+ ニュースサーチ〔米中貿易戦争〕

+ ニュースサーチ〔米中貿易〕




■ 2010年代の中国、絶頂と失速 米国の反転攻勢で貿易戦争は「無条件降伏」 「勝又壽良の経済時評(2019-12-23)」より
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2010年が中国経済屈折点
民族派に担がれた習氏の失敗
迫りくる金融連鎖倒産の危機
「敗軍の将」習氏の責任とは


あと僅かで2010年代が終わる。この10年間の世界経済の動きを見ると、中国の変化がもっとも大きかった。2010年にGDPで日本を抜いて世界2位の座についた。2012年、習近平氏が中国最高指導者に就任してからは、不動産バブルをテコにGDP成長率を下支えした。無理な経済成長を続けて米国経済を追い抜く。そういう、新たな野望を持つに至った10年である。

2010年が中国経済屈折点

実は、2010年は中国経済にとって大きな屈折点に当る。総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)比率がピークであった。中国が、日本経済を追い抜いたのは、この人口動態現象が大きな役割を果たしていたのである。

(※mono....中略)
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日本経済が、バブル経済に陥った最大の原因は円高恐怖症である。むろん、購買力平価を大幅に上回る円高は長期に耐えられるものでない。だが、戦後から1971年まで続いた1ドル=360円レートで、円は過小評価されていた。それが、円高に転じるのは経済的にも当然のことである。その認識が、日本政府も企業にも皆無であり、円高になること事態が恐怖の的であった。こうして、円高対策と称して超金融緩和に踏み切り、バブル経済を発生させた。

中国は、円高=バブル経済と誤解していた。それ故、人民元相場を上げず超金融緩和に踏み切った。結局、日中ともに超金融緩和でバブル経済に陥ったのである。日本の政策当局者が人民元高を拒否するように中国当局へ薦めたと言うから、大きな間違いを伝授したものである。貨幣量のコントロールが、バブル発生を予防するカギである。今も昔も変らない鉄則である。

(※mono....中略)
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民族派に担がれた習氏の失敗

習氏には、中国経済が危機的状況に向かっているという認識がなかった。昨年7月から始まった米中貿易戦争に対して、「売られた喧嘩は買う」とばかりに米国へ関税引上げという報復に出た。もともと、米国の要求は市場開放であり、WTO(世界貿易機関)ルールの遵守要求にあった。非は、中国側にある。中国改革派は、米中貿易戦争に反対した。習氏は、民族主義派に突き上げられたのだ。この民族派は、共産主義の優越性を信じる原理主義であり、米国経済の底力を根底から見誤っていた。


■ 米国:対中貿易戦争で使う2つの新たな爆弾について 「日本や世界や宇宙の動向(2019.9.9)」より
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米国は、対中貿易戦争で新たに2つの爆弾を投下することにしました。
1つは、中国国有原子力発電会社に対する制裁(米国の技術、部材を提供しない)ともう1つは国連専門機関の万国郵便連合(UPU)からの離脱です。その結果、中国からの航空便の料金が3倍になります。そうなると中国から安い商品を輸入しても送料が高くなるので得にはならないということです。米国は中国と徹底的に戦うつもりです。
中国はロシアとフランスとも原子力産業に於いて協力を得ていますから米国が抜けてもそれほど影響はないと言っていますが、米国のウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーの技術が欲してたまらないため、大きな打撃でしょう。ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーと言えば東芝グループの一部となっていますから、中国は東芝の原子力関連技術も盗んでいたのかもしれませんねえ。。。


先月、米国は中国の国有原子力発電会社のうちの1社をブラックリストに加えました。
米連邦公報によると、CGN中国広核集団とその子会社3社が米商務省のブラックリストに加えられました。その結果、CGNはライセンスが与えられなければ、技術や部材を米国から得ることができなくなったということです。
しかも米国はCGNに対しライセンスを与えることはしないでしょう。

(※mono....中略)
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対中貿易戦争の一環として米国は中国からの航空便の料金を300%値上げすることに関して:
昨年10月に報道された通り(以下の参考記事をご覧ください)、来月17日に米国は1年前から準備してきた通り、144年間関わってきた国連専門機関の万国郵便連合(UPU)から離脱することになりました。その結果、世界の航空便のあり方が根本的に変わるでしょう。今後、中国からの航空便(小包)の料金が300%値上げとなります。ということは関税の引き上げと同じことであり、オンラインショッピングで中国から品物を安く買っても、送料が高くなるため、結局高くつくようになるということです。

過去記事:
<米中貿易戦争、「国際郵便」にも飛び火>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36621820Y8A011C1000000/
2018年10月18日付け

(※mono....以下略)


習近平
■ 米中経済戦争の余波──習近平の権力基盤が早くも揺らぎ始めた 「Newsweek(2019年6月5日(水)18時25分)長岡義博 - 本誌編集長」より
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<トランプの「マッドマン」戦略により、中国経済だけでなく、習政権の基盤にまで亀裂が入っている。それでもトランプが執拗に中国叩きの手を緩めない本当の理由とは>

前編「浙江省で既に小工場30%が倒産──米中経済戦争の勝者がアメリカである理由」に続き、元民主活動家で独自の中国評論で知られる陳破空(チェン・ポーコン)氏が、米中貿易摩擦の共産党政治への影響や、アヘン戦争に至る清朝とイギリスの交渉と、現在の米中交渉の類似性について分析。なぜトランプがこれまでのアメリカ大統領と違い執拗に中国を追い詰めるのか、その本質について語った。

――トランプほど中国に厳しい態度を取るアメリカ大統領はいなかった。習近平(シー・チンピン)はこれを予測していたのか。

予想できなかった。だから準備できなかった。中国政府にとって多くの意外なことがあったが、第1は2016年の大統領選挙でヒラリー(・クリントン)が勝ち、トランプが当選できないと思っていたこと。2つ目の間違いはトランプがただのビジネスマンであり、巨額の米中貿易があるから結局は中国に従うだろう、と考えていたことだ。

(※mono....続き略、詳細はサイト記事で)
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――アメリカの学者の中には、今回の米中の衝突は「文明の衝突」ではない、という見方もある。

文明の衝突であり、制度の衝突であり、力量の衝突だ。「アメリカは長男、中国は二男だからアメリカは中国の台頭を許さない」という人がいる。それは副次的な問題だ。もし中国が民主国家ならそうはならない。アメリカは民主主義を核心とする世界文明の主流だが、中国共産党の文明とは一党独裁の党文化。ただしこれは中国伝統の文化とも、世界の文明とも違う奇妙な文化だ。両者のぶつかり合いが文明の衝突だ。

(※mono....続き略、詳細はサイト記事で)
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――歴史を振り返ると、アメリカは中国を一貫して重視してきた。第二次大戦で日本と戦争をしたのは、中国を日本に渡したくなかったから、とも言える。であれば、米中はいつか「手打ち」をするのではないか。

イギリスは清朝政府から香港を租借したが、土地が欲しかったわけではなく、必要としたのはあくまで商人たちの居住地だった。イギリスが清朝に求めていたのは市場。清朝に土地を求めていたのはロシアだ。アメリカも土地ではなく、開放された市場と平等な貿易を求めていた。中国のネット民にこんな笑い話がある。「中国政府は現在アメリカを敵に、ロシアを友人にしているが、失った土地は友人の手から取り戻された」と(笑)。

(※mono....続き略、詳細はサイト記事で)
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――米中の衝突は中国共産党の政局にどのような影響を与えるだろうか?
(※mono....前半略)
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習近平の権力は大きくそがれている。5月3日、習は(党内の圧力で)妥結しかけていた貿易協議を反故にした後、「将来発生する悪い結果について全て責任を持つ」と発言した。しかし、5月5日にトランプは関税を25%に上げた。政治局会議が集団議決に変わったのは、習が「責任」を取った結果だ。一方で、習は今回の集団議決への移行で肩の荷を下ろした、と見ることもできる。

習近平は多くの難題を抱えているが、これまでは取り沙汰されることのなかった後継者問題が浮上している。もし、習が20年間政権を握るなら、後継者としては胡錦濤(フー・チンタオ、前国家主席)の息子の胡海峰(フー・ハイフォン、現浙江省麗水市党委書記)が考えられた。しかし10年しかやらないとなると、その後継者は陳敏爾(チェン・ミンアル、重慶市党委書記)か陳全国(チェン・チュアンクオ、新疆ウイグル自治区党委書記)だ。

後継者問題が浮上している、ということが習の権力基盤が揺らいでいることを示している。権力が安定し、健康に問題がないならこのような話は出てこないからだ。

――米中首脳会談が行われる可能性がある大阪でのG20は両国にとって重要になる。

そうだ。しかしトランプは優勢だが、習近平はそうではない。なぜならトランプは(貿易協議で)妥結しても妥結しなくてもいいが、習近平は妥結するしか選択肢がないからだ。貿易戦争が本格化すれば、中国は耐えられない。

アメリカにとってはこれが最後の機会だ。ここで中国に勝たなければ、以後アメリカにはチャンスがなくなる。以前、中国のGDPはアメリカの4分の1だった。現在アメリカのGDPは中国の1.5倍でしかない。「やらなければ、やられる」なのだ。

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陳破空(チェン・ポーコン) Chen Pokong
1963年中国・四川省生まれ。86年に上海で起きた民主化要求運動に参加。広州市の中山大学で助教を務めていた89年、天安門事件に広州から加わり投獄。いったん釈放されたが94年に再び投獄され、96年にアメリカ亡命。コロンビア大学客員研究員などを経て、作家・テレビコメンテーターとしてニューヨークを拠点に活動している。新著に『そして幻想の中国繁栄30年が終わる――誰も知らない「天安門事件」の呪縛』(ビジネス社)。


■ 中国の安全保障を直撃するファーウェイ制裁に中国はどう対応するか 「イヴァン・ウィルのブログ(2019年5月25日)」より
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 アメリカによる中国の電子通信機器大手ファーウェイ(華為)に対する制裁について「米中貿易摩擦」の中の一つとして伝える報道も結構多いのですが、アメリカによるファーウェイ制裁は中国の安全保障を直撃しているという観点をもっと重視すべきだと私は思います(もちろん中国側は「国防の中核部分を直撃されて痛い痛い」と言うわけにはいかないので冷静に対応していますが、実際は相当に苦慮していると思います)。

