+ ニュースサーチ〔岡山市元同僚女性強姦殺害事件〕



■ 私たちはこうして救われた 「被害者サポートセンターおかやま(VSCOヴィスコ)加藤 裕司」より

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 犯罪被害者の家族の思いをどう伝えるべきか悩みましたが、起きた事件、その時に私たちが何を感じていたのか、そして今何を思っているのか、ありのままに書き綴りました。


平成23年9月30日(金)
 こんなことが起きるなんて‥‥まったく予感も予想も働かなかった。娘はいつも私と相前後して帰ってくるため、毎日習慣のように妻に、「みさくんは?」と尋ねることにしていた。「まだよ。今日はヨガ教室があるから遅いよ。」の返事に少しがっかりしながら着替えに寝室のある2階に上がったことを覚えている。
 その日は、仕事の関係で帰りが遅くなっていたのでとっくに娘は帰っているものと思っていた。まさか、この時すでに娘が住田紘一に殺されているなんて想像もできなかった。

(※mono....中ほど大幅に略、是非詳細はサイト記事で)
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 加害者の死刑は確定したが、私たちは決してこの事実を手放しで喜んでいるわけではない。住田がいつ処刑されようとも、私たち被害者家族の悲しみが帳消しされるわけではない。娘が生き返ってくるはずもない。私たちは生ある限り悲しみの十字架を背負って生きていかなければならない。いくら望んでももう二度と会うことができないという悲しみと、親として娘を幸せにすることができなかったという辛さからどうやっても逃げることができない。
 また手放しで喜べないもう一つの理由として、裁判員裁判以前の判決で悔しい思いをされた被害者家族のみなさんが、法改正に向け血のにじむような地道な努力、運動を続け闘っていただいた結果、私たち被害者家族が救われたのだ。諸先輩の努力の恩恵を最大限に享受したのが私たち家族だったと思っている。私たちが勝ち取った結果を単なる事実として終わらせてはならない。
 これで終わりだとは決して思っていない。やるべきことはまだまだ残されている。私の本当の闘いはこれから始まる。多くの被害者家族の方達が築いてくれた道をさらに広げていくことが私に課せられた使命だと感じている。私たち家族と同じような思いをする人たちが一人でも少なくなることを願って、自分にできる最大限の努力を続けていきたいと思う。


■ 命乞いの女性をメッタ刺し 「1人殺害」で死刑、残虐殺人の真相 「iza!(2013.2.23 18:29)」より
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衝撃事件の核心】

 裁判員らは迷うことなく「初犯で1人殺害」の被告に極刑を選択した。岡山市内で平成23年9月、派遣社員の女性=当時(27)=を殺害したとして強盗殺人や強盗強姦、死体損壊・遺棄などの罪に問われた元同僚の大阪市住吉区、無職、住田紘一被告(30)の裁判員裁判。岡山地裁は14日、求刑通り死刑判決を言い渡した。性欲を満たすため犯行に及んだという被告。その身勝手さに加え、命ごいする被害者を躊躇なく殺害し、遺体をバラバラにして遺棄した残虐性、「殺人は是認される」といった公判での非常識な発言もあり、「被害者複数で死刑」という過去の判例にとらわれることなく判決は下された。

「好みの女性を選んだ」

+ 続き
 今月5日から集中審理された公判では、犯行の残虐ぶりが改めてクローズアップされた。

 検察側によると、住田被告は岡山市の元勤務先の倉庫に女性を誘い込み、現金2万4000円入りのバッグなどを奪い、性的暴行を加えた上、ナイフで胸などを10回以上刺して殺害。遺体は大阪市内のガレージで5つに切断し、一部はゴミ袋に詰めてゴミステーションに捨て、残りは大和大橋の上から大和川に捨てた。交際していた女性とうまくいかず性的欲求を募らせたことが犯行の動機だった。

 住田被告は起訴事実を認め、被告人質問では「同僚からこの女性を含む好みの女性を選んだ」などと、強姦して口封じのため殺害する計画的犯行だったことも認めた。また殺害の際、女性が「誰にも言わないから助けて」と懇願したにもかかわらず、「殺害を止めようとは思わなかった。心が揺らがなかった」と供述。「被害者や遺族がかわいそうだと思わないない」「殺人は是認される」とも語った。

 なんとしても死刑を…

 結審直前に住田被告が「謝らせてください」と涙を流しながら遺族に頭を下げる場面もあったが、遺族らは真摯に反省しているとは受け取れなかった。

 被害者参加制度で検察側に座っていた女性の父(60)は被告の突然の謝罪について「あれは作戦だ。裁判員の心情に訴えるため、最初から発言を覆すつもりでいたのだろう。どこが一番効果的なのかを考えていた」と逆に態度を硬化、「被告は人間の皮をかぶった悪魔。最高の刑を下してほしい」と述べた。女性の弟も証人尋問で「もし無期懲役なら、いずれ元犯罪者として社会に戻ってくるかもしれない。でも私たちは一生遺族として生きてゆく。元遺族になることなどできないのに…」と死刑を強く訴えた。

永山基準に照らして

 裁判では事実関係は争われず、「情状」の有無、死刑か否かという点のみが焦点になった。

 ここで参考にされたのは、最高裁が昭和58年の判決で示した「永山基準」。死刑適用にあたり、(1)犯罪の罪質(2)動機(3)態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性(4)結果の重大性、ことに殺害された被害者の数(5)遺族の被害感情(6)社会的影響(7)犯人の年齢(8)前科(9)犯行後の情状-の9項目を検討対象としたもの。その後の死刑判決はこれを踏まえて下され、「1人殺害」では死刑を回避する流れができた。

 今回の公判でも永山基準に言及する場面が見られた。死刑を求刑した検察側は「被害者が1人であり、被告に前科がなく、犯行を自白しているとはいえ、酌量すべき事情ではない」「無期懲役受刑者は平均35年で仮釈放になっている。35年後に被告は65歳。まだ犯罪は十分に可能である」と求刑理由を説明。

 一方、弁護側はこの基準に照らし「計画性があったとしても内容は稚拙で前科もない。被害者の数という点でも死刑はふさわしくない」とした。

 残虐で自己中心的

 注目の判決は求刑通り死刑だった。裁判員裁判の死刑判決は16人目で、1人殺害のケースでは3人目。被告に前科がなく、1人殺害で初犯のケースは初とみられる。

 「被害者が一人であっても結果は重大。性的欲求不満を解消するためという動機は極めて自己中心的で、犯行は残虐。公判途中での謝罪は被害者心情を思ってのものと認められない」

 異例の判決となったが、森岡孝介裁判長は判決理由をこう語った。前科がない点にも「(被告は)凶悪かつ非常の犯行を計画し、次々と実行しえたことから犯罪的傾向を有する。更正可能性は高いといえない」との判断を示した。

 市民感覚を反映

 裁判員も閉廷後の記者会見で「残虐以外の何ものでもなく、酌量の余地はなかった」「本当に反省しているなら、初公判から素直に謝罪すべきだった」などと口々に被告を批判し、量刑理由を語った。

 会見に応じたのは裁判員6人、補充裁判員2人のうち5人。会社員の男性は住田被告は永山基準を参考にしたと述べる一方、「私たち一般市民が今の時代の流れに沿った意見を判決に入れてもいいのではないかと思った」と、市民感覚を生かした判決であったと振り返った。

 住田被告は即日控訴した。女性の父は「死刑を受け入れて本当の意味の反省をしてほしい」と語ったが、事件はプロの裁判官による2審の判断にゆだねられることになった。













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最終更新:2019年04月30日 08:41