ウソばかり報道したり、思慮に乏しい報道で国民に不利益を与え、B層を洗脳するマスコミが有害でゴミに等しい存在だ・・・こういう意見が庶民のネット言論の主流になりつつあります。
確かに私も新聞はお金を払ってまで読む気がしませんし、TVのニュースを見ても不快な気持ちになるのでTVも捨ててしまいました。しかし、それが可能なのはネットでニュースも読めるし、優れたブログも読めるからです。一方で、ネットのニュースやブログは2次情報であり、マスコミの1次情報が無ければ、2次情報は存在を許されません。
「ゴミ」とバカにしながらも、私達はマスコミの恩恵を受けています。
■ マスコミよりも自分の意見が優れているという錯覚 ■
ネット言論のもう一つの特徴は「マスコミよりも自分の意見が優れている」という思い込みです。
「高い給料貰って、こんな記事しか書けないのかよ!!」とか「記者クラブの仲良し組でしか情報を取れないくせに!!」といった書き込みが目立ちます。
しかし良く考えてみれば、厳しい受験競争に打ち勝ち、さらには狭き門のマスコミに採用される様な人材が優秀で無い訳がありません。さらには、マスコミの記者達には、先輩記者たちの経験も伝授されている訳で、PCの前で間接的な情報に触れる事しか出来ない私達がマスコミの方達よりも優れた情報を得られる理由はあまり見つかりません。
私達がマスコミの方より有利なのは、「責任が無い」という一点に限られています。要は何を書いても責任を問われないので自由であるという事のみ。
それに比べてマスコミの記者の方々は、色々なシガラミを抱えています。
特ダネを掴んでも、上からの指示で潰され、面白い視点で記事を書いても、各社横並びの変わり映えのしない内要に変更され、政治の裏事情を知っていてもオフレコとされ・・・色々とストレスも溜まるかと思います。
■ 相対化を忘れたネット言論 ■
ネットの特徴は「自分はできる子だ」と錯覚する点にあります。
ブログなどで情報発信すると、コメントの多くは「賛同」される方のものが多くなります。「ちょっと違うんじゃない?」と思っても、わざわざコメント欄で指摘する事はありません。勝手に発信されている情報ニツッコミを入れるのは無粋だと考えるからです、
そもそも、反対意見を持つ方や、記事の内要に興味すら持てない方は、繰り返してブログに訪れる事はありません。
この様に、個人のブログの様なネット言論の社会では、発信者は意見を同じくする人達の狭いサークルに閉じ込められる事になるので、「相対化」の視点を失いがちになります。
「自分の意見が絶対的に正しい」という錯覚に陥るのです。
その結果が「マスコミなんてゴミ同然だろう」という傲りに繋がります。
■ 議論すら成り立たない「2ch」や「阿修羅掲示板」 ■
相対化の視点を失った人達は、人との議論をしても議論が成立しません。
2chや阿修羅掲示板で議論をした事がある方はお分かりかも知れませんが、ジャッジメントが存在しないので、結局は互いの意見を一方的に言い合うだけになってしまいます。最悪は相手の人格攻撃で終わります。
ネット言論空間の最大の問題点は、中立な視点の欠如です。
相対化の支点を失った議論程、不毛なものはありません。
(そう言いながら、私自身、ネットでの議論は嫌いではありませんが・・・)
■ 「マスごみ」という発想の思考停止 ■
この様な歪んだ構造を持つネット社会の最大の弊害が、レッテル貼りによる思考停止です。
「マスゴミはウソばっかついて、俺たちを騙そうとしている。だから信じられない」
「B層のやつらは、マスコミを鵜呑みにするから騙されるんだ」
マスコミの洗脳から目覚めたと自覚するネットの住人達は、往々にしてこの様な発言をします。
しかし、「マスコミが何故ウソの情報を流すのか」という点を熟考する事はありません。
「自分達よりも相当優秀であるハズのマスコミが、小学生でも分かる様なウソをつくのには、何か理由があるはずだ」と考えるのが実社会です。打ち合わせで相手が明らかなウソをついた時、「こいつはウソつきだ」と考える社会人は先ず居ません。「先方が明らかなウソを付くには、何か訳があって、それをやんわりとこちらに伝えたいに違いない」と勘繰るのが普通の社会人です。
ですから、マスコミが嘘を付くならば、その意図を汲み取ろうと努力するのが正しい判断であり、本来の意味でのメディアリテラシーでは無いでしょうか?
