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★ 北京が2022年冬季五輪招致 「数千トンの人工雪…これ以上の茶番があるか」と英紙 「産経ニュース(2015.8.10)」より
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 2022年冬季五輪の開催都市が北京に決まった。中国紙は「3億人を動員する」と主張するなど、五輪開催による国威発揚を強調する。しかし、12年にロンドン五輪が開かれた英国の新聞は、人権状況に問題がある国の首都が開催都市となるのは「五輪の価値を崩す」と苦言を呈したほか、米国紙は、五輪の開催費用が膨らみ続けているせいで、実際に招致できる都市が限定されつつあると警鐘を鳴らした。

またも崩れる五輪精神

 英紙ガーディアンの兄弟紙で、日曜日に発行されるオブザーバー紙は2日付で「2022年冬季五輪に北京が選ばれたことは、またしても五輪の価値を崩す前例をつくった」と主張し、人権状況に問題がある国がホスト国となる選考方法に疑問を呈する社説を掲載した。

 同紙はまず、北京が初めて夏季と冬季の五輪を両方開催する都市となったことに関し、大会は数千トンもの人工雪を作る機械に頼ることになると指摘。「これ以上の茶番がどこにあるのか」と厳しく批判し、国際サッカー連盟(FIFA)が22年W杯の開催国に、屋外競技場にエアコンを設置すると約束した灼熱(しゃくねつ)のカタールを選んだのと同じだと断じた。

 また、国際オリンピック委員会(IOC)が今回、中国とカザフスタンという人権状況に問題がある2カ国の都市から選ぶことを迫られたことについて、「五輪の未来に深刻な影を投げかけた」と指摘。ほかに立候補したクラコフやストックホルムなどの都市は、膨大な開催費負担や市民からの支持不足などを理由に次々と辞退を表明しており、「民主国家が五輪を招致するのは、かつてないほど困難になっている」と強調した。

 その上で、12年のロンドン五輪は支出に見合う価値を提供したが、04年のアテネ五輪では、大半の施設がその後は使われずに荒廃している実情を紹介。五輪は「非常に高価で華麗な祭典となる一方、五輪精神を根付かせることにはしばしば失敗している」と警鐘を鳴らした。

 同紙はさらに、510億ドル(約6兆3640億円)を投じた14年のロシア・ソチ五輪にも触れ、「五輪の憂鬱な未来の代表かもしれない」と指摘。既存の施設を使い、比較的低予算で行われた1984年のロサンゼルス五輪が史上初めて黒字となった例を紹介し、「IOCは至急、開催地の選考で五輪精神の価値を再生させる必要がある」と締めくくった。(ロンドン 内藤泰朗)

 □人民日報(中国)

新たな伝説を記そう

 2022年冬季五輪の開催都市に北京が選ばれ、中国共産党機関紙、人民日報は決定翌日の1日付で「新たな約束、新たな出発」と題する評論記事を掲載。08年北京五輪、14年南京ユース五輪、そして22年へ続く歩みを根拠に、「新世紀以降、中国と五輪は共に歩みを進め、異なる文明の交流と融合を促してきた」と説いた。

 中国側では9割を超える市民の支持が強調され、同紙傘下の国際情報紙、環球時報は7月31日付の社説で「中国の人々は発展と外界とのさらなる接触を切望している」と指摘。人民日報の評論は「冬季五輪は雪上・氷上スポーツに3億人を動員することになる」と五輪効果を喧伝(けんでん)している。

 国際オリンピック委員会(IOC)は現在、コスト削減を目指して策定した中長期改革案「五輪アジェンダ2020」の重視を掲げている。評論は「選手中心、持続可能な発展、節約開催という北京が五輪招致に提示した3大理念は、IOCの五輪アジェンダ2020にも合致するもので、広く賛同を得た」と主張している。

 しかし、IOCのバッハ会長はIOC総会が開かれたクアラルンプールで、アルマトイ(カザフスタン)の計画を「持続性について五輪アジェンダ2020に適合していた」と評価。北京については、冬季スポーツに携わることになる「3億人」の多くを「青少年」と見なし、アジェンダへの適合性よりもむしろユース世代の教育を長所に挙げた。圧倒的勝利が予想されながら4票差の辛勝に終わった背景には、北京の“口約束”に対する疑念がうかがえる。