 この一週間で、グーグルがファーウェイに対するスマホOS(アンドロイド)のアップデートをはじめとする各種ソフトウェアの更新を停止する旨発表しましたし、イギリスの半導体設計大手のアームがファーウェイとの取引を停止することにしたと報じられています。日本の携帯電話会社もファーウェイ製スマホの販売を停止する旨決めたようです。

 私も中国の人民解放軍の装備(誘導ミサイルや軍事作戦用の通信システム等)にどの程度ファーウェイ製のものが使われているのか、今伝えられている各国のソフトや設計や部品関連企業のファーウェイとの取引停止が人民解放軍の設備や運用にどの程度影響するのかは全く知りませんが、一般常識的に考えて「全く影響ない」とは言えないでしょう。例えコアとなる武器(誘導ミサイル等)や軍事作戦用通信設備については外国企業による取引停止は影響しないとしても、ロジスティクス(必要品の調達や運搬等)の部門まで広げればファーウェイ製のスマホやパソコン等が使われていないはずはありませんから、今回のアメリカの制裁に端を発した各外国企業のファーウェイとの取引停止は、人民解放軍の活動に相当の影響を及ぼすことが想像されます。

(※mono....中ほど略、詳細はサイト記事で)
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 こうした経緯から、中国は「日米欧韓諸国とは決定的な対立に陥ることはない」という前提の下で経済社会の基盤を整備してきたのでした。私は中国が人民解放軍を中心とする安全保障の分野でどの程度「外国に頼らないで自立的に活動できる体制」を築いてきたのかは知りませんが、少なくとも外国人が見て見える範囲の現在の中国の経済社会基盤については「日米欧韓と縁が切れたら自立できない」状態であることは明らかです(1980年代に中国関係の仕事をし北京駐在も経験している私は、北京市の電話交換機システムが日本政府の円借款と電電公社(当時)の協力で、中国最大の製鉄所である宝山製鉄所が日本政府の円借款と新日鉄(当時)をはじめとする日本の経済界の協力で整備されたことをよく覚えています)。

 「日米欧韓諸国とは決定的な対立に陥ることはない」と信じて改革開放後の国家建設を進めてきた中国において社会インフラの一つを担う企業に成長したファーウェイに対して「取引停止」のような措置を講じることは、アメリカにとって「やるぞ、やるぞという脅しには使えるが、実際には抜くことはない伝家の宝刀」だったはずです(実際に抜いたら影響が大きすぎるからです)。その「伝家の宝刀」を戦争でもないのに抜いてしまったアメリカの今回のやり方は、事態の収拾を致命的に困難にしたと思います。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 中国、「貿易戦争」習指導部は苦境に、メディア使い「愛国心強調」 「勝又壽良の経済時評(2019-05-20)」より
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米中貿易交渉が行き詰まったことから、中国が外交交渉に見せる「二刀流」を使い始めた。これまで米中貿易摩擦と呼んできたが、米中貿易戦争と改めている。国内で緊張感を煽り、米国に譲歩を迫る戦術である。

2012年、日本が尖閣諸島を国有化した際も、中国メディアは一斉に日本批判を行い、国内では暴動を誘発させるなど、日本に猛烈な圧力をかけてきた。最後は、米国による尖閣諸島が日米安全保障条約の適用地域との声明で沈静化した経緯がある。

中国は、米中貿易協議でもこの最終パターンに持ち込み始めた。先ず、中国メディアの米国批判を見ておこう。

『ブルームバーグ』(5月17日付け)は、中国 米国との協議継続に今は関心ない可能性」と題する記事を掲載した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-17/PRMQEJ6TTDS101

(※mono....中略)
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中国政府はメディアを使い、交渉の決裂を臭わせる。中国政府当局者の弁ではない。この『ブルームバーグ』の記事さえ、動揺が感じられる。中国の駆け引きのうまさはここにあるのだ。相手を動揺させて交渉決着に持ち込むのだ。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月15日付け)は、「米中貿易戦争、愛国心あおる中国国営メディア」と題する記事を掲載した。
https://diamond.jp/articles/-/202500

(※mono....中略)
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中国の「愛国心戦法」が、米国を怯ませることがあろうか。米議会は、超党派でトランプ支持に固まっている。米国が妥協する理由がないのだ。約束を破った相手に妥協する。これは、米国のルールにない。契約は守る。これが、民主主義社会の「掟」でもある。


■ 米国、「ファーウェイ排除」中国IT戦略に重大影響、トランプ「核爆発」 「勝又壽良の経済時評(2019-05-19)」より
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米商務省は16日、ファーウェイと関連会社68社について、米政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティ―リスト」への正式な追加を発表した。これは、米国が放った「中国戦略」の核爆弾に匹敵する。米国をここまで怒らせた中国の対応のまずさが浮き彫りになっている。

中国が、米中貿易戦争の原因をつくった。GDP世界2位という奢りが招いたとも言える。日本は,無謀な太平洋戦争を仕掛けたと同じ短慮が、中国を傲慢にさせたのだ。太平洋戦争直前、日本はABCDラインによって石油や鉄鋼など戦略物資の禁輸措置を受けた。理由をつくったのは日本。満州からの撤兵をせず、日本領と主張した結果である。この時の主役は、米国である。米国には、中国を追い詰めるノーハウを山ほど持っているはずだ。

中国は、脆弱な国内事情を抱えながら、対外強硬策を進めてきた。その最終コースに米国の大ナタが振るわれたと見るべきである。基礎技術のない国家が、世界覇権などという、とてつもない野望を持った。それに下された鉄槌と見るべきだろう。

『ロイター』(5月16日付け)は、「米国のファーウェイ排除、世界IT供給網に混乱必至」と題する記事を掲載した。
https://jp.reuters.com/article/huawei-supplychain-analysis-idJPKCN1SN0EY

(※mono....以下略)


★■ 「関税再発動」で対立 米中協議決着は4月以降に 「日本経済新聞(2019年3月18日 15:32)」より
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【ワシントン=河浪武史、北京=原田逸策】米中両国の貿易交渉は、3月中と見込んでいた最終合意が4月以降にずれ込みそうだ。ムニューシン米財務長官は14日、記者団に「作業が残っている。3月中の首脳会談はないだろう」と述べた。米中交渉筋によると、合意違反があれば米国が一方的に制裁関税を再発動できる「罰則条項」を巡って対立。いまの制裁関税の撤回時期でも主張にすれ違いがあるという。

中国外務省は18日、習近平(シー・ジンピン)国家主席が3月下旬、欧州3カ国を歴訪すると発表した。その前後、米国に「立ち寄る」形式で米中首脳会談を開くことも検討されたが、今回の外遊日程に組みこまれなかったことで、3月中の会談は事実上なくなった。

トランプ米大統領は14日、ホワイトハウスで記者団に「中国との交渉は順調だ。ただ、米国にとって望ましい取引でなければならない」と改めて主張した。中国の李克強(リー・クォーチャン)首相も15日の記者会見で「双方に利益があり、ウィンウィンとなる成果を望んでいる」と語った。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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中国側交渉筋は「中国景気の減速が目立っており、貿易戦争を終結させたい」と主張する。だが、中国内では「米国に譲歩しすぎだ」との不満もくすぶる。中国としては一方的に屈した印象を与えるのは避けたい。

一部の米メディアは習氏について「国賓待遇に仕切り直し、4月下旬に米国を公式訪問する」との見方を報じ始めた。米経済団体幹部も「両国は4月下旬を検討している」と明かす。ただ、2月の米朝首脳会談が物別れに終わったことで、習氏は訪米に慎重になる可能性がある。わざわざ米国まで出かけ、トランプ氏に追加関税の撤廃を拒否されれば、習氏のメンツは丸つぶれだからだ。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは16日「米中首脳会談は6月までずれ込む可能性がある」と報じた。4月でなければ、6月の大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議の際に開かれる可能性も浮上しそうだ。


ボーイング社
■ [FT]ボーイング機墜落、米中貿易協議に暗雲 「日本経済新聞(2019/3/18 11:56)」より
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米ボーイング新型機「737MAX8」の運航停止で米中貿易協議が紛糾する恐れが出てきた。中国側が目玉になるような米国製品購入拡大計画をトランプ米大統領に提示することが難しくなったからだ。

中国の航空会社とリース会社は、米国外で最大の737MAX機の注文主だ。同型機はボーイングの事業計画の主柱でもあり、全受注残のうちの8割を占める。

乗客・乗員157人全員が死亡した10日のエチオピア航空機墜落事故の後、航空当局が737MAX機の運航停止を命じたことを受けて、ボーイングは同型機の納入を停止した。2018年10月にもインドネシアのライオン航空の同型機がやはり離陸直後に墜落し、189人が死亡した。

■中国側購入リストの主要な位置占める

米中貿易協議で、中国側は6年間で1兆2000億ドル(約134兆円)分の米国製品購入拡大を打ち出しているが、737MAX機の先行きが不透明になったことで厳しい状況となった。ボーイング機は中国側の購入リストの大きな部分を占めている。その他の品目は大豆やトウモロコシ、天然ガス、原油などだ。
+ 続き
米ワシントン駐在の関係筋によると、すでに中国側は1兆2000億ドルの目標達成に難渋している。米中協議は解決の付け難い構造問題に焦点を移しているが、この目標金額を達成できないと、「悪い取引」をしたとの認識が高まり、交渉への米国の政治的な支持を失うことになりかねない。

中国は墜落事故の発生を受けてただちに同型機の運航停止に動いた。このため、同国は737MAX機の追加購入を提案しにくくなった。

元中国外交官で現在は北京のシンクタンク「中国与全球化智庫」の上級研究員を務める何偉文氏は、「むろん我々はこの機種を買うことはできない。これは貿易でなく安全性の問題だ」と言う。「ボーイングの他の機種にそうした問題はない。特に何年も運航して優れた品質が実証されているものがある。そうした機種は買えるが、受け入れる前により厳しい品質確認をすべきであることに疑問の余地はない」

