ユーロ圏当局は、キプロスからの資金流出の兆候がないか監視する意向を示しているが、資金流出があった場合の具体的な対応策は示していない。

 ECBのアスムセン専務理事は16日、「我々にとってキプロスはシステム上重要だ。経済規模は小さいが、混乱が生じれば、昨年大きく進んだユーロ圏の安定が脅かされる恐れがある」と述べた。

 キプロスでは18日が銀行休業日となり、即座の反応は限られる見通し。議会が金融支援策を承認すれば、19日に課徴金が適用される。
 ただ、議会が支援策を承認するかは不透明。承認できない場合は、デフォルトへの懸念が強まるとみられる。

 議会では17日に支援策をめぐる審議が予定されていたが、事前の調整が必要として、18日に延期された。
 アナスタシアディス大統領は議会に支援策承認を求めているが、絶対多数を握る政党はなく、すでに3党が支援策を支持しない意向を示している。

 JPモルガンのアナリスト、アレックス・ホワイト氏は「与党が自信を持って期待できる賛成票は(56議席中)26─28票程度だろう。野党は26票前後の反対票を確保できるとみているのではないか」とし「非常に僅差で、現段階では予想がつかない」と述べた。

 <スペインが試金石に> 
 これまでのところ、キプロス以外の欧州諸国では目立った混乱はみられない。
 バンク・オブ・キプロスBOC.CYは、英国のウェブサイトで、キプロスの銀行の海外支店には課徴金は適用されないと説明。スペイン中銀も、スペインからの資本流出の兆しはないとしている。

 バークレイズは「過去の支援プログラムで、今回と同じ措置がとられていれば、預金流出や国債下落が他の周辺国に波及していたかもしれないが、それに比べれば、影響はかなり限られるだろう」と指摘。「ギリシャを含め、周辺国の預金流出の可能性は低いとみている」と述べた。

 ただ、市場には不安が広がっている。
 チェコの元経済相で、現在はゴールドマン・サックスの国際アドバイザーを務めるウラジミール・ドロウヒー氏はロイターに「ドイツなど欧州北部の有権者が一定の負担を求めるのは理解できる。ただ、事実上預金の1割を没収するというのは、危険な前例だ」と指摘。「混乱が深まれば、5割没収といった話にもなりかねない」と述べた。

 キプロスの混乱が他国に波及するかは、スペインが試金石になるだろう。
 欧州中央銀行(ECB)の最新統計によると、1月のスペインの預金残高は横ばいで安定。スペインは昨年、国内銀行向けに400億ユーロの金融支援を受けており、銀行の資金は潤沢だ。
 スペイン政府も市場から問題なく資金を調達できており、支援申請が必要な状況ではない。

 ただ、一般の預金者の間に不安が広がる可能性は否定できない。
 ザンクトガレン大学(スイス)のシモン・エベネット教授は「キプロスの救済条件を特殊な例とみることはできない。ユーロ圏の重債務国や海外預金者に送られたメッセージは明白だ。リーマンのケースとは違うが、システミックリスクへの懸念が無視されているのは明らかだ」と述べた。
 欧州議会のシャロン・ボウルズ経済・金融問題委員長も「預金保証制度が台無しになる」と批判した。

 キプロスの銀行預金の多くは、ロシア人や英国人の預金。これまでのところ英国、ロシア政府から抗議の声は出ていない。
 ただ、デンマークのサクソバンクのラルス・セイア・クリステンセン最高経営責任者(CEO)は自身のブログで「金融支援発表の会見では、1回限りの措置と説明していたが、別の国で同様の措置を導入する可能性は否定しなかった。1回やれば、またやる可能性がある」との見方を示した。