 評論は「異なる信仰、異なる肌色、異なる民族が一堂に会し、五輪がもたらす情熱や喜びを分かち合い、今この瞬間から共に新たな五輪の伝説を記していこう」と訴えている。しかし、08年五輪当時、中国政府が約束した人権状況や大気汚染の改善は一つとして達成されていない。「新たな約束」とは何なのか-。その具体的な姿は見えてこない。(北京 川越一)

□USA TODAY(米国)

招致できるのは北京だけ

 米紙USA TODAY(電子版)は7月31日、五輪開催でかかる膨大な費用や地元住民への負担、国際オリンピック委員会(IOC)が候補地に突き付ける理不尽な要求などを考えた場合、「五輪を招致したいと考えるのは北京だけだ」と痛烈に皮肉る記事を掲載した。

 記事は、北京は2008年の夏季五輪で、過去のどの大会よりも多額の400億ドル(約5兆円)が投じられ、インフラ整備のため推定150万人を移住させたことなどに言及し、「喜んで法外な金を支払い、住民を気にも留めない町が招致都市になるのはIOCにとっても問題だ」と指摘する。

 記事はまた、途中まで招致を目指したノルウェーの首都オスロはIOCから(1)王宮か地元五輪組織委員会が費用負担するカクテルパーティーを催す(2)道路にIOCメンバー用の特別レーンを設ける(3)五輪組織委員長とホテル支配人の「歓迎の言葉」をIOCメンバーの部屋に季節の果物とともに置く-といった要求を突き付けられたことを紹介し、こうした「バカげた」要求が見直されなければ、「夏季でも冬季でも五輪を2年ごとに開催できるのは北京だけになる」と批判している。

 五輪をめぐっては、米東部ボストンが「地元住民から十分な理解が得られなかった」として24年夏季招致からの撤退を表明した。記事は、米国では西海岸のロサンゼルスだけが必要なインフラを有し、招致を希望する町だとした上で、「(米国は)広大な国だというのに、(開催できそうなのは)一都市だけしかない」と問題提起している。

 カナダ最大のオンラインメディア、トロント・スターも1日、東部トロントが同年夏季五輪招致を目指していることに関し、市民の盛り上がりぶりを伝える一方で、「(予想される)コストが増大するリスクは小さくない」と警告している。(ニューヨーク 黒沢潤)


■ 浮き彫りになる候補地選考の問題点。 '22年北京冬季五輪、混迷の道程。 「Number Web(2015.8.4)」より
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「熱気がない」

 旧知のあるジャーナリストから聞いた言葉が、今回の招致の流れを象徴していた。

 7月31日、国際オリンピック委員会(IOC)は総会で、2022年の冬季オリンピックの開催地を決定した。

 最終候補として残っていたのは北京(中国)とアルマトイ(カザフスタン)。選ばれたのは北京だった。

 夏冬の両五輪を開催する史上初の都市誕生の瞬間でもあったが、ここまでの選考の過程を含め、今回の決定にあたって、オリンピック開催の多くの課題が浮き彫りになる機会でもあった。

 振り返れば、2022年の招致活動は、思いがけない展開で進んできた。

辞退が続出、2候補だけの最終選考。

 もともとは、数多くの都市が立候補に関心を示していた。ミュンヘン(ドイツ)、ジュネーブ(スイス)などの大都市をはじめ、ウインタースポーツに実績を持つ都市も含まれていた。

 その中から6都市が立候補を表明したが、1次選考を前にストックホルム(スウェーデン)、クラクフ(ポーランド)、リヴィウ(ウクライナ)が撤退。北京、アルマトイ、オスロ(ノルウェー)の3都市が最終選考へと進むことになった。