トランプ氏と習近平(シー・ジンピン)中国国家主席の会談は4月に先送りされた。トランプ氏は取引を「急ぐ必要はない」としている。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は先週、最大の問題がまだ解決していないと語った。実施の仕組みや既存の関税の扱い、産業補助金に関する中国側の譲歩の範囲、知的財産について交渉が続いている。ボーイングにとっては、協議の遅れで737MAX機の改修にいくらか時間的余裕が生まれる。

米中間の取引に恩恵を見込んでいたボーイングにとって、エチオピア航空機の墜落事故は特にタイミングが悪かった。事故の数日前、同社のデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)はこう語っていた。「航空機が最終的な取引の一部分になり、貿易赤字のさらなる削減に寄与するという経済的なチャンスがあると思っている」

中国の航空会社や中国資本のリース会社は、737MAX機の受注残の約1割を占めている。

By Lucy Hornby, Xinning Liu & James Politi

(2019年3月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/


日中関係
■ 中国から日本企業への魔の誘い 「万国時事周覧(2019-03-07 15:08:35)」より
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タイでの日中協力事業 中国「一帯一路の一環」

本日3月7日の日経新聞朝刊の第一面には、スパイ容疑でアメリカから‘排除処分’を受けている中国IT大手のファウエイが、日本の電子部品メーカーに対して発注量を増やしているとの記事が掲載されておりました。

 同記事では、米企業からの供給が細っているため、サプライチェーンを維持するためにファウエイは、当面、目途に在庫の積み増す必要があったと説明しております。その一方で、こうした動きは、米中貿易戦争の長期化を見越したサプライチェーンの再構築である可能性も否定はできません(ファウエイは、2019年の計画として現在64億ドルの日本企業との取引額を80億ドルに増やす予定…)。仮に後者であれば、ファウエイからの誘いは、日本国、並びに、日本企業にとりましては魔の誘いとなりそうなのです。ファウエイの誘いに応じれば企業の受注高も増え、輸出も拡大するわけですから、経済的な観点からすれば一種の‘戦争特需’ともなり得ます。“米中貿易戦争は日本経済にとってはチャンス”とする楽観的な観測の多くは、敵対し合う米中両国の間にあって双方から代替需要を取り込む状況の到来を期待しています。

 果たして、米中貿易戦争は、楽観論者が主張するように日本国のみが‘戦争特需’を享受することを許すのでしょうか。仮にこれが許される条件が存在するとしますと、日本国が中立国であるか、あるいは、政治と経済が完全に分離された状態にある必要があります。しかしながら、日本国がこうした条件を満たしているのかと申しますと、そうではないようです。
(※mono....中略)
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先ずもって日本国はアメリカの軍事同盟国であり、中立国ではありません。米中貿易戦争は、既に通商上の貿易不均衡問題の次元を越えており、ファウエイ排除とは、まさに米中対立の政治化を象徴する事件でもありました。仮にトランプ政権が経済合理性に徹していたのであれば、‘安価で高品質の製品’を提供するファウエイを排除するという決断はあり得なかったはずです。情報漏洩という安全保障上の重大な懸念があったからこそ、ファウエイ製品はG5の政府調達から締め出されたのであり、同盟国が中国を‘仮想敵国’と見なした以上、同盟国である日本国もまた、有事に至らない段階にあっても中立を主張できず、法的義務はなくとも道義上の対米協力義務が生じるのです。
(※mono....中略)
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 日本国政府は、‘民間企業の経営判断に任せる’として、‘逃げ’の態度で対応するのでしょうが、その影響は日米同盟にまで及びますので、‘我、関せず’では、あまりにも無責任なように思えます。あるいは、敢えて積極的に対応しないことで、中国陣営入りを目指しているのでしょうか。
(※mono....中略)
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国際社会において中国に対する逆風が強まる中、仮に日本国政府が中国に靡くとしますと、ナチス・ドイツと三国同盟を締結した戦前と同じく、安倍政権は、日米同盟を御破算にして国民監視体制を敷く邪悪な独裁国家と手を結んだ過去の歴史が思い起こされます。日本国民の誰もがこうした悲劇的な展開は望んではいないはずです。中国からの魔の誘いには先の先を予測し、手遅れとならぬよう傷が浅いうちに意を決して断る勇気が必要なように思えるのです。



■ 中国、「降伏」米中貿易戦争は3月下旬の首脳会談で決着「譲歩」 「勝又壽良の経済時評(2019.3.5)」より
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米中貿易戦争が始って約1年経つ。米国の要求が、ほぼ100%実現する形で決着する見通しが強まった。『ウォール・ストリート・ジャーナル』が報じた。



習近平氏は緒戦、「受けて立つ」と大向こうを唸らせるような見栄を張ったが、結末は全面敗北である。非が中国にある以上、この貿易戦争は長引けば、長引くほど中国が不利になるものだった。中国の民営企業家は、「トランプの言い分が正しい。トランプと友人になれる」と発言するほどだった。習氏の国営企業中心主義が、いかに間違っているかを証明するような話である。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月4日付け)は、「米中貿易協議、最終段階入り、3月下旬に正式合意もー関係者」と題する記事を掲載した。
https://jp.wsj.com/articles/SB10905485610916124090804585158772174043854

米中貿易協議は合意に向けた両政府の話し合いが最終段階に入っている。中国側は関税の引き下げに加え、米国から輸入する農産物や自動車製品などへの規制を緩和する方向。米国は昨年発動した中国製品への関税の多くを撤廃することを検討している。

にわかに信じられないような内容である。中国経済の現状が、いかに深刻であるかを間接的に物語っている。これが実現すれば、中国では民族派が大きく後退し、経済改革派が実権を取り戻せるのかもしれない。そういう意味で、今回の米中貿易戦争が持つ意味は極めて大きいであろう。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 中国、「貿易戦争」ハト派が米国の対中要求に賛成する「理由?」 「勝又壽良の経済時評(2019-02-12)」より
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トランプ大統領は7日、中国との通商協議の期限である3月1日までに習近平国家主席と会談する計画はないことを確認した。トランプ氏の側近は、争点である知的財産権の問題で両国の間に依然隔たりがある現段階で会談に応じれば、早期の合意に対する根拠のない期待が高まる恐れがあることに懸念を示したという。『ロイター』が伝えた。



貿易戦争の焦点は、最終的に知的財産権問題であることが判明した。中国による技術窃取、産業スパイ、技術の強制移転の禁止問題が難航している。考えて見れば不思議な話だ。中国が、米国の技術窃取しないことを約束し、それを検証する方法について合意すれば済むのだ。中国が合意を渋るのは、引き続き「泥棒させろ」と言っているに等しい。

中国のハト派=経済改革派は、米国の要求について理解する姿勢を取っている。これまで、こうした意見は表面化しなかったが、それなりの支持を得ているのであろう。その理由を紹介したい。

在日中国人エコノミストの関志雄氏は、「なぜ米国が中国に貿易戦争を仕掛けたか」(2018年10月19日 独立行政法人 経済産業研究所)の中で、ハト派の立場を次のように紹介している。



ハト派は、中国が現在の実力では、貿易戦争において、米国に勝てないと判断しており、米国の要求を受け入れることをテコに、改革開放を加速させるべきだと主張している。上海財経大学の余智教授の見解が代表的である(余智「中国は貿易戦争の拡大を防ぐべき」『聯合早報』、2018年7月26日)。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 追い詰められる被告席の中国、冷戦回避に躍起の理由は何か 「勝又壽良の経済時評(2019-01-07 05:00:00)」より
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天安門事件と現在の景況一致
米も株価変動で影響出始める
中国を排除する米の強い決意
米中冷戦で中国は世界の孤児

中国政府は、米中貿易戦争による国内景気の停滞感増幅に悩まされています。不動産バブルの後遺症である家計債務の増加が、個人消費を抑制し始めているのです。住宅ローンは、その性格上支払期間は20~30年にも及びます。



その間は、個人消費の足を引っ張ることは致し方ありません。結局、不動産バブルをテコとして発展してきた中国経済は、需要の先取りであったに過ぎないのです。日本経済が、「失われた20年」と揶揄された事情と、中国は瓜二つの状況に追い込まれました。



中国には、日本と違い潜在的な社会不安を抱えています。人権弾圧と言論の自由を奪っている結果いつ、その不満が噴き出すか分りません。昨年から中国の名門大学とされる北京大学の卒業生や学生が、頻発する労組のストライキを支援して立ち上がっています。当局は必死に取締へ動くという「いたちごっこ」を続けています。

天安門事件と現在の景況一致
(※mono....中略)
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現在の中国経済は、急減速状態に陥っています。その点では、天安門事件当時を彷彿とさせるほど、社会不安が充満しています。昨年12月29日、中国の知識人100人が改革開放40周年についてのコメントをインターネットで発表しました。具体的には、「中国公共知識分子100人が改革開放40周年についてのコメント」と題する記事でしたが、中国当局は直ちに、記事を削除しました。次のような内容です。

1. 改革開放が一部の人の不正蓄財の手段になった。
2. 言論の自由のない改革開放は偽りの改革である。

(※mono....中略)
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厳しい言論弾圧が行なわれ、「国家反逆罪」に問われかねない政治状況で、あえて抗議の声を上げるほど緊張状態に置かれています。中国政府は、こういう事態の中で、米中貿易戦争が未解決で3月以降、関税第3弾が発動されたら経済・社会の両面で危機を迎えます。絶対に妥結しなければならない状況に追い込まれたのです。米トランプ大統領は「彼らは合意を望んでいると思うし、合意しなければならないはずだ」(『ロイター』1月5日付)と語りました。この一言こそ、中国の置かれている苦境を明確に示しています。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


