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中国外交において、批判に対し戦争映画の主役さながらに牙をむく手法が確立しつつある/Wolf Warrior II/Deng Feng International Media/China Film Group

香港(CNN) 中国政府内で新たな外交方針が定着しつつある。その攻撃的な姿勢にふさわしく、主導者に付いた通称は勇ましい。ずばり「戦狼」だ。

「戦狼」の呼び名は今や、欧米の出版物のみならず中国国営メディアでも広く使われている。そんな中で5月下旬、戦狼外交の提唱者が外相の全面的な支持を得ていることを明確に示す場面があった。

5月24日、王毅(ワンイー)外相が北京で記者会見を行い、中国は「意図的な侮辱」に反論していくと表明したのだ。

王氏はCNNの質問に答える形で、「我々から戦いを仕掛けたり、他国をいじめたりすることはない。しかし我々には原則と気骨がある。意図的な侮辱があれば反論し、国家の名誉と尊厳を断固として守り、あらゆる根拠なき中傷に対して事実で反論する」と述べた。

だが、果たして「戦狼外交」とは何か。その呼称の意味と起源はどこにあるのか。

「戦狼」と呼ばれる外交官は、控え目な姿勢で知られる従来の中国外交官とは全くタイプが異なる。

これらの当局者は冗長な声明を出すのではなく、ツイッターなどのSNSを利用し、中国や共産党に対する批判があれば直接反論する。

「戦狼」は実は、中国で大ヒットしたアクション映画シリーズのタイトルだ。主人公は米映画の「ランボー」よろしく、国内外の敵から中国の国益を守る戦いに身を投じる。2015年に公開された映画は7600万ドル(5億4500万人民元)を超える興行収入をたたき出した。

2017年に公開された「戦狼2」は、当時の興収記録を更新する大ヒット作となった/Well Go USA Entertainment

続編もすぐに制作され、17年に公開されると当時の中国で史上最高の興収を上げた。「戦狼2」の物語は、中国人民間人を救出するためにアフリカのある国に派遣された人民解放軍の部隊を中心に展開する。キャッチコピーは「どれだけ遠くにいようと、中国を侮辱する者は代償を支払う」だ。

「戦狼」シリーズと中国外交官の比較がなされるようになったのは2019年7月。当時在パキスタン大使館に勤務していた趙立堅氏が、ツイッター上で米政府に対する猛反論を始めたのがきっかけだ。

趙氏は物議を醸した一連のツイートで、人種差別や所得格差、銃暴力といった問題を抱える米国に中国の人権侵害を批判する権利はないと主張。米首都ワシントンには「白人」が立ち入ることのできない場所があると述べた。

これに対し、オバマ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたスーザン・ライス氏は激しく抗議し、趙氏を「恥知らずの人種差別主義者」と呼んだ。しかし翌年、趙氏のキャリアは花開き、今や中国外務省の定例記者会見を担う主要報道官3人の1人となっている。

(※mono....中略)

「戦狼外交官」の先駆けとして知られ、現在は外務省の主要報道官を務める趙立堅氏/Andy Wong/AP
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駐英大使の劉暁明氏も熱心な「戦狼」であり、定期的にツイッターを使って中国政府に批判的な欧州の声に反論している。

劉氏は5月25日、国営メディアの取材に応じ、「戦狼」は中国の外交政策を誤解した言葉だと指摘。中国外交を「独立した平和外交政策」と表現しつつ、時には強い姿勢も必要になると付け加えた。

ツイッターでは自身への質問に返信する形で、「『オオカミ』のいる場所には戦士がいる」としている。


■ 中国共産党の「戦狼」外交官、アメリカを目覚めさせた=仏メディア 「大紀元(2020年06月04日 23時03分)」より
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中国武漢から始まった中共ウイルス(新型コロナウイルス)が猛威を振るうなか、ますます攻撃性が増す中国共産党の「戦狼(戦うオオカミ)」外交は、国際社会から反感を買っている。感染被害が最も大きいアメリカもその攻撃の対象となった。

国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)は5月25日に掲載した評論文章で、中国の戦狼外交官がウイルスの発生源をアメリカ軍に責任転嫁したことがアメリカ政府の顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまい、米中関係の構造に激変をもたらしたと述べた。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 中国の「戦狼外交」、コロナ危機で露呈した限界 「WEDGE(2020年5月13日)」より
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コロナ対応で国際社会から対中批判高まる
(※mono....略、詳細はサイト記事で)
イメージ回復に躍起になる中国の「戦狼外交」
 新型コロナウイルスが世界中に広がる以前から、もともと、中国のパブリック・ディプロマシーはプロパガンダと呼ばれることがあった。中国共産党の中央宣伝部をはじめ、統一戦線工作部、そして外交官らによって、他国に対し世論づくりが展開されてきた。中国語や中国文化の普及活動をはじめ、多彩なメディア戦略等を用いて時には他国批判も行い、国際社会に対する情報を制限すると同時に、他国に対して脅しのメッセージを発信してきた。

 こうした「力」の概念はしばしば「シャープパワー」と呼ばれていたが、コロナウイルスをめぐり、「戦狼外交」や「最後通牒外交」といった強硬な外交が加速しているように見受けられる。習近平国家主席が20を超える各国の首脳と電話会談し、支援を表明し、協力を約束しているが、中国に対し感謝の意を表明するよう要請されている国もあるとされる。例えば、ポーランドでは、アンジェイ・ドゥダ大統領自らが習主席に電話で中国からの支援に感謝を表明せよという圧力がかけられ、またドイツでは、ドイツ当局や大企業から、中国からの支援や努力に対し感謝状を贈るよう求められたと、5月3日付のニューヨークタイムズが報じた。

 ちなみに、「戦狼外交」とは、2015年と2017年にシリーズで公開された中国のアクション映画『ウルフ・オブ・ウォー(英語表記:Wolf Warrior)』になぞらえた、過激な外交官による中国の好戦的な外交手法である。同作品は、中国人民解放軍特殊部隊「戦狼(Wolf Warrior)」の元隊員の主人公が、演習途中でアメリカ人傭兵軍団の襲撃にあい仲間を失ったことから、傭兵軍団と死闘を繰り広げる物語である。映画が大ヒットを記録した時期の前後、米中間では貿易摩擦が問題となり、両国の技術的優位性や国際社会での影響力をめぐり対立を繰り広げていたことが背景となり、中国の政府関係者や外交官が戦狼的とも攻撃的ともいえる手法で広報合戦を展開するようになったといわれている。今回のコロナウイルス対応でこの手法がより活発に使われているのだ。

(※mono....以下略)













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最終更新:2020年06月06日 21:09