 だが、オスロも撤退。北京とアルマトイだけが残って迎えたIOC総会だった。

 なぜこのように、次々に立候補を辞退する都市が相次いだのか。

 最大の理由は開催にあたっての負担の大きさだ。近年、冬季オリンピックは財政的な重さが懸念されてきたが、2014年のソチ五輪では、かかった費用が5兆円とも伝えられた。開催を考えていた都市では住民による反対運動が起こり、多くの都市が立候補を断念することになった。

 特に、最終候補となりながら撤退したオスロは、今回の選考を象徴しているかもしれない。1952年にオリンピックを開催しているオスロは、冬季国際大会を数多く開催している実績があり、冬季競技全般の人気や理解も高い。だから選手からもかねてから高く評価されていた。

 それほど冬季競技を好む人々がいても、世論調査で50%以上が立候補に反対したように、財政負担への不安は消えず、断念せざるを得なかった。

IOC委員100名のうち11名が総会を欠席する事態に。

 結果、北京とアルマトイが残ったが、1次選考時の評価はどちらも決して高いとは言えなかった。アルマトイは全般に低い評価にとどまり、北京も雪不足や環境問題などが指摘されていた。

 そういう背景もあったからだろう、オスロが撤退を決めたときのIOCのコメントに本音が表れていた。

「オスロが将来に投資する素晴らしい機会を失い非常に残念」

 迎えた総会は、IOC委員100名のうち11名が欠席。棄権も1名いた。その事実は、どの都市が優れているか、よりよい都市はどこかという以上に、選ばざるを得ない状況に陥った今回を表している。

 IOCのバッハ会長が決定後に述べた、「難しい選択でした」という言葉も印象的だ。

 財政的な安定度などを考えれば、北京になったのは妥当かもしれない。実際、事前には、北京で決まるという予測が大半だった。

数々の懸念から、投票結果は予想以上の僅差に……。

 ただ、2018年の平昌五輪に始まり、東アジアで夏冬3大会連続での開催は抵抗があったに違いない。

 また、北京の開催計画では、約160kmも離れた張家口で多くの雪上競技を行なうことになっている。東京を起点にすれば、越後湯沢あたりまでの距離だ。一部競技が分散することはあったし、室内競技と雪上競技の場所が離れるのは通例だが、ここまで離れた場所で、はっきりと二分する形を採るのはどうなのか……。

 投票は44対40だった。事前の予想以上の僅差だったのは、数々の懸念から、アルマトイに票を投じる動きがあったからに相違ない。

 また、招致の最後の場面で、アルマトイはトップフィギュアスケーターの一人であるデニス・テンを登場させ、北京が元NBA選手だった姚明を登場させた。アルマトイがウインタースポーツのトップアスリートを連れてきた、いわばストレートな冬季オリンピック招致を打ち出したことでの得票もあっただろう。

 いずれにせよ、2022年の招致活動の一連の流れがあらためて残したのは、オリンピック開催の難しさが増していることだ。

 IOCもそれを察知しているからこそ、昨年末に改革プラン「アジェンダ2020」を打ち出した。

夏季オリンピックでも有力都市が辞退。

 その中には招致にまつわる経費の削減、大会運営経費の削減、既存施設の活用の重要性、持続可能性への積極的な支援などが盛り込まれている。オリンピック開催の難易度を下げることで、回避傾向が強まる風潮を止めたいという意図がある。

 夏のオリンピックに目を転じても、2020年をめぐって費用の面でも多くの問題が噴出しているが、2024年の夏季オリンピックへの招致でも、有力都市の一つと目されていたボストン(アメリカ)が負担の大きさへの懸念から立候補を取りやめるなど、オリンピック開催のあり方は曲がり角に来ている。

 今回の招致活動が始まったのは、改革案を出す前のものだ。アジェンダ2020に沿っているのはどちらかと言えばアルマトイだった。それでも北京が選ばれたが、バッハ会長が総会での決定を前に、「明日の選択は『最後』を飾る意味も持っています」と述べているのは、これからの五輪招致活動そして開催のあり方が大きく変わっていくことを示唆している。

 そして2022年の冬季オリンピック開催都市が決定するまでのできごとは、IOCが掲げる改革の必然性と重要性を浮き彫りにするものでもあった。












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最終更新:2015年08月10日 13:59