★■ 【社説】iPhoneが鳴らす世界経済への警鐘 「WSJ(2019 年 1 月 4 日 15:35 JST)」より


■ トランプ大統領が仕掛けた米中貿易戦争米国の旗色が悪い 「プレス・ポリティカ(2018年12月11日)」より
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米国商務省が12月6日に発表した2018年10月の【貿易収支統計】によると、10月の財とサービスを合わせた【貿易赤字は10年ぶりの高水準で、1-10月の累計は前年同期比で11%余り拡大した。10月は対中国で過去最大の赤字を記録。米商務省の統計によると、1-10月の米国の対中輸出額は1025億ドルで、前年同期に比べ約10億ドル減少した。これに対し、中国からの輸入額は約350億ドル増の4470億ドルだった。1~10月の米国の対中国貿易赤字額は3445億ドルである。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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貿易赤字は輸入金額が輸出金額を上回っている状態を指す。トランプ政権が中国に対して制裁関税を課したことによって中国は大豆の輸入先を米国からブラジルやアルゼンチンに変更した。輸入先変更によって米国の大豆輸出は激減した。輸入が増え、輸出が減れば【貿易赤字】が拡大するのは自明の理である。
トランプ大統領の関税政策は失敗し、米中貿易戦争は現時点では米国は旗色が悪い。


日米中関係
■ 中国、「豹変」米国との協議に応じる背景に安倍首相の「助言」 「勝又壽良の経済時評(2018-12-07 05:00:00)」より
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12月1日の米中首脳会談以降、中国政府は会談について詳細な発表をしなかったが、5日になって初めて商務省が発表した。会談は成功し、実現に向けた準備をはじめるという内容である。

詳細発表まで5日間も費やしたのは、中国側が事前の想定内容と異なる会談結果になったので、国内での摺り合わせが行なわれていたのだろう。となると、今回の合意事項は米国側が提出し、習近平氏の単独意思で受入れたものと見られる。習氏が、事前に何も知らされていないわけでなく、安倍首相からも合意を勧められていたことが判明した。この点については後で取り上げる。

(※mono....中略)
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安倍首相が習近平氏に米へ歩み寄り薦める

安倍首相が10月に中国を訪問した際、習近平国家主席に米中貿易摩擦に関連して助言をしたという報道が出てきた。香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)が6日、情報筋を引用して報道したもの。韓国紙『中央日報』が転載した。

『中央日報』(12月6日付)は、「安倍首相、米中貿易摩擦で習近平主席に助言」と題する記事を掲載した。

(4)「香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)が6日、情報筋を引用して報道した内容によると、先月末にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議を控えて、習近平主席は安倍首相に助言を求めた。これに対し安倍首相は、トランプ米大統領が習主席を尊重しているという点を想起させ、トランプ大統領と直接会って対話をするのがよいと述べた。安倍首相は、中国政府の国有企業支援や中国に投資した外国企業の知識財産権保護に関する問題も指摘した。そして、習主席に市場開放を拡大することを助言したという」

日本の報道では、先の安倍訪中の際の夕食会で、両首脳は隣同士に座った。習氏から米中会談の助言を求められた安倍首相は、「お互いによく話合って」という所までは報道されたが、その先の話はなかった。実際は、かなり突っ込んだ話し合いがされていたのだろう。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


★■ 60億ドルの半導体工場、立ち往生-中国の野心にトランプ政権が待った 「Bloomberg(2018年11月26日 12:22 JST)」より
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トランプ米大統領によるテクノロジー輸出規制強化の影響が、中国南東部の海沿いに位置する福建省晋江市で如実に表れている。

 国産技術でテクノロジー大国になるとの中国の目標に沿って、福建省晋華集成電路(JHICC)は60億ドル(約6790億円)規模の半導体工場を建設。だがトランプ政権が同工場への輸出を禁止したことで、米サプライヤー企業から派遣されていたコンサルタントは去り、工場は静まりかえっている。同社の夢は引き裂かれ、そこで働く人々は戸惑うばかりだ。

 1カ月足らず前、JHICCは地元当局からの財政支援を受けたこのプロジェクトを全速力で進めていた。ウエハー換算で月6万枚程度の本格生産開始までの期限が数カ月以内に迫っていたためだ。同事業はスマートフォンに使われる半導体メモリー生産で中国を競争力のある生産国とするための重要なステップだ。

 だが米国では司法省が米国製テクノロジーをJHICCが盗んだと主張し、商務省は同社が必要としている半導体製造装置の購入に対して扉を閉ざした。欧米のサプライヤー各社が晋江市を素通りするようになり、拡張工事は中断した。

  JHICCは習近平国家主席から半導体製造で未来の国内3大王者の1社だとたたえられたが、今は不確実性が覆うばかりだ。「次どうなるか確かなことは誰にも分からない。地元の当局者でさえそうだ。われわれを今救うことができるのは習主席とトランプ大統領だけだ」とエンジニアの1人がブルームバーグ・ニュースに匿名を条件に打ち明けた。

JHICCは電子メールでのコメント要請に応じなかった。電話取材を試みたが、同社のウェブサイトを参照するよう求められた。


■ 中国の‘消費大国化’はアメリカ抜きのグローバル戦略か? 「万国時事周覧(2018-11-26 15:13:39)」より
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米中貿易摩擦の最大要因は、中国が巨額の貿易黒字をため込む一方で、アメリカが貿易赤字に苦しむという貿易収支の不均衡にあります。このため、アメリカは、中国製品に対する関税率を引き上げるなど、立て続けに中国の貿易黒字削減に向けた措置を強化しておりますが、中国側も、貿易不均衡の批判を躱すために、自らの市場を開放し、輸入を拡大する方針を内外に表明するに至っています。

 その具体的な現れの一つは、11月5日から11日にかけて上海で開催された「第1回中国国際輸入博覧会」です。第1回という数字が示すように、中国にとりましては初の試みであり、この博覧会について、在日中国人コミュニティーの情報誌である『東方新報』は、(1)輸出型から消費型への転換、(2)閉鎖型から開放型への移行、そして、(3)中国によるグローバル化の推進の三つのシグナルが込められていると分析しています(11月22日付のダイアモンド・オンラインに掲載)。このシグナルからしますと、技術力に優る日本企業に商機も勝機もあるとする論調なのですが、果たして、この方針は、米中貿易摩擦を解消し、かつ、『東方新報』が予測するように日本企業にとりましてチャンスとなるのでしょうか。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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 結局のところ、中国の消費大国化は、必ずしも輸入増加に繋がるとは限らず、むしろ、アメリカから断念を求められている「中国製造2025」を、アメリカなしで実現するための戦略なのかもしれません。『東方新報』は、中国側が特に輸入品として関心を示したのは食品・農業分野であった伝えており、工業製品では決してないのです。日本国政府は、同盟国であるアメリカとの関係を重視すると共に、中国の一帯一路構想とも結びついた自国中心の長期戦略を見抜くべきではないでしょうか(伝統的な中華思想から脱却できない中国こそ、‘自国ファースト’の権化…)。そして、日本企業も、中国の戦略に利用されぬよう、ここは、慎重に構えるべきではないかと思うのです。


■ 米国、「対中包囲」先端技術輸出規制と通信機不使用を同盟国へ要請 「勝又壽良の経済時評(2018-11-24 05:00:00)」より
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米国は、世界の安全保障を確立する目的で、中国を封じ込める戦略を打ち出した。一つは、米国から14種のハイテク技術の中国輸出規制案。もう一つは、中国ファーウェイ(華為技術)の通信機を米国の同盟国が使用しないように要請したことである。中国の飽くなきスパイ行為から米国と同盟国を守る目的である。

歴史は繰り返すというが、朝鮮戦争勃発を期に1952年、米国は対中国への輸出規制である「チンコム」(CHINCOM)を制度化した。今回のハイテク製品輸出規制案は、先ず、米国内での意見徴収という手続きを踏むが、チンコム復活となろう。

(※mono....中略)
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ファーウェイ製品のスパイ行為の疑いについては、古くて新しい問題である。ファーウェイは否定してきたが、疑いは晴れていない。中国政府の「スパイ体質」から見れば、あり得ない話でない。ましてや、世界覇権を狙うと広言した中国である。そのためには手段を選ばない情報・技術の窃取に出るのは当然であろう。

米国がここまで神経を使っているのは、次世代ネットワークの「5G」で、ファーウェイ製品を導入した場合、安全保障上の危険が計り知れないという危惧があるからだ。

(3)「WSJによると、米政府は中国製通信機器の使用を停止する国に対し通信インフラ整備の資金支援を拡大することを検討している。日本やドイツ、イタリアなど米軍が基地を置く国での中国製通信機器の使用が米政府の懸念の1つになっているという。米商務省の報道官は、米国の安全保障に対する脅威に引き続き警戒するとの声明を発表した」

米政府は、「中国製通信機器の使用を停止する国に対し通信インフラ整備の資金支援を拡大することを検討している」という。ファーウェイ製品を撤去する場合、その資金援助までするというフォローもするのだ。米国政府は、ここまで腹をくくって、中国封じ込め策に動き出している。


■ 米国、「圧倒的優位」ペンス氏が習氏へ無条件降伏迫る事態へ 「勝又壽良の経済時評(2018-11-20 05:00:00)」より
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米副大統領が習氏に「引導渡す」

7~9月期企業利益が失速状態へ


ペンス米副大統領は、11月18日にパプアニューギニアで閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と2回会話を交わした。その際、「中国は変わらなければならない」と伝えられていたという。

米国トランプ大統領は、今回のAPEC首脳会談に出席しなかったことから、習近平氏の「一人舞台」というマスコミ報道があった。だが、ペンス副大統領の歯に衣着せぬ「中国批判」によって、トランプ氏がわざと欠席したことが分る。11月末にはG20で米中首脳会談がある以上、ペンス氏による痛烈な中国批判で中国の妥協を引き出す高等戦術であろう。そう理解すれば、すべて納得いくのだ。

(※mono....中ほど大幅に略、詳細はサイト記事で)
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中国企業は7~9月期において、すでに混乱状態に入っている。10月以降、米国の関税第3弾の影響が本格化する中で、混乱はさらに拡大する。企業利益は、マイナスへ落込むはずだ。{中国企業は、すでに貿易戦争を継続できる体力を失っている。
}

■ 貿易戦争で窮地の中国、金融逼迫化で極度の混乱状態へ 「勝又壽良の経済時評(2018-11-19 05:00:00)」より
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 ・米の関税第3弾で経済ぐらつく
 ・金融面に現れた衝撃度の大きさ
 ・日本も同じ苦難の道辿ってきた
 ・習近平氏の責任問題に発展?!