■ 「マスコミはウソを付いている」と言いつつ騙される人々 ■
面白い事に、「マスコミはウソを付いている」と言う人達も、何故な簡単に騙されます。
安倍首相を指示した多くの人達が、今回の消費税増税で「安倍首相に騙された」と憤慨します。「TPP参加にしろ、消費税増税にしろ、構造改革中心の成長戦略にしろ、安倍首相は公約と真逆の事をやっているではないか!!」と失望の色を隠しません。
その少なからぬ人が、マスコミを頭からは信用していない方達です。
では、何故彼らは安倍首相にコロリと騙されたのでしょうか?
■ 「私欲」の前に人は盲目に等しい ■
今回、安倍首相に騙されたと悔しがっている一番の勢力は三橋教信者達でしょう。
教祖自らが、安倍首相には失望したといった内容をブログに綴っています。
普段から政治家など信用できないと公言する彼らが、では何故今回は、あんなにも必死に安倍首相を応援したのでしょうか?
それは、「リフレ政策と公共投資の拡大」という彼らの主張する景気対策を安倍首相が行うと信じたからに他なりません。
日本の政治家が公約を反故する事は毎度の事で、今に始まった話ではありません。
特に、自民党清和会という安倍首相の所属や、彼の周囲の竹中平蔵氏や、高橋洋一氏、甘利氏らの顔ぶれを見れば、安倍政権が構造改革派の政権である事は容易に想像出来ます。
しかし、アメリカも安倍氏周辺もバカではありませんから、構造改革路線が日本人に受け入れられない事を良く知っています。そこで、自民党の土建族も懐柔する手として考えたのが「国土強靭化」というキャッチフレーズです。
選挙で大型公共事業を公約とすれば得票を伸ばす事は確実です。TPPも参加慎重だと口で言う事は簡単です。
こうして、選挙公約に並べられた政策に、三橋教が見事に食いつきました。いえ、もっと言えば、三橋氏は安倍氏に見事に利用され、神輿に乗せられたのです。
三橋教徒がかくも簡単に騙された理由は一つです。それは、彼らが景気回復を熱望しているからです。それも、自分達が苦労する事無く、打ち出の小槌よろしく、財政の大判振舞いをすれば、需要が生まれ、景気が回復して、将来の自分達の生活が安定すると考えたのです。
これは全く、オメデタイ幻想ですが、三橋氏は、様々な詭弁を弄して彼らを夢物語の中に引きずり込みます。誰も傷つかない皆がハッピーになれる方法がある・・・と。
ほとんど新興宗教に近い手口ですが、バブル崩壊以降の不景気しか知らない世代にとっては福音と聞こえます。「誰も傷つかない」「リスクフリー」などという事が、どれほどインチキ臭いか、40歳を過ぎると骨の髄まで味わうのですが、若い方達には魅力的に聞こえます。
そうして、彼らは教祖である三橋氏と同様に「マスコミ」を「マスごみ」と蔑みながらも、まんまと安倍首相と彼を裏で操る勢力の騙されたのです。
■ マスコミはウソは言っていない ■
実は三橋教信者がバカにするマスコミは、始めからウソなど言っていません。
極端な金融緩和や財政拡大のリスクは充分過ぎる程伝えていますし、TPPに関してもそのリスクはきちんと伝えています。
一方でマスコミはアベノミクスを持ち上げ、景気回復を印象付ける報道を繰り返しました。これはマスコミが公平な存在で無い事を理解していれば、当然の行動と思えます。
■ マスコミは時代の旗振り役 ■
本質的にマスコミは政府のプロパガンダ機関です。日本のマスコミは比較的政府に批判的ですが、それでも、大きな流れとしてはマスコミは与論をリードして、政権交代を実現するなど、政治に大きな役割を担っています。
小選挙区制度の導入、自民党から民主党への政権交代、民主党から自民党への再度の政権交代で、マスコミの果たした役割は小さくはありません。
その結果どうなったか?