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★ キプロス、少額預金者が課徴金対象とならない基準を検討中=関係者 「ロイター(2013.3.18)」より
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[ニコシア 18日 ロイター] キプロス政府のある関係者は18日、政府は少額預金者が課徴金の適用対象とならない基準の導入を検討していることを明らかにした。週末にユーロ圏財務相会合で決まった金融支援策について、議会の承認を得ることが目的。
ある関係者が匿名でロイターに語った。課徴金の対象とならない基準については、依然協議中だという。
ユーロ圏の支援策は、100億ユーロ(130億ドル)を支援する代わりに、10万ユーロ超の預金に預金額の9.9%、それ以下の預金に6.7%の課徴金を課す内容となっている。
同関係者は、最終案が議会に提出される前に内容が変更される可能性があると述べた。

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★ 焦点:キプロス支援、預金者負担は「危険な前例」に 「ロイター(2013.3.18)」より
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[ロンドン 17日 ロイター] ユーロ圏財務相会合がまとめたキプロス金融支援策に、銀行預金への課徴金という異例の措置が盛り込まれたことについて、市場関係者の間では「危険な前例」になりかねないとの懸念が浮上している。
ユーロ圏財務相会合は15日夕方からの徹夜の協議の末、100億ユーロ(130億ドル)のキプロス支援策を決定。預金者から最大約10%の課徴金を徴収する。
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欧州中央銀行(ECB)は、必要な場合無制限の国債買い入れを実施する意向を示しているが、市場では、将来別の加盟国の支援が必要になった場合、再び預金者が負担を強いられるのではないかとの懸念が浮上。
キプロスは金融支援がなければ、デフォルトするとみられ、ユーロ圏に対する投資家の信認が再び揺らぎかねない事態となっている。
ニューエッジ・ストラテジーのアンナリーザ・ピアッツァ氏は「前例のない極端な措置だ。ユーロ圏周辺国が多少パニックに陥るだろう。資本流出の可能性も否定できない」と指摘。
「目先、周辺国の(国債利回り)スプレッドに一定の影響が出る。ユーロ安進行の可能性も否定できない」と述べた。

<議会審議の行方は不透明>
金融支援策の発表を受け、キプロスでは現金自動預払機(ATM)から預金を引き出す動きが広がり、ATMの資金は多くのケースで数時間で枯渇した。
大半の預金者は16日午前以降、預金を引き出せない状態で、今後混乱が広がる可能性もある。
ユーロ圏当局は、キプロスからの資金流出の兆候がないか監視する意向を示しているが、資金流出があった場合の具体的な対応策は示していない。
ECBのアスムセン専務理事は16日、「我々にとってキプロスはシステム上重要だ。経済規模は小さいが、混乱が生じれば、昨年大きく進んだユーロ圏の安定が脅かされる恐れがある」と述べた。
キプロスでは18日が銀行休業日となり、即座の反応は限られる見通し。議会が金融支援策を承認すれば、19日に課徴金が適用される。
ただ、議会が支援策を承認するかは不透明。承認できない場合は、デフォルトへの懸念が強まるとみられる。
議会では17日に支援策をめぐる審議が予定されていたが、事前の調整が必要として、18日に延期された。
アナスタシアディス大統領は議会に支援策承認を求めているが、絶対多数を握る政党はなく、すでに3党が支援策を支持しない意向を示している。
JPモルガンのアナリスト、アレックス・ホワイト氏は「与党が自信を持って期待できる賛成票は(56議席中)26─28票程度だろう。野党は26票前後の反対票を確保できるとみているのではないか」とし「非常に僅差で、現段階では予想がつかない」と述べた。