中国は、米中貿易戦争による影響で、国内経済が極度の混乱状態に陥っています。米国による関税引き上げ第3弾の2000億ドルが、9月24日から適用されました。これによって、国内景況感は一気に冷え込んでいます。中国政府は、暗い経済ニュースの報道を禁じているほどで、国内が動揺する生々しい情報は遮断されています。

中国の貿易状況を見ますと、今年に入って純輸出(輸出-輸入)がGDP成長率にマイナス寄与、つまりGDPの足を引っ張っています。昨年は、この純輸出がGDPを0.6%ポイント押し上げました。今年は1~9月まで-0.7%ポイントで、逆にGDPを押し下げています。

理由は、輸出の付加価値率が低いことです。加工型貿易の限界を見せつけています。そこで、「中国製造2025」によって産業構造を高度化したいという事情は分ります。だが、先進国の技術窃取や政府の補助金で高度化を実現したい。これは、WTO(世界貿易機関)のルール違反に当たります。許されないことです。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 日本企業、中国から総撤退も 米中貿易戦争激化で外資系が生産拠点切り替えか 「中国は勝ち目のない戦争に突入」 「zakzak(2018.9.20)」より
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 米中貿易戦争で、トランプ大統領は中国経済の息の根を止めようとしているのか。制裁関税第3弾の発動を正式に決めたが、中国側が報復すれば残りの全輸入品にも25%の追加関税を課すとあらためてぶち上げた。対中制裁に関しては有言実行のトランプ氏だけに、今回も脅しでは済むとは思えない。日本など外資系企業が生産拠点を移すなど「脱・中国」の動きは止まらず、習近平政権の地盤が大きく崩れつつある。

 トランプ氏は中国にまたも先手を打った。2000億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入品に追加関税を課す制裁第3弾を24日に発動すると発表したばかりだが、中国がこれに報復した場合、中国からの残りの輸入品全てに25%の追加関税を課すと表明した。

 中国政府は600億ドル相当の報復関税を発表したが、すっかり封じ込められた形だ。

 「米国の農家や労働者らに対し報復が取られるなら、残りの分に課税を始めるだろう。税率は25%だ。したくはないが、他に選択肢がない」と述べるトランプ氏。「いつかの時点で取引するかもしれない」と中国との貿易協議にも期待を示すが、米国側から折れる気配は全くない。

 中国側の打つ手は限られている。米国の中国からの輸入額は5000億ドル強にのぼるが、逆に中国の米国からの輸入額は約1300億ドルにとどまり、全ての米製品を報復対象にしても、金額面で同等の制裁を加えることは不可能だ。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 米国、「貿易戦争」中国のWTO違反を突いて「長期戦の構え」 「勝又壽良の経済時評(2018-09-20 05:00:0)」より
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自己過信が過ぎる中国
世界覇権狙い許さない

中国が、GDPで日本を抜き世界2位の座についたのは2010年である。あれから8年経た現在、習近平氏という国粋主義者がリーダーとなって、米国と全面的貿易戦争に突入する構えを見せている。中国は、経済的な合理計算を捨てており、民族主義を掲げて米国と戦う決意のように見える。

中国は、昨年秋の党大会で2050年をメドに、米国覇権へ挑戦する姿勢まで見せている。1978年の改革開放以来40年間、怒濤の経済成長を続けてきた。いよいよ、世界覇権へとホップ・ステップ・アンド・ジャンプの三段飛びを目指すというのだ。こういう強行軍で進軍を続け、米国覇権へ挑戦したいという背景に、実は日本の明治維新がモデルとして存在する。

日本は1868年の明治維新以降、1894年の日清戦争、1904年の日露戦争を経て世界列強の座を掴んだ。そして、1941年の太平洋戦争で全てを失うが、中国は、日本が短時日のうちに「世界の強国」へ上り詰めた背後を研究した結果、軍備増強があったと結論づけている。中国も日本同様に、軍事力をテコに米国覇権へ挑戦する計画をまとめたもの。習氏は、昨年の国内会議で「米国衰退・中国発展」が、歴史の法則とまで訓示し鼓舞しているのだ。

中国は、米中の基礎的な能力を冷静に把握することなく、「中国製造2025」を手がかりにしていけば、米国と対抗できると信じている様子だ。しかし、他国の技術を窃取するという極めて大雑把な計画である。半導体を例にとれば大半の研究者を海外から引き抜くという荒っぽい計画である。基礎技術まで他国の技術者に依存した、急ごしらえの技術開発計画である。この程度の粗雑なプランが成功して、世界覇権を手に入れるという発想法自体が、余りにも陳腐に見える。そこまでやって世界覇権へ挑戦しても、中国を真に支援する国家があるだろうか。中国の同盟国が存在しなければ、世界覇権を握ることは不可能であるからだ。

自己過信が過ぎる中国

『フィナンシャル・タイムズ』(9月14日付)は、「中国が強国となった2008年」と題する記事を掲載した。

(※mono....中ほど、上記引用記事を含んで略)
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中国にとって不利なのは、米国の経済が絶好調であるのに対して、中国は減速過程にあることだ。双方が、すでに関税引き上げで応酬している。米国にも被害は及ぶが、中国のほうが景気にマイナスになることは不可避である。中国は、どこまでその被害に耐えられるかである。

それだけではない。米中双方が、政治的に妥協しにくい面があることだ。トランプ氏には大統領再選問題がある。習近平氏には、無期限国家主席の座が目前にあるだけに、徹底的に対抗せざるをえない事情がある。

政治的な背景を含めた、米中貿易戦争についての記事が報じられたので紹介したい

世界覇権狙い許さない

『フィナンシャル・タイムズ』(9月11日付)は、「米中全面貿易戦争の理由」と題する記事を掲載した。

(※mono....上記記事より以下に引用)
 トランプ米大統領は今年3月上旬、「貿易戦争、上等じゃないか。簡単に勝てるぞ」と軽くツイートした。これは歴史に残る発言になるかもしれない。ちょうど、(経済的な話ではないが)第1次世界大戦開戦直後の1914年8月に、英国では、戦争は「クリスマスまでにすっかり終わっているだろう」と予測されたことが今も語り草になっているのと同じように、だ。

 トランプ氏は6月以降、中国からの輸入品の500億ドル(約5兆6000億円)分に関税をかけた。しかし、迅速な「勝利」は得られず、逆に中国から報復関税をかけられた。現在トランプ氏は、さらに2000億ドル分の中国製品に対する追加関税を準備しているが、発動すれば再び中国から報復を受ける可能性は高い。

 つまり、世界は今、米中の大規模な貿易戦争が勃発する危機にあり、しかもこの貿易戦争が短期間で終結する可能性は低そうだ。

 これまで世界の市場は、こうした状況に対し、なぜか楽観的だった。両国が土壇場で妥協すると思い込んでいたのかもしれない。だが、その見方はあまりに甘い。それどころか米中両国には、今後も対立を続けざるを得ない政治的、経済的、戦略的な理由がそれぞれに存在する。

+ 続き
 両国が互いに脅している通りに関税をかけ合っていくと、近いうちに米中間の貿易の半分以上が関税の対象となる。トランプ氏は、さらなる追加関税をにおわせており、それが発動されると事実上、中国からの全ての輸入品に制裁関税がかかることになる。

 米国の大手企業や主要産物はすでに貿易戦争の影響を受けつつある。米アップルは9月5日、トランプ氏が2000億ドル分の追加関税を実施したら、同社製品のコスト増は避けられないと警告を発した。これに対しトランプ氏は、「アップルは米国で生産すればよい」とツイッターで応じた。

 米国の大豆農家も、中国が大豆に報復関税をかけたため打撃を被っているが、こうした農家に対して米政府は、補助金を出すとともに米国への愛国心に訴えかけている。

 トランプ氏にも中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席にも、国内の政治的要因から、この戦いについては簡単に引き下がれない事情がある。トランプ氏は象徴的な勝利に満足する可能性があるが、習氏にとって、象徴的な敗北を期すわけにはいかない。中国の国民は、19世紀に清朝が貿易問題で英国に譲歩を強要された時から「屈辱の世紀」が始まったと教えられてきた。そのような屈辱を二度と繰り返さないために、習氏は「中華民族の偉大なる復興」を約束しているからだ。

 トランプ政権も、交渉相手が中国となると、たとえ米国製品の輸入を増やすことや、中国での合弁事業を巡る規則緩和を中国が約束するといった多少の譲歩をみせても、妥協するとは考えにくい。というのも特にライトハイザー通商代表部(USTR)代表や通商政策を担うナバロ大統領補佐官など、トランプ政権の中枢にいる保護主義者たちは、中国こそが米国の貿易問題の核心だとかねて考えているからだ。

 楽観論者たちは、トランプ氏がメキシコや欧州連合(EU)に対し発していた貿易問題を巡る過激な脅しを、恐らく一時的ではあるものの、引っ込めたのを根拠に事態をさほど深刻にみていないのだろう。メキシコは米国と自動車向けの供給網の見直しを約束し、EUは米国産の大豆と天然ガスの輸入を増やし、米国との自由貿易協定の再交渉を始めることを約束して、事態は一応、沈静化している。



 しかし、中国に対する米国の不満は、EUやメキシコに対する懸念とは比べものにならない。中国については、政府の保護下にある特定の産業だけでなく、中国経済全体の構造に問題があると考えている。

 米国は特に、自動運転車や人工知能(AI)など、未来の産業をリードするような世界トップクラスの企業を産業政策的に育成していくという中国の計画に反対している。だが、中国政府が掲げる産業の高度化計画「中国製造2025」について、米国が求めるような変更に応じることは、中国政府が中国の産業との関係を根本から見直すことを意味する。そのことは経済面だけでなく政治面でも大きな変更を迫ることになる。