小選挙区制では党の公認が得られ化ければ選挙に出る事すら出来ませんから、党の執行部の影響力が絶大になりました。中選挙区制度では、党内の対立勢力が同じ選挙区から出馬出来たので、かつての自民党の派閥政治の様に、党内の勢力争いが生じます。
アメリカの傀儡の清和会、土建利権集団の経世会、そして官僚出身者の多い宏池会の力がバランスしていました。官僚達はこのパワーバランスを巧みに利用する事で、政治に影響力を行使し、日本の利益を守って来ました。
ところが、小選挙区制度の結果、党執行部の影響力が強大化します。経世会の有力議員たちは、東京地検特捜部の捜査対象となり次々に失脚し、気づけば自民党は清和会の天下となってしまいました。
その後マスコミは自民党を攻撃して民主党を持ち上げ、政権交代を実現します。しかしその過程で少選挙区制によって中小の政党が振り落とされ、2大政党制に近い形が作られました。ところが、マスコミの民主党キャンペーンが功を奏して衆議院の2/3以上の議席が民主党に独占される事になります。
これにより議会性民主主義は形骸化してしまいました。民主党は鳩山-小沢というアメリカにとって不都合な勢力を無力化して、松下政経塾出身者が中枢を固め、アメリカの要求通りの政策を実行します。
さすがに国民も堪忍袋の緒が切れます。民主党にお灸を据えたいと考えている所に、安倍氏が、「日本の為に」という耳触りの良い公約を掲げて登場します。
多くの国民が「日本の未来の為」に自民党に投票し、アベノミクスによる円安と株価上昇を評価して自民党に安定的な議席を与えてしまいました。
- その結果が、TPPへの参加と、消費税増税+法人税減税ですした。
こうして見てくると、日本の政治の変遷にマスコミの果たした役割は小さく無く、彼らは確信犯的にアメリカの利益を代弁しているとも言えます。
■ 良心を捨てた訳では無い ■
では、マスコミは良心を捨て去ったゴミの様な存在なのでしょうか?
私は少し違うと思います。個々の記者達は、良心と葛藤して取材に当たり記事を書いていると思います。
一方で彼らは権力側の人間ですから、それに逆らえば自分達の権力も消える事に自覚的です。多分。そういった矛盾に蓋をして割り切った人達が出世し、そうで無い人の一部はフリーに転向して行くのでしょう。
そして、報道には命に係わる一線があって、少なからぬ人達がそれを越えて帰らぬ人となったり、あるいは社会的地位を失う結果を招いています。
そんな状況にあって、記者達は、言葉尻や、ほんの些細な表現の内に、真実を仕込ませているのかも知れません。「気づいてよ・・・」と行間から切実に訴えているのかも知れません。
政治家達も命掛けの商売です、やはり譲れない一線はあるのでしょう。福田首相の辞任などを見ていると、本当に日本の首相は大変なストレスなのだと感じます。
では、安倍総理は日本人の為になっているのか?
多分、彼なりの理念の上に動いているのでしょう。
それは、世界から日本が取り残されないように、日本が新たな時代に対応できる形に変われる様にするという「未来」にむけた理念なのでしょう。
それが例えアメリカに押し付けられた未来であっても、世界がう変わろうとするならば、日本も対応するしか生き残りの道が無いのです。
何を捨てて、何を拾うか・・・・。
政治家も、マスコミも、官僚も、戦後統治が続く日本でギリギリの選択をしているのでしょう。
それでも私達は「マスごみ」とバカに出来るでしょうか?
本日の記事は、自分自身への反省も込めています。
ネットによって拡大する自我は、通常は社会生活で是正されるのですが、2chなどの書き込みを見ていると、社会生活での抑圧された人格の開放の場所としてネットが利用されている一面も見逃せません。
私自身、このブログはガス抜きみたいな場所ですが、決して人前でアニメの話や陰謀論の話は・・・・あれ、結構してるな・・・。
ダメ人間じゃん、オレ。
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