(※mono....「元素変換」もココ)
核廃棄物

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■ 真実か詐欺か? 核廃棄物も黄金に変える“元素変換” 「地球と気象・地震を考える(2017-12-01)」より


核廃棄物
■ 理研が放射性廃棄物処理の画期的方法である核変換技術確立の第一歩を踏み出す。 「Ddogのプログレッシブな日々
(2016.2.20)」より
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日本は何と偉大な国だろう、大学や企業が失敗を恐れずに困難な研究開発課題に果敢に挑み(チャレンジ)、新たな成長分野を切り開いていく(イノベーション)、 新たな科学技術のシステムを始めた。政府の科学技術・イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・革新的研究開発推進プログラム ImPACTである。

ImPACT革新的研究開発推進プログラムの一つとして”核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化”がある。

原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本のみならず世界的な問題である。現在高レベル放射性廃棄物はガラス固化し安定した大深度の地下地層に廃棄するしか選択肢がないが、根本的解決策ではない。長期間保管に不安であり後の世代に負担を強いる。

世界に先駆け有害な放射線を何十万年も出し続ける「核のごみ」などを、無害な別の物質に変えてしまう「核変換」技術を確立し、何百万年も放射能を放す物質を安定核種や短寿命核種に核変換し、廃棄物の放射能を効率良く弱めたり、パラジウムやモリブデンなどの貴重資源を採集する方法を開発することにより「核のごみ」などを無害化する研究を2014年に始めた。


そして、理研がその第一歩として世界初の破砕反応データ取得に成功した。


■★ [核変換] 核のごみを無害化 「常温核融合」の遺産を利用 「NeoMag」より
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[日本経済新聞電子版2015年6月15日配信]

有害な放射線を何十万年も出し続ける「核のごみ」などを、無害な別の物質に変えてしまう「核変換」。東京電力福島第1原子力発電所の廃炉処理にも 役立つと期待されるが、実現には大がかりな装置が欠かせないと考えられている。だが東北大学と三菱重工業が組み、核変換を簡単な装置で実現できるかもしれない研究が始まった。そのきっかけとなったのは、かつて誤りとされた「常温核融合」の研究だ。

■東北大学に研究部門を開設 三菱重工からも研究者
今年4月、全国共同利用・共同研究拠点の1つで原子核理学の研究を進める東北大電子光理学研究センターに「凝縮系核反応共同研究部門」が誕生した。セン ターと研究開発型ベンチャーのクリーンプラネット(東京・港、吉野英樹社長)が共同で設立した。原子核物理学が専門の笠木治郎太・研究教授が中心となり、 小型装置を使う低温条件での核変換技術の開発を進める。放射線が出ない水素をヘリウムに核変換したり、数十万年以上も放射線を出し続ける物質を放射線が出ない安定な物質に変えたりして熱エネルギーを取り出し、活用するのが目標だ。

身の回りのあらゆる物質を構成する原子は、原子核とその周りを包む電子でできている。陽子と中性子が集まってできている原子核は、「水素」や「ウラン」と いった元素の種類を決めるが、極めて頑丈でよほどの刺激を与えないと形を変えない。ただ高速の中性子をぶつけるなどして高いエネルギーを加えると、原子核 が2つに分かれるなどして別の物質に変わる。原発で使われる「核分裂」反応はその代表で、原子核を2つ以上に小さく分ける時に発生する熱を発電に利用している。これに対して「核融合」は、2つ以上の原子核を合体させて別の物質を作る。核変換は、核分裂と核融合の両方を含む技術だ。
笠木研究 教授らは長年、放射線をださない重水素(重さが2倍の水素)を2個融合してヘリウムと熱を発生させる核融合の実現を目指してきた。現在、フランスに建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)で使う予定の重水素とトリチウム(3重水素)を核融合させる反応に比べ、弱いながらも放射線を出すトリチウムを使わないのが特徴だ。
重水素の融合にはナノ(ナノは10億分の1)メートル大の金属微粒子を使う。高圧の重水素ガスの中に粒子を入れることで、粒子の表面か内部で重水素同士が核融合し、安定なヘリウムと熱が発生すると期待している。
さらに今年4月に三菱重工業から移った岩村康弘・特任教授が加わり、放射線のベータ線を数十万年以上出し続ける放射性パラジウムを放射線を出さない安定なスズ、同セレンを安定なストロンチウム、放射性ジルコニウムを安定なルテニウム、放射性セシウムを半減期が13.6日と極めて短いプラセオジムに変える研究に着手した。
いずれも放射性を帯びたパラジウム、セレン、ジルコニウム、セシウムは原発で発生する何種類もの放射性物質の中でとくに処理が難しいとされる。こうした「核のごみ」を放射線を出さない物質に核変換する技術は、政府が昨年度始めた大型研究プロジェクト「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」のテーマに選ばれた。
ImPACTで進める核変換研究には東北大と三菱重工など、10以上の機関が加わる。放射性物質に中性子を当てて原子核に含まれる中性子の数を変え、放射線が出ないようにする研究を中心に据えている。ただ、これには中性子を発生させて加速し、物質に当てる大がかりな装置が必要だ。
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■簡単な装置で「核変換」を可能に 未解明現象の追求続ける}
そこで笠木研究教授らは、放射性物質と重水素や水素のガスを反応させるだけで、核変換を起こす研究に取り組むことにした。装置の構造も単純で済む。
実は、こうした研究が20年以上前に一大フィーバーになったことがある。1989年に米英の研究者が実験で可能性を示した。当時は、低い温度で水素原子どうしが核融合を起こす可能性から「常温核融合」や「低温核融合」といわれた。もともと核融合は地上の太陽ともよばれ、数百万度以上の高温でなければ生じないと考えられていたため、世界中で大騒ぎになった。しかし、最初の発表者が核科学の専門家ではなかったことや、後で実験データの問題点が次々と指摘されたことなどから信頼されなくなり、多くの科学者が研究から撤退した経緯がある。