 中国政府から見れば、米国の要求は、中国が将来有望になる産業を発展させることを妨害し、それにより米国が世界経済で最も利益を生み出す産業において支配力を維持し、かつ最も戦略的に重要な技術の分野での米国の支配を維持しようとしているように映る。中国政府が、自国の野心に対するそのような制限を受け入れる可能性はまずない。

 未来技術を巡る米中の競争は、両国間の貿易上の対立に戦略的側面があるという事実を浮き彫りにしている。トランプ政権とメキシコやカナダとの対立、もちろんEUとの対立において、こうした側面は一切ない。

 中国は、21世紀の支配的大国として米国に対抗しうる唯一の国だ。米国の貿易関税発動は、トランプ氏個人の独特のものの見方であり、長年抱いてきた保護主義的な発想の表れではあるが、米国民の感情が全体的に変質してきていることも背景にある。



 トランプ政権のみならず、米国のエスタブリッシュメントの多くも、台頭する中国に対処するには、経済的関係を深めるのが最良だとするこれまでの考え方では駄目だと考え始めている。代わりに、対決姿勢を望む声が広がりつつある。米民主党の有力者たちでさえ、最近はトランプ氏と同様に中国に対する関税と制裁を発動すべきだと主張するようになっている。

 米中はともに、最終的には自国が勝てると信じているように見えるだけに、貿易を巡る両国の対立は危険度を増している。米国側は、中国は対米貿易で大幅な黒字を出している分、中国の方が貿易戦争で被る損害は大きく、先に折れるに違いないと考えている。一方、中国側は、混乱を極めつつあるワシントンの政治の行方や、トランプ氏の追加関税措置による米国内の物価上昇に有権者たちがどう反応するのかを注視している。

 米中のどちらも根比べをする気でいるだけにこの貿易戦争はクリスマスまでに終わることはなさそうだ。

(11日付)


■ 中国、「奈落の底」習氏は米と徹底抗戦を決意「経済減速は加速」 「勝又壽良の経済時評(2018-07-02 05:00:00)」より
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貿易摩擦が貿易戦争へ転化

急速に国力消耗の危険段階



「新たに、『勝又壽良のワールドビュー』を開設します」
http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/

「やっぱり」と言うべきか。習氏の「終身国家主席」就任が仇となりそうである。米中貿易摩擦問題は、中国の技術窃取に端を発しているにも関わらず、習氏は微塵の反省の色も見せず、「徹底抗戦」を決めたようだ。こうして、「米中貿易戦争」になる気配である。中国は最悪の選択をしたようだ。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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(1)「中国の習近平国家主席は、トランプ米政権との貿易摩擦が激化する中、なりふり構わず反撃する覚悟を決めたもようだ。関係筋が明らかにした。米中の対立がさらに激しさを増し、互いに大きな傷を負う可能性が高まっている。ドナルド・トランプ米大統領が先週、中国製品に対する懲罰的な関税を引き上げる計画を表明すると、習主席は6月21日、欧米を中心とする多国籍企業20社の首脳に対し、中国政府として反撃する考えであることを伝えた。習主席は『欧米では左のほほを殴られたら右のほほを差し出せ、との考えがある』とした上で、『殴り返すのがわれわれの文化だ』と語ったという」

習氏は、米国を「殴り倒す」と宣言している。これは、中国経済「自滅」の道につながるだろう。米国は覇権国家である。覇権とは、経済力・軍事力・市場の包含性などの総合国力が世界一という意味だ。FRB(米連邦準備制度理事会)は、世界の中央銀行の頂点に立つ。それは、中国の金融取引も全て把握していることだ。中国が、米国の逆鱗に触れることをすれば、金融取引で遮断される。トラの尾を踏むリスクを知っているだろうか。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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急速に国力消耗の危険段階

『ブルームバーグ』(6月28日付)は、「中国経済、さらに減速ー米中貿易摩擦や債務抑制策が足かせに」と題する記事を掲載した。

(7)「中国経済は6月に一段と減速したようだ。米国による関税賦課が近づく中で、世界2位の経済大国の脆弱ぶりが浮き彫りになっている。ブルームバーグ・エコノミクスのフィールディング・チェン氏は、複数のデータを一つの指標にまとめ、与信の伸びの急速な鈍化が中国経済の重石になっている可能性を指摘。金融システム健全化に向けた政府の取り組みに伴う与信伸び悩みの影響に加え、米国との貿易摩擦の深刻化で、規模が比較的小さい企業や株式・不動産投資家の心理に影響が出ている」

中国経済が、苦境に立たされている証拠はマネーサプライ(M2)の伸び率が急速に鈍化していることに現れている。この点は、私が一貫して指摘し続けてきたことだ。M2は、今年の1月~2月は8.6~8.8%の増加率である。それが、3~5月は8.2~8.3%へと鈍化している。前年同期は10%前後であったので、約2%ポイントもの鈍化である。これは、銀行が貸出回収に困難を予測して、貸出ない結果である。今年に入って、金融情勢は急速に悪化している。

(※mono....以下略)


★■ 〔Market Views〕勝者なき「Lose-Lose」の貿易戦争、市場は世界経済悪化を警戒 「ロイター(2018年3月23日 / 14:01 )」より
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[東京 23日 ロイター] - 金融市場に不安が広がっている。2月の相場急変を比較的短期間で乗り切ったのは、堅調な世界経済のおかげだが、貿易戦争は景気に大きな悪影響をもたらしかねない。対象国からの輸出が減ったとしても、米国も安い輸入品が使えなくなる。リスク回避のドル安が進めば、インフレを抑えるために米利上げペースが速まる可能性がある。米国も例外ではない世界同時株安は勝者なき「Lose-Lose」経済への市場の警戒感を示している。

市場関係者の見方は以下の通り。

●米国発の貿易戦争、需要減・円高での下振れ警戒

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長 藤戸則弘氏>

米国と中国の貿易摩擦が、貿易戦争にステップアップしようとしている。国内総生産(GDP)で世界1位と2位の大国間の軋轢(あつれき)は、世界経済に影響せざるを得ない。資源小国の日本の経済は、自由貿易を前提に成り立っているため、その影響はとりわけ大きくなりそうだ。

今年度決算で最高益となる見込みの企業の多くが、中国で利益を稼いでいる。米国の高関税によって中国経済が停滞すれば、電子部品、工作機械、建機など、広範な銘柄に影響が及ぶ可能性がある。貿易問題は円高に作用しやすい。さらに円高になれば企業業績の前提レートも円高方向に修正され、外需企業には下振れ要因となる。

ポンペオ米国務長官、ボルトン安保担当大統領補佐官という外交面でのタカ派人事が伝わっており、地政学リスクへの警戒感が高まる可能性もある。

米国の通商政策に振らされる状況は、しばらく続きそうだ。トランプ大統領は秋の中間選挙を意識しており、旗を降ろすとは考えにくい。今は中国やメキシコがターゲットになっているが、いつ日本に矛先が向いてもおかしくない。鉄鋼、アルミへの高関税発動を前に欧州連合(EU)や韓国が適用を除外されたのに、日本は除外されていない。

今後は、日本政府の米国への働きかけが重要だ。高関税から適用を除外されるようになれば、相場にも落ち着きが出てくる。来期の下振れを織り込んでも、日本株のバリュエーションは安い。日経平均の2万円割れは売られ過ぎと言えるため、現時点では想定しなくていいだろう。相場の落ち着きとともに中長期資金が流入してくれば、5月の大型連休にかけて2万3000円付近へのリバウンドもあり得る。

●報復の応酬に身構え、世界経済鈍化シナリオ警戒

<岡三アセットマネジメント シニアストラテジスト 前野達志氏>

報復が報復を呼ぶ貿易戦争に近づいた。米国企業を含め、製造業の世界的なサプライチェーンが寸断されてしまうシナリオが現実に近づいた。今後は中国が米国からの輸入品に何らかの制限をかけることが考えられる。これを受け、トランプ米大統領がさらに関税を課す範囲を広げる話になるかもしれない。世界の株式市場は身構え始めている。

もっとも、日本からの鉄鋼・アルミの米国輸出はそれほど大きい訳ではない。鉄鋼で25%、アルミニウムで10%の追加関税を課すという232条に関する日本企業への直接的な影響はそこまで大きなものではない。日本は高性能品を手掛けているため、(関税を猶予する対象国から)除外されたのだろう。

とはいえ、世界経済が鈍化すれば日本企業の業績にも悪影響が出る。米国においても、保護主義的な政策によりインフレが加速することで、利上げペースが速まる可能性も高まる。

まずは中国の出方を注視する必要がある。報復関税の動きが警戒されるが、中国も本格的な貿易戦争は望んでいないはずだ。中国側が輸出の自主規制を模索し、それが現実のものになれば、徐々に株価は戻していく。この方向に行くのであれば、足元の日本株の水準は買い場だが、この先どう転ぶかは見通しにくい。

米国のドル安政策も根底的なものとして意識せざるを得ない。為替が1ドル103円、100円まで円高が進む可能性も十分に考えられる。最悪の場合、日銀の金融政策も円安政策と指摘され、米国側からの圧力で修正を余儀なくされるといった話が出てくるかもしれない。

足元の日本株に対しては日銀のETF(上場投信)買いの効果なども見込まれる。今後3カ月の日経平均の予想レンジとしては2万円から2万3000円とみている。

●ドル短期的に104円が下値めど、落ち着けば米景気に目線回帰

<三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子氏>

+ 続き
米連邦準備理事会(FRB)は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げし、来年、再来年の利上げペースも加速が予想されていた。通過後にドルが売られたのは「FOMCが思ったほどタカ派的でなかったからだ」との解説もあったが、違和感を感じていた。振り返ってみると結果的に米国の通商問題に対する警戒感の方が強かったということなのだろう。

米国と中国の「貿易戦争」懸念がどこまで大きくなるか不透明な部分がある。ただ、今のところ中国が理性的な対応をとっている。ドルはいったん104円近辺を下値めどとみてもいいのではないか。