<スペインが試金石に>
これまでのところ、キプロス以外の欧州諸国では目立った混乱はみられない。
バンク・オブ・キプロスBOC.CYは、英国のウェブサイトで、キプロスの銀行の海外支店には課徴金は適用されないと説明。スペイン中銀も、スペインからの資本流出の兆しはないとしている。
バークレイズは「過去の支援プログラムで、今回と同じ措置がとられていれば、預金流出や国債下落が他の周辺国に波及していたかもしれないが、それに比べれば、影響はかなり限られるだろう」と指摘。「ギリシャを含め、周辺国の預金流出の可能性は低いとみている」と述べた。
ただ、市場には不安が広がっている。
チェコの元経済相で、現在はゴールドマン・サックスの国際アドバイザーを務めるウラジミール・ドロウヒー氏はロイターに「ドイツなど欧州北部の有権者が一定の負担を求めるのは理解できる。ただ、事実上預金の1割を没収するというのは、危険な前例だ」と指摘。「混乱が深まれば、5割没収といった話にもなりかねない」と述べた。
キプロスの混乱が他国に波及するかは、スペインが試金石になるだろう。
欧州中央銀行(ECB)の最新統計によると、1月のスペインの預金残高は横ばいで安定。スペインは昨年、国内銀行向けに400億ユーロの金融支援を受けており、銀行の資金は潤沢だ。
スペイン政府も市場から問題なく資金を調達できており、支援申請が必要な状況ではない。
ただ、一般の預金者の間に不安が広がる可能性は否定できない。
ザンクトガレン大学(スイス)のシモン・エベネット教授は「キプロスの救済条件を特殊な例とみることはできない。ユーロ圏の重債務国や海外預金者に送られたメッセージは明白だ。リーマンのケースとは違うが、システミックリスクへの懸念が無視されているのは明らかだ」と述べた。
欧州議会のシャロン・ボウルズ経済・金融問題委員長も「預金保証制度が台無しになる」と批判した。
キプロスの銀行預金の多くは、ロシア人や英国人の預金。これまでのところ英国、ロシア政府から抗議の声は出ていない。
ただ、デンマークのサクソバンクのラルス・セイア・クリステンセン最高経営責任者(CEO)は自身のブログで「金融支援発表の会見では、1回限りの措置と説明していたが、別の国で同様の措置を導入する可能性は否定しなかった。1回やれば、またやる可能性がある」との見方を示した。
(Mike Peacock 記者;翻訳 深滝壱哉 編集 佐々木美和)

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★ キプロス、預金を封鎖 口座引き出し凍結 「産経新聞(2013.3.16)」より
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 欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合がキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日、全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。ロイター通信などが報じた。
 通常は土曜日も開店している小口金融機関が閉店しているほか、現金自動預払機(ATM)からの引き出しやインターネット上での資金移動も制限されている。一部銀行店舗では、早朝から預金を引き出すため預金者が列をつくる騒ぎもあった。
 18日はキプロスの休日で、同国議会は銀行が営業を再開する19日までに必要な法律を可決し、課税を完了する。
 預金封鎖は全預金のうち、課税対象となる10%弱の部分が対象。預金への課税はこれまでギリシャなどでも行われなかった異例の措置だ。キプロスの銀行口座保有者の半数近くはロシア人とみられており、ロシアの富裕層や犯罪組織による脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)の可能性が指摘されている。(共同)

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★ キプロスが法人税引き上げ検討、預金者保護を優先=関係筋 「ロイター(2013.3.12)」より
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[ニコシア 11日 ロイター] 関係筋によると、キプロスは法人税の引き上げに踏み切る可能性がある。国際支援条件の一環として預金者への損失負担を求める圧力を回避する狙いがあるとみられる。
+ 続き
同国は国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)に最大170億ユーロの金融支援を求めており、預金者の保護を優先するため、これまで抵抗していた法人税増税に同意する可能性があるという。
同国の法人税の名目税率は10%で、欧州連合(EU)内で最低の部類に入る。
協議に詳しい関係筋は、キプロスが法人税の「小幅な」引き上げと暫定的なキャピタルゲイン課税を検討する可能性があるとの見方を示した。支援機関は、同国の債務返済を確実にするためにこういった措置を求めているという。
国内メディアは、キプロス新政権がギリシャに対し、同国が国際支援で得た資金の一部を同国内で業務を行うキプロスの銀行支援に振り向けるよう要請する可能性があるとの見方を伝えている。
これについてギリシャ政府報道官は、キプロスの銀行の資本強化に関してギリシャへの具体的な支援要請はないと語った。11日に行われたアナスタシアディス・キプロス大統領とサマラス・ギリシャ首相との会談後に記者団に述べた。
キプロスの与党・民主運動党の幹部は、法人税が引き上げられる可能性はあるかとの質問に対し、破たんを回避するためには国際支援が必要であり、何らかの決定をする必要があると応じた。
国営ラジオで「賛否両論を検討し優先事項を確認した後に、成長促進を妨げないどういった措置を取るのか決めていく」と話した。

