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■ 日中通貨スワップを必要としているのは、残念ながら日本の側 「新宿会計士の政治経済評論(2018/08/23 05:00)」より
(※mono....長文に付きほとんど略、詳細はサイト記事で)
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ここでポイントは3つあります。

1つ目は、契約当事者です。先ほどの図表1を見て頂くと、通貨スワップ(BSA)の場合、日本側の契約当事者は財務省ですが、ロイターの記事によれば「中央銀行同士」とあります。ということは、契約当事者は財務省ではなく、日銀である、という可能性が高いのです。

このことから、ロイターの報道が正しければ、新しい日中通貨スワップ協定は最初から「米ドル建て」ではなく、シンプルに「日本円と人民元のスワップ」となる可能性がある、ということです。そうなると、日本円の使用を増やそうとしている日本側としては、願ったりかなったり、というわけです。

金額と通貨はすでに報道済み
2つ目は、金額です。ここで「3兆円規模」とありますが、この点については、実はすでに今年5月上旬の時点で、次の時事通信の報道に出ています。


つまり、今回のロイターの報道は、別に情報としては何も新しいものではなく、今年5月に日中が確認した方針がそのまま生きていることを追認するだけのものだ、ということです。

3つ目の、そして最も重要なポイントは、先ほどからも出ているとおり、「交換する通貨の種類」です。

日本が外国と通貨スワップ(BSA)を締結する際には、「日本側が米ドルを提供する」という契約内容となっていることが多く、また、日本の場合は外貨準備を管轄しているのが日銀ではなく財務省であるという事情もあるため、どうしても財務省が契約当事者となります。

しかし、今回は1つ目のポイントでも申し上げたとおり、各種報道では「財務省ではなく日銀が契約当事者になる」ということであり、新しいスワップは、最初から米ドルを排除した、日本円と人民元のスワップ協定になる、ということです。

この点については、冒頭に紹介した、5月9日付の財務省の報道発表とも整合します。

あるいは、タイやシンガポール、フィリピンとの通貨スワップと同様、財務省が契約当事者となるものの、日本銀行がその代理人と契約を締結するという形を取るのかもしれません(もっとも、このあたりについてはあくまでも技術的な形式論であり、金融協力という形からは実質的な相違はさほどありません)。

今回のスワップの本当の意味
ところで、読者の皆さまは意外と思われるかもしれませんが、私は今回の「円・元スワップ」の締結については、やむを得ない側面があると考えています。

中国の通貨・人民元は典型的な「ソフト・カレンシー」であり、中国からは外貨流出リスクがあるため、日本との通貨スワップ締結によって、通貨不安が一時的に鎮静化する効果は得られます。その意味で、「日本が中国を一方的に救済・支援する」という性格があることは間違いありません。

ただ、もう1つの深刻な問題は、日本の銀行が発行した「パンダ債」と呼ばれる債券にあります。


中国が米国の対中制裁関税「トランプ弾」に直撃され、メディアは世界の金融市場不安をあおり立てるが、浅慮に過ぎる。トランプ政権の対中強硬策なかりせば、中国は従来通り債務主導で傍若無人の対外進出策をとり続け、金融市場と安全保障両面で世界不安がどうしようもなく高まる。(夕刊フジ)

 米中貿易戦争はエスカレートする一方だ。トランプ政権は24日に中国からの輸入2000億ドル(約22兆円)分を制裁対象に追加する。すでに制裁開始済みの500億ドルと合わせ2500億ドルに達するが、トランプ大統領は中国が追加報復すれば全ての対中輸入品に25%の制裁関税を適用すると表明している。トランプ政権はこれによって年間3800億ドルに上る対中貿易赤字を早急に2000億ドル削減する目標を立てている。

 現在、国際金融不安の元凶とされる中国の債務は銀行、「影の銀行」合わせた総社会融資ベースでみるとリーマン・ショックから現在までの10年間で5倍、対国内総生産(GDP)比は10年前の1・1倍から2・1倍に跳ね上がった。

急速な債務膨張を支えてきたのが対米貿易黒字である。米国の対中貿易赤字は10年間合計で2・85兆ドルで、中国人民銀行はドル換算でほぼ同額の人民元資金を発行してきた。人民銀行資金は商業銀行などを通じて同国の融資総量(債務にほぼ匹敵)を19兆ドル以上増やした。

 この「錬金術」を可能にするのが、中国特有の通貨金融制度で、中国人民銀行は自身が決める基準交換レートで流入するドルをすべて買い上げ、人民元資金を市中銀行経由で企業、地方政府、家計へと供給する。人民銀行は外貨を裏付けにして融資を加速させ、不動産開発や工業生産に振り向ける。同時に、対外投資や軍拡にも外貨を投入してきた。

 習近平国家主席肝いりの巨大中華経済圏構想「一帯一路」の推進や、南シナ海などへの海洋進出はリーマン後の米金融緩和に支えられてきたわけだ。

 米中貿易戦争はそんな習政権の野心に冷水を浴びせる。中国の国際収支黒字は年間1000億ドル前後だから、トランプ政策は中国を赤字国に転落させる腹積もりだ。外貨不安を抱える中では対外進出策も思うに任せられなくなる。

窮地に立つ習政権が頼りにするのが世界最大の債権国日本である。グラフは中国の対外債務と邦銀の対外融資の推移である。中国は対米貿易黒字や外国からの対中直接投資を通じて外貨をためてきたが、海外企業買収や資本逃避のために外貨流出も激しい。そこで外債発行や銀行借り入れを通じて対外金融債務を急増させている。

 それに最も貢献しているのが日本の金融機関だ。邦銀は10年間で国際金融市場に1・36兆ドル資金を供給してきたのに対し、中国は海外からの借り入れを1・4兆ドル増やしている。親中派の経団連や財務・経産官僚、日銀は日中通貨スワップ協定締結が日本企業や邦銀のためになると言い立てるが、だまされてはいけない。それは習氏の尻拭いなのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)


★ 日中通貨スワップ協議再開へ 中国、対米貿易戦で日本に接近か 「大起元(2018年09月03日 21時57分)」より

★ 日中両政府が通貨スワップの再開検討、3兆円規模=関係筋 「ロイター(2018年8月22日)」より














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最終更新:2018年10月21日 16:46
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