トランプ大統領の言動を読み切るのは難しく、政権運営に一段と不透明感が強まれば104円を割りこむこともあるだろう。ただ、米景気は悪くなく、利上げサイクルに入っている状況を考えれば、一気に100円を試すような感じもしない。

日本の機関投資家の運用難の状況は続いており、4月になれば新年度を迎えた投資家からの対外証券投資などが円高の動きに歯止めをかける可能性がある。中期的には2016年の米大統領選前にもみあった102─103円レベルが1つの下値めどになりそうだ。

向こう3カ月の中心レンジは102─107円とみている。104円を中心として、どちらかと言えば上方向を広く取りたい。徐々に不透明感が解消し、市場が落ち着いてくれば、米経済の強さに世の中の目線が回帰していくとみる。

●米国発の通商摩擦が長引く恐れ、ドル安方向に潮目変化

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

今朝のドル/円は2016年の米大統領選以来初めて105円を下回った。心理的節目を下回った後は勢いよく戻るのが通常のパターンだが、今回はそういう流れになっていないことから判断して、ドル安/円高方向に潮目が変わったとみている。

米中貿易戦争に対する懸念が広がっているが、米国は中国のみならず世界を相手に保護貿易主義を貫く意向であり、米国発の通商摩擦は長引く可能性が高い。

米国の保護貿易主義によってグローバル経済が停滞するのは間違いない。トランプ氏が唯一成果をあげた米税制改革(減税)の景気押し上げ効果も、グローバル経済の停滞によって相殺されるだろう。

また、政治面では米国と北朝鮮の対話が期待されていたが、そこで重要な役割を担う中国と米国が通商面で衝突していれば、対話の進展も危ぶまれる。

こうした通商面、政治面のリスクは、金融市場のリスク回避行動を強め、株が一段と売られ債券が買われる展開となるだろう。

世界の投資家にドルが敬遠されるなか、ドル離れした資金の行き先はまずユーロやポンドとなるが、リスク回避の円買いも続くとみている。レベル感ではとりあえず103円が下値めどとなるが、トランプラリーの全てがはげ落ちるとすれば、101円前半までドル安が進んでもおかしくない。今年上半期のレンジは100―108円と予想する。

●日銀オペ減額しづらい

<みずほ証券 シニア債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

22日の米国市場では、貿易摩擦への不安が広がり米国株が急落する中、安全資産とされる米国債に対する需要が増大した。

米国債が今後どう展開していくかはやや複雑で、シンプルにリスク回避で金利が下がることもあるが、為替市場でドル安が進行してインフレ率が上がり利上げ加速が意識されると、金利が上昇することも考えられる。

ただ、足元では、米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し米連邦準備理事会(FRB)がさほどタカ派にはならないということも分かりドルが安くなったところで、すぐに利上げを急ぐ話にはならないとみて金利が低下したと思う。

対ドルで100円を割ってくるような急激な円高になれば別だが、現状の為替水準では日銀の追加緩和はないとみている。ただ、日銀オペのオファー減額はしづらいという観測が出て、円債相場を支えることになりそうだ。

円債市場では、急激でないだろうが当面は金利は低下方向とみている。今後3カ月間の日本の10年最長期国債利回り(長期金利)のレンジはマイナス0.020─0.080%を見込んでいる。

●イールドカーブのフラット化進む

<東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏>

トランプ米大統領の政策は両サイドある。インフラ投資などは良い方向に捉えられた面だが、保護主義は世界経済にマイナスだ。今年は米中間選挙があるので、リップサービスという側面もある。

円債市場への影響としては、イールドカーブのフラット化が進むことになるだろう。市場参加者は来年度、超長期債を軸に投資を行うことになりそうだ。

円高が進んでいるため、日銀は買い入れ額を減らしづらいが、仮に減額されて利回りが上昇すれば需要が強まることになりそうだ。

今後3カ月間の日本の10年最長期国債利回り(長期金利)のレンジはマイナス0.025─0.075%を見込んでいる。トランプ大統領の政策に起因する世界的なリスクオフにより、円債金利のマイナス幅が広がることが考えられる。 (金融マーケットチーム)


■ 米中貿易戦争開戦 「ネットゲリラ(2018年3月23日 12:03)」より
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やっぱり。なので驚かないが、予測通り日経平均株価はマイナス764円。年金は弾切れだそうで、日銀砲で午後、どれだけ戻すか、戻さないか。27日が権利落ちで最安値という説もあるんだが、それより今、株式市場が恐れているのは、アベシンゾーの退陣だろう。アベ相場なので、アベがいなくなったら大暴落。それが見えてきた。アベが退陣したら、豆州楽市もバーゲンセールやるぞ!

23日の東京株式市場は、アメリカのトランプ政権が中国からの輸入品に高い関税を課す制裁措置の発動を決めたことで、世界経済に悪影響を及ぼすという見方から売り注文が出て、一時、600円以上値下がりし、日経平均株価は今月5日以来、およそ3週間ぶりに2万1000円台を割り込んでいます。

さて、武器を使わないだけで、ガチの戦争だw せいぜい米中でやり合ってくれw 日本は知らん。どっちも応援するぞw

(※mono....以下の商品紹介は略)

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■ 米中貿易戦争 「Consadole2018(2018-03-23)」より
(※mono....前半略、詳細はサイト記事で)
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 今回の中国に対する貿易制裁は、アメリカの有力企業が国内で生産せずに中国で製造させ、更に知的財産も中国に盗まれているという考えが根底にある。

 アメリカ企業が国内で生産し価格競争力を失い世界で売れなくても構わないと考えている。その代り国内で流通する製品は国内製造であり、その製品を国民は買うべきと思っている。

 国内生産は、雇用を生み出す。其れの方が健康保険を辞めるより効果的と考えている。社会保障をどれだけ強化しても働かない人間が大量生産されてしまえば財政はパンクするという考えだろう。健康ならば働く場を提供するから働けということにもなる。

 そのバランスは微妙である。労働は健康な人間によってなされるもので、不健康な人間はそこから切り離される。所謂弱者の切り捨てにつながる。それが果たして良いかという議論は起きるはずである。

 今回の米中貿易戦争で割りを食うのは、ユニバーサルカンパニーと言われる多国籍企業だろう。アメリカ発だが既に席はアメリカに無い有力企業は数多くある。彼らは果たしてアメリカで製品を製造するのだろうか、それは一種の踏み絵だろう。

 トランプ大統領がホワイトハウスから立ち去るまでは、その顔色を伺いながら行動するのかそれとも正々堂々と向かって行くのか興味深い。当事者なら頭の痛いところである。


★ 米中貿易戦争に市場が過剰反応、円が暴騰する話でもない=麻生財務相 「ロイター(2018年3月23日 / 13:41 )」より
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[東京 23日 ロイター] - 麻生太郎財務相は23日の参院財政金融委員会で、足元の市場動向について「米中貿易戦争のようなものに市場が過剰に反応している。円が暴騰するような話でもない」と述べた。

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★ ドル・円が105円割れ、米中貿易戦争懸念や米政権不安で円全面高 「Bloomberg(2018年3月23日 8:23 JST 更新日時 2018年3月23日 11:23 JST)」より
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一時104円64銭と2016年11月9日以来の水準までドル安・円高進行
2大大国の米中のけんかは世界経済に良くない-三菱東京UFJ銀

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東京外国為替市場でドル・円相場は1ドル=104円台後半に3日続落、約1年4カ月ぶりのドル安・円高水準を付けた。トランプ米大統領が中国製品に関税を課す大統領令に署名したのに対抗し、中国も米国製品に対する関税計画を発表したことで、米中貿易戦争への懸念が強まった。マクマスター米大統領補佐官の退任も加わり、リスク回避の動きから円は全面高となっている。

  ドル・円相場は23日午前11時16分現在、前日比0.4%安の104円84銭。一時は104円64銭と米大統領選挙時の2016年11月9日以来の水準までドル安・円高が進んだ。円は主要16通貨に全てに対して上昇している。

  ステート・ストリート銀行の若林徳広在日代表兼東京支店長は、ドル・円の下落ついて、「中国との貿易摩擦やマクマスター氏辞任などいろいろあり、トランプ政権の不安定さが背景。政権トップやアドバイザーが次々と辞めていく危機。中国との貿易戦争も危険な印象。株とドル・円の相関が復活している」と説明。「きょうは104円ちょうどが下値めど。いったん104円20~30銭近辺では利食いも入り、多少サポートになると思う」と述べた。

  前日の米国株の大幅続落を受けて、この日の東京株式相場は大幅反落。日経平均株価は一時前日比846円48銭(3.9%)安の2万745円51銭まで下落し、ことし安値を更新した。中国株・香港株も大幅安。

+ 続き
  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「ドル・円は105円を割れたことで、国内企業の採算が合わなくなるリスクが出てきている。株価や来年度の企業活動への影響も懸念され、日銀の対応への期待や財務省の口先介入なども注目される」と述べた。


  トランプ大統領は22日、中国による知的財産権侵害への制裁措置として、少なくとも500億ドル相当の中国製品への関税賦課を命じる大統領令に署名した。一方、中国は23日、米国からの鉄鋼や豚肉などの輸入品30億ドル相当に相互関税を課す計画を発表した。

  三菱東京UFJ銀行の平井邦行上席調査役(ニューヨーク在勤)は、「経済でも知的財産でも2大大国の米中がけんかをするのは決して世界経済にとっても良いことではない。株を買ったり、リスクオンというのはちょっと難しいのではないか。ドル・円は下がりやすい」と述べた。


  トランプ米大統領は同日、マクマスター大統領補佐官が退任し、後任に元国連大使のジョン・ボルトン氏が4月9日付で就任すると発表した。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%高の1ユーロ=1.2332ドル。ポンド・ドル相場は0.2%高の1ポンド=1.4120ドル。英中央銀行イングランド銀行は22日、政策金利0.5%の据え置きを決定。2委員は利上げを主張した。

  ステート・ストリート銀の若林氏は、ポンド・ドルについて、「ドル安に加え、直近ではBrexit(英国の欧州連合離脱)交渉が順調。5月の英中銀による利上げ期待がある中、目先の上値めどは1.4220ドル程度でここを抜けられるかがポイント」と述べた。