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★ キプロス、銀行預金者による損失肩代わりは容認せず=財務相 「ロイター(2013.2.12)」より
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 [ブリュッセル 11日 ロイター] キプロスのシアルリ財務相は11日、同国への支援プログラムの一環として、銀行預金者に損失を肩代わりさせることは政府として容認しないとの立場を示した。
 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、キプロスへの支援の選択肢の一つとして、同国の銀行預金者に損失を肩代わりさせる案が検討されていると報道。
 シアルリ財務相はこれに対し、「預金者によるベイルイン(損失負担)は、過度に誇張された可能性であり、実際に実施される公算は小さい。われわれはいかなる状況の下でも容認しない。前進に道を開くものとは思えない」と反論した。
 欧州委員会も同報道を否定。レーン委員(経済・通貨問題担当)の報道官は「欧州委は、報道されたような提案は行っていない」と述べた。
 ユーロ圏財務相はこの日のブリュッセルでの会合でキプロスに対する支援について討議。ただ最終決定は、キプロスで選挙が実施され、新大統領が就任するまで持ち越される。

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★ キプロス支援、3月末までに用意整う=ECB専務理事 「ロイター(2013.2.11)」より
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 [ベルリン 11日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は、3月末までに対キプロス支援の用意が整うとの見解を示した。
 11日付の独紙ハンデルスブラットにインタビューが掲載された。
 アスムセン専務理事は「キプロス支援の用意が来月末までに整うと予想している」と語った。
 さらに「外的支援がなければ、キプロスが債務不履行に陥るとの見方に疑いの余地はない」と警告。システム上重要なユーロ圏加盟国の支援を怠ることは、ユーロ圏危機対処で得た進展をリスクにさらし、多大な財政上および政治的なコストを伴うとけん制した。
 そのうえで、ドイツはキプロス支援をめぐる決定を、9月に実施される総選挙以降に先送りすべきではないとの見解を示した。
 また、キプロス支援は「一方通行」ではなく、同国政府は、金融セクター再編や銀行業務の透明性向上などを含む「厳しい条件」を満たす必要があると語った。
 キプロス問題をめぐっては、11日に開かれるユーロ圏財務相会合での主要議題となる。

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★ ユーロ圏、ロシア融資の返済期限延長求めるキプロスを支持=独財務省文書 「ロイター(2013.1.28)」より
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 [ベルリン 28日 ロイター] ユーロ圏の財務相は、2016年に償還期限を迎えるロシアからの融資25億ユーロについて、5年間の返済期限延長を求めるキプロスを支持している。ロイターが28日入手したドイツ財務省の文書から明らかになった。
 文書は「キプロス政府は(21日の)ユーロ圏財務相会合で、ロシアに既存債務の5年間延長を求めたと報告し、この件でユーロ圏財務相の支持を得た」としている。
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★ キプロスを「BBマイナス」から「B」に格下げ、追加銀行支援実施の可能性で=フィッチ 「ロイター(2013.1.26)」より
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 格付け会社フィッチ・レーティングスは25日、キプロス政府が銀行部門に対し追加金融支援を実施する必要に迫られる可能性があるとして、同国の格付けを「BBマイナス」から「B」に引き下げた。見通しは引き続き「ネガティブ」。
 フィッチは「貯蓄銀行の資本需要は依然として不透明となっている」とし、「これを含めた銀行部門全体の資本増強必要額は100億ユーロに上る可能性がある」とした。
最終更新:2013年03月26日 20:28