■ 岩田日銀副総裁:2年で物価2%未達なら見直す-量的・質的緩和 「Bloomberg(2013.10.18)」より
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 10月18日(ブルームバーグ):日本銀行の岩田規久男副総裁は18日午後、中央大学多摩キャンパスで講演し、消費者物価上昇率2%の物価安定目標が2年程度で達成できないなら、現在の量的・質的金融緩和策を見直す考えを示した。同時に同政策は、物価上昇率の前年比が「かなりの間、2%で安定することを見極めるまで」続けると述べた。

 岩田氏は「2年を念頭に置くが、それで達成できなくても、できるだけ2年に近いスピードで達成すると約束した。これは後に引けない。2%のインフレ率が安定的になるまで、絶対に金融緩和の程度を緩めない」と述べた。さらに「ちょっと2%に近づいてきたら、もう金融緩和をやめるということはしない」と語った。その上で「2年くらいで、なかなか達成できないなら、どこに問題があるかを見直す」と語った。

 日銀は4月4日に量的・質的金融緩和策を導入。「消費者物価の前年比上昇率2%の物価安定の目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と表明した。また、量的・質的金融緩和は「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」と約束した。

 岩田氏は量的・質的金融緩和策について「本格的に効果が表れるのはこれからだ」としながらも、「いくつのリスク要因がある」と指摘。「世界経済の成長率が落ちるという予測が国際通貨基金(IMF)などで出ている」とした上で、「円安が進んでも、それほど輸出が伸びないという原因になる」と述べた。さらに、「昨日一応、暫定的に解決した米国の財政問題、それからアジアで中国の成長率が鈍化しているなどリスク要因がある」と語った。


■ 日銀は一刻も早くインフレターゲットをやめよ:異次元緩和の矛盾で混乱が続くマーケット 「東洋経済(2013.6.17)/ 野口 悠紀雄」より
(※ 記事の大半は略、ブログ記事で)
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インフレターゲットは多くの国で採用されているが、通常は高すぎる現実のインフレ率を抑制するための目標値だ。インフレ率を高めようとすると、さまざまな問題が発生する。まず、どのようにしてインフレ率を上げるのか、その道筋がはっきりしない。問題はそれだけではない。本質的な問題が二つある。第一は、インフレターゲットを設定しても経済は活性化しないこと。第二は、それが有害であることだ。

■ 日銀は「2%のインフレ目標」を達成できないと思っているー片岡剛士氏インタビュー後編 「BLOGOS編集部(2013.2.9)」より
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BLOGOSが「知」のプラットフォームSYNODOSとタッグを組んでお送りするインタビューシリーズ「SYNODOS×BLOGOS 若者のための『現代社会入門』」。

前回は金融政策の必要性や効果を中心に聞きました。今回は、日銀が金融政策に消極的な理由に迫ります。【取材・執筆:永田 正行(BLOGOS編集部)】

(※ 中略)

また、これまでも日銀は「当面は1%の物価上昇率を目途とする」と言って金融政策を運営してきたのですが、それすらも達成できていません。展望レポートという形で1月に将来の物価上昇率の見通しを公表しているのですが、その中でも政策委員の方々の中央値は0.9%(2014年度)です。こうした点から見ても、「2%のインフレ目標」は達成できないと考えている。しかし、昨年の選挙で自民党が大勝し、国民の支持を得た政権の総理が2%と言っているわけですから、これを無視することはできません。ですから、表向き2%は受け入れたものの、できないなりに金融政策をやりましょうというポーズだけになってしまっているのではないでしょうか。

(※ 中略)

先ほども述べたように、2014年度までの見通しを立てている日銀の展望レポートの物価上昇率は0.9%と言うのが中央値です。しかし、お金の量をコントロールできる唯一の機関は日本銀行です。日本銀行がお金を増やさない限り、今のままではお金の総量が十分に増えていくとは考えられません。つまり、日本銀行が「2%を達成できる」と明言しない限り、誰も信用できないのです。にもかかわらず、日本銀行が一般のエコノミストや民間人と同じような目線に立って、「いや我々も0.9%と予想しています」と言ってしまっているわけですから、これではダメなんですよ。

(※ 以下詳細は記事本文で)

■ イングランド銀行はインフレターゲット違反の常習者 デフレの国・日本とインフレの国・英国の違い 「Yahoo!ニュース|木村 正人 | 在英国際ジャーナリスト(2012.12.1)」より
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デフレの国・日本からインフレの国・英国にやってくると、難しくてなかなか理解できない経済が生活の中で実感できる。そして日本が抱える問題点もはっきり見えてくる。

日本にいた2000年代前半、3000万円以上残っていた住宅ローンの返済で生活が次第に苦しくなった。マンションの時価はどんどん下がって来る。大阪から東京への転勤でマンションを賃貸に出さざるを得なくなったが、賃貸収入も住宅市場の下落で思ったほど入ってこなかった。「資産デフレ」のワナから逃れるには、とにかくローンの総額を減らすしか道がなかった。

2007年からロンドンで暮らすようになった筆者は金融バブルの崩壊で英国にも、きっと日本のような「資産デフレ」が訪れると信じていた。2008年の世界金融危機後、5%だった英国の消費者物価指数はどんどん下がり2009年9月に1・1%を記録、デフレの一歩手前まで行ったが、英イングランド銀行(中央銀行)は政策金利を史上最低の0・5%に引き下げ、総額3750億ポンド(約49兆5000億円)の量的緩和策を発動、消費者物価指数の下落を反転させた。

おかげで消費者物価指数は昨年9月に5・2%まで上昇し、今では2・7%に落ち着いている。

(※ 以下詳細は記事本文で)

■ 安倍自民党の「インフレターゲット論」3つの問題点 「ニューズウィーク(2012.11.26)」より
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3%というターゲットを設定した上で、インフレが進行するように金融緩和を思い切り行う、そうしてデフレを脱却し超円高を是正して成長トレンドを回復するという政策については、ここ1年ぐらい安倍晋三氏はかなり熱心に語ってきています。ですから本気といえば本気なのでしょうが、総選挙を前にしてここまでハッキリと政策として掲げてくるとは思いませんでした。

 結論から言えば、3つの問題点があるように思います。

(※ 中略)

 結果的に、仮に2013年の前半にハッキリした「ドル安政策の終わり」「人民元高の容認」というトレンドが出てきた時に、日本がジャブジャブと流動性を供給していたら、為替市場の圧力は想定の範囲を突き破って思い切り円安に振れるでしょう。激しい円安になれば、3%という「ターゲット」は簡単に突破されてしまうと見るべきです。

(※ 中略)

仮に、安倍総裁の言う「デフレ脱却」のための「国土強靭化」というものが、同じようにGDPの拡大に寄与しない「一過性の無駄遣い+維持費負担」になるのであれば、これは日本の財政を更に苦境に追いやるだけの政策だと言えるでしょう。

(※ 中略)

勿論、景気の回復は待ったなしです。ですが、今はインフレターゲット論などというギャンブルをする時期ではないと思います。対中関係を改善して景気の足を引っ張らないようにすること、エネルギー政策を早く「多様化」という方向で落ち着かせること、TPP(環太平洋経済連携協定)など自由貿易の枠組みに積極的になる中で競争力のある産業で着実に稼ぐことといった、地道な努力を積み上げるべきです。そうした中で、貿易収支をプラスに戻し、景気回復基調に戻すことが求められるのだと思います。












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最終更新:2013年10月23日 21:23