笠木研究教授は、当時を振り返ってこう語る。「世界中の研究者が競って追試実験に取り組んだ。新たな成果も出されたが、十分な議論をしないまま論文になったり、論文審査が甘かったりした例もあった」。その後、一転してこの分野の論文が採択されなくなったという。
だが笠木研究教授は「核科学の常識ではあり得ないデータが出ているのだから、メカニズムを解明する必要があると思った」と研究を続けてきた理由を説明する。岩村特任教授も「当時は原子力事業に携わる人たちからも信じてもらえなかったが、放射性廃棄物を安全な物質に変える技術は必要だ」と意気込む。
東北大の凝縮系核反応共同研究部門のPRのため、笠木研究教授らは今年5月に仙台と東京で核変換のセミナーを開いたが、延べ160人ほどが出席した。
原発は高レベル放射性廃棄物の最終処分場が決まらず、「トイレなきマンション」と批判されてきた。いつ実現するかは見通せないが、多様な核変換の研究開発の推移を見守りたい。
(科学技術部 黒川卓)

★ 高レベル廃棄物対策の切り札 放射能減らす「核変換」本格研究へ 「産経ニュース(2014.1.20)」より
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 原発の使用済み核燃料に含まれる放射性物質に中性子をぶつけて、毒性が低い物質に変える「核変換」の研究が来年度から本格的に始まる。実用化までの道のりは30年以上と長いが、高レベル放射性廃棄物を減らす切り札として期待は大きい。(伊藤壽一郎)

「現代の錬金術」

 安倍政権は原発を「重要なベース電源」と位置付け、今後も活用していく方針を打ち出している。その最大の課題は昨年3月末時点で1万7千トンに達した使用済み核燃料の処分だ。

 使用済み燃料を再処理してウランやプルトニウムを回収した後に残る高レベル放射性廃棄物は、ネプツニウム237(半減期214万年)やアメリシウム243(同7370年)など、半減期が長く毒性が高い複数の元素が含まれている。これらはガラス固化体に加工して冷却後、人体への影響が低くなるまで数万年間、地下深くに貯蔵する地層処分となるが、最終処分場はまだ決まっていない。このため量を減らす方法の開発が急務になっている。

 放射能を持つ元素の原子核は、放射線を出しながら時間とともに崩壊し、自然に別の元素に変わる。核変換はこれを人工的に加速させる技術で、原子核に中性子をぶつけて核分裂を起こさせ、半減期が短く毒性が低い物質に変えていく。いわば「現代の錬金術」だ。

もんじゅ停止契機

 この研究は当初、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が担うはずだった。核変換に必要な高速の中性子が運転時に発生するからで、長寿命の放射性元素を燃料に混ぜ、短寿命化する研究が検討されてきた。

 しかし、トラブル続きのもんじゅは運転実績がほとんどない上、機器の点検漏れなどで原子力規制委員会から無期限の運転停止を命じられている。再稼働すれば研究も進められるが、先行きは全く見えない。

 このため文部科学省の作業部会は昨年11月、原子力機構などの加速器施設「J-PARC」(茨城県東海村)に、加速器を使った核変換の実験施設を建設すべきだとする報告書をまとめた。

 総工費220億円で2015年度に着工、20年にも実験を開始する。基礎データを蓄積した後、30年ごろから実用化に向けた新施設を建設し、50年ごろから核変換を行う見通しという。

 核変換の仕組みはこうだ。長寿命の放射性元素を容器に入れて、中心部に鉛とビスマスからなる重金属の核破砕ターゲットを配置。ここに超電導加速器で光速の約90%に加速した陽子をぶつける。

 重金属から高速の中性子が飛び散るように発生し、放射性元素の原子核に衝突。核分裂が始まり、電子を放出しながら核種が変わるベータ崩壊を繰り返し、短寿命で毒性が低い物質に変わっていく。

 陽子は2年間当て続ける計画で、放射性元素は大半が短寿命化。理想的な反応が起きた部分は、放射能がない物質に変わる。

 研究を担当する同機構の大井川宏之核変換セクションリーダーは「ネプツニウム237の場合、10%未満は長寿命のまま残る可能性はあるが、多くは放射能のないルテニウム102とセシウム133に変換される」と話す。

鍵握る分別技術

 高レベル放射性廃棄物はこれまで、ひとまとめに加工してガラス固化体にされてきた。核変換を行う場合は目的の元素を取り出す分別が必要で、これが処理の効率化にもつながる。

 ルテニウムやロジウムなどの白金属は、分別により資源として再利用が可能に。ストロンチウムなどの発熱性元素を分別すれば、冷却時間や地上の保管面積、地層処分量を削減できる。この結果、高レベル廃棄物は貯蔵面積が従来の100分の1、容積が3分の1になり、貯蔵期間も約300年に短縮する。

 一方、分別は今後の技術的な課題でもある。高レベル廃棄物から目的の元素だけを抽出する実証実験はこれからで、実用化時は大規模な処理施設も求められる。また、重金属から高速の中性子を効率よく発生させるための陽子照射方法の研究も必要だ。

 大井川氏は「加速器は日本の得意分野であり、その技術を応用して課題を克服し、原子力の安全利用と廃棄物処分の効率化を目指したい」と話している。
















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最終更新:2022年01月30日 20:17