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★ 米中貿易戦争で韓国に難題、予想される米の圧力と中国の反発 「朝鮮日報日本語版(2018/03/23 00:20)」より

★ アジア各地で軒並み株価下落 米中「貿易戦争」懸念 「NHK-newsweb(3月23日 12時24分)」より


★ トランプ関税に中国が反撃、相互関税計画発表-貿易戦争「開戦」 「Bloomberg(2018年3月23日 8:48 JST 更新日時 2018年3月23日 13:11 JST)」より
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米国の豚肉に25%、鋼鉄パイプ・果物・ワインに15%の追加関税計画
中国は対話を通じた通商問題解決を米国に求めた

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 中国は23日、米国との貿易戦争を恐れていないと表明するとともに、米国からの鉄鋼や豚肉などの輸入品30億ドル(約3100億円)相当に相互関税を課す計画を発表した。中国などからの鉄鋼・アルミニウムへの米輸入関税に対する最初の反撃になる。

 中国商務省は23日の声明で、米国からの豚肉輸入に対しては25%、鋼鉄パイプと果物、ワインには15%の追加関税を計画していると表明。米国の鉄鋼・アルミ関税に対し世界貿易機関(WTO)の枠組みで法的措置を取る計画だとし、米国に対話を通じた通商問題の解決を求めた。

 トランプ大統領は22日、大統領令に署名し、中国による知的財産権侵害への制裁措置としてライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に少なくとも500億ドル相当の中国製品への関税賦課を指示した。USTRは関税引き上げ対象リストを15日以内に取りまとめる。ホワイトハウスはその後、EUとアルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、メキシコ、韓国に対して、5月1日まで鉄鋼・アルミ関税の適用を除外する命令にトランプ大統領が署名したと発表した。

 中国に狙いを定めた知財制裁関税の大統領令署名を受け、S&P500種株価指数の終値は2.5%下落と、この6週間で最大の下げとなった。日本や香港の株価指数も大きく下げ、円相場は対ドルで上昇し、2016年11月以来となる1ドル=104円台に突入した。

中国は自制的

 国際通貨基金(IMF)で中国部門の責任者を務め、現在は米コーネル大学で教授を務めるエスワール・プラサド氏は中国の相互関税計画発表について、「これは中国側の開戦の一手であり、米国が関税を課せば、中国政府が相応な報復とみなす措置を招くことになるというシグナルだ」と指摘。「中国は一部商品の米輸出企業に多大な経済的損失をもたらすことができるし、米製造業者への供給網を断って打撃を与えるなど、公然、非公然を問わずさまざまな措置を取ることができる」と説明した。

 一方、中国国際貿易学会のシニアフェロー、李永氏は、「米国は貿易戦争の宣戦布告をしたが、中国は非常に自制的に動いている。中国が発表したリストは報復のようにみえるが、それでも非常に慎重な措置だ」と述べ、「この動きから読み取れるのは、中国は反撃する能力を持つが、それでもわれわれは貿易戦争よりも貿易の和平を依然望んでいるというメッセージだ」と説明した。

 USTRが公表したファクトシートによれば、米国は中国の政策が米経済に及ぼした打撃への代償として、一部の中国製品に25%の関税を課す。提案する対象製品リストには航空宇宙や情報・通信技術、機械が含まれる見通しで、USTRはリストを向こう「数日」中に公表する予定という。

 トランプ氏はまた、米国が戦略的と判断するテクノロジー保護を目的に、中国企業の対米投資への新たな制限を60日以内に提案するようムニューシン米財務長官に指示した。ホワイトハウスのシニア経済アドバイザー、エベレット・アイゼンスタット氏が明らかにした。

 トランプ大統領は「ここまでたどり着くのに長い時間を要した」とした上で、関税は最大600億ドルの製品に影響を及ぼす可能性があると発言。中国によって「知的財産権が著しく侵害される状況が続いており」、貿易への影響は年間で数千億ドルに達すると指摘した。

 トランプ大統領はホワイトハウスで署名する際に、「多数のうちの第1弾だ」と記者団に語った。

米国債売却も

 米シンクタンク、大西洋評議会の米中関係専門家、ロバート・マニング氏は、中国の当初の反応は多くの人が恐れているほどは強くないかもしれないが、対立は容易にエスカレートしかねないと指摘。「恐らく中国の反応は交渉を通じて打開策を探そうとする控えめなものになるだろう。関係が険悪化した場合、最終手段に訴えるのではないかと私は懸念している」とした上で、最終手段とは「数千億ドル」相当の米国債売却であり、そうなれば市場は暴落し、米金利は上昇するだろうと述べた。

 中国商務省は米中両国に「害をもたらす」措置を講じないよう米国に警告を発してきた。同省はウェブサイトに掲載した発表文で、このような一方的で保護主義的な措置に中国は強く反対し、自国の利益を断固として守るため、「あらゆる必要な措置」を取るだろうと表明した。

 元中国商務省次官で、現在は中国国際経済交流センター副理事の魏建国氏は、「中国は貿易戦争を恐れていないし、避けようとしないだろう。自動車輸入、大豆、航空機、半導体の分野で、反撃できる多くの手段がある。トランプ大統領はこれが極めて悪いアイデアであり、勝者はおらず、両国にとって良い結果は出ないと知るべきだ」と指摘した。

 トランプ政権は今回の措置を米中関係における大きな転換点と位置付けている。USTRは過去7カ月にわたり、1974年米通商法301条に基づいて中国による米国の知的財産権侵害についての調査を進めてきた。



★ トランプ政権、中国に新関税 最大500億ドル規模か 「WSJ(2018 年 3 月 23 日 06:21 JST)」より
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 【ワシントン】米トランプ政権は中国からの輸入品に高関税を適用する。中国による技術移転や企業買収を制限するとともに関税を導入して圧力をかけることで「不公平な貿易・投資慣行」の抑制に動いた。

 ドナルド・トランプ大統領は22日、貿易について「ある特定の問題がある。私は彼らを友人だと考えているが(中略)それは中国だ」と語った。米国の対中貿易赤字は「始末に負えない」と続けた。

 トランプ氏はホワイトハウスで、外国の貿易政策が不公平だとみられる場合に一方的な対策を講じることを認めた1974年の通商法301条に基づく大統領令に署名。中国に対する関税措置を発表した。

 これに先立ち、政権関係者はこの日、米国は中国からの最大500億ドル(約5兆3000億円)相当の輸入品に関税を適用する計画だと語っていた。ただ、トランプ氏は「約600億ドル」になる可能性があると語った。大統領がさらに大きな数字を口にした理由は今のところ不明だ。

 トランプ政権は中国が威圧や策略で米国の技術を取得していると主張。中国は不公平な許認可で自国に進出した米国企業を不利にし、米国の雇用を奪っていると批判している。ホワイトハウス高官によると、トランプ氏は過去の米政権が手ぬるかったし、対立は成果を得るための手段だと考えている。

 これに対し、中国は知的財産権の保護を向上させ、一段の経済自由化を推進していると反論。中国側も米国の関税に対する報復措置に出ようとしている。

 500億ドルという額は中国の対米輸出額の約1割に相当する。米当局者らは、米国企業が合弁事業や技術移転を強制された結果、1年間に失っている利益と同程度の額だとしている。

 ホワイトハウス関係者らによると、米産業界は関税適用が必要だとみる製品を15日以内に提案することができる。米通商代表部(USTR)は新関税の適用候補として1300の製品カテゴリーを選定した。その大半はハイテク製品で、合計約500億ドル相当になるという。

 関係者らによると、投資制限については財務省が60日以内に具体案をまとめる。

 ホワイトハウス関係者らによると、米国は許認可について中国が自国企業を優遇していると世界貿易機関(WTO)に申し立てる方針だ。




■ 米中貿易戦争なら米国の圧勝、日本には漁夫の利 「iRONNA(2017.1.16)」より
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 トランプ次期大統領候補の就任が近づいて来ました。具体的な政策は出揃っていませんが、選挙中の発言等からは、中国に対して高率な関税を課す可能性は比較的高いと言われています。そうなれば、中国が報復関税を課すことになり、米中の貿易戦争に発展しかねません。そうなった時に何が起きるのか、頭の体操をしてみましょう。

米国の対中輸入額は輸出額の約4倍

(※mono....中ほど大幅に略、詳細はサイト記事で)
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米中貿易戦争は、日本にとって「漁父の利」を得るチャンス


 米国と中国が相互に高率の関税を課し合うとすれば、日本にとっては絶好のチャンスです。中国が米国から輸入していた物、米国が中国から輸入していた物の一部が、日本からの輸入に切り替わる可能性が高いからです。

 米国の対中国輸入が減り、中国の景気が悪化し、日本から中国への輸出が減る、と心配する人もいるでしょうが、心配ご無用です。米国が中国以外の途上国から輸入することになれば、その国の景気が拡大し、対日輸入が増えるはずだからです。

 仮に米国の保護主義がこうじて、対中輸入関税に留まらず、対日輸入関税が課されることになったとすると、話は厄介ですが、それでもなお、被害は限定的なものに留まる可能性が高いと言えそうです。

 日本は、何十年も前から激しい日米貿易摩擦の洗礼を受け続けて来たため、免疫も耐性もできています。米国での現地生産も大々的に行なわれています。従って、初めて米国からの貿易摩擦の洗礼を受ける中国とは、受ける打撃の大きさが異なるわけです。

 そもそも米国の対日貿易摩擦は激しくならない、という論者もいます。いまや多くの州に日系企業の工場があり、多くの米国人が雇用されています。そうした州から選出されている国会議員は、日本企業と仲良くやりたいので日米貿易摩擦を好まない、という傾向にあるというわけです。

 さらに言えば、トランプ円安のおかげで輸出企業は巨額のドル高メリットを享受していますから、多少の関税が課せられたとしても、気にならない(関税の分だけドル建て輸出価格を引き下げても、円建て輸出価格はトランプ円安前と同水準かもしれない)というわけです。














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最終更新:2019年12月23日 